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JP2007535924A - ワクチン用アジュバントとしてのフラジェリンの使用 - Google Patents

ワクチン用アジュバントとしてのフラジェリンの使用 Download PDF

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JP2007535924A JP2007511315A JP2007511315A JP2007535924A JP 2007535924 A JP2007535924 A JP 2007535924A JP 2007511315 A JP2007511315 A JP 2007511315A JP 2007511315 A JP2007511315 A JP 2007511315A JP 2007535924 A JP2007535924 A JP 2007535924A
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Abstract

本発明は、フラジェリン、及びワクチン接種用アジュバントとしてのその使用に向けられる。好ましくは、フラジェリンは膜結合型であり、それは哺乳類表面表示プラスミドpDisplayを用いることによって達成されうる。本発明をワクチン製剤に用いて、同じ個所に投与される任意の他の抗原に対する免疫を向上させることが可能である。抗原をフラジェリンと同じ構築体、又は同じ個所に与えられる任意の他の製剤で投与することが可能である。別法として、フラジェリンを使用して、特定個所に発現される抗原に対する免疫を刺激することが可能である。炎症に対するモデルを作成することを目的として、局所的な炎症を誘発するのにフラジェリンを使用することも可能である。

Description

抗原をコードする裸DNAコード抗原の送達により、適応免疫応答を誘発することが可能である。この方法は、規定の抗原に対して集中した免疫応答を誘発することができるという点において可能性を有し、調製が容易で安定性があるという点において有益性を有する。しかしながら、齧歯類と比較して、DNAのみを使用して2−15ヒト及びヒト以外の霊長類にワクチン接種をする成果に限界があることを考慮すると、DNAワクチン接種の免疫原性を高めることが依然として基本的な目標である。今日まで、これらのDNAワクチン接種は、複合的なDNA−プライム、タンパク質/ウィルス−追加免疫療法と組み合わせなければ効果がないことが証明されてきた9、12、16。DNAをベースとしたワクチン接種を改善するために、サイトカイン/ケモカインを発現するベクター、及び共刺激遺伝子が、「遺伝子アジュバント」として使用されてきた17。単一分子に基づく遺伝子アジュバントの使用は、特異的免疫細胞の活性化に的を絞ることができるという点において有利性を有するが、免疫系を病原菌と同程度に効果的に活性化させることができないという点において限界を有する。これらの限界により、DNAワクチン接種手法を用いて送達されるとより多面的な局所的炎症応答を誘発するDNAコード分子を開発することが大いに必要とされている。当該分子を広範な抗原コードDNAワクチンと併用して、DNAのみに基づくワクチンより調製及び保管により注意を要する混種追加免疫療法を必要とせずに強い適応免疫応答を誘発することが可能である。
鐘状受容体(TLR)を介する先天免疫系の活性化は、免疫系を感作して、強い適応免疫応答を活性化させる効果的な方法である。一度活性化されると、TLR発現細胞は、抗菌作動体分子、I型及びII型インターフェロン、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子、及び抗原発揮細胞(APC)による効果的なT及びB細胞感作を含む免疫系の多数の要素を活性化させる18
ワクチン接種を通じて、理想的にはTLRを活性化させる短寿命の炎症促進分子を局所的に生成させることが望まれる。これらは、次に、先天免疫系を活性化させ、主要な抗原に対する応答を増強する多数の因子及び応答の生成をもたらすことが可能である。残念なことに、TLRは毒性を有し19、(LPS又はペプチドグリカン等の)微生物に特有の複雑な代謝経路の生成物であるか、又は(非メチル化CpG DNAモチーフ等の)哺乳類のシステムによって生成することができないため、DNAワクチンにおけるアジュバントとしての使用には理想的ではない。
しかしながら、ポリペプチド・フラジェリン(flagellin)は、TLR520を発現する細胞に対するアゴニストであるという知見によって、真核細胞はこの分子を生成できるという可能性が開かれた。重合して、細菌鞭毛の繊維を形成する単量体副単位タンパク質である(FliCと呼ばれる)サルモネラからのフェーズ1フラジェリンは、シスチン残基21を有さず、リシン残基22の翻訳後改変が限定的なポリペプチドである。それが広範囲に研究され、TLR5と相互作用するフラジェリンの領域及び残基が最近確定された23。FliCは、TLR5依存炎症誘発性サイトカイン生成、及び肺24、腸管上皮25、26における多形核顆粒球補充を活性化させることが可能であり、腸病原性サルモネラ27の主要炎症誘発性決定因子である。それは、マウスマクロファージ28及び造骨細胞29を活性化させて、炎症メディエータを生成し、ヒト単球を活性化させて、TNFα30を生成すると共に、ヒト単球誘導樹状細胞(DC)に共刺激分子31を成熟させ、上方制御させて、IFNγ、IL−10、IL−6、TNFα及びIL−12p70、そして低度のIL−5及びIL−1332を生成することが可能である。これらの応答は、いずれもインビトロのTh1型応答に向かう適応免疫を感作するためのバイアスであることを証明するものである。一時的に形質移入された哺乳類細胞の細胞質から生成・精製されたFliCポリペプチドもTLR5発現細胞33を活性化させるが、それは、哺乳類細胞において、FliCが免疫刺激形態に発展することを示唆するものである。
DNAワクチン接種と併用されるより効率的な局所的炎症誘発方法を開発するために、哺乳類細胞がそれらの表面でFliCを発現することを可能にする発現ベクターを作製した。インビトロでは、これらの構築体が形質移入された細胞は、ヒト単球を活性化させて、炎症性サイトカインTNFαを生成させ、細菌から単離されたLPS及び組換えフラジェリンと同様に、CD80及びCD25を上方制御することが可能であった。インビボでは、皮膚にFliC発現ベクターが与えられたマウスは、急性の部位特異的炎症応答を示し、特異的な抗原を発現するベクターと合わせると、抗原特異的抗体応答を顕著に増強させた。驚くべきことに、FliC発現ベクターは、内皮送達されるDNAコード可溶性抗原に対する応答では通常見られないある種の免疫応答を誘発することを示唆する、特異的抗原に対する細胞免疫をも観察した。
本発明は、ワクチン用遺伝子アジュバントとしてのフラジェリンの使用に向けられる。
本発明は、膜結合単量体として、又は可溶性単量体として発現されうる形態のフラジェリンをコードする核酸構築体フラジェリンからなる。フラジェリンアジュバントは、特異的免疫を誘発することが可能な任意の物質からなるワクチンと同じ個所に投与される。ワクチンは、病原体又は腫瘍細胞によって発現される遺伝子をコードする核酸として、又はタンパク質、ペプチド、又は弱毒化病原体若しくは腫瘍細胞として調合されうる。或いは、特定個所で発現された抗原に対する免疫を刺激するためにフラジェリンを使用することが可能である。例えば、フラジェリンを腫瘍に導入することによって、局所的な炎症を誘発させて、腫瘍又は局所的毒性に対する特異的免疫を活性化させることが可能である。サルモネラチフィムリオン(Salmonella typhimurion)、又は任意の他の生体発現相同遺伝子からフラジェリンに対する遺伝子を得ることが可能である。
相同とは、1つ又は複数のアミノ酸残基が、異なるアミノ酸残基に置換されるか、又は除去されるか、或いは1つ又は複数のアミノ酸残基が、野生型フラジェリン又はその活性断片若しくはフラクションと比較して、得られた生成物の活性を著しく変化させることなくフラジェリンの本来の配列に添加される、タンパク質フラジェリンを発現する遺伝子の類似体又は変異体であると理解する。当業者であれば、以下の例と同様にして活性を試験することが可能である。
好ましい実施形態において、任意の当該類似体又は変異体は、フラジェリンの配列と少なくとも40%の同一性又は相同性を有する。より好ましくは、それに対して、少なくとも50%、少なくとも65%等の少なくとも60%、少なくとも75%等の少なくとも70%、少なくとも85%等の少なくとも80%、もっとも好ましくは、少なくとも95%等の少なくとも90%の同一性又は相同性を有する。
補足図1:FliC TmのORF
Figure 2007535924
補足図2:FliC Tm(−gly)のORF
Figure 2007535924
キメラポリペプチドの作製
哺乳類細胞の表面にFliCを発現させるために、哺乳類発現ベクターpDisplay(pDisp/fliC−Tm)におけるS.チフィムリウム(typhimurium)からのflic遺伝子を含むベクターを作製した。PCR生成物のコード領域は、S.チフィムリウムフェーズ1フラジェリンのDNA配列と同一であり、天然の終止コドンを変化させて、ヒトPDGFR膜貫通領域を含むベクターの領域へのリボソーム通読を可能にした。オープンリーディングフレームを含む断片を切り出し、さらなる実験で使用するために発現ベクターpcDNA3.1/ゼオ(+)に移した。本明細書に記載されている主要ORFについては補足情報図1及び2を参照されたい。詳細な情報については「配列」の章を参照されたい。293FT細胞にpcDNA3.1/fliC−Tm(pfliC−Tm)発現ベクターを一時的に形質移入し、ウェスタンブロッティングにより細胞可溶化物を分析した。約61kDaの成熟ポリペプチド生成物を期待した。期待された処理前ポリペプチドの一次構造及び成熟ポリペプチドの発現の概略図をそれぞれ図1a及び1bに示す。抗HA標識(図1b)及び抗FliC抗体(図1c)の双方を使用して、同一分子量のタンパク質を検出したが、77kDaでは期待されたサイズより大きく、83kDaでは帯域がより分散していた。
S.チフィムリウムから単離された未変性フラジェリンの構造は十分に特徴付けられており21、グリコシル化されていない。しかしながら、多数の真核N−結合型グリコシル化部位が、fliCのコード配列において識別された。したがって、293FT細胞によって生成されたFliC−Tmのより分子量の大きい生成物をN−結合型グリコシル化により生成させることが可能であった。これに対応するために、pfliC−Tm形質移入293FT細胞の全細胞質細胞可溶化物を、(Golgi処理により見られる)複雑な炭水化物構造体ではなくて単純な炭水化物構造体(ERに見られる高マンノース及びハイブリッド)を除去するEndo Hで処理した。Endo H処理により、77kDaのFliC−Tmが61kDaの期待されたサイズにおいて移動したのに対して、より大きい83kDaのポリペプチドの現行特性は変化しなかった(図1d)。
哺乳類細胞におけるFliCのこれらの残基のN−結合型グリコシル化を防ぐために、fliCのコード配列を変化させた。Asnに対するグリコシル化結合には、Asn自体を変化させるか、又はシグナル配列が必要であった。他のフラゲル化(flagellated)細菌のフラジェリン分子内の同様の個所に存在する想定アミノ酸残基を識別することにより変化を選択した(表1)。
Figure 2007535924
これらの残基を変化させると、61kDaの期待されたサイズで移動するが、免疫刺激形態に発展するポリペプチドが生成されることが期待された。fliC−Tmのヌクレオチド配列を部位誘導変異誘発によって変化させ、得られた構築体をpfliC−Tm(−gly)と呼んだ。pfliC−Tm(−gly)が形質移入された293FT細胞によって生成されたポリペプチドは、それぞれ66/69kDaであった(図1d)。これらの結果は、微生物からの所望のポリペプチドの真核性生成が困難でありうることを強調するものである。
FliCの細胞表面発現
発現構築体が形質移入された細胞が、その表面においてFliC−Tmポリペプチドを発現するかどうかを判断するために、細胞を抗FliC及び抗HA抗体で染色した後に、FACS(登録商標)分析を行った。pfliC−Tm又はpfliC−Tm(−gly)が形質移入された293FT細胞培養物は、アイソタイプ制御抗体ではなく、抗HAエピトープ抗体(図2)で検出可能な細胞を含んでいた(データは示さない)。モック形質移入細胞(データは示さない)、又は空ベクターが形質移入された細胞(図2)は、バックグラウンド染色を与えた。pfliC−Tm又はpfliC−Tm(−gly)が形質移入された細胞は、抗FliC抗体によって検出可能なタンパク質をも発現した(図2)。ポリクローナル抗FliC抗体を使用して、pfliC−Tm又はpfliC−Tm(−gly)に対して染色陽性の同様又はより大きい割合の細胞を検出した。HeLa細胞にもpfliC−Tm、pfliC−Tm(−gly)又は空ベクターを形質移入し、抗HA及び抗FliC抗体を使用して同様の表面発現を観察した。
FliCを発現する細胞によるヒト単球の活性化
接着性強化ヒトPBMC(単球)は、組換えS.チフィムリウムフラジェリンに応答して、炎症性因子を生成する30。Flic−Tmをその表面に発現する細胞が、ヒト単球を活性化できるかどうかを調べるために、293FT細胞が形質移入されたpfliC−Tm又はpfliC−Tm(−gly)を静止単球と共にインキュベートした。細胞に指定ベクターを形質移入し、FliC−Tm又はFliC−Tm(−gly)の表面発現を分析した。形質移入細胞の全培養物をPBSで洗浄し、単球と混合し、18時間インキュベートし、TNFα生成、及びCD80及びCD25の表面発現の変化について分析した。FliC−Tm又はFliC−Tm(−gly)を発現する293FT細胞の培養物は、対照と比較して、単球にCD80及びCD25の細胞表面発現を上方制御させることが可能であった(図3)。誘発されたそれらの変化は、LPS又は組換えFliCポリペプチドによる処理の後に認められた変化と類似していた(図3c)。FliC−Tm又はfliC−Tm(−gly)発現細胞もTNF−αの生成を誘発することが可能であった(図3d)。また、形質移入293FT細胞の培養物の上清も単球上のCD80及びCD25レベルを上方制御することが可能であった(データは示さない)。サルモネラ誘導FliCに応答するNF−kB活性化(TLR活性化を示す)は、HeLa細胞ではなく、293において発生し36、FliC−Tm発現構築体による293FTの形質移入は、単球を活性化できる293FT細胞からの不確定因子の生成をもたらす可能性を高めることが報告されている。この仮説を試験するために、pfliC−Tm又はpfliC−Tm(−gly)が形質移入されたHeLa細胞を使用して、形質移入及び細胞混合実験をも実施した。単球と混合したこれらの細胞もFliC−Tm又はFliC−Tm(−gly)を発現する293FTと同様の単球活性化を誘発させることが可能であったが、空ベクターが形質移入された細胞を誘発させることができなかった(図3b及びd)。形質移入HeLa細胞の培養物の上清も単球を活性化させた(データは示さない)。293FT及びHeLa細胞は、抗CD80、抗CD25及び抗HLA−DRによる染色に対して陰性であった(データは示さない)。
膜結合フラジェリンが単球の活性化を誘発するという我々の知見と、可溶性フラジェリンによる単球の活性化とを組み合わせると、可溶性フラジェリンを発現するベクターが形質移入された細胞によって活性化を誘発させることが可能であることがわかる。
フラジェリン発現ベクターは局所的急性炎症を誘発する
FliC−Tm発現ベクターがインビボで炎症応答を誘発することが可能であるかどうかを判断するために、遺伝子銃法を用いて、pfliCTm又はpfliC−Tm(−gly)プラスミドをマウスに注射した。ベクターと呼ばれる空発現ベクター(pcDNA3.1/ゼオ(+))と共に、又はpfliC−Tm又はpfliC−Tm(−gly)と組み合わせて、ニワトリ卵アルブミン(pOVA)を含む試験ベクターを金ビーズに塗布した。マウスを免疫化し、指定日に死亡直後に各注射部位を撮影した(図4)。注射部位を周囲の皮膚と共に切開し、固定し、組織学的分析を行って、異なるDNA調製物でワクチン接種されたマウス間の局所的応答に差があるかどうかを判断した。
送達されたプラスミドの種類に対して導かれた応答の種類に明確な差があることが、注射部位の総体的形態によって明らかになった(図4a)。プラスミドpOVA+ベクターが注射されたマウスは、恐らく金粒子の付着による黄褐色の色合いによって主に特徴付けられるわずかな局所的反応を注射2日後に示した。対照的に、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+pfliC−Tm(−gly)が注射されたマウスは、注射部位の腫れ及び中枢性腫瘍形成によって特徴付けられる激しいが局所的な組織応答を生じた。注射7日後には、すべてのグループのマウスにおいて、皮膚は全体的に正常になっていた。
注射部位の組織学的分析により、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+pfliC−Tm(−gly)が注射されたマウスと比較して、pOVA+ベクターが注射されたマウスの間には類似性と共に大きな差があることが明らかになった。注射後直ちに屠殺したマウスでは、表皮及び表皮下真皮に金粒子の分布が認められた(図4b、c及びd)。注射後1日及び2日目(図4b〜4d)には、pOVA+ベクターが与えられたマウスは、表皮増殖が起こり、角層下膿疱形成が起こり、好中球性顆粒球(NG)の浸透により真皮の細胞密度が増加し、炎症反応が皮下脂肪に伸びるが、それを含まない。3日目には、炎症が消散したが、表面壊死性表皮層及び膿疱が注射部位から剥がれた。対照的に、FliC−Tm発現プラスミドのいずれかと組み合わせたpOVAの注射は、皮下組織をも含み、皮筋層の表面部に伸び、それを含むより急速で重度の炎症反応をもたらした。1日目は、表皮壊死が中央の注射部で観察され、フィブリンで覆われた表皮剥離領域に顆粒球が密に浸透した。真皮及び皮下組織において、炎症反応は、皮下脂肪組織炎をもたらし、好中球性顆粒球が密に浸透していた。2日目(図4b〜4d)には、同様の観察がなされたが、加えて、充血が増加し、血管系に縁形成好中球が存在していた。3日目には、注射部位の側部が表皮増殖を示し、中央領域には、依然として特徴的な表皮膿疱形成があった。皮膚部における急性炎症反応は続いたが、幾分低減された。充血血管は目立たなくなっており、初期の癒傷の形跡があった。試験されたすべての動物において、表皮剥離領域に金粒子の凝集物が存在し、真皮にはビーズ凝集が見られた。7日目まで(図4)には、すべてのグループにおいて、顆粒層肥厚及び角膜増殖による表皮増殖の形跡が依然として存在したが、炎症反応は、ほとんど消散し、残留する金ビーズの多くは、皮膚凝集物内で凝集しているのが認められた。傷形成は、中央注射部位に見られたが、側部には見られなかった。
IL−2、IL−12又はGM−CSFの如き任意の他の遺伝子コードアジュバントを使用した場合に同様の応答が観察又は報告されていないため、この研究で観察されたこの炎症応答は、FliC−Tmの使用に特有なものであると思われる(我々独自の観察)17。プラスミド被覆金ビーズの存在と炎症の間に直接的な相関を確認したが、それは、DNAカーゴの付着がマウスにおける変化に関与していることを示唆するものである。この相関性は、炎症の存在、及び(以下に記載する)抗原に対する免疫応答の増強に発展するものでもある。
可溶性フラジェリンコードベクターを使用する遺伝子銃免疫化によっても同様の結果が期待される。我々の結果は、核酸をベースとしたワクチン接種のためのアジュバントとしてフラジェリンを使用できることを示すものである。フラジェリンは、膜結合分子又は可溶性分子として発現されうる。いずれの状況においても、組織に発現された抗原に対する免疫応答を増強する局所的炎症が誘発されることになる。
フラジェリン発現ベクターはDNAワクチン接種を増強する
FliC−Tm発現ベクターがDNAコード可溶性抗原(OVA)に対する適応免疫応答を増強できるかどうかを判断するために、遺伝子銃法を用いて、マウスにワクチン接種した。図5aに例示されている免疫化スケジュールに従って、pOVA+ベクター、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+fliC−Tm(−gly)でマウスを免疫化した。指定日に血液を採取し、抗OVA抗体の存在について血清を試験した。21日目は、抗OVAIgG応答は検出不能であった(データは示さない)。61日目に、抗OVAIgGレベルを測定し、最終の追加免疫後に、抗OVAIgG、IgG−アイソタイプ及びIgAを測定した(図5d及びf〜i)。1回の追加免疫後は、pfliC−Tm及びpfliC−Tm(−gly)ワクチン接種マウスに抗OVA全IgG応答の増加が見られたが、pOVA+ベクターが与えられたマウスには見られなかった(図5b)。第2の追加免疫後は、抗OVAIgG−アイソタイプIgG1(図5f)、IgG2b(図5g)及びIgG2c(図5h)並びにIgA(図5i)の増加を含めて、より高い抗OVA全IgG価が確認された。pOVA+ベクターのみを受けたマウスでは、対応する抗体応答がわずかであるか、又は検出不能であった。
次いで、21及び61日目における末梢血液、並びに74日目におけるマウスの脾臓における抗原特異的T細胞の存在についてリンパ球を試験した。21日目のPBMCのELISPOT分析では、いずれのグループにおいても抗原特異的T細胞応答が検出できなかった(データは示さない)。しかしながら、61日目の血液の分析により、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+pfliC−Tm(−gly)を受けたマウスには、H−2Kb制限OVAペプチドSIINFEKL(残基257〜264)に応答する循環IFNγ生成T細胞が存在するが、pOVA+ベクターを受けたマウスには存在しないことが明らかになった(図5c)。SIINFEKL並びに全OVAに応答することができるIFNγ生成T細胞の存在について、74日目のマウスの脾臓を試験した(図5e)。SIINFEKL及び全OVAに応答して検出されたIFNγのレベルは、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+pfliC−Tm(−gly)でワクチン接種されたマウスの方が、pOVA+Vecrorのみを受けたマウスよりはるかに高かった。これらのマウス(pOVA+ベクター)のT細胞は、対照ペプチド又はタンパク質に比べて、ペプチド又はポリペプチドに依然として応答しなかった。
可溶性抗原コードプラスミド(pOVA等)による未処理のマウスに対する遺伝子銃手法は、主に抗体生成に支配されるTh2類似応答をもたらす37、38。しかしながら、pOVAと組み合わせてFliC−Tm発現ベクターの添加により誘発された免疫応答の分析により、いくつかの興味深い知見が明らかになった。pfliC−Tmベクターをアジュバントとして使用した場合は、1回のDNA追加免疫化の後に抗OVA抗体が現れたが、pOVA+ベクターが与えられたグループには抗OVA応答は見られなかった。pOVA+ベクターが与えられたマウスにおいて抗OVAIgG応答が検出不能であるのは、免疫化の最中に使用されるプラスミドの量(0.5μg)が少なく、有意な追加免疫が不足していることに恐らく起因するものと考えていた。しかしながら、pOVA+ベクターグループにおける第2の追加免疫後の抗OVAIgG応答の出現は、マウスがpOVAプラスミドを受けていたことを示唆する。pfiC−Tmプラスミドが含まれていた場合に抗OVAIgG価が3回の記録にわたってより高くなっていたこと、及びIgGアイソタイプの増加は、アジュバントとして作用するその能力を実証するものである。血清におけるIgAの存在は、FliC−Tm発現プラスミドが、粘膜抗体防御を導こうとするDNAワクチン接種の有用な追加物でありうることを示唆する有望なサインでもある。
驚いたことには、FliC−Tm発現プラスミドを我々のワクチン接種に含めると、抗体応答のみを導くことが証明されている抗原に対する細胞免疫応答を誘発することが可能であった38。排泄されたOVAのレベルが低すぎるため、遺伝子銃ワクチン接種後にCTL応答を導くためにMHCクラスI提示経路を充填することができないことが示された38。しかしながら、ここで、他の遺伝子銃研究と比較してより少量のプラスミド及びより少量の注射でワクチン接種を行ったが、FliC−Tm発現ベクターを使用すると、抗原特異的MHCクラスI依存性T細胞応答を導くことが可能であった。
DNAの遺伝子銃送達は、DNAワクチンにおける免疫刺激性CpGモチーフに対して支配的なTh2促進シグナルを誘発することが証明されている37。したがって、そのうちの1つのみが最適である39、FliC−Tm ORFに見られる13のCpGモチーフ(データは示さない)が、この研究において見られたT細胞応答に寄与する可能性は低い。FliCがインビトロ(Thl)32において誘発することができる炎症因子のスペクトルは、インビボで局所的又は補充されたAPCを「ライセンス」して、排泄されたOVAに対するCD8T細胞応答を開始することができる方が可能性が高いといえる。実際、細胞外抗原に対するCD8T細胞応答を誘発する細菌生成物40−43及びウィルス感染44の効果を調べる他のインビボシステムにおいて、交差感作が見られた。関与する分子メカニズムに関わらず、遺伝子銃ワクチン接種によるFliC−Tm発現プラスミドの送達は、対照の場合に比べてより低い免疫化の後のDNAコード抗原に対する抗体応答の著しい増加ばかりでなく、MHCクラスI制限細胞免疫を誘発する応答の幅を拡大させる。これらの結果は、FliC−Tmは、インビボでTh1類似応答を誘発すること、及びFliC−Tm発現ベクターと主要病原体抗原とを併用すると、効果的な保護的ワクチン接種を誘発しうることを示唆するものである。
FliC−Tmポリペプチド、及びそれを発現する細胞の運命を推定するのは興味深いことである。注射されたマウスの皮膚における好中球浸透物により生成されるセリンプロテアーゼによって、FliC−Tmを細胞の表面から開裂させることができる45。或いは、FliC−Tmを発現する細胞は、それらが誘発する局所的炎症のストレス効果、又は恐らくTLR5発現食細胞APCによって除去されうる。いずれも場合も、FliC−Tmを発現するpfliC−Tmベクター又は細胞の受動的又は能動的な排除は、我々がここで確認した観察結果である炎症プロセスの消散をもたらすことになる。それは、見込まれる慢性炎症を回避する主要なステップでもある。
抗原性挿入を含む鞭毛を発現する細菌が実験システムにおいてワクチンとして使用され46、また、組換えフラジェリンが、CD4T細胞応答を誘発するためにペプチド抗原と併用された33。しかしながら、現在では、これらの手法の実用的な利用は、見込まれる汚染による、又は完全な弱毒か細菌の存在による分子調製物の不均質な特性により制限されている。哺乳類細胞がその表面にフラジェリンを発現することを可能にするDNA発現ベクターの使用は、調製の容易さ、望ましくない炎症促進分子による染色を除去する能力、及び安定性等のワクチン接種効果に対する特異的な利点を有する。
フラジェリンを、免疫応答を誘発する任意の抗原と共に、アジュバントとして使用することが可能である。当該抗原の例は、腫瘍又は病原体、タンパク質、ウィルス粒子の如き完全病原体、細菌、寄生虫、腫瘍細胞、又は細胞内病原体に感染した細胞からのDNA又はRNAコード抗原である。それらに対して免疫が生成される抗原を発現する組織又は細胞にフラジェリンを導入することも可能である。当該組織の例は、腫瘍又は感染部位である。別法として、フラジェリンを使用して、接種部位に位置する細胞に対して毒性をもたらす局所的炎症を誘発することが可能である。この手法は、腫瘍に対して、且つ恐らくは自己免疫疾患に対して特に有用である。
局所的炎症を誘発するフラジェリンの能力を利用して、炎症又は慢性炎症に対する動物モデルを作成することも可能である。これは、組織特異的プロモータの下でフラジェリンを遺伝子組換え動物に導入することによってなされる。誘発性プロモータを使用することには、いくつかの利点がある。抗炎症薬、炎症経路の阻害剤、又は炎症に関与するメカニズムの研究を含む炎症の研究に遺伝子組換え動物モデルを用いることが可能である。
膜結合フラジェリン単量体を使用することによりいくつかの利点が提供され、例えば、フラジェリンが発現される組織に対する炎症応答を制限することにより、全身炎症応答、及び他の組織における組織損傷の如き悪影響のリスクを制限し、潜在的に例えば自己免疫をもたらすことが可能である。膜結合フラジェリンの発現は、腫瘍、又はそれに対する免疫が必要とされる任意の遺伝子を発現する組織の如き特定の組織に対する炎症応答を標的とする能力をも高める。それは、耐性発生、不十分な免疫応答、又はさらには毒性作用をもたらしうる、免疫系の過剰刺激のリスクを低減することもできる。
ほぼ同用量のプラスミド抗原核酸と共に、少なくとも0.5μg、例えば0.5から10μg、好ましくは0.5から6μgの用量のフラジェリンプラスミド核酸を含む遺伝子銃組成物でフラジェリンを投与することができる。アジュバント及び抗原核酸を、異なる又は同じプラスミドにおける同一の組成物における個別の組成物で、又は一緒に投与することができる。投与物を1日当たり1から3回投与することができる。
配列
ここに用いられる受入番号は、GenBank#1D13689、及びS.チフィムリウムフェーズ1フラジェリンFliCに対するスイス−プロットリンクP06179とした。
最初がFliC TmのORFで、次がFliC Tm(−gly)である。
商用ベクターpDisplay(Invitrogen(米国カリフォルニア州Carlsbad))に見いだされるリーダー、HA標識、myc標識及びPDGFR膜貫通配列との遺伝子融合としてのfliC(S.チフィムリウム;GenBank受入番号D13689)からのFliC Tm想定完全ヌクレオチド及びアミノ酸配列。
Figure 2007535924
機能的領域として確定された想定ポリペプチド。
Figure 2007535924
下線領域:pDisplayによってコードされた領域。
Figure 2007535924
灰色領域:Igk−リーダー配列。
Figure 2007535924
マゼンタ色領域:HA標識。
Figure 2007535924
青色領域:fliC。
Figure 2007535924
緑色領域:PDGFR−膜貫通領域。
Figure 2007535924
商用ベクターpDisplay(Invitrogen(米国カリフォルニア州Carlsbad))に見いだされるリーダー、HA標識、myc標識及びPDGFR膜貫通配列との遺伝子融合としてのfliC(S.チフィムリウム;GenBank受入番号D13689)からのFliC Tm(−gly)想定完全ヌクレオチド及びアミノ酸配列。fliC ORFが変更された結果、D13689に対して6つの想定アミノ酸が異なっている。
Figure 2007535924

Figure 2007535924
下線領域:pDisplayによってコードされた領域。
灰色領域:Igk−リーダー配列。
Figure 2007535924
マゼンタ領域:HA標識。
Figure 2007535924
青色領域:fliC。
Figure 2007535924
緑色領域:PDGFR膜貫通領域。
Figure 2007535924
赤色領域残査:fliCから変更された配列(括弧で示されている)。
Figure 2007535924
図の後にベクターマップを示す。
開示された特定の実施形態に関して本発明を説明するが、具体的に記載されていないが、添付の請求項の範囲に含まれる他の実施形態、変更又は組合せを当業者なら理解することができる。
本明細書に引用されているすべての参考文献は、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書に用いられている「含む(comprising)」という表現は、記載の項目を含むが、それらに限定されないものと理解されるべきである。
次に、以下の非限定的な実施例により本発明を説明する。
哺乳類細胞の表面にフラジェリンを発現することが可能である
細胞培養及び細胞系統
5から10%の熱不活性化ウシ胎児血清(FCS)、2mMのL−グルタミン(Life Technologies(米国メリーランド州Rockville))、100U/mlのペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies(米国メリーランド州Rockville))、50μMのベータルメルカプトエタノール(Sigma(米国ミズーリ州St.Louis))及び100mMのHEPES(Life Technologies(米国メリーランド州Rockville))が添加されたRPMI1640(293FT)又はDMEM(HeLa)培地(Life Technologies(米国メリーランド州Rockville))中ですべての細胞系統を成長させた。293FT細胞をInvitrogenから入手し、実験に使用しないときは、500μg/mlのジェネチシン(Life Technologies(米国メリーランド州Rockville))が添加された上記培地中で成長させた。HeLaをアメリカンタイプカルチャコレクションから入手した。
fliC及び発現ベクターアセンブリーの複製
サルモネラエンテリカ血清型チフィムリウム(病原菌株ATCC14028)の一昼夜培養物をゲノムDNA源として使用して、fliC(フェーズ−1フラジェリン、セロタイプHi)を複製した。37℃にてLB中で成長させた50μlの液体の一昼夜培養物を50μlのTEと混合し、95℃で15分間加熱し、マイクロ遠心分離にて高速で遠心分離させた。2μlの上清を熱循環させた。1mMのdNTP(Life Technologies(米国メリーランド州Rockville))、2μMのMgCl、1XPCR緩衝剤(Life Technologies(米国メリーランド州Rockville))、2U TAQ DNAポリメラーゼ(Life Technologies(米国メリーランド州Rockville))、及び全体積が50μlの各プライマー20μMずつの存在下でPCRを実施した。S.チフィムリウムDNAを96℃/分、54℃/分、72℃/1.5分で30分間にわたって加温循環させた。使用したfliCプライマー対は、DNA制限酵素BgiLL及びSmaIを使用して認識及び切断が可能な塩基対をコードする配列を含むキメラプライマーであった。正方向プライマー(fliC5’−BglII)は、5’−GGAAGATCTATGGCACAAGTCATTAATACAAAC−3’であり、逆方向プライマー(fliC3’−SmaI)は、5’−TCTCCCGGGGTATTAACGCAGTAAAGAGAGGAC−3’であった。pCR2.1(Invitrogen(米国カリフォルニア州Carlsbad))を使用して、増幅DNA生成物を捕捉し、適切な長さの挿入断片を含むプラスミドをDNA配列させた。捕捉されたfliC ORFを含むプラスミドをBglII、SmaIで消化し、得られた挿入断片を、やはりBglII及びSmaIで消化された哺乳類表面表示プラスミドpDisplay(Invitrogen(米国カリフォルニア州Carlsbad))に挿入した。製造元(Strataegne(米国カリフォルニア州La Jolla))の説明通りにQuikChange(商標)部位誘導変異誘発キットを使用して、得られたプラスミドを部位誘導変異誘発させて、天然終止コドン(nt 1706〜1708)を除去すると共に、終止コドンとpDisplayにコードされたものとの間の残基を改質する(接点の上方の残基は[fliCコードLSLLR]−AVP−[pDisplayコードRDPRL])得られたプラスミドをpDisp/fliC−Tmと命名した。AA 19、101、200、346、446及び465におけるNetNGlyc 1.0Prediction Server(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/)によって予測されたN結合繰り擦るか部位を破壊するように設計された単一アミノ酸(AA)変異を導入するために、pDisp/fliC−Tmを変化させた。fliCコード領域においてなされた変化を表Iに列記する。
pDisp/fliC−TmにおけるfliC遺伝子の部位誘導変異誘発を実施して、所望のAA変化(DNA配列によって確認される)をもたらした。得られたプラスミドをpDisp/fliC−Tm(−gly)と命名した。EcoRI/XhoI断片上に存在するfliC−Tm及びfliC−Tm(−gly)を除去し、さらなる試験に向けてpcDNA3.1/ゼオ(+)(Invitrogen(米国カリフォルニア州Carlsbad))に挿入した。OVAのオープンリーディングフレーム(ORF)を含むHindIII断片をpBlueRIP/Ova(C.M.Jonesからの寄付)から除去し、pcDNA3.1/ゼオ(+)(pcDNA3.1/OVA)に複製したが、それはpOVAと呼ばれる。
細胞形質移入、タンパク質発現、SDS−PAG及びウェスタンブロッティング
製造元の説明書に従って、GenePORTER 2形質移入試薬(Gene Therapy Systems(米国カリフォルニア州San Diego))を使用して、293FT細胞における一時的形質移入を行った。FuGENE(商標)6(Roche(米国インジアナ州Indianapolis))を使用して、HeLa細胞における一時的形質移入を行った。形質移入に使用するDNAは、Qiagen EndoFree Plasimid Maxi Kit(Qiagen(米国カリフォルニア州Valencia))を使用して調製された。すべてのインビトロ実験に使用する293FT及びHeLa細胞にそれぞれ2μg及び3μgのDNAを形質移入した。形質移入から2日後に、非接着性細胞を除去し、接着性細胞を穏やかな反復ピペット採取によって回収し、PBSで洗浄し、溶解させた。細胞質タンパク質を遠心分離で単離し、BCAタンパク質検定キット(Pierce Biochemicals(米国イリノイ州Rockford))を使用して定量した後に、15μgのタンパク質を10%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で分離し、説明通りにウェスタンブロッティングにより分析した50。抗HA標識抗体HA1.1(1:1000;Covance(米国バージニア州Cumberland)を使用することによってHA標識タンパク質を検出し、ヒツジ抗マウスIgG抗体(Pierce Biochemicals(米国イリノイ州Rockford))及びルネサンスケミルミネッセンス試薬(NEN(商標)Life Science Products Inc.(米国マサチューセッツ州Boston))を使用してタンパク質−抗体複合体を視覚化した。また、S.チフィムリウムのセロタイプ(抗Hi、ここでは抗FliCと呼ぶ)(State Serum Institute(デンマークCopenhagen))を臨床的に検出するのに使用されるポリクローナルウサギ抗血清(1:500)によるウェスタンブロッティングをタンパク質に対して施し、HRP−結合ブタ抗ウサギIgG(1:1000;DAKO(デンマークGlostrup))を使用してタンパク質−抗体複合体を視覚化した後に、増強化学発光検出を行った。
FliCの細胞表面発現
発現構築体が形質移入された細胞は、その表面にFliC−Tmポリペプチドを発現させるかどうかを判断するために、細胞を抗FliC及び抗HA抗体で染色された後に、FACS(登録商標)分析を行った。293FT及びHeLa細胞の細胞表面に発現したFliC−Tmを、HA1.1(1:100)を使用し、次いでFITC結合ラット抗マウスIGG1/k(1:100;PharMingen(米国カリフォルニア州San Jose))又はポリクローナルウサギ抗FliC(1:100;State Serum Institute(デンマークCopenhagen))を使用し、次いでFITC結合ブタ抗ウサギIg(1:100;DAKO(デンマークGlostrup))を使用して検出した。簡潔に、細胞を再懸濁させ、氷上で30分間染色し、4℃にて1%FCSを含むPBSで洗浄した。必要に応じて細胞を第2の抗体で染色した。4色FACScan(商標)流動細胞計(Becton Dickinson Immunocytometry Systems(米国カリフォルニア州San Jose))を使用して分析を行うまで、細胞を氷上に維持した。CellQuestプログラム(BD Bioscience(米国カリフォルニア州San Jose))を使用してデータを処理した。pfliC−Tm又はpfluC−Tm(−gly)が形質移入された293FT細胞培養物は、抗HAエピトープ抗体(図2)で検出可能であるが、アイソタイプ対照抗体で検出可能でない細胞を含んでいた(データは示さない)。モック形質移入細胞(データは示さない)、又は空ベクターが形質移入された細胞(図2)は、背景染色を与えた。pfliC−Tm又はpfliC−Tm(−gly)が形質移入された細胞は、抗FliC抗体で検出可能なタンパク質をも発現した(図2)。ポリクローナル抗FliC抗体を使用して、pfliC−Tm又はpfliC−Tm(−gly)に対して染色陽性の細胞の割合を検出した。また、HeLa細胞にpfliC−Tm、pfliC−Tm(−gly)又は空ベクターを形質移入し、抗HA及び抗FliC抗体を使用して同様の表面発現を観察した。
フラジェリン発現細胞は単球を活性化する
上述したように、形質移入細胞の表面にフラジェリンを発現することが可能である。フラジェリンを発現する細胞を使用して、ヒト単球を活性化した。アレルギーのないヒトボランティアから単球活性化ヒトPBMCが得られた。末梢血液を健康なボランティアから採取し、Lymphoprep(Axis−Shield(ノルウェーOslo))に対する遠心分離により軟膜調製物からPBMCを単離した。低速遠心分離を用いて、PBMCをPBSにより3回洗浄して、血小板を除去し、2mMのL−グルタミンが補充されたRPMI1640培地に再懸濁した。5×10PBMC/ml/ウェルを24ウェルプレート(Falcon)に仕込み、次いで37℃,5%COの雰囲気で2時間インキュベートした。緩やかな洗浄により非接着性細胞を除去し、5%のFCS、100mMのHEPES、2mMのL−グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン及び50μMのベータメルカプトエタノールを含む、RPMI1640を1ml残りの細胞に添加し、一晩インキュベートした。293FT又はHeLa細胞を上記のように形質移入し、2日後に接着性細胞を除去し、接着性細胞を穏やかなピペット採取で回収し、トリパンブルーで染色し、計数した。その後、接着性強化PBMC(単球)をLPS(Sigma(米国ミズーリ州St.Louis))及び組換えFliCポリペプチド(Alexis Biochemicals(ドイツGrunberg))で活性化させ、或いは5×10形質移入293FT又は形質移入HeLa細胞と混合し、18時間インキュベートさせた。次いで、全細胞を染色し、フローサイトメトリーを分析した。ヒト単球をFITC結合マウスIgG1、抗ヒトCD80(1:100)、PE結合マウスIgG1、抗CD25(1:100)、PerCp結合マウスIgG2a抗HLA−DR(1:100;すべてPharMingen(米国カリフォルニア州San Jose)から入手)により氷上で30分間染色し、洗浄した。すべての細胞を染色し、FACScan(商標)により分析した。調べた単球CD80及びCD25レベルをHLA−DR陽性群について制御した。
細胞培養上清及びマウス血清についてELISAを実施した。サイトカインに対する試験を行うために、刺激後に単球培養物から上清を回収し、−20℃で冷凍した。製造元の説明書(R&DSystems(米国ミネソタ州Minneapolis))に従って、Quantikine(登録商標)免疫検定を用いて、資料を2回ずつ試験して、TNFαの存在を調べた。
形質移入細胞の培養物をPBSで洗浄し、次いで単球と混合し、18時間インキュベートし、分析して、TNFα生成、及びCD80及びCD25の表面発現の変化を調べた。FliC−Tm又はFliC−Tm(−gly)を発現する293FT細胞の培養物は、対照と比較して、単球にCD80及びCD25の細胞表面発現を上方制御させることが可能であった(図3a)。誘発された変化は、LPS又は組換えFliCポリペプチドで処理した後に見られたものと類似していた(図3c)。FliC−Tm又はFliC−Tm(−gly)発現細胞もTNFα生成を誘発することが可能であった(図3d)。また、形質移入293FT細胞の培養物の上清も単球上のCD80及びCD25レベルを上方制御することが可能であった(データは示さない)。サルモネラ誘導FliCに応答するNF−kB活性化(TLR活性化を表す)は、293細胞で生じるが、HeLa細胞34では生じないことが報告されており、FliC−Tm発現構築体による293FT細胞の形質移入は、単球を活性化することができる293FT細胞からの不確定因子の生成をもたらす可能性を高めるものである。この仮説を試験するために、pfliC−Tm又はpfliC−Tm(−gly)が形質移入されたHeLa細胞を使用して、形質移入及び細胞混合実験をも実施した。単球と混合されたこれらの細胞もFliC−Tm又はFliC−Tm(−gly)を発現する293FT細胞と類似した単球活性化を誘発することが可能であったが、空ベクターが形質移入された細胞はそうではなかった(図3b及びd)。形質移入HeLa細胞の培養物の上清も単球を活性化させた(データは示さない)。293FT及びHeLa細胞は、抗CD80、抗CD25及び抗HLA−DRによる染色に対して陰性であった(データは示さない)。
フラジェリンによる遺伝子ワクチン接種は局所的炎症をもたらす
C57BL/6JマウスをCharles River(ドイツSulzfeld)から入手し、スウェーデン感染病管理研究所(Stockholm)にある動物施設において、特定の病原体が存在しない標準的な条件下で飼育した。すべての手順は、研究所及び国家のガイドラインに基づいて実施された。6から10週齢のマウスの集団を実験に使用した。製造元(BioRad(米国カリフォルニア州Hercules)による説明通りにHelios遺伝子銃システムを使用してマウスにワクチン接種した。簡潔に、0.5mgの金粒子に0.5μgの各プラスミドDNAを塗布し、それを用いて送達管を被覆した。ワクチン接種に使用するDNAは、Quiagen EndoFree Plasmid Maxi Kit(Qiagen)を使用して調製された。DNA1mg当たりのエンドトキシンは以下の通りであった。pcDNA3.1/OVA(≦5.5×10−4EU/μgDNA)、pcDNA3.1/ゼオ(+)(≦3.625×10−5EU/μgDNA)、pcDNA3.1/fliC−Tm(≦2.9×10−5EU/μgDNA)及びpcDNA3.1/fliC−Tm(−gly)(3.25×10−5EU/μgDNA)。製造元の説明書(Bio Whittaker Inc.(米国メリーランド州Walkersville)に従ってLALキットを使用して、エンドトキシン単位を求めた。ビーズ被覆送達管からTEによりプラスミドを溶出させた後に、プラスミド変換、単離、及び細菌コロニーから単離されたプラスミドのDNA制限酵素分析を行うことによって、金ビーズへのDNAの結合を制御した(データは示さない)。マウスの腹部の皮膚を剥ぎ、遺伝子銃のスペーサを腹部に対して直接保持し、500psiのヘリウム圧力で装置を放電させた。pOvA+pcDNA3.1/ゼオ(+)、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+pfliC−Tm(−gly)が注射された6匹のマウスのグループの注射部位を0、1、2、3及び7日目に観察した。6匹のマウスのこれら3つのグループの観察結果に基づいて、7匹のマウスの3つのグループに同じDNA調製物を注射し、各グループの1匹のマウスを0及び7日目に屠殺した。各グループの2匹のマウスを注射後1、2及び3日目に屠殺した。注射されたマウスのこの第2のシリーズから単離された試料に対して病理組織学的検査を行った。生検試料を採取する前に、デジタルカメラ(4.0メガ画素)を使用してマウスを撮影し、次いで注射部位の腹壁を有する皮膚を回収した。試料を4%の中性緩衝ホルマリン溶液に一晩保存した後に、70%EtOHに浸漬した。注射部位に隣接した領域を含むように試料をトリミングし、パラフィンに埋め込み、分割し、標準プロトコルに従ってヘモリシン及びエオシン(H&E)で染色した。染色試料を光学顕微鏡で分析し、10、20及び40倍の倍率で撮影した。注射部位の総体的形態は、送達されたプラスミドの種類に対して、導かれた応答に明確な差があることを明らかにしていた(図4a)。プラスミドpOVA+ベクターが注射されたマウスは、主に、恐らくは金粒子の付着による黄褐色の色合いによって特徴付けられるわずかな局所的反応を注射後2日目に示した。対照的に、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+pfliC−Tm(−gly)が注射されたマウスは、注射部位の腫れ及び中心的潰瘍によって特徴付けられる激しいが、局所的な組織反応を生じていた。注射後7日目に、マウスのすべてのグループにおいて皮膚が総体的に正常になっていた。
注射部位の組織学的分析により、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+pfliC−Tm(−gly)が注射されたマウスと比較して、pOVA+ベクターが注射されたマウスの間には類似性のみならず大きな差があることが明らかになった。注射後すぐに屠殺されたマウスでは、表皮又は表皮下真皮に金粒子の分布が認められた(図4b、c及びd)。注射後1日及び2日目(図4b〜4d)には、pOVA+ベクターが与えられたマウスは、表皮増殖が起こり、角層下膿疱形成が起こり、好中球性顆粒球(NG)の浸透により真皮の細胞密度が増加し、炎症反応が皮下脂肪に伸びるが、それを含まない。3日目には、炎症が消散したが、表面壊死性表皮層及び膿疱が注射部位から剥がれた。対照的に、FliC−Tm発現プラスミドのいずれかと組み合わせたpOVAの注射は、皮下組織をも含み、皮筋の表面部に伸び、それを含むより急速で重度の炎症反応をもたらした。1日目は、表皮壊死が中央の注射部で観察され、フィブリンで覆われた裸出領域に顆粒球が密に浸透した。真皮及び皮下組織において、炎症反応は、皮下脂肪組織炎をもたらし、好中球性顆粒球が密に浸透していた。2日目(図4b〜4d)には、同様の観察がなされたが、加えて、充血が増加し、血管系に縁形成好中球が存在していた。3日目には、注射部位の側部が表皮増殖を示し、中央領域には、依然として特徴的な表皮膿疱形成があった。皮膚部における急性炎症反応は続いたが、幾分低減された。充血血管は目立たなくなっており、初期の癒傷の形跡があった。試験されたすべての動物において、剥離表皮領域に金粒子の凝集物が存在し、真皮にはビーズ凝集が見られた。7日目まで(図4)には、すべてのグループにおいて、顆粒層肥厚及び角膜増殖による表皮増殖の形跡が依然として存在したが、炎症反応は、ほとんど消散し、残留する金ビーズの多くは、皮膚凝集物内で凝集しているのが認められた。傷形成は、中央注射部位に見られたが、側部には見られなかった。
遺伝子アジュバントとしてのフラジェリンの使用は細胞及び体液免疫応答を高める
FliC−Tm発現ベクターがDNAコード可溶性抗原(OVA)に対する適応免疫応答を増強できるかどうかを判断するために、遺伝子銃法を用いて、マウスにワクチン接種した。図5aに例示されている免疫化スケジュールに従って、上記のようにpOVA+ベクター、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+fliC−Tm(−gly)でマウスを免疫化した。指定日に血液を採取し、抗OVA抗体の存在について血清を試験した。
マウス抗OVA抗体の存在を以下のようにして検出した。96ウェルELISAプレート(Costar検定プレート;Costar(米国ニューヨーク州Corning))に、PBSに溶解させた10μg/mlの精製チキンOVA(Sigma(米国ミズーリ州St.Louis)を4℃で一晩塗布した。プレートを2回洗浄し(PBS/0.1%、Tween−20)、室温にて1時間PBS/1%FCSでブロックした。血清試料を、すべてのIgG試験については1:1000、IgA試験については1:10から開始して、PBS/1%FCSで1:2に希釈し、2回ずつOVA塗布プレートに添加した後に、4℃で一晩インキュベートした。全ての希釈物は消滅まで滴定した。ウェルを3回洗浄し、HRP−ヤギ抗マウスIgG(Fc)(1:5000;Pierce Biochemicals)、HRP−ウサギ抗マウスIgG1(1:3,000;Caltag(米国カリフォルニア州Burlingame))、HRP−ウサギ抗マウスIgG2b(1:2000;Caltag(米国カリフォルニア州Burlingame))、HRP−ウサギ抗マウスIgG2c(1:4000;Southern Biotech(米国アラバマ州Birmingham))、又はHRP−ヤギ抗マウスIgA(1:1000;Sigma(米国ミズーリ州St.Louis))をウェルに添加し、室温にて2時間インキュベートした。ウェルを5回洗浄し、100μlの増強K−Blue(登録商標)TMB Substrate(HRPカラー基体溶液;Neogen Co.(米国ケンタッキー州Lexington)を添加した。同じ二次検出物を有するプレートを同じ時間にわたってインキュベートし、1MのHClを添加することによって基体反応を停止した。Labsystems Genesis ELISAプレートリーダー(Labsystems(スウェーデンStockholm))を使用してプレートを分析した。
21日目は、抗OVAIgG応答は検出不能であった(データは示さない)。61日目に、抗OVAIgGレベルを測定し、最終の追加免疫後に、抗OVAIgG、IgG−アイソタイプ及びIgAを測定した(図5d及びf〜i)。1回の追加免疫後は、pfliC−Tm及びpfliC−Tm(−gly)ワクチン接種マウスに抗OVA全IgG応答の増加が見られたが、pOVA+ベクターが与えられたマウスには見られなかった(図5b)。第2の追加免疫後は、抗OVAIgG−アイソタイプIgG1(図5f)、IgG2b(図5g)及びIgG2c(図5h)並びにIgA(図5i)の増加を含めて、より高い抗OVA全IgG価が確認された。pOVA+ベクターのみを受けたマウスでは、対応する抗体応答がわずかであるか、又は検出不能であった。
各グループのマウスからマウスPBMCを確保し、商用IFN−γキット(MabTech(スウェーデンStockholm))を使用して、実質的に記載されている通りに51、一次免疫化後21日目、及びIFN−γELISPOTによる追加免疫化後31日目に分析した。以下に記載される抗原を使用して、PBMCにより抗原再刺激を2回ずつ行った。商用IFN−γELISPOTシステム(MabTech(スウェーデンStockholm))を使用して、脾細胞分析も行った。簡潔に、フィコール勾配(Amersham Pharamcia Biotech(米国ニュージャージ州Piscataway))を用いて、PBMC又は脾細胞を分析し、96ウェルELISPOTプレート(Millipore MAIPN4510)に200000個/ウェルずつ3回に分けて移した。全OVA(5μM、Sigma(米国ミズーリ州St.Louis))、H−2KOVA誘導ペプチドSIINFEKL(5μM、Thermo Hybrid(ドイツDreieich))、HIV−1外皮タンパク質rgp160(1μg毎ウェル(MicroGeneSys[現Protein Science(米国コネチカット州Meriden)]))及びH−2K免疫優性LCMVペプチドGP33(KAVYNFATM)(5μM、Thermo Hybrid(ドイツDreieich))を使用してインビトロ再刺激を行った。細胞の反応性をコンカナバリンAで確認した。AID ELISPOTリーダー(Autoimmun Diagnostika(ドイツStrassberg))によって、24時間後にスポット形成細胞(SFC)を定量した。Excelソフトウェアによりスチューデントt検定を用いて統計分析を実施した。
次いで、21及び61日目における末梢血液、並びに74日目におけるマウスの脾臓における抗原特異的T細胞の存在についてリンパ球を試験した。21日目のPBMCのELISPOT分析では、いずれのグループにおいても抗原特異的T細胞応答が検出できなかった(データは示さない)。しかしながら、61日目の血液の分析により、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+pfliC−Tm(−gly)を受けたマウスには、H−2K制限OVAペプチドSIINFEKL(残基257〜264)に応答する循環IFNγ生成T細胞が存在するが、pOVA+ベクターを受けたマウスには存在しないことが明らかになった(図5c)。SIINFEKL並びに全OVAに応答することができるIFNγ生成T細胞の存在について、74日目のマウスの脾臓を試験した(図5e)。SIINFEKL及び全OVAに応答して検出されたIFNγのレベルは、pOVA+pfliC−Tm又はpOVA+pfliC−Tm(−gly)でワクチン接種されたマウスの方が、pOVA+Vecrorのみを受けたマウスよりはるかに高かった。これらのマウス(pOVA+ベクター)のT細胞は、対照ペプチド又はタンパク質に比べて、ペプチド又はポリペプチドに依然として応答しなかった。
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キメラポリペプチド、ポリペプチド発現、及び部位誘導変異誘発によるFliC−Tmグリコシル化の低減の概略図である。(a)fliC−Tmによってコードされた想定ポリペプチドの一次構造。kはER転位に対する真核リーダーシグナル配列を示し、HAはHAエピトープを示し、fliCは完全フラジェリンORFを示し、PDGF−Tmは血小板誘導成長因子受容体膜貫通領域を示す。細胞質細胞可溶化物で検出された組換え融合タンパク質が示されている。(b)抗HAエピトープ抗体、又は(c)抗FliC抗体を使用して検出された指定発現構築体(pcDNA3.1/Zeo(+)−ベース)が形質移入された293FT細胞からの細胞質抽出物の変性SDS−PAGE。S.チフィムリウムの渦巻状一昼夜培養物からの培養上清を抗FliC抗体に対する陽性対照として使用した。(d)組換え融合タンパク質の検出、及び細胞質抽出物におけるそれらのグリコシル化。FliC−Tmの無変化種のグリコシル化、Endo Hを使用したFliC−Tmの脱グリコシル化、及び部位誘導変異誘発後のFliC−Tm(FliC−Tm(−gly))のグリコシル化低減種の生成を示すウェスタンブロット。 FliC−Tmの細胞表面発現を示す。 一時的に形質移入された細胞に対して、抗HAエピトープ、抗FliC又はアイソタイプ制御抗体(示さない)を使用したフローサイトメトリーを行った。293FT形質移入体(抗HAエピトープ又は抗FliC染色);pcDNA3.1/ゼオシン(+)(ベクター)、充填ヒストグラム;pfliC−Tm、(−);pfliC−Tm(−gly)(・・・・・)。陽性細胞の割合が、マーカ領域の上方に示されている。抗HAエピトープ抗体で染色された293FT細胞は、6つの独立した実験、及び3つの独立した実験による抗FliCを代表する。 FliC−Tmを発現する細胞によるヒト単球の活性化を示す。 293FT又はHeLa細胞を示されている通りに形質移入した。2日後、上清及び細胞を回収し、細胞を計数した。上清又は生きた細胞を静止状態の単球と混合し、18時間後に、全細胞及び培養上清を回収した。全細胞をCD80及びCD25について染色し、TNFαの存在について上清を試験した。293FT細胞(a)、HeLa細胞(b)、又は示された濃度のLPS若しくは組換えFliCポリペプチド(c)と共にインキュベートされた単球によるCD80、CD25発現をフローサイトメトリーにより測定した。単球を、pcDNA3.1/ゼオ(+)(ベクター)(充填ヒストグラム);pfliC−Tm(−)、pfliC−Tm(−gly)(・・・・・)が形質移入された293FT又はHeLa細胞と混合した。陽性細胞の割合は、マーカ領域の上方に示されている。細胞混合の実験及びシミュレーションの単球による排泄TNFα発現をELISA(d)による生成について検定した。293FT及びHeLa細胞CD80及びCD25データは、独立したPBMC供与体を使用する4つの独立した実験を代表する。TNFα発現は、293FT又はHeLa細胞を用いる2つの独立した実験を代表する。プラスミド形質移入又はモック形質移入293FT若しくはHeLa細胞の培養物から直接採取された上清にはTNFα生成が認められなかった(データは示さない)。 FliC−Tm発現ベクターが急性の局所的炎症を誘発することを示す。 指定されたDNA(プラスミド毎に0.5μg)を一度注射してから0、2及び7日後における、注射部位の総体的形態、及びH&E染色後の部位の組織学的分析を示す。注射部位、及びその近傍の観察図(a)。腹膜筋肉から上皮層(b)までの同一皮膚試料の拡大図(b)。上方真皮及び上皮層における変化に集中した同一部分の拡大図(c)。カラム内の同一部分からの陰影領域を表す拡大図からのより小さい採取部分(d)。1日目及び3日目からのデータは、補足図1としてオンラインで入手可能である。注射部位に隣接する分析領域は、正常な皮膚との違いがないことを示していた(データは示さない)。 FliC−Tm発現は、DNAワクチン接種を強化することを示す。(a)免疫化及び試料単離タイムライン。(b)感作から61日後における抗OVA全IgG応答。(c)61日目におけるMHCクラスI制限OVAペプチドSIINFEKLに対する蓄積末梢血液T細胞応答のELISPOT分析。(d)感作から74日後における抗OVA全IgG応答。(e)SIINFEKL及び全OVAポリペプチドに対する脾臓T細胞応答のELISPOT分析。感作後74日後における(f)抗OVA IgG1、(g)Ig2b、(h)IgG2c及び(i)IgA応答。全領域からIgA応答が認められる。マウスの血清試料におけるOVA特異的抗体の濃度は、免疫前血清試料の値の平均+3つの標準偏差(IgG)又は2つの標準偏差(IgA)(検定に対する決定切捨値)以上の光学密度を与える試料の最終希釈度の逆数で表される。切捨値以上の吸光度は、正数であると見なされた。 ELISPOTデータは、抗原刺激細胞から非刺激細胞を引いた算定幾何学平均値で表される。所定の抗原に対する切捨値は、未処置の動物についての集団幾何学平均値+2つの標準偏差として計算された。*及び**は、それぞれP<0.05及びP<0.01として定められる、FliC−Tm発現ベクターを伴わないpOVA免疫化に対する大きな応答差を表す。 pcDNA3.1/ゼオfliC−Tm(−gly)のベクターマップを示す。

Claims (27)

  1. DNAワクチンの免疫を向上させるためのフラジェリン遺伝子若しくは相同遺伝子又はその断片の使用。
  2. 細胞ワクチンに対する免疫を向上させるための請求項1記載の遺伝子によりコードされたフラジェリン又はその断片の使用。
  3. フラジェリンは、膜結合として又は可溶性単量体として発現される、請求項1又は2に記載の使用。
  4. フラジェリンに対する遺伝子は、サルモネラ菌、赤痢菌、大腸菌、百日咳菌、レジオネラ菌、ブルクホルデリア菌、シュードモナス菌、ヘリコバクター菌、セラチア属、桿菌、ビブリオ菌、コーロバクター属、リステリア属、クロストリジウム属、ボレリア属、Eグループに属するフラジェリンを発現する他の生体、Fグループに属するフラジェリンを発現する生体、又は相同フラジェリン遺伝子を発現するその他の生体のいずれかから得られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
  5. フラジェリンは、免疫応答を導くことができる抗原をコードする核酸構築体によってコードされる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
  6. フラジェリンは、ワクチンと同じ局所で接種された別の構築体によってコードされる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
  7. ワクチンは、病原体又は腫瘍細胞によって発現された遺伝子又はタンパク質若しくはペプチドをコードする核酸からなる、請求項5記載の使用。
  8. ワクチンは、弱毒化病原体又は腫瘍細胞からなる、請求項5記載の使用。
  9. ワクチンは、特異的免疫を導くことができる任意の他の物質からなる、請求項5記載の使用。
  10. 腫瘍細胞又は自己免疫疾患に関与する細胞を殺す目的で局所的炎症及び局所的毒性作用を誘発するためのフラジェリンの使用。
  11. フラジェリンは、炎症を誘発すべき細胞又は組織において膜結合単量体として発現され、それによって、局所的炎症の誘発は、組織における細胞に対する特異的免疫の活性化を生じさせる、又は特異的免疫は、別の位置における同様の細胞の死滅を生じさせる、或いは、局所的炎症は、組織内に位置する細胞を死滅させる局所的毒性を生じさせる、請求項10記載の使用。
  12. フラジェリンは、可溶性単量体として発現される、請求項10記載の使用。
  13. フラジェリンに対する遺伝子は、サルモネラ菌、赤痢菌、大腸菌、百日咳菌、レジオネラ菌、ブルクホルデリア菌、シュードモナス菌、ヘリコバクター菌、セラチア属、桿菌、ビブリオ菌、コーロバクター属、リステリア属、クロストリジウム属、ボレリア属、Eグループに属するフラジェリンを発現する他の生体、Fグループに属するフラジェリンを発現する生体、又は相同フラジェリン遺伝子を発現するその他の生体のいずれかから得られる、請求項10記載の使用。
  14. 炎症のモデルとしての1つ又は複数の組織でフラジェリンを発現する動物モデル。
  15. フラジェリンは誘発性プロモータの下で発現される請求項14記載の動物モデル。
  16. 前記炎症のモデルは、抗炎症薬の効果を研究するために使用される、請求項14記載の動物モデル。
  17. 免疫応答を刺激することを目的とする膜結合フラジェリンの発現のための哺乳類表面表示プラスミドpディスプレイ(Display)の使用。
  18. 免疫応答を刺激することを目的とする膜結合フラジェリンの発現のための任意のプラスミド又はベクターの使用。
  19. 免疫応答を導くことができる少なくとも1つの抗原をコードする核酸、及びフラジェリン又は相同タンパク質、或いはフラジェリンの細断片、又はDNAワクチン接種における免疫に対する効果が向上した相同タンパク質をコードする核酸を含む、核酸。
  20. フラジェリンを可溶性又は膜結合単量体として発現する請求項19記載の核酸。
  21. フラジェリン又は相同タンパク質、或いはその細断片をコードする核酸は、サルモネラ菌、赤痢菌、大腸菌、百日咳菌、レジオネラ菌、ブルクホルデリア菌、シュードモナス菌、ヘリコバクター菌、セラチア属、桿菌、ビブリオ菌、コーロバクター属、リステリア属、クロストリジウム属、ボレリア属、Eグループに属するフラジェリンを発現する他の生体、Fグループに属するフラジェリンを発現する生体、又は相同フラジェリン遺伝子を発現するその他の生体のいずれかから得られる、請求項19又は20に記載の核酸。
  22. 免疫応答を導くことができる少なくとも1つの抗原をコードする核酸は、病原体又は腫瘍細胞によって発現される遺伝子をコードする、請求項19〜21のいずれか一項に記載の核酸。
  23. 請求項19〜22のいずれか一項に記載の核酸を含む哺乳類発現ベクター。
  24. 請求項23記載の発現ベクターが形質移入された細胞。
  25. DNAワクチン接種における免疫を向上させるための請求項19〜22のいずれか一項に記載の核酸又は対応するタンパク質若しくはペプチドの使用。
  26. DNAワクチン接種における免疫を向上させるための医薬組成物の製造のための、フラジェリン遺伝子、その断片、フラジェリン若しくは相同体又はその断片、フラジェリン遺伝子若しくはその断片を含むベクター、或いはフラジェリン遺伝子若しくはその断片又は請求項1〜13及び17〜25のいずれか一項に記載の核酸が形質移入された細胞の使用。
  27. フラジェリン遺伝子、その断片、フラジェリン若しくは相同体又はその断片、フラジェリン遺伝子若しくはその断片を含むベクター、或いはフラジェリン遺伝子若しくはその断片又は請求項1〜13及び17〜25のいずれか一項に記載の核酸が形質移入された細胞が、免疫向上をもたらすのに十分な量で哺乳類に投与される、哺乳類のDNAワクチン接種における免疫を向上させるための方法。
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