JP2008031644A - 鉄骨造建物の床架構および同床架構の建築構法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄骨造建物の特には床架構の構造、および前記床架構の建築構法を提供する。
【解決手段】鉄骨大梁2は、柱中心位置に通された1本の中央鉄骨梁2aと、その両側に間隔をあけて平行に配置された2本の外側鉄骨梁2b、2bとの合計3本で構成されている。鉄骨柱1の大梁取り付け位置には、3本の鉄骨梁2a、2bそれぞれの応力を鉄骨柱へ伝達することが可能な構造の梁接合用ブラケット5が設置されている。鉄骨大梁2は、3本の鉄骨梁2a、2bを一組として鉄骨柱1のブラケット5と接合する柱梁接合が行われている。
【選択図】図1
Description
こうした考えに基づき、鉄筋コンクリート構造の場合には、いわゆるフラットスラブ構造建物を建築して対処することが知られている。しかし、鉄筋コンクリート構造建物の建築施工には、コンクリート型枠を支持する支保工の使用が必須条件となる。
一般の鉄骨造建物の場合でも、限られた階高の範囲内で、自由に利用できる空間高さを拡大したり、或いは視界を広げて開放感を確保するには、結局、床架構を構成する梁のせいを極力縮小化する以外に方法はない。
しかし、この特許文献1に係る発明は、高い耐震性を発揮させること、および梁の総重量を軽減することを主たる目的としてなされたものである。しかも、その具体的構成は、1本の柱に対して接合される2本のダブル梁のうち、1本の梁の端部は、柱より手前側位置を直角方向に横切る梁に接合される。他の1本の梁の端部は、前記柱より手前位置を直角方向に横切る梁を貫通して、同柱の奥側を直角方向に横切る梁へ接合している。こうして柱に対する2本一組の梁それぞれの接合端部の位置が互い違いに異なるため、柱梁接合部の仕口は甚だ複雑な構造となり、接合作業も面倒で長時間を要するものと認められる。
本発明の目的は、鉄骨大梁を、既成の安価なH形鋼を使用して、耐力、剛性の不足分をH形鋼の本数の増加で補い、しかも鉄骨柱のブラケットに対しては共通位置で接合できる構成とした鉄骨造建物の床架構を提供することである。
本発明の更なる目的は、鉄道駅舎等が現存する軌道上の空間を活用する人工地盤や建築物の建築や増築に好都合な鉄骨造建物の床架構、およびその建築構法を提供することである。
鉄骨柱と鉄骨梁とで構成される鉄骨造建物の床架構において、
鉄骨大梁2は、柱中心位置に通された1本の中央鉄骨梁2aと、その両側に間隔をあけて平行に配置された2本の外側鉄骨梁2b、2bとの合計3本で構成され、
鉄骨柱1の大梁取り付け位置には、前記3本の鉄骨梁2a、2bそれぞれの応力を鉄骨柱1へ伝達することが可能な構造の梁接合用ブラケット5が設置されており、
鉄骨大梁2は、前記3本の鉄骨梁2a、2bを一組として鉄骨柱1の前記ブラケット5と接合する柱梁接合が行われていることを特徴とする。
合計3本の鉄骨梁2a、2bで構成された鉄骨大梁2は、軸線方向に間隔をあけた要所を横繋ぎ材6および小梁8の接合端部7で3本の鉄骨梁2a、2bを相互に一体的に剛結した構成とされていることを特徴とする。
鉄骨大梁2を構成する合計3本の鉄骨梁2a、2bは同一の梁せいとし3本が一体として性能を発揮する構成とされていることを特徴とする。
鉄骨柱1の梁接合用ブラケット5は大型の通しダイアフラム50で構成され、鉄骨大梁2を構成する中央位置および両外側位置の鉄骨梁2a、2bのウエブと接合される位置に3本の縦リブ5a、5bを備え、更に両外側の鉄骨梁2b、2bの応力を柱1へ伝達する縦リブ5cを前記鉄骨大梁2の軸線方向と直角な配置に2本以上備えていることを特徴とする。
大梁取り付け位置に梁接合用ブラケット5を設けた鉄骨柱1を建て、3本の鉄骨梁2a、2bの要所を横繋ぎ材6で相互間を一体的に剛結した鉄骨大梁2の上面にデッキプレート又はプレキャスト床板を敷き一体化して成る鉄骨大梁ユニットPを、前記鉄骨柱1のブラケット5と接合する段階と、
小梁8の上面にデッキプレート又はプレキャスト床板を敷いて一体化した小梁ユニットQを、前記鉄骨大梁2に設けられた小梁端部7と接合して設置し、更に必要な孫梁9を取り付ける段階と、
その他の必要とされるデッキプレート又はプレキャスト床板を梁上に敷き、各鉄骨梁の上面にスタットジベルを打ち、デッキプレート上又はプレキャスト床板上へスラブ筋を配筋し、床コンクリートを打設する段階とから成ることを特徴とする。
その一方では、せいの低い鉄骨梁2a、2bを使用した鉄骨大梁2の断面性能は、3本の鉄骨梁2a、2bを一組として並列に使用した合算効果で必要十分に補われる。そして、既成のH形鋼を使用できるので、安価に実施できる。また、鉄骨柱1のブラケット5に対して、鉄骨大梁2を共通位置で接合できるので、既往の簡便な柱梁接合技術で容易に実施できる。
よって、本発明の鉄骨造建物の床架構およびその建築構法は、鉄道駅舎等が現存する軌道上の空間を活用する人工地盤や建築物の建設や増築などに好都合である。
鉄骨柱1の梁取り付け位置には、前記3本の鉄骨梁2a、2bそれぞれの応力を鉄骨柱1へ伝達することが可能な構造の梁接合用ブラケット5を設置する。そして、前記3本の鉄骨梁2a、2bを一組とする鉄骨大梁2は、鉄骨柱1の前記ブラケット5と接合する柱梁接合を行う。
その建築構法としては、先ず梁取り付け位置に梁接合用ブラケット5を設けた鉄骨柱1を建てる。鉄骨大梁2は、3本の鉄骨梁2a、2bの要所を横繋ぎ材6で相互間を一体的に剛結し、上面にデッキプレート又はプレキャスト床板を敷き一体化した鉄骨大梁ユニットPとして構成し、これを前記鉄骨柱1のブラケット5と接合する。次いで、小梁8の上面にデッキプレート又はプレキャスト床板を敷いて一体化した小梁ユニットQを、前記鉄骨大梁2に設けた小梁端部7と接合する。更に必要な孫梁9もデッキプレート又はプレキャスト床板と一体化したユニットRとし取り付ける。その他の必要なデッキプレート又はプレキャスト床板を鉄骨梁上に敷き、各鉄骨梁の上面にスタットジベルを打ち、デッキプレート上又はプレキャスト床板上へスラブ筋を配筋し床コンクリートを打設する。
図1は、本発明に係る鉄骨造建物の床架構の実施例を伏せ図として示したもので、符号1は角鋼管による鉄骨柱、2が鉄骨大梁である。この鉄骨大梁は、図2Aと図3に拡大して示したように、柱中心位置に通される1本の中央鉄骨梁2aと、その両側に約300mmの間隔をあけて配置された2本の外側鉄骨梁2b、2bとの合計3本で構成されている。これら3本の鉄骨梁2a、2bには、同形、同大のH形鋼が使用されている。さらに具体的に云うと、3本の鉄骨梁2a、2bは、一つの実施例として、フランジ幅および梁せい共に400mmの既成のH形鋼を採用している。こうして3本のH形鋼で構成された鉄骨大梁2は、同3本の鉄骨梁2aおよび2b、2bの合算効果を考慮して、通例大梁鉄骨として使用される梁せい(例えば800mm)の断面性能を上回るように設計して実施される。前記低い梁せい(400mm)の3本の鉄骨梁はすべて同一の梁せいで構成されている。因みに、フランジの厚さは21mm、ウエブの厚さは13mmである。
こうして、この鉄骨造建物の床架構を構成する鉄骨大梁2、3、4の梁せいは、いずれも一例として400mmに統一して共通化されている。
ちなみに、図3は、上記のようにして柱梁接合した部分(図2A、B部分)の鳥瞰図を示している。
その意味でいえば、上記図1の外周位置の鉄骨大梁3が、2本の鉄骨梁3a、3aを約100mm程度の狭い間隔で平行に配置した構成とされている理由は、ボルトを入れる手さえ入ればよく、鉄骨ウエブをボルト接合するレンチを差し入れる間隔(作業スペース)は格別必要ないからである。
この外周位置の鉄骨大梁3を接合する外周鉄骨柱1’の梁接合用ブラケット10は、図1に示したように、外周位置の鉄骨大梁3が、狭い間隔で平行に配置した2本の鉄骨梁3a、3aで構成されているが故に、柱列帯の鉄骨柱1の梁接合用ブラケット5よりも幅狭く小型に構成されている。
上述した合計2本の鉄骨梁3a、3aあるいは3本の鉄骨梁2aおよび2b、2bで構成された鉄骨大梁3、2それぞれの鉄骨梁と同一に配置した2本或いは3本の、梁と同形、同大断面のH形鋼を井桁状に組み立てた構成で同様に実施することができる。
図1の場合、小梁8、8間には必要に応じて孫梁9を架けた構成を示している。ちなみに、小梁8には、フランジ幅と梁せいが約400mmのH形鋼が使用されている。孫梁9にはフランジ幅が300mm、梁せいが約390mmのH形鋼が使用されている。
本実施例2の場合も、鉄骨大梁2に、合計3本の鉄骨梁で構成されたものを使用する構成には変わりないが、小梁8として2本の鉄骨梁を一組として一定の間隔を開けて平行に配置したダブル小梁の構成で柱間中央の位置に設置した構成を特徴としている。小梁8と大梁2との間に孫梁9が設置されている。鉄骨大梁2を構成する3本の鉄骨梁は、前記ダブル小梁8、8を接合するため用意した小梁端部7により相互間を一体的に剛結した構成とされている。
同様に、上記ダブル小梁8、8についても、中央部を小梁端部7’で井桁状に剛結した構成とし、その上面にデッキプレート又はプレキャスト床板(図示は省略)を敷いて一体化した小梁ユニットQとして構成する。したがって、この小梁ユニットQを鉄骨大梁2の小梁端部7と接合すると直ちにそのデッキプレート又はプレキャスト床板を作業用足場なり通路として利用できる。
その他の小梁8もデッキプレート又はプレキャスト床板(図示は省略)を敷いて一体化したユニットに構成し、各々の接合作業を行う。図4には、鉄骨大梁2に小梁ユニット部材Rとして構成する例が示されている。
上記のようにして床架構を構成する各要素のユニット化が進められると、各ユニットP、Q、Rをそれぞれ工場生産化することが容易となり、品質の向上と、現場作業の工数を省くことができ、工期の短縮が図れる。
次いで、合計3本の鉄骨梁2aと2bで構成された鉄骨大梁2に小梁接合用の端部7を設け、上面にデッキプレート又はプレキャスト床板を敷いて一体化した鉄骨大梁ユニットPを構成し、前記鉄骨柱1のブラケット5と鉄骨大梁2とを柱梁接合する。
小梁8は、その上面にデッキプレート又はプレキャスト床板を敷いて一体化した小梁ユニットQを構成し、前記鉄骨大梁2、2の間へ、小梁接合部7を利用した梁接合をして設置する。
その他に必要とされる孫梁9もデッキプレート又はプレキャスト床板を敷いて一体化した孫梁ユニットRとして構成し、孫梁接合部9’を利用した梁接合により取り付ける。更に必要とされるデッキプレート又はプレキャスト床板を梁上に敷き込み、各鉄骨梁の上面にスタットジベルを打ち、スラブ筋を配筋し、床コンクリートを打設する段階を経て、せいの低い鉄骨造の床架構が構築される。
2 鉄骨大梁
3 鉄骨大梁
4 桁行き大梁
5 ブラケット
6 横繋ぎ材
7 小梁端部
9 孫梁
10 ブラケット
P、Q、R 梁ユニット
50 通しダイアフラム
5a、5b、5c 縦リブ
Claims (5)
- 鉄骨柱と鉄骨梁とで構成される鉄骨造建物の床架構において、
鉄骨大梁は、柱中心位置に通された1本の中央鉄骨梁と、その両側に間隔をあけて平行に配置された2本の外側鉄骨梁との合計3本で構成され、
鉄骨柱の大梁取り付け位置には、前記3本の鉄骨梁それぞれの応力を柱へ伝達することが可能な構造の梁接合用ブラケットが設置されており、
鉄骨大梁は、前記3本の鉄骨梁を一組として鉄骨柱の前記ブラケットと接合する柱梁接合が行われていることを特徴とする、鉄骨造建物の床架構。 - 合計3本の鉄骨梁で構成された鉄骨大梁は、軸線方向に間隔をあけた要所を横繋ぎ材および小梁の接合端部で3本の鉄骨梁を相互に一体的に剛結した構成とされていることを特徴とする、請求項1に記載した鉄骨造建物の床架構。
- 鉄骨大梁を構成する合計3本の鉄骨梁は同一の梁せいとし3本が一体として性能を発揮する構成とされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した鉄骨造建物の床架構。
- 鉄骨柱の梁接合用ブラケットは大型の通しダイアフラムで構成され、鉄骨大梁を構成する中央位置および両外側位置の鉄骨梁のウエブと接合される位置に3本の縦リブを備え、更に両外側の鉄骨梁の応力を柱へ伝達する縦リブを前記鉄骨大梁の軸線方向と直角な配置に2本以上備えていることを特徴とする、請求項1に記載した鉄骨造建物の床架構。
- 大梁取り付け位置に梁接合用ブラケットを設けた鉄骨柱を建て、
3本の鉄骨梁の要所を横繋ぎ材で相互間を一体的に剛結した鉄骨大梁の上面にデッキプレート又はプレキャスト床板を敷き一体化して成る鉄骨大梁ユニットを、前記鉄骨柱のブラケットと接合する段階と、
小梁の上面にデッキプレート又はプレキャスト床板を敷いて一体化した小梁ユニットを、前記鉄骨大梁に設けられた小梁端部と接合して設置し、更に必要な孫梁を取り付ける段階と、
その他必要とされるデッキプレート又はプレキャスト床板を梁上に敷き、各鉄骨梁の上面にスタットジベルを打ち、デッキプレート上又はプレキャスト床板上へスラブ筋を配筋し、床コンクリートを打設する段階とから成ることを特徴とする、鉄骨造建物の床架構建築構法。
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