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JP2008096298A - 高炉装入物プロフィルの測定方法及び測定装置 - Google Patents

高炉装入物プロフィルの測定方法及び測定装置 Download PDF

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JP2008096298A JP2006278843A JP2006278843A JP2008096298A JP 2008096298 A JP2008096298 A JP 2008096298A JP 2006278843 A JP2006278843 A JP 2006278843A JP 2006278843 A JP2006278843 A JP 2006278843A JP 2008096298 A JP2008096298 A JP 2008096298A
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Abstract

【課題】高炉炉頂に配した一対の赤外線カメラによる装入物層上面の温度パターン情報から、高炉の三次元的な装入物プロフィルを測定する手段を提供する。
【解決手段】高炉内装入物全面からの赤外光を受光する赤外線カメラを用いた二次元温度パターン検出器を一対高炉に配設して、異なる方向からの同一時刻の装入物上面の温度パターン情報を取得し、この両検知器の二次元温度パターンにおいて、等温線上の特徴部分を定め、該特徴部分上の任意の点Pを選び、前記両検知器の画像における前記点Pの位置の対比から、点Pの三次元的位置を算定し、複数の前記特徴部分の位置情報から、炉内の装入物層上面の形状を作図する高炉装入物プロフィルの測定方法及び測定装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、高炉シャフト内の装入物層上面の形状(以下、装入物プロフィルという)を、炉頂部に配置した赤外線カメラの情報により測定する方法及び装置に関する。
高炉の装入物プロフィルメータは、原料装入の制御や炉内ガス流れの制御を行うために使用されており、高炉の操業管理や設備保全にとって欠くことのできない手段になっている。
高炉の装入物プロフィルメータには、大別して、接触式(機械式)と非接触式がある。従来から、より良い装入物プロフィルメータを開発するため、種々の努力が積み重ねられてきた。例えば非接触式では、レーザレーダーや音波レーダーによる測定も試みられたが、炉内は高温で粉塵が多いために信号の質が悪く、また過酷な環境に長期間耐えうるような装置の開発が困難で、いずれも実用化されていない。
現在では、マイクロ波方式(例えば下記特許文献1)が主流で、一部には接触式(サウンジングロッド方式等の機械式)も用いられている。
マイクロ波方式は、大型のマイクロ波プローブを炉内上部空間に挿入し、特定ライン上で照射マイクロ波を走査して装入物プロフィルを測定するものである。この方式は、高濃度の粉塵でもマイクロ波の減衰が小さいという利点があるものの、装置が大型かつ高価であり、測定の操作が複雑で、一日に数回程度しか使用できないという状況である。
一方、機械式は多点測定を行うためには、測定時間が長くなる上に、炉内粉塵等の影響で機械系に故障を生じやすく、保守管理面で問題が残されている。
上述のような従来技術の問題点に鑑みて、装入物プロフィルメータは非接触式の測定方法であって、炉内の高濃度粉塵の影響を受け難く、装置が小型かつ安価であって、測定時間が短くかつその手間が掛からないため、ほぼ連続的に装入物プロフィルの情報を得られるものであることが好ましい。
そこで、本発明者らは、暗視(赤外線)カメラにより装入物表面から発生する赤外線の強度あるいは表面温度を計測し、これにより装入物プロフィルに関する情報を得ることに着眼した。
この赤外線カメラ方式の課題は、まず第一に、装入物表面を二次元的に観測するカメラの情報から、如何にして三次元的な装入物プロフィルの情報を得るかということと、第二に極めて粉塵やミスト濃度の高い炉内ガス雰囲気から、カメラのレンズを如何に保護するかということである。
前者に関しては、一対の赤外線カメラ方式により、異なる方向からの装入物表面の赤外線強度(温度)情報を取得して、三角測量の原理を拡張した解析方法により、実現可能なことを見出して、本発明を完成させるに至った。
後者に関しては、例えば下記特許文献2に、「暗所撮影用テレビカメラ装置」が開示されている。これは、炉壁に設けられた照明用小孔と撮影用小孔を通して炉内の照明と撮影を行うもので、照明用又は撮影用レンズの焦点位置に小さな孔を持つ隔壁を置き、レンズ側から少量の気体をこの孔を通して噴出させて光路を確保するか、又は小さな孔をガラスで覆い、その光路に当たる微小面積をレンズの反対側からパージして、レンジ面又はガラス面の汚れを防ぐ装置である。
この方法は、孔の径が大きいと必要なパージガス量が過大になり、孔の径が小さいと広角に炉内全体を観察することが難しくなるという問題がある。
そこで本発明の第一の課題は、一対の赤外線カメラによる装入物層上面の温度パターンの情報から、高炉の三次元的な装入物プロフィルを測定することを可能にし、これにより高炉内の高濃度粉塵の影響を受け難く、装置が小型かつ安価であって、測定時間が短くかつその手間がかららないため、ほぼ連続的に装入物プロフィルの情報を得ることのできる装入物プロフィルメータを提供することにある。
また、本発明の第二の課題は、パージガスを用いて、上記カメラのレンズの汚れを防止するに際して、パージガス量を大きくすることなく、炉内を広角に観測しうる手段を提供することにある。
実公平1−12216号公報 特開平5−88094号公報
上記課題を解決するための本発明の高炉装入物プロフィルの測定方法は、
高炉の炉肩に配置されて炉内装入物上面のほぼ全体からの赤外光を受光し、その強度を検出する二次元受光センサを備えた一対の赤外線カメラと、該カメラそれぞれの出力から二次元温度パターンを作成する温度パターン検知器を一対高炉に配設して、異なる方向から同一時刻に観測された炉内装入物上面の温度パターンの情報を取得し、
この両検知器の二次元温度パターンにおいて、共通の特徴を有する特徴曲線を定め、該特徴曲線上の任意の点Pを選び、前記両検知器の画像における前記点Pの位置の対比から、点Pの三次元的位置を算定し、
複数の前記特徴曲線の位置情報から、炉内の装入物層上面の形状を作図することを特徴とする高炉装入物プロフィルの測定方法である。
上記の測定方法は、一方の前記検知器(以下第一検知器という)の二次元温度パターンから等温線像の特徴部分C1を定め、該等温線像C1上の任意の点Pを選び、第一検知器の光学的基準点(対物レンズの主点)Oから前記の点Pの方向に伸びる直線Lを仮想し、他方の前記検知器(以下第二検知器という)で得られる前記C1に対応する特徴部分C2の像に、前記仮想直線Lの像を重ね、前記仮想直線Lの長さを変えて、第二検知器上で前記Lが前記特徴部分像C2と交わった時の仮想直線Lによって(前記LがC2に接した時の前記Lの長さによって)、前記第一検知器と装入面上の対応点Pの位置関係を与えることにより、点Pの三次元的位置を算定するものであってもよい。
本発明の高炉装入物プロフィルの測定装置は、
高炉の炉肩に配置されて炉内装入物上面のほぼ全体からの赤外光を受光し、その強度を検出する二次元受光センサを備えた一対の赤外線カメラと、該カメラそれぞれの出力から二次元温度パターンを作成する一対の温度パターン検知器と
前記第一検知器の二次元温度パターンから等温線像の特徴部分C1を定め、該等温線像C1上の任意の点Pを選び、第一検知器の光学的基準点Oから前記の点Pの方向に伸びる直線Lを仮想し、他方の前記検知器(以下第二検知器という)で得られる前記C1に対応する特徴部分C2の像に、前記仮想直線Lの像を重ね、前記仮想直線Lの長さを変えて、第二検知器上で前記Lが前記特徴部分像C2と交わった時の仮想直線Lによって(前記LがC2に接した時の前記Lの長さによって)、装入面上の対応点Pの位置を求める位置算定手段と、
複数の前記特徴部分の位置情報から、炉内の装入物層上面の形状を作図する作図手段とを備えたことを特徴とするものである。
上記の測定装置は、前記赤外線カメラの取付け位置において、高炉の鉄皮及びその下部耐火物に連通する貫通孔が設けられ、鉄皮の該貫通孔の外側にこれに近接してボールバルブが配設され、
該ボールバルブのボール内貫通部の炉内側端部付近に、その中央に小径の覗き孔を有する隔壁が設けられ、
かつ前記ボール内貫通部の内部に前記隔壁背面に近接して、その光軸が前記覗き孔の中心を通るように前記カメラの対物レンズ系が配置され、該対物レンズ系からの赤外光が、必要に応じて光学系を介して前記二次元受光センサに入射するように構成されるとともに、
前記覗き孔を通して、その背面から炉内側にパージガスを流通させうるように構成されていることが好ましい。
このように構成することにより、ボールバルブの貫通部に設けられた隔壁の背面直近に対物レンズ系を配置することが可能になり、隔壁の覗き穴の径を小さくしても、高炉内を広角に観測しうるようになる。隔壁の覗き穴の径を小さくし得ることから、これを通るパージガスの流量を減ずることができる。また、緊急の場合には、ボールバルブのボールを回転させれば、赤外線カメラの光学系を炉内雰囲気から完全に遮断することができ、レンズ等の保護が容易になる。
また、この測定装置においては、前記ボールバルブ弁座の炉内側開口部の外側に、該開口部を覆うようにカバーが設けられ、該カバーにその中心を前記対物レンズ系の光軸が通る小径の第二の覗き孔が設けられ、該第二の覗き孔の背面からも炉内側にパージガスを流通させうるように構成されていることがさらに好ましい。
このように構成することにより、粉塵やミストを多量に含む炉内雰囲気ガスによる対物レンズ系の汚染をより完全に防止することが可能になる。
本発明により、一対の赤外線カメラによる装入物層上面の温度パターンの情報から、高炉の三次元的な装入物プロフィルを測定することが可能になった。これにより、高炉内の高濃度粉塵の影響を受け難く、装置が小型かつ安価であって、測定が簡便な装入物プロフィルメータを提供することができる。本発明の方式によれば、測定時間が短くかつその手間がかららないため、ほぼ連続的に装入物全面のプロフィルの情報を得ることができる。
また、本発明により、パージガスを用いて上記赤外線カメラのレンズ汚れを防止するに際して、パージガス量を大きくすることなくレンズ汚れを完全に防止することができ、かつ緊急の場合のレンズ保護を簡便かつ確実に行える手段を提供することが可能になった。
以下、実施例の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明における赤外線カメラの取付け位置を示す模式図である。この例では、高炉1のシャフト上部の傾斜部に一対の赤外線カメラ2a,2bが取り付けられている。この炉肩の傾斜部には、炉内ガス排気管3が配設されているので、この排気管3の位置を外し、かつ装入物シュート4が視野の邪魔にならないように、その先端と同レベルかそれより下にカメラを取り付ければよい。両カメラ2a,2bは、高炉の中心軸に対して対称な位置に配置することが好ましいが、必ずしもこれにこだわる必要はなく、できるだけ離れた位置に配置されていれば良い。
赤外線カメラ2a,2bには、レンズが広角なもの(例えば視野角が80度程度)のものを用い、炉内の装入物5の表面全体を観察し得るようにすることが好ましい。
図2は、本発明の一実施例における赤外線カメラの光学系の構成を示す断面図である。この光学系は、広角対物レンズ6、炉内ガス遮断用フィルタ7、映像拡大結像用レンズ8、2次元映像受光素子9及び対物レンズ6を保護するためのオリフィス(第一オリフィス10及び第二オリフィス11)などから構成されている。広角対物レンズ6で装入物5の表面の赤外線実像12を結像させ、これを映像拡大結像用レンズ8で所望の大きさに拡大し、2次元受光素子9で装入物表面の赤外線画像を得る。
本実施例では、対物レンズ6、フィルタ7及び映像拡大結像用レンズ8には、赤外光の透過性の良いゲルマニウム製のものを用い、2次元映像受光素子9には、非冷却型ボロメータを用いている。また、対物レンズ6、映像拡大結像用レンズ8には、色収差補正のためアクロマートレンズを用いている。
なお、この光学系で受光する赤外線の波長域は8.0〜14.0μm程度であり、装入物温度としては30℃以上を感知する。高炉装入物の表面温度は、通常は50〜600℃であるから、この構成で装入物表面の温度パターンを確実に検知することができる。
図3は、本実施例における装入物プロフィル測定装置の全体構成を示す図である。一対の温度パターン検知器(第一及び第二検知器)は、ともに受光素子が内蔵された赤外線カメラ13、雲台14、レンズ15からなり、これらが防塵ケ−ス16内に収納されている。レンズ15の前面には、エアシリンダ17で差動する遮断弁(後述するように本実施例ではボール弁を使用)18とさらにその前方に防塵フード19が設けられている。また、遮断弁18には、レンズパージ窒素20が供給され、防塵フード19には、ボール弁シール窒素21と冷却水22が供給されるようになっている。
赤外線カメラ13からの映像は、パソコン(PC)の画像ボードに入力し.画像処理によって装入物プロフィルを求める。必要に応じて、映像分配器を介して炉内の熱映像をモニタに表示し、装入面付近の装入物性状やガス流れを監視することができる。一方PCからは、カメラの制御信号(例えば、映像拡大率、雲台の位置、遮断弁のオンオフ等)を制御する信号が、カメラ制御ケーブルを通してカメラ側に送られるようになっている。
以下、一対の温度パターン検知器を用いて、装入物上面のプロフィルを測定する本発明の方法について説明する。図4は測定原理の説明図である。図4において、15aを第一カメラの対物レンズ、15bを第二カメラの対物レンズとし、光学的基準点として、レンズ15aの中心点をOとする。また、23aを第一検知器(第一カメラ)の画像、23bを第二検知器(第二カメラ)の画像とする。第一及び第二検知器の画像においては、等温線を作図することができるので、ある温度での装入物表面の等温線T(簡単のため円形とする)を温度パターンにおける共通の特徴部分として、この等温線について解析を行う。
等温線T上の任意の点Pをとると、画像23a上ではT1とP1として認識され、画像23b上ではT2とP2として認識される(P2の位置は下記のように特定される)。
レンズ15aの中心を点Oから、等温線T上の点Pの方向に延びるベクトルSは、画像23a上では一個の点P1として認識されるため、第一検知器の画像からは、点Pの方位に関する情報のみが得られ、OP間の距離に関する情報は得られない。一方第二検知器からベクトルSを観測すれば、画像23b上において、O2点からP2点に向かって延びる線分S2として観測される。両カメラのレンズの位置は固定されているから、画像23b上で点Oの位置を特定することができる(点O2)。
また、ベクトルSは第一検知器での方位が特定されているから、画像23b上で、ベクトルSが点O2からどの方向に延びるかを作図することができる(この線分をOPの投影線という)。この投影線は画像23b上で直線として与えられ、この投影線又はその外挿線と等温線T2との交点がP2に相当すると考えられる。ベクトルSの長さによって、画像23b上への投影線(S2)の長さも変わるので、線分O22の長さによってOP間の距離を算定することができる。
第一検知器の画像23a上において、点Pの方位(点Oを中心とする球座標における方位角(θ,φ))が定まるから、これとOP間の距離の情報から点Pの3次元的位置を算定することができる。
等温線T上の任意の点Pに対して、その3次元的位置を算定することができるから、装入物表面の等温線T全体の3次元的位置を算定するが可能である。複数の等温線(T1,T2,T3……)に対して、このような位置の情報を得れば、これに基づいて炉内全体の装入物上面のプロフィルを作図することは容易である。
次に、上記の原理に基づいて、点Pの3次元的位置を計算する手順について説明する。
座標軸の決定>
図5は、座標軸の決定方法の説明図である。また図6は、装入面上の点Qと映像P,P'の関係を示す図である
カメラによって映し出される二次元熱映像から装入面の三次元プロフィルを計算するために次のように座標系を定める。図5において、第一カメラの光学的中心(対物レンズの光学的主平面中心)を直交軸原点(以後原点と称する)とし、水平面上にx1、x2、垂直軸をx3と定める。この座標系で、装入面上の点とカメラ映像の点を表す。第二カメラに対しても同様の座標系を取り、以下の説明では、第二カメラで用いる記号には「'」をつけて第一カメラと関連させている。
装入面上の任意の点Q(u1,u2,u3)は、図6に示すように第一カメラ内臓のCCD素子等の結像面上に、点P(x1,x2,x3)で示す倒立実像として結像し、電気回路で反転、拡大してモニタに表示される。装入面プロフィル計算にはパソコンにファイルされる画像を用いるので、結像面π、π'はパソコンのファイルとなり、座標軸はこのファイルデータに対して与えることになる。パソコン上の映像は、何らかの方法で決めた中心を原点にとり極座標P(r, ξ)で扱う。パソコン上の装入面像に与える座標は自由に設定できるが、本資料では、パソコンモニタ上に表示される映像の実寸を結像面の映像寸法となるように映像座標を決めている。
<カメラパラメータと映像面座標の求め方>
カメラ映像上の点Pは二次元座標P(r, ξ)で表すが、装入面上の点Q(u1,u2,u3)と関連づけるには、点Pを直交座標P(x1,x2,x3)で表す必要がある。二つの座標系は原点Oから結像面πに下した法線ベクトルN で相互に変換される。計算には図7に示す法線ベクトルNの長さNと、垂直軸x3となす角度θが必要で、以降ではこの二つの量をカメラパラメータと称している。このNとθは次のように定義される。
図7は、カメラパラメータの定義の説明図である。図7において、Oは原点、A(a1,a2,a3)はπとx3軸が交わる点、Nは法線ベクトルがπと交わる点である。次に、法線方向の単位ベクトルをn(l1,l2,l3)とし、P(x1,x2,x3)はπ上の任意の結像点とする。A とPは法線ベクトルNに対して垂直な平面上にあるので、Nの長さNは次のHesseの標準形で与えられる。
N=|N| =l1・a1+l2・a2+l3・a3(=l1・x1+l2・x2+l3・x3) (1)
また、ベクトルOA=Aとするならば、角度θは次式から求める。
θ=cos-1(x) (2)
ただし、x= (A・n)/(|A|・|n|)=(a1・n1+a2・n2+a3・n3)/(a12+a22+a32)1/2・(n12+n22+32)1/2
(1),(2)式において、A、Nを与えるとカメラパラメータが求まる。
次に、P(x1,x2,x3)をP(r, ξ)に変換する関係式を示す。π面上のP(r, ξ)を与えるベクトルNPは、結像面πを規定する既知の法線ベクトルON、ベクトルOAと(x1,x2,x3)座標系で表されるベクトルOPの間に成り立つ関係から与えられる。
ベクトルNP=ベクトルON-ベクトルOP
ベクトルNA=ベクトルOA-ベクトルOP
従って、ベクトルNPの長さrと、ベクトルNPとベクトルNAがなす角度ξは次式になる。
r={(x1-n1)2+(x2-n2)2+(x3-n3)2}1/2 (3)
ξ=cos-1(y1/y2) (4)
ただし、y1=(a1-n1)(x1-n1)+ (a2-n2)(x2-n2)+ (a3-n3)(x3-n3)
y2={(a1-n1)2+(a2-n2)2+(a3-n3)2}1/2・{(x1-n1)2+(x2-n2)2+(x3-n3)2}1/2
以上が物体の点Qに対し、画像面上の座標を求める式となる。
結像面πがx1, x2面に直交するようにカメラを設置すれば、カメラパラメータを用いて、P(x1,x2,x3)はP(r, ξ)に変換される。
x1 = -r sin(ξ)、x2 = -N sin(θ)+r cos(ξ)cos(θ)、x3 = N cos(θ)+r cos(ξ)sin(θ) (5)
また、P(x1,x2,x3) は次の式で P(r, ξ)に変換される。
ξ= tan-1((x2+N×sin(θ))/ x1cos(θ))、r=- x1/ sin(ξ) (6)
(1)、(2)式に用いるN, θは、カメラを高炉に設置し、装入面上の複数点Q(u1,u2,u3)の位置を求め、カメラ映像上の対応点座標P(r, ξ)から求める。
<カメラのキャリブレーション>
カメラパラメータN, θの求めるキャリブレーションを次に示す。この説明に使用する記号に関して、装入面上の点はQとし、結像面上はPで表している。
図8は、カメラパラメータの決定方法の説明図である。図8において、カメラ原点と装入面上との間隔|O-V|、を測定しHとする(|O-V|は直線O-Vの長さ)。結像面π上の原点(画面中央点)をOとすると、装入面上に対応するO点が定まる。直線PO-QOはカメラの光軸で画像中心点となり、画像座標を決める。カメラの位置座標は、垂直軸x3上にとる。
このような配置で、装入面上のQO、QVを定め、映像面上の対応点座標PO、PVを読み取り、以下の計算からカメラパラメータを求める。
θ = tan-1(|QV-QO|/H)= tan-1 (|O-PO|/|PV-PO|)、N =(|PV-PO|/|QV-QO|)×H………(4)
実際のキャリブレーションでは、装入面上の点は更に複数点をとりカメラレンズの歪を補正するなどの精度を高める操作を含める。
<2つの座標の関係>
2台のカメラの原点は同一直線 (x2, x2’軸)上に取る。原点O-O’の間隔|O-O’|をDとすると、第一カメラ座標(第一座標)から、第二カメラ座標(第二座標)への変換は次式となる。
x1’= x1, x2’= d -x2, x3’=x3 (3)
(1),(2),(3)式を組み合わせると、2台のカメラ映像座標は、装入面上の点を介して相互に関連づけることが出来る。
次に、装入物プロフィルの計算手順について説明する。この手順は下記のステップから構成される。
(1)2台のカメラが測定した2次元温度プロフィルをパソコンに取り込み、等温ライン等の特徴曲線T, T’を作る。
(2)T曲線上の任意の点P(r, ξ)を選び、(1)式でP(x1,x2,x3)に変換する。
(3)Pの装入面上対応点Qの座標は道なので、原点Oからの長さU(=|O-Q|)を仮定してQ*の座標を次式から決める。「*」は仮想直線を示す記号である。Q*の座標Q*( u1*, u2*, u3*)は次式で与えられる。
u1* = -(U/N)x1、u2* =-(U/N)x2、u3* = -(U/N)x3、U = (u1*2+ u1*2+ u1*2)1/2 (5)
Q*( u1*’, u2*’, u3*’)は次式になる。
u1*’= u1*、u2*’= D - u2*、u3*’= u3* (6)
(4)第二カメラの結像面π'面上の対応点P’(x1’,x2’,x3’)は次式となる。
x1’= -(N /U)u1*’、x2’= -(N /U)u2*’、 x3’= -(N /U)u3*’
U = (u1*2+ u1*2+ u1*2)1/2 (7)
(5)P’(x1’,x2’,x3’)を(2)式でP’(r’, ξ’)に変換する。この結果、仮想直線上の点Q*は、π面上のP(r, ξ)、π’面上のP’(r’, ξ’)に映像座標として表されたことになる。なお、Q*点は、Uが正しい長さを与えていない限り装入面上には存在せず、従って、π’面上でP’点は曲線T’上には無い。
(6)次に、 (5)式を満たすようにu1* 、u2* 、u3* のUを変化させる。この結果Q*点はPOQ直線上を移動する。これに対応して、π’面上でP'点の軌跡は直線を描く。
(7)π’面上でP’点の描く直線が曲線T’と交わる時のUが装入面上のQ点の座標を与える。
(8)Tの上のP点を変化させ、装入面上のTの座標を決定する。
(9)等温線温度レベルを変化させて第一カメラと第二カメラに関してさまざまなTを作り、装入面の全表面を覆うTを作り、それらの装入面上座標を決定し、装入面全面の3次元座標を決定する。
図9は、本実施例におけるカメラ取付け部の構造を示す図で、図9(a)は縦断面図、図9(b)は横断面図である。カメラ取付け部の高炉炉肩の鉄皮及びその下側の耐火物(いずれも図示していない)に連通して貫通孔が設けられ、この貫通孔の直上に遮断弁としてボール弁が配設され、このボール弁のボール内貫通部を通して炉内を観察するように構成されている。
図9に見られるように、ボール弁の回転ボール24の炉内側端部付近に、その中央に小径の覗き孔を有する隔壁(第一オリフィス10)が設けられ、その背面のボール24内の貫通部に対物レンズ6が配置されている。当然ながら、対物レンズ6の光軸は、第一オリフィス10の孔のほぼ中心を通るようにセットされている。また、このようにボール弁を用いることにより、対物レンズ6をオリフィス10に接近して配置することができる。これにより、対物レンズ6に広角レンズを用いて、直径の大きい高炉炉内の全面を観察できるようにしたことが、ボール弁内に対物レンズを配置することの効果である。
ボール24は、エアシリンダ17により、ボール回転軸25を介して回転駆動される。必要な場合に、ボール24を回転して、赤外線カメラの光学系を炉内雰囲気から遮断し得るように構成されている。また、高炉内の高圧ガスが漏出しないように、ボール回転軸25は、シャフトパッキング26によりシールされている。ボール24の上側には2枚の炉内ガス遮断ガラス27が配設され、その上側に拡大結像用レンズ8と受光センサ(図示していない)を内蔵した赤外線カメラ13が配置される。
また、ボール弁の弁座28の外側(炉内側)開口部を覆うようにカバー29が配設され、カバー29にも小径の覗き孔が設けられた隔壁(第二オリフィス11)が設けられている。第一オリフィス10及び第二オリフィス11は、いずれも背面からパージガス(本実施例では窒素ガス)を流して、炉内の粉塵、油煙等が光学系に進入するのを防止することを目的とするものである。
図10は、本実施例におけるパージガスの流動方向の説明図である。ボール弁にはレンズパージ窒素20が供給されて、第一オリフィス10の孔を通って流出する。この流れは縦方向(軸線方向)である。一方ボール弁の下側のカバー29にはボール弁シール窒素21が供給される。図10(b)は図10(a)のA−A断面図である。ボール弁シール窒素21は、図10(b)に見られるように、接線方向に吹き込まれ、旋回流となって第二オリフィス11の孔を通って流出する。このように2段にパージガスを吹き込み、軸線方向の流れと旋回流を組み合わせることによって、防塵効果を一層高めることができる。
高炉炉口に2台の広視野を有する赤外線カメラを図11に示すように設置して、本発明の方法により装入物プロフィルの測定を行った。2台のカメラはx2,x3面(即ちx2’,x3’面)内に設置し同じ高さとした。
<装入面高さの計算例>
先ず、高炉の操業が停止している休風中に、図11のように配置した2台のカメラに対してカメラパラメータのキャリブレーションを行った。休風中の装入面はほぼ平坦なので、装入面と高炉内壁との境界線映像は真円に近い。
装入面上のSN線上に投光ランプ等の点状熱源を置き、第一カメラ映像をパソコンに記録する。カメラ光軸を決定するO点は、パソコン画面を見ながら点光源位置を変化させ、O点が画面中央に来た位置をもって光軸点Oとする。垂直軸上にあるV点は、カメラレンズ真下の位置に点熱源を置き、その映像を記録してV点とする。第二カメラに対しても同様の測定を行い、O’、V’点を決定した。カメラの間隔は、|V-V’|=dとなる。また、カメラから計った装入面高さをHとする。
以上の方法で、カメラ設置位置を測定した結果、表1の値が得られた。表1の装入面各点に対してパソコン上の映像面では表2の値が得られた。また、前出の(4)式でカメラパラメータを計算すると表3が得られる。
Figure 2008096298
Figure 2008096298
Figure 2008096298
次に、境界線映像上に任意に選んだP1, P2点に対して装入面高さを求め、実測値と対比させて本方式の妥当性を検証した。図12が2台のカメラで捕らえた休風中の高炉内壁と装入面との交線が作る円形プロフィルの映像である。境界線映像はカメラ1とカメラ2で同様であるが、PS、 PE、 PN、 PWはそれぞれ逆になり、PEとPWは水平軸よりかなり上側になる。
装入面高さを求める為に、境界線上に適当にP1,P2を定める。表4にそれらの座標を示す。
Figure 2008096298
POQ上に作る仮想直線の長さを変化させると、第二カメラ映像に仮想直線の映像が表示される。図12の右図が第二カメラ映像で、直線の先端軌跡を点線で示す。直線が境界線と交わった時の高さHが正しい高さを与える。測定結果を表5にまとめてある。仮想直線が境界線と交わった時の座標と高さHを示す。計算値は実測値と良く対応している。この例から分かるように、2台のカメラで境界線がきちんと測定されているならば、装入面位置はほぼ正確に測定でき、その精度は測距で慣例されている3角測量法とほぼ同等と考えられる。
Figure 2008096298
<装入物プロフィルの実測例>
装入面画像を2台の赤外線カメラで測定して3次元装入面プロフィルを求めた例を次に示す。装入面の赤外線映像をパソコンに取り込み、温度画像に変換する。高炉の場合、装入面の形状は温度分布と密接に関係しており、温度画像にするとほぼ中心軸に対称な温度分布が得られる場合が多い。等温線プロフィルの作成に際し、等温線が装入面全体を覆うように温度を選ぶ。ややデコボコしている等温線を平滑化して図13に示すような等温線分布図を得る。二台のカメラが捕らえる温度プロフィルはほとんど同じであるが、これは温度分布が軸対象であることを示している。
図において、それぞれの等温ラインに対し高炉炉内中心に対し、0°(南点), 90°(東点), 180°(北点), 270°(西点)となる位置を評価点に選び、PS、PE、PN、PWとし、それぞれの位置における高さを求めた。等温ライン形状が単純なので評価点は一つの等温線に対して4点としたが、等温ライン形状が複雑であれば評価点は増やす必要がある。
測定結果を表5に示し、装入面高さは既設のマイクロ波プロフィルメータで測定し、精度検証を行った。表6に本発明の方式による計算結果とマイクロ波プロフィルメータの測定結果との比較を示す。
Figure 2008096298
表6をグラフにすると図14が得られる。測定データは、繰り返し測定して平滑化すると精度はさらに向上する。また、本方式で測定したデータでは、南北プロフィルと東西プロフィルが良く一致しており、装入面プロフィルが軸対称であることがわかる。
本プロフィルメータでは、リアルタイムでプロフィルの3次元形状が測定できるのみならず、その時間変化も測定できるという従来のプロフィルメータでは出来なかった測定が可能となった。
1台のカメラによる装入面プロフィル測定方法
図14を見ると分かるように、装入面プロフィルが高炉中心軸に対称である場合には、第一カメラと第二カメラの映像は一致する。この場合には、第二カメラは必要なく、パソコン内で第一カメラ映像から第二カメラ映像を合成できる。高炉は中心軸対称に設計され、操業は装入面が中心軸対称パターンをとるように操業する。従って、ほとんどの場合、等温線分布も綺麗な軸対称パターンになる場合が多い。設備上の制約などでカメラが2台設置できない場合には、装入面が中心軸対称パターンであることを仮定して一台で装入面パターンを測定することも可能となる。
また、プロフィルを計算する方式も、予めプロフィル高さをパラメータとして、第一カメラ映像面π面上のP(r, ξ)と第二カメラ映像面π’面上のP’(r’, ξ’)の関係を表にしておけば、カメラ映像の歪補正が可能で、更に簡単な補間計算でプロフィルを決めることができる。
本発明における赤外線カメラの取付け位置の例を示す図である。 本発明の実施例における赤外線カメラの光学系の構成を示す図である。 本発明の実施例である高炉装入物プロフィル測定装置の全体構成を示す図である。 本発明の測定原理の説明図である。 本発明の高炉装入物プロフィルの計算における座標軸の決定方法の説明図である。 本発明の高炉装入物プロフィルの計算における装入面上の点Qと映像P,P'との関係の説明図である。 本発明の高炉装入物プロフィルの計算におけるカメラパラメータの定義の説明図である。 本発明の高炉装入物プロフィルの計算におけるカメラパラメータの決定方法の説明図である。 本実施例における赤外線カメラ取付け部の構造を示す図である。 本実施例におけるレンズ保護用パージガスの流出状況の説明図である。 本実施例におけるカメラ配置とカメラパラメータ決定に用いた測定点の説明図である。 本実施例における高炉内壁と装入面で作る円状プロフィルのカメラ映像と評価点の位置を示す図である。 本実施例において2台のカメラ映像から作成した等温線分布図である。 本実施例における装入物プロフィルの計算結果とマイクロ波プロフィルメータの測定結果の比較を示す図である。
符号の説明
1:高炉
2a,2b:赤外線カメラ
3:炉内ガス排気管
4:装入物シュート
5:炉内装入物
6:広角対物レンズ
7:炉内ガス遮断用フィルタ
8:映像拡大結像用レンズ
9:2次元映像受光素子
10;第一オリフィス
11;第二オリフィス
12:装入物表面の赤外線像
13:赤外線カメラ
14:雲台
15,15a,15b:レンズ
16:防塵ケース
17:エアシリンダ
18:遮断弁
19:防塵フード
20:レンズパージ窒素
21:ボール弁シール窒素
22:冷却水
23a,23b:検知器の画像
24:ボール弁の回転ボール
25:ボール回転軸
26:シャフトパッキング
27:炉内ガス遮断ガラス
28:ボール弁の弁座
29:カバー

Claims (5)

  1. 高炉の炉肩に配置されて炉内装入物上面のほぼ全体からの赤外光を受光し、その強度を検出する二次元受光センサを備えた一対の赤外線カメラと、該カメラそれぞれの出力から二次元温度パターンを作成する温度パターン検知器を一対高炉に配設して、異なる方向から同一時刻に観測された炉内装入物上面の温度パターンの情報を取得し、
    この両検知器の二次元温度パターンにおいて、共通の特徴を有する特徴曲線を定め、該特徴曲線上の任意の点Pを選び、前記両検知器の画像における前記点Pの位置の対比から、点Pの三次元的位置を算定し、
    複数の前記特徴曲線の位置情報から、炉内の装入物層上面の形状を作図することを特徴とする高炉装入物プロフィルの測定方法。
  2. 一方の前記検知器(以下第一検知器という)の二次元温度パターンから等温線像の特徴部分C1を定め、該等温線像C1上の任意の点Pを選び、第一検知器の光学的基準点Oから前記の点Pの方向に伸びる直線Lを仮想し、他方の前記検知器(以下第二検知器という)で得られる前記C1に対応する特徴部分C2の像に、前記仮想直線Lの像を重ね、前記仮想直線Lの長さを変えて、第二検知器上で前記Lが前記特徴部分像C2と交わった時の仮想直線Lによって、前記第一検知器と装入面上の対応点Pの位置関係を与えることを特徴とする請求項1に記載の高炉装入物プロフィルの測定方法。
  3. 高炉の炉肩に配置されて炉内装入物上面のほぼ全体からの赤外光を受光し、その強度を検出する二次元受光センサを備えた一対の赤外線カメラと、該カメラそれぞれの出力から二次温度パターンを作成する一対の温度パターン検知器と
    前記第一検知器の二次元温度パターンから等温線像の特徴部分C1を定め、該等温線像C1上の任意の点Pを選び、第一検知器の光学的基準点Oから前記の点Pの方向に伸びる直線Lを仮想し、他方の前記検知器(以下第二検知器という)で得られる前記C1に対応する特徴部分C2の像に、前記仮想直線Lの像を重ね、前記仮想直線Lの長さを変えて、第二検知器上で前記Lが前記特徴部分像C2と交わった時の仮想直線Lによって、装入面上の対応点Pの位置を求める位置算定手段と、
    複数の前記特徴部分の位置情報から、炉内の装入物層上面の形状を作図する作図手段とを備えたことを特徴とする高炉装入物プロフィルの測定装置。
  4. 前記赤外線カメラの取付け位置において、高炉の鉄皮及びその下部耐火物に連通する貫通孔が設けられ、鉄皮の該貫通孔の外側にこれに近接してボールバルブが配設され、
    該ボールバルブのボール内貫通部の炉内側端部付近に、その中央に小径の覗き孔を有する隔壁が設けられ、
    かつ前記ボール内貫通部の内部に前記隔壁背面に近接して、その光軸が前記覗き孔の中心を通るように前記カメラの対物レンズ系が配置され、該対物レンズ系からの赤外光が、必要に応じて光学系を介して前記二次元受光センサに入射するように構成されるとともに、
    前記覗き孔を通して、その背面から炉内側にパージガスを流通させうるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の高炉装入物プロフィルの測定装置。
  5. 前記ボールバルブ弁座の炉内側開口部の外側に、該開口部を覆うようにカバーが設けられ、該カバーにその中心を前記対物レンズ系の光軸が通る小径の第二の覗き孔が設けられ、該第二の覗き孔の背面からも炉内側にパージガスを流通させうるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の高炉装入物プロフィルの測定装置。
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