しかし、第1情報処理機器の情報処理資源がデータの受信に大きく割り当てられている場合、当該情報処理が当該データの受信と並行して情報処理を実行すると、当該受信または当該情報処理の実行に支障をきたす可能性がある。
そこで、本発明は、移動装置に搭載されている情報処理機器の情報処理資源を有効利用する観点から当該情報処理機器の動作を適当に制御しうるシステム、当該機器制御システムが搭載されている移動装置としての自動車、当該機器制御機能を移動装置に搭載されているコンピュータに付与するプログラム、および当該機器制御システムを構築するシステムを提供することを解決課題とする。
前記課題を解決するための第1発明の機器制御システムは、移動装置に搭載され、かつ、情報センターから低速または高速で放送されるデータを低速放送用チャンネルまたは高速放送用チャンネルを通じて受信する機能を有する情報処理機器の動作を制御するシステムであって、第1情報処理機器が前記高速放送用チャンネルを通じた受信設定であるか否かを認識する第1処理部と、該第1処理部により当該第1情報処理機器が当該高速放送用チャンネルを通じた受信設定であると認識されたことを要件として、当該第1情報処理機器による情報処理の実行を制限する第2処理部とを備えていることを特徴とする。
第1発明の機器制御システムによれば、第1情報処理機器が高速放送用チャンネルを通じた受信設定であるとき、第1情報処理機器による情報処理が制限される。これにより、第1情報処理機器の情報処理資源が主として高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信に割り当てられうる。また、当該情報処理資源がオペレータにより指示された情報処理や第2情報処理機器から要求された情報処理等、指定データの受信とは別の情報処理に割り当てられることが制限される。このため、指定データの受信とは別の情報処理の実行により情報処理資源の不足をきたしてしまい、指定データの受信、さらには当該別の情報処理の実行に支障をきたす事態が確実に回避されうる。このように、移動装置に搭載されている第1情報処理機器の情報処理資源を有効利用する観点から第1情報処理機器の動作が適当に制御されうる。
なお、情報処理の実行が制限されるとは、一部の情報処理の実行が禁止される一方、他の情報処理の実行が例外的に許容されることのほか、すべての情報処理が禁止されることを意味する。
また、第2発明の機器制御システムは、第1発明の機器制御システムにおいて、前記第2処理部が、前記データに付されているデータ識別子に基づき、当該データが指定データであるか否かを認識した上で、前記第1情報処理機器による前記低速放送用チャンネルまたは前記高速放送用チャンネルを通じた、当該指定データ以外のデータの受信を制限することを特徴とする。
第2発明の機器制御システムによれば、指定データ以外のデータの受信により第1情報処理機器の情報資源が不足してしまい、当該データのみならず指定データの受信に支障をきたす事態が確実に回避されうる。なお、指定データ以外のデータのうち、一部のデータの受信は禁止される一方、他のデータは例外的に高速放送用チャンネルまたは低速放送用チャンネルを通じた受信が許容されうる。
さらに、第3発明の機器制御システムは、第1または第2発明の機器制御システムにおいて、前記第2処理部が、オペレータによる前記第1情報処理機器への情報処理の実行指示を制限することを特徴とする。
第3発明の機器制御システムによれば、高速放送用チャンネルを通じて指定データを受信している第1情報処理機器により、オペレータにより指示された情報処理が実行されることによって当該第1情報処理機器の情報資源が不足してしまい、指定データの受信および当該情報処理の実行に支障をきたす事態が確実に回避されうる。
また、第4発明の機器制御システムは、第3発明の機器制御システムにおいて、前記第2処理部がオペレータによる前記第1情報処理機器への情報処理の実行指示が制限されていることを示す制限通知を出力することを特徴とする。
第4発明の機器制御システムによれば、実際には制限されている情報処理の指示をオペレータに許容することによって当該オペレータの誤解や混乱を招く事態が確実に回避されうる。
さらに、第5発明の機器制御システムは、第1〜第4発明のうちいずれか1つの機器制御システムにおいて、前記第2処理部が、前記移動装置に搭載されている第2情報処理機器による前記第1情報処理機器への情報処理の実行要求を制限することを特徴とする。
第5発明の機器制御システムによれば、高速放送用チャンネルを通じて指定データを受信している第1情報処理機器により、第2情報処理機器により要求された情報処理が実行されることによって当該第1情報処理機器の情報資源が不足してしまい、指定データの受信および当該情報処理の実行に支障をきたす事態が確実に回避されうる。
また、第6発明の機器制御システムは、第5発明の機器制御システムにおいて、前記第2処理部が、前記他の第1情報処理機器による前記第1情報処理機器への情報処理の実行要求を伴う情報処理が制限されていることを示す制限通知を当該他の第1情報処理機器に対して出力することを特徴とする。
第6発明の機器制御システムによれば、実際には制限されている情報処理の実行要求を第2情報処理機器に許容することによって、当該第2情報処理機器によるその他の情報処理に支障をきたす事態が確実に回避されうる。また、たとえば第2情報処理機器が、第1情報処理機器に対して情報処理の実行を要求したにもかかわらず、当該情報処理がいつまでたっても実行されないため、何らかのエラーが生じたと誤検知されるような事態が回避される。
さらに、第7発明の機器制御システムは、第1〜第6発明のうちいずれか1つの機器制御システムにおいて、前記第2処理部が、前記第1処理部により前記第1情報処理機器による前記指定データの受信が完了したと認識されたことを要件として、当該第1情報処理機器による情報処理の実行制限を解除することを特徴とする。
第7発明の機器制御システムによれば、高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信に割り当てられていた第1情報処理機器の情報処理資源が、当該指定データの受信完了後、その他の情報処理に割り当てられる。これにより、第1情報処理機器が有する情報処理資源の有効活用が図られる。
また、第8発明の機器制御システムは、第7発明の機器制御システムにおいて、前記第2処理部が、前記第1情報処理機器による情報処理の実行制限が解除されたことを示す解除通知を出力することを特徴とする。
第8発明の機器制御システムによれば、第1情報処理機器による高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信が完了し、それまで制限されていた情報処理が可能であることをユーザまたは第2情報処理機器に認識させることができる。
さらに、第9発明の機器制御システムは、第1〜第8発明のうちいずれか1つの機器制御システムにおいて、前記第1処理部が前記第1情報処理機器に前記指定データを認識させ、かつ、当該認識させた当該指定データを前記高速放送用チャンネルを通じて受信させることを特徴とする。
第9発明の機器制御システムによれば、第1処理部が第1情報処理機器に認識させる指定データとは別のデータが、当該第1情報処理機器により高速放送用チャンネルを通じて受信される事態が回避される。
また、第10発明の機器制御システムは、第1〜第9発明のうちいずれか1つの機器制御システムにおいて、前記第1処理部が前記第1情報処理機器に前記指定データとは別のデータを認識させ、かつ、当該認識させたデータを、前記低速放送用チャンネルを通じて受信させることを特徴とする。
第10発明の機器制御システムによれば、第1処理部が第1情報処理機器に認識させる指定データとは別のデータを、当該第1情報処理機器に低速放送用チャンネルを通じて受信させることができる。これにより、指定データとは別の重要なデータの第1情報処理機器による受信が完全に禁止される事態が回避される。
さらに、第11発明の機器制御システムは、第1〜第10発明のうちのいずれか1つの機器制御システムにおいて、前記第1処理部が、前記第1情報処理機器におけるオペレータによる所定操作を認識したことを要件として、当該第1情報処理機器に前記高速放送用チャンネルを通じた前記指定データの受信を開始させることを特徴とする。
第11発明の機器制御システムによれば、オペレータのみが知っている特殊な情報(キー)の第1情報処理機器への入力等、当該第1情報処理機器における所定操作があったことを要件として指定データの受信が開始される。これにより、所定操作を知らない移動装置のユーザ等による第1情報処理機器の操作に応じて当該第1情報処理機器により指定データが受信されること、ひいては当該第1情報処理機器の情報処理が不当に制限される事態が回避されうる。
また、第12発明の機器制御システムは、第1〜第11発明のうちいずれか1つの機器制御システムにおいて、前記第1処理部が、前記情報センターから放送され、前記第1情報処理機器により受信された情報に応じた前記所定操作を認識したことを要件として、当該第1情報処理機器に前記高速放送用チャンネルを通じた前記指定データの受信を開始させることを特徴とする。
第12発明の機器制御によれば、情報センターから放送された情報に応じた所定操作を知らない移動装置のユーザ等による第1情報処理機器の操作に応じて当該第1情報処理機器により指定データが受信されること、ひいては当該第1情報処理機器の情報処理が不当に制限される事態が回避されうる。
さらに、第13発明の機器制御システムは、第11または第12発明の機器制御システムにおいて、前記第1処理部が、前記情報センターから放送された所定情報が前記第1情報処理機器により受信されたことを要件として、当該第1情報処理機器を当該オペレータによる前記所定操作が可能な状態にすることを特徴とする。
第13発明の機器制御システムによれば、第1情報処理機器により指定データが予想外のタイミングで受信されること、ひいては当該第1情報処理機器の情報処理が不当に制限される事態が回避されうる。
前記課題を解決するための第14発明の自動車は、第1〜第13発明のうちいずれか1つの機器制御システムが搭載されていることを前記移動装置であることを特徴とする。
第14発明の自動車によれば、当該自動車に搭載されている第1情報処理機器の情報処理資源を有効利用する観点から当該第1情報処理機器の動作が適当に制御されうる。
前記課題を解決するための第15発明の機器制御プログラムは、移動装置に搭載され、かつ、情報センターから低速または高速で放送されるデータを低速放送用チャンネルまたは高速放送用チャンネルを通じて受信する機能を有する情報処理機器の動作を制御する機能を当該移動装置に搭載されているコンピュータに付与するプログラムであって、第1情報処理機器が前記高速放送用チャンネルを通じた受信設定であるか否かを認識する第1処理機能と、該第1処理機能により当該第1情報処理機器が当該高速放送用チャンネルを通じた受信設定であると認識されたことを要件として、当該第1情報処理機器による情報処理の実行を制限する第2処理機能とを前記コンピュータに付与することを特徴とする。
第15発明の機器制御プログラムによれば、移動装置に搭載されている第1情報処理機器の情報処理資源を有効利用する観点から当該第1情報処理機器の動作を適当に制御する機能が、当該移動装置に搭載されているコンピュータに付与されうる。
前記課題を解決するための第16発明の構築システムは、第15発明の機器制御プログラムの一部または全部を前記移動装置に搭載されているコンピュータに配信または放送して格納させることにより、第1発明の機器制御システムを構築することを特徴とする。
第16発明の構築システムによれば、移動装置に搭載されている第1情報処理機器の情報処理資源を有効利用する観点から当該第1情報処理機器の動作を適当に制御しうるシステムが、任意のタイミングで構築されうる。
本発明の機器制御システム等の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態である機器制御システム等の構成説明図であり、図2〜図4は本発明の一実施形態である機器制御システム等の機能説明図である。
まず、本発明の一実施形態である機器制御システム等の構成について図1を用いて説明する。
図1に示されている自動車(移動装置)1には、第1情報処理機器11と、第2情報処理機器12と、第1情報処理機器11の動作を制御等する機器制御システム10とが搭載されている。第1情報処理機器11および第2情報処理機器12のそれぞれは、通常、自動車1のON状態およびOFF状態の切り替えに応じてON状態およびOFF状態が切り替えられる。
第1情報処理機器11は情報センター20から低速または高速で放送されるデータを低速放送用チャンネルまたは高速放送用チャンネルを通じて受信する。第1情報処理機器11はたとえばナビゲーション装置(ナビ装置)であり、マップ情報に基づき設定目的地までのルートを探索する機能や、当該探索ルートをディスプレイに表示する機能等を有している。
第2情報処理機器12はたとえばハンズフリー通話機器や、舵角センサ、速度センサやヨーレートセンサ等のセンサ(図示略)の出力に応じて自動車1の挙動を制御する機器、またはエアコン制御機器等である。
機器制御システム10は、自動車1に搭載されたハードウェアとしてのECUまたはコンピュータ(CPU,ROM,RAM,I/O等により構成されている。)と、メモリに格納され当該コンピュータに諸機能を付与するソフトウェアとしての本発明の「機器制御プログラム」とにより構成されている。なお、機器制御プログラムは最初から車載コンピュータのメモリ(または記録媒体)に格納されていてもよいが、車載コンピュータからのリクエストがあったとき等の任意のタイミングでこのプラグラムの一部または全部が情報センター20またはその他のサーバ(図示略)からネットワークや人工衛星を介して当該車載コンピュータに配信または送信され、そのメモリに格納されてもよい。また、本発明の機器制御プログラムの一部または全部が「更新データ」として情報センター20から放送され、しかる後車載コンピュータに入力かつ格納されてもよい。
機器制御システム10は第1処理部101と、第2処理部102とを備えている。
第1処理部101は情報センター20から放送された所定情報が第1情報処理機器11により受信されたことを要件として、第1情報処理機器11をオペレータによる所定操作が可能な状態とする。また、第1処理部101は高速放送用チャンネルを通じて受信される指定データを第1情報処理機器11に認識させる。なお、第1処理部101は、低速放送用チャンネルを通じて受信される当該指定データとは別のデータを付加的に第1情報処理機器11に認識させてもよい。さらに、第1処理部101は第1情報処理機器11においてオペレータによる当該所定操作があったことを認識したことを要件として、第1情報処理機器11に指定データの受信を開始させる。また、第1処理部101は第1情報処理機器11により指定データを構成するすべてのパケットが受信され、当該パケットがデコードされ、確認(ベリファイ)され、かつ、メモリに格納されたか否かに応じて、第1情報処理機器11による指定データの受信完了および受信未完了または受信中断を判別する。さらに、第1処理部101は第1情報処理機器11が高速放送用チャンネルを通じた受信設定であるか否かを判定する。
第2処理部102は自動車1がON状態からOFF状態に切り替えられたとき、第1処理部101により第1情報処理機器11が高速放送用チャンネルを通じた受信設定であると認識されたことを要件として、第1情報処理機器11をON状態に維持して高速放送用チャンネルを通じて指定データを受信させる。また、第2処理部102は同じく自動車1がON状態からOFF状態に切り替えられたとき、第1処理部101により第1情報処理機器11が高速放送用チャンネルを通じた受信設定であると認識されたことを要件として、第1情報処理機器11による情報処理の実行を制限等する。たとえば、第2処理部102は第1情報処理機器11による指定データ以外のデータの受信を制限する。また、第2処理部102はオペレータによる第1情報処理機器11への情報処理の実行指示を制限する。さらに、第2処理部102は第2情報処理機器12による第1情報処理機器11への情報処理の実行要求を制限する。
第2処理部102はオペレータによる第1情報処理機器11への情報処理の実行指示が制限されていることを示す「制限通知」をディスプレイに出力する。また、第2処理部102は第2情報処理機器12による第1情報処理機器11への情報処理の実行要求が制限されていることを示す「制限通知」を当該第2情報処理機器12に出力する。
さらに、第2処理部102は第1処理部101により第1情報処理機器11による指定データの受信が完了したと認識されたことと、移動装置がOFF状態であることとを要件として第1情報処理機器11等をON状態からOFF状態に切り替える。また、第2処理部102は同じく第1処理部101により第1情報処理機器11による指定データの受信が完了したと認識されたことを要件として、第1情報処理機器11等による情報処理の実行制限を解除する。また、第2処理部102は第1情報処理機器11等による情報処理の実行制限が解除されたことを示す解除通知を出力する。
第2処理部102は第1処理部101により第1情報処理機器11による指定データの受信が完了したことが認識された後、第1情報処理機器11におけるユーザによる更新指示操作があったことを要件として、指定データに基づいて第1情報処理機器11または第2情報処理機器12の機能を更新する。また、第2処理部102は第1情報処理機器11に、指定データに基づく第1情報処理機器11または第2情報処理機器12の機能更新が完了したことを示す更新完了通知を情報センター20に送信させる。
情報センター20はサーバ(CPU,ROM,RAM,I/O等により構成されている。)により構成され、放送計画通知部21と、放送計画作成部22とを備えている。情報センター20は第1情報処理機器11においてオペレータによる所定操作を可能とするための所定情報等、種々の情報やデータを放送する。
放送計画通知部21は第1情報処理機器11によって高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信が可能な時間帯または時間帯および地域を示す「放送計画」を放送する。これにより、オペレータが閲覧しうる情報端末2に出力させることができる。放送計画作成部22は第3処理部103によって第1情報処理機器11から情報センター20に送信されてくる更新完了通知に基づき、放送計画を作成する。
なお、情報センター20との間での通信装置102のデータの送信経路および受信経路はさまざまな態様が選択されてもよい。たとえば、通信装置102が情報センター20から人工衛星202ではなくネットワークを介してデータを受信してもよい。また、通信装置102がネットワークではなく人工衛星202を介してデータを情報センター20(またはこれを構成するサーバ)に送信してもよい。
前記構成の機器制御システム10等の機能について図2〜図4を用いて説明する。
第1処理の実行に先立ち、放送計画通知部210から情報端末2に対して「放送計画」が配信され、情報端末2のディスプレイにこの放送計画が表示される。これにより、たとえば「○月○日○○時〜●●時に高速放送(バースト放送)が実施される」という放送計画を、情報端末2のディスプレイを通じてオペレータに認識させることができる。
オペレータが自動車1のイグニッションスイッチをOFFからONに切り替えると(図2/S010)、機器制御システム10のほか、第1情報処理機器11および第2情報処理機器12が、車載バッテリ(図示略)から電力が供給されることにより動作可能なOFF状態からON状態に切り替えられる(図2/S011)。この際、第1情報処理機器11および第2情報処理機器12は、メモリに格納されている既存のソフトウェアにしたがって起動する。
これに応じて第1処理部101が「第1処理」を開始する。
まず第1処理部101は情報センター20から放送された「所定情報」が第1情報処理機器11により受信されているか否かを認識する(図2/S012)。所定情報はたとえば後述の更新指令とともにまたは更新指令の一部として第1情報処理機器11により受信される情報であってもよい。第1処理部101は当該所定情報が第1情報処理機器11によりすでに受信されていると認識した場合(図2/S012‥YES)、第1情報処理機器11をオペレータによる「所定操作」が可能な状態を実現する(図2/S013)。これにより、たとえば図4に示されているように第1情報処理機器11における所定操作が可能であることを示すメッセージと、当該所定操作のためのタッチボタンとが、第1情報処理機器11のディスプレイ(ナビディスプレイ)に表示される。なお、所定操作は自動車1や第1情報処理機器11などに固有のパスワードの入力であってもよい。また、当該パスワードは情報センター20から放送された所定情報に応じたパスワードであってもよい。さらに、所定操作が、情報センター20から放送された放送計画に応じた時間帯(または時間帯および地域)におけるパスワードの入力や所定ボタンへの接触であってもよい。
一方、第1処理部101により当該所定情報が第1情報処理機器11により受信されていないと認識され(図2/S012‥NO)、かつ、オペレータによりイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられたとき(図2/S014‥YES)、第2処理部102は機器制御システム10、第1情報処理機器11および第2情報処理機器12をすべてON状態からOFF状態に切り替える(図3/S029)。
また、第1処理部101は第1情報処理機器11においてオペレータによる所定操作があったか否かを認識する(図2/S015)。そして、第1処理部101は当該所定操作があったことを認識した場合(図2/S015‥YES)、高速放送用チャンネルを通じて受信される「指定データ」を第1情報処理機器11に認識させる(図2/S016)。これにより、たとえば第1情報処理機器11によって指定データを識別するためのデータ識別子が認識される。データ識別子はたとえば後述の更新指令とともにまたは更新指令の一部として第1情報処理機器11により受信されてメモリに格納されている。さらに、第1処理部101は第1情報処理機器11に高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信を開始させる(図2/S017)。第1情報処理機器11は、たとえば高速放送用チャンネルを通じて得られるパケットに付されているデータ識別子により、当該パケットが指定データを構成するパケットであるか否かを識別する。また、第1処理部101は第1情報処理機器11による指定データの受信が完了したか否かを判定する(図2/S018)。指定データの受信が完了したか否かは、第1情報処理機器11によって当該指定データを構成するすべてのパケットが受信され、デコードされ、確認(ベリファイ)され、かつ、メモリに格納されたか否かに応じて判定される。
一方、第1処理部101により第1情報処理機器11においてオペレータによる所定操作が一定時間以上にわたってないことが認識され(図2/S015‥NO)、かつ、オペレータによりイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられたとき(図3/S028‥YES)、第2処理部102は機器制御システム10、第1情報処理機器11および第2情報処理機器12をすべてON状態からOFF状態に切り替える(図3/S029)。
第1処理部101は第1情報処理機器11が指定データの受信が未完了であると判定した場合(図2/S018‥YES)、第1情報処理機器11が高速放送用チャンネルを通じた受信設定であるか否かを判定する(図2/S019)。当該判定はたとえば第1情報処理機器11が情報センター20から更新指令を受信済みであり、かつ、当該更新指令の有効期間中であるか否かに応じて実行される。また、当該判定は当該更新指令により指定されたソフトウェア部品の内容通知が第1情報処理機器11によりすべて受信され、当該内容通知の有効期間中であるか否かに応じて実行される。さらに、当該判定は当該更新指令に基づき、第1情報処理機器11のディスプレイに更新内容一覧が表示され、オペレータが所定の更新許可操作を行ったか否かに応じて実行される。
第1処理部101により第1情報処理機器11が高速放送用チャンネルを通じた受信設定ではないと判定され(図2/S019‥NO)、かつ、オペレータによりイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられたとき(図3/S028‥YES)、第2処理部102は機器制御システム10、第1情報処理機器11および第2情報処理機器12をすべてON状態からOFF状態に切り替える(図3/S029)。
続いて、第2処理部102が「第2処理」を実行する。
第2処理部102は、第1処理部101により第1情報処理機器11が高速放送用チャンネルを通じた受信設定であると判定された場合(図2/S019‥NO)、第1情報処理機器11をON状態に維持する(図3/S020)。これにより、自動車1がON状態およびOFF状態のいずれであるかに関わらず、第1情報処理機器11が高速放送用チャンネルを通じて指定データを受信する。
また、第2処理部102は第1情報処理機器11による情報処理の実行を制限する(図3/S021)。これにより、たとえば第1情報処理機器11による指定データ以外のデータの受信が制限される。また、第1情報処理機器11または第2情報処理機器12への情報処理の実行指示が制限される。これにより、たとえば第1情報処理機器11のディスプレイに表示されるタッチパネル方式のボタンのグレーアウト等によりオペレータによる当該ボタンへの接触およびこれに応じた情報処理が制限される。さらに、第2情報処理機器12による第1情報処理機器11への情報処理の実行要求が制限される。これにより、たとえば第2情報処理機器12としてのオーディオ機器から第1情報処理機器11への録音要求や、第2情報処理機器12としてのナビゲーション装置から第1情報処理機器11への高負荷要求が制限される。
さらに、第2処理部102は第1情報処理機器11による情報処理の実行が制限されていることを示す「制限通知」を出力する(図3/S022)。これにより、オペレータによる第1情報処理機器11への情報処理の実行指示が制限されていることを示す制限通知がディスプレイに出力される。たとえば第1情報処理機器11のディスプレイに表示されるタッチパネル方式のボタンのグレーアウト等によりオペレータによる当該ボタンへの接触およびこれに応じた情報処理が制限される。その他、制限通知として所定の音声がスピーカ(図示略)を通じて出力されてもよい。また、第2情報処理機器12による第1情報処理機器11への情報処理の実行要求を伴う情報処理が制限されていることを示す制限通知が第2情報処理機器12に出力される。
一方、第2処理部102は第1処理部101により第1情報処理機器11による高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信が完了したと認識された場合(図2/S018‥NO)、第1情報処理機器11による情報処理の制限を解除する(図3/S023)。また、第2処理部102は当該情報処理の制限が解除された旨の「解除通知」を出力する(図3/S024)。これにより、オペレータによる第1情報処理機器11または第2情報処理機器12への情報処理の実行指示の制限が解除されたことを示す解除通知がディスプレイに出力される。たとえば、第1情報処理機器11のディスプレイにおいてグレーアウトされていたボタンがアクティブ表示とされる。その他、解除通知として所定の音声がスピーカから出力されてもよい。また、第2情報処理機器12による第1情報処理機器11への情報処理の実行要求を伴う情報処理の制限が解除されたことを示す解除通知が第2情報処理機器12に出力される。
第2処理部102は、第1情報処理機器11または第2情報処理機器12の指定データに基づく機能更新をするか否かを確認するメッセージと、更新指示操作用のタッチボタンとをディスプレイに表示する(図4参照)。
第2処理部102は第1情報処理機器11におけるユーザによる「更新指示操作」があったか否かを認識する(図3/S025)。
そして、第2処理部102は当該更新指示操作があったと認識した場合(図3/S025‥YES)、指定データに基づいて第1情報処理機器11または第2情報処理機器12の機能を更新する(図3/S026)。第1情報処理機器11または第2情報処理機器12のメモリに格納されている既存のソフトウェアが当該指示データに基づいて部分的または全面的に書き直されることで、第1情報処理機器11または第2情報処理機器12の機能が更新される。指定データは、第1情報処理機器11によって受信されたパケットがデコードされることにより生成されうる。これにより、その後自動車1がOFF状態からON状態に切り替えられたとき(イグニッションスイッチがOFFからONに切り替えられたとき)、第1情報処理機器11または第2情報処理機器12は更新またはバージョンアップされたソフトウェアにしたがって起動する(図2/S011参照)。
さらに、第2処理部102は第1情報処理機器11に、第1情報処理機器11または第2情報処理機器12の機能更新が完了したことを示す「更新完了通知」を出力させる(図3/S027)。これにより、たとえば当該更新完了通知がディスプレイに表示される。また、当該更新完了通知が情報センター20に送信される。
その後、第2処理部102は自動車1がOFF状態である場合(図3/S028‥YES)、第1情報処理機器11および第2情報処理機器12をON状態からOFF状態に切り替える(図3/S029)。
一方、第2処理部101により第1情報処理機器11においてオペレータによる更新指示操作が一定時間以上にわたってないこと(または更新保留操作があったこと)が認識され(図2/S025‥NO)、かつ、オペレータによりイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられたとき(図3/S028‥YES)、第2処理部102は機器制御システム10、第1情報処理機器11および第2情報処理機器12をすべてON状態からOFF状態に切り替える(図3/S029)。
前記機能を発揮する機器制御システム10によれば、第1処理部101が第1情報処理機器11におけるオペレータによる所定操作があったことを要件として、第1情報処理機器11に高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信を開始させる(図2/S015,S017参照)。これにより、オペレータのみが知っている特殊な情報(キー)の情報処理機器への入力等、第1情報処理機器11における所定操作があったことを要件として指定データの受信が開始される。これにより、所定操作を知らない自動車1のユーザ等による第1情報処理機器11の操作に応じて当該第1情報処理機器11により指定データが受信されること、ひいては当該第1情報処理機器11の情報処理が不当に制限される事態が回避されうる。
また、第1処理部101が第1情報処理機器11に指定データ(具体的には、指定データを識別するためのデータ識別子)を認識させ、かつ、当該認識指定データが高速放送用チャンネルを通じて受信させる(図2/S016,S017参照)。これにより、指定データとは別のデータが、第1情報処理機器11により高速放送用チャンネルを通じて受信される事態が回避される。
さらに、第1処理部101が情報センター20から放送された所定情報が第1情報処理機器11により受信されたことを要件として、当該第1情報処理機器11を当該オペレータによる所定操作が可能な状態にする(図2/S013参照)。これにより、第1情報処理機器11により指定データが予想外のタイミングで受信されること、ひいては当該第1情報処理機器11の情報処理が不当に制限される事態が回避されうる。
さらに、第2処理部102により、第1情報処理機器11が指定データを構成するパケットの受信を完了しておらず、かつ、第1情報処理機器11が高速放送用チャンネルを通じた受信設定であるとき、第1情報処理機器11による情報処理が制限される(図2/S018‥YES,S019‥YES,図3/S021参照)。これにより、第1情報処理機器11の情報処理資源が高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信に主に割り当てられうる。また、当該情報処理資源が、オペレータにより指示された情報処理や第2情報処理機器12から要求された情報処理等、指定データの受信とは別の情報処理に割り当てられることが制限される。このため、指定データの受信とは別の情報処理の実行により情報処理資源の不足をきたしてしまい、指定データの受信、さらには当該別の情報処理の実行に支障をきたす事態が確実に回避されうる。このように、自動車1に搭載されている第1情報処理機器11の情報処理資源を有効利用する観点から第1情報処理機器11の動作が適当に制御されうる。
また、オペレータによる第1情報処理機器11への情報処理の実行指示が制限された場合、当該情報処理の実行指示が制限されていることを示す「制限通知」がディスプレイに出力される(図3/S021,S022参照)。これにより、実際には制限されている情報処理の指示をオペレータに許容することによって当該オペレータの誤解や混乱を招く事態が確実に回避されうる。
同様に、第2情報処理機器12による第1情報処理機器11への情報処理の実行要求が制限された場合、当該情報処理の実行要求が制限されていることを示す「制限通知」が第2情報処理機器12に対して出力される(図3/S021,S022参照)。これにより、実際には制限されている情報処理の実行要求を第2情報処理機器12に許容することによって、当該第2情報処理機器12によるその他の情報処理に支障をきたす事態が確実に回避されうる。また、たとえば第2情報処理機器12が、第1情報処理機器11に対して情報処理の実行を要求したにもかかわらず、当該情報処理がいつまでたっても実行されないため、何らかのエラーが生じたと誤検知されるような事態が回避される。
さらに、第1情報処理機器11による指定データの受信が完了したと判定されたことを要件として、第1情報処理機器11による情報処理の実行制限が解除される(図2/S018‥NO,図3/S023参照)。これにより、高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信に割り当てられていた第1情報処理機器11の情報処理資源が、当該指定データの受信完了後、その他の情報処理に割り当てられる。これにより第1情報処理機器11が有する情報処理資源の有効活用が図られる。
また、第1情報処理機器11による情報処理の実行制限が解除されたことを示す解除通知が出力される(図3/S024参照)。これにより、第1情報処理機器11による高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信が完了し、それまで制限されていた情報処理が可能であることをユーザおよび第2情報処理機器12に認識させることができる。
さらに、自動車1がON状態からOFF状態に切り替えられた場合でも、第1情報処理機器11が高速放送用チャンネルを通じた受信設定であることを要件として当該第1情報処理機器11が例外的にON状態に維持される(図2/S019‥YES,図3/S020参照)。このため、自動車1をOFF状態としながらも第1情報処理機器11をON状態に維持して、当該第1情報処理機器11に高速放送用チャンネルを通じて指定データを受信させる(または指定データの受信を継続させる)ことができる。また、情報センター20により指定データが高速で放送されているので、第1情報処理機器11による当該指定データの受信完了までに要する時間が短縮される。このようにして自動車1の資源(ガソリンやバッテリの電力)の経済を図りながら、当該自動車1に搭載されている第1情報処理機器11が効率よくデータを受信しうるように当該第1情報処理機器11の動作が制御されうる。
また、第1情報処理機器11による指定データの受信完了に応じて、当該第1情報処理機器11等がON状態からOFF状態に切り替えられる(図2/S018‥NO,図3/S029参照)。これにより、第1情報処理機器11をON状態にしておくための資源(電力)の節約が図られる。
さらに、更新完了通知により、第1情報処理機器11または第2情報処理機器12の機能が更新されたことをオペレータに認識させることができる(図3/S027参照)。また、情報センター20またはその関係者に多数の自動車1のそれぞれに搭載されている第1情報処理機器11または第2情報処理機器12の機能更新の進捗状況を認識させ、当該情報センター20の放送計画作成部22による指定データの放送計画を作成等させることができる。
なお、第1処理部101が第1情報処理機器11に指定データとは別のデータ(具体的には当該データを識別するためのデータ識別子)を認識させ、かつ、当該認識させたデータを、低速放送用チャンネルを通じて受信させてもよい(図2/S016参照)。これにより、指定データとは別の重要なデータの第1情報処理機器11による受信が完全に禁止される事態が回避される。
さらに、第1情報処理機器11による高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信が中断した場合、当該指定データを構成するパケットの不足分の多少に応じて当該第1情報処理機器11がON状態またはOFF状態に制御されてもよい。
すなわち、この場合、第2処理部102は自動車1がOFF状態であり、かつ、指定データの受信不足量が閾値以上であると認識したことを要件として第1情報処理機器11をON状態からOFF状態に切り替える。これにより、低速放送用チャンネルを通じた当該不足分のデータ受信完了までに第1情報処理機器11が長時間にわたってON状態に維持される事態が回避されうる。
一方、第2処理部102は当該指定データの受信不足量が当該閾値未満であると認識したことを要件として当該第1情報処理機器11をON状態に維持することにより低速用放送チャンネルを通じて当該指定データの不足部分を受信させる。これにより、第1情報処理機器11がON状態に維持される時間が長くなることを抑制しつつ、当該第1情報処理機器11に低速放送用チャンネルを通じた当該不足分のデータ受信を完了させることができる。
また、自動車1がON状態からOFF状態に切り替えられた後、第1情報処理機器11による高速放送用チャンネルを通じた指定データの受信が所定時間以内に完了しない場合、第2処理部102により第1情報処理機器11の高速放送用チャンネルを通じた受信設定が解除され、かつ、第1情報処理機器11がON状態からOFF状態に切り替えられてもよい。また、その後、自動車1がOFF状態からON状態に切り替えられたことに応じて第1情報処理機器11がOFF状態からON状態に切り替えられたとき、第1情報処理機器11により低速放送用チャンネルを通じて当該指定データを構成する残りのパケットが受信されてもよい。
1‥自動車(移動装置)、2‥情報端末、10‥機器制御システム、11‥第1情報処理機器、12‥第2情報処理機器、101‥第1処理部、102‥第2処理部、20‥情報センター、21‥放送計画通知部、220‥放送計画作成部、202‥人工衛星