液晶表示装置は薄型、軽量であり、従来のブラウン管に代替するものとして、近年一層用途が拡大されてきた。しかし、現在広く使用されているTN(Twisted Nematic)配向液晶表示パネルは視野角が狭く、また応答速度が遅く、動画表示時には尾を引くように見える等、ブラウン管より画質が劣る。
これに対して、近年、高速応答、高視野角という特徴を有するOCB(Optically Compensated Birefringence)モードの液晶表示素子を備える液晶表示装置が用いられるようになってきている。この液晶表示装置は、液晶をベンド配向させて視覚補償を行い、さらにこれに光学位相補償フィルムを組み合わせることにより広い視野角を得るようにしたものである。
図9は、OCBモードの液晶表示素子が有する液晶分子の配向状態を模式的に示した断面図である。図9(a)および図9(b)は、電圧印加状態を示した断面図であり、図9(c)は、電圧無印加状態を示した断面図である。
OCBモードの液晶表示素子を用いた液晶表示装置を構成する液晶表示パネルのガラス基板91の間には、図9(a)等に液晶分子92として示すように、ネマチック液晶が注入されている。そして、電圧を印加していない液晶の配向状態は、スプレイ状態93と呼ばれている。OCBモードの液晶表示素子を用いた液晶表示装置の電源投入時には転移駆動と呼ばれる駆動を行う必要がある。すなわち、転移駆動とは、液晶表示装置の電源投入時にこの液晶層に20ボルトから25ボルト程度の比較的大きな電圧を印加することにより、図9(c)に示すスプレイ状態93から図9(a)、図9(b)に示すベンド状態94a、94bに転移させる駆動のことである。このベンド状態94a、94bを用いて表示を行うのが、OCBモードの液晶表示素子を用いた液晶表示装置の特徴であり、電圧の大きさによってベンド状態を変化させることにより、パネルの透過率を変化させるものである。
図9(a)に示すベンド状態94aは、白表示をしている場合のベンド状態を示し、図9(b)のベンド状態94bは、黒表示をしている場合のベンド状態を示している。
また、OCBモードの液晶表示素子を用いた液晶表示装置では、その液晶表示パネルに2ボルト以下の電圧を印加し続けると、液晶の配向状態は、ベンド状態94a、94bからスプレイ状態93に徐々に移行してしまう(以下この移行を逆転移と呼ぶ)。このような逆転移を防止するために、OCBモードの液晶表示素子を用いた液晶表示装置では、逆転移防止駆動と呼ばれる駆動が行われる。
つまり、比較的低い電圧が印加されているときに白表示を行い、比較的高い電圧が印加されているときに黒表示を行うノーマリホワイトモードの液晶表示装置の場合、逆転移防止駆動とは、各画素に周期的に表示する映像信号とは別に黒色に対応する電圧を印加することにより、逆転移を防止する駆動である。逆転移防止駆動には、逆転移の防止のために画素に黒色に対応する電圧を印加する動作と、映像信号に対応する電圧を印加する動作とを交互に行う、2倍速変換と呼ばれる逆転移防止駆動がある(例えば、特許文献1参照)。
従って、従来のOCBモードの液晶表示素子を用いた液晶表示装置では、1フレーム(または1フィールド)の映像を表示する期間には、映像信号に対応する電圧を画素に印加している表示期間と、逆転移防止のために黒色に対応する電圧を画素に印加している黒挿入期間とが設けられている。
図10に、従来のOCBモードの液晶表示素子を用いた液晶表示装置の構成を示す。
この液晶表示装置は、液晶表示パネル110、バックライト111、ソースドライバ112、ゲートドライバ113、コントローラ114、入力電源116、および液晶駆動電圧発生回路117を備えている。
液晶表示パネル110は、信号線と走査線がマトリックス状に配置され、それらの交点にOCBモードの液晶表示素子が設けられている液晶表示パネルである。
バックライト111は、液晶表示パネル110の背面に配置されており、複数の冷陰極管で液晶表示パネル110を照明する。
入力電源116は、バックライト111、コントローラ114および液晶駆動電圧発生回路117に電力を供給し、液晶駆動電圧発生回路117は、表示用データを液晶表示パネル110に表示させるタイミングに応じて、ソースドライバ112およびゲートドライバ113に供給する電圧を調整する。
ゲートドライバ113は、液晶表示パネル110の走査線にゲート信号を供給し、ソースドライバ112は、液晶表示パネル110の信号線に表示用信号に対応する電圧を供給する。
コントローラ114は、信号処理部121、ラインメモリ122、およびタイミング制御部123を備えており、ソースドライバ112は、D/A変換部124およびシフトレジスタ125を備えている。
次に、このような従来の液晶表示装置の動作を説明する。
液晶表示装置の電源が入れられた際には、液晶表示パネル110の液晶層は、図9(c)に示すようにスプレイ状態93のままであるので、図9(a)のベンド状態94aや図9(b)のベンド状態94bに転移させる必要がある。そこで、液晶表示装置の電源が入れられた際には、液晶表示装置は、液晶層をスプレイ状態からベンド状態に転移させるために転移駆動を行う。すなわち、ソースドライバ112は、画素電極と共通電極との間の電圧が所定の時間だけ20ボルトから25ボルトという映像を表示する際の電圧よりも高い電圧になるように、転移駆動のための電圧として、信号線に20ボルトから25ボルトの電圧を印加する。従って、液晶層には転移駆動のための電圧が所定時間印加されることになるので、液晶表示パネル110の液晶層は、スプレイ状態からベンド状態に転移し、液晶表示装置の表示動作が可能となる。
上記のように転移駆動が完了し、表示動作が可能になると、液晶表示装置は表示動作を開始する。
RGBデータである映像信号が信号処理部121に入力されると、信号処理部121は、入力された映像信号に対して階調補正やガンマ補正処理を行なうとともに、1水平期間のデータ毎に、1水平期間の前側が黒挿入用の黒色データ、後ろ側が2倍速の映像信号となるように変換して、ラインメモリ122に格納していく。
そして、コントローラ114のタイミング制御部123は、映像信号に含まれる表示信号が入力開始されるタイミングに合わせて、ラインメモリ122に格納された1行画素分のデータを、ソースドライバ112のシフトレジスタ125へ転送させていく。
また、コントローラ114のタイミング制御部123は、液晶表示装置が表示動作を行う際には、外部から入力される映像信号に応じて、ゲートドライバ113、ソースドライバ112にそれぞれ制御信号を送る。その結果、ゲートドライバ113は、各走査線に走査信号電圧を印加して各画素のスイッチング素子を順次オンさせる。
表示期間には、ソースドライバ112は、ゲートドライバ113が各走査線に走査信号電圧を印加するタイミングに合わせて、信号線を通じて映像信号に応じた電圧を各画素の画素電極に印加する。これにより液晶表示パネル110の液晶分子92が変調され、バックライト111から出射される光の透過率が変化する。その結果、ユーザの目に映像信号に対応する画像が映る。
また、黒挿入期間には、ソースドライバ112は、ゲートドライバ113が各走査線に走査信号電圧を印加するタイミングに合わせて、信号線を通じて黒色に対応する電圧を各画素の画素電極に印加する。これにより液晶表示パネル110の液晶分子92が変調され、バックライト111から出射される光の透過率が変化する。その結果、ユーザの目に黒色の映像が映る。
図11は、図10に示した従来の液晶表示装置における2倍速変換による逆転移防止駆動時の、映像信号、2倍速信号、およびゲートパルスのタイミングチャートの一例を示している。
RGBデータで入力される映像信号に対して、1水平期間(1H期間)毎に、その1H期間の前側に逆転移防止用の黒色の階調のデータが、後ろ側に映像信号を2倍速に変換した表示用データが、それぞれ格納されるように、ソースドライバ112のシフトレジスタ125に格納していく。なお、図11の斜線で示す部分は、逆転移防止用の黒色の階調のデータを示している。
1H期間毎に、シフトレジスタ125には、これらの1行画素分のデータが順次入力されていき、ソースドライバ112からは1行画素分のデータが同時に出力されていく。したがって、図11に示すように、入力される映像信号に対して、1H期間遅れたタイミングでソースドライバ112から出力されていく。
図11のG1〜G7は、ゲートドライバ113から各ゲート線に出力されるゲート信号を示している。各ゲート信号の右側に示す符号は、各ゲート信号がハイになるタイミングに画像セルに書き込まれる表示用データまたは黒色の挿入用データ(B)の種別を示している。
表示用データS1がソースドライバから出力されるタイミングに、ゲート線G1のゲート信号がハイになり、ゲート線G1上の画像セルに表示用データS1が書き込まれる。次に、表示用データS1と表示用データS2との間に挿入された黒色の挿入用データがソースドライバから出力されるタイミングに、ゲート線G5のゲート信号がハイになり、ゲート線G5上の画像セルに黒色の挿入用データが書き込まれる。次に、表示用データS2がソースドライバから出力されるタイミングに、ゲート線G2のゲート信号がハイになり、ゲート線G2上の画像セルに表示用データS2が書き込まれる。次に、表示用データS2と表示用データS3との間に挿入された黒色の挿入用データがソースドライバから出力されるタイミングに、ゲート線G6のゲート信号がハイになり、ゲート線G6上の画像セルに黒色の挿入用データが書き込まれる。以下同様にして、各ゲート線のゲート信号がハイになるタイミングにあわせて、表示用データまたは黒色の挿入用データが各画素セルに書き込まれていく。
このように、各ゲート線G1〜G7が1フィールド期間にそれぞれ2回ずつ選択され、各ゲート線G1〜G7上の画素セルには、表示用データと黒色の挿入用データが1回ずつ書き込まれる。したがって、表示用データを書き込む一方で周期的に黒色の挿入用データを書き込む逆転移防止駆動を実現することができる。
この結果、図11に示す例では、映像表示期間T1と黒色挿入期間T2との比率が1:1に設定されることになる。各ゲート線G1〜G7のゲート信号の、表示用データを書き込むゲートパルスと黒色の挿入用データを書き込むゲートパルスのタイミングを変化させることにより、映像表示期間T1と黒色挿入期間T2との比率を調整して挿入する黒色データの比率を調整していた。
図11に示すように、1フィールド期間の全期間にわたって、各ゲート線G1〜G7上の各画素セルに順に表示用データが書き込まれていくため、バックライト111は、1フィールドの全期間にわたって、点灯と消灯とを交互に繰り返して液晶表示パネル110を照明する。バックライト111は、PWM(Pulse Wave Modulation)制御を用いて点灯と消灯との比率が調整されることにより、バックライト111が液晶表示パネル110を照明する際の明るさが制御される。
したがって、この従来の方法では、逆転移防止用に書き込んだ黒色データに対しても、バックライト111で照明させて表示用データと共に表示させていた。
最近では、さらに応答速度の速いOCBモードの液晶表示素子が開発され、また短残光型の冷陰極管も開発されてきたので、動画視認性を向上させるために、液晶表示素子が表示用データに応答している期間のみにバックライトに照明させる方式で表示させることも可能になってきた。
図12は、この、液晶表示素子が表示用データに応答している期間のみにバックライトに照明させる方式を実現する液晶表示装置の構成を示している。図10に示す液晶表示装置と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
図12の液晶表示装置は、構成としては、図10に示す液晶表示装置の構成からラインメモリ122が削除され、フレームメモリ115が追加されている点が異なる。また、コントローラ114のタイミング制御部133の制御方法、およびタイミング制御部133がバックライト130のON/OFF制御を行う点が、図10の液晶表示装置とは異なる。
図13は、図12に示す液晶表示装置で、液晶表示素子が表示用データに応答している期間のみにバックライトに照明させる方式を実現する際の動作を説明するタイミングチャートを示している。
各液晶表示素子への書き込みについて、1フィールド(または1フレーム)の期間を、黒書き込み期間、映像書き込み期間および映像HOLD期間に分け、黒書き込み期間内に逆転移防止用の黒色データの書き込みを行い、映像書き込み期間内に表示用データの書き込みを行う。
図13のG1〜G7は、ゲートドライバ113から各ゲート線に出力されるゲート信号を示している。各ゲート信号の右側に示す符号は、各ゲート信号がハイになるタイミングに画像セルに書き込まれる表示用データまたは黒色の挿入用データ(B)の種別を示している。また、図13の画素書き込みの各期間に示す符号(+、−)は、液晶表示素子にデータを書き込む際に供給する電圧の極性を示している。この場合、1フィールド毎に、液晶表示素子への書き込み電圧の極性を反転させている。
まず、黒書き込み期間内に、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていき、逆転移防止用の黒色データを書き込んでいく。その後、映像書き込み期間内に、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていき、フレームメモリ115に蓄積しておいた1つ前のフィールドの表示用データを書き込んでいく。
そして、映像HOLD期間には各ゲート信号G1〜G7をOFFさせておき、全液晶表示素子が応答した時点以降で、次の黒色データが書き込まれる前までの期間内にバックライト130が点灯するように、タイミング制御部133がバックライト130のON/OFFを制御する。図13の場合には、1フィールド期間の最後の25%の期間、バックライト130が点灯するように制御される。
図11の場合には、1H期間毎の、前側の期間に黒色データを書き込むためのゲートパルスを、後ろ側の期間に表示用データを書き込むためのゲートパルスを、それぞれ発生させていた。1フィールド期間全体にわたって、1フィールド分の表示用データおよび黒色データを1H期間分ずつ書き込んでいたので、1フィールド分の表示用データおよび黒色データの書き込みには、それぞれ1フィールド期間の50%ずつの期間を使用していたことになる。
これに対して、図13の場合には、1フィールド分の黒色データを書き込む黒書き込み期間を1フィールド期間の25%とし、1フィールド分の表示用データを書き込む映像書き込み期間を1フィールド期間の20%としており、それぞれ図11の場合よりも短い期間となっている。
映像書き込み期間には、この期間内に各ゲート信号G1〜G7のオン/オフを順次に行っていくため、ゲートパルスの幅は、従来の液晶表示素子を用いた図11の場合よりも短くなっている(図11の40%のパルス幅となっている)。応答速度の速いOCBモードの液晶表示素子を用いることにより、このように従来よりも短いゲートパルスの幅で表示用データの書き込みを行える。
一方、黒色データを書き込む際には、表示用データを書き込む際に供給する電圧よりも大きな電圧を供給する。また、極性を反転させて大きな電圧を供給する場合には、極性を反転させない場合や、極性を反転させても低い電圧を供給する場合よりも、液晶表示素子へ書き込み難くなる。したがって、図13に示すような、1フィールド毎に液晶表示素子への書き込み電圧の極性を反転させる場合には、逆転移防止用の黒色データが書き込み難い状態となる。
図13に示すように、映像書き込み期間と同様に、黒書き込み期間内に各ゲート信号G1〜G7のオン/オフを順次に行っていくようにした場合には、ゲートパルスの幅は図11に示すゲートパルスの幅よりも短くなってしまう(図11の50%のパルス幅となって
しまう)。したがって、逆転移防止用の黒色データを液晶表示素子に書き込む際に、書き込み不足になり易くなる。逆転移防止用の黒色データが書き込み不足になると、逆転移が発生してしまう。
そこで、本願の出願人は、この逆転移防止用の黒色データの書き込み不足を防止するための、液晶表示装置の駆動方法の発明(特願2005−358175号)を出願した。図14は、その液晶表示装置の駆動方法を用いた場合の、液晶表示素子が表示用データに応答している期間のみにバックライトに照明させる方式を実現する際の動作を説明するタイミングチャートを示している。
図14では、各ゲート信号G1〜G7を順次にオンにしていくが、逆転移防止用の黒色データを液晶表示素子に確実に書き込ませるために、それぞれのゲートパルスの幅が大きくなるように制御している。図14に示す例では、このときの各ゲートパルスの幅を、各ゲート信号G1〜G7のオン/オフを順次に行わせた図13に示す場合のパルス幅の3倍の長さとしている。
応答速度の速いOCBモードの液晶表示素子および短残光型の冷陰極管等の応答速度の速いバックライトを用いることにより、このように、表示用データに対して液晶表示素子が応答している期間内のみにバックライト130を点灯させる方式を実現できる。
このように制御することにより、OCBモードの液晶表示素子を用いて、動画視認性が非常によいインパルス型の映像表示を実現できる。また、液晶表示素子が黒書き込み期間に書き込まれた黒色データに応答している期間にはバックライト130は消灯しているので、コントラストにも優れ、消費電力も低減できる。
特開2003−280617号公報
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態1の液晶表示装置は、液晶表示パネル10、バックライト11、ソースドライバ12、ゲートドライバ13、コントローラ14、フレームメモリ15、入力電源16、および液晶駆動電圧発生回路17を備えている。
液晶表示パネル10は、信号線と走査線がマトリックス状に配置され、それらの交点にOCBモードの液晶表示素子が設けられている液晶表示パネルである。
バックライト11は、液晶表示パネル10の背面に配置されており、複数の短残光型の冷陰極管で液晶表示パネル10を照明する。
フレームメモリ15は、入力される映像信号のデータの1つ前のフィールドのデータを一時蓄積しておく記憶手段である。
入力電源16は、バックライト11、コントローラ14および液晶駆動電圧発生回路17に電力を供給し、液晶駆動電圧発生回路17は、表示用データを液晶表示パネル10に表示させるタイミングに応じて、ソースドライバ12およびゲートドライバ13に供給する電圧を調整する。
ゲートドライバ13は、液晶表示パネル10の走査線にゲート信号を供給し、ソースドライバ12は、液晶表示パネル10の信号線に表示用信号に対応する電圧を供給する。
コントローラ14は、信号処理部21およびタイミング制御部22を備えており、ソースドライバ12は、D/A変換部23およびシフトレジスタ24を備えている。タイミング制御部22は、バックライト11のON/OFF制御を行うとともに、ゲートドライバ13が供給するゲート信号の出力タイミングを制御する。
次に、図1を用いて、本実施の形態1の液晶表示装置における表示動作について説明する。
RGBデータである映像信号は、フレームメモリ15に一時的に蓄積されていく。
コントローラ14の信号処理部21は、フレームメモリ15に蓄積されている一つ前のフィールドデータを読み込み、その映像信号に対して階調補正やガンマ補正処理を行なう。そして、信号処理部21は、タイミング制御部22からのスタートパルスにしたがって、その補正処理を行なった表示用のデータを1行画素分ずつソースドライバ12のシフトレジスタ24に転送していく。
また、信号処理部21は、タイミング制御部22からのスタートパルスにしたがって、
逆転移防止のための黒色のデータも1行画素分ずつシフトレジスタ24へ転送していく。
そして、コントローラ14のタイミング制御部22は、ソースドライバ12のD/A変換部23に対してロードパルスを出力する。D/A変換部23は、ロードパルスが入力されたタイミングに、シフトレジスタ24に格納されたデータを1行画素分同時に取得し、D/A変換して各表示用データに対応した電圧を液晶表示パネル10の信号線に出力する。
また、このとき、タイミング制御部22は、ゲートドライバ13から各走査線に出力するゲート信号の出力タイミングを制御するとともに、液晶表示パネル10の各液晶表示素子が表示用データに応答するタイミングにバックライト11を点灯させて、表示用データを液晶表示パネル10に表示させる。
次に、図1および図2を用いて、本実施の形態1の液晶表示装置における、各液晶表示素子への書き込み動作の詳細について説明する。
図2は、本実施の形態1の液晶表示装置で表示する際の動作を説明するタイミングチャートを示している。
各液晶表示素子への書き込みについて、1フィールド(または1フレーム)の期間を、黒書き込み期間、映像書き込み期間および映像HOLD期間に分け、黒書き込み期間内に逆転移防止用の黒色データの書き込みを行い、映像書き込み期間内に表示用データの書き込みを行う。
なお、映像書き込み期間が、本発明の表示データ書き込み期間の一例にあたり、映像HOLD期間が、本発明の表示データHOLD期間の一例にあたる。
図2のG1〜G7は、ゲートドライバ13から各ゲート線に出力されるゲート信号を示している。各ゲート信号のパルス部分に示す符号は、各ゲート信号がハイになるタイミングに画像セルに書き込まれる表示用データまたは黒色の挿入用データ(B)の種別を示している。また、図2の画素書き込みの各期間に示す符号(+、−)は、液晶表示素子にデータを書き込む際に供給する電圧の極性を示している。この場合、1フィールド毎に、液晶表示素子への書き込み電圧の極性を反転させている。
まず、黒書き込み期間内に、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていき、逆転移防止のための黒色データを書き込んでいく。ここで、黒書き込み期間に黒色データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅は、液晶表示素子を確実に黒電位まで充電できる長さとなるように、タイミング制御部22によって制御される。
その後、映像書き込み期間内に、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていき、フレームメモリ15に蓄積しておいた1つ前のフィールドの表示用データを書き込んでいく。ここで、映像書き込み期間に表示用データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅は、黒書き込み期間に液晶表示素子に充電された黒電位からその表示用データに必要な電位まで到達する長さとなるように、タイミング制御部22によって制御される。
ここでは、この映像書き込み期間に発生させるゲートパルスの幅を、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な期間の2倍の長さに設定している。ここでは、映像書き込み期間の長さを、各ゲート信号G1〜G7のオン/オフを1ライン分順次に行う場合の合計時間(図14に示す映像書き込み期間)と同じにしているので、図2に示すように、2つのゲート信号が同時にオンになるタイミングが生じる。図2の例では、ゲートパルスの前半部分では1ライン前の表示用データを書き込み、後半部分で当該ラインの表示用データを書き込むようにしている。
なお、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な期間が、本発明の1ライン書き込み期間のことである。
そして、映像HOLD期間にはゲートをOFFさせておき、全液晶表示素子が応答した時点以降で、次の黒色データが書き込まれる前までの期間内にバックライト11が点灯するように、タイミング制御部22がバックライト11のON/OFFを制御する。図2に示す本実施の形態1の場合には、1フィールド期間の最後の25%の期間、バックライト11が点灯するように制御される。
このように制御することにより、OCBモードの液晶表示素子を用いて、動画視認性が非常によいインパルス型の映像表示を実現できる。また、液晶表示素子が黒書き込み期間に書き込まれた黒色データに応答している期間にはバックライト11は消灯しているので、コントラストにも優れ、消費電力も低減できる。
本実施の形態1の液晶表示装置では、逆転移防止のための黒色データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅を大きくするとともに、表示用データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅も大きくし、表示用データを書き込む際の各液晶表示素子に電圧が供給される期間を長くしているので、高輝度の表示用データに対しても液晶表示素子への書き込み不足が発生しない。
次に、本実施の形態1の液晶表示装置で、表示用データに対する液晶表示素子への書き込み不足を抑制できる原理について説明する。
図3は、本実施の形態1の液晶表示装置において、表示用データに対する液晶表示素子への書き込み不足を抑制できる動作を説明するタイミングチャートを示している。高輝度の白表示を行う場合の、液晶表示素子に充電される電圧の状態を示している。
破線で示す部分が、図14に示した液晶表示装置の表示方法におけるゲートパルスおよび液晶表示素子に充電される電圧の状態を示しており、実線で示す部分が、本実施の形態1の液晶表示装置におけるゲートパルスおよび液晶表示素子に充電される電圧の状態を示している。
図3に示す「黒挿入用データの所定電圧」とは、逆転移防止のために挿入する黒色データに対して液晶表示素子に書き込まれるべき電圧を示している。黒色データに対して、液晶表示素子がこの所定電圧値まで充電されれば逆転移を防止できる。従来の液晶表示装置の場合も本実施の形態1の液晶表示装置の場合も、黒書き込み期間におけるゲートパルスの幅を大きくしているので、いずれの場合にも、液晶表示素子は「黒挿入用データの所定電圧」まで充電されている。
また、図3に示す「白データの所定電圧」とは、白の表示用データに対して液晶表示素子に書き込まれるべき電圧を示している。映像書き込み期間のゲートパルスが発生している期間内に、液晶表示素子がこの「白データの所定電圧」値まで充電されれば、正常な輝度で白表示がなされる。
黒書き込み期間に液晶表示素子に充電された黒電位と「白データの所定電圧」との電位差は、黒色などの低輝度の表示用データの電位との電位差に比べて大きいため、白色などの高輝度の表示用データほど、その表示用データに必要な電位になるまでの充電時間が長くなる。
従来の液晶表示装置の表示方法では、図3の破線で示すように、映像書き込み期間のゲートパルスが発生している期間内に「白データの所定電圧」まで充電されず、その電位のままバックライトにより照明され表示されるので、低い輝度で表示されてしまう。
これに対して、本実施の形態1の液晶表示装置の場合には、図3の実線で示すように、映像書き込み期間のゲートパルス幅を大きくして液晶表示素子に充電される時間を長くしているので、従来の液晶表示装置の場合よりも、より「白データの所定電圧」に近い電圧まで充電できる。これにより、従来の液晶表示装置の場合よりも、輝度が改善された表示ができる。
なお、本実施の形態1では、映像書き込み期間において発生させるゲートパルスは、各ライン毎に1回ずつなので、この1回のゲートパルスの幅が、本発明の、各ゲート信号をONにする期間の積算期間の一例にあたる。
なお、本実施の形態1では、映像書き込み期間のゲートパルス幅を、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な時間の2倍に設定したが、このゲートパルス幅をさらに大きくすることにより、さらに「白データの所定電圧」に近い電圧まで充電させることができ、表示輝度をより改善できる。
図2に示すように、本実施の形態1の液晶表示装置では、映像書き込み期間において、ゲートパルスの幅を大きくしたことにより、複数の走査線に対して同時にゲート信号がONとなる期間が生じるが、ゲート信号がオンになっている期間の最後に当該ラインの表示用データを書き込むようにすることにより、他のラインの表示用データの影響を抑制できる。ただし、ゲートパルスの幅を大きくしすぎると、多くの他のラインの表示用データの影響を受けるので、その液晶表示装置の用途などを考慮してゲートパルスの幅を決定すればよい。
なお、本実施の形態1の図2に示した例では、映像書き込み期間に発生させるゲート信号G1のゲートパルスの前半部分には、そのゲートパルスの後半部分に書き込むデータと同じ当該ラインのデータ(S1)を書き込ませることとしたが、このゲートパルスの前半部分に、予め決めておいた中間調のデータを書き込ませるようにしてもよい。このようにした場合でも、中間調のデータを書き込むことにより、黒電位よりも当該ラインのデータ(S1)に対応する電位に近い中間調データの電位まで予め画素を充電することができ、同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2の液晶表示装置の表示動作について説明する。
本実施の形態2の液晶表示装置は、実施の形態1の液晶表示装置と同じ構成であり、図1に示す通りである。信号処理部21からシフトレジスタ24への表示用データの転送処理内容、およびタイミング制御部22のゲートドライバ13とD/A変換部23に対する制御内容が、実施の形態1の液晶表示装置と異なる。
実施の形態1の図2においては、映像書き込み期間に発生させる各ゲートパルスの幅を長くすることにより、1フィールド期間内の映像書き込み期間における各ゲート信号G1〜G7の各積算期間が、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な時間よりも長くなるようにした。
これ以外の方法でも、1フィールド期間内の映像書き込み期間における各ゲート信号G1〜G7の各積算期間が、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な時間よりも長くなるようにすれば、同様の効果が得られる。本実施の形態2の液晶表示装置は、1フィールド期間において、各走査線毎に、ゲートパルスを複数回発生させて表示用データを複数回書き込ませることにより、1フィールド期間内の映像書き込み期間における各ゲート信号G1〜G7の各積算期間を、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な時間よりも長くしている。
図4は、本実施の形態2の液晶表示装置で表示する際の動作を説明するタイミングチャートの一例を示している。
図1および図4を用いて、本実施の形態2の液晶表示装置における、各液晶表示素子への書き込み動作の、実施の形態1と異なる部分について説明する。
本実施の形態2では、各液晶表示素子への書き込みについて、1フィールド(または1フレーム)の期間を、黒書き込み期間、映像書き込み1期間、映像書き込み2期間および映像HOLD期間に分け、黒書き込み期間内に逆転移防止用の黒色データの書き込みを行い、映像書き込み1期間および映像書き込み2期間のそれぞれの期間内に表示用データの書き込みを行う。
なお、映像書き込み1期間および映像書き込み2期間が、本発明の表示データ書き込み期間の一例にあたる。また、映像HOLD期間が、本発明の表示データHOLD期間の一例にあたる。
まず、黒書き込み期間内に、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていき、逆転移防止のための黒色データを書き込んでいく。ここで、黒書き込み期間に黒色データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅は、液晶表示素子を確実に黒電位まで充電できる長さとなるように、タイミング制御部22によって制御される。
その後、映像書き込み1期間内に、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていき、フレームメモリ15に蓄積しておいた1つ前のフィールドの表示用データを書き込んでいく。ここで、映像書き込み1期間に表示用データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅は、従来の液晶表示装置と同様の、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な時間としている。
そして、この映像書き込み1期間に、信号処理部21は、1つ前のフィールドの補正処理を行なった表示用データを、再度、タイミング制御部22からのスタートパルスにしたがって1行画素分ずつシフトレジスタ24に転送していく。
そして、映像書き込み2期間に、タイミング制御部22は、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていくとともに、D/A変換部23に対してロードパルスを出力し、シフトレジスタ24に格納された1行画素分の表示用データをD/A変換させて各表示用データに対応した電圧を液晶表示パネル10の信号線に出力させ、映像書き込み1期間に書き込ませたのと同じ、1つ前のフィールドの表示用データを書き込ませていく。ここで、映像書き込み2期間に表示用データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅は、従来の液晶表示装置と同様の、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な時間としている。
このようにして、各ラインについて、2回ずつ同じ表示用データを書き込んでいく。同じ表示用データを2回書き込むことにより、高輝度の表示用データに対しても液晶表示素子への書き込み不足を発生させないようにしている。
次に、本実施の形態2の液晶表示装置で、表示用データに対する液晶表示素子への書き込み不足を抑制できる原理について説明する。
図5は、本実施の形態2の液晶表示装置において、表示用データに対する液晶表示素子への書き込み不足を抑制できる動作を説明するタイミングチャートを示している。高輝度の白表示を行う場合の、液晶表示素子に充電される電圧の状態を示している。
破線で示す部分が、図14に示した液晶表示装置の表示方法におけるゲートパルスおよび液晶表示素子に充電される電圧の状態を示しており、実線で示す部分が、本実施の形態2の液晶表示装置におけるゲートパルスおよび液晶表示素子に充電される電圧の状態を示している。
従来の液晶表示装置の場合も本実施の形態2の液晶表示装置の場合も、黒書き込み期間におけるゲートパルスの幅を大きくしているので、いずれの場合にも、液晶表示素子は「黒挿入用データの所定電圧」まで充電されている。
従来の液晶表示装置の表示方法では、図5の破線で示すように、映像書き込み1期間のゲートパルスが発生している期間内のみに画素への充電が行われ、その期間内だけでは「白データの所定電圧」まで充電されず、その電位のままバックライトにより照明され表示されるので、低い輝度で表示されてしまう。
これに対して、本実施の形態2の液晶表示装置の場合には、図5の実線で示すように、映像書き込み1期間のゲートパルス期間における充電により、画素の電位を「白データの所定電圧」値に近づけた後、映像書き込み2期間のゲートパルス期間における充電により、さらに「白データの所定電圧」に近い電圧まで充電できる。これにより、従来の液晶表示装置の場合よりも、輝度が改善された表示ができる。
なお、本実施の形態2では、1フィールド期間内において、同じ表示用データを2回ずつ書き込むこととしたが、同じ表示用データを3回以上書き込ませるようにしてもよい。
また、バックライト11を点灯させる映像HOLD期間にも、同じ表示用データを書き込ませるようにしてもよい。
図6は、本実施の形態2の液晶表示装置において、バックライトを点灯させる期間も含めて、各ライン毎に同じ表示用データを3回書き込ませた場合の動作を説明するタイミングチャートを示している。
図4で説明したのと同様の処理により、映像書き込み3期間にも、映像書き込み1期間および映像書き込み2期間に書き込んだものと同じ表示用データを書き込ませる。
映像書き込み3期間に発生させるゲートパルス期間における充電により、画素の電位をさらに「白データの所定電圧」に近い電圧まで充電できる。これにより、図4の場合よりも、さらに輝度が改善された表示ができる。
ここで、映像書き込み3期間内には、バックライト11が点灯が点灯するが、バックライト11が点灯される前の映像書き込み2期間に書き込まれた表示用データと同じ表示用データが書き込まれるので、このようにバックライト11点灯中にさらに書き込みを行っても問題ない。
なお、図6に示す例では、表示用データを繰り返し書き込む回数を3回としたが、1フィールド期間に対して全ラインの表示用データを順次に書き込む期間(映像書込み1期間や映像書き込み2期間の長さ)をさらに短くできる場合には、表示用データを繰り返し書き込む回数をさらに多くしてもよい。
また、最後に書き込む表示用データに対して充電不足にならないようにできれば、繰り返し書き込むデータを必ずしも同じ表示用データとしなくてもよい。例えば、図4の場合に、予め決められた中間輝度のデータを映像書き込み1期間に書き込むようにし、その中間輝度のデータの書き込みによって、映像書き込み2期間の表示用データの書き込み開始時点に画素に充電されている電位が、映像書き込み2期間の表示用データの書き込みに対して充電不足とならないような電位になるように予め充電されるようにすればよい。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3の液晶表示装置の表示動作について説明する。
本実施の形態3の液晶表示装置は、実施の形態1および実施の形態2の液晶表示装置と同じ構成であり、図1に示す通りである。タイミング制御部22のゲートドライバ13およびD/A変換部23に対する制御内容が、実施の形態2の液晶表示装置と異なる。
本実施の形態3の液晶表示装置は、1フィールド期間において、各走査線毎に、ゲートパルスを複数回発生させて表示用データを複数回書き込ませるとともに、映像書き込み期間に発生させる各ゲートパルスの幅も長くして、1フィールド期間内の映像書き込み期間における各ゲート信号G1〜G7の各積算期間を、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な時間よりも長くしている。
図7は、本実施の形態3の液晶表示装置で表示する際の動作を説明するタイミングチャートの一例を示している。
図1および図7を用いて、本実施の形態3の液晶表示装置における、各液晶表示素子への書き込み動作の、実施の形態2と異なる部分について説明する。
本実施の形態3では、各液晶表示素子への書き込みについて、1フィールド(または1フレーム)の期間を、黒書き込み期間、映像書き込み1期間、映像書き込み2期間および映像HOLD期間に分け、黒書き込み期間内に逆転移防止用の黒色データの書き込みを行い、映像書き込み1期間および映像書き込み2期間のそれぞれの期間内に表示用データの書き込みを行う。この点については、実施の形態2の液晶表示装置と同様である。
まず、黒書き込み期間内に、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていき、逆転移防止のための黒色データを書き込んでいく。ここで、黒書き込み期間に黒色データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅は、液晶表示素子を確実に黒電位まで充電できる長さとなるように、タイミング制御部22によって制御される。
その後、映像書き込み1期間内に、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていき、フレームメモリ15に蓄積しておいた1つ前のフィールドの表示用データを書き込んでいく。ここで、映像書き込み1期間に表示用データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅を、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な時間よりも長くしている。ここでは、この映像書き込み1期間に発生させるゲートパルスの幅を、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な期間の2倍に設定している。この映像書き込み1期間に発生させるゲートパルスの幅を長くしている点のみが、実施の形態2と異なる。
そして、映像書き込み2期間に、タイミング制御部22は、各走査線に順次ゲートパルスを発生させていくとともに、D/A変換部23に対してロードパルスを出力し、シフトレジスタ24に格納された1行画素分の表示用データをD/A変換させて各表示用データに対応した電圧を液晶表示パネル10の信号線に出力させ、映像書き込み1期間に書き込ませたのと同じ、1つ前のフィールドの表示用データを書き込ませていく。ここで、映像書き込み2期間に表示用データを書き込む際に発生させるゲートパルスの幅は、従来の液晶表示装置と同様の、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な時間としている。
このようにして、各ラインについて、2回ずつ同じ表示用データを書き込んでいくが、映像書き込み1期間に書き込む際に発生させるゲートパルスの幅を、1ライン分の表示用データを書き込むのに必要な期間よりも長くしている。
次に、本実施の形態3の液晶表示装置で、表示用データに対する液晶表示素子への書き込み不足を抑制できる原理について説明する。
図8は、本実施の形態3の液晶表示装置において、表示用データに対する液晶表示素子への書き込み不足を抑制できる動作を説明するタイミングチャートを示している。高輝度の白表示を行う場合の、液晶表示素子に充電される電圧の状態を示している。
破線で示す部分が、図14に示した液晶表示装置の表示方法におけるゲートパルスおよび液晶表示素子に充電される電圧の状態を示しており、実線で示す部分が、本実施の形態3の液晶表示装置におけるゲートパルスおよび液晶表示素子に充電される電圧の状態を示している。
従来の液晶表示装置の場合も本実施の形態3の液晶表示装置の場合も、黒書き込み期間におけるゲートパルスの幅を大きくしているので、いずれの場合にも、液晶表示素子は「黒挿入用データの所定電圧」まで充電されている。
従来の液晶表示装置の表示方法では、図8の破線で示すように、映像書き込み1期間のゲートパルスが発生している期間内のみに画素への充電が行われ、その期間内だけでは「白データの所定電圧」まで充電されず、その電位のままバックライトにより照明され表示されるので、低い輝度で表示されてしまう。
これに対して、本実施の形態3の液晶表示装置の場合には、図8の実線で示すように、映像書き込み1期間のゲートパルス期間における充電により、画素の電位を「白データの所定電圧」値に近づけた後、映像書き込み2期間のゲートパルス期間における充電により、さらに「白データの所定電圧」に近い電圧まで充電できる。
ここで、映像書き込み1期間に発生させるゲートパルスの幅を長くしているので、このゲートパルスが発生している期間内に、実施の形態2の液晶表示装置の場合よりも、より「白データの所定電圧」に近い電圧にまで画素を充電することができる。したがって、実施の形態2の液晶表示装置の場合よりも、さらに「白データの所定電圧」に近い電圧まで充電させた状態にしてバックライト11を点灯させるので、輝度の低下がより抑制された表示ができる。
本実施の形態3の場合も、実施の形態1と同様に、映像書き込み1期間のゲートパルスの幅をより長くしてもよいし、映像書き込み2期間のゲートパルス幅も長くしてもよい。また、実施の形態2と同様に、表示用データを繰り返し書き込む回数を3回以上としてもよいし、バックライトを点灯させる期間も含めて表示用データを書き込ませるようにしてもよい。また、最後に書き込んだ表示用データに対して充電不足とならなければ、繰り返し書き込むデータを必ずしも同じ表示用データとしなくてもよい。
以上に説明したように、本発明の液晶表示装置の駆動方法は、各ラインの各ゲート信号がONにされている積算期間を長くすることにより、表示用データが充電される期間を長くし、表示用データに必要な電圧値により近い電圧値まで充電させるので、低温時においても、輝度が低下しない表示ができる液晶表示装置を実現できる。
1フィールドまたは1フレーム期間における、各ラインの各ゲート信号のONにされている積算期間が長いほど、表示用データに必要な電圧まで、より確実に充電させることができる。ただし、表示用データを繰り返し書き込む回数が多くなるほど消費電力は大きくなるので、液晶表示装置の用途や使用環境などを考慮して、表示用データ書き込み時のゲートパルス幅および表示用データの繰り返し書き込み回数を決定して、その液晶表示装置に適した駆動方法を用いればよい。
なお、各実施の形態では、フレームメモリが一時蓄積するデータは、一つ前のフィールドのデータとしたが、フレーム単位で表示させる液晶表示装置の場合には、1つ前のフレームのデータを蓄積する。また、1つ前のフィールドまたはフレームデータに限らず、さ
らに複数個前のデータから直前のデータまでを蓄積できるようにし、複数個前のフィールドデータまたはフレームデータを順次表示させていくようにしてもよい。
また、各実施の形態では、バックライトとして短残光型の冷陰極管を用いることとしたが、これ以外にも立ち上がりの早いバックライトであれば本発明に適用でき、例えばLEDバックライトなどを用いてもよい。