JP2008042375A - ストリップライン給電回路及びこの給電回路を有するトリプレート型平面セクタビームアンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】ストリップラインの引き回しスペースが限定されていても、該ストリップラインを確実に引き回すことが可能なストリップライン給電回路及びトリプレート型平面セクタビームアンテナを提供する。
【解決手段】アンテナ素子14a、14dに基準出力電力を供給する出力インピーダンス変換器23a、23dと分配用インピーダンス変換器22aとを直接接続し、アンテナ素子14b、14c、14e、14fに他の出力電力を供給する出力インピーダンス変換器23b、23c、23e、23fをメアンダ形状線路20を介して他の分配用インピーダンス変換器22b、22dにそれぞれ接続する。
【選択図】図1
【解決手段】アンテナ素子14a、14dに基準出力電力を供給する出力インピーダンス変換器23a、23dと分配用インピーダンス変換器22aとを直接接続し、アンテナ素子14b、14c、14e、14fに他の出力電力を供給する出力インピーダンス変換器23b、23c、23e、23fをメアンダ形状線路20を介して他の分配用インピーダンス変換器22b、22dにそれぞれ接続する。
【選択図】図1
Description
本発明は、外部から供給された入力電力を並列給電方式により複数の出力電力に分配して外部に供給するストリップライン給電回路及びこの給電回路を有するトリプレート型平面セクタビームアンテナに関し、より詳細には、マイクロ波帯、ミリ波帯のストリップラインから構成される電力分配器やセクタビームアンテナの給電回路として好適なストリップライン給電回路及びトリプレート型平面セクタビームアンテナに関する。
従来のトリプレート型平面セクタビームアンテナ(以下、セクタビームアンテナともいう。)では、垂直方向に沿ってビーム放射面を配置し、直列給電方式又は並列給電方式のいずれかの方式により複数のアンテナ素子に給電すると、前記ビーム放射面に配置された前記各アンテナ素子から水平方向(水平面内)にセクタビームが放射される。この場合、広帯域用のセクタビームアンテナでは、周波数特性の少ない並列給電方式が採用される。
並列給電方式によるセクタビームアンテナ10は、図5に示すように、金属製(例えば、アルミニウム)の第1地導体板11と、空気に近い誘電率を有する誘電体板(例えば、ポリエステル製の発泡シート)から構成される第1誘電体板12aと、ポリ4フッ化エチレンやポリイミド等の誘電体板から構成されるプリント基板15と、第1誘電体板12aと同じ誘電体板から構成される第2誘電体板12bと、複数のスロット17が形成された金属製(例えば、アルミニウム)の第2地導体板16との順に積層された構成であり、プリント基板15上には、図5及び図6に示すように、複数のアンテナ素子14(図6では6つのアンテナ素子14a〜14f)と、各アンテナ素子14a〜14fへの給電を行うストリップライン給電回路30、32とがそれぞれ形成されている。この場合、積層方向(図5に示す上下方向)に沿って第2地導体板16を視たときに、各アンテナ素子14a〜14fは、スロット17内に納まるように配置され、ストリップライン給電回路30、32は、各スロット17間に概ね納まるように配置されている。
ここで、ストリップライン給電回路30は、図6及び図7に示すように、プリント基板15(図5参照)上に形成されたストリップラインにて構成され、入力電力が供給される入力ポート21を備える給電線路13と、アンテナ素子14a〜14cに出力電力を供給する出力ポートである出力インピーダンス変換器23a〜23cとを有する(非特許文献1〜5参照)。
また、ストリップライン給電回路30では、給電線路13から分配用インピーダンス変換器22c、22dがT分岐し、この分配用インピーダンス変換器22cから分配用インピーダンス変換器22a、22bがさらにT分岐している。すなわち、給電線路13に対して分配用インピーダンス変換器22a〜22dは、T分岐によりトーナメント状に接続された並列給電線路を構成している。
そして、分配用インピーダンス変換器22aは、インピーダンス整合用の定インピーダンス線路24及び出力インピーダンス変換器23aを介してアンテナ素子14aと接続され、分配用インピーダンス変換器22bは、メアンダ形状線路20、定インピーダンス線路24及び出力インピーダンス変換器23bを介してアンテナ素子14bと接続され、分配用インピーダンス変換器22dは、定インピーダンス線路24、メアンダ形状線路20及び出力インピーダンス変換器23cを介してアンテナ素子14cと接続されている。
一方、ストリップライン給電回路32も、ストリップライン給電回路30と同様に、給電線路13と出力インピーダンス変換器23d〜23fとを有し、該ストリップライン給電回路32内の分配用インピーダンス変換器22aは、定インピーダンス線路24及び出力インピーダンス変換器23dを介してアンテナ素子14dと接続され、分配用インピーダンス変換器22bは、メアンダ形状線路20、定インピーダンス線路24及び出力インピーダンス変換器23eを介してアンテナ素子14eと接続され、分配用インピーダンス変換器22dは、定インピーダンス線路24、メアンダ形状線路20及び出力インピーダンス変換器23fを介してアンテナ素子14fと接続されている。
なお、給電線路13、分配用インピーダンス変換器22a〜22d、メアンダ形状線路20、定インピーダンス線路24及び出力インピーダンス変換器23a〜23fのインピーダンスは、各ストリップラインの線路幅と、第1地導体板11と前記各ストリップラインとの間隔(第1誘電体板12a及びプリント基板15の厚み)と、第2地導体板16と前記各ストリップラインとの間隔(第2誘電体板12bの厚み)とによって決まり、ストリップライン給電回路30、32の仕様に応じて適宜設定される。
ここで、外部からストリップライン給電回路30、32の各入力ポート21に入力電力を供給すると、各分配用インピーダンス変換器22a〜22dは、所定の分配比により前記入力電力を分配し、所望の振幅を有する複数の出力電力を生成する。各メアンダ形状線路20は、その線路長を調整することにより前記各出力電力の位相を所望の位相に調整する。各出力インピーダンス変換器23a〜23fは、所望の振幅及び位相に調整された出力電力をアンテナ素子14a〜14fに供給する。この結果、セクタビームアンテナ10が垂直に配置されていれば、アンテナ素子14a〜14fからスロット17を介してセクタビームを水平面内に放射することが可能となる。
Kai Fong Lee、Wei Chen、"Advances in Microstrip and Printed Antennas"、(米国)、John Wiley & Sons、1997年、p.144−147
羽石著、「最新平面アンテナ技術」、総合技術センター、1993年、p.297−309
A. Balanis著、"Antenna Theory analysis and design"、(米国)、John Wiley & Sons、1997年、p.772−774
R. J. Mailloux、J. F. Mcllvenna、N. P. Kernweis、"Microstrip Array Technology"、IEEE Trans. Antennas Propagat.、(米国)、1981年1月、Vol.AP−29、No.1、p.25−27
JR James、PS Hall著、"Handbook of Microstrip Antennas"、IEE、1989年、p.850−852
上記の並列給電方式では、入力電力を分配して出力電力を生成し、この出力電力を所望の位相に調整する必要があるので、給電線路であるストリップラインを引き回すためのスペースをある程度確保しておく必要がある。
しかしながら、図5〜図7に示すセクタビームアンテナ10では、下記の(1)〜(3)の理由により、このような引き回しスペースを各スロット17の間で確保することが困難である。
(1)アンテナ素子14a〜14fの間隔を垂直方向(図6及び図7の上下方向)に変化させると、スロット17から放射されるセクタビームの垂直方向(垂直面内)の指向性が変化するので、アンテナ素子14a〜14fの前記垂直方向の間隔を広げて、前記引き回しスペースを該垂直方向に拡大することは困難である。
(2)スロット17における前記垂直方向の寸法を小さくすると、前記セクタビームの開口効率が低下すると共に交差偏波も増大するので、該セクタビームの特性が劣化する。従って、スロット17の前記垂直方向の寸法を小さくして、前記引き回しスペースを前記垂直方向に拡大することは困難である。
(3)給電線路13がスロット17にはみ出すと、該給電線路13から不要な放射が発生して、前記セクタビームの指向性パターンが乱れるので、アンテナ素子14a〜14f間でのインピーダンスのずれが発生する。従って、ストリップライン給電回路30、32をスロット17にはみ出すように、前記引き回しスペースを前記垂直方向に拡大することは困難である。
さらに、前記引き回しスペースが限定されることにより、下記の(4)に示す不都合が懸念される。
(4)分配用インピーダンス変換器22a〜22dの間隔が互いに狭い場合や、分配用インピーダンス変換器22aと給電線路13との間隔が狭い場合には、これらの間にカップリングが発生するので、出力電力の振幅や位相にずれが発生する。また、前記引き回しスペースが限定されている場合でも、出力インピーダンス変換器23a〜23fの線路長と分配用インピーダンス変換器22a〜22dの線路長とは、所定の周波数における管内波長に換算して1/4波長の長さにする必要がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、並列給電方式において、給電線路であるストリップラインの引き回しスペースが限定されていても、該ストリップラインを確実に引き回すことが可能なストリップライン給電回路及びこのストリップライン給電回路を有するトリプレート型平面セクタビームアンテナを提供することを目的とする。
この項目では、理解の容易化のために添付図面中の参照符号を付けて説明する。従って、この項目に記載した内容がその参照符号を付けたものに限定して解釈されるものではない。
本発明に係るストリップライン給電回路40、42は、1つの入力ポート21と、該入力ポート21に対してT分岐によりトーナメント状に接続された複数の分配用インピーダンス変換器22a〜22dと、メアンダ形状線路20と、複数の出力インピーダンス変換器23a〜23fとを有し、外部から前記入力ポート21に供給された入力電力を前記各分配用インピーダンス変換器22a〜22dにて複数の出力電力に分配し、前記メアンダ形状線路20にて前記各出力電力の位相を調整し、前記各出力電力を前記各出力インピーダンス変換器23a〜23fから外部に供給するストリップライン給電回路40、42において、前記各出力インピーダンス変換器23a〜23fのうち1の出力インピーダンス変換器23a、23dは、前記各分配用インピーダンス変換器22a〜22dのうち1の分配用インピーダンス変換器22aと直接接続されると共に、他の出力インピーダンス変換器23b、23c、23e、23fは、前記メアンダ形状線路20を介して他の分配用インピーダンス変換器22b、22dにそれぞれ接続され、前記1の出力インピーダンス変換器23a、23dには、前記各出力電力の基準となる基準出力電力が出力されると共に、前記メアンダ形状線路20は、前記基準出力電力と同相となるように他の出力電力の位相を調整し、前記各分配用インピーダンス変換器22a〜22dは、前記基準出力電力と同一振幅となるように前記他の出力電力の振幅を調整することを特徴とする。
この構成によれば、前記基準出力電力を出力する出力インピーダンス変換器23a、23dと分配用インピーダンス変換器22aとを直接接続し、他の出力インピーダンス変換器23b、23c、23e、23fは、前記メアンダ形状線路20を介して他の分配用インピーダンス変換器22b、22dにそれぞれ接続される。
これにより、従来のストリップライン給電回路30、32(図6及び図7参照)中にあった定インピーダンス線路24が不要となり、入力ポート21から出力インピーダンス変換器23a〜23fまでのストリップラインの線路長が短縮されると共に、該ストリップライン中の不連続箇所(前記ストリップライン中の接続箇所)が減少する。この結果、ストリップラインの引き回しスペースに余裕ができて、ストリップライン間のカップリングが抑制されるので、前記出力電力の振幅及び位相のずれを低減することが可能となる。
従って、本発明によれば、ストリップラインの引き回しスペースが限定されていても、該ストリップラインを確実に引き回すことが可能となる。また、前記出力電力の振幅や位相のずれが低減されるので、前記各出力インピーダンス変換器23a〜23fに同一振幅及び同相の出力電力を確実に出力することが可能となる。
また、本発明に係るトリプレート型平面セクタビームアンテナ50は、第1地導体板11と、第1誘電体板12aと、上記したストリップライン給電回路40、42及び該ストリップライン給電回路40、42の各出力インピーダンス変換器23a〜23fにそれぞれ接続された複数のアンテナ素子14、14a〜14fが配置されているプリント基板15と、第2誘電体板12bと、複数のスロット17が形成された第2地導体板16との順に積層され、積層方向に沿って前記第2地導体板16を視たときに、前記各スロット17内に前記各アンテナ素子14、14a〜14fが配置されていると共に、前記各スロット17間に前記ストリップライン給電回路40、42の入力ポート21、各分配用インピーダンス変換器22a〜22d、メアンダ形状線路20及び前記各出力インピーダンス変換器23a〜23fの一部が配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、前記各スロット17間のようなストリップラインの引き回しスペースが限定されている箇所でも、該ストリップラインを確実に引き回すことが可能となる。また、前述したように、出力電力の振幅や位相のずれが低減されるので、前記各出力インピーダンス変換器23a〜23fに同一振幅及び同相の出力電力を確実に出力し、前記各アンテナ素子14、14a〜14fから前記スロット17を介して外部に放射されるセクタビームの指向性パターンの周波数による変動を抑制することができる。
本発明によれば、基準出力電力を出力する出力インピーダンス変換器と分配用インピーダンス変換器とを直接接続し、他の出力インピーダンス変換器は、メアンダ形状線路を介して他の分配用インピーダンス変換器にそれぞれ接続するようにしたので、従来のストリップライン給電回路30、32(図6及び図7参照)中にあった定インピーダンス線路24が不要となり、入力ポートから出力インピーダンス変換器までのストリップラインの線路長が短縮されると共に、該ストリップライン中の不連続箇所が減少する。この結果、ストリップラインの引き回しスペースに余裕ができて、ストリップライン間のカップリングが抑制されるので、前記出力電力の振幅及び位相のずれを低減することが可能となる。従って、本発明では、ストリップラインの引き回しスペースが限定されていても、該ストリップラインを確実に引き回すことが可能となる。
本発明に係るストリップライン給電回路及びこのストリップライン給電回路を有するトリプレート型平面セクタビームアンテナの好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
なお、本実施形態に係るストリップライン給電回路40、42及びトリプレート型平面セクタビームアンテナ(以下、セクタビームアンテナともいう。)50を図1〜図4を参照しながら説明する際に、ストリップライン給電回路30、32(図6及び図7参照)及びセクタビームアンテナ10(図5参照)と同じ構成要素については、同一の参照符号を付けて説明する。
本実施形態に係るストリップライン給電回路40は、図1及び図2に示すように、分配用インピーダンス変換器22aと出力インピーダンス変換器23aとを直接接続し、分配用インピーダンス変換器22bをメアンダ形状線路20を介して出力インピーダンス変換器23bと接続し、分配用インピーダンス変換器22dをメアンダ形状線路20を介して出力インピーダンス変換器23cと接続している点で、従来技術に係るストリップライン給電回路30(図6及び図7参照)とは異なる。
また、本実施形態に係るストリップライン給電回路42は、分配用インピーダンス変換器22aと出力インピーダンス変換器23dとを直接接続し、分配用インピーダンス変換器22bをメアンダ形状線路20を介して出力インピーダンス変換器23eと接続し、分配用インピーダンス変換器22dをメアンダ形状線路20を介して出力インピーダンス変換器23fと接続している点で、従来技術に係るストリップライン給電回路32(図6及び図7参照)とは異なる。
すなわち、ストリップライン給電回路40、42では、1の出力インピーダンス変換器23a、23dが1の分配用インピーダンス変換器22aとそれぞれ直接接続され、他の出力インピーダンス変換器23b、23c、23e、23fは、メアンダ形状線路20を介して他の分配用インピーダンス変換器22b、22dと接続されており、ストリップライン給電回路30、32(図6及び図7参照)を構成する定インピーダンス線路24を省略した構成となっている。この場合、ストリップライン給電回路40、42では、出力インピーダンス変換器23a〜23f及び分配用インピーダンス変換器22a〜22dを構成するストリップラインの線路幅を互いに適宜設定することにより、変換器間のインピーダンス整合を取って、定インピーダンス線路24を省略するようにしている。
さらに、本実施形態に係るセクタビームアンテナ50は、ストリップライン給電回路30、32に代えてストリップライン給電回路40、42を有する点で、従来技術に係るセクタビームアンテナ10(図5参照)とは異なる。
次に、本実施形態に係るストリップライン給電回路40、42及びセクタビームアンテナ50の動作及び効果について、図1〜図4を参照しながら説明する。
先ず、垂直にセクタビームアンテナ50を配置した状態{第2地導体板16(図5参照)の表面が垂直方向に沿うようにセクタビームアンテナ50を立設した状態}で、ストリップライン給電回路40、42の各入力ポート21にそれぞれ入力電力を供給する。
ストリップライン給電回路40、42内の分配用インピーダンス変換器22a〜22dでは、給電線路13の入力ポート21に供給された入力電力を所定の振幅を有する複数の出力電力に分配する。
この場合、ストリップライン給電回路40、42では、分配用インピーダンス変換器22aに直接接続された出力インピーダンス変換器23a、23dからアンテナ素子14a、14dに供給される出力電力(基準出力電力)を、他の出力インピーダンス変換器23b、23c、23e、23fからアンテナ素子14b、14c、14e、14fに供給される出力電力(他の出力電力)の基準となる電力とし、この基準出力電力と他の出力電力とが同一振幅及び同相となるように、分配用インピーダンス変換器22a〜22d及びメアンダ形状線路20を用いて前記他の出力電力の振幅及び位相を調整する。
すなわち、各分配用インピーダンス変換器22a〜22dは、出力インピーダンス変換器23a、23dにおける基準出力電力と、出力インピーダンス変換器23b、23c、23e、23fにおける他の出力電力とが同一振幅となるように、所定の分配比により前記他の出力電力の振幅を調整する。一方、各メアンダ形状線路20は、その線路長を調整することで、出力インピーダンス変換器23a、23dにおける基準出力電力と、出力インピーダンス変換器23b、23c、23e、23fにおける他の出力電力とが同相となるように、該他の出力電力の位相を調整する。
これにより、各出力インピーダンス変換器23a〜23fから各アンテナ素子14a〜14fに同一振幅及び同相の出力電力がそれぞれ供給され、この結果、各アンテナ素子14a〜14fからスロット17を介して水平方向(水平面内)にセクタビームが放射される。
図3Aは、従来技術に係るセクタビームアンテナ10(図5参照)から放射されるセクタビームの水平面内の指向性パターンを示すグラフ(比較例)であり、図3Bは、本実施形態に係るセクタビームアンテナ50から放射されるセクタビームの水平面内の指向性パターンを示すグラフ(実施例)である。
なお、横軸の角度は、スロット17の中心軸28(図1及び図6参照)からアンテナ素子14b、14eに向かう角度(アジマス角)を示している。また、f/fcは、前記セクタビームの中心周波数fcと任意の周波数fとの比を示している。さらに、図3A及び図3B中の破線の特性は、ETSI(European Telecommunication Standards Institute)にて規定されているセクタビームの指向性パターンの上限を示している。
図3A及び図3Bにおいて、スロット17から放射されるセクタビームの使用可能範囲を−3[dB]以上で且つ−45[°]〜+45[°]のアジマス角の範囲とすれば、図3Aの比較例では、f/fcを変化するとアジマス角の範囲が変動する。これは、各スロット17の間の限られたスペース内でストリップライン給電回路30、32(図6及び図7参照)を構成するストリップライン(給電線路13、分配用インピーダンス変換器22a〜22d、メアンダ形状線路20、定インピーダンス線路24及び出力インピーダンス変換器23a〜23f)を引き回すことにより、各ストリップライン間にカップリングが発生して出力電力の振幅や位相にずれが生じ、この結果、セクタビームの指向性パターンが乱れるからである。
これに対して、図3Bの実施例では、f/fcを変化してもセクタビームの指向性パターンにおけるアジマス角の範囲はほとんど変動しない。これは、本実施形態に係るストリップライン給電回路40、42(図1及び図2参照)では、定インピーダンス線路24(図6及び図7参照)を省略した構成であるので、入力ポート21から出力インピーダンス変換器23a〜23dまでのストリップラインの線路長が短縮されて該ストリップラインの引き回しスペースに余裕ができると共に、前記ストリップラインの不連続箇所が減少するためである。すなわち、前記引き回しスペースに余裕を持たせ且つ前記不連続箇所を減少させることにより、各ストリップライン間に発生するカップリングを抑制することが可能となって、各アンテナ素子14a〜14fに同一振幅及び同相の出力電力を確実に供給することができ、この結果、所望の指向性パターンを有するセクタビームをスロット17から水平面内に放射することが可能となる。
図4は、比較例及び実施例におけるVSWR(電圧定在波比)とf/fcとの関係を示すグラフである。VSWRの値が1.55以下の領域を使用帯域とすれば、本実施例は、比較例よりも広帯域であることが諒解される。
このように、本実施形態によれば、基準出力電力を出力する出力インピーダンス変換器23a、23dと分配用インピーダンス変換器22aとを直接接続し、他の出力インピーダンス変換器23b、23c、23e、23fは、メアンダ形状線路20を介して他の分配用インピーダンス変換器22b、22dにそれぞれ接続される。
この結果、従来のストリップライン給電回路30、32(図6及び図7参照)中にあった定インピーダンス線路24が不要になって、入力ポート21から出力インピーダンス変換器23a〜23dまでのストリップラインの線路長が短縮されると共に、該ストリップライン中の不連続箇所(ストリップラインの接続箇所)が減少する。これにより、ストリップラインの引き回しスペースに余裕ができて、該ストリップライン間のカップリングが抑制されるので、出力電力の振幅及び位相のずれを低減することが可能となる。
従って、本実施形態によれば、ストリップラインの引き回しスペースが限定されていても、該ストリップラインを確実に引き回すことが可能となる。また、出力電力の振幅や位相のずれが低減されるので、各出力インピーダンス変換器23a〜23fに同一振幅及び同相の出力電力を確実に出力することが可能となる。
さらに、各スロット17間のようなストリップラインの引き回しスペースが限定されている箇所でも、該ストリップラインを確実に引き回すことが可能となる。さらに、出力電力の振幅や位相のずれが低減されるので、出力インピーダンス変換器23a〜23fから各アンテナ素子14a〜14fに同一振幅及び同相の出力電力を供給すれば、各アンテナ素子14a〜14fからスロット17を介して水平面内に放射されるセクタビームにおける指向性パターンの周波数による変動を抑制することができる。
上記の説明では、ストリップライン給電回路40、42をセクタビームアンテナ50に適用した実施形態について説明したが、該ストリップライン給電回路40、42をマイクロ波帯、ミリ波帯の電力分配器に適用しても上述した効果が得られることは勿論である。
本発明に係るストリップライン給電回路及びこの給電回路を有するトリプレート型平面セクタビームアンテナは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
10、50…セクタビームアンテナ 11…第1地導体板
12a…第1誘電体板 12b…第2誘電体板
13…給電線路 14、14a〜14f…アンテナ素子
15…プリント基板 16…第2地導体板
17…スロット 20…メアンダ形状線路
21…入力ポート
22a〜22d…分配用インピーダンス変換器
23a〜23f…出力インピーダンス変換器
24…定インピーダンス線路 28…中心軸
30、32、40、42…ストリップライン給電回路
12a…第1誘電体板 12b…第2誘電体板
13…給電線路 14、14a〜14f…アンテナ素子
15…プリント基板 16…第2地導体板
17…スロット 20…メアンダ形状線路
21…入力ポート
22a〜22d…分配用インピーダンス変換器
23a〜23f…出力インピーダンス変換器
24…定インピーダンス線路 28…中心軸
30、32、40、42…ストリップライン給電回路
Claims (2)
- 1つの入力ポートと、該入力ポートに対してT分岐によりトーナメント状に接続された複数の分配用インピーダンス変換器と、メアンダ形状線路と、複数の出力インピーダンス変換器とを有し、外部から前記入力ポートに供給された入力電力を前記各分配用インピーダンス変換器にて複数の出力電力に分配し、前記メアンダ形状線路にて前記各出力電力の位相を調整し、前記各出力電力を前記各出力インピーダンス変換器から外部に供給するストリップライン給電回路において、
前記各出力インピーダンス変換器のうち1の出力インピーダンス変換器は、前記各分配用インピーダンス変換器のうち1の分配用インピーダンス変換器と直接接続されると共に、他の出力インピーダンス変換器は、前記メアンダ形状線路を介して他の分配用インピーダンス変換器にそれぞれ接続され、
前記1の出力インピーダンス変換器には、前記各出力電力の基準となる基準出力電力が出力されると共に、前記メアンダ形状線路は、前記基準出力電力と同相となるように他の出力電力の位相を調整し、
前記各分配用インピーダンス変換器は、前記基準出力電力と同一振幅となるように前記他の出力電力の振幅を調整する
ことを特徴とするストリップライン給電回路。 - 第1地導体板と、第1誘電体板と、請求項1記載のストリップライン給電回路及び該ストリップライン給電回路の各出力インピーダンス変換器にそれぞれ接続された複数のアンテナ素子が配置されているプリント基板と、第2誘電体板と、複数のスロットが形成された第2地導体板との順に積層され、
積層方向に沿って前記第2地導体板を視たときに、前記各スロット内に前記各アンテナ素子が配置されていると共に、前記各スロット間に前記ストリップライン給電回路の入力ポート、各分配用インピーダンス変換器、メアンダ形状線路及び前記各出力インピーダンス変換器の一部が配置されている
ことを特徴とするトリプレート型平面セクタビームアンテナ。
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JP2006211869A JP2008042375A (ja) | 2006-08-03 | 2006-08-03 | ストリップライン給電回路及びこの給電回路を有するトリプレート型平面セクタビームアンテナ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2006-08-03 JP JP2006211869A patent/JP2008042375A/ja active Pending
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