JP2008058455A - アクティブマトリクス基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライプロセスとフォトリソエッチングを組み合わせた工程の回数を低減させる。
【解決手段】格子パターンの配線を基板P上に形成する第1工程と、配線の一部上に絶縁膜と半導体膜とからなる積層部を形成する第2工程と、配線及び積層部を覆う透明絶縁膜12を成膜する第3工程と、透明絶縁膜12上に、半導体膜を介して配線と電気的に接続される画素電極を形成する第4工程とを有する。第4工程では、透明絶縁膜12を貫通して画素電極と半導体膜とを電気的に接続する接続電極、画素電極が形成される画素領域、及び画素毎に画素領域を区画する区画部に対応するレジスト59を透明絶縁膜12上に形成する工程を有する。レジスト59のうち、接続電極に対応するレジストに対して第1エネルギ量で露光し、画素領域に対応するレジストに対して第1エネルギ量よりも小さい第2エネルギ量で露光し、区画部に対応するレジストに対して非露光とする工程を含む。
【選択図】図17
【解決手段】格子パターンの配線を基板P上に形成する第1工程と、配線の一部上に絶縁膜と半導体膜とからなる積層部を形成する第2工程と、配線及び積層部を覆う透明絶縁膜12を成膜する第3工程と、透明絶縁膜12上に、半導体膜を介して配線と電気的に接続される画素電極を形成する第4工程とを有する。第4工程では、透明絶縁膜12を貫通して画素電極と半導体膜とを電気的に接続する接続電極、画素電極が形成される画素領域、及び画素毎に画素領域を区画する区画部に対応するレジスト59を透明絶縁膜12上に形成する工程を有する。レジスト59のうち、接続電極に対応するレジストに対して第1エネルギ量で露光し、画素領域に対応するレジストに対して第1エネルギ量よりも小さい第2エネルギ量で露光し、区画部に対応するレジストに対して非露光とする工程を含む。
【選択図】図17
Description
本発明は、アクティブマトリクス基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法に関するものである。
ノートパソコン、携帯電話などの携帯機器の普及に伴い、薄くて軽量な液晶表示装置等が幅広く用いられている。この種の液晶表示装置等は、上基板及び下基板間に液晶層を挟持したものとなっている。
前記下基板は、ガラス基板と、このガラス基板上に互いに交差するように配線されたゲート走査電極及びソース電極と、同じくガラス基板上に配線されたドレイン電極と、このドレイン電極に接続された画素電極(ITO)と、ゲート走査電極とソース電極との間に介在された絶縁層と、薄膜半導体からなるTFT(Thin Film Transistor)とを備えて構成されている。
上記下基板における各金属配線の形成においては、例えば、特許文献1に示されるように、ドライプロセスとフォトリソエッチングを組み合わせた工程を複数回繰り返す手法が用いられている。
上記特許文献1に記載された技術では、ゲート配線、容量線、素子、ソース・ドレイン線、画素電極形成のために少なくとも4回のフォトリソ工程が必要である。
そこで、特許文献2には、ゲート線、容量線、及びゲート線との交差部で分断したソース線を同一層に形成するとともに、分断したソース線を異なる層で電気的に連結させることにより、フォトリソ工程を3回に低減させる技術が開示されている。
また、上記の画素電極とゲート配線(またはソース配線、以下トランジスタ配線と称する)との間は絶縁膜が介在するだけなので、各配線と画素電極との間に絶縁膜を介して寄生容量が発生し、これらの配線に印加する信号のロス及び遅延が生じるため、これを防ぐため、画素電極をゲート配線及びソース配線上から内側にずらした設計がなされており、結果として、画素電極面積の低下、強いては開口率の低下の原因となっている。
そこで、従来では、上記寄生容量を低減するために、画素電極とトランジスタ配線との間に感光性透明樹脂を介装している。
この構成では、感光性透明樹脂の存在により、上記寄生容量が低減するため、画素電極をゲート配線及びソース配線上から内側にずらす設計をする必要がなくなり、開口率の低下を抑制できる。
特許第3261699号公報
特開2006−065021号公報
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
感光性透明樹脂上の画素電極をパターニングするだけでも、二回のフォトリソ工程が必要である。具体的には、少なくとも画素電極とドレイン線とのコンタクト部について一回目のフォトリソ工程で透明樹脂を除去する。そして、スパッタリングや液滴吐出法により透明画素電極を成膜した後に、透明画素電極に垂直配向用のスリットパターンや画素間を区画するための微細なスリットパターンを形成するために、二回目のフォトリソ工程及びドライエッチングを行っている。
従って、上記特許文献2に記載された技術を用いても、五回のフォトリソ工程が必要になる。
このフォトリソ工程では、真空装置などの大掛かりな設備と複雑な工程を必要とし、材料使用効率も数%程度でそのほとんどを廃棄せざるを得ず、製造コストが高い。
したがって、製品コストの低価格化が要請されている液晶表示装置等にとっては、製造コスト低減及び生産性の向上の観点から、ドライプロセスとフォトリソエッチングを組み合わせた処理の回数をさらに減らすことが求められている。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、ドライプロセスとフォトリソエッチングを組み合わせた工程の回数を低減することができるアクティブマトリクス基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法は、格子パターンの配線を基板上に形成する第1工程と、前記配線の一部上に絶縁膜と半導体膜とからなる積層部を形成する第2工程と、前記配線及び前記積層部を覆う透明絶縁膜を成膜する第3工程と、前記透明絶縁膜上に、前記半導体膜を介して前記配線と電気的に接続される画素電極を形成する第4工程とを有し、前記第4工程では、前記透明絶縁膜を貫通して前記画素電極と前記半導体膜とを電気的に接続する接続電極、前記画素電極が形成される画素領域、及び画素毎に前記画素領域を区画する区画部に対応するレジストを前記透明絶縁膜上に形成する工程を有し、前記レジストのうち、前記接続電極に対応する前記レジストに対して第1エネルギ量で露光し、前記画素領域に対応する前記レジストに対して前記第1エネルギ量よりも小さい第2エネルギ量で露光し、前記区画部に対応する前記レジストに対して非露光とする工程を含むことを特徴とするものである。
従って、本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法では、第1エネルギ量及び第2エネルギ量で露光したレジストを現像・エッチングすることにより、第1エネルギ量で露光されたレジスト及び透明絶縁膜を除去して、当該透明絶縁膜を貫通し接続電極を形成するための貫通孔を形成することができるとともに、第2エネルギ量で露光されたレジストの一部を除去することができる。そして、本発明では、続いてエッチングすることにより、第2エネルギ量で露光されたレジストで残留した部分を除去し、非露光の区画部により画素領域に対応して隔壁を形成することができる。
そのため、本発明では、透明絶縁膜上に一回のフォトリソ工程により、接続電極及びこの接続電極により半導体膜に電気的に接続された画素電極を形成することが可能になり、製造コスト低減及び生産性の向上に寄与できる。
また、本発明では、透明絶縁樹脂により画素電極と配線との距離を大きく設定できるため、画素電極と配線との間で生じる寄生容量を低減させることが可能になり、画素電極を配線の上部にまで形成することで、開口率を向上させることもできる。
また、本発明では、前記第3工程が、前記透明絶縁膜の表面に撥液層を設ける工程を有する手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、表面が除去されない区画部の表面に撥液性を付与することが可能になるため、透明絶縁膜上に画素電極形成材料を含む液滴を塗布した際に、撥液性と親液性とのコントラストにより、画素領域に画素電極をパターニングして形成することができる。
この撥液層を形成する方式としては、フッ素成分を有するガスを用いたプラズマ処理で前記透明絶縁膜上に形成する方法や、フッ素成分を有する液状体を前記透明絶縁膜上に塗布して形成する方法を好適に採用できる。
また、本発明では、前記第4工程において、前記レジストの露光領域に応じて、前記第1エネルギ量及び前記第2エネルギ量で露光光を透過させるマスクを用いる手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、複数のマスクを用いることなく、また露光光の照射を複数回実施することなく、異なるエネルギ量でレジストを露光することが可能になり、生産性の向上に寄与できる。
また、本発明では、第1方向又は第2方向のいずれか一方の配線が交差部において分断され、前記積層部上に前記分断された配線を電気的に連結させる導電層を形成する工程を有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、格子パターンの配線の接触が回避されるので、これらの配線を同一面上に同時に形成することが可能となり、ドライプロセスとフォトリソエッチングを組み合わせた処理を減らすことができ、製造コストの低減や歩留まりの向上を図ることができる。また、分断された一方の配線は、導電層により電気的に連結することができる。
前記配線としては、ソース線、ゲート線、及びゲート線に沿って略直線状に伸びる容量線を有し、前記ソース線が前記交差部において分断されている構成を好適に採用できる。
従って、本発明では、これらの配線の接触が回避されるため、これらの配線を同一平面上に同時(同一工程)で形成することが可能になる。
前記第1工程としては、導電性材料を液滴吐出法により配置する工程を含む手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、さらにドライプロセスとフォトリソエッチングとを組み合わせた処理を低減することが可能になる。
そして、本発明の液晶表示装置の製造方法は、アクティブマトリクス基板を有する液晶表示装置の製造方法であって、前記アクティブマトリクス基板を先に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法で製造することを特徴とするものである。
従って、本発明の液晶表示装置の製造方法では、製造コスト低減及び生産性の向上に寄与できる。
また、本発明では、前記レジストが、前記区画部で囲まれた領域に設けられる液晶配向用パターンに対応して形成され、前記第4工程では、前記液晶配向用パターンに対応する前記レジストを、前記区画部とともに非露光とする手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、画素電極とともに、液晶配向用パターンも同一工程で形成することが可能になる。
以下、本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法の実施の形態を、図1ないし図25を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
<アクティブマトリクス基板>
図1は、本発明に係るアクティブマトリクス基板の一部を拡大した図である。
<アクティブマトリクス基板>
図1は、本発明に係るアクティブマトリクス基板の一部を拡大した図である。
アクティブマトリクス基板20上は、格子状(格子パターン)に配線されたゲート配線(ゲート線)40とソース配線(ソース線)42とを備える。すなわち、複数のゲート配線40がX方向(第1方向)に延びるように形成され、ソース配線42がY方向(第2方向)に延びるように形成されている。
また、ゲート配線40には、ゲート電極41が接続され、ゲート電極41上に絶縁層を介してTFT(スイッチング素子)30が配置される。一方、ソース配線42には、ソース電極43が接続され、ソース電極43の一端は、TFT30に接続する。
そして、ゲート配線40とソース配線42に囲まれた領域、より詳細には、格子状に形成され画素毎に区画する画素バンクGBに囲まれた画素領域には、画素電極45が配置され、接続電極10、引き回し配線11、ドレイン電極44を介してTFT30に接続する。接続電極10は、引き回し配線11と画素電極45とを接続するものである。
また、画素バンクGBに囲まれた領域には、画素バンクGBと略同じ高さで垂直配向用スリット(実際には突条)HSが複数互いに間隔をあけて並行して配置される。
引き回し配線11は、一端側がドレイン電極44に電気的に接続されてY軸方向に延び、他端側が、ソース配線42からX軸方向に延びて突出する配線13の端部と絶縁膜を介して対向状態で配置される。
また、アクティブマトリクス基板20上には、ゲート配線40と略平行するように、容量線46が配線される。
なお、ゲート配線40、ゲート電極41、ソース配線42、容量線46は、同一の面上に形成される。
ソース配線42は、ゲート配線40及び容量線46との交差部56において分断される。ゲート配線40で分断されたソース配線42の端部は、絶縁膜を貫通する貫通電極14の下端部に接続される。これら貫通電極14の上端部は、ゲート配線40との間に絶縁膜が介装されて交差部56を跨ぐ導電層49に接続される。同様に、容量線46で分断されたソース配線42の端部は、絶縁膜を貫通する貫通電極15の下端部に接続される。これら貫通電極15の上端部は、容量線46との間に絶縁膜が介装されて交差部56を跨ぐ導電層49に接続される。また、ソース電極43は、接続部50、導電層49及び貫通電極14を介してソース配線42に電気的に接続される。
図2は、アクティブマトリクス基板20の等価回路図であって、液晶表示装置に用いた場合である。
アクティブマトリクス基板20を液晶表示装置に用いた場合には、画像表示領域には複数の画素100aがマトリクス状に構成される。これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するソース配線42がソース電極43を介してTFT30のソースに電気的に接続されている。ソース配線42に供給する画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のソース配線42同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートには、ゲート配線40がゲート電極41を介して電気的に接続されている。そして、所定のタイミングで、ゲート配線40にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
画素電極45は、TFT30等を覆う透明絶縁膜12上に形成され(図21参照)、TFT30のドレインにドレイン電極44を介して電気的に接続されている。そして、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、ソース配線42から供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極45を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図23に示す対向基板120の対向電極121との間で一定期間保持される。
なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、容量線46によって、画素電極45と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量48が付加されている。例えば、画素電極45の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量48により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
なお、容量線46と引き回し配線11との間にも電荷が保持されて容量が形成されるが、ソース線42から電圧を印加して、引き回し配線11から新たに電荷を注入することにより、リセットされる。
<アクティブマトリクス基板の製造方法>
次に、アクティブマトリクス基板20の製造方法について図3乃至図21を参照して説明する。
<アクティブマトリクス基板の製造方法>
次に、アクティブマトリクス基板20の製造方法について図3乃至図21を参照して説明する。
アクティブマトリクス基板20は、基板P上に格子パターンの配線を形成する第1工程と、積層部35やTFT30、画素電極45等を形成する第2工程により製造される。
以下、各工程毎に詳細に説明する。
(第1工程:配線形成)
図3、図4は、第1工程である配線形成工程を説明する図である。なお、図3(b)、(c)、図4(b)は、それぞれ図3(a)、図4(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
(第1工程:配線形成)
図3、図4は、第1工程である配線形成工程を説明する図である。なお、図3(b)、(c)、図4(b)は、それぞれ図3(a)、図4(a)におけるA−A’線に沿う断面図である。
ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線が形成される基板Pとしては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種の材料を用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
そして、まず、図3(b)に示す基板P上に、図3(c)に示すように、絶縁性の有機樹脂からなるバンク51が形成される。バンクは、後述する配線用インクを基板Pの所定位置に配置するためのものである。
具体的には、図3(a)に示すように、洗浄した基板Pの上面に、格子パターンの配線の形成位置に対応した複数の開口部52,53,54,55を有するバンク51をフォトリソグラフィ法に基づいて形成する。
バンク51の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が用いられる。なお、バンク51には、開口部52,53,54,55内に配線パターン用インクを良好に配置させるために、撥液性処理を施される。撥液性処理として、CF4プラズマ処理等(フッ素成分を有するガスを用いたプラズマ処理)を施す。なお、CF4プラズマ処理等に代えて、バンク51の素材自体に予め撥液成分(フッ素基等)を充填しておいても良い。
バンク51により形成される開口部52,53,54,55は、ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線に対応している。すなわち、バンク51の開口部52,53,54,55に配線用インクを配置することにより、ゲート配線40やソース配線42等の格子パターンの配線が形成される。
具体的には、X方向に延びるように形成された開口部52,53は、それぞれゲート配線40、容量線46の形成位置に対応する。そして、ゲート配線40の形成位置に対応する開口部52には、ゲート電極41の形成位置に対応する開口部54が接続している。また、Y方向に延びるように形成された開口部55は、ソース配線42の形成位置に対応する。また、開口部55には、配線13の形成位置に対応する開口部13aが接続している。なお、Y方向に延びる開口部55は、X方向に延びる開口部52,53と交差しないように、交差部56において分断されるように形成される。
次いで、後述する液滴吐出装置IJによって、導電性微粒子を含む配線用インクを開口部52,53,54,55内に吐出・配置して、図4に示すように、基板上にゲート配線40やソース配線42等からなる格子パターンの配線を形成する。
配線用インクは、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液や有機銀化合物や酸化銀ナノ粒子を溶媒(分散媒)に分散した溶液からなるものである。導電性微粒子としては、例えば、金、銀、銅、錫、鉛等の金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
導電性微粒子の分散液の表面張力は、例えば0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
分散液の粘度は、例えば1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。
インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
基板Pに配線用インクを吐出した後には、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理、焼成処理を行う。
乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。例えば180℃加熱を60分間程度行う。
焼成処理及の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング剤を除去するために、約250℃で焼成することが必要である。
このような乾燥・焼成処理により、導電性微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。
なお、ゲート配線40やソース配線42等の配線上には、金属保護膜47を成膜させてもよい。金属保護膜47は、銀や銅等からなる導電性膜の(エレクトロ)マイグレーション現象等を抑制するための薄膜である。金属保護膜47を形成する材料としては、ニッケルが好ましい。なお、ニッケルからなる金属保護膜47も液滴吐出法によって基板P上に配置されて形成される。
以上の工程により、基板P上には、図4に示すように、バンク51及び格子パターンの配線からなる層が形成される。
ところで、液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に例えば30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出してノズルから吐出させるものである。
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料(流動体)の一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
格子パターンの配線を形成する際に用いられる液滴吐出装置IJとしては、例えば、図5に示す液滴吐出装置IJが用いられる。
液滴吐出装置(インクジェット装置)IJは、液滴吐出ヘッドから基板Pに対して液滴を吐出(滴下)するものであって、液滴吐出ヘッド301と、X方向駆動軸304と、Y方向ガイド軸305と、制御装置CONTと、ステージ307と、クリーニング機構308と、基台309と、ヒータ315とを備えている。ステージ307は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
液滴吐出ヘッド301は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド301の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルからは、ステージ307に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
X方向駆動軸304には、X方向駆動モータ302が接続されている。X方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX方向の駆動信号が供給されると、X方向駆動軸304を回転させる。X方向駆動軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
Y方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y方向駆動モータ303を備えている。Y方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY方向に移動する。
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド301に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X方向駆動モータ302に液滴吐出ヘッド301のX方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y方向駆動モータ303にステージ307のY方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY方向の駆動モータが備えられている。このY方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ315の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と基板Pを支持するステージ307とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X方向を走査方向、X方向と直交するY方向を非走査方向とする。
したがって、液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルは、非走査方向であるY方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図5では、液滴吐出ヘッド301は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド301の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド301の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
図6は、液滴吐出ヘッド301の断面図である。
液滴吐出ヘッド301には、液体材料(配線用インク等)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系323を介して液体材料が供給される。
ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させることにより、液体室321が変形し、ノズル325から液体材料が吐出される。
この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
(第2工程:積層部形成)
図7〜図15は、第2工程である積層部形成工程を説明する図である。なお、図7(b)〜図8(b)は、それぞれ図7(a)〜図8(a)におけるA−A’線に沿う断面図であり、図8(c)は、図8(a)におけるB−B’線に沿う断面図である。
(第2工程:積層部形成)
図7〜図15は、第2工程である積層部形成工程を説明する図である。なお、図7(b)〜図8(b)は、それぞれ図7(a)〜図8(a)におけるA−A’線に沿う断面図であり、図8(c)は、図8(a)におけるB−B’線に沿う断面図である。
第2工程では、バンク51及び格子パターンの配線からなる層上の所定位置に絶縁膜31と半導体膜(コンタクト層33,活性層32)からなる積層部35を形成する。
まず、プラズマCVD法により、基板P上の全面に対して、絶縁膜31、活性層32、コンタクト層33の連続成膜を行う。具体的には、図7に示すように、絶縁膜31として窒化シリコン膜、活性層32としてアモルファスシリコン膜、コンタクト層33としてn+型シリコン膜を原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより連続して形成する。
次いで、図8に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、所定位置にレジスト58(58a〜58b)を配置する。このレジストは、図8(a)に示すように、ゲート配線40とソース配線42の交差部56及びゲート電極41に跨って設けられるレジスト58aと、容量線46ソース配線42の交差部56に設けられるレジスト58bと、これら交差部56の領域外でレジスト58a、58bを囲むようにパネル周辺回路部を除く領域に設けられるレジスト58cとから構成される。
これらレジスト58a〜58cは、バンク51と同様の材料をスピンコート等の手法により、基板P上に全面的に塗布した後に、露光光の透過率がレジスト58a〜58cの形状に応じて調整されたマスクを用いて一括的に露光した後に、現像・ドライエッチングを実施することにより、所定形状及び所定の厚さにパターニングされる。
より詳細には、レジスト58aは、図8(b)に示すように、貫通電極14に対応する位置に貫通して形成された開口部14a、ソース電極43及びドレイン電極44に対応する位置にそれぞれ貫通して形成された開口部43a、44a、ソース電極43及びドレイン電極44(開口部43a、44a)を分離するチャネル部C、導電層49に対応する位置に形成された開口部49a、導電層49とソース電極43との接続部50に対応する位置に形成された開口部50a、引き回し配線11に対応する位置に形成された開口部11a、これら開口部11a、43a、44a、49aの周囲に、例えば幅1〜10μm程度で形成された壁部(非露光部)9aを有している。
同様に、レジスト58bは、図8(c)に示すように、貫通電極15に対応する位置に貫通して形成された開口部15a、導電層49に対応する位置に形成された開口部49a、開口部49aの周囲に、例えば幅1〜10μm程度で形成された壁部(非露光部)9bを有している。
上記の貫通して形成される開口部14a、15a、43a、44aは、これらの露光領域に対して、ほぼ遮光されることなく第1エネルギ量でマスクを透過した露光光を照射するフル露光を行った後に、現像・ドライエッチングすることにより形成される。また、レジストが壁部9a、9bよりも薄い厚さで残留する開口部11a、49a、50a、及びレジスト58cは、これらの露光領域に対して、上記第1エネルギ量よりも小さい(例えば、およそ半分)第2エネルギ量でマスクを透過した露光光を照射するハーフ露光(ハーフトーン露光)を行った後に、現像・エッチングすることにより形成される。この場合、マスクには、第2エネルギ量で透過させる位置にメッシュが施されて、露光光の一部が遮光されることで、透過する露光光のエネルギ量が所定値(第2エネルギ量)に減じられる。
そして、開口部11a、49a、50a、及びレジスト58cよりも厚く形成される壁部9a、9b及びチャネル部Cは、マスクによって露光光を遮光した非露光部とすることにより、現像・エッチングを行った後も除去されることなく、所定厚さに形成される。
このように、1回のドライプロセス及びフォトリソエッチングにより、貫通部及び2種類の厚さ(レジストの厚さがゼロの貫通部を含めると3種類の厚さ)を有するレジスト58a〜58cが形成される。
続いて、図9(a)に示すように、上記の液滴吐出装置IJを用いて、ニッケル(Ni)やコバルト(Co)等の金属材料を含む液滴を開口部43a、44aに塗布し、乾燥・焼成処理を行うことにより、ソース電極43及びドレイン電極44に対するバリア層70を形成する。このような乾燥・焼成処理により、導電性微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。
乾燥処理としては、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。例えば180℃加熱を60分間程度行う。
焼成処理及の処理温度としては、分散媒の沸点(蒸気圧)、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング剤を除去するために、約250℃で焼成することが必要である。
なお、図9〜図15については、各図中(a)が図8(a)におけるA−A’線に沿う断面図であり、各図中(a)が図8(a)におけるB−B’線に沿う断面図である。
次に、図10(a)、(b)に示すように、レジスト58a〜58c及びバリア層70をマスクとしてドライエッチングを行い、開口部14a、15aにおいて露出する絶縁膜31、活性層32及びコンタクト層33を除去する。
続いて、異方性アッシング処理を行い、図11(a)、(b)に示すように、ハーフ露光にて形成した開口部11a、49a、50aに露出するレジスト58a、58b、及びレジスト58cを除去する。これにより、壁部9a、9b及びチャネル部Cのレジストも低くなる。
次に、ドライエッチングを行い、図12(a)、(b)に示すように、壁部9a、9b、及びチャネル部Cをマスクとして、レジストが除去されたエリアで露出する活性層32及びコンタクト層33を除去し、当該エリアにおいて絶縁膜31を露出させる。
この後、図13(a)、(b)に示すように、必要に応じて、開口部11a、14a、15a、、49a、50aに、上記の液滴吐出装置IJを用いて、ニッケル(Ni)やコバルト(Co)等の金属材料を含む液滴を塗布し、乾燥・焼成処理を行うことにより、バリア層70と同様のバリア層71〜73をそれぞれ形成する。
なお、バリア層71〜73は、必ずしも必要ではなく、使用する材料等に応じて適宜選択的に用いればよい。
続いて、上述した配線形成用金属材料(例えばAg、Cu、Alの少なくとも1種以上)を含有する液滴を上記の液滴吐出装置IJを用いて、図14(a)に示されるように、壁部9a及びチャネル部Cで囲まれた領域、及び図14(b)に示されるように、壁部9bで囲まれた領域に塗布する。基板Pに液滴を吐出した後には、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理、焼成処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。例えば180℃加熱を60分間程度行う。
焼成処理及の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング剤を除去するために、約250℃で焼成することが必要である。このような乾燥・焼成処理により、導電性微粒子間の電気的接触が確保され、図14に示されるように導電性膜に変換される。
次に、図15(a)、(b)に示すように、アッシング等により、残っているレジスト(壁部9a、9b及びチャネル部Cにおけるレジスト)を完全に除去した後に、図14(a)、(b)で示した工程で形成された導電性膜をマスクとして、フッ素含有プラズマ処理により、コンタクト層33を除去し、ソース電極43及びドレイン電極44間のチャンネルエッチングを行う。
これにより、図15(b)に示すように、分断されたソース配線42に貫通電極15が接続され、絶縁膜31を介して容量線46と交差し、交差部56を跨ぐように貫通電極15を接続する導電層49が形成される。同様に、図15(a)に示すように、ソース電極43及びドレイン電極44に接続されたTFT30が形成されるとともに、ソース電極43が接続部50、導電層49及び貫通電極14を介してソース配線42に接続され、ドレイン電極44が引き回し配線11に接続されたアクティブマトリクス基板20が形成される。
このように、上記TFT30を有するアクティブマトリクス基板20は二回のフォトリソ工程を経て製造される。
(第3工程:透明絶縁膜形成)
次に、透明絶縁膜12を形成する。
(第3工程:透明絶縁膜形成)
次に、透明絶縁膜12を形成する。
図16(a)は、図1におけるA−A’線視断面図、図16(b)は図1におけるD−D’線視断面図である。
これらの図に示されるように、まず、TFT30(積層部35)、ソース電極43、ドレイン電極44、引き回し配線11、導電層49等を覆うように、絶縁膜75を成膜する。この絶縁膜75は、絶縁膜31と同様の材料で形成される。また、絶縁膜75を覆うように、感光性アクリル樹脂やSiを含有する感光性有機物等の感光性透明絶縁膜材料を塗布して透明絶縁膜12を、例えば1.5〜7.5μm程度の厚さで成膜する。
さらに、透明絶縁膜12上に、フッ素成分(フッ素原子)を含有する撥液層76を形成する。この撥液層76としては、例えば上述したCF4プラズマ処理を施して成膜する方法やフッ素基等を含有する有機化合物を塗布して成膜する方法を採用でき、ここでは1〜10nm程度の厚さで成膜する。
(第4工程:画素電極形成)
続いて、画素電極45を形成する。
(第4工程:画素電極形成)
続いて、画素電極45を形成する。
図17乃至図21は、図1におけるD−D’線視断面図である。
図17に示すように、続いて、フォトリソグラフィ法を用いて、透明絶縁膜12及び撥液層76上の所定位置にレジスト59を配置する。このレジスト59も、レジスト58a〜58cと同様の材料をスピンコート等の手法により、基板P上(透明絶縁膜12及び撥液層76上)に全面的に塗布した後に、露光光の透過率がレジスト59の形状に応じて調整されたマスクを用いて一括的に露光した後に、現像・ドライエッチングを実施することにより、所定形状及び所定の厚さにパターニングされる。
より詳細には、レジスト59は、図1に示した接続電極10に対応する位置に貫通して形成された開口部10a、画素電極45に対応する位置に形成された開口部45a、上述した画素バンクGB及び垂直配向用スリットHSにそれぞれ対応する位置に形成された壁部(非露光部)77、78を有している。この画素バンクGBに対応する壁部77は、画素電極45に対してゲート配線40及びソース線42が透明絶縁膜12の介在により離間しており、寄生容量が小さいことから、これらゲート配線40及びソース線42と平面的に重なる位置に配置される。従って、画素電極45の配置領域を大きく確保することができ、高い開口率が得られる。
上記の貫通して形成される開口部10aは、この露光領域に対して、ほぼ遮光されることなく第1エネルギ量でマスクを透過した露光光を照射するフル露光を行った後に、現像・ドライエッチングすることにより形成される。また、レジストが壁部77よりも薄い厚さで残留する開口部45aは、この露光領域に対して、上記第1エネルギ量よりも小さい(例えば、およそ半分)第2エネルギ量でマスクを透過した露光光を照射するハーフ露光を行った後に、現像・エッチングすることにより形成される。この場合に用いられるマスクにも、第2エネルギ量で透過させる位置にメッシュが施されて、露光光の一部が遮光されることにより、透過する露光光のエネルギ量が所定値(第2エネルギ量)に減じられる。
そして、開口部10a、45aよりも厚く形成される壁部77は、マスクによって露光光を遮光した非露光部とすることにより、現像・エッチングを行った後も除去されることなく、所定厚さに形成される。
このように、1回のドライプロセス及びフォトリソエッチングにより、貫通部及び2種類の厚さ(レジストの厚さがゼロの貫通部を含めると3種類の厚さ)を有するレジスト59が形成される。
次に、図18に示すように、レジスト59をマスクとしてドライエッチングを行い、開口部10aを介して撥液層76及び透明絶縁膜12を除去する。
また、続いて、異方性アッシング処理を行い、図19に示すように、ハーフ露光にて形成した開口部45aに露出するレジスト59を除去する。これにより、壁部77、78のレジストも低くなる。
次に、ドライエッチングを行い、図20に示すように、壁部77、78をマスクとして、レジストが除去されたエリアで露出する撥液層76を除去するとともに、透明絶縁膜12の表面を一部除去した後に、アッシング等により、残っているレジスト(壁部77、78におけるレジスト)を完全に除去する。
これにより、表面に撥液層76を有し、透明絶縁膜12の一部が突出して形成された画素バンクGB及び垂直配向用スリットHSが形成される。
続いて、エッチングにより、開口部10aにおいて露出する絶縁膜75を除去して、引き回し配線11を露出させる。
次いで、前述した液滴吐出装置IJによって、透明絶縁膜12上に、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)等の透明導電膜用材料を含有する液滴を塗布する。
これにより、図21に示すように、画素バンクGBで囲まれた開口部45aに画素電極45が形成される。このとき、開口部45aにおいては、予め撥液層76が除去されているため、透明導電膜用材料を支障なく塗布することができる。
また、非露光部である画素バンクGB及び垂直配向用スリットHSにおいては、表面に撥液層76が残留しているため、画素バンクGB及び垂直配向用スリットHSに塗布された透明導電膜用材料がはじかれることから、透明導電膜用材料に覆われることなく、微細な画素バンクGB及び垂直配向用スリットHSを形成し、画素バンクGBに囲まれた画素領域(垂直配向用スリットHSを除く)に画素電極45形成することができる。
また、透明導電膜用材料のうち、開口部10aに塗布された材料は、下層の引き回し配線11まで到達することで、引き回し配線11(すなわちドレイン電極44)と画素電極45とのコンタクト、及び容量線46との容量コンタクトが確保される。
そして、基板Pに透明導電性材料を吐出した後には、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理、焼成処理を行う。乾燥・焼成処理により、導電性微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。
この焼成処理条件としては、酸素含有雰囲気下では250℃以下の焼成温度が好ましく、非酸素且つ水素を0.1%以上含有する雰囲気下では300℃以下の焼成温度が好ましい。
以上の工程を経ることにより、アクティブマトリクス基板20が製造される。
このように、本実施の形態では、フル露光及びハーフ露光を行うことにより、貫通部及び2種類の厚さを有するレジスト59を形成することにより、一回のフォトリソ工程で画素電極45及び垂直配向用スリットHSを容易に形成することができる。従って、本実施形態では、大掛かりな設備と複雑な工程を必要とするフォトリソエッチング(及びドライプロセス)工程を従来(例えば特許文献2に記載された技術)と比べて低減することが可能になり、さらなるコスト低減及び生産性の向上を実現できる。
また、本実施形態では、上記フル露光及びハーフ露光を1枚のマスクにより実施するため、レジストに照射するエネルギ量を容易に調整することができ、複数のマスクを用いる場合と比較して、生産性効率の向上に寄与できる。
また、本実施形態では、画素電極45と配線(ゲート配線40、ソース配線42、容量線46)との間に透明絶縁膜12を設けて距離を確保しているため、寄生容量を減らすことができ、ゲート配線40、ソース配線42に印加する信号のロス及び遅延を抑制できるとともに、画素電極45(画素バンクGB)をゲート配線40、ソース配線42の上方に配置することが可能になるため、開口率を高くすることができる。
しかも、上述したゲート配線40、ソース配線42、TFT30等を形成するにあたっても、フル露光及びハーフ露光を行うことにより、二回のフォトリソ工程を実施すればよく、さらなるコスト低減及び生産性の向上を実現できる。
また、このように、TFT30、画素電極45の形成も含めて三回のフォトリソ工程を実施することにより、開口率が高く、コスト低減及び生産性の向上に寄与するアクティブマトリクス基板20を容易に形成することが可能になる。
この場合、画素電極45を成膜後にアッシング等により、壁部77、78を除去すればよく、垂直配向用スリットHSは突形状ではなく、凹形状で形成されることになる。
また、この構成においては、壁部77、78を除去する工程を設ける必要があるが、上述した実施形態のように、撥液・親液のコントラストによりパターニングする構成を採れば、この工程を設ける必要がなくなり、生産性の向上に寄与できる。
<電気光学装置>
次に、アクティブマトリクス基板20を用いた電気光学装置の一例である液晶表示装置100について説明する。
<電気光学装置>
次に、アクティブマトリクス基板20を用いた電気光学装置の一例である液晶表示装置100について説明する。
図22は、液晶表示装置100を対向基板側から見た平面図であり、図23は、図22のH−H’線に沿う断面図である。
なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
図22及び図23において、液晶表示装置(電気光学装置)100は、アクティブマトリクス基板20を含むTFTアレイ基板110と対向基板120とが光硬化性の封止材であるシール材152によって貼り合わされ、このシール材152によって区画された領域内に液晶150が封入、保持されている。なお、TFTアレイ基板110の液晶150に臨む面には上記の画素電極45及び垂直配向用スリットHSを覆って配向膜(図示せず)が形成されている。
シール材152は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されてなり、液晶注入口を備えず、封止材にて封止された痕跡がない構成となっている。
シール材152の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り153が形成されている。シール材152の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板110の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板110の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板120のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板110と対向基板120との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板110の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板110の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。
なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶150の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、C−TN法、VA方式、IPS方式モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板120において、TFTアレイ基板110の各画素電極に対向する領域に、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
また、アクティブマトリクス基板20を用いた電気光学装置としては、例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に応用が可能である。
有機EL表示装置は、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して励起させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが再結合する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。
そして、TFT30を有するアクティブマトリクス基板20上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料をインクとし、各々をパターニングすることで、自発光フルカラー有機EL表示装置を製造することができる。
さらに、アクティブマトリクス基板20は、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
このように、上述したアクティブマトリクス基板20を備えた液晶表示装置100を製造する場合は、コスト低減及び生産性の向上に寄与できる。
<電子機器>
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。
<電子機器>
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。
図24(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図24(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
図24(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図24(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
図24(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図24(c)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
このように、図24(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置100を備えたものであるので、コスト低減及び生産性の向上が実現された製造が可能である。
また、テレビやモニター等の大型液晶パネルにおいても本実施形態を用いることができる。
なお、本実施形態の電子機器は液晶表示装置100を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、画素バンクGB及び垂直配向用スリットHSの上面に撥液層76を形成することにより、撥液・親液のコントラストで画素電極45をパターニングする構成としたが、この他にも、壁部77、78を画素電極45及び垂直配向用スリットHSの厚さに応じた高さで形成し、この壁部77、78を隔壁として、壁部77、78で囲まれた画素領域に画素電極形成材料を含む液滴を塗布して成膜する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、画素電極45を液滴吐出方式で形成する構成としたが、これに限定されるものではなく、撥液・親液のコントラストによりパターニング可能な塗布方法であれば、スピンコート等、他の液相法を用いてもよい。
また、上記実施形態で示したアクティブマトリクス基板20は、垂直配向用スリットHSを有する構成として説明したが、この垂直配向用スリットHSは必ずしも設けられる必要はない。
GB…画素バンク(区画部)、 IJ…液滴吐出装置、 P…基板、 9a、9b、77、78…壁部(非露光部)、 10…接続電極、 12…透明絶縁樹脂(透明絶縁膜)、 14、15…貫通電極、 20…アクティブマトリクス基板、 30…TFT(スイッチング素子)、 32…活性層(半導体膜)、 33…コンタクト層(半導体膜)、 35…積層部、 40…ゲート配線(ゲート線)、 42…ソース配線(ソース線)、 46…容量線、 49…導電層、 50…接続部、 58、58a〜58c、59…レジスト、 76…撥液層、 100…液晶表示装置(電気光学装置)、 600…携帯電話本体(電子機器)、 700…情報処理装置(電子機器)、 800…時計本体(電子機器)
Claims (10)
- 格子パターンの配線を基板上に形成する第1工程と、
前記配線の一部上に絶縁膜と半導体膜とからなる積層部を形成する第2工程と、
前記配線及び前記積層部を覆う透明絶縁膜を成膜する第3工程と、
前記透明絶縁膜上に、前記半導体膜を介して前記配線と電気的に接続される画素電極を形成する第4工程とを有し、
前記第4工程では、前記透明絶縁膜を貫通して前記画素電極と前記半導体膜とを電気的に接続する接続電極、前記画素電極が形成される画素領域、及び画素毎に前記画素領域を区画する区画部に対応するレジストを前記透明絶縁膜上に形成する工程を有し、
前記レジストのうち、前記接続電極に対応する前記レジストに対して第1エネルギ量で露光し、前記画素領域に対応する前記レジストに対して前記第1エネルギ量よりも小さい第2エネルギ量で露光し、前記区画部に対応する前記レジストに対して非露光とする工程を含むことを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。 - 請求項1記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記第3工程は、前記透明絶縁膜の表面に撥液層を設ける工程を有することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。 - 請求項2記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記撥液層を、フッ素成分を有するガスを用いたプラズマ処理で前記透明絶縁膜上に形成することを特徴とするアクティブマトリクス基板。 - 請求項2記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記撥液層を、フッ素成分を有する液状体を前記透明絶縁膜上に塗布して形成することを特徴とするアクティブマトリクス基板。 - 請求項1から4のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記第4工程では、前記レジストの露光領域に応じて、前記第1エネルギ量及び前記第2エネルギ量で露光光を透過させるマスクを用いることを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。 - 請求項1から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
第1方向又は第2方向のいずれか一方の配線が交差部において分断され、
前記積層部上に前記分断された配線を電気的に連結させる導電層を形成する工程を有することを特徴とするアクティブマトリクス基板。 - 請求項6記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記配線は、ソース線、ゲート線、及びゲート線に沿って略直線状に伸びる容量線を有し、前記ソース線が前記交差部において分断されていることを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。 - 請求項1から7のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法において、
前記第1工程は、導電性材料を液滴吐出法により配置する工程を含むことを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。 - アクティブマトリクス基板を有する液晶表示装置の製造方法であって、
前記アクティブマトリクス基板を請求項1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法で製造することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項9記載の液晶表示装置の製造方法であって、
前記レジストは、前記区画部で囲まれた領域に設けられる液晶配向用パターンに対応して形成され、
前記第4工程では、前記液晶配向用パターンに対応する前記レジストを、前記区画部とともに非露光とすることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
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