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JP2008046441A - 凸版製造方法 - Google Patents

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JP2008046441A JP2006222975A JP2006222975A JP2008046441A JP 2008046441 A JP2008046441 A JP 2008046441A JP 2006222975 A JP2006222975 A JP 2006222975A JP 2006222975 A JP2006222975 A JP 2006222975A JP 2008046441 A JP2008046441 A JP 2008046441A
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宏典 川上
Koji Takeshita
耕二 竹下
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貴央 清水
Nahoko Inoguchi
奈歩子 猪口
Takao Taguchi
貴雄 田口
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Abstract

【課題】より簡易に、有機ELなどの製造に用いられる印刷用凸版の製造する方法であり、印刷パターンずれが少なく、耐久性のある凸版を容易に製造する方法を提供する。
【解決手段】 感光性樹脂層202a上に光拡散性の微粒子を含む光拡散層を形成することで、露光時に露光光が光拡散層を通して感光性樹脂層に達するよう構成し、これを現像する凸版製造方法。これにより、順テーパー形状の凸部202bを形成する。さらに光拡散層中の微粒子の平均粒径が10nm以上、500nm以下であり、かつ露光工程においてプロキシミティ露光方式を用いることにより有機EL素子の形成に適した印刷用凸版を製造できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、詳細なパターンを凸版印刷法により形成するための凸版製造方法、特に有機EL素子形成のための凸版製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とする)は、二つの対向する電極の間に有機発光材料からなる有機発光層を形成し、有機発光層に電流を流すことで発光させるものであるが、効率良く発光させるには発光層の膜厚が重要であり、100nm程度の薄膜にする必要がある。さらに、これをカラー表示可能なディスプレイとするには有機EL素子を高精細にパターニングする必要がある。
有機発光材料には、低分子材料と高分子材料があり、一般に低分子材料は抵抗加熱蒸着法等により薄膜形成し、このときに微細パターンのマスクを用いてパターニングするが、この方法では基板が大型化すればするほどパターニング精度が出にくいという問題がある。
そこで、最近では有機発光材料に高分子材料を用い、有機発光材料を溶媒に溶かして塗工液にし、これをウェットコーティング法や印刷法にて薄膜形成する方法が試みられるようになってきている。薄膜形成するためのウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、突出コート法、ディップコート法等があるが、高精細にパターニングしたりRGB3色に塗り分けしたりするためには、これらのウェットコーティング法では難しい。よって、塗り分けパターニングを得意とする印刷法による薄膜形成が有効である。
さらに各種印刷法の中でも、有機EL素子やディスプレイでは、基板としてガラス基板を用いることが多いため、グラビア印刷法等のように金属製の印刷版等の硬い版を用いる方法は不向きであり、弾性を有するゴム版を用いたオフセット印刷法や、ゴムやその他の樹脂を主成分とした感光性樹脂版を用いる凸版印刷法が最適である。これらの印刷法の試みとして、オフセット印刷による方法(特許文献1)、凸版印刷による方法(特許文献2)などが提案されている。
特開2001−93668号公報 特開2001−155858号公報
微細なパターニングに凸版印刷法を用いた場合、版の耐久性と、印刷の精度、ムラなどが問題となる。このような問題に対して、印刷用凸版の凸部パターンの形状としては、表面に向かうにしたがってその凸部の断面積が減少する順テーパー形状であることが好ましい。印刷用凸版の凸部パターンが基材にむかって末広がりとなるような順テーパー形状とすることにより、印刷時に版面にかかる印圧が適当に分散され、印刷時の凸部パターンの破壊、変形を防ぐことができる。逆に、凸部のパターンが垂直な矩形形状、もしくは、表面に向かって末広がりとなるような逆テーパ形状である印刷用凸版を用いた場合、印圧が局所的にかかることになり、凸部パターンの破壊、変形が発生しやすくなってしまう。
凸部が樹脂材料からなる印刷用凸版を製造するにあっては、樹脂材料として感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィー法(フォトリソ法)が用いられる。フォトリソ法により印刷用凸版を形成するにあっては、基材上に感光性樹脂層を形成した樹脂材(版材)を、遮光部と透光部からなるマスクを用いて露光し、次いで現像することにより、凸部が形成され、印刷用凸版となる。感光性樹脂層を形成する感光性樹脂にネガ型の感光性樹脂(光硬化性樹脂)を用いた場合、露光工程によってマスクの透光部を通過した光が照射された部分が硬化し、現像工程によって、光が照射されない部分が除去される。このとき、凸版表面凸部の形状は、露光条件、現像条件によってさまざまに変化する。
一方、有機ELをはじめとするエレクトロニクス分野ではパターニングの正確さを必要とするため、良好な微細パターニングが可能な印刷用凸版の製造方法が求められている。そこで精細な版の露光を行うために、プロキシミティ露光方式を用いることができる。プロキシミティ露光では、露光光のエネルギーの方向性(波数ベクトル)がマスク面に対して直交方向に揃っているために形状の整った版の製造が可能となる。
しかしながら、上記のようなプロキシミティ露光の特性のゆえに、マスクを透過したほとんどの露光光が基板に垂直に入射するために版の形状は矩形形状となってしまい、耐久性に優れた順テーパー形状に凸版を形成することは困難となる。
本発明は、以上のような問題を鑑みて考案されたものであり、課題は順テーパー形状の凸部形状を持ち、パターン精度の優れた凸版を製造する方法を見出すことである。
特許請求の範囲の請求項1に係る発明として、少なくとも凸版の基材上に感光性樹脂層を形成する工程、その上にさらに拡散層を形成する工程と、マスクを通過した露光光がこの光拡散層を通して感光性樹脂層に到達する露光工程と、感光性樹脂の不要部分および光拡散性樹脂を除去する現像工程とを有することを特徴とする凸版製造方法。
特許請求の範囲の請求項2に係る発明として、前記凸版製造方法において、有機EL素子を構成する薄膜を形成することを目的とした、露光工程においてプロキシミティ露光を用いることを特徴とする凸版製造方法。
特許請求の範囲の請求項3に係る発明として、少なくとも凸版の基材上に感光性樹脂層を形成する工程、その上にさらに光拡散性の微粒子を拡散させた拡散層を形成する工程と、マスクを通過した露光光がこの光拡散層を通して感光性樹脂層に到達する露光工程と、感光性樹脂の不要部分および光拡散性樹脂を除去する現像工程とを有することを特徴とする凸版製造方法。
特許請求の範囲の請求項4に係る発明として、前記凸版製造方法において、光拡散層を構成する微粒子の平均粒径が、10nmから5μmの範囲であることを特徴とする凸版製造方法。
特許請求の範囲の請求項5に係る発明として、前記凸版製造方法において、有機EL素子を構成する薄膜を形成することを目的とした、露光工程においてプロキシミティ露光を用いて、さらに光拡散層を構成する微粒子の平均粒径が、10nmから500nmの範囲であることを特徴とする凸版製造方法。
特許請求の範囲の請求項6に係る発明として、前記凸版製造方法において、感光性樹脂層を構成する樹脂が水溶性高分子からなり、なおかつ光拡散層の微粒子以外の媒質が、水溶性高分子からなることを特徴とする凸版製造方法。
特許請求の範囲の請求項7に係る発明として、前記凸版製造方法において、凸版表面凹部の感光樹脂材が完全に除去することにより、版面の凸部がそれぞれ独立になるような現像工程を有することを特徴とする凸版製造方法。
上記の発明によって、光拡散層によりマスクからの露光光が広がり、順テーパー形状の凸部が形成された凸版を容易に作製できる。結果として、パターニング精度が高く、印圧に対して耐久性のある凸版が製造できた。
有機EL素子形成用の凸版製造に際しては、プロキシミティ露光を用いることにより、直線性のある光で露光でき、精細な版形状のパターニングが、ひいては微細な印刷パターンが可能となった。
また、光拡散性の微粒子を、分散させて拡散層を形成することにより、均一な光の拡散が可能となり、精細な版が製造できる。さらにその光拡散性の微粒子の粒径が10nmから5μmの範囲にあることにより、露光光が他方向に散逸しない光拡散層が形成できた。
さらにより光散乱効率の高い10nmから500nmの範囲に粒径を持つ光拡散性の微粒子を用いることにより、効率的に微粒子の散乱を用いることができ、薄膜の光拡散層を形成することが可能となる。これにより微細な版面のパターニング、ひいてはより微細な印刷パターンが可能となった。
上記の光拡散層及び感光性樹脂を水溶性とすることにより、現像時に光拡散層と感光性樹脂の不要部分を同時に除去することが可能となり、現像段階での工程を増やすことなく良好な凸版の製造が可能となった。
また現像工程において版表面凹部の感光樹脂材が完全に除去し、各凸部形状を独立させることによって、熱やインキによる感光性樹脂の変形を軽減し、パターニングずれの少ない、正確な印刷が可能となった。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明はこれに限るものではない。
図1に本発明の印刷用凸版を形成するための凸版形成用樹脂材の説明断面図を示す。本発明の凸版形成用樹脂材としては、基材200上に少なくとも感光性樹脂層202aと光拡散層201を有することを特徴とする。このような樹脂材を用い、凸部パターンを樹脂材料とすることにより、ガラス基板のような硬質な被印刷体に対しても、被印刷体を傷つけることなくインキパターンを形成することができる。
本発明の凸版形成用樹脂材の基材200としては、印刷に対する機械的強度を有すれば良く、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコールなどの公知の合成樹脂、鉄や銅、アルミニウムといった公知の金属、またはそれらの積層体を用いることができる。
また、基材200としては、樹脂部分の寸法変化を抑えるのに十分な剛性をもっていることと、基材自身も寸法変化しにくいことが要求される。また、インキに含まれる溶媒への耐性が高いものが望ましい。したがって、基材として用いられる材料としては金属が好適に使用される。また、金属材料からなる基材の中でも、加工性、経済性からスチール基材やアルミ基材を好適に用いることができる。なお、基材として金属基材を用いた場合には、後述する凸版印刷装置の版胴に取り付けることを考慮すると、可撓性を有することが好ましく、その厚みは10μmから1mmであり、さらに取扱いの簡便さから100μmから500μmであることが好ましい。
本発明の凸版形成用樹脂材の感光性樹脂層202aを形成する感光性樹脂材料としては、ネガ型の感光性樹脂材料であれば公知のものが使用できるが、例えば、ポリマーと不飽和結合を含むモノマーと光重合開始材を構成要素とする感光性樹脂が挙げられる。
このとき、ポリマーとしては、ニトリルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムなどのゴムの他に、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコールなどの合成樹脂やそれらの共重合体、セルロースなどの天然高分子などから一種類以上を選択することができる。
有機EL素子を製造する場合において、有機発光材料を溶媒に溶解または分散させた有機発光インキを用いて印刷するときは、有機溶剤に対する耐溶剤性の観点から、フッ素系エラストマーやポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ六フッ化ビニリデンやそれらの共重合体といったフッ素系樹脂や、ポリアミド、ポリビニルアルコール、酢酸セルロースコハク酸エステル、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、カチオン型ピペラジン含有ポリアミド、といった水溶性溶剤に可溶なポリマーを用いることが望ましい。特に、有機発光インキに用いられる溶媒はトルエンやキシレンといった芳香族系有機溶剤が用いられることから、芳香族系有機溶剤に高い耐溶剤性を示す、水溶性溶剤に可溶な親水性の高い水溶性高分子を好適に用いることができる。水溶性高分子を用いた場合においては、後述する現像工程において現像液として水を使用することができる。
また、不飽和結合を含むモノマーとしては例えばビニル結合を有するメタクリレート類を用いることができ、光重合開始剤としては例えば芳香族カルボニル化合物を用いることができる。なお、感光性樹脂層202aは基材200上に公知の塗布法により形成することができる。公知の塗布法としては、ダイコート法、スリットコート法、バーコート法、スピンコート法等を用いることができる。
本発明の凸版形成用樹脂材の光拡散層201として、樹脂中に光拡散性の微粒子を分散させたものを使用することができる。このとき、樹脂としては、感光性樹脂層202aを形成する材料と同一のものを用いることができ、また、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコールなどの合成樹脂やそれらの共重合体、セルロースなどの天然高分子などから一種類以上を選択することができ、また、それらの誘導体等を用いることができる。このとき、光拡散層201に用いる樹脂を水溶性の高分子とし、感光性樹脂層202aに用いるポリマーも水溶性高分子とすることにより、後述する印刷用凸版の製造工程の現像工程において水によって光拡散層を容易に除去することが可能となり、好ましい。
また、光拡散性の微粒子としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸エステル、ポリアミド、フッ素系樹脂といった、樹脂系の微粒子や、シリカやセラミックス等の無機系微粒子などを用いることができ、光拡散層の微粒子以外の部分の屈折率と異なる屈折率であれば、光拡散性の微粒子として用いることができる。なお、光拡散層201は基材200上に公知の塗布法により形成することができる。公知の塗布法としては、ダイコート法、スリットコート法、バーコート法、スピンコート法等を用いることができる。
上記の塗布法によって形成された光拡散層の膜厚が厚いほど、多くの微粒子によって散乱されるため、結果として相対的な散乱光強度が上昇する。一方、光拡散層中の微粒子の濃度が高いと、光の平均自由行程が短くなり、結果としてテーパー角は大きくなる。
また微粒子の粒径としては、十分な散乱光強度を有すればよい。粒径が大きすぎると微粒子内部で複数回の反射を起こし、前方へ散乱する割合が減ってしまうことと、版面に跡が残ってしまう可能性もあることから、5μm以下程度が適切であり、次に述べるように逆に粒径が小さすぎても散乱光の光強度は大きく減少してしまうことから、粒径の範囲としては10nmから5μm程度が好ましい。
散乱光の光強度は、粒径および光の波長に依存する。光の波長よりも十分に小さい領域での散乱はレイリー散乱と呼ばれ、微粒子の単位体積あたりの散乱光強度は体積に比例して大きくなることが知られている。一方、粒径が波長よりも大きい場合の散乱は、ミー散乱と呼ばれ、この領域では粒子内で光が干渉しあうために単位体積あたりの散乱光強度は粒径に対して振動するが、粒径が大きくなるにつれて減衰する。よって、このレイリー散乱と、ミー散乱の中間領域において、もっとも散乱光の効率がよいということになる。
有機EL素子の形成に用いる凸版では、印刷するパターンの膜厚が100nm程度、パターンの幅が10μmから500μm程度である。例えば現在テレビ用途として主流の40インチWXGAディスプレイの場合、これに対応する有機EL素子を作成するためのパターンの幅は約250μmであり、携帯電話用ディスプレイとして主流となっている2インチQVGAディスプレイの場合、必要とされるパターン幅は約25μmである。このような要求を満たすためには、より光拡散層の膜厚が薄いほうが好ましい。そのためには前述のような光拡散層の性質から、露光に用いられる光源の波長は一般的に200nmから500nmの範囲にあることを考慮し、さらに前述したように粒子の濃度と小さい粒子を用いることによってテーパー角を制御することも考え合わせれば、微粒子の粒径としては散乱光の効率のよい10nmから500nmの範囲が適切である。
次に本発明の凸版形成用樹脂材を用いた印刷用凸版の製造方法を示す。図2に本発明の印刷用凸版の製造方法の模式図を示した。まず、図2(a)に示したように、基材200上に感光性樹脂が一面に形成された版材を用意する。次に、図2(b)に示したように、遮光部205と透光部を有しており、且つ、透光部によってパターンが形成されたフォトマスク206を感光性樹脂上に配置する。フォトマスクは、透光性を有するフィルム若しくはガラスからなるマスク基材104上に例えばクロム薄膜や黒色樹脂からなる遮光部205がパターニングされた構造をしており、クロム薄膜が形成されている箇所が遮光部205、クロム薄膜が形成されていない箇所が透光部となる。
次に、図2(c)に示したように、該フォトマスクを介して、紫外光に代表される活性エネルギー線Lを照射し、露光する。このとき、フォトマスクの透光部を通過して活性エネルギー線が照射された部分が硬化され、硬化した感光性樹脂層202bとなる。
凸版製造に用いる露光方式としては基板とフォトマスクを完全に密着させるコンタクト露光方式と、フォトマスクにダメージを与えないように少し距離をおいたプロキシミティ露光方式がある。フォトマスクのマスク基板にガラスを用いた場合、気泡の混入によりフォトマスクと凸版形成用樹脂材を密着させることが困難であり、接触による表面の損傷なども考えられることから、フォトマスクと樹脂材は図2に示されているように離れている方が良い。しかしコンタクト露光方式では露光光は光の方向に広がりを持つために、フォトマスクと樹脂材との間で光が散逸し、正確なパターニングができない。したがって、露光光の方向がそろっているプロキシミティ露光方式により露光を行うことが好ましい。
以上の理由によりプロキシミティ露光を用いると、印刷適正を有する凸型形状を形成するためには、樹脂材の表面に対して垂直方向に入射する活性エネルギー線の他に、基板の樹脂材に対して斜め方向に入射する活性エネルギー線が必要となるが、樹脂材の表面に対して垂直方向に入射する活性エネルギー線が、基板の樹脂材に対して斜め方向に入射する活性エネルギー線に比べて多くなるがゆえに、通常の方法では凸部パターンを順テーパー形状とすることは困難である。本発明はこの問題を解決した。
図3に露光工程における活性エネルギー線と凸部パターンの形状についての模式図を示した。図3(a)は従来の凸版形成用樹脂材を用いた場合の模式図であり、図3(b)は、本発明の光拡散層を有する凸版形成用樹脂材を用いた場合の模式図である。
図3(a)において、フォトマスク基材204と遮光部205からなるフォトマスクの遮光部が設けられていない部分である透光部を通過した活性エネルギー線Lが樹脂材に入射する。そして、樹脂材の感光性樹脂層に入射した活性エネルギー線は感光性樹脂層を硬化させ、硬化した感光性樹脂層202bとなる。樹脂材に入射するにあたっては、活性エネルギー線の多くは樹脂材の表面に対してほぼ垂直方向から入射するため、形成された硬化部分の感光性樹脂層の断面は矩形形状となる。すなわち、印刷用凸版の凸部パターンが基材にむかって末広がりとなるような順テーパー形状とすることは困難となる。
これに対し、本発明を用いた場合、順テーパー形状である凸部パターンを形成する事が容易となる。図3(b)において、フォトマスクの遮光部が設けられていない透光部を通過した活性エネルギー線は光拡散層によって散乱される。これによって、感光性樹脂層に入射した活性エネルギー線は樹脂材表面に対して垂直方向だけでなく、斜め方向からも入射することになる。したがって、形成される凸部パターンを順テーパー形状とすることが可能となる。
次に、フォトマスクを樹脂凸版から外し、現像をおこなう。現像により露光によって光が照射されなかった感光性樹脂層の未硬化部分202aを除去し、図2(d)に示したような、本発明の樹脂凸版となる。このとき、未硬化部分が水により溶解、除去可能な、ポリマー成分が水溶性高分子からなる水現像タイプの樹脂凸版を用いた場合には、現像液として水が用いられる。光散乱層の樹脂成分として水溶性ポリマーを用いた場合には、現像と同時に光散乱層を除去することが可能となる。また、現像後に、樹脂層を更に硬化させることを目的としてベークや後露光をおこなっても良い。
図4に本発明によって製造される印刷用凸版の一例の説明断面図を示した。図4(a)、(b)ともに基材200上に凸部パターン202が形成されている。図4(b)では凸部パターンが隣接する凸部パターンに対して独立して基材上に形成されている。本発明では、図4(a)、(b)どちらの印刷用凸版を用いても構わないが、図4(b)のような、基材上に独立して凸部パターンを設けた印刷用凸版を用いることが好ましい。
なぜなら、現像時に版面凹部の感光樹脂層を完全に除去し、パターンを独立して形成することで、インキの溶媒や熱による凸部パターンの樹脂の変形を抑えることができるからである。パターンを独立させることにより、隣接するパターンの影響を受けて変形することがなくなるため、印刷パターンのずれをなくすことができるのである。特に順テーパー形状の凸部を持つ凸版の場合、矩形形状、もしくは逆テーパー形状のものより版の体積が多い分、各部を独立させることは印刷時の変形に対して有効である。
さらに、基材として変形の少ない金属材料を用いた場合には、特に印刷時の版の変形を抑えることができるために好ましい。図5に本発明の印刷用凸版における凸部パターン例の平面図を示した。本発明の印刷用凸版におけるパターンは、ストライプ状であってもかまわないし、ドット状であってもかまわない。
次に、本発明によって作製した印刷用凸版を用い、凸版印刷法により被印刷基板表面にインキパターンを形成する印刷物の製造方法について示す。図6に本発明の印刷物の製造に用いられる凸版印刷装置の概略図を示した。ステージ107には被印刷基板106が固定されており、印刷用凸版104は版胴105に固定され、印刷用凸版104はインキ供給体であるアニロックスロール103と接しており、アニロックスロール103はインキ補充装置101とドクター102を備えている。
まず、インキ補充装置101からアニロックスロール103へインキを補充し、アニロックスロール103に供給されたインキ108のうち余分なインキは、ドクター102により除去される。インキ補充装置101には、滴下型のインキ補充装置、ファウンテンロール、スリットコータ、ダイコータ、キャップコータなどのコータやそれらを組み合わせたものなどを用いることもできる。ドクター102にはドクターブレードの他にドクターロールといった公知の物を用いることもできる。また、アニロックスロール103は、クロム製やセラミックス製のものを用いることができる。また、印刷用凸版へのインキ供給体としてシリンダー状のアニロックスロールではなく、平版のアニロックス版を用いることも可能である。平版のアニロックス版は、例えば、図6の被印刷基板106の位置に配置され、インキ補充装置によりアニロックス版全面にインキを補充した後、版胴を回転させることにより被印刷基板へのインキの供給をおこなうことができる。
印刷用凸版へのインキ供給体であるアニロックスロール103表面にドクターによって均一に保持されたインキは、版胴105に取り付けられた印刷用凸版104の凸部パターンに転移、供給される。そして、版胴105の回転に合わせて印刷用凸版104の凸部パターンと基板は接しながら相対的に移動し、インキ108はステージ107上にある被印刷基板106の所定位置に転移し被印刷基板にインキパターン108aを形成する。被印刷基板にインキパターンが設けられた後は、必要に応じてオーブンなどによる乾燥工程を設けることができる。
なお、印刷用凸版上にあるインキを被印刷基板に印刷するときにおいては、版胴105の回転にあわせ被印刷基板106が固定されたステージ17を移動させる方式であってもよいし、図6の上部の版胴105、印刷用凸版104、アニロックスロール103、インキ補充装置101からなる印刷ユニットを版胴の回転に合わせ移動させる方式であってもよい。また、本発明の印刷用凸版は版胴105上に樹脂層を形成し、直接製版し、凸部パターンを形成してもよい。
なお、図6は1枚毎に被印刷基板にインキパターンを形成する枚葉式の凸版印刷装置であるが、本発明の印刷物の製造方法にあって被印刷基板がウェブ状で巻き取り可能である場合には、ロール・ツゥー・ロール方式の凸版印刷装置を用いることもできる。ロール・ツゥー・ロール方式の凸版印刷装置を用いた場合には連続してインキパターンを形成することが可能となり、製造コストを低くすることが可能となる。
次に、本発明での高精細樹脂凸版を用いた印刷物の製造方法の一例として、有機EL素子の製造方法について説明する。なお、本発明はこれに限るものではない。図7に本発明の有機EL素子の説明断面図を示した。有機EL素子の駆動方法としては、パッシブマトリックス方式とアクティブマトリックス方式があるが、本発明の有機EL素子はパッシブマトリックス方式の有機EL素子、アクティブマトリックス方式の有機EL素子のどちらにも適用可能である。
パッシブマトリックス方式とはストライプ状の電極を直交させるように対向させ、その交点を発光させる方式であるのに対し、アクティブマトリックス方式は画素毎にトランジスタを形成した、いわゆる薄膜トランジスタ(TFT)基板を用いることにより、画素毎に独立して発光する方式である。
図7に示すように、本発明の有機EL素子は、基板1の上に、陽極としてストライプ状に第一電極2を有している。隔壁は第一電極間に設けられ、第一電極端部のバリ等よるショートを防ぐことを目的として第一電極端部を覆うことがましい。
そして、本発明の有機EL素子は、第一電極2上であって、隔壁7で区画された領域(発光領域L、画素部)に有機発光層及び発光補助層からなる有機EL層を有している。電極間に挟まれる有機EL層は、有機発光層単独から構成されたものであってもよいし、有機発光層と発光補助層との積層構造から構成されたものでもよい。発光補助層としては正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層が挙げられる。図7では発光補助層である正孔輸送層3と有機発光層(41、42、43)との積層構造からなる構成を示している。第一電極2上に正孔輸送層3が設けられ、正孔輸送層3上に赤色(R)有機発光層41、緑色(G)有機発光層42、青色(B)有機発光層43がそれぞれ設けられている。
次に、有機発光媒体層上に陽極である第一電極2と対向するように陰極として第二電極5が配置される。パッシブマトリックス方式の場合、ストライプ状を有する第一電極と直交する形で第二電極はストライプ状に設けられる。アクティブマトリックス方式の場合、第二電極は、有機EL素子全面に形成される。更に、図示していないが、環境中の水分、酸素の第一電極、有機発光層、発光補助層、第二電極への侵入を防ぐために有効画素全面に対してガラスキャップ等による封止体が設けられ、接着剤を介して基板と貼りあわされる。
本発明の有機EL素子は、少なくとも基板と、当該基板に支持されたパターン状の第一電極と、有機発光層と、第二電極を具備する。本発明の有機EL素子は、図7とは逆に、第一電極を陰極、第二電極を陽極とする構造であっても良い。また、ガラスキャップ等の封止体の代わりに有機発光媒体層や電極を外部の酸素や水分の浸入から保護するためにパッシベーション層や外部応力から保護する保護層、あるいはその両方の機能備えた封止基材を備えてもよい。
次に、有機EL素子の製造方法を説明する。
本発明にかかる基板としては、絶縁性を有する基板であればいかなる基板も使用することができる。この基板側から光を取り出すボトムエミッション方式の有機EL素子とする場合には、基板として透明なものを使用する必要がある。
例えば、基板としてはガラス基板や石英基板が使用できる。また、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムやシートであっても良い。これら、プラスチックフィルムやシートに、有機発光媒体層への水分の侵入を防ぐことを目的として、金属酸化物薄膜、金属弗化物薄膜、金属窒化物薄膜、金属酸窒化膜薄膜、あるいは高分子樹脂膜を積層したものを基板として利用してもよい。
また、これらの基板は、あらかじめ加熱処理を行うことにより、基板内部や表面に吸着した水分を極力低減することがより好ましい。また、基板上に積層される材料に応じて、密着性を向上させるために、超音波洗浄処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などの表面処理を施してから使用することが好ましい。
また、これらに薄膜トランジスタ(TFT)を形成して、アクティブマトリックス方式の有機EL素子用の基板とすることが可能である。本発明のアクティブマトリックス方式の基板の一例の説明断面図を図8に示す。本発明の有機EL素子基板とする場合には、TFT120上に、平坦化層117が形成してあるとともに、平坦化層117上に有機EL素子の下部電極(第一電極2)が設けられており、かつ、TFTと下部電極とが平坦化層117に設けたコンタクトホール118を介して電気接続してあることが好ましい。このように構成することにより、TFTと、有機EL素子との間で、優れた電気絶縁性を得ることができる。
TFT120や、その上方に構成される有機EL素子は支持体111で支持される。支持体としては機械的強度や、寸法安定性に優れていることが好ましく、具体的には先に基板として述べた材料を用いることができる。
支持体上に設けるTFT120は、公知の薄膜トランジスタを用いることができる。具体的には、主として、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域が形成される活性層、ゲート絶縁膜及びゲート電極から構成される薄膜トランジスタが挙げられる。薄膜トランジスタの構造としては、特に限定されるものではなく、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型等が挙げられる。
活性層112は、特に限定されるものではなく、例えば、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料又はチオフェンオリゴマー、ポリ(p−フェリレンビニレン)等の有機半導体材料により形成することができる。これらの活性層は、例えば、アモルファスシリコンをプラズマCVD法により積層し、イオンドーピングする方法、SiH4ガスを用いてLPCVD法によりアモルファスシリコンを形成し、固相成長法によりアモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法、Si2H6ガスを用いてLPCVD法により、また、SiH4ガスを用いてPECVD法によりアモルファスシリコンを形成し、エキシマレーザー等のレーザーによりアニールし、アモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオンドーピング法によりイオンドーピングする方法(低温プロセス)、減圧CVD法又はLPCVD法によりポリシリコンを積層し、1000℃以上で熱酸化してゲート絶縁膜を形成し、その上にn+ポリシリコンのゲート電極114を形成し、その後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法(高温プロセス)等が挙げられる。
ゲート絶縁膜113としては、通常、ゲート絶縁膜として使用されているものを用いることができ、例えば、PECVD法、LPCVD法等により形成されたSiO2、ポリシリコン膜を熱酸化して得られるSiO2等を用いることができる。
ゲート電極114としては、通常、ゲート電極として使用されているものを用いることができ、例えば、アルミ、銅等の金属、チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属、ポリシリコン、高融点金属のシリサイド、ポリサイド等が挙げられる。
TFT120は、シングルゲート構造、ダブルゲート構造、ゲート電極が3つ以上のマルチゲート構造であってもよい。また、LDD構造、オフセット構造を有していてもよい。さらに、1つの画素中に2つ以上の薄膜トランジスタが配置されていてもよい。
本発明の表示装置は薄膜トランジスタ(TFT)が有機EL素子のスイッチング素子として機能するように接続されている必要があり、トランジスタのドレイン電極116と有機EL素子の画素電極(第一電極2)が電気的に接続されている。さらにトップエミッション構造をとるための画素電極は一般に光を反射する金属が用いられる必要がある。
TFT120とドレイン電極116と有機EL素子の画素電極(第一電極2)との接続は、平坦化膜117を貫通するコンタクトホール118内に形成された接続配線を介して行われる。
平坦化膜117の材料についてはSiO2、スピンオンガラス、SiN(Si3N4)、TaO(Ta2O5)等の無機材料、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フォトレジスト材料、ブラックマトリックス材料等の有機材料等を用いることができる。これらの材料に合わせてスピンコーティング、CVD、蒸着法等を選択できる。必要に応じて、平坦化層として感光性樹脂を用いフォトリソグラフィーの手法により、あるいは一旦全面に平坦化層を形成後、下層のTFT120に対応した位置にドライエッチング、ウェットエッチング等でコンタクトホール118を形成する。コンタクトホールはその後導電性材料で埋めて平坦化層上層に形成される画素電極との導通を図る。平坦化層の厚みは下層のTFT、コンデンサ、配線等を覆うことができればよく、厚みは数μm、例えば3μm程度あればよい。
基板上には第一電極2が設けられる。第一電極を陽極とした場合、その材料としては、ITO(インジウムスズ複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、亜鉛アルミニウム複合酸化物等の金属複合酸化物や金、白金、クロムなどの金属材料を単層または積層したものをいずれも使用できる。第一電極の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の乾式成膜法を用いることができる。
なお、低抵抗であること、溶剤耐性があること、また、ボトムミッション方式としたときには透明性が高いことなどからITOが好ましく使用できる。ITOはスパッタ法によりガラス基板上に形成され、フォトリソ法によりパターニングされて第一電極2となる。
第一電極2を形成後、第一電極縁部を覆うようにして隔壁7が形成される。隔壁7は絶縁性を有する必要があり、感光性材料等を用いることができる。感光性材料としては、ポジ型であってもネガ型であってもよく、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることができる。また、隔壁形成材料として、SiO2、TiO2等を用いることもできる。
隔壁形成材料が感光性材料の場合、形成材料溶液をスリットコート法やスピンコート法により全面コーティングしたあと、露光、現像といったフォトリソ法によりパターニングがおこなわれる。スピンコート法の場合、隔壁の高さは、スピンコートするときの回転数等の条件でコントロールできるが、1回のコーティングでは限界の高さがあり、それ以上高くするときは複数回スピンコートを繰り返す手法を用いる。
また、隔壁形成材料がSiO2、TiO2の場合、スパッタリング法、CVD法といった乾式成膜法で形成可能である。この場合、隔壁のパターニングはマスクやフォトリソ法により行うことができる。
次に、有機発光層及び発光補助層からなる有機EL層を形成する。電極間に挟まれる有機EL層としては、有機発光層単独から構成されたものでもよいし、有機発光層と正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層といった発光を補助するための発光補助層との積層構造としてもよい。なお、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層は必要に応じて適宜選択される。
そして、本発明は有機発光層や正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層といった発光補助層からなる有機EL層のうち少なくとも1層を、有機EL層材料を溶媒に溶解、または分散させたインキを用い、基材上に樹脂からなる凸部パターンを有する樹脂凸版を印刷版とした凸版印刷法により前記第一電極の上方に印刷して形成する際に適用することができる。以降、本発明において、有機発光材料を溶媒に溶解、または分散させた有機発光インキを用いた場合について示す。
有機発光層は電流を流すことにより発光する層である。有機発光層の形成する有機発光材料としては、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノー8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(パラ−トシル)アミノキノリン]亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレンなどの低分子系発光材料が使用できる。
また、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポリフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体などの低分子系発光材料を、高分子中に分散させたものが使用できる。高分子としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等が使用できる。
また、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)やポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニルレン]ジブロマイドなどのPPP誘導体、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)、ポリスピロフルオレンなどの高分子発光材料であってもよい。PPV前駆体、PPP前駆体などの高分子前駆体が挙げられる。また、その他既存の発光材料を用いることもできる。
正孔輸送層を形成する正孔輸送材料としては、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子正孔輸送材料、チオフェンオリゴマー材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
また、電子輸送層を形成する電子輸送材料としては、2−(4−ビフィニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等を用いることができる。
有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メチル−(t−ブチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ペンチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,3,5−トリ−イソプロピルベンゼン等を単独又は混合して用いることができる。また、有機発光インキには、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
正孔輸送材料、電子輸送材料を溶解または分散させる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、水等の単独またはこれらの混合溶剤などが挙げられる。特に、正孔輸送材料をインキ化する場合には水またはアルコール類が好適である。
有機発光層や発光補助層は湿式成膜法により形成される。なお、これらの層が積層構造から構成される場合には、その各層の全てを湿式成膜法により形成する必要はない。湿式成膜法としては、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、吐出コート法、プレコート法、ロールコート法、バーコート法等の塗布法と、凸版印刷法、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法が挙げられる。特に、RGB三色の有機発光層をパターン形成する場合、印刷法によって画素部に選択的に形成することができ、カラー表示のできる有機EL素子を製造することが可能となる。有機発光媒体層の膜厚は、単層又は積層により形成する場合においても1000nm以下であり、好ましくは50nm〜150nmである。
本発明は有機発光インキを用い凸版印刷法により有機発光層形成する場合だけでなく、正孔輸送インキや電子輸送インキを用い凸版印刷法により正孔輸送層や電子輸送層といった発光補助層を形成する場合にも使用することができる。
次に、第二電極を形成する。第二電極を陰極とした場合その材料としては電子注入効率の高い物質を用いる。具体的にはMg、Al、Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体と接する界面にLiや酸化Li、LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いる。または電子注入効率と安定性を両立させるため、低仕事関数なLi、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等の金属1種以上と、安定なAg、Al、Cu等の金属元素との合金系が用いられる。具体的にはMgAg、AlLi,CuLi等の合金が使用できる。また、トップエミッション方式の有機EL素子とする場合は、陰極は透明性を有する必要があり、例えば、これら金属とITO等の透明導電層の組み合わせによる透明化が可能となる。
第二電極の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の乾式成膜法を用いることができる。また、第二電極をパターンとする必要がある場合には、マスク等によりパターニングすることができる。第二電極の厚さは10nm〜1000nmが好ましい。なお、本発明では第一の電極を陰極、第二の電極を陽極とすることも可能である。
有機EL素子としては電極間に有機発光層を挟み、電流を流すことで発光させることが可能であるが、有機発光材料や発光補助層形成材料、電極形成材料の一部は大気中の水分や酸素によって容易に劣化してしまうため通常は外部と遮断するための封止体を設ける。
封止体は、例えば第一電極、有機発光層、発光補助層、第二電極が形成された基板に対して、凹部を有するガラスキャップ、金属キャップを用いて、第一電極、有機発光媒体層、第二電極上空に凹部があたるようにして、その周辺部についてキャップと基板を接着剤を介して接着させることにより封止がおこなわれる。
また、封止体は、例えば第一電極、有機発光層、発光補助層、第二電極が形成された基板に対して、封止材上に樹脂層を設け、該樹脂層により封止材と基板を貼りあわせることによりおこなうことも可能である。
このとき封止材としては、水分や酸素の透過性が低い基材である必要がある。また、材料の一例として、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックス、無アルカリガラス、アルカリガラス等のガラス、石英、アルミニウムやステンレスなどの金属箔、耐湿性フィルムなどを挙げることができる。耐湿性フィルムの例として、プラスチック基材の両面にSiOxをCVD法で形成したフィルムや、透過性の小さいフィルムと吸水性のあるフィルムまたは吸水剤を塗布した重合体フィルムなどがあり、耐湿性フィルムの水蒸気透過率は、10−6g/m2/day以下であることが好ましい。
樹脂層としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂などからなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂や、エチレンエチルアクリレート(EEA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物などの熱可塑性接着性樹脂を挙げることができる。樹脂層を封止材の上に形成する方法の一例として、溶剤溶液法、押出ラミ法、溶融・ホットメルト法、カレンダー法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法などを挙げることができる。必要に応じて吸湿性や吸酸素性を有する材料を含有させることもできる。封止材上に形成する樹脂層の厚みは、封止する有機EL素子の大きさや形状により任意に決定されるが、5〜500μm程度が望ましい。
第一電極、有機発光層、発光補助層、第二電極が形成された基板と封止体の貼り合わせは封止室でおこなわれる。封止体を、封止材と樹脂層の2層構造とし、樹脂層に熱可塑性樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着のみ行うことが好ましい。熱硬化型接着樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着した後、さらに硬化温度で加熱硬化を行うことが好ましい。光硬化性接着樹脂を使用した場合は、ロールで圧着した後、さらに光を照射することで硬化を行うことができる。なお、ここでは封止材上に樹脂層を形成したが、基板上に樹脂層を形成して封止材と貼りあわせることも可能である。
封止体を用いて封止を行う前やその代わりに、例えばパッシベーション膜として、CVD法を用いて、窒化珪素膜を150nm成膜するなど、無機薄膜による封止体とすることも可能であり、また、これらを組み合わせることも可能である。
以下に、実施例について示す。
(被印刷基板の作製)
300mm角のガラス基板上に、スパッタ法を用いてITO膜を形成し、フォトリソ法と酸溶液によるエッチングでITO膜をストライプ状にパターニングした。陽極であるITOのラインパターンは、線幅100μm、スペース50μmで、ラインが192ラインで形成されるパターンとした。その上に、スピンコーターを用いて正孔輸送層としてポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)1.5wt%水溶液を100nm膜厚で成膜した。さらにこの成膜されたPEDOT/PSS薄膜を減圧下100℃で1時間乾燥することで、被印刷基板を作製した。
(有機発光層形成用インキの調製)
赤色、緑色、青色(RGB)の3色からなる以下の有機発光インキを調製した。
赤色発光インク(R):ポリフルオレン系誘導体のトルエン1質量%溶液(住友化学社製赤色発光材料 商品名Red1100)
緑色発光インク(G):ポリフルオレン系誘導体のトルエン1質量%溶液(住友化学社製緑色発光材料 商品名Green1300)
青色発光インク(B):ポリフルオレン系誘導体のトルエン1質量%溶液(住友化学社製青色発光材料 商品名Blue1100)
(印刷用凸版の作製)
ポリアミドを主成分とする耐溶剤性の感光性樹脂を、厚さ200μmのSUS304基材表面に、総厚が1.4mmとなるように溶融塗工し、凸版のもととなる感光性樹脂材を形成した。さらに表面層として、水と関東化学製ポリビニルアルコール500と関東化学製二酸化けい素(平均粒子径35nm)を重量比で97対2対1で混合した溶液を調製し、先の感光性樹脂材表面にダイコータを用いて塗工し光拡散層を形成した。なお、これにより形成された光拡散層の厚さは20μmだった。この版材にライン幅が100μm、ピッチが350μmのネガ型のクロムマスクを用い、プロキシミティ露光を行い、現像、乾燥、後露光の工程を経て、印刷用凸版を得た。断面形状の測定を日立ハイテクノロジーズ社製操作型電子顕微鏡により観察したところ、図3(b)のθで示されるショルダー角が130度の凸版を形成することができた。
(有機EL素子の製造)
上記印刷用凸版を枚葉式の印刷機のシリンダーに固定した。これと上記の有機発光インキを用いて、被印刷基板に対し印刷を各色についておこなった。有機発光層は、赤色有機発光層、緑色有機発光層、青色有機発光層がストライプ状に並ぶように印刷された。各色について印刷をおこなった後、オーブン内で130℃で1時間乾燥を行った。形成されたパターンの膜厚は102nmであった。乾燥の後、印刷により形成した有機発光層上にカルシウムを10nm成膜し、さらにその上に銀を300nm真空蒸着し、最後にガラスキャップを用い封止をおこない本発明の有機EL素子を作製した。この有機EL素子の発光特性を見たところ、パターン箇所内全面において5Vで103cd/m2の均一な発光が得られた。
(比較例:光拡散層の無い感光性樹脂を用いた場合)
ポリアミドを主成分とする耐溶剤性の感光性樹脂を、厚さ200μmのSUS304基材表面に、総厚が1.4mmとなるように溶融塗工し、凸版のもととなる感光性樹脂材を形成した。この版材にライン幅が100μm、ピッチが350μmのネガ型のクロムマスクを用い、プロキシミティ露光を行い、現像、乾燥、後露光の工程を経て、印刷用凸版を得た。断面形状の測定を日立ハイテクノロジーズ社製操作型電子顕微鏡により観察したところ、図3(b)のθで示されるショルダー角が90度の凸版を形成することができたが、現像による凸形状の歪みが見られた。この凸版を用い各色の有機発光インキを用い印刷を行ったが、どのインキにおいても版の凸部の歪みにより、良好なストライプパターンを形成するに至らなかった。
図1は本発明の印刷用凸版を形成するための凸版形成用樹脂材の説明断面図である。 図2は本発明の印刷用凸版の製造方法の模式図である。 図3は露光工程における活性エネルギー線と凸部パターンの形状についての模式図である。 図4は本発明の印刷用凸版の一例の説明断面図である。 図5は本発明の印刷用凸版における凸部パターン例の平面図である。 図6は本発明の印刷物の製造に用いられる凸版印刷装置の概略図である。 図7は本発明の有機EL素子の説明断面図である。 図8はアクティブマトリクス方式の基板の一例の説明断面図である。
符号の説明
200:基材
201:凸部パターン
222:凸部パターン
202:凸部パターン
202a:感光性樹脂層(未硬化)
202b:硬化した感光性樹脂層
204:ガラス
205:遮光部
206:フォトマスク
L:活性エネルギー線
11:インキ補充装置
12:ドクター

Claims (7)

  1. 凸版印刷法に用いられる凸版の製造方法であって、少なくとも
    基材上に光硬化性の感光性樹脂層を形成する工程と、
    次に前記感光性樹脂層上に光拡散層を形成する工程と、
    次に前記光拡散層を介して前記感光性樹脂層を露光する露光工程と、
    次に前記感光性樹脂層の露光部を除去する現像工程と、
    を有することを特徴とする凸版製造方法。
  2. 請求項1に記載の凸版製造方法において、
    前記露光工程に用いられる露光方式がプロキシミティ露光方式であることを特徴とする有機EL素子形成用凸版製造方法。
  3. 凸版印刷法に用いられる凸版の製造方法であって、少なくとも
    基材上に光硬化性の感光性樹脂層を形成する工程と、
    次に前記感光性樹脂層上に光拡散性の微粒子を含む溶液を塗布することにより光拡散層を形成する工程と、
    次に前記光拡散層を介して前記感光性樹脂層を露光する露光工程と、
    次に前記感光性樹脂層の露光部を除去する現像工程と、
    を有することを特徴とする凸版製造方法。
  4. 請求項3に記載の凸版製造方法において、前記微粒子の平均粒径が10nm以上、5μm以下であることを特徴とする凸版製造方法。
  5. 請求項3に記載の凸版製造方法において、
    前記露光工程に用いられる露光方式がプロキシミティ露光方式であり、
    かつ前記微粒子の平均粒径が10nm以上、500nm以下であることを特徴とする有機EL素子形成用凸版製造方法。
  6. 前記感光性樹脂層が水溶性の高分子を含み、かつ前記光拡散層が水溶性の高分子を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の凸版製造方法。
  7. 前記現像工程において、版面の凹部の感光樹脂材を完全に除去すること特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の凸版製造方法。
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