JP2008074218A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本ステアリング装置1は、ラックアンドピニオン式であり、ラックハウジング15の第1および第2の端部15a,15bに、第1および第2のラックブッシュ28,29を弾性支持する。ピニオン軸13に相対的に近い側にある第1のラックブッシュ28は、ラック軸14の端部14bを軸方向Sに摺動自在に支持する支持孔34を有する。弾性部材31が、第1のラックブッシュ28を介してラック軸14をピニオン軸13に向かう所定の付勢方向Fに付勢する。支持孔34の内周面35は、ラック軸14を付勢方向Fに押圧し、付勢方向Fに直交する方向Cへのラック軸14の移動を規制する。ラック軸14とピニオン軸13との間のバックラッシを小さくでき、従来のラック軸支持装置を廃止でき、構造を簡素化できる。
【選択図】図3
Description
ラック軸の軸方向に関するハウジングの中間部において、ラック軸は、ラック軸支持装置により支持されている。このラック軸支持装置は、ラック軸をその軸方向に摺動自在に支持するサポートヨークを有している。このサポートヨークは、ハウジング内の保持孔に、ラック軸の軸方向に直交する方向に移動自在に保持されていて、この方向にばねにより付勢されることにより、ラック軸をピニオン軸へ向けて付勢している。
また、特許文献1では、ラックブッシュは、弾力的に付勢された複数のボールを介してラック軸を受けている。すなわち、ラック軸の周方向に等間隔に配置された3個のボールが、ラック軸の対応する軸方向溝に転がり接触する状態で、ラック軸を軸方向に移動可能に支持している。各ボールとラックブッシュとの間には、ラック軸を径方向に付勢する弾性部材がそれぞれ介在している。これらの弾性部材は互いに協働して、ラック軸を当該ラック軸の中心がハウジングの中心と一致するように付勢している。
また、本発明において、上記ラックブッシュの支持孔の内周面は、上記所定の付勢方向と直交する方向への、ラック軸の移動を規制する一対の規制部と、上記所定の付勢方向への弾性部材の付勢力によりラック軸のラック歯の背面を押圧する押圧部とを含み、これら一対の規制部および押圧部によって、ラック軸が3点支持されている場合がある(請求項3)。この場合、付勢方向および上述の直交する方向に関してのラック軸のがたつきが確実に防止される。
また、本発明において、上記ラックブッシュの支持孔の内周面は、上記一対の規制部および押圧部の少なくとも1つに対応して凸部を設けている場合がある(請求項5)。この場合、ラックブッシュとラック軸との接触面積を低減して、軸方向に関してのラック軸の移動抵抗を低減することができる。
また、本発明において、上記保持孔の内周面と、ラックブッシュの外周面との間に、環状のOリングが介在し、このOリングによって、ラック軸が弾性支持されている場合がある(請求項8)。この場合、付勢方向に関しては、弾性部材がラックブッシュを介してラック軸を付勢することができる。しかも、直交する方向に関しては、Oリングの弾性反発力によりラックブッシュのがたつきの発生を抑制することができ、さらに、これらの効果を簡素な構造で達成することができる。
図1は、本発明の一実施形態のステアリング装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、操舵部材としてのステアリングホイール3に加えられる操舵トルクを伝達するステアリングシャフト4と、ステアリングシャフト4からの操舵トルクにより操向輪2を操舵するためのラックアンドピニオン機構からなる操舵機構5と、ステアリングシャフト4および操舵機構5の間に設けられてこの間において回転を伝達する軸継手としての中間軸6とを有している。
操舵機構5は、入力軸としてのピニオン軸13と、自動車の横方向(直進方向と直交する方向である。)に延びる転舵軸としてのラック軸14と、ピニオン軸13およびラック軸14を支持するラックハウジング15とを有している。ピニオン軸13のピニオン歯13aと、ラック軸14のラック歯14aとが互いに噛み合っている。
ステアリング装置1は、操舵トルクに応じて操舵補助力を得られるようになっている。すなわち、ステアリング装置1は、操舵トルクを検出するトルクセンサ16と、制御部としてのECU(Electronic Control Unit :電子制御ユニット)17と、操舵補助用の電動モータ18と、伝動装置としての減速機19とを有している。本実施形態では、電動モータ18および減速機19は、ステアリングコラム7に関連して設けられている。
ステアリングホイール3が操作されると、操舵トルクがトルクセンサ16により検出され、トルク検出結果および車速検出結果等に応じて電動モータ18が操舵補助力を発生させる。操舵補助力は、減速機19を介してピニオン軸13に伝達される。これとともに、ステアリングホイール3の動きも、操舵機構5に伝わる。その結果、操向輪2が操舵されるとともに、操舵が補助される。
ラック軸14は、長尺の棒状部材であり、例えば、断面円形等の断面丸形に形成されている。ラック軸14は、その軸方向Sに関しての一部であってラック歯14aが形成された第1の部分と、この第1の部分を除いた残りの部分であってラック歯14aが形成されていない第2の部分とを有している。第1の部分の外周面は、断面円弧形状をなす湾曲部と、軸方向Sに平行な平坦部とを有している。この平坦部にラック歯14aが形成されている。第2の部分の外周面は、断面円形をなしている。
ラックハウジング15の中間部15cは、軸受(図示せず)を介してピニオン軸13を回動自在に支持している。ピニオン軸13は、第1の端部15aに相対的に近くなるように配置され、第2の端部15bに相対的に遠くなるように配置されている。なお、中間部15cでは、従来のラック軸支持装置は廃止されている。
第1のラックブッシュ28と、弾性部材31と、一方のラックストッパ30とは、ピニオン軸13に相対的に近い第1の端部15aに保持されている。第2のラックブッシュ29と、他方のラックストッパ30とは、第2の端部15bに保持されている。
図2は、図1に示すステアリング装置1の操舵機構5の要部D2の断面図であり、図3に示すS2−S2断面を示す。図3は、図2のS3−S3断面の断面図である。
保持孔32の開口端に、ラックストッパ30が固定されている。ラックストッパ30は、環状をなし、ボールジョイントユニット26(図1参照)の一部と当接することにより、ラック軸14の軸方向Sに関してのラックハウジング15に対するラック軸14の移動範囲を規制する。
凹部33は、保持孔32の内周面32aの一部に所定深さで形成されていて、保持孔32の内側へ開放されている。凹部33は、ラック軸14の軸方向Sに関して、保持孔32の内周面32aの中央部に配置されている。また、ラック軸14の軸方向Sに沿って見たときに、凹部33とピニオン軸13とは、ラック軸14を挟んで、互いに反対側に配置されている。
弾性部材31は、弾性体としての合成樹脂材料により形成された板ばねからなる。この板ばねは、互いに反対側にある一対の面を有している。板ばねは、ラック軸14の軸方向Sから見たときに断面湾曲形状をなしている。一方の面が凸湾曲し、他方の面が凹湾曲している。凹湾曲している面の両端部が、第1のラックブッシュ28の外周面39に接続されていて、固定されている。凹湾曲している面の中央部が、対向する部分としての第1のラックブッシュ28との間に隙間を開けている。凸湾曲している面の中央部が、凹部33の底面に接続され、当接している。凸湾曲している面の両端部が、凹部33の側壁にともに当接している。なお、弾性部材31の向きが逆に配置されて、凸湾曲している面の中央部が第1のラックブッシュ28の外周面39に接続され、凹湾曲している面の両端部が凹部33の底面に接続されることも考えられる。
第1のラックブッシュ28は、筒状をなしている。第1のラックブッシュ28の筒の中心軸線が、ラック軸14の軸方向Sに平行に配置されている。第1のラックブッシュ28は、摺動特性が優れた材料としての合成樹脂部材により形成されている。
支持孔34の内周面35は、ラック軸14の移動を規制する一対の規制部36と、所定の付勢方向Fにラック軸14を押圧する押圧部37と、押圧部37に対向する対向部38とを有している。一対の規制部36と押圧部37と対向部38との端縁同士が互いに接続されることにより、内周面35が形成されている。また、一対の規制部36および押圧部37によって、ラック軸14が3点支持されている。
押圧部37は、平坦面に形成されていて、ラック軸14に線接触している。押圧部37の平坦面は、所定の付勢方向Fに直交し且つ軸方向Sに平行な面からなる。ラック軸14の軸方向Sに垂直な断面において、押圧部37は、所定の付勢方向Fへの弾性部材31の付勢力を受けて、ラック軸14のラック歯14aの背面14cを押圧している。この背面14cは、ラック軸14の軸方向Sから見たときに、ラック歯14aとは径方向Rについて反対側にあり軸方向Sに延びる面であり、軸方向Sに関してラック歯14aが形成された部分と、ラック歯14aが形成されていない部分とのいずれにあってもよい。
第1のラックブッシュ28の外周面39と保持孔32の内周面32aとの間には、所定量の隙間が開けられているとともに、この隙間に環状のOリング41が介在している。このOリング41は、第1のラックブッシュ28を取り囲んで弾性圧縮変形されていて、第1のラックブッシュ28を介してラック軸14を弾性支持している。これにより、第1のラックブッシュ28は、ラック軸14の任意の径方向Rについて、保持孔32内で変位可能に支持されている。
図1に戻って、ラックハウジング15の第2の端部15bは、保持孔32を有している。この保持孔32は、第2のラックブッシュ29を嵌合状態で保持し、凹部33を廃止されている。第2のラックブッシュ29は、弾性部材31の付勢がない点を除いて、第1のラックブッシュ28と同様に保持孔32に保持されている。
また、第1のラックブッシュ28は、その中央部の支持孔34にラック軸14を挿通させているので、第1のラックブッシュ28が、所定の付勢方向Fに弾性部材31により付勢された状態で、上記所定の付勢方向Fにラックハウジング15により変位可能に保持されている場合であっても、中央部を挿通するラック軸14により第1のラックブッシュ28の姿勢が規制され、従来のサポートヨークに比べて、第1のラックブッシュ28の倒れやがたつきの発生が抑制される。ひいては、ラックハウジング15の保持孔32の内周面32aと第1のラックブッシュ28の外周面39との間の隙間を厳密に管理せずに済み、製造コストを安価にできる。
また、第1および第2のラックブッシュ28,29は、ラック軸14に摺動自在に接するので、ラック軸との間にボールを介在させる場合に比べて、構造を簡素化できる。
さらに、第1および第2のラックブッシュ28,29は、直交する方向Cについてのラック軸14の移動をともに規制している。これにより、ラック軸14の軸方向移動時に第1および第2のラックブッシュ28,29のがたつきが生じ難く、このがたつきに起因する異音の発生を抑制することができる。
また、第1のラックブッシュ28の支持孔34の内周面35は、押圧部37と対向する対向部38を含む。この対向部38とラック軸14との間に所定の隙間40が設けられている。この場合、軸方向Sに関してのラック軸14の移動抵抗の低減に寄与する。また、ラック軸14を第1のラックブッシュ28に容易に通すことができるので、ステアリング装置1を組立易い。
また、本実施形態について、以下のような変形例を考えることができる。以下の説明では、上述の実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
また、弾性部材31は、凹部33の底面に2箇所で受けられていて、第1のラックブッシュ28の外周面39に1箇所で接している。なお、弾性部材31を、逆向きにし第1の実施形態のように配置してもよい。
内周面35は、円筒面からなる湾曲部45と、この湾曲部45から径方向内方に突出した上述の凸部44とを有している。第1のラックブッシュ28の支持孔34の内周面35の一対の規制部36および押圧部37は、3つの凸部44の先端に配置されている。各凸部44の先端は、平坦面に形成されている。これらの平坦面は、第1の実施形態における一対の規制部36および押圧部37の対応する平坦面と同様に形成されている。また、各凸部44は、軸方向Sに関して第1のラックブッシュ28の全長にわたって延びていて、断面形状は、軸方向Sに関して一定に形成されている。
このように第1のラックブッシュ28の支持孔34の内周面35は、一対の規制部36および押圧部37の少なくとも1つに対応して凸部44を設けている。この場合、第1のラックブッシュ28とラック軸14との接触面積を低減して、軸方向Sに関してのラック軸14の移動抵抗を低減することができる。
Claims (8)
- ラックアンドピニオン式のステアリング装置において、
ラック軸が挿通され、軸方向に関して第1および第2の端部を有する筒状のハウジングと、
このハウジングの第1および第2の端部のうちピニオン軸に相対的に近い第1の端部に保持され、ラック軸の端部を軸方向に摺動自在に支持する支持孔を有するラックブッシュと、
このラックブッシュを介してラック軸をピニオン軸に向かう所定の付勢方向に付勢する弾性部材とを備え、
上記ラックブッシュは、ハウジングによって上記所定の付勢方向に変位可能に支持されていることを特徴とするステアリング装置。 - 請求項1において、上記ハウジングは、ラックブッシュを保持する保持孔を有し、保持孔の内周面の一部に、上記弾性部材を収容するための凹部が形成されていることを特徴とするステアリング装置。
- 請求項1または2において、上記ラックブッシュの支持孔の内周面は、上記所定の付勢方向と直交する方向への、ラック軸の移動を規制する一対の規制部と、上記所定の付勢方向への弾性部材の付勢力によりラック軸のラック歯の背面を押圧する押圧部とを含み、これら一対の規制部および押圧部によって、ラック軸が3点支持されていることを特徴とするステアリング装置。
- 請求項3において、上記一対の規制部のそれぞれは、上記所定の付勢方向と平行な平坦面を含むことを特徴とするステアリング装置。
- 請求項3において、上記ラックブッシュの支持孔の内周面は、上記一対の規制部および押圧部の少なくとも1つに対応して凸部を設けていることを特徴とするステアリング装置。
- 請求項3から5の何れか1項において、上記ラックブッシュの支持孔の内周面は、上記押圧部と対向する対向部を含み、この対向部とラック軸との間に所定の隙間が設けられていることを特徴とするステアリング装置。
- 請求項2から6の何れか1項において、上記凹部に収容された弾性部材は、ラックブッシュの周方向への移動を規制するように、ラックブッシュと連結されていることを特徴とするステアリング装置。
- 請求項2から7の何れか1項において、上記保持孔の内周面と、ラックブッシュの外周面との間に、環状のOリングが介在し、このOリングによって、ラック軸が弾性支持されていることを特徴とするステアリング装置。
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