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JP2008146899A - 高分子電解質積層フィルム - Google Patents

高分子電解質積層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】長期間保管しても皺等の欠点を増やす事なく、高分子電解質膜を取り扱いをしやすくする方法の提供
【解決手段】コロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施された、厚み5〜500μの樹脂フィルム上に厚み1〜500μm高分子電解質膜を積層する
【選択図】なし

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用の高分子電解質膜に関するものである。
燃料電池は、電池内で、燃料(水素源)と酸化剤(酸素)から電気化学的反応により電気エネルギーを得るものである。つまり燃料の化学エネルギーから直接電気エネルギーに変換している。燃料源としては、純水素をはじめ水素元素を含む石油、天然ガス(メタン等)、メタノールなどが使用できる。
燃料電池自体は、機械部分がないため騒音の発生が少なく、また外部からの燃料と酸化剤を供給し続け原理的には半永久的に発電させることができるのが特徴である。
電解質は、液体電解質や固体電解質に分類されるが、この中で電解質として高分子電解質膜を用いたものが固体高分子形燃料電池である。
特に、固体高分子形燃料電池は、他と比較して低温で作動することから、自動車等の代替動力源や家庭用コジェネレーションシステム、携帯用発電機として期待されている。
固体高分子形燃料電池には、電極触媒層とガス拡散層が積層されたガス拡散電極が高分子電解質膜の両面に接合された膜/電極接合体が少なくとも備えられている。ここで言
う高分子電解質膜は、高分子鎖中にスルホン酸基やカルボン酸基等の強酸性基を有し、プロトンを選択的に透過する性質を有する材料である。このような高分子電解質膜としては、化学的安定性の高いNafion(登録商標、米国デュポン社製)に代表されるパーフルオロ系プロトン交換樹脂膜が好適に用いられる。
このような高分子電解質膜は、20〜100μmの薄膜であるのが一般的であり、薄膜のまま取り扱うと皺や傷が入りやすい。よって、膜/電極接合体を作製するまでの保管や取り扱い上の観点から、非特許文献1で示されるような樹脂フィルム(Backing Film 1)上に接着されている事が望ましい。
ところで、高分子電解質膜は一般的に吸水性が極めて高く、高湿度下において、膜が膨潤する。よって、高分子電解質膜と樹脂フィルムとの密着性が悪いと、夏場の高湿度環境において高分子電解質膜が樹脂フィルムからは剥離しやすい、もしくは気泡が入りやすくなるという問題があった。このような問題が生じると、高分子電解質膜に皺やその他欠点が入った不良品になり、燃料電池に使用できなくなるといった課題があった。
Dennis E. Curtin, Robert D. Lousenberg, Timothy J. Henry, Paul C. Tangeman, Monica E. Tisack, J. Power Sources, 131 (2004), 41−48
本発明は、高分子電解質膜を長期間保管しても皺等の欠点を増やす事なく、取り扱いをしやすくする方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討をした。その結果、樹脂フィルム上にコロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施すことで、樹脂フィルムと高分子電解質膜との密着性が適度に向上した高分子電解質積層フィルムが得られ、高湿度下で長期間保管しても剥離等の問題が起きなくなる事を見いだした。これは、樹脂フィルムの表面を親水化する事で、親水性の強い高分子電解質膜との馴染みが良くなったためと推測している。
また、同時にこのような樹脂フィルムとしてポリエチレンテレフタレート製を用いると、膜/電極接合体作製時に高分子電解質積層フィルムの端部から高分子電解質膜を剥離しやすく、取り扱い上、好ましい事を見出した。さらに、コロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施された樹脂フィルム上に、高分子電解質膜を30〜200℃でラミネート処理する事で、上述のような高分子電解質積層フィルムが得られる事を見出した。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)コロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施された、厚み5〜500μの樹脂フィルム上に厚み5〜500μm高分子電解質膜が積層されていることを特徴とする高分子電解質積層フィルム。
(2)上記樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレート製であることを特徴とする上記(1)に記載の高分子電解質積層フィルム。
(3)コロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施された、厚み5〜500μの樹脂フィルム上に、高分子電解質膜を30〜200℃でラミネート処理することを特徴とする高分子電解質積層フィルムの製造方法。
本発明の高分子電解質積層フィルムは、長期間保管しても樹脂フィルム(Backing Film 1)から剥離せず、高分子電解質膜の皺等の欠点を増やす事なく、取り扱いやすさを提供できる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の高分子電解質積層フィルムを構成する高分子電解質膜として、最も好適なものは下記に示すようなフッ素系高分子電解質である。
フッ素系高分子電解質としては特に限定されないが、Nafion(登録商標;米国デュポン社製)、Aciplex(登録商標;日本国旭化成ケミカルズ(株)社製)、Flemion(登録商標;日本国旭硝子(株)社製)に代表される、下記化学式(1)で表されるプロトン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体が代表例として挙げられる。[CF CX −[CF −CF(−O−(CF −CF(CF
)) −Oc −(CFR −(CFR −(CF −X )]
・・・(1)
(式中、X 、X およびX はそれぞれ独立にハロゲン元素または炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基、0≦a<1、0<g≦1、a+g=1、0≦b≦8、cは0または1であり、d、eおよびfはそれぞれ独立に0〜6の範囲の数(ただし、d+e+fは0に等しくない)、R およびR はそれぞれ独立にハロゲン元素、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基またはフルオロクロロアルキル基であり、X は、−COOH、−SO H、−PO 、−PO HZ(Zは水素原子、金属原子(Na、K、Ca等)、又はアミン類(NH 、NH R、NH 、NHR 、NR (Rはアルキル基、又はアレーン基))
中でも、下記化学式(2)又は(3)で表されるパーフルオロカーボン重合体がプロトン伝導度が高く、好ましい。
[CF CF −[CF −CF(−O−(CF −CF(CF )) −O−(CF −X )] ・・・(2)
(式中0≦a<1、0<g≦1、a+g=1、1≦b≦3、1≦f≦8、そしてX は−COOH、−SO H、−PO 又は−PO Hである。)
[CF CF −[CF −CF(−O−(CF −X )] ・・・(3)
(式中0≦a<1、0<g≦1、a+g=1、1≦f≦8、そしてX は−COOH、−SO H、−PO 又は−PO Hである。)
上記のようなパーフルオロカーボン重合体は、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等のパーフルオロオレフィンや、パーフルオロアルキルビニルエーテル等のコモノマーに由来する単位をさらに含む共重合体であってもよい。
本発明で用いるフッ素系高分子電解質の製造方法は、例えば、米国特許第5, 281,
680号明細書、日本国特開平7−252322号公報、米国特許第5, 608, 022号明細書に記載されている。
また、上記高分子電解質膜としては、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリトリフルオロスチレン樹脂、トリフルオロスチレン樹脂、ポリ(2,3−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)樹脂、ポリ(アリルエーテルケトン)樹脂、ポリ(アリルエーテルスルホン)樹脂、ポリ(フェニルキノサンリン)樹脂、ポリ(ベンジルシラン)樹脂、ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン樹脂、ポリスチレン−グラフト−ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリスチレン−グラフト−テトラフルオロエチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂といった炭化水素部を有する高分子にスルホン酸基やカルボン酸基を導入したものも該当する。
上記高分子電解質膜のプロトン交換容量としては特に限定されないが、1g当たり0.5〜4.0ミリ当量が好ましく、より好ましくは0.8〜4.0ミリ当量、最も好ましくは0.9〜1.5ミリ当量である。より大きいプロトン交換容量の高分子電解質膜を用いる方が、高温低加湿条件下においてより高いプロトン伝導性を示し、燃料電池に用いた場合、運転時により高い出力を得ることができる。
上記高分子電解質膜の厚みは1〜500μmであり、好ましくは2〜200μm、さらに好ましくは5〜100μm、最も好ましくは10〜50μmである。膜厚が厚いほど耐久性は良くなる一方で、初期特性は悪くなるため、上記の範囲に膜厚を設定するのが好ましい。
一方、本発明の高分子電解質積層フィルムを構成する樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の一般的な樹脂フィルム全てがこれに該当するが、この中でもポリエチレンテレフタレート製の樹脂フィルムの場合、膜/電極接合体作製時に高分子電解質膜を剥離しやすく、取り扱い上、好ましい。
このような樹脂フィルムの厚みは5〜500μmであり、好ましくは2〜200μm、さらに好ましくは5〜100μm、最も好ましくは10〜50μmである。
また、このような樹脂フィルムは、コロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施されていることを特徴とする。
ここでいうコロナ放電処理とは、放電ハンドブック(発売元 オーム社、昭和57年改訂新版、電気学会放電ハンドブック出版委員会編)p.102〜106に記載されているように、樹脂フィルム表面に対し、ステンレス線やタングステン線などの対向電極を対置して、高周波及び高電圧をかけ、大気中にコロナ放電を発生させ、それによって生成される官能基と電子を直接樹脂フィルムに照射する処理等を指す。
また、ここでいうプラズマ放電処理とは、放電ハンドブック(発売元 オーム社、昭和57年改訂新版、電気学会放電ハンドブック出版委員会編)p.281〜329に記載されているように、高電圧アークプラズマ放電により大気中にプラズマ放電を発生させ、樹
脂フィルム表面に対しプラズマ放電電子照射を行って活性化するとともに、放電活性化酸素により生成される官能性極性基を樹脂フィルム表面に与える処理等を指す。
以上のようなコロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理における放電電子照射量としては、0.01〜1000W/m/minであり、好ましくは0.1〜500W/m/min、より好ましくは1〜200W/m/min、最も好ましくは2〜100W/m/minである。
コロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施された樹脂フィルムの濡れ性としては40〜100mN/mが好ましく、より好ましくは50〜90mN/m、最も好ましくは60〜80mN/mである。
(本発明の高分子電解質積層フィルムの製造例)
本発明の高分子電解質積層フィルムの製造方法として、フッ素系高分子電解質からなる高分子電解質膜を用いた例について以下に説明するが、特に限定されない。
本発明の高分子電解質膜は、例えば、以下の方法で製造することができる。
フッ素系高分子電解質は、下記化学式(4)で示される前駆体ポリマーを下記の
方法で重合した後、加水分解、酸処理を行って製造することができる。
[CF CX −[CF −CF(−O−(CF −CF(CF )) −O−(CFR −(CFR −(CF −X )]
・・・(4)
(式中、X 、X およびX は、それぞれ独立に、ハロゲン元素または炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、0≦a<1、0<g≦1、a+g=1、bは0〜8の数、cは0または1、d、eおよびfはそれぞれ独立に0〜6の数(但し、d+e+fは、0に等しくない)、R およびR はそれぞれ独立に、ハロゲン元素、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基またはフルオロクロロアルキル基、X は−COOR 、−COR または−SO (R は、炭素数1〜3のアルキル基(フッ素置換されていないもの)、R はハロゲン元素))
上記化学式(4)で示される前駆体ポリマーは、フッ化オレフィンとフッ化ビニル化合物とを共重合させることにより製造される。具体的なフッ化オレフィンとしては、CF
=CF ,CF =CFCl,CF =CCl 等が挙げられる。具体的なフッ化ビニル化合物としては、CF =CFO(CF −SO F,CF =CFOCF CF(CF )O(CF −SO F,CF =CF(CF −SO F,CF F(OCF CF(CF )) −(CFz−1 −SO
F,CF =CFO(CF −CO R,CF =CFOCF CF(CF )O(CF −CO R,CF =CF(CF −CO R,CF
=CF(OCF CF(CF )) −(CF −CO R(Zは1〜8の整数、Rは炭素数1〜3のアルキル基(フッ素置換されていないもの)を表す)等が挙げられる。
このような前駆体ポリマーの重合方法としては、フッ化ビニル化合物をフロン等の溶媒に溶かした後、テトラフルオロエチレンのガスと反応させ重合する溶液重合法、フロン等の溶媒を使用せずに重合する塊状重合法、フッ化ビニル化合物を界面活性剤とともに水中に仕込んで乳化させた後、テトラフルオロエチレンのガスと反応させ重合する乳化重合法等が挙げられる。上記のいずれの重合方法においても、反応温度は30〜90℃が好ましく、また、反応圧力は280〜1100kPaが好ましい。
このように製造された前駆体ポリマーの、JIS K−7210に基づいた270℃、荷重2.16kgf、オリフィス内径2.09mmで測定されるメルトインデックスMI(g/10分)は限定されないが、0.001以上1000以下が好ましく、より好ましくは0.01以上100以下、最も好ましくは0.1以上10以下である。
このような前駆体ポリマーを膜状に成形するには、一般的な溶融押出成形法(Tダイ法
、インフレーション法、カレンダー法等)が用いられる。
このように成形した前駆体ポリマーを、反応液体に接触させる事でイオン交換基前駆体を加水分解して高分子電解質膜を製造する。この場合、イオン交換基前駆体の加水分解は、水酸化アルカリ水溶液中で実施する事ができ、さらに加水分解反応速度を増加させるために比較的高温の溶液を使用するのが有利である。例えば、特開昭61−19638号公報に示されている水酸化ナトリウムを20〜25%含んだ水溶液を用い70〜90℃において16時間加水分解処理する方法等がこれである。また、膜を膨潤させ加水分解反応速度を促進するために水酸化アルカリ水溶液とメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールのようなアルコール系溶剤、もしくはジメチルスルオキシド等の水溶性有機溶剤との混合物により加水分解する方法が用いられている。例えば、特開昭57−139127号公報の水酸化カリウムを11〜13%とジメチルスルオキシドを30%含んだ水溶液を用い90℃で1時間加水分解処理する方法、特開平3−6240号公報の水酸化アルカリを15〜50wt%と水溶性有機化合物を0.1〜30wt%含んだ水溶液を用いて60〜130℃で20分〜24時間加水分解処理する方法がこれである。
このように加水分解処理によりイオン交換基を形成させた後、さらに塩酸等の無機酸で酸処理する事で、高分子電解質膜を製造する事ができる。
以上の方法で製造された高分子電解質膜、及びコロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施された樹脂フィルムを用いて高分子電解質積層フィルムを製造する方法としては、これらを積層した状態で、ホットプレス、ロールプレス、真空プレス等の公知のプレス技術やラミネーション技術を用いることにより接合する方法等が例示できる。この中でも、厚み5〜500μの樹脂フィルム上に、高分子電解質膜を30〜200℃でラミネート処理する方法が、より適度な高分子電解質積層フィルムを製造することができて好ましい。
本発明の高分子電解質積層フィルムは、クロルアルカリ電解、水電解、ハロゲン化水素酸電解、食塩電解、酸素濃縮器、湿度センサー、ガスセンサー等に用いることも可能である。高分子電解質膜を酸素濃縮器に利用する方法については、例えば、化学工学,56(3),p.178−180(1992)や、米国特許第4, 879, 016号を参照できる。高分子電解質膜を湿度センサーに利用する方法については、例えば、日本イオン交換学会誌,8(3),p.154−165(1997)や、J. Fang et al., Macromolecules, 35, 6070 (2002) を参照できる。高分子電解質膜をガスセンサーに利用する方法については、例えば、分析化学,50(9),p.585−594(2001)や、X. Yang, S. Johnson, J.
Shi, T. Holesinger, B. Swanson: Sens. Actuators B, 45, 887 (1997) を参照できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。本発明に用いられる評価法および測定法は以下のとおりである。
[実施例1]
高分子電解質膜として、[CF CF0.812 −[CF −CF(−O−(CF −SO H)]0.188 で表されるパーフルオロスルホン酸重合体(以下、「PFS」と称する)からなる、プロトン交換容量1.22ミリ当量/g、膜厚50μmの高分子電解質膜を以下のように製造した。
まず、PFSの前駆体ポリマーとして、テトラフルオロエチレンとCF =CFO(CF −SO Fとの共重合体からなるパーフルオロカーボン重合体(MI:3.0)を製造した。この前駆体ポリマーを溶融押出して約50μm厚に成形したフィルムを、15wt%の水酸化カリウムと30wt%のジメチルスルオキシドと55wt%の水を含有する反応液体に、60℃にて4時間接触させて、加水分解処理を行った。その後、フィルムを60℃水中に4時間浸漬し、次に60℃の2N塩酸水溶液に3時間浸漬した後
、イオン交換水にて酸を洗い出し、高分子電解質膜を得た。
樹脂フィルムとしては、以下のように、コロナ放電処理を行ったポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いた。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムとしては、厚み38μmの帝人デュポンフィルム(株)社製テイジンTMテトロンフィルムTMG2を用いた(以下、PETフィルムと称する)。
処理前の樹脂フィルムの濡れ性は、30mN/mであった(JIS K−6768に基づく)
このようなPETフィルムのコロナ放電処理には、春日電機(株)社製コロナ放電表面処理システムを用い、照射量100W/m/minで、コロナ放電処理を行った。
この樹脂フィルムの濡れ性は、70mN/mであった(JIS K−6768に基づく)。
次に、10cm角の高分子電解質膜とコロナ放電処理したPETフィルムを積層し、その両側をカプトン(登録商標、デュポン社)フィルム(300H、膜厚75μm)で挟み込んだ。これを圧縮成形機((株)神藤工業所社製、VSF−10)にセットして100℃まで昇温した後、10kgf/cmにて10分間プレスした。プレス終了後に圧力を開放して30℃まで降温させた後、サンプルを取り出し、高分子電解質膜がコロナ放電処理されたPETフィルムにラミネートされた本発明の高分子電解質積層フィルムを得た。
この高分子電解質積層フィルムを恒温恒湿槽に入れ、30℃95%RHを3hr⇔10℃30%RHを3hrの乾湿サイクル試験を実施した。400サイクル終了後、本発明の高分子電解質積層フィルムを取り出したところ、高分子電解質膜はコロナ放電処理されたPETフィルムから剥離していなかった。
この高分子電解質積層フィルムから高分子電解質膜を端部から手で剥離しようとしたところ、簡単に剥離できた。
[実施例2]
実施例1と同じ高分子電解質膜と以下のプラズマ放電処理を行ったPETフィルムとを用いて作製した高分子電解質積層フィルムの例を以下に示す。
PETフィルムのプラズマ放電処理には、春日電機(株)社製プラズマ照射表面改質装置(PS−601S)を用い、照射量100W/m/minで処理を行った。
この樹脂フィルムの濡れ性は、66mN/mであった(JIS K−6768に基づく)。
次に、実施例1と同様のラミネート処理を行って、本発明の高分子電解質積層フィルムを得た。この高分子電解質積層フィルムを実施例1と同じように乾湿サイクル試験を実施したところ、高分子電解質膜はプラズマ放電処理されたPETフィルムから剥離していなかった。
この高分子電解質積層フィルムから高分子電解質膜を端部から手で剥離しようとしたところ、簡単に剥離できた。
[比較例1]
コロナ放電処理を行っていないPETフィルムを用いた事以外は、実施例1と同じ方法で高分子電解質積層フィルムを得た。この高分子電解質積層フィルムを実施例1と同じように乾湿サイクル試験を実施したところ、高分子電解質膜はPETフィルムから剥離していた。
この高分子電解質積層フィルムから高分子電解質膜を端部から手で剥離しようとしたところ、簡単に剥離できた。
本発明の高分子電解質積層フィルムは、長期間保管しても樹脂フィルム(Backin
g Film 1)から剥離せず、高分子電解質膜の皺等の欠点を増やす事なく、取り扱いをしやすくする方法を提供できる。

Claims (3)

  1. コロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施された、厚み5〜500μの樹脂フィルム上に厚み1〜500μm高分子電解質膜が積層されていることを特徴とする高分子電解質積層フィルム。
  2. 上記樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレート製であることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質積層フィルム。
  3. コロナ放電処理もしくはプラズマ放電処理が施された、厚み5〜500μの樹脂フィルム上に、高分子電解質膜を30〜200℃でラミネート処理することを特徴とする高分子電解質積層フィルムの製造方法。
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