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JP2008140735A - 有機elディスプレイおよびその製造方法 - Google Patents

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JP2008140735A JP2006328224A JP2006328224A JP2008140735A JP 2008140735 A JP2008140735 A JP 2008140735A JP 2006328224 A JP2006328224 A JP 2006328224A JP 2006328224 A JP2006328224 A JP 2006328224A JP 2008140735 A JP2008140735 A JP 2008140735A
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Abstract

【課題】電極間分離膜と第二電極分離用隔壁の密着性を向上させ、陰極ラインの短絡等の不具合を防止する。
【解決手段】透明支持基板上に形成された色変換フィルター層と、その上に形成されたバリア層と、バリア層上に形成された、第一電極と、電極間分離膜と、第二電極分離用隔壁とを有し、当該第一電極に対向配置された第二電極と、前記第一電極と第二電極の間に配置された有機EL層とを備え、前記電極間分離膜は画素領域と、第二電極の引き出し線の接続部位と引き出し線と外部駆動回路との接続部位を除く領域とを被覆しており、その電極間分離膜の上に炭素層を有することを特徴とする有機ELディスプレイ、及び、色変換フィルター層形成工程と、バリア層形成工程と、このバリア層の上に、第一電極と、電極間分離膜と、第二電極分離用隔壁と炭素膜とを形成する工程と、有機EL層形成工程と、該有機EL層上に第二電極を形成する工程を有することを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機ELディスプレイおよびその製造方法に関する。
1987年にイーストマンコダック社のC.W.Tangにより2層積層構成のデバイスで高い効率の有機EL素子が発表されて以来(非特許文献1参照。)、現在にいたる間に様々な有機EL素子が開発されて携帯端末などに一部実用化し始めている。
有機化合物のエレクトロルミネセンスを利用した有機ELディスプレイパネルの1つに、パッシブマトリクス(単純マトリクス)型ディスプレイパネルがある。パッシブマトリクス型ディスプレイパネルは、ラインパターンを有する複数の導電層からなる第1電極と、第1電極に直交するラインパターンを有する複数の導電層からなる第2電極と、両電極に挟持される有機発光層から構成される。第1電極と第2電極との交差領域の発光部を単位として1画素を形成し、画素を複数個配列することにより表示部が形成される。
パッシブマトリクス型ディスプレイパネルでフルカラー表示を可能にするカラー化の方法には、3色塗分け法、色変換法(以下CCM法という)、カラーフィルター法などがある。この方式の中で、CCM法、カラーフィルター法は、成膜時にメタルマスクを用いる必要が無く、色変換層やカラーフィルターはフォトプロセスで基板上に作製すればよいため大面積、高精細化に関して有利である。
カラーディスプレイとしての実用上の重要課題は、精細なカラー表示機能を有すると共に、色再現性を含め長期的な安定性を有することである。しかしながら、カラー有機ELディスプレイには、一定期間の駆動により発光特性(電流−輝度特性)が著しく低下するという欠点を有している。
この発光特性の低下原因の代表的なものは、ダークスポットの成長である。このダークスポットとは、発光欠陥点のことである。駆動時および保存中に酸化が進むとダークスポットの成長が進み、発光面全体に広がる。このダークスポットは、素子中の酸素または水分により、素子を構成する積層材料の酸化または凝集によるものと考えられている。その成長は、通電中はもちろん、保存中にも進行し、特に(1)素子の周囲に存在する酸素または水分により加速され、(2)有機積層膜中に吸着物として存在する酸素または水分に影響され、および(3)素子作製時の部品に吸着している水分あるいは製造時等における水分の侵入にも影響されると考えられている。
この水分の供給源として、カラーフィルター層および/または色変換層に内在する水分が放出されていることが考えられている。有機EL素子への水分の侵入を妨げる手法として、基板上に膜厚0.01〜200μmの無機酸化物層を配設すること(例えば、特許文献1参照)、平坦化層に酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン(例えば、特許文献2参照)とし、水分・酸素遮断層として機能させることが提案されている。このほかにも窒化物など用いられる。
しかしながら、水分・酸素遮断膜を用いたパネルにおいても長時間の駆動において、水分・酸素遮断膜上に形成した電極の間を起点としてダークスポットが成長することが、発明者らの実験によってわかっている。これは、水分・酸素遮断層を形成する際に生じるピンホールや、ゴミの付着に由来する膜形成の不良部分が生じるため、電極で被覆されない部分から水分・酸素が有機EL素子に侵入するためであった。
この欠陥を補うため、上記の構造に付加し、電極間に水分・酸素遮断層を形成する方法がある(例えば、特許文献3参照)。この水分・酸素遮断層としては遮断性と共に、ドライエッチングなどのパターニングが可能であることが求められる。前述のように酸化珪素などの酸化物や窒化珪素などの窒化物が用いられる。なかでも窒化珪素は遮断性に優れることからもっとも望ましい材料である。
また、前記遮断層形成後形成される第一電極の画素間の電極間分離膜としても従来のレジスト材料から無機材料への使用が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この無機材料としては、バリア性の点から窒化物がより好ましい。
基板上の下部第一電極を陽極、上部第二電極を陰極とする構造の素子で、パッシブマトリックス駆動の場合、ストライプ状にパターニングされた陽極と直交する方向に形成された陰極ラインが交差する箇所に電圧が印加され発光にいたる。そのため陰極はマスク製膜によって分離されるか、陰極分離膜によって分離される。しかし、前者の場合、蒸着装置内にマスク製膜機構が必要であり、高精細パネルには向かない方法であり、コスト及び高精細の点からは後者の方法が優れている。後者の方法の場合、陰極分離隔壁が必要となる。この隔壁は逆メサ構造であり、通常、プロセスの点からノボラック樹脂、アクリル樹脂などの感光性樹脂によって形成され、前記電極間分離膜上に形成される。
特開平8−279394号公報 特許第3304287号公報 特開2004−39311号公報 特開2001−250694号公報 C.W.Tang, S.A.VanSlyke, Appl. Phys. Lett. 51, 913(1987)
しかし、前記電極間分離膜に窒化珪素などの窒化物を用いると前述の材料の陰極分離隔壁との密着性が悪いという問題がある。このため電極間分離膜から分離隔壁が剥離する不具合が生じ、分離が不十分になる不良が発生してしまう。
本発明者は、このような課題を解決するには窒化膜上に密着層として炭素膜を形成することによりなされることを見出し、本発明に到達した。スパッタリング及びCVDなどにより形成された炭素膜はバリア層である窒化膜との密着性は良く、また、陰極隔壁との密着性も確保される。また、炭素層表面に紫外線/オゾン照射処理乃至酸素プラズマ処理をすると炭素―炭素の化学結合を紫外線が切断し、ダングリングボンドが形成されるためさらに窒化膜、陰極隔壁との密着性がさらに向上する。
即ち、本発明の有機ELディスプレイは、透明支持基板上に形成された色変換フィルター層と、該色変換フィルター層の上に形成されたバリア層と、このバリア層の上に形成された、第一電極と、電極間分離膜と、第二電極分離用隔壁とを有し、当該第一電極に対向配置された第二電極と、前記第一電極と第二電極の間に配置された有機EL層とを備えた有機ELディスプレイパネルであって、
前記電極間分離膜は画素領域と、第二電極の引き出し線の接続部位と引き出し線と外部駆動回路との接続部位を除く領域とを被覆しており、
その電極間分離膜の上に炭素層を有することを特徴とする。
また、本発明の有機ELディスプレイの製造方法は、透明支持基板上に色変換フィルター層を形成する色変換層形成工程と、該色変換フィルター層の上にバリア層を形成するバリア層形成工程と、このバリア層の上に、第一電極と、電極間分離膜と、第二電極分離用隔壁と炭素膜とを形成する第一電極形成工程と、有機EL層を形成する有機EL層形成工程と、該有機発光層上に第二電極を形成する第二電極形成工程を有し、前記電極間分離膜は画素領域と、第二電極の引き出し線の接続部位と引き出し線と外部駆動回路との接続部位を除く領域とを被覆しており、前記炭素膜は電極間分離膜上に形成されることを特徴とする。
上記の構成を採ることによって、水分・酸素遮断性に優れた電極間分離膜と第二電極分離隔壁材料の密着性を向上させることができ、短絡の発生を減少させることができる。
以下に本発明の有機ELディスプレイについて図面を参照しつつ説明する。
本発明の有機ELディスプレイの実施形態を図1,2,3に示す。図1は本発明の有機ELディスプレイ形態を示す図であり、図2はそのA−A’断面図、図3は、B−B’断面図である。
図1〜3に示す有機ELディスプレイは、透明支持基板上に形成された色変換フィルター層を有する。色変換フィルター層は、カラーフィルター層、色変換層、およびカラーフィルター層と色変換層との積層体の総称である。
透明支持基板は、可視光(波長400〜700nm)に対して透明であり、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであればいずれも用いることができ、寸法安定性に優れていることが好ましい。透明支持基板としては、ガラス基板、およびポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などの樹脂で形成された剛直性の樹脂基板が好ましく用いられ、ポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などから形成される可撓性フィルムを、基板として用いてもよい。
カラーフィルター層は、所望される波長域の光のみを透過させる層である。また、色変換フィルター層がカラーフィルター層と色変換層との積層体の場合、色変換層にて波長分布変換された光の色純度を向上させることにカラーフィルター層は有効である。カラーフィルター層は、たとえば、市販の液晶用カラーフィルター材料(富士フイルムエレクトロマテリアルズ製カラーモザイクなど)を用いて形成することができる。
色変換層は、色変換色素とマトリクス樹脂からなる層である。色変換色素は、入射光の波長分布変換を行って、異なる波長域の光を放射する色素であり、好ましくは有機発光層からの近紫外光または青色〜青緑色の光の波長分布変換を行って、所望の波長域の光(たとえば、青色、緑色または赤色)を放射する色素である。色変換色素としては、赤色光を放射するローダミン系色素、シアニン系色素など;緑色光を放射するクマリン系色素、ナフタルイミド系色素など;青色光を放射するクマリン系色素など、当該技術で知られている任意のものを用いることができる。
1つの透明基板に、複数種の色変換フィルター層、たとえば有機発光層からの光を吸収して赤色光を放射する赤色変換フィルター層、緑色光を放射する緑色変換フィルター層、青色光を放射する青色変換フィルター層などを設けてもよい。本発明においては、複数種の色変換フィルター層をマトリクス状に配置することによってフルカラー表示を可能にする構成を採ってもよい。
色変換フィルター間および色変換フィルター上には必要に応じて、色変換フィルターの段差を緩和し、バリア層との密着性を確保するために平坦化層で色変換フィルター層を被覆してもよい。平坦化層には、アクリル材料等の可視光の透過率の高い材料が用いられる。平坦化層は、通常1μm以上、好ましくは2μm〜10μmの範囲内の厚さを有することが望ましい。
色変換フィルター層の上部にはバリア層が形成される。バリア層は被覆する色変調部および平坦化層から放出される水分が発光層側に伝播することを防止するバリア層として機能する。材料としてSiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnOなどの絶縁性の無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物などを用いて形成することができる。望ましくは色変換フィルター層を形成する材料と屈折率差の小さなSiO、SiNを選択する。通常の場合、バリア層は100nm〜1μmの膜厚を有して形成される。
バリア層の上に形成される第一電極(陽極)は、例えば、SnO、In、ITO、IZO、ZnO:Alなどの導電性金属酸化物からなる、ラインパターン状に互いに電気的に分離された複数のストライプ状透明電極から構成される。第一電極は、波長400〜800nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の透過率を有することが好ましい。第一電極は、通常50nm以上、好ましくは50nm〜1μm、より好ましくは100〜300nmの範囲内の厚さを有することが望ましい。
第一電極は、主として表示部に設けられており、その一端は更に端部まで伸びて外部駆動回路と接続するための端子部を形成している。
第一電極の抵抗を抑制するためにAl,Mo,Ni,Cr,W等の金属を補助電極として用いることも可能である。補助電極は、表示部、第一電極の外部駆動回路との引き出し部、第二電極の引き出し線のいずれにも形成しても抵抗を抑制する効果がある。
特に、第二電極と、第二電極の引き出し線が接合する部位では、第二電極と第一電極が接触し、酸化することを防止するために、補助電極と第二電極を直接接合する構造をとることもできる。
第一電極の上部には電極間分離膜が設けられている。電極間分離膜は、画素領域(有機発光層が第一電極と第二電極に挟持され発光領域として機能する部位)と、第二電極の引き出し線の接続部位と引き出し線と外部駆動回路との接続部位を除いて形成されている。
画素領域では図4に示すように、隣接する第一電極間に形成され、第一電極の端部をも被覆するように形成されている。また第2電極の端部の下部に形成される。その結果、1つの画素の発光領域を規定する。また、第一電極間に形成することにより、バリア層を浸透する水分の透過を防止する機能ももつ。
電極間分離膜は水分・酸素遮断性バリア性の点と電気的絶縁性の点から、材料として窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiN)などの無機窒化物などが用いられる。通常の場合、この電極間分離膜は100nm〜1μmの膜厚を有して形成される。
電極間分離膜の上には炭素層が形成されている。炭素層の膜厚は通常は10〜100nmである。ここでいう炭素膜はグラッシーカーボンや水素を含むダイヤモンドライクカーボンなどを含む。この炭素膜は窒化膜との密着性に優れる。この炭素膜は紫外線処理されていることが好ましい。炭素層表面に紫外線処理を行うと、炭素−炭素の化学結合を紫外線が切断し、ダングリングボンドが形成されるため高分子材料との密着性が向上する。
電極間分離膜の上には炭素膜10を間にはさんで、第一電極のストライプ状電極と直交する方向に伸びる第二電極(陰極)分離用隔壁が形成されている。この第二電極分離用隔壁はノボラック樹脂などの有機樹脂からなり、図3に示すように逆テーパー状の断面形状を有している。
分離壁の間の第一電極の上には有機EL層が設けられている。有機EL層は、有機発光層を少なくとも含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を含有する。これらの各層は、それぞれにおいて所望される特性を実現するのに充分な膜厚を有して形成される。たとえば、下記のような層構成からなるものが採用される。
すなわち、有機EL層は(A)有機発光層のみからなってもよく、第一電極側から、
(B)正孔注入層/有機発光層
(C)有機発光層/電子注入層
(D)正孔注入層/有機発光層/電子注入層
(E)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
(F)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
の構成となっていてもよい。第一電極は、第二電極の方向と交差する(好ましくは直交する)方向に延びる複数のストライプ状電極として形成することによって、パッシブマトリクス駆動を行うことができるように構成することが好ましい。
有機発光層の材料としては、任意の公知の材料を用いることができる。たとえば、青色から青緑色の発光を得るためには、例えば縮合芳香環化合物、環集合化合物、金属錯体(Alq3のようなアルミニウム錯体など)、スチリルベンゼン系化合物(4,4’−ビス(ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)など)、ポルフィリン系化合物、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、芳香族ジメチリディン系化合物などの材料が好ましく使用される(非特許文献2および非特許文献3参照)。あるいはまた、ホスト化合物にドーパントを添加することによって、種々の波長域の光を発する有機発光層を形成してもよい。ホスト化合物としては、ジスチリルアリーレン系化合物(たとえば出光興産製IDE−120など)、N,N’−ジトリル−N,N’−ジフェニルビフェニルアミン(TPD)、アルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq3)等を用いることができる。ドーパントとしては、ペリレン(青紫色)、クマリン6(青色)、キナクリドン系化合物(青緑色〜緑色)、ルブレン(黄色)、4−ジシアノメチレン−2−(p−ジメチルアミノスチリル)−6−メチル−4H−ピラン(DCM、赤色)、白金オクタエチルポルフィリン錯体(PtOEP、赤色)などを用いることができる。
正孔注入層の材料としては、Pc類(CuPcなどを含む)またはインダンスレン系化合物などを用いることができる。正孔輸送層は、トリアリールアミン部分構造、カルバゾール部分構造、オキサジアゾール部分構造を有する材料を用いて形成することができる。用いることができる材料は、好ましくは、TPD、α−NPD、(o−,m−,p−)MTDAPB、m−MTDATAなどを含む。
電子輸送層の材料としては、Alqのようなアルミニウム錯体;PBD、TPOBのようなオキサジアゾール誘導体;TAZのようなトリアゾール誘導体;トリアジン誘導体;フェニルキノキサリン類;BMB−2Tのようなチオフェン誘導体などを用いることができる。電子注入層の材料としては、Alqのようなアルミニウム錯体、あるいはアルカリ金属ないしアルカリ土類金属をドープしたアルミニウムのキノリノール錯体などを用いることができる。
また、任意選択的に、有機EL層と陰極として用いる電極との界面に、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらを含む合金、アルカリ金属フッ化物などの電子注入性材料の薄膜(膜厚10nm以下)で形成されるバッファ層を設けて、電子注入効率を高めてもよい。
第二電極分離用隔壁の間の有機EL層の上には第二電極の導電層が設けられている。
第二電極は第二電極分離用隔壁により互いに分離され、電気的に絶縁されたラインパターン状の複数列の導電層からなる電極である。この複数列の導電層は第一電極の導電層と直交する方向に伸びている。即ち、第一電極のストライプ状電極と第二電極のストライプ状電極が交差する位置(画素領域)においては、第二電極が第一電極に対向配置され、第一および第二電極間には有機発光層が配置されている。
第二電極は、複数の電極群からなり、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。第二電極は、陰極として用いてもよいし、陽極として用いてもよい。第二電極を陰極として用いる場合には、第二電極と有機EL層との界面に、前述のバッファ層を設けて有機EL層に対する電子注入の効率を向上させてもよい。
次に、本発明の有機ELディスプレイの製造方法について説明する。
本発明の有機ELディスプレイの製造方法においては、まず、色変換フィルター層形成工程において、透明支持基板上に色変換フィルター層を形成する。色変換フィルター層は、スピンコート法、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法などを用いて各層の材料を塗布し、続いてフォトリソグラフ法などを用いてパターニングすることによって形成する。バリア層との密着性を確保するために平坦化層を色変換フィルター層の上に設けてもよい。
次に、第1バリア層形成工程において、色変換フィルター層またはその上の平坦化層の上にバリア層を形成する。このバリア層は、プラズマCVD法や、スパッタ法を用いて形成する。
次の、第一電極形成工程により、バリア層の上に、第一電極と、電極間分離膜と、第二電極分離用隔壁と炭素膜とを形成する。第一電極はスパッタ法を用いて導電性金属酸化物を堆積させることによって形成する。第一電極は主として表示部に設けられており、その一端を更に端部まで伸ばして外部駆動回路と接続するための端子部を形成する。
次いで、電極間分離膜をプラズマCVD法や、スパッタ法を用いて形成する。電極間分離膜は、画素領域と、第2電極の引き出し線の接続部位と引き出し線と外部駆動回路との接続部位を除いて形成する。次ぎに炭素層をプラズマCVD法や、スパッタ法を用いて形成する。プラズマCVD法や、スパッタ法で形成した炭素膜は、無機窒化物からなる電極間分離膜との密着性に優れる。この炭素膜は、成膜後、紫外線照射処理をすることが好ましい。紫外線照射処理により、第二電極分離用隔壁との密着性が向上する。
炭素膜と電極間分離膜と炭素膜のパターニングは電極間分離膜の上に炭素膜を形成した後、二段階のエッチングで炭素層と第二バリア層をエッチングする。エッチング法としては、RIEプラズマやICPプラズマを用いたドライエッチング法を用いることが望ましい。そのためレジスト剤(「OFRP−800」(商品名、東京応化製)など)を塗布し、所定のパターンに形成する。
次に、被覆された箇所以外をエッチングする。その際二段階のエッチングで炭素層と電極間分離膜をエッチングする。まず酸素ガスを導入し酸素プラズマにより炭素層を除去する。炭素膜厚さが50nmであれば2分程度で除去が可能である。レジスト膜は多少エッチングされるがその後の電極間分離膜のエッチングに十分な膜厚が得られる。
次いで電極間分離膜をエッチングする。電極間分離膜の第一電極と接する角度を鋭角とし、かつ第一電極、補助電極として用いる金属電極との選択比を大きく取るためにドライエッチングはフッ素系ガスと酸素の混合ガスを用いる。例えば、電極間分離膜にSiNを用いた場合、ドライエッチングにはSFガスと酸素の混合ガス、SFとHClと酸素の混合ガスなどを用いることができる。SiOを用いた場合、CFと酸素の混合ガス、SFとCHFと酸素の混合ガスなどを用いることができる。
次いでノボラック樹脂などの有機樹脂を用いてフォトリソグラフィーにより逆テーパー状の断面形状を有し、第一電極のストライプ状電極と直交する方向に伸びる第二電極分離用隔壁を形成する。これにより上部に形成される第二電極は電気的に分離される。前記陰極分離膜を形成する際、紫外線/オゾン処理を施すことが好ましい。照射により炭素膜の炭素同士の結合がきれ、活性化することにより前記樹脂との密着性がさらに向上するためである。
次に、有機EL層形成工程として、有機EL層を構成するそれぞれの層および必要であれば前述のバッファ層を、蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
次に、第二電極形成工程として、高反射率の金属、アモルファス合金または微結晶性合金を用いて蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)、スパッタ、イオンプレーティング、レーザーアブレーションなどの当該技術において知られている任意の手段を用いて第二電極を形成する。第二電極は第二電極分離用隔壁により分断され、第二電極分離用隔壁と平行に延びるストライプ状の複数の電極群から形成される。
こうして得られた有機EL素子をグローブボックス内乾燥窒素雰囲気下(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止することが好ましい。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
<実施例1>
本実施例は、本発明の実施態様の有機ELディスプレイパネルを作成する例である。画素数160×120(RGB)、画素ピッチ0.33mmの有機ELディスプレイパネルを作製した。透明基板1としてのフュージョンガラス(コーニング製1737ガラス,100×100×1.1mm)上に、スピンコート方を用いてブラックマトリクス材料(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製:カラーモザイクCK−7800)を塗布し、フォトリソグラフィー法によってパターニングを実施し、幅0.03mmピッチ0.11mm、膜厚1μmの開口部をもつブラックマトリクス2を得た。
次いで、スピンコート法を用いて青色フィルター材料(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製:カラーモザイクCB−7001)を塗布し、フォトリソグラフィー法によってパターニングを実施し幅0.08mm、ピッチ0.33mm、厚さ10μmの複数のストライプからなる青色変換フィルター層3を得た。
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノエチルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。該溶液に対して100重量部の新日鐵化学製V259PA/P5を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を塗布し、フォトリソグラフィー法にてパターニングを実施して、幅0.08mm、ピッチ0.33mm、厚さ10μmの複数のストライプからなる緑色変換フィルター層4(色変換層のみで構成されている)を得た。
蛍光色素としてクマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)およびベーシックバイオレット(0.3重量部)を120重量部のPGMEA中へ溶解させた。該溶液に対して100重量部の新日鐵化学製B259PA/P5を加えて溶解させ、塗布液を得た。この塗布液を塗布し、フォトリソグラフ用にてパターニングを実施して、幅0.08mm、ピッチ0.33mm、厚さ10μmの複数のストライプからなる赤色変換フィルター層5(色変換層のみで構成されている)を得た。
ついで、青、緑、赤の各色変換フィルター層端の段差を緩和する目的で、平坦化層6を形成した。平坦化アクリル材料材料(JSR株式会社製:NN810)を塗布し、ブラックマトリクス形成領域よりも広い開口部をもつフォトマスクで露光を行い、厚さ5μmのパターンを形成した。
ついで、平行平板型プラズマCVD装置を用い、バリア層7(SiN膜)をおよそ300nm成膜した。雰囲気をSiHガス50sccmとN2ガス200sccmとし、RF印加電力を150W、基板ステージ温度を100℃とした。
この後、DCスパッタ法(ターゲットIn−Zn酸化物、スパッタガス:OおよびAr)を用い、室温において200nmのIZOを第一バリア層上の全面に堆積させた。次いで、シュウ酸水溶液をエッチング液として用いるフォトリソグラフィー法によってパターニングして、色変換フィルター層の上方に位置し、色変換フィルター3〜5のストライプと同一方向に伸びる、幅0.1mm、ピッチ0.11mmの複数のストライプからなる第一電極8を形成した。
ついで、平行平板型プラズマCVD装置を用い、電極間分離膜(SiN膜)9をおよそ300nm成膜した。雰囲気をSiHガス50sccmとNガス200sccmとし、RF印加電力を150W、基板ステージ温度を100℃とした。
次いで炭素膜10をスパッタリングにより形成する。99.999%の純度の炭素ターゲットを用いて、Arをスパッタガスとしてガス圧0.5Pa、パワー2.0kWで膜厚30nm形成した。
次いで紫外線照射処理を行った。即ち、照射照度が10mW/cmの低圧水銀ランプ下で300秒照射した。
次いで、ポジ型レジスト(東京応化工業株式会社製:TFR−1250)を塗布し、画素部ではブラックマトリクスの開口部にあわせ80×300μmの開口部をもち、第二電極と引き出し線の接合部および外部駆動回路との接合部に開口部をもつマスクを用いて露光を行い、レジストパターンを形成した。
次いで、ICPプラズマ型ドライエッチング装置を用い、雰囲気として酸素ガスを50sccm流して0.5kWのパワーでレジストでマスクされた以外の領域の炭素層をエッチングした。
次いで、前記装置を用いて雰囲気をSF6ガス100sccm、酸素ガス50sccm、印加電力1500Wとし、電極間分離膜9のエッチングを行った。この後、レジストの剥離を行い、電極間分離膜9のパターンを得た。
引き続いて、低圧水銀ランプを用いて、1.35mW/cmの照度で5分間照射することで、UV/オゾン処理を行った。その後直ちに、ネガ型フォトレジスト(日本ゼオン製ZPN1168)をスピンコート法によって塗布した。その後プリベークを行い、フォトマスクを用いて所定のパターンを焼き付け、60秒間にわたって110℃のホットプレート上でポストエクスポージャーベークを行った後に現像を行い、最後に15分間にわたって160℃のホットプレート上で加熱を行い、第一電極8のストライプと直交する方向に伸び、逆テーパー形状の断面を有する複数のストライプからなる第二電極分離用隔壁11を形成した。
次いで、陰極分離用隔壁以下の構造を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、有機EL層12として、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して、真空槽内圧を1×10-4Paまで減圧した。正孔注入層として、膜厚100nmの銅フタロシアニン(CuPc)を、正孔輸送層として、膜厚20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を、有機発光層として、膜厚30nmの4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を、そして電子注入層として、膜厚20nmのAlqを積層した。
次に、真空を破ることなしに、膜厚200nmのMg/Ag(質量比10/1)を堆積させて第2電極13を形成して、図1に示した構造を有する有機ELディスプレイパネルを得た。
こうして得られた有機ELディスプレイパネルをグローブボックス内乾燥窒素雰囲気下(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止した。
<比較例1>
電極間分離膜の上の炭素層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして有機ELディスプレイパネルを形成した。
<評価>
陰極の分離度合いを評価するため、陰極ライン1000本の内短絡した割合を求めた。
また、電極間分離膜と陰極分離隔壁材料の密着性をJIS K 5400に準拠した付着性試験により評価した。その結果を表1に示す。比較例1のパネルの陰極分離隔壁の形状には倒れなどの変形部や剥離箇所が見られた。しかし実施例1のパネルでは窒化珪素への密着性が向上したため、前記の異常は見られず、短絡のないパネルが可能になった。
Figure 2008140735
表1から、炭素層のない比較例1では電極間分離膜と第二電極分離隔壁材料の密着性が低く、短絡比率も大きいのに対して、本発明の有機ELディスプレイパネルでは、電極間分離膜と陰極分離隔壁材料の密着性に優れ、陰極ラインの短絡も発生していないことがわかる。
本発明によれば、電極間分離膜と第二電極分離隔壁材料の密着性を向上させることができ、陰極ラインの短絡等の不具合を防止することができる。
本発明の有機ELディスプレイの1形態を示す図である。 図1のA−A‘断面を示す図である。 図1のB−B‘断面を示す図である。 本発明の有機ELディスプレイの発光領域を示す簡易模式図である。
符号の説明
1.透明支持基板
2.ブラックマトリクス
3.緑色変換フィルター層
4.赤色変換フィルター層
5.青色フィルター層
6.平坦化層
7.バリア層
8.第一電極
9.電極間分離膜
10.炭素膜
11.陰極分離用隔壁
12.有機EL層
13.第二電極

Claims (9)

  1. 透明支持基板上に形成された色変換フィルター層と、該色変換フィルター層の上に形成されたバリア層と、このバリア層の上に形成された、第一電極と、電極間分離膜と、第二電極分離用隔壁とを有し、当該第一電極に対向配置された第二電極と、前記第一電極と第二電極の間に配置された有機EL層とを備えた有機ELディスプレイパネルであって、
    前記電極間分離膜は画素領域と、第二電極の引き出し線の接続部位と引き出し線と外部駆動回路との接続部位を除く領域とを被覆しており、
    その電極間分離膜の上に炭素層を有することを特徴とする有機ELディスプレイ。
  2. 前記電極間分離膜が窒化珪素、酸化窒化珪素から選ばれる材料からなることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイ。
  3. 前記第二電極分離用隔壁が有機樹脂からなることを特徴とする請求項1または2記載の有機ELディスプレイ。
  4. 透明支持基板上に色変換フィルター層を形成する色変換フィルター層形成工程と、該色変換フィルター層の上にバリア層を形成するバリア層形成工程と、このバリア層の上に、第一電極と、電極間分離膜と、第二電極分離用隔壁と炭素膜とを形成する第一電極形成工程と、有機発光層を形成する有機EL層形成工程と、該有機EL層上に第二電極を形成する第二電極形成工程を有し、前記電極間分離膜は画素領域と、第二電極の引き出し線の接続部位と引き出し線と外部駆動回路との接続部位を除く領域とを被覆しており、前記炭素膜は電極間分離膜上に形成されることを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
  5. 前記電極間分離膜が窒化珪素、酸化窒化珪素から選ばれる材料からなることを特徴とする請求項4に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  6. 前記第二電極分離用隔壁が有機樹脂からなることを特徴とする請求項4または5記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  7. 前記炭素膜の形成がスパッタリングによるものであることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  8. 前記電極間分離膜と前記炭素膜を二段階のエッチングによりパターニングすることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  9. 前記炭素膜形成後に紫外線処理を行うことを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
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