JP2008091274A - ガス遮断器 - Google Patents
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Abstract
【課題】容積を可変とするボリューム部を備えるといった簡単な構成により、大電流領域だけではなく中小電流領域においても小さな駆動力で優れた電流遮断性能を発揮でき、小形で信頼性の高いガス遮断器を提供する。
【解決手段】自力室11内には可変ボリューム部20が形成される。可変ボリューム部20は、自力室11の内部に配置された仕切り板21およびパッファシリンダ9の内壁面および仕切り板21とパッファシリンダ9の内壁を摺動可能な可動壁22によって囲まれて気密が保たれている。可動壁22には可変ボリューム部20内に該可動壁22を支持するためのばね23が取り付けられ、自力室11の内部圧力がばね23のばね力を上回ると、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作するようになっている。
【選択図】図1
【解決手段】自力室11内には可変ボリューム部20が形成される。可変ボリューム部20は、自力室11の内部に配置された仕切り板21およびパッファシリンダ9の内壁面および仕切り板21とパッファシリンダ9の内壁を摺動可能な可動壁22によって囲まれて気密が保たれている。可動壁22には可変ボリューム部20内に該可動壁22を支持するためのばね23が取り付けられ、自力室11の内部圧力がばね23のばね力を上回ると、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作するようになっている。
【選択図】図1
Description
本発明は、パッファ形のガス遮断器に係り、特に、遮断電流値の大小に関係なく安定して遮断性能を発揮できるガス遮断器に関するものである。
一般に、電力系統では送電系統や配電系統を保護するために、線路、母線、機器などの地絡故障や線間短絡故障などによる電流を遮断するガス遮断器が設けられている。近年ではパッファ形と呼ばれるタイプが広く普及しているが、中でも、電流遮断する際に必要な駆動力が小さくて済む直列パッファ形とよばれる方式が公知となっている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
ここで、図6を用いて従来の直列パッファ形遮断器について説明する。図6は従来の直列パッファ形遮断器の内部構造を示した断面図である。図6において直列パッファ形遮断器は中心線を回転軸とした回転対称形状であって、中心線より右側が閉極状態すなわち通常時の電流通電状態を、左側が開極途中すなわち電流遮断動作中の状態を、それぞれ示している。
図6に示すように、対向アーク接点2および対向通電接点3が、可動アーク接点4および可動通電接点5と同心軸上に向かい合って配置される。これらの接点は消弧性ガス1が充填された密閉容器(図示せず)内に収納されている。また、可動側の接点4、5にはパッファシリンダ9が一体的に設けられており、可動側の接点4、5と共に中空状の駆動ロッド6によって軸方向に駆動可能に配置されている。
また、パッファシリンダ9には絶縁ノズル8が取り付けられている。絶縁ノズル8は、可動アーク接点4と対向アーク接点2間に発生しうるアーク放電7に対し、整流した消弧性ガス1を吹き付けるように構成されている。消弧性ガス1としては、アーク遮断性能(消弧性能)および電気絶縁性能に優れた六弗化硫黄ガスが使用されることが通常であるが、その他の媒体もありうる。図6中の右側に図示した閉極状態においては、対向側および可動側の各接点は接触状態にあって通電が行なわれる。
一方、電流を遮断する必要が生じた際には、可動アーク接点4および可動通電接点5は、駆動ロッド6により図6において下方向に駆動され、対向側および可動側の各接点は離れて、対向アーク電極2と可動アーク電極4の間にアーク放電7が発生しうる。なお、対向側の接点は固定されているか、もしくは可動側の接点の動きに相対して動作する場合も有りうる。
このような接点の離脱動作に伴って、消弧性ガス1は絶縁ノズル8により整流されてアーク放電7に強力に吹付けられ、これによりアーク放電7はその導電性を失って電流は遮断される。一般に高い電流遮断性能を得るためには、高い吹きつけ圧力、および豊富な消弧性ガス流量が必要である。
次に開極動作においてアーク放電7に消弧性ガス1が吹付けられるメカニズムについて説明する。前述の可動アーク接点4、可動通電接点5、絶縁ノズル8、およびパッファシリンダ9は一体構造となっており、それらは前述の駆動ロッド6により同時に駆動されるように構成されている。パッファシリンダ9と駆動ロッドに囲まれた空間は中心軸に垂直に配置された連結板10により、アーク放電7側の自力室11とそれとは反対側の機械圧縮室12とに区切られている。
機械圧縮室12は、連結板10および駆動せずに常に静止状態にあるピストン15により囲まれて形成されている。連結板10には連通孔13と、それに付随する逆止弁14が設けられている。機械圧縮室12の圧力の方が自力室11の圧力よりも高い場合には、逆止弁14が開いて機械圧縮室12から自力室11に向かって消弧性ガス1が流入するように構成されている。また、逆に自力室11の圧力が機械圧縮室12の圧力よりも高い場合には、逆止弁14の作用により自力室11の圧力の影響が機械圧縮室12へと及ばないように構成されている。
ピストン15には排気穴16と吸気穴17が設けられており、排気穴16には放圧バルブ18が、吸気穴17には吸気バルブ19がそれぞれ取り付けられている。機械圧縮室12の圧力がある設定値以上にまで上昇すると、放圧バルブ18の作用により排気穴16からガスを放出し、機械圧縮室12の過剰な圧力上昇を抑えられるように構成されている。また、開極状態から閉極状態へと変化する際などに機械圧縮室12の圧力が消弧性ガス1の充填圧力よりも低くなるような場合には、吸気バルブ19の作用により吸気穴17から機械圧縮室12に消弧性ガス1が吸い込まれてガスを補充するように構成されている。
(大電流遮断)
このように構成されている直列パッファ遮断器において大電流を遮断する際の動作について説明する。大電流遮断時において、アーク放電7は非常に高温となるため、周囲の消弧性ガス1の温度を著しく上昇させる。この作用により自力室11の圧力は著しく上昇し、アーク放電7を消弧せしめるのに十分な圧力を得ることができる。
このように構成されている直列パッファ遮断器において大電流を遮断する際の動作について説明する。大電流遮断時において、アーク放電7は非常に高温となるため、周囲の消弧性ガス1の温度を著しく上昇させる。この作用により自力室11の圧力は著しく上昇し、アーク放電7を消弧せしめるのに十分な圧力を得ることができる。
このとき、ピストン15に作用する圧力すなわち機械圧縮室12の圧力は、開極駆動する際の駆動反力として作用するが、自力室11の高い圧力は逆止弁14の作用により機械圧縮室12へ及ぶことはなく、機械圧縮室12の圧力が駆動反力として作用することは無い。つまり、機械圧縮室12においてピストン15による圧縮動作により圧力が上昇するが、放圧バルブ18の作用によって、所定の設定値以上にまでは上昇することはない。
以上のとおり、大電流遮断時においてはアーク放電7の加熱作用により自力室11の圧力は遮断に十分な圧力にまで上昇し、かつ逆止弁14および放圧バルブ18の作用により機械圧縮室12の圧力の過剰な上昇は回避できる。そのため、小さな駆動力でも大電流遮断を確実に行うことが可能である。
(中小電流遮断)
次に、中小の電流を遮断する際の動作について説明する。中小の電流を遮断する際には、アーク放電7の加熱作用は小さいため、その作用のみによる自力室11の十分な圧力上昇は期待できない。このような場合には機械圧縮室12の圧力の方が自力室11の圧力よりも相対的に高くなって逆止弁14が開く。これにより、機械圧縮室12からピストン15の圧縮作用により前方の自力室11にガスが流れ込み、電流遮断に必要な圧力と、十分な量の消弧性ガス1の流量を確保する。
次に、中小の電流を遮断する際の動作について説明する。中小の電流を遮断する際には、アーク放電7の加熱作用は小さいため、その作用のみによる自力室11の十分な圧力上昇は期待できない。このような場合には機械圧縮室12の圧力の方が自力室11の圧力よりも相対的に高くなって逆止弁14が開く。これにより、機械圧縮室12からピストン15の圧縮作用により前方の自力室11にガスが流れ込み、電流遮断に必要な圧力と、十分な量の消弧性ガス1の流量を確保する。
上述したように、直列パッファ形のガス遮断器においては、大電流を遮断する際は、アーク放電7による加熱作用を利用した自力室11の圧力上昇を主に利用して電流遮断を行う。また、中小電流を遮断する際にはアーク放電7による加熱作用に加えて、ピストン15の圧縮作用により機械圧縮室から消弧性ガスを供給して電流遮断を行う。これにより、ピストン15へ作用する過剰な圧力を抑制することができ、小さな駆動力で電流遮断を行うことができる。
米国特許第4139734号公報
ヨーロッパ特許第0035581号公報
特公平7―109744号公報
上述したように直列パッファ形のガス遮断器は遮断動作に必要な駆動力を低減することが可能である。しかしながら、中小の電流を遮断する際に、必ずしも優れた遮断性能が得られるとは限らないといった問題点があった。これは、主に以下の理由による。
図6に示した通り、機械圧縮室12の圧力の方が自力室11の圧力よりも高くなると、逆止弁14が開いて、機械圧縮室12からピストン15の圧縮作用により前方の自力室11にガスが流れ込むが、機械圧縮室12から流入した消弧性ガス1は、絶縁ノズル8内部のアーク放電7へと流れ込む前に、必ず自力室11を経由することになる。このとき、連通孔13からアーク放電7へと至る流路面積は、自力室11部分で大きく広がるので、スムーズなガスの流れが妨げられる。さらに、機械圧縮室12から自力室11に流れ込んだ消弧性ガス1は、自力室11の圧力を機械圧縮室12と同等の圧力にまで上昇させるために消費されることがあり、実際にアーク放電7側へ流れ込むガス流量は少なかった。
そのため、ガスの流れをスムーズとする観点からも、自力室11の圧力を機械圧縮室12と同等圧力にまで上昇させる観点からも、自力室11は容積が小さい方が有利である。すなわち、自力室11は容積を小さくした方が加熱作用と圧縮作用を利用し易く、中小電流を遮断するのに十分な圧力上昇を得る上で効果的である。
ところが、自力室11の容積を小さくすると、大電流を遮断する際に加熱作用により得られる圧力上昇は非常に高いものとなる。このため、これに耐え得るために絶縁ノズル8やパッファシリンダ9、連結板10などを強固にして破損を防止する必要が生じ、機器の大形化及びコストの増大を招いた。そこで従来では、機器の小形化とコストの低減を優先して、自力室11の容積は比較的大きくする傾向にある。特に、大電流遮断時には、アーク熱の利用により取り込んだ高温ガスを、十分なボリュームの低温ガスと混合することが、遮断性能を得る上で重要なので、自力室11の容積は大きな方が望ましかった。
以上述べた通り、高温のアーク放電7に晒されたガスを冷却させるために大きなガス容積を必要とする大電流遮断と、主に機械圧縮室12から供給される消弧性ガス1により電流遮断が行われる中小電流遮断の両方を考慮した場合、自力室11の容積は大きくした現状のガス遮断器では、大電流遮断時に有利であるものの、中小電流遮断時には十分な圧力上昇を得ることが難しかった。
本発明は、以上の事情に鑑みて提案されたものであり、その目的は、容積を可変とするボリューム部を備えるといった簡単な構成により、大電流領域だけではなく中小電流領域においても小さな駆動力で優れた電流遮断性能を発揮でき、小形で信頼性の高いガス遮断器を提供することにある。
本発明は、上記のような目的を達成するために、消弧性ガスが充填された密閉容器が設けられ、前記密閉容器内には可動アーク接点および可動通電接点、並びにこれら可動側の接点と一体のパッファシリンダが、駆動ロッドによって軸方向に駆動可能に配置され、前記可動アーク接点および前記可動通電接点と同心軸上に向かい合って対向アーク接点および対向通電接点が接離自在に配置され、前記パッファシリンダには絶縁ノズルが取り付けられ、前記可動アーク電極と前記対向アーク電極の間に発生しうるアーク放電に対して前記絶縁ノズルが整流した前記消弧性ガスを吹き付けるように構成され、さらに前記パッファシリンダの内部は、自力室と機械圧縮室とに区切られており、前記自力室は前記機械圧縮室とは反対側で前記アーク放電側に配置され、前記機械圧縮室は前記パッファシリンダの軸線に対して垂直に配置された連結板と常に静止状態にあるピストンとにより挟まれた空間から形成されると共に内部の過剰な圧力上昇を防止する放圧手段が設けられ、前記連結板には前記自力室と前記機械圧縮室とを連通する連通孔と、それに付随する逆止弁が設置され、前記逆止弁は前記自力室から前記機械圧縮室へのガスの流れは常に制約し、前記自力室の圧力が前記機械圧縮室の圧力よりも低い場合にのみその圧力差により開放されるように構成されたガス遮断器において、移動可能な可動壁を介して前記自力室に接する可変ボリューム部が設けられ、前記可変ボリューム部は、前記自力室の内部に配置された仕切り板および前記パッファシリンダの内壁面および前記可動壁によって気密が保たれるように形成され、前記可動壁は、前記自力室の内部圧力が所定値を上回ると前記可変ボリューム部の容積を減らす方向に前記仕切り板に沿って動作するように構成されたことを特徴としたものである。
以上のような本発明において、大電流遮断時には、自力室の内部圧力はアーク放電の加熱作用により上昇しているため、自力室の内部圧力が所定値を上回り、可動壁は動作して可変ボリューム部の容積は減少し、これに伴い、可変ボリューム部に接する自力室の容積は増加する。したがって、構成部材の強度を高めることなく、自力室の内部に大電流遮断に必要な消弧性ガスのアーク放電への吹付け圧力と流量を十分に確保でき、従来の直列パッファ形遮断器と同様の小さな駆動力で優れた電流遮断性能を得ることができる。
一方、中小電流遮断時には、アーク放電の加熱作用が小さいため、自力室の内部圧力はさほど上昇しない。このため、自力室の内部圧力が所定値を上回ることがなく、可動壁は移動せず、可変ボリューム部は十分な容積を確保できる。これに伴って、可変ボリューム部に接する自力室の容積を小さくすることができる。このため、機械圧縮室から供給される消弧性ガスは、自力室を経由しても圧力および流量の損失を最小限に抑えることができ、中小電流領域においても優れた遮断性能を得ることができる。
本発明のガス遮断器によれば、自力室の内部圧力の状態によって可動壁を動作させ可変ボリューム部の容積を増減させることにより、機器の大形化を招くことなく、大電流と中小電流の両方の領域で優れた遮断性能を発揮することができ、信頼性・経済性の向上が図れる。
以下、本発明に係る代表的な実施形態について、図1〜図5を参照して具体的に説明する。なお、下記の実施形態におけるガス遮断器の基本的な構成は図6で説明した従来の直列パッファ形のガス遮断器と同様であり、同一の部材に関しては同一の符号を付して説明は省略する。
(1)第1の実施形態
[構成]
第1の実施形態について図1を用いて説明する。図1においては、中心線の左側が大電流遮断時における状態を示しており、中心線の右側が中小電流遮断時における状態を示している。第1の実施形態の構成上の特徴は次の点である。
[構成]
第1の実施形態について図1を用いて説明する。図1においては、中心線の左側が大電流遮断時における状態を示しており、中心線の右側が中小電流遮断時における状態を示している。第1の実施形態の構成上の特徴は次の点である。
すなわち、自力室11内には可変ボリューム部20が形成されている。可変ボリューム部20は、自力室11の内部に配置された仕切り板21およびパッファシリンダ9の内壁面および可動壁22によって囲まれ、気密が保たれている。可動壁22は、パッファシリンダ9に垂直に配置され、気密を保ちながら仕切り板21とパッファシリンダ9の内壁を摺動可能となっている。
また、可動壁22には、可変ボリューム部20内に該可動壁22を支持するためのばね23が取り付けられている。このばね23は、自力室11の内部圧力がばね23のばね力を上回ると、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作するように設定されている。つまり、可変ボリューム20部の容積が減少するのに合わせて自力室11の容積が増加するようになっている。なお、通常時には、可動壁22は支持しているばね23によって仕切り板21の端部に位置しており、このとき、可変ボリューム部20の容積は最大、すなわち自力室11の容積は最小となっている。
[作用効果]
(大電流遮断)
このような構成を有する第1の実施形態の作用は以下の通りである。すなわち、大電流遮断時においては、自力室11の内部圧力はアーク放電7の加熱作用により著しく上昇する。このとき、自力室11の内部圧力がばね23のばね力を上回ると、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作し、可変ボリューム部20の容積は減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。
(大電流遮断)
このような構成を有する第1の実施形態の作用は以下の通りである。すなわち、大電流遮断時においては、自力室11の内部圧力はアーク放電7の加熱作用により著しく上昇する。このとき、自力室11の内部圧力がばね23のばね力を上回ると、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作し、可変ボリューム部20の容積は減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。
よって、自力室11の内部に大電流遮断に必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保できる。また、自力室11の内部圧力は高い時、逆止弁14は開放されないので、自力室11の高い圧力がピストン15に作用することがない。そのため、従来の直列パッファ形遮断器と同様の小さな駆動力で、より優れた電流遮断性能を得ることができる。
(中小電流遮断)
一方、中小電流を遮断する際は、アーク放電7の加熱作用が小さいため、自力室11の内部圧力はさほど上昇しない。したがって、機械圧縮室12の圧力の方が自力室11の圧力よりも高くなると、逆止弁14が開き、機械圧縮室12からピストン15の圧縮作用により前方の自力室11に消弧性ガス1が流れ込む。
一方、中小電流を遮断する際は、アーク放電7の加熱作用が小さいため、自力室11の内部圧力はさほど上昇しない。したがって、機械圧縮室12の圧力の方が自力室11の圧力よりも高くなると、逆止弁14が開き、機械圧縮室12からピストン15の圧縮作用により前方の自力室11に消弧性ガス1が流れ込む。
機械圧縮室12から流入した消弧性ガス1は、絶縁ノズル8内部のアーク放電7へと流れ込む前に、まず自力室11を経由することになるが、このとき、可動壁22は動作することなく、可変ボリューム部20の容積は最大、つまり、自力室11の容積は最小となっている。したがって、連通孔13からアーク放電7へと至る流路面積は、自力室11部分でさほど大きく広がらず、消弧性ガス1はスムーズに流れることができる。
さらに、機械圧縮室12から自力室11に流れ込んだ消弧性ガス1は、自力室11の容積は最小であるため、即座に自力室11の圧力を機械圧縮室12と同等の圧力にまで上昇させ、十分な流量のガスがアーク放電7側へ流れ込むことができる。このように、可動壁22を動作させないことで自力室11の容積を最小とし、機械圧縮室12から流れ込んだ消弧性ガス1の圧力および流量の損失を最小限に抑えることができる。これにより、消弧性ガス1の圧縮作用を最大限に有効利用することができ、中小電流においても優れた遮断性能を得ることが可能である。
上述べしたように、第1の実施形態に係るガス遮断器によれば、中小電流遮断時には可変ボリューム部20の容積を増大させて自力室11の容積を最小とし、消弧性ガス1の圧縮作用を効率よく利用して、中小電流を確実に遮断することができる。また、大電流遮断時には可変ボリューム部20の容積を減少させて自力室11の容積を大きくしたので、構成部材の強度を高める必要がなく、機器の大形化及び製造コストの増大を回避しつつ、大電流遮断に必要な消弧性ガスのアーク放電への吹付け圧力と流量を十分に確保できる。
このように、自力室11の内部圧力の状態の変化に伴い、ばね23にて支持された可動壁22を動作させて、自力室11の容積を可変とすることにより、機器の小形化と低コスト化を実現しつつ、大電流と中小電流の両方の領域で優れた遮断性能を発揮でき、信頼性・経済性が向上する。
(2)第2の実施形態
[構成]
続いて、第2の実施形態について図2を用いて説明する。図2においても、中心線の左側が大電流遮断時における状態を示し、中心線の右側が中小電流遮断時における状態を示している。第2の実施形態は可変ボリューム部20の構成に特徴がある。
[構成]
続いて、第2の実施形態について図2を用いて説明する。図2においても、中心線の左側が大電流遮断時における状態を示し、中心線の右側が中小電流遮断時における状態を示している。第2の実施形態は可変ボリューム部20の構成に特徴がある。
第2の実施形態における可変ボリューム部20は、図2に示すように可動壁22が自力室11の端に配置され、可変ボリューム部20が自力室11の軸方向に隣接する位置に形成されている。通常時には、可動壁22は支持しているばね23によってパッファシリンダ9の端部に位置しており、このとき可変ボリューム部20の容積は最大、すなわち自力室11の容積は最小となっている。自力室11の内部圧力が上昇してばね23のばね力を上回ると、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作し、可変ボリューム部20の容積が減少するのに合わせて自力室11の容積を増加するようになっている。
[作用効果]
(大電流遮断)
上記のような構成を有する第2の実施形態では、上記第1の実施の形態と同様、次のような作用が得られる。すなわち、大電流遮断時において、自力室11の内部圧力がアーク放電7の加熱作用により著しく上昇するとき、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作して、可変ボリューム部20の容積が減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。したがって、自力室11の内部に大電流遮断に必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保できる。また、逆止弁14は開放されず、自力室11の高い圧力がピストン15に作用することがなく、従来の直列パッファ形遮断器と同様の小さな駆動力で、より優れた電流遮断性能を得ることができる。
(大電流遮断)
上記のような構成を有する第2の実施形態では、上記第1の実施の形態と同様、次のような作用が得られる。すなわち、大電流遮断時において、自力室11の内部圧力がアーク放電7の加熱作用により著しく上昇するとき、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作して、可変ボリューム部20の容積が減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。したがって、自力室11の内部に大電流遮断に必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保できる。また、逆止弁14は開放されず、自力室11の高い圧力がピストン15に作用することがなく、従来の直列パッファ形遮断器と同様の小さな駆動力で、より優れた電流遮断性能を得ることができる。
(中小電流遮断)
一方、中小電流を遮断する際は、アーク放電7の加熱作用が小さいので、自力室11の内部圧力はさほど上昇することなく、逆止弁14が開放されて機械圧縮室12から電流遮断に必要となる消弧性ガス1が供給される。このとき、可動壁22は動作することなく、可変ボリューム部20の容積は最大のままであり、自力室11の容積は最小となる。したがって、機械圧縮室12から供給される消弧性ガス1は、自力室11を経由する際に圧力および流量の損失を低減でき、中小電流においても優れた遮断性能を得ることができる。
一方、中小電流を遮断する際は、アーク放電7の加熱作用が小さいので、自力室11の内部圧力はさほど上昇することなく、逆止弁14が開放されて機械圧縮室12から電流遮断に必要となる消弧性ガス1が供給される。このとき、可動壁22は動作することなく、可変ボリューム部20の容積は最大のままであり、自力室11の容積は最小となる。したがって、機械圧縮室12から供給される消弧性ガス1は、自力室11を経由する際に圧力および流量の損失を低減でき、中小電流においても優れた遮断性能を得ることができる。
さらに、第2の実施形態では、上記第1の実施形態の持つ作用効果に加えて、次のような独自の作用効果を有している。すなわち、可変ボリューム部20を自力室11の外側に配置したことにより、前記仕切り板21の配置によって自力室11の内部形状に制約を与えることがない。このため、大電流遮断時に取り込んだ高温のガスと低温ガスの混合を妨げることなく、効率的にアーク放電7に吹付けることができる。
しかも、図2に示したように、例えば、ピストン15の外周位置に可変ボリューム部20を配置したので、自力室11の軸方向長さを短く構成することができる。このため、特に中小電流遮断においては、機械圧縮室12からアーク放電7までの距離が短くなる。したがって、機械圧縮室12からの消弧性ガス1の吹き付け効果はより高くなり、優れた遮断性能を確保できる。また、このような構成によりパッファシリンダ9の軸方向長さも短くすることができ、ガス遮断器全体の小形化と可動部の軽量化をいっそう進めることが可能となる。
(3)第3の実施形態
[構成]
次に、第3の実施形態について図3を用いて説明する。図3においては、中心線の右側が第1の実施形態の構成に第3の実施形態を付加したもので大電流遮断時の状態を示しており、中心線の左側が第2の実施形態の構成に第3の実施形態を付加したもので大電流遮断時の状態を示している。なお、第3の実施形態における遮断器の基本的な構成は図1および図2で説明した第1および第2の実施の形態と同様である。第3の実施形態の特徴は、可変ボリューム部20の内部に放圧穴24が設けられた点にある。
[構成]
次に、第3の実施形態について図3を用いて説明する。図3においては、中心線の右側が第1の実施形態の構成に第3の実施形態を付加したもので大電流遮断時の状態を示しており、中心線の左側が第2の実施形態の構成に第3の実施形態を付加したもので大電流遮断時の状態を示している。なお、第3の実施形態における遮断器の基本的な構成は図1および図2で説明した第1および第2の実施の形態と同様である。第3の実施形態の特徴は、可変ボリューム部20の内部に放圧穴24が設けられた点にある。
放圧穴24は、図3に示すように自力室11の内外を連通するように、可動壁22の動作方向と垂直に設けられている。通常時には、放圧穴24は可変ボリューム部20の内部に位置し、可動壁22によって自力室11と気密が保たれているため、自力室11の内外は放圧穴24によって連通していない状態となっている。中小電流遮断時にも、自力室11の内部圧力はさほど上昇しないため、同様に放圧穴24は可変ボリューム部20の内部に位置し、自力室11の内外は放圧穴24によって連通していない。
これに対して、大電流遮断時に自力室11の内部圧力が、予め設定された設定値以上に上昇した場合、可動壁22はばね23を圧縮する方向に動作し、自力室11と放圧穴24が連通して外部に消弧性ガス1の一部を放出するようになっている(点線の矢印にて図示)。なお、自力室11の内部圧力が、電流遮断に必要な圧力まで低下すると、可動壁22の動作によって放圧穴24は可変ボリューム部20の内部に位置して放圧を停止するようになっている。
[作用効果]
(大電流遮断)
以上の構成を有する第3の実施形態は、上記第1および第2の実施形態と同様の作用効果が得られる。すなわち、大電流遮断時に、自力室11の内部圧力がアーク放電7の加熱作用により著しく上昇すると、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作して、可変ボリューム部20の容積が減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。したがって、自力室11内部に大電流遮断に必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保でき、しかも逆止弁14は未開放で自力室11の高い圧力がピストン15に作用することがないので、小さな駆動力でより優れた電流遮断性能を得ることが可能である。
(大電流遮断)
以上の構成を有する第3の実施形態は、上記第1および第2の実施形態と同様の作用効果が得られる。すなわち、大電流遮断時に、自力室11の内部圧力がアーク放電7の加熱作用により著しく上昇すると、可動壁22がばね23を圧縮する方向に動作して、可変ボリューム部20の容積が減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。したがって、自力室11内部に大電流遮断に必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保でき、しかも逆止弁14は未開放で自力室11の高い圧力がピストン15に作用することがないので、小さな駆動力でより優れた電流遮断性能を得ることが可能である。
(中小電流遮断)
一方、中小電流を遮断する際は、アーク放電7の加熱作用が小さいので、自力室11内部の圧力上昇は起きず、逆止弁14が開放されて機械圧縮室12から消弧性ガス1が流れ込む。このとき、可動壁22は動作することなく、可変ボリューム部20の容積は最大で、自力室11の容積は最小となる。したがって、機械圧縮室12から供給される消弧性ガス1は、圧力および流量を失うことなく自力室11をスムーズに流れ、中小電流を確実に遮断することができる。すなわち、大電流遮断時においても中小電流遮断時においても、可変ボリューム部20の容積が増減して自力室11の容積を最適に保つことによって、必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保できる。
一方、中小電流を遮断する際は、アーク放電7の加熱作用が小さいので、自力室11内部の圧力上昇は起きず、逆止弁14が開放されて機械圧縮室12から消弧性ガス1が流れ込む。このとき、可動壁22は動作することなく、可変ボリューム部20の容積は最大で、自力室11の容積は最小となる。したがって、機械圧縮室12から供給される消弧性ガス1は、圧力および流量を失うことなく自力室11をスムーズに流れ、中小電流を確実に遮断することができる。すなわち、大電流遮断時においても中小電流遮断時においても、可変ボリューム部20の容積が増減して自力室11の容積を最適に保つことによって、必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保できる。
ただし、直流分を多く含むような大きな電流を遮断する場合には、自力室11の内部圧力が必要以上に上昇する可能性がある。そこで第3の実施形態では、自力室11の内部圧力が必要以上に上昇したとき、放圧穴24から消弧性ガス1を抜いて放圧することによって、自力室11の過剰な内部圧力上昇を防ぐことができ、絶縁ノズル8などの部品を破損することがない。したがって、安定した遮断性能を維持することができ、信頼性がいっそう向上する。
(4)第4の実施形態
[構成]
第4の実施形態について図4を用いて説明する。図4においては、中心線の左側が大電流遮断時における状態を示しており、中心線の右側が中小電流遮断時における状態を示している。本実施形態におけるガス遮断器の基本的な構成は図1および図2で説明した第1および第2の実施形態と同様である。第4の実施形態の特徴は、可動壁22の支持構成にある。
[構成]
第4の実施形態について図4を用いて説明する。図4においては、中心線の左側が大電流遮断時における状態を示しており、中心線の右側が中小電流遮断時における状態を示している。本実施形態におけるガス遮断器の基本的な構成は図1および図2で説明した第1および第2の実施形態と同様である。第4の実施形態の特徴は、可動壁22の支持構成にある。
すなわち、第4の実施形態における可変ボリューム部20は、図4に示すように可動壁22によって気密を保たれた内部に、通常時のガス遮断器内の消弧性ガス1の圧力よりも高圧力の高圧ガス25が封入されている。高圧ガス25の種類は、消弧性ガス1を高圧としたものでも、その他のガスでもあり得る。可動壁22は、パッファシリンダ9に垂直に配置され、気密を保ちながら仕切り板21とパッファシリンダ9の内壁を摺動可能となっている。
第4の実施形態では、通常時の可動壁22は、第1および第2の実施形態のように、ばね23によって支持されているのではなく、高圧ガス25の圧力によって仕切り板21の端部のストッパー26と接触して静止しており、このとき可変ボリューム部20の容積は最大となり、自力室11の容積は最小となる。そして、自力室11の内部圧力が上昇して高圧ガス25の圧力を上回ると、可動壁22が高圧ガス25を圧縮する方向に動作し、可変ボリューム部20の容積が減少するのに合わせて自力室11の容積を増加させるようになっている。
[作用効果]
(大電流遮断)
このような構成を有する第4の実施形態は、第1および第2の実施の形態と同様の作用効果が得られる。すなわち、大電流遮断時においては、自力室11の内部圧力はアーク7の加熱作用により著しく上昇する。このとき、可動壁22が高圧ガス25を圧縮する方向に動作して、可変ボリューム部20の容積は減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。よって、自力室11の内部に大電流遮断に必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保できる。また、逆止弁14は開放されず、自力室11の高い圧力がピストン15に作用することがないので、従来の直列パッファ形遮断器と同様の小さな駆動力で、より優れた電流遮断性能を得ることができる。
(大電流遮断)
このような構成を有する第4の実施形態は、第1および第2の実施の形態と同様の作用効果が得られる。すなわち、大電流遮断時においては、自力室11の内部圧力はアーク7の加熱作用により著しく上昇する。このとき、可動壁22が高圧ガス25を圧縮する方向に動作して、可変ボリューム部20の容積は減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。よって、自力室11の内部に大電流遮断に必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保できる。また、逆止弁14は開放されず、自力室11の高い圧力がピストン15に作用することがないので、従来の直列パッファ形遮断器と同様の小さな駆動力で、より優れた電流遮断性能を得ることができる。
(中小電流遮断)
一方、中小電流を遮断する場合には、アーク放電7の加熱作用が小さいため、自力室11の内部圧力はさほど上昇しない。したがって、逆止弁14が開放され、機械圧縮室12から電流遮断に必要となる消弧性ガス1が供給される。このとき、可動壁22は動作することなく、高圧ガス25の圧力によって仕切り板21の端部のストッパー26と接触して静止しており、可変ボリューム部20の容積は最大となっている。このため、自力室11の容積は最小となって、機械圧縮室12から供給される消弧性ガス1は、自力室11を経由しても圧力および流量の損失量を低く抑えることができる。これにより、中小電流領域においても優れた遮断性能を得ることができる。
一方、中小電流を遮断する場合には、アーク放電7の加熱作用が小さいため、自力室11の内部圧力はさほど上昇しない。したがって、逆止弁14が開放され、機械圧縮室12から電流遮断に必要となる消弧性ガス1が供給される。このとき、可動壁22は動作することなく、高圧ガス25の圧力によって仕切り板21の端部のストッパー26と接触して静止しており、可変ボリューム部20の容積は最大となっている。このため、自力室11の容積は最小となって、機械圧縮室12から供給される消弧性ガス1は、自力室11を経由しても圧力および流量の損失量を低く抑えることができる。これにより、中小電流領域においても優れた遮断性能を得ることができる。
さらに、第4の実施形態では、前記ばね23を必要とせず、可変ボリューム部20に封入した高圧ガス25により上記の作用効果を得ることができるので、構成の簡略化をさらに進めることが可能であって、小形化・低コスト化に寄与することができる。
(5)第5の実施形態
[構成]
第5の実施形態について図5を用いて説明する。図5においては、中心線の左側が大電流遮断時における状態を示しており、中心線の右側が中小電流遮断時における状態を示している。
[構成]
第5の実施形態について図5を用いて説明する。図5においては、中心線の左側が大電流遮断時における状態を示しており、中心線の右側が中小電流遮断時における状態を示している。
第5の実施形態は基本的な構成は図1、図2および図4で説明した第1、第2および第4の実施形態と同様であり、前記第4の実施形態と同じく可動壁22の支持構成に特徴がある。第5の実施形態では、図5に示すように可動壁22によって気密を保たれた可変ボリューム20部の内部に、消弧性ガス1が通常時の自力室11の内部圧力と同圧力にて封入された点に構成上の特徴がある。
すなわち、自力室11の内部圧力が上昇すると、可動壁22が可変ボリューム20の内部に封入されている消弧性ガス1を圧縮する方向に動作し、可変ボリューム部20の容積が減少するのに合わせて自力室11の容積を増加させるようになっており、その他の構成は、図4に示した第4の実施形態と同様である。
[作用効果]
(大電流遮断)
上記構成の第5の実施形態では、第1、第2および第4の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、大電流遮断時においては、自力室11の内部圧力はアーク7の加熱作用により著しく上昇すると、可動壁22が消弧性ガス1を圧縮する方向に動作する。これにより、可変ボリューム部20の容積は減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。よって、自力室11の内部に大電流遮断に必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保できる。また、逆止弁14は開放されず、自力室11の高い圧力がピストン15に作用することがないので、従来の直列パッファ形遮断器と同様の小さな駆動力で、より優れた電流遮断性能を得ることができる。
(大電流遮断)
上記構成の第5の実施形態では、第1、第2および第4の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、大電流遮断時においては、自力室11の内部圧力はアーク7の加熱作用により著しく上昇すると、可動壁22が消弧性ガス1を圧縮する方向に動作する。これにより、可変ボリューム部20の容積は減少し、その分だけ自力室11の容積は増加する。よって、自力室11の内部に大電流遮断に必要な消弧性ガス1のアーク放電7への吹付け圧力と流量を確保できる。また、逆止弁14は開放されず、自力室11の高い圧力がピストン15に作用することがないので、従来の直列パッファ形遮断器と同様の小さな駆動力で、より優れた電流遮断性能を得ることができる。
(中小電流遮断)
一方、中小電流を遮断する場合には、アーク放電7の加熱作用が小さいため、自力室11の内部圧力はさほど上昇せず、逆止弁14が開放されて機械圧縮室12から電流遮断に必要となる消弧性ガス1が供給される。このとき、可動壁22は動作せず、消弧性ガス1の圧力によって仕切り板21の端部のストッパー26と接触して静止したままであり、可変ボリューム部20の容積は最大となっている。このため、自力室11の容積は最小となって、機械圧縮室12から供給される消弧性ガス1は、自力室11を経由しても圧力および流量の損失量を低く抑制できる。これにより、中小電流領域においても優れた遮断性能を発揮することができる。
一方、中小電流を遮断する場合には、アーク放電7の加熱作用が小さいため、自力室11の内部圧力はさほど上昇せず、逆止弁14が開放されて機械圧縮室12から電流遮断に必要となる消弧性ガス1が供給される。このとき、可動壁22は動作せず、消弧性ガス1の圧力によって仕切り板21の端部のストッパー26と接触して静止したままであり、可変ボリューム部20の容積は最大となっている。このため、自力室11の容積は最小となって、機械圧縮室12から供給される消弧性ガス1は、自力室11を経由しても圧力および流量の損失量を低く抑制できる。これにより、中小電流領域においても優れた遮断性能を発揮することができる。
しかも、第5の実施形態においては、可変ボリューム部20に封入するガスを、上記第4の実施形態のように高圧ガス25を用いるのではなく、通常時の自力室11の内部圧力と同圧力にて消弧性ガス1を封入したので、可動壁22の動作距離は長くなる傾向にあるが、常時圧力差を保持する必要がない。そのため、可動壁22および可変ボリューム部20を構成する部品は、より簡便な構造にできる。したがって、小形化・低コスト化が容易に実現する。
(6)他の実施形態
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、大電流遮断と中小電流遮断の両方の優れた遮断性能を得るために自力室の内部圧力の状態によって自力室の容積が増減するように形成したことに特徴があり、これを実現するための構成部材の構成や形状であれば適宜変更可能である。
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、大電流遮断と中小電流遮断の両方の優れた遮断性能を得るために自力室の内部圧力の状態によって自力室の容積が増減するように形成したことに特徴があり、これを実現するための構成部材の構成や形状であれば適宜変更可能である。
また、消弧性ガスとして、六弗化硫黄ガスよりも地球温暖化係数の小さいガスを使用した実施形態も包含する。従来、消弧性ガスとしては、優れた消弧性能および電気絶縁性能を有する六弗化硫黄ガスが使用されているが、六弗化硫黄ガスは二酸化炭素ガスの23,900倍の地球温暖化効果を有するといわれており、環境調和の観点からその使用を避けることが望ましい。
しかしながら、環境への影響が小さいガス、具体的には六弗化硫黄ガスよりも地球温暖化係数の小さい空気、窒素、二酸化炭素などを代替として使用すると、消弧性能および電気絶縁性能は六弗化硫黄ガスよりも劣るため、遮断性能が劣化することが懸念される。そのため、六弗化硫黄ガス以外のガスを使用して従来機器と同等の遮断性能を得るためには、パッファシリンダ9やピストン15などの構成部材を大きくしたりして、機械圧縮室12からアーク放電7へのガスの吹き付け圧力や流量を多くしなければならないが、大きな駆動力で可動部分を駆動する必要がでてくる。
本発明では、自力室11内の圧力変化に合わせて可変ボリューム部20を有効に調整するので、六弗化硫黄ガスよりも地球温暖化係数の小さいガスを使用しながらも、機器の大形化、駆動力の増大を防ぐことができ、小さな駆動力でも大電流および中小電流領域においても優れた電流遮断性能を発揮でき、環境への負担を軽減できるガス遮断器を提供することができる。
1…消弧性ガス
2…対向アーク接点
3…対向通電接点
4…可動アーク接点
5…可動通電接点
6…駆動ロッド
7…アーク放電
8…絶縁ノズル
9…パッファシリンダ
10…連結板
11…自力室
12…機械圧縮室
13…連通孔
14…逆止弁
15…ピストン
16…排気穴
17…吸気穴
18…放圧バルブ
19…吸気バルブ
20…可変ボリューム部
21…仕切り板
22…可動壁
23…ばね
24…放圧穴
25…高圧ガス
26…ストッパー
2…対向アーク接点
3…対向通電接点
4…可動アーク接点
5…可動通電接点
6…駆動ロッド
7…アーク放電
8…絶縁ノズル
9…パッファシリンダ
10…連結板
11…自力室
12…機械圧縮室
13…連通孔
14…逆止弁
15…ピストン
16…排気穴
17…吸気穴
18…放圧バルブ
19…吸気バルブ
20…可変ボリューム部
21…仕切り板
22…可動壁
23…ばね
24…放圧穴
25…高圧ガス
26…ストッパー
Claims (8)
- 消弧性ガスが充填された密閉容器が設けられ、前記密閉容器内には可動アーク接点および可動通電接点、並びにこれら可動側の接点と一体のパッファシリンダが、駆動ロッドによって軸方向に駆動可能に配置され、前記可動アーク接点および前記可動通電接点と同心軸上に向かい合って対向アーク接点および対向通電接点が接離自在に配置され、前記パッファシリンダには絶縁ノズルが取り付けられ、前記可動アーク電極と前記対向アーク電極の間に発生しうるアーク放電に対して前記絶縁ノズルが整流した前記消弧性ガスを吹き付けるように構成され、さらに前記パッファシリンダの内部は、自力室と機械圧縮室とに区切られており、前記自力室は前記機械圧縮室とは反対側で前記アーク放電側に配置され、前記機械圧縮室は前記パッファシリンダの軸線に対して垂直に配置された連結板と常に静止状態にあるピストンとにより挟まれた空間から形成されると共に内部の過剰な圧力上昇を防止する放圧手段が設けられ、前記連結板には前記自力室と前記機械圧縮室とを連通する連通孔と、それに付随する逆止弁が設置され、前記逆止弁は前記自力室から前記機械圧縮室へのガスの流れは常に制約し、前記自力室の圧力が前記機械圧縮室の圧力よりも低い場合にのみその圧力差により開放されるように構成されたガス遮断器において、
移動可能な可動壁を介して前記自力室に接する可変ボリューム部が設けられ、
前記可変ボリューム部は、前記自力室の内部に配置された仕切り板および前記パッファシリンダの内壁面および前記可動壁によって気密が保たれるように形成され、
前記可動壁は、前記自力室の内部圧力が所定値を上回ると前記可変ボリューム部の容積を減らす方向に前記仕切り板に沿って動作するように構成されたことを特徴としたガス遮断器。 - 前記可動壁には前記可変ボリューム部内に該可動壁を支持するためのばねが取り付けられ、
前記可動壁は、前記自力室の内部圧力が前記ばねのばね力を上回ると前記可変ボリューム部の容積を減らす方向に前記仕切り板に沿って動作するように構成されたことを特徴とした請求項1記載のガス遮断器。 - 前記可変ボリューム部は、前記自力室の内部に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス遮断器。
- 前記可変ボリューム部は、前記可動壁を介して前記自力室に隣接して形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス遮断器。
- 前記パッファシリンダにおいて前記自力室の内部圧力が上昇したときに前記可動壁が通過する位置には前記自力室の内外を連通して前記自力室の内部圧力を放圧する放圧穴が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス遮断器。
- 前記可変ボリューム部にはガス遮断器内の消弧性ガス圧力よりも高圧力の高圧ガスが封入され、
前記可動壁は、前記自力室の内部圧力が前記可変ボリュームに封入した高圧ガスの圧力よりも上回ると前記可変ボリューム部の容積を減らす方向に前記仕切り板に沿って動作するように構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス遮断器。 - 前記可変ボリューム部にはガス遮断器内と等しい圧力の消弧性ガスが封入され、
前記可動壁は、前記自力室の内部圧力が上昇して所定値を上回ると前記可変ボリューム部の容積を減らす方向に前記仕切り板に沿って動作するように構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス遮断器。 - 前記消弧性ガスとして六弗化硫黄ガスよりも地球温暖化係数の小さいガスを使用したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガス遮断器。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110823 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20120110 |