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JP2007335729A - 導電性金属膜および透光性電磁波シールド膜 - Google Patents

導電性金属膜および透光性電磁波シールド膜 Download PDF

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JP2007335729A JP2006167441A JP2006167441A JP2007335729A JP 2007335729 A JP2007335729 A JP 2007335729A JP 2006167441 A JP2006167441 A JP 2006167441A JP 2006167441 A JP2006167441 A JP 2006167441A JP 2007335729 A JP2007335729 A JP 2007335729A
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Hirotomo Sasaki
博友 佐々木
Atsushi Matsumoto
淳 松本
Takayasu Yamazaki
高康 山崎
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Abstract

【課題】電磁波、近赤外線、迷光、外光等を効果的に遮断する電磁波シールド特性に優れ、かつ湿熱条件下で保存しても色味変化が小さく、密着性も良好で黒化層が剥離しにくいプラズマディスプレー用の電磁波シールド膜を提供すること。また、住宅、工場などで汎用の導電性金属幕を提供すること。
【解決手段】電磁波シールド能を有し、かつ表面が黒化層で覆われたパターン状の導電性金属膜を透明支持体上に設けてなる透光性電磁波シールド膜であって、該黒化層がニッケルからなることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、本発明は導電性金属膜に関する。特に、透光性電磁波シールド膜に関する。中でも、湿熱条件下で保存しても色味変化が小さく、密着性も良好な電解めっき処理を応用して作製されるプラズマディスプレイ用の透光性で導電性の電磁波シールド膜に関する。
近年、各種の電気設備や電子応用設備の利用の増加に伴い、電磁波障害(Electro-Magnetic Interference:EMI)が急増している。EMIは、電子、電気機器の誤動作、障害の原因になるほか、これらの装置のオペレーターにも健康障害を与えることが指摘されている。このため、電子、電気機器では、電磁波放出の強さを規格又は規制内に抑えることが要求されている。
上記EMIの対策には電磁波をシールド(遮蔽)する必要があるが、それには金属の電磁波を貫通させない性質を利用すればよいことは自明である。例えば、筐体を金属体又は高導電体にする方法や、回路基板と回路基板との間に金属板を挿入する方法、ケーブルを金属箔で覆う方法などが採用されている。しかし、CRT、PDPなどではオペレーターが画面に表示される文字等を認識する必要があるため、ディスプレイ前面の透明性が要求される。前記の方法では、いずれもディスプレイ前面が不透明になることが多く、ディスプレイ機器に適用する電磁波シールド方法としては不適切なものが多い。
加えて、PDPは、CRT等と比較すると多量の電磁波を発生するため、より強い電磁波シールド能が求められている。例えば、CRT用の透光性電磁波シールド材料では、凡そ300Ω/sq以下の表面抵抗値であれば支障がないのに対し、PDP用の透光性電磁波シールド材料では、2.5Ω/sq以下の表面抵抗値が求められる。このような高い導電性の要求を満たすには、十分の導電性を有する金属箔にフォトリソグラフィーの手法によって開口パターンを施す方法が用いられている。
しかしながら、上記のシールド層の形成材料となる例えば銅箔は、金属光沢を有するのでパネル外部からの光を反射し、画面のコントラストが悪くなる他、銅箔の反射色が見える問題がある。また画面内から発生する光をも反射し、表示パネルの画像表示品質が悪くなるという問題がある。
画面内発生光と外部からの入射光の反射と、電磁波の漏洩とのいずれをも有効に防止するには、銅箔などのシールド層を黒化処理することが有効であることが知られている。
特に、プラズマディスプレーパネル用銅箔の黒化処理被膜としては、黒化処理被膜の面が均一でスジむらの発生がないか又は極めて少ないこと、エッチング性が良好であること、経時での変色が小さいこと、黒化処理層が剥れにくいこと(密着性に優れること)などが望まれる。
特許文献1には、銅箔表面に亜鉛500〜20000μg/dm2(0.05〜2g/m2)、ニッケル100〜500μg/dm2(0.01〜0.05g/m2)を含有する黒色ニッケルめっき層を備えたプラズマディスプレーパネル用の電磁波シールド性膜が開示されており、黒化処理皮膜の面が均一でスジムラが少ないことがうたわれており、特許文献2には、黒化層、導電性パターン層、及び黒化層の順で順次に重層した構成からなる電磁波遮蔽板が開示されていて、複雑な構成となるが黒化層の重層によってモアレの発生を抑止している。また、特許文献3には、金属層パターンの両面及び側面を黒化処理して出射光と入射光の両反射をともに抑えて視認性が向上されているシールド材が示されている。さらに、特許文献4には、導電性パターンの表面に形成された黒化層によって反射光を抑止してコントラストを画像向上させた電磁波遮蔽フィルターが開示されている。これら特許文献2〜4に開示されたいずれの黒化層もニッケルと亜鉛の混成相によって形成されている。
また、特許文献5は、印刷回路用銅箔の光沢面に亜鉛または亜鉛合金めっきを施し、その後表面をベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体で処理するとフォトリソグラフィーの際のレジスト密着を改善されることが述べられている。ここで用いられている亜鉛は、100〜500μg/dm2(0.01〜0.05g/m2)の付着量でごく薄く形成することが特徴
であり、これをPDP用の電磁波シールド膜に適用しようとすると、経時での変色が大きく問題であった。
一方、電子機器などに使用されるフレキシブル配線板やプラズマディスプレイに使用される電磁波シールド膜等、高い生産性のもとで絶縁体フィルム上に金属導電性薄膜を形成する技術の開発が望まれている。
例えば、特許文献6では、銀塩を含有する感光材料を露光および現像処理し、さらに現像銀に物理現像またはめっき処理を加えることによって電磁波シールド膜を製造する方法が開示されている。特許文献6によれば、他の方式に比べて細線パターンを精密に形成でき、高い透明性、安価に大量生産が可能などのような優れた電磁波シールド膜が得られるとされている。
特開2004−145063号公報 特開平11−266095号公報 特開2002−9484号公報 特開2004−320025号公報 特開平6−85417号公報 特開2004−221564号公報
上記の背景技術が示すようにプラズマディスプレーパネルに適用する電磁波シールド膜は、視認性の確保の上から黒化処理が検討され、開発されてきたにも拘らず、経時での変色が小さく、層が強固であって、剥離がないこと、かつ黒化が十分であるという黒化層の必要条件が十分に満たされていないのが現状である。また、メッシュ状金属層を上記背景技術を適用することによって電解めっきして黒化処理する場合、均一にムラなく欠陥のない黒化処理金属メッシュを得ることができない問題があった。
さらに、電磁波シールド層として望ましくは、プラズマディスプレーパネルの保護膜としての機能、電磁波防止機能、近赤外線防止機能、色調補正機能、迷光防止機能、外光遮断機能を持つと同時に、黒化処理被膜の上記の性状・特性をも備えていることが特に要求されている。従来は、これらの機能を満足させるプラズマディスプレーパネル用金属メッシュはなかったと言える。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、電磁波、近赤外線、迷光、外光等を効果的に遮断する電磁波シールド特性に優れ、かつ湿熱条件下で保存しても色味変化が小さく、密着性も良好で黒化層が剥離しにくく、欠点なく均一に黒化処理されたプラズマディスプレー用の電磁波シールド膜を提供することである。
本発明の更なる目的は、上記性能に加えて、安価で高い生産性を維持しつつ、光透過率が高く、かつ経時での色味変化が改善され密着性に優れた透光性電磁波シールド膜を提供することである。尚、本発明の透光性電磁波シールド膜を住宅又は工場などの窓ガラスに張って使用したり、自動車の窓ガラスにはって使用したりすることも可能であり、その他の用途として提供することも可能である。
本発明は、以下のとおりである。
1.電磁波シールド能を有し、かつ表面が黒化層で覆われたパターン状の導電性金属膜を透明支持体上に設けてなる透光性電磁波シールド膜であって、該黒化層の黒化金属がニッケルのみからなり、かつニッケル量が0.06〜5.0g/mであることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
2.前記導電性金属膜を構成する金属の総量が、0.2〜10.0g/mであって、かつニッケル量が0.06〜5.0g/mであることを特徴とする請求項1に記載の透光性電磁波シールド膜。
3.前記導電性金属膜を構成する金属が、少なくとも銀及び銅のいずれかを含有することを特徴とする上記1又は2に記載の透光性電磁波シールド膜。
4.前記導電性金属膜を構成する金属がそれぞれ、銀0.05〜2.0g/m、銅0.2〜10g/mであって、かつ黒化層のニッケルが、0.06〜2.0g/mであることを特徴とする請求項3に記載の透光性電磁波シールド膜。
5.前記導電性金属膜を構成する金属が銀0.1〜1.0g/m、銅1.0〜4.0g/mであって、かつ黒化層のニッケルが、0.08〜1.0g/mであることを特徴とする請求項3又は4に記載の透光性電磁波シールド膜。
6.前記黒化層のニッケルが、チオシアン酸塩を含有するニッケルめっき液を用いて電解めっきにより形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
7.前記パターン状の導電性金属膜が、銀と銅の2層の積層構成であり、銀層が支持体側であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
8.膜中にベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体及びメルカプト系化合物から選ばれる少なくとも1種を0.03〜0.3g/m含有することを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
9.膜中にゼラチンを含有することを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
10.前記導電性金属膜が、パターン状の現像銀上に電解めっきによって形成された金属膜であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
11.前記導電性金属膜が、銀塩感光材料にパターン状の露光を施した後現像と電解めっきを行うことによって形成された金属膜であることを特徴とする上記10に記載の透光性電磁波シールド膜。
12.前記のニッケルめっき液のチオシアン酸塩の濃度がチオシアン酸アンモニウム換算で、8〜30g/Lであることを特徴とする上記6に記載の透光性電磁波シールド膜。
本発明によれば、経時しても、とくに湿熱条件下で保存しても、色味変化が小さく、しかも密着性も良好であり、かつ黒化層も剥離しにくいプラズマディスプレー用の電磁波シールドを提供できる。また、安価で高い生産性を維持しつつ優れた導電特性を有する導電性膜および優れた電磁波遮蔽効果を有する透光性電磁波シールド膜を提供することができる。
さらに、これらをフレキシブル配線板やプラズマディスプレーに組み込んで導電性や電磁波遮蔽性能を向上させることが出来る。
本発明の透光性電磁波シールド膜は、電磁波シールド能を有するパターン状の導電性金属膜の表面が黒化層で覆われていて、その層がNiからなっていることが特徴である。本発明の特に好ましい態様は、上記表面が黒化層で覆われた導電性金属膜が細線状の、かつメッシュ状の銀によって、とりわけ現像銀によって、構成されていることである。
このようにニッケルを用いたことが黒化層の安定性を高めて長期の、又は高温度、高湿度のもとでの経時性を向上させ、しかも膜表面の光反射を効果的に抑制して、発明の目的を達成させている。そしてこの黒化層を表面に担持する金属膜がメッシュ状の銀を基体とした金属である場合、とくにハロゲン化銀感光材料を現像して得た現像銀を基体とした金属である場合に黒化層の黒さ(低反射性)と密着性(耐剥離性)が向上して電磁波シールド膜としての性能を更に高めている。ここで、「銀を基体とした金属」とは銀自体及び銀の上に銅などの銀表面へのめっき可能な金属層を設けた金属又は合金を指す。
銀を基体とした金属における銀に加えられる金属は、めっき可能の金属であればいずれの金属でも適用できるが、銅、金、クロム、ニッケル、が好ましく、特に銅が好ましい。また、これらの金属が銀に付加される形態としては、銀上にめっきによって形成されることが好ましく、細線状の銀の全表面にめっき層を形成下も良いが、銀の支持体と反対側の表面に選択的に金属析出がなされて金属銀層とめっき金属層との積層構成となってもよい。とくに後者が導電性と反射防止性との両立の面で優れている。
現像銀を基体とした場合の本発明の電磁波シールド膜としての上記の優れた特性は、使用した感光材料の感光層のバインダーであるゼラチンの保護作用の寄与に基いているものと推定している。また、感光材料中には、ハロゲン化銀粒子のかぶり防止のために感光層中にベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体及びメルカプト系化合物か含まれる場合が多いが、本発明においては、感光材料中での上記効果とは関係はないが、シールド膜中にベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体及びメルカプト系化合物を含有させると膜の経時安定性が向上することが判明した。
本発明の導電性シールド膜の対象となるパターン状の金属膜は、前記規定の黒化層を表面に形成し得るものであれば特に限定されず適用可能である。例えば、支持体表面に多少の導電性スパッタを施したり、真空蒸着薄膜を設けたフィルム、銅箔をエッチングによりメッシュ状に形成した金属層にも適用される。また、パラジウムなどの無電解めっき触媒を透明支持体上にグラビア印刷やスクリーン印刷などの方法で印刷した後に無電解めっきと電解めっきを施してメッシュ状に形成された金属パターンにも適用可能である。また、金属銀粒子分散物を透明支持体上に印刷した後にその金属銀パターンの導電性を利用して電解めっきを施してメッシュ状に形成された金属パターンにも適用される。更には、銀塩拡散転写法によって形成される導電性銀パターンに電解めっきを施してメッシュ状に形成された金属パターンにも適用される。
しかしながら、前記のように銀塩感光材料に後述する操作を施した現像済みフィルムが、本発明の適用対象として特に好ましいので、以下の導電性シールド膜の材料及び作製方法は、銀塩感光材料を用いる方法に準拠して説明するが、これに限定されるものではない。
また、フィルムは銀のメッシュ状パターン(銀メッシュパターン)を有するフィルムであることが望ましく、フィルム上の銀メッシュパターンは連続している(電気的に途切れていない)ことが好ましい。一部でも繋がっていればよく、導電性パターンが途切れると第1槽目の電解めっき槽でめっきがつかない部分ができたり、ムラになったりするおそれがある。この連続した銀メッシュパターン上に上記めっき処理を施すことで銀メッシュ上に導電性金属被膜が形成され、めっき処理後のフィルム(導電性膜)は、例えば絶縁体フィルム上に形成されるプリント配線基板、PDP用電磁波シールド膜等として有用である。
なお、一般的には「メッシュ」は、篩の目の密度を表すとしても用いられるが、本明細書で「メッシュ」とは、当業界の慣用的用法で網目状の金属パターンを指している。
銀メッシュパターンは、いずれの方法により形成されたものでも構わないが、現像銀により形成されていることが望ましい。現像銀により形成された銀メッシュパターンを持つフィルムは、支持体上に銀塩乳剤を含む乳剤層を有する感光材料を露光、現像して形成されたものを用いることが好ましい。以下、この感光材料の構成、および、この感光材料を用いて現像銀により形成された銀メッシュパターンを持つフィルムの製造方法について説明する。
本発明は、前述のように、銀塩乳剤層を支持体上に有する写真乳剤にメッシュ状パターン露光と現像処理して得られる銀メッシュパターンに適用することが最も好ましい態様であり、銀メッシュパターンは本発明のめっき処理によって凹凸がなくかつ堅牢な透光性電磁波シールド膜となる。したがって、以下に銀塩乳剤から透光性電磁波シールド膜を得る一連の工程のうち、めっき処理以外について説明する。
1.感光材料
[乳剤層]
上記感光材料は、支持体上に、光センサーとして銀塩乳剤を含む乳剤層を有することが好ましい。支持体上に乳剤層を形成するには、公知の塗布技術を用いて行うことが可能である。また、乳剤層には、銀塩乳剤のほか、必要に応じて、染料、バインダー、溶媒等を含有することができる。以下、乳剤層を構成する各成分について説明する。
(染料)
乳剤層には染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルター染料として若しくはイラジエーション防止その他種々の目的で含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
このほか、使用することができる染料としては、現像または定着の処理時に脱色させる固体微粒子分散状の染料としては、特開平3−138640号公報記載のシアニン染料、ピリリウム染料およびアミニウム染料が挙げられる。また、処理時に脱色しない染料として、特開平9−96891号公報記載のカルボキシル基を有するシアニン染料、特開平8−245902号公報記載の酸性基を含まないシアニン染料および同8−333519号公報記載のレーキ型シアニン染料、特開平1−266536号公報記載のシアニン染料、特開平3−136038号公報記載のホロポーラ型シアニン染料、特開昭62−299959号公報記載のピリリウム染料、特開平7−253639号公報記載のポリマー型シアニン染料、特開平2−282244号公報記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開昭63−131135号公報記載の光散乱粒子、特開平9−5913号公報記載のYb3+化合物および特開平7−113072号公報記載のITO粉末等が挙げられる。また、特開平9−179243号公報記載の一般式(F1)、一般式(F2)で表される染料で、具体的には同公報記載の化合物F35〜F112も用いることができる。
また、上記染料としては、水溶性染料を含有することができる。このような水溶性染料としては、オキソノール染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、シアニン染料およびアゾ染料が挙げられる。中でも、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料およびベンジリデン染料が有用である。水溶性染料の具体例としては、英国特許584,609号明細書、同1,177,429号明細書、特開昭48−85130号公報、同49−99620号公報、同49−114420号公報、同52−20822号公報、同59−154439号公報、同59−208548号公報、米国特許2,274,782号明細書、同2,533,472号明細書、同2,956,879号明細書、同3,148,187号明細書、同3,177,078号明細書、同3,247,127号明細書、同3,540,887号明細書、同3,575,704号明細書、同3,653,905号明細書、同3,718,427号明細書に記載されたものが挙げられる。
上記乳剤層中における染料の含有量は、イラジエーション防止などの効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
(銀塩乳剤)
銀塩乳剤としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩および酢酸銀などの有機銀塩が挙げられ、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀乳剤を用いることが好ましい。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本実施形態に係る感光材料においても用いることができる。
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらの組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrやAgClを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
なお、ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成される銀メッシュパターンの形状の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができ、立方体、14面体が好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部或いは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
乳剤層用塗布液であるハロゲン化銀乳剤は、P. Glafkides 著 Chimie et Physique Photographique (Paul Montel 社刊、1967年)、G. F. Dufin 著Photographic Emulsion Chemistry (The Focal Press刊、1966年)、V. L.Zelikmanほか著、Making and Coating Photographic Emulsion (The Focal Press 刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
すなわち、上記ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、酸性法、中性法等のいずれでもよく、又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩とを反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。
また、銀粒子の形成方法としては、粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。さらに、同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることも好ましい。係る方法としてより好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号等の各公報に記載されている。
好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンが挙げられる。ハロゲン化銀溶剤の添加量は、用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10-5〜10-2モルが好ましい。
上記コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、好ましく用いることができる。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号広報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において早く銀を成長させることが好ましい。
乳剤層の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
ハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
ハロゲン化銀乳剤は、VIII族、VIIB族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物などを含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってよく、配位子として例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどや、こうした擬ハロゲン、アンモニアのほか、アミン類(メチルアミン、エチレンジアミン等)、ヘテロ環化合物(イミダゾール、チアゾール、5−メチルチアゾール、メルカプトイミダゾールなど)、尿素、チオ尿素等の、有機分子を挙げることができる。
また、高感度化のためにはK4〔Fe(CN)6〕やK4〔Ru(CN)6〕、K3〔Cr(CN)6〕のごとき六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
上記ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、K3Rh2Br9等が挙げられる。
これらのロジウム化合物は、水或いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、或いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
上記イリジウム化合物としては、K2IrCl6、K3IrCl6等のヘキサクロロイリジウム錯塩、ヘキサブロモイリジウム錯塩、ヘキサアンミンイリジウム錯塩、ペンタクロロニトロシルイリジウム錯塩等が挙げられる。
上記ルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウム、K4〔Ru(CN)6〕等が挙げられる。
上記鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
上記ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加され、特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6‐n
(ここで、MはRu、またはOsを表し、nは0、1、2、3または4を表す。)
この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウム若しくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔RuCl6-3、〔RuCl4(H2O)2-1、〔RuCl5(NO)〕-2、〔RuBr5(NS)〕-2、〔Ru(CO)3Cl3-2、〔Ru(CO)Cl5-2、〔Ru(CO)
Br5-2、〔OsCl6-3、〔OsCl5(NO)〕-2、〔Os(NO)(CN)5-2、〔Os(NS)Br5-2、〔Os(CN)6-4、〔Os(O)2(CN)5-4
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当り10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
その他、Pd(II)イオンおよび/またはPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀の表層に存在させることも好ましい。
ハロゲン化銀に含まれるPdイオンおよび/またはPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の、銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4や、Na2PdCl4等が挙げられる。
さらに光センサーとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感の方法としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感等カルコゲン増感、金増感などの貴金属増感、還元増感等を用いることができる。これらは、単独または組み合わせて用いられる。上記化学増感の方法を組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などの組み合わせが好ましい。
上記硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化し、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-5〜10-3モルである。
上記セレン増感に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、上記セレン増感は、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
上記テルル増感剤に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。具体的には、米国特許US第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635頁(1980)、同1102頁(1979)、同645頁(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1巻,2191頁(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Selenium and Tellurium Compounds)、1巻(1986)、同2巻(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平5−3
13284号公報中の一般式(II)、(III)、(IV)で示される化合物が好ましい。
セレン増感剤およびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件は特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgは6〜11、好ましくは7〜10であり、温度は40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
また、上記貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられ、特に金増感が好ましい。金増感に用いられる金増感剤としては、具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、チオグルコース金(I)、チオマンノース金(I)などが挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2モル程度を用いることができる。本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
また、銀塩乳剤に対して還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。上記ハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許(EP)293917に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。本発明に用いられる感光材料の作製に用いられるハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるもの)の併用であってもよい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
(バインダー)
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーを用いることができる。バインダーとしては、非水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。
(溶媒)
乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等アルコール類、アセトンなどケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であることが好ましく、50〜80質量%の範囲であることがより好ましい。
[支持体]
感光材料に用いられる支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさおよび価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
めっき処理後の導電性膜をディスプレイ用電磁波シールド膜として用いる場合、当該電磁波シールド膜は透明性が要求されるため、支持体は高い透明性を有していることが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、前記プラスチックフィルムおよびプラスチック板等は、導電性膜の用途として問題ない程度に着色したものを用いることもできる。
プラスチックフィルムおよびプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとしたものを用いることも可能である。
プラスチックフィルムおよびプラスチック板の厚みは200μm以下が好ましく、更に好ましくは20μm〜180μm、最も好ましくは50μm〜120μmである。
支持体としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、導電性膜をディスプレイ用電磁波シールド膜の用途として用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、かつ端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
[保護層]
感光材料には、乳剤層上にゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる保護層を設けていてもよい。保護層を設けることにより擦り傷防止や力学特性を改良することができる。しかし、保護層はめっき処理する上では設けない方が好ましく、設けるとしても薄い方(厚みが例えば0.2μm以下)が好ましい。上記保護層の塗布方法の形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
2.電磁波シールド膜の製造
上記の感光材料を露光、現像処理、および必要に応じてその他の処理を施すことにより銀メッシュパターンを有し、さらに銀上に導電性金属が付加され、黒化層も設けられた電磁波シールド膜を製造することができる。以下、この各工程について説明する。
[露光]
露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
上記光源としては、例えば、陰極線(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種または2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色および青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
また、露光は種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、レーザーとしては、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーまたは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
また、露光では格子状等にパターン状に露光することが好ましい。パターン状に露光する方法としては、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
[現像処理]
現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、またはそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
リス現像液としては、KODAK社製のD85などを用いることができる。
また、現像液としてジヒドロキシベンゼン系現像主薬を用いることができる。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩などが挙げられるが、特にハイドロキノンが好ましい。上記ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と超加成性を示す補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン類やp−アミノフェノール類が挙げられる。本発明の製造方法において用いる現像液としては、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と1−フェニル−3−ピラゾリドン類との組合せ;またはジヒドロキシベンゼン系現像主薬とp−アミノフェノール類との組合せが好ましく用いられる。
補助現像主薬として用いられる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体と組み合わせられる現像主薬としては、具体的に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
上記p−アミノフェノール系補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は、通常0.05〜0.8モル/Lの量で用いられるのが好ましく、0.23モル/L以上で使用するのがより好ましく、さらに好ましくは、0.23〜0.6モル/Lの範囲である。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類若しくはp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には、前者を0.23〜0.6モル/L、さらに好ましくは0.23〜0.5モル/L、後者を0.06モル/L以下、さらに好ましくは0.03モル/L〜0.003モル/Lの量で用いるのが好ましい。
現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて単に「現像液」という場合がある)には、通常用いられる添加剤(例えば、保恒剤、キレート剤)を含有することができる。上記保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩が挙げられる。該亜硫酸塩は、0.20モル/L以上用いられることが好ましく、さらに好ましくは0.3モル/L以上用いられるが、余りに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2モル/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7モル/Lである。
また、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用してアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。ここでアスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸、および、その立体異性体であるエリソルビン酸やそのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩)などを包含する。上記アスコルビン酸誘導体としては、エリソルビン酸ナトリウムを用いることが素材コストの点で好ましい。上記アスコルビン酸誘導体の添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。上記保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
上記以外に現像液に用いることのできる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムの如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドの如き有機溶剤;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤や、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。上記ベンゾイミダゾール系化合物としては、具体的に、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロベンズトリアゾール、4−〔(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ〕ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらベンゾイミダゾール系化合物の含有量は、通常、現像液1リットル当り0.01〜10mmolであり、より好ましくは、0.1〜2mmolである。
さらに上記現像液中には、各種の有機・無機のキレート剤を併用することができる。上記無機キレート剤としては、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。一方、上記有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
これらキレート剤の添加量としては、現像液1リットル当り好ましくは、1×10-4〜1×10-1モル、より好ましくは1×10-3〜1×10-2モルである。
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、特開昭56−24347号、特公昭56−46585号、特公昭62−2849号、特開平4−362942号の各公報記載の化合物を用いることができる。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。さらに現像液には、必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
現像処理温度および時間は相互に関係し、全処理時間との関係において決定されるが、一般に現像温度は約20℃〜約50℃が好ましく、25〜45℃がさらに好ましい。また、現像時間は5秒〜2分が好ましく、7秒〜1分30秒がさらに好ましい。
現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程で使用する定着液の好ましい成分としては、以下が挙げられる。
すなわち、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、必要により酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、タイロン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸これらの塩等を含むことが好ましい。近年の環境保護の観点からは、ホウ酸は含まれない方が好ましい。定着液に用いられる定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどが挙げられ、定着速度の点からはチオ硫酸アンモニウムが好ましいが、近年の環境保護の観点からチオ硫酸ナトリウムが使われてもよい。これら既知の定着剤の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜約2モル/リットルである。特に好ましくは、0.2〜1.5モル/リットルである。定着液には所望により、硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫酸)、キレート剤、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤を含むことができる。
上記界面活性剤としては、例えば硫酸化物、スルホン化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6740号公報記載の両性界面活性剤などが挙げられる。また、上記定着液には、公知の消泡剤を添加してもよい。
上記湿潤剤としては、例えば、アルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。また、上記定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号の各公報に記載のチオ尿素誘導体;分子内に3重結合を持つアルコール;米国特許US第4126459号明細書記載のチオエーテル化合物;特開平4−229860号公報記載のメソイオン化合物などが挙げられ、特開平2−44355号公報記載の化合物を用いてもよい。また、上記pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸などの有機酸や、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩などの無機緩衝剤が使用できる。上記pH緩衝剤として好ましくは、酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、好ましくは0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。定着液のpHは4.0〜6.5が好ましく、特に好ましくは4.5〜6.0の範囲である。また、上記色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号公報記載の化合物を用いることもできる。
定着液中の硬膜剤としては、水溶性アルミニウム塩、クロム塩が挙げられる。上記硬膜剤として好ましい化合物は、水溶性アルミニウム塩であり、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明バンなどが挙げられる。上記硬膜剤の好ましい添加量は0.01〜0.2モル/リットルであり、さらに好ましくは0.03〜0.08モル/リットルである。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施すのが好ましい。水洗処理または安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。このため、節水処理が可能となるのみならず、自現機設置の配管を不要とすることができる。水洗水の補充量を少なくする方法としては、古くから多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。この多段向流方式を本発明の製造方法に適用した場合、定着後の感光材料は徐々に正常な方向、即ち定着液で汚れていない処理液の方向に順次接触して処理されていくので、さらに効率のよい水洗がなされる。また、水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−287252号各公報などに記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のためには、種々の酸化剤添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。さらに、上記方法においては、水洗浴または安定化浴に防黴手段を施した水を、処理に応じて補充することによって生じた水洗浴または安定化浴からのオーバーフロー液の一部または全部を、特開昭60−235133号公報に記載されているようにその前の処理工程である定着能を有する処理液に利用することもできる。また、少量水洗時に発生し易い水泡ムラ防止および/またはスクイズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフィルムに転写することを防止するために、水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。
また、水洗処理または安定化処理においては、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗槽に設置してもよい。また、水洗処理に続いて安定化処理においては、特開平2−201357号、同2−132435号、同1−102553号、特開昭46−44446号の各公報に記載の化合物を含有した浴を、感光材料の最終浴として使用してもよい。この際、必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Alなどの金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防かび剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。水洗工程または安定化工程に用いられる水としては水道水のほか脱イオン処理した水やハロゲン、紫外線殺菌灯や各種酸化剤(オゾン、過酸化水素、塩素酸塩など)等によって殺菌された水を使用することが好ましい。また、特開平4−39652号公報、特開平5−241309号公報に記載の化合物を含む水洗水を使用してもよい。
水洗処理または安定化温度における浴温度および時間は0〜50℃、5秒〜2分であることが好ましい。
現像処理後の露光部における金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができる。
現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
なお、現像処理後の金属銀部には物理現像処理を行ってもよい。ここで物理現像とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現像は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルム、印刷版等の製造に利用されており、本実施形態においてはこれらに用いられる技術を適用することができる。
また、物理現像は、上記現像処理と同時に行っても現像処理後に別途行ってもよい。
[酸化処理]
現像処理後の現像銀部に酸化処理を施してもよい。酸化処理を行うことにより、例えば、現像銀部以外の光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。上述の通り、酸化処理は、乳剤層の露光および現像処理後、或いは物理現像またはめっき処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像またはめっき処理後のそれぞれで行ってもよい。
[めっき前処理]
さらに露光および現像処理後の現像銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により電解めっきまたは物理現像速度を促進させることができる。
特に、ゼラチンを含有する感光材料をめっきする場合、その前処理として硬膜処理することが好ましい。硬膜剤としては、グルタルアルデヒド、ミョウバン、ホルムアルデヒドなどが好ましく用いられる。
[物理現像およびめっき処理]
本発明では、前記露光および現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像および/またはめっき処理を行う。本発明では物理現像またはめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。尚、金属銀部に物理現像および/またはめっき処理を施したものを「導電性金属部」と称する。
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本発明において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、または無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。
<無電解めっき>
本発明では、露光および現像処理後の金属銀部を、さらに無電解めっき用溶液で処理することもできる。無電解めっきには、パラジウム化合物水溶液で処理する方法、還元剤又は銀イオン配位子あるいはその両方で処理する方法が好ましい。
前者については、露光および現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することによって行われる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解めっきまたは物理現像速度を促進させることができる。パラジウムによる無電解めっきは、日本科学会編、化学便覧応用化学編の「無電解めっき」の章に詳記されている。
無電解めっきを行う場合は、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
無電解銅めっき液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤として、ホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子として、EDTA,トリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やめっき皮膜の平滑性向上の為の添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。
本発明で好ましく用いられる還元剤や銀イオン配位子による処理について説明する。
還元剤としては、銀イオンを金属銀に還元可能であればよく、例えば、二酸化チオ尿素、ロンガリット、塩化錫(II)、水素化ホウ素ナトリウム、ソジウムトリアセトキシボロハイドライド、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン、ピリジンボラン、ボランなどが挙げられる。
銀イオン配位子としては、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等のハロゲンイオン、チオシアネートイオンなどの擬ハロゲンイオン、ピリジン、ビピリジン等の含窒素ヘテロ環化合物、亜硫酸イオン、また、1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート類(例えば、1,2,4-トリメチル-1,2,4-トリアゾリウム-3-チオラート)などのメソイオン化合物、3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオールなどのチオエーテル化合物などが
挙げられる。
無電開めっき処理や還元剤水溶液処理は、ほかの浸液処理工程と同じ処理温度で行うのが好ましく、処理時間は10〜1000秒、好ましくは20〜200秒が好ましい。
<電解めっき>
以下に電解めっき処理方法の好ましい態様について図面を参照して具体的に説明する。上記の電解めっき処理を好適に実施するためのめっき装置は、乳剤層を露光し、現像処理したフィルムが巻き付けられた繰り出し用リール(図示せず)から、順次繰り出されたフィルムを電気めっき槽に送り込み、めっき後のフィルムを巻取り用リール(図示せず)に順次巻き取る構成となっている。
図1に上記電解めっき処理に好適に用いられる電解めっき槽の一例を示す。この図1に示す電解めっき槽10は、長尺のフィルム16(上記の露光、現像処理を施したもの)に連続してめっき処理を施すことができるものである。矢印はフィルム16の搬送方向を示している。電解めっき槽10は、めっき液15を貯留するめっき浴11を備えている。めっき浴11内には、一対のアノード板13が平行に配設され、アノード板13の内側には、一対のガイドローラ14がアノード板13と平行に回動可能に配設されている。ガイドローラ14は垂直方向に移動可能で、これによりフィルム16のめっき処理時間を調整できる。
めっき浴11の上方には、フィルム16をめっき浴11に案内するとともにフィルム16に電流を供給する給電ローラ(カソード)12a,12bがそれぞれ一対回転自在に配設されている。また、めっき浴11の上方には、出口側の給電ローラ12bの下方に液切りローラ17が回動可能に配設されており、この液切りローラ17と出口側の給電ローラ12bとの間には、フィルムからめっき液を除去するための水洗用スプレー(図示せず)が設置されている。
アノード板13は、電線(図示せず)を介して電源装置(図示せず)のプラス端子に接続され、給電ローラ12a,12bは、電源装置(図示せず)のマイナス端子に接続されている。
上記の電解めっき槽10において、例えば、電解めっき槽のサイズが10×10×10cm〜100×200×300cmである場合は、入り口側の給電ローラ12aとフィル
ム16とが接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離La)は、0.5〜15cmとすることが好ましく、1〜10cmとすることがより好ましく、1〜7cmとすることがさらに好ましい。また、出口側の給電ローラ12bとフィルム16とが接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離Lb)は、0.5〜15cmとすることが好ましい。
次に、上記電解めっき槽10を備えためっき装置を使用して、フィルムのメッシュ状の銀細線パターンに銅めっき層を形成させて導電性を強化する方法を説明する。
まずめっき浴11にめっき液15を貯留する。めっき液としては、銅めっきの場合は、銅供給源化合物として、硫酸銅、シアン化銅、ホウフッ化銅、塩化銅、ピロリン酸銅炭酸銅等の1つ以上を含む銅めっき液が挙げられる。建浴費が安く、管理が容易などの点から硫酸銅を含むめっき液を用いることが好ましく、硫酸銅五5水和塩あるいは予め水に溶かした硫酸銅水溶液を用いることがより好ましい。
銅めっき液において、前記以外の銅イオン源としては、通常酸性溶液において溶解するとともにpH3以下の酸性銅めっき液を形成できればる銅化合物である限り特に制限はないなく用いることができる。この前記以外の銅イオン源の具体例としては、酸化銅、メタンスルホン酸銅、プロパンスルホン酸銅などのアルカンスルホン酸銅、プロパノールスルホン酸銅などのアルカノールスルホン酸銅、酢酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅などの有機酸銅及びその塩などがあげられる。銅化合物は、1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
銅めっき液中での銅イオン濃度としては、硫酸銅五5水塩の質量換算で、150〜300g/Lの範囲とすることが好ましく、より好ましい範囲は150〜250g/Lであり、さらにより好ましい範囲は180〜220g/Lである。
通常、電解めっきを行う場合、めっき液における銅イオン濃度は80g〜100g/Lとすることが多い。しかしながら、本発明のように表面抵抗が高いフィルムに電解めっきを行う場合、電子が広い面積に行き渡りにくいため、単位面積当りの電流密度が高くなり、通常用いられる範囲の銅イオン濃度では電子の供給に対して銅イオンの供給が追いつかず、フィルム表面で水素が発生して質の悪い銅めっき(いわゆる「焦げ」)が付着し、均一にムラなくめっき被膜を形成することが困難となる。そこで、本発明では、めっき液の銅イオン濃度を150g/L以上とすることが好ましく、この「焦げ」の発生を防止し、均一でムラのないめっき被膜形成することができる。
なお、銅イオン濃度を300g/L以下を好ましい範囲としたのは、300g/Lを超えて使用しても効果がほとんど増大せず不経済であり、また、溶解に時間が掛かる、析出し易い等の問題があるためである。
めっき液に加える酸は、めっき液のpHが十分低く保たれる限り特に限定されず、例えば硫酸、硝酸、塩酸等が挙げられる。pHは酸の濃度によって変わるが、3以下が好ましく、さらに好ましくは1以下である。なお、酸性銅めっき液がpH3を超えると、銅が析出し易くなるため好ましくない。
例えば硫酸銅を含むめっき液を用いた場合、めっき液中の硫酸の濃度としては、30〜300g/Lが好ましく、50〜150g/Lがより好ましい。pHは硫酸濃度によって変わるが、3以下が好ましく、さらに好ましくは1以下である。
銅めっき液中に塩素イオンが存在することが好ましく、その濃度は20〜150mg/Lであることが好ましく、30〜100mg/Lがより好ましい。
次に、銅めっき液に添加する有機系添加剤について説明する。有機系添加剤は、めっき反応を抑制する有機化合物(めっき抑制剤)、めっき反応を促進する有機化合物(めっき促進剤)及びめっき過程で電着形成する姻族膜を平坦化する有機化合物(めっき平坦化剤)であり、これらから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有することが好ましく、2種以上を組み合わせて含有することがより好ましく、特にめっき反応を抑制する有機化合物、めっき反応を促進する有機化合物及びめっき成長を平坦化する有機化合物の全てを併用して添加することが最も好ましい。
めっき反応を抑制する有機化合物としては、水溶性基を有する鎖状ポリマー成分が好ましい。鎖状ポリマーは分岐していてもよい。また、ポリマーは、単一モノマーから構成されていてもよく、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。水溶性基は、水酸基、硫酸基、亜硫酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基が好ましく、とりわけ水酸基が好ましい。ポリマー成分としては、特に酸素原子を有するポリマー成分が銅めっき表面に吸着し易く、めっき反応を抑制する。めっき反応が進みすぎた孔外部に吸着し易く選択的に抑制するため、めっきが均一に緻密になるので好ましい。
ポリマー成分としては、ポリアルキレングリコール類が好ましく、その場合のアルキレン基の炭素数は2〜8が好ましく、2〜3がより好ましい。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールブロック共重合型(プルロニック型)界面活性剤、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールグラフト共重合型(テトロニック型)界面活性剤、グリセリンエーテル、ジアルキルエーテルからなる群から選ばれる化合物を用いることができ、好ましくは分子量10000〜10000、より好ましくは2000〜6000のポリエチレングリコール、分子量100〜5000、より好ましくは200〜2000のポリプロピレングリコール、分子量1000〜10000、より好ましくは1500〜4000のポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールブロック共重合体が挙げられ、2000〜6000のポリエチレングリコールが最も好ましい。なお、水溶性基を有する鎖状ポリマーポリマー成分は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリマー成分の濃度としては、10〜5000mg/Lが好ましく、50〜2000mg/Lがより好ましい。
めっき反応を促進する化合物として、含硫黄基を有する系有機化合物が好ましい。含硫黄基としては、スルフィド基、チオール基(メルカプト基)、スルホン酸基、スルフィン酸基、チオ硫酸基を挙げることができる。含硫基を有する硫黄系有機化合物を含有させることにより、めっきされ難い凹部を効率的にめき反応を促進してめっきが均一かつ緻密になり、また耐擦傷性、耐熱性なども良化する。含硫基を有する硫黄系有機化合物の具体例としては、スルホアルキルスルホン酸(アルキル基の炭素数は1〜10、好ましくは2〜4)およびその塩、ビススルホ有機化合物およびジチオカルバミン酸誘導体からなる群、チオ硫酸またはその塩から選ばれる化合物を用いることができ、好ましい具体例としてビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)、メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム(MPS)など挙げられる。またその他、特開平7−316875号の段落[0012]に挙げられている化合物を用いることも好ましい。なお、硫黄系有機化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。硫黄系有機化合物の濃度としては、0.02〜2000mg/Lが好ましく、0.1〜300mg/Lがより好ましい。
また、めっき過程で電着した金属成長膜を平坦化させる有機化合物として、窒素化合物が好ましい。めっき液中に窒素化合物を含有させることにより、先に説明した好ましくは前記めっき反応を抑制する有機化合物剤と連動して併用することによって、抑制剤性有機化合物をより拡散律速的にしてメッシュ状パターン孔外部に選択的に吸着させめっきを抑制し、めっき厚みの均一性がより良化する。
窒素化合物としては、ポリアルキレンイミン、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン塩、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート4級塩、ポリビニルピリジン4級塩、ポリビニルアミジン、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン酸、オーラミンおよびその誘導体、メチルバイオレットおよびその誘導体、クリスタルバイオレットおよびその誘導体、ヤヌスブラックおよびその誘導体、ヤヌスグリーンからなる群から選ばれる化合物を用いることができる。なお、窒素化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。窒素化合物の濃度としては、0.1〜1000mg/Lが好ましく、0.5〜150mg/Lがより好ましい。
銅めっき工程が2段以上の多段で構成されている場合、後半の銅めっき液中の有機系添加剤濃度が、前半銅めっき液に添加した有機系添加剤濃度に対して70%以下が好ましく、より好ましくは50%以下、最も好ましくは実質含有しない。実質含有しないとは、処理することによって前浴から液が持ち込まれるために微小混入するといったこと以外には、積極的故意に添加を行わないということである。
銅めっき槽の総数の和は、好ましくは2〜40槽であり、さらに好ましくは4〜30槽であり、とくに好ましくは10〜20槽である。前記銅めっき液の前半に対する後半の槽数の比は、0.5〜2.0が好ましい。
銅めっき液の浴温は、15〜40℃が好ましく、20〜35℃が特に好ましい。
銅めっき液の撹拌方法としては、一般的に用いられているエアレーションや超音波撹拌などを用いればよく、特に限定されない。また、銅めっき後の水洗用の水の温度としては15〜40℃が好ましく、20〜30℃が特に好ましい。
フィルム16を繰り出しリール(図示せず)に巻かれた状態でセットして、フィルム16のめっきを形成すべき側の面が給電ローラ12a,12bと接触するように、フィルム16を搬送ローラ(図示せず)に巻き掛ける。なお、電解めっき直前のフィルムの表面抵抗は、1〜1000Ω/□であることが好ましく、5〜500Ω/□であることがより好ましく、さらに好ましい範囲は10〜100Ω/□である。
アノード板13および給電ローラ12a,12bに電圧を印加し、フィルム16を給電ローラ12a,12bに接触させながら搬送する。フィルム16をめっき浴11に導入し、めっき液15に浸せきして銅めっきを形成する。液切りローラ17間を通過する際に、フィルム16に付着しためっき液15を拭い取り、めっき浴11に回収する。これを複数の電解めっき槽で繰り返し、最後に水洗した後、巻取りリール(図示せず)に巻き取る。
フィルム16の搬送速度は、1〜30m/分の範囲で設定される。フィルム16の搬送速度は、好ましくは、1〜10m/分の範囲であり、より好ましくは、2〜5m/分の範囲である。
印加電圧は、1〜100Vの範囲であることが好ましく、2〜60Vの範囲であることがより好ましい。電解めっき槽が複数設置されている場合は、電解めっき槽の印加電圧を段階的に下げることが好ましい。また、第1槽目の入り口側の電流量としては、1〜30Aが好ましく、2〜10Aがより好ましい。
給電ローラ12a,12bはフィルム全面(接触している面積のうちの実質的に電気的に接触している部分が80%以上)と接触していることが好ましい。
上記電解めっき処理によりめっきされる導電性金属部の厚さは、ディスプレイの電磁波シールド材の用途としては、薄いほどディスプレイの視野角が広がるため好ましい。さらに、導電性配線材料の用途としては、高密度化の要請から薄膜化が要求される。このような観点から、めっきされた導電性金属からなるシールド膜の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
また、本発明のめっき処理においては、上記の電解めっき処理を行う直前のフィルムの表面抵抗が1〜1000Ω/□のフィルムであれば、その前に無電解めっき処理を行ってもよい。
また、フィルム上の導電性パターンは連続している(電気的に途切れていない)ことが好ましい。一部でも繋がっていればよく、導電性パターンが途切れると第1槽目の電解めっき槽でめっきがつかない部分ができたり、ムラになったりするおそれがある。
めっき処理時のめっき速度は、緩やかな条件で行うことができるが、5μm/hr以上の高速めっきも可能である。めっき処理において、めっき液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTAなどの配位子など種々の添加剤をめっき液中に添加して用いることができる。
[防錆処理及び防錆剤]
次に電磁波シールド膜に好ましく施される防錆処理及びその処理によって膜中に含まれる防錆剤について説明する。
本発明において、電磁波シールド膜に含ませるのが好ましい防錆剤は、シールド膜作製用の材料である感光材料中(例えば乳剤層中や表面保護粗中)に含まれていてもよく、該感光材料をパターン露光後現像処理する際の現像液中、定着液中または安定液中に含まれていて処理中にシールド膜中に取り込まれてもよく、あるいは現像処理後の電解めっき液や無電解めっき液、酸化液、さらには独立の防錆剤浴中に含まれていて処理中にシールド膜中に取り込まれてもよい。特に、後述する黒化処理後に防錆剤浴に浸漬して防錆剤を膜中に取り込ませることが最も好ましい。
防錆剤は、メッシュ状の細線に吸着しているものと推定され、その状態で防錆・安定化効果を発揮するものと考えられ、経時後の色味変化を低減する効果がある。本発明の黒化層を形成した後に、防錆剤を吸着させた方が吸着効率が著しく高くなり、好ましい吸着量を吸着させることが可能となる。防錆剤の好ましい吸着量は0.01〜0.5g/m、特に好ましくは0.03〜0.3g/mである。吸着量が少なすぎると経時後の色味変化を抑える効果が小さくなり、多すぎると黒化層の密着性を悪化させる。
本発明に用いられる防錆剤としては、含窒素ヘテロ環化合物や有機メルカプト化合物が好ましく、中でも含窒素ヘテロ環化合物が好ましく用いられる。
含窒素有機ヘテロ環化合物の好ましい例は、5−又は6-員環アゾール類が好ましく、中でも5-員環アゾール類が好ましい。本発明に用いられる防錆剤としては、含窒素有機ヘ
テロ環化合物や、有機メルカプト化合物が好ましく用いられ用いられる。
好ましい含窒素5員環又は6員環構造は炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びセレン原子の少なくとも一種の原子から構成される5又は6員の複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表わす。尚、この複素環は炭素芳香環または複素芳香環で縮合していてもよい。
ヘテロ環としては例えばテトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、セレナジアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピリミジン環、トリアザインデン環、テトラアザインデン環、ペンタアザインデン環等があげられる。Ra1はカルボン酸またはその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩)、スルホン酸またはその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩)、ホスホン酸またはその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)、置換もしくは無置換のアミノ基(例えば無置換アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルアミノ、ビスメトキシエチルアミノ)、置換もしくは無置換のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルベンジルアンモニウム)を表わす。
これらの環は、置換基を有してもよく、置換基は、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)、メルカプト基、シアノ基、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、シアノエチルの各基)、アリール基(例えばフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−メチルフェニル、3,4−ジクロルフェニル、ナフチルの各基)、アルケニル基(例えばアリル基)、アラルキル基(例えばベンジル、4−メチルベンジル、フェネチルの各基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、p−トルエンスルホニルの各基)、カルバモイル基(例えば無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイルの各基)、スルファモイル基(例えば無置換スルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイルの各基)、カルボンアミド基(例えばアセトアミド、ベンズアミドの各基)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドの各基)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシの各基)、スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、ウレイド基(例えば無置換ウレイド、メチルウレイド、エチルウレイド、フェニルウレイドの各基)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイルの各基)、オキシカルボニル基(例えばメチキシカルボニル、フェノキシカルボニルの各基)、オキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノの各基)、ヒドロキシル基などで置換されていてもよい。
置換基は、一つの環に複数置換してもよい。
好ましい含窒素有機ヘテロ環化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
即ち、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾインダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ピリジン、キノリン、ピリミジン、ピペリジン、ピペラジン、キノキサリン、モルホリンなどが挙げられ、これらは、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、などの置換基を有してよい。
好ましい含窒素6員環化合物としては、トリアジン環、ピリミジン環、ピリジン環、ピロリン環、ピペリジン環、ピリダジン環、ピラジン環を有する化合物であり、中でもトリアジン環、ピリミジン環を有する化合物が好ましい。これらの含窒素6員環化合物を置換基を有していてもよく、その場合の置換基としては炭素数1〜6、より好ましくは1〜3の低級アスキル基、炭素数1〜6、より好ましくは1〜3の低級アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6、より好ましくは1〜3のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6、より好ましくは1〜3のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
好ましい含窒素6員環化合物の具体例としては、トリアジン、メチルトリアジン、ジメチルトリアジン、ヒドロキシエチルトリアジン環、ピリミジン、4−メチルピリミジン、ピリジン、ピロリンがあげられる。
また、有機メルカプト化合物としては、アルキルメルカプト化合物や、アリールメルカプト化合物、ヘテロ環メルカプト化合物などが挙げられる。
アルキルメルカプト化合物としては、システインやチオリンゴ酸などが挙げられ、アリールメルカプト化合物としては、チオサリチル酸などが挙げられ、ヘテロ環メルカプト化合物としては、2−フェニル-1−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトピリミジン、2,4−ジメルカプトピリミジン、2−メルカプトピリジンなどが挙げられ、これらは、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、などの置換基を有してよい。
本発明の防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、5−アミノベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、テトラゾール、5-アミノテトラゾール、5-メチルテトラゾール、5-フェニルテトラゾールが特に好ましく、ベンゾトリアゾールが最も好ましい。
これら防錆剤を単独あるいは複数種併用して用いることができる。
防錆剤水溶液は、防錆剤化合物を、1リットル中、0.0001〜0.1molの濃度、好ましくは0.001〜0.05molの濃度として含有するのが好ましい。防錆剤の可溶化剤として、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類またはジエチレングリコールなどのグリコール類を添加して用いることができ、メタノール、エタノールが特に好ましい。また、水溶液のpHは、防錆剤を溶解する観点から、2〜12に調整することが好ましく、4〜8が特に好ましい。pH調整は通常の水酸化ナトリウムや硫酸などのアルカリや酸のほか、緩衝剤として、リン酸やその塩、炭酸塩、酢酸やその塩、ホウ酸やその塩などを用いることができる。
[黒化処理及び黒化層]
本発明の透光性電磁波シールド膜や、それを組み込んだ光学フィルムは、黒化処理を行う。
本発明にかかわる黒化処理は、導電性金属表面に少なくとも二ッケルを含有する黒化層を設けるように行われる。
また、導電性金属膜の構成については、導電性金属の総量が0.2〜10.0g/mであって、黒化層のニッケル量が 0.06〜5.0g/mであるように導電性金属の総量及び黒化層量を調整するのが好ましい。より好ましくは導電性金属の総量が、1.0〜7.0g/mであって、かつニッケル量が0.10〜2.0g/mである。
導電性金属量が少な過ぎると表面抵抗値が大きくなり、好ましい電磁波シールド能が得られなくなり、多すぎると光透過性が低下し、またヘイズが高くなり好ましくない。また、黒化層のニッケル量が少なすぎると経時での色味変化が大きくなり、多すぎると密着性が悪化して好ましくない。
また、導電性金属膜を構成する金属種は、銀0.05〜2.0g/m、銅0.2〜5.0g/m、ニッケル0.06〜2.0g/mであることが好ましく、銀0.1〜1.0g/m、銅1.0〜4.0g/m、ニッケル0.08〜1.0g/mであることがより好ましい。
安価かつ容易に導電性金属を形成するため銀現像を応用することが好ましく、そのために銀は0.05g/m以上あることが好ましく、2.0g/mより多くなると光透過性が低下し,また安価にできなくなるため好ましくない。銅は安価にかつ表面抵抗を下げるため好ましく、0.2g/mより少ないと好ましい表面抵抗値が得られず、5.0g/mを超えると光透過性が低下し、ヘイズも大きくなり好ましくない。
メッシュ状の現像銀の上面(支持体と反対側表面)に銅が選択的に電着するように印加電圧と電解液組成を調整してパターン状の導電性金属膜が、銀と銅の2層の積層構成であり、銀層が支持体側となるようにめっきを行ってさらに黒化層を設けることが特に好ましい。
黒化処理まで実施した後のメッシュ線幅は5〜30μmが好ましく、8〜20μmがより好ましい。メッシュのピッチ間隔は50〜600μmが好ましく、100〜400μmが特に好ましい。光透過率を高めるため、線幅を細くし、かつピッチ間隔を広くした方が好ましいが、電磁波シールド能がトレードオフの関係にあるため前記最適範囲が決まる。線幅は均一であっても、交点が太くなっていても、逆に交点が細く交点間の線中央部が太くなっていても構わない。導電性金属をPDP用の電磁波シールド膜として使用する場合、メッシュの格子状パターンは膜の端面に対して30〜70度の角度になっていることが好ましく、40〜65度の角度が特に好ましい。メッシュが格子状パーターンでなくて放射状にくもの巣のような形を取ることもできるが、いずれにしても本発明の黒化層を有することが必要である。
次に、本発明の黒化層を設けるための黒化処理液ついて述べる。ニッケルの供給源として硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケルが好ましく、特に硫酸ニッケルとして用いることが好ましい。好ましい添加量は、硫酸ニッケル6水和物として50〜200g/L、より好ましくは80〜150g/Lであり、また、チオシアン酸塩を用いることが好ましく、例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウムを用いることが好ましく、特にチオシアン酸アンモニウムを用いることが好ましい。チオシアン酸アンモニウムの好ましい添加量は8〜30g/L、より好ましくは12〜20g/Lである。ニッケルめっき液の光沢剤として知られているナフタレンスルホン酸塩、サッカリン、1,4−ブチンジオール、プロパギルアルコールのような添加剤やピット防止剤としてラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤を添加して用いることもできる。
黒化処理液の好ましいpHは3.0〜6.5で、より好ましくは4.0〜6.0である。pHが低いと黒化処理時の水素発生が増大しめっき効率が低下する。一方、pHが高くなると水酸化ニッケルが析出しやすくなり好ましくない。黒化処理によってpH変動しないように、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などを添加してpH調整しながら処理することが好ましい。このとき、水酸化ニッケルの沈殿が発生しないように0.1〜2Nに薄めたアルカリで添加し、添加する場所をよく攪拌しながら添加することが好ましい。pH変動が小さくなるようにpH3〜7にpKaを有する化合物を緩衝剤として用いることも好ましく、コハク酸、クエン酸などが黒化層を安定に形成するために特に好ましい。
黒化処理液の好ましい温度は30〜60℃で、より好ましくは38〜50℃である。液の攪拌は通常良く知られたエアー攪拌、液を小さいノズルから噴出すジェット攪拌、タンク液を循環させて攪拌する方法が好ましい。
黒化処理用のアノード電極としてニッケル、カーボンなどを用いることができる。
黒化処理のカソード面における1分間当りの電流密度は0.1〜5A/dm2、好ましくは0.2〜1A/dmである。連続的に黒化処理する場合、線速は0.1〜30m/分が好ましく、0.5〜10m/分が特に好ましい。
上記の本発明に係わる電磁波遮蔽膜がエッチングレジストパタ−ンによって作製される場合、その黒化処理後のレジストパターンは、除去してもよく、また、残留させてもよく、更に、エッチングレジストパタ−ンを除去する場合には、エッチングレジストパタ−ンを除去後、残留する導電性金属層の表面を前記の黒化処理することができる。
3.透光性電磁波シールド膜・光学フィルター
上記のように銀塩乳剤を含む感光材料に露光・現像・めっき・黒化処理することにより得られる黒化銀メッシュパターンを有する透光性導電性膜が得られる。
この透光性導電性膜は、高い電磁波シールド性および透光性を有しているため、CRT、EL、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、その他の画像表示グラットパネル、あるいはCCDに代表される撮像用半導体集積回路などに組み込んで、電磁波シールド膜として用いることができる。また、本発明に係る導電性金属膜の用途としては、上記表示装置等に限定されず、電磁波を発生する測定装置、測定機器や製造装置の内部をのぞくための窓や筐体や、電波塔や高圧線等により電磁波障害を受ける恐れのある建造物の窓や自動車の窓等に設けることができる。
本発明に係る透光性導電性膜は、銀メッシュが現像銀により形成され、めっきによって導電性が強化され、黒化によって視認性が向上している。したがって細線パターンが精密であり、輝度を著しく損なわずに、その画質を維持または向上させることができるため、特にプラズマディスプレイパネル等の画像表示装置の前面に用いる透光性電磁波シールド膜として有用である。
なお、透光性電磁波シールド膜の電磁波シールド能を低下させないために、導電性金属部にアースをとることが望ましい。このため、透光性電磁波シールド膜上にアースをとるための導通部を形成し、この導通部がディスプレイ本体のアース部に電気的に接触するようにすることが望ましい。導通部は、透光性電磁波シールド膜の周縁部に沿って金属銀部或いは導電性金属部の周りに設けられていることが好適である。
導通部はメッシュパターンにより形成されていてもよいし、パターニングされていない、例えば金属箔ベタにより形成されていてもよいが、ディスプレイ本体のアース部との電気的接触を良好とする為には、金属箔ベタのようにパターニングされていないことが好ましい。
また、本発明に係る透光性導電性膜を透光性電磁波シールド膜として用いる場合、透光性導電性膜(透光性電磁波シールド膜)に、接着剤層、ガラス板、後述する保護フィルムや機能性フィルム等を貼付して光学フィルムの形態とすることが好ましい。以下、透光性導電性膜(透光性電磁波シールド膜)に設けることができる各層について説明する。
<接着剤層>
透光性電磁波シールド膜に接着剤層を設ける位置は、導電性金属部が形成されている側の面でも良いし、導電性金属部が形成されている側とは反対の面でもよい。透光性電磁波シールド膜と他の層(ガラス板、保護フィルム、機能性フィルム等)との貼合部分に形成してもよい。接着剤層の厚さは、金属銀部(または導電性金属部)厚さ以上とすることが好ましく、例えば、10〜80μmの範囲とすることができ、20〜50μmとすることがより好ましい。
接着剤層における接着剤の屈折率は1.40〜1.70であることが好ましい。屈折率を1.40〜1.70とすることにより、透光性電磁波シールド膜の支持体の屈折率と接着剤の屈折率との差を小さくし、可視光透過率が低下するのを防ぐことができる。
また、接着剤は、加熱または加圧により流動する接着剤であることが好ましく、特に、200℃以下の加熱または1kgf/cm2(0.1MN/m)以上の加圧により流動性を示す接着剤であることが好ましい。
このような接着剤を用いることにより、透光性電磁波シールド膜を被着体であるディスプレイやプラスチック板に接着剤層を流動させて接着することができるので、ラミネートや加圧成形、特に加圧成形により、また曲面、複雑形状を有する被着体にも容易に接着することができる。
このためには、接着剤の軟化温度が200℃以下であると好ましい。透光性電磁波シールド膜の用途から、使用される環境が通常80℃未満であるので接着剤層の軟化温度は、80℃以上が好ましく、加工性から80〜120℃が最も好ましい。軟化温度は、粘度が1012ポイズ(10MPa・s)以下になる温度のことで、通常その温度では1〜10秒程度の時間のうちに流動が認められる。
上記のような加熱または加圧により流動する接着剤としては、主に以下に示す熱可塑性樹脂が代表的なものとしてあげられる。たとえば天然ゴム(屈折率n=1.52)、ポリイソプレン(n=1.521)、ポリ−1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.513)、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1,3−ブタジエン(n=1.515)などの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.456)、ポリオキシプロピレン(n=1.450)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.459)、ポリビニルブチルエーテル(n=1.456)などのポリエーテル類、ポリビニルアセテート(n=1.467)、ポリビニルプロピオネート(n=1.467)などのポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリエチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメチレン(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.487)、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレート(n=1.489)などのポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使用することも可能である。
さらにアクリル樹脂とアクリル以外との共重合樹脂としてはエポキシアクリレート(n=1.48〜1.60)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテルアクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレート(n=1.48〜1.54)なども使うこともできる。特に接着性の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレートなどのように分子内に水酸基を有するポリマーは接着性向上に有効である。これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。
一方、接着剤ポリマーの質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの、以下同様)は、500以上のものを使用することが好ましい。分子量が500以下では接着剤組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下するおそれがある。
接着剤には、硬化剤(架橋剤)を含有させることができる。接着剤の硬化剤としてはトリエチレンテトラミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどのアミン類、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシルコハク酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの酸無水物、ジアミノジフェニルスルホン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、エチルメチルイミダゾールなどを使うことができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
硬化剤の添加量は、接着剤ポリマー100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部の範囲で選択するのがよい。この添加量が、0.1質量部未満であると硬化が不十分となり、50質量部を越えると過剰架橋となり、接着性に悪影響を与える場合がある。
また、硬膜剤の他にも、接着剤には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤や粘着付与剤などの添加剤を配合してもよい。
透光性電磁波シールド膜上に接着剤層を形成するには、上記の接着剤ポリマー、硬化剤、その他添加剤等を含む接着剤層組成物を、導電性金属部の一部または全面を被覆するように塗布し、溶媒乾燥、加熱硬化することにより形成することができる。
<保護フィルム>
本発明に係る透光性電磁波シールド膜には、保護フィルムを貼付することができる。保護フィルムは、透過性電磁波シールド膜の両面に有していてもよいし、片面のみ(例えば、導電性金属部上)に有していてもよい。
透光性電磁波シールド膜は後述するように、最表面の強化、反射防止性の付与、防汚性の付与等の効果を有する機能性フィルムをさらに貼合することが多いので、このような機能性フィルムを透光性電磁波シールド膜上に設ける場合には、保護フィルムを剥離することが望ましい。そこで、保護フィルムは剥離可能なものであることが望ましい。
保護フィルムの剥離強度は、5mN/25mm幅〜5N/25mm幅であることが好ましく、より好ましくは10mN/25mm幅〜100mN/25mm幅である。下限未満では、剥離が容易過ぎ、取扱い中や不用意な接触により保護フィルムが剥離する恐れがあり、好ましくなく、また上限を超えると、剥離のために大きな力を要する上、剥離の際に、メッシュ状の金属箔が透明基材フィルム(もしくは接着剤層から)剥離する恐れがあり、やはり好ましくない。
保護フィルムを構成するフィルムとしては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、もしくはアクリル樹脂等の樹脂フィルムを用いることが好ましい。また、保護フィルムの貼合面にコロナ放電処理を施しておくか、易接着層を積層しておくことが好ましい。
<機能性フィルム>
透光性電磁波シールド膜をディスプレイ(特にプラズマディスプレイ)に用いる場合には、以下に説明する機能性を有する機能性フィルムを貼付することにより、各機能性を付与することが好ましい。機能性フィルムは粘着剤等を介して透光性電磁波シールド膜に貼付することができる。
(反射防止性・防眩性)
透光性電磁波シールド膜には、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性、または、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性、またはその両特性を備えた反射防止防眩(ARAG)性のいずれかの機能性を付与することが好ましい。
これらの性能により、照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうのを防止できる。また、膜表面の可視光線反射率が低くすることにより、映り込み防止だけではなく、コントラスト等を向上させることができる。反射防止性・防眩性を有する機能性フィルムを透光性電磁波シールド膜に貼付した場合の可視光線反射率は、2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
上記のような機能性フィルムは、適当な透明基材上に反射防止性・防眩性を有する機能層を設けることにより形成することができる。
反射防止層としては、例えば、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物またはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したもの等で形成することができる。
防眩性層としては、0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する層から形成することができる。具体的には、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂に、シリカ、有機珪素化合物、メラミン、アクリル等の無機化合物または有機化合物の粒子を分散させインキ化したものを塗布、硬化することにより形成することが可能である。粒子の平均粒径は、1〜40μm程度が好ましい。
また、防眩性層としては、上記の熱硬化型または光硬化型樹脂を塗布した後、所望のグロス値または表面状態を有する型を押しつけ硬化することによっても形成することができる。
防眩性層を設けた場合の透光性電磁波シールド膜のヘイズは0.5%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると防眩性が不十分であり、ヘイズが大きすぎると透過像鮮明度が低くなる傾向がある。
(ハードコート性)
透光性電磁波シールド膜に耐擦傷性を付加するために、機能性フィルムがハードコート性を有していることも好適である。ハードコート層としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。ハードコート層の厚さは、1〜50μm程度であることが好ましい。ハードコート層上に上記の反射防止層および/または防眩層を形成すると、耐擦傷性・反射防止性および/または防眩性を有する機能性フィルムが得られ、好適である。
ハードコート性が付与された透光性電磁波シールド膜の表面硬度は、JIS(K―5400)に従った鉛筆硬度が少なくともHであることが好ましく、より好ましくは2H、さらに好ましくは3H以上である。
(帯電防止性)
静電気帯電によるホコリの付着や、人体との接触による静電気放電を防止するため、透過性電磁波シールド膜には、帯電防止性が付与されることが好ましい。
帯電防止性を有する機能性フィルムとしては、導電性の高いフィルムを用いることができ、例えば導電性が面抵抗で1011Ω/□程度以下であれば良い。
導電性の高いフィルムは、透明基材上に帯電防止層を設けることにより形成することができる。帯電防止層に用いる帯電防止剤としては、具体的には、商品名ペレスタット(三洋化成社製)、商品名エレクトロスリッパー(花王社製)等が挙げられる。他に、ITOをはじめとする公知の透明導電膜やITO超微粒子や酸化スズ超微粒子をはじめとする導電性超微粒子を分散させた導電膜で帯電防止層を形成しても良い。上述のハードコート層、反射防止層、防眩層等に、導電性微粒子を含有させる等して帯電防止性を付与してもよい。
(防汚性)
透光性電磁波シールド膜が防汚性を有していると、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるので好適である。
防汚性を有する機能性フィルムは、例えば透明基材上に防汚性を有する化合物を付与することにより得られる。防汚性を有する化合物としては、水および/または油脂に対して非濡性を有する化合物であればよく、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。フッ素化合物として具体的には商品名オプツール(ダイキン社製)等が挙げられ、ケイ素化合物としては、商品名タカタクォンタム(日本油脂社製)等が挙げられる。
(紫外線カット性)
透光性電磁波シールド膜には、後述する色素や透明基材の劣化等を防ぐ目的で紫外線カット性を付与することが好ましい。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、透明基材自体に紫外線吸収剤を含有させる方法や透明基材上に紫外線吸収層を設けることにより形成することができる。
色素を保護するのに必要な紫外線カット能としては、波長380nmより短い紫外線領域の透過率が、20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、紫外線吸収剤や紫外線を反射または吸収する無機化合物を含有する層を透明基材上に形成することにより得られる。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等、従来公知のものを使用でき、その種類・濃度は、分散または溶解させる媒体への分散性・溶解性、吸収波長・吸収係数、媒体の厚さ等から決まり、特に限定されるものではない。
なお、紫外線カット性を有する機能性フィルムは、可視光線領域の吸収が少なく、著しく可視光線透過率が低下したり黄色等の色を呈することがないことが好ましい。
また、機能性フィルムに後述する色素を含有する層が形成されている場合は、その層よりも外側に紫外線カット性を有する層が存在することが望ましい。
(ガスバリア性)
透光性電磁波シールド膜を常温常湿よりも高い温度・湿度環境化で使用すると、水分により後述する色素が劣化したり、貼り合せに用いる接着剤中や貼合界面に水分が凝集して曇ったり、水分による影響で接着剤が相分離して析出して曇ったりすることがあるので、透光性電磁波シールド膜はガスバリア性を有していることが好ましい。
このような色素劣化や曇りを防ぐためには、色素を含有する層や接着剤層への水分の侵入を防ぐことが肝要であり、機能性フィルムの水蒸気透過度が10g/m2・day以下、好ましくは5g/m2・day以下であることが好適である。
(その他の光学特性)
プラズマディスプレイは強度の近赤外線を発生するため、透光性電磁波シールド膜を特にプラズマディスプレイに用いる場合は、赤外線遮蔽性(特に近赤外遮断性)を付与することが好ましい。
近赤外線カット性を有する機能性フィルムとしては、波長領域800〜1000nmにおける透過率を25%以下であるものが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
また、透光性電磁波シールド膜をプラズマディスプレイに用いる場合、その透過色がニュートラルグレーまたはブルーグレーであることが好ましい。これは、プラズマディスプレイの発光特性およびコントラストを維持または向上させるためであり、また、標準白色より若干高めの色温度の白色が好まれる場合があるからである。
さらに、カラープラズマディスプレイはその色再現性が十分に満たされた状況にはなく、特に、赤色表示の発光スペクトルは、波長580nmから700nm程度までにわたる数本の発光ピークを示しており、比較的強い短波長側の発光ピークにより赤色発光がオレンジに近い色純度の良くないものとなってしまう問題がある。そこで、機能性フィルムはその原因である蛍光体または放電ガスからの不要発光を選択的に低減させる機能を有することが好ましい。
これら光学特性は、色素を用いることによって制御できる。つまり、近赤外線カットには近赤外線吸収剤を用い、また、不要発光の低減には不要発光を選択的に吸収する色素を用いて、所望の光学特性とすることができ、また、光学フィルターの色調も可視領域に適当な吸収のある色素を用いて好適なものとすることができる。
色素としては、可視領域に所望の吸収波長を有する一般の染料または顔料や、近赤外線吸収剤として知られている化合物を用いることができ、その種類は特に限定されるものではないが、例えばアントラキノン系、フタロシアニン系、メチン系、アゾメチン系、オキサジン系、イモニウム系、アゾ系、スチリル系、クマリン系、ポルフィリン系、ジベンゾフラノン系、ジケトピロロピロール系、ローダミン系、キサンテン系、ピロメテン系、ジチオール系化合物、ジイミニウム系化合物等の一般に市販もされている有機色素が挙げられる。
プラズマディスプレイはパネル表面の温度が高く、環境の温度が高いときは透光性電磁波シールド膜の温度も上がるため、色素は、例えば80℃程度で劣化しない耐熱性を有していることが好適である。
また、色素によっては耐光性に乏しいものもあるが、このような色素を用いることでプラズマディスプレイの発光や外光の紫外線・可視光線による劣化が問題になる場合は、前述のように機能性フィルムに紫外線吸収剤を含有させたり、紫外線を透過しない層を設けることによって、紫外線や可視光線による色素の劣化を防止することが好ましい。
熱、光に加えて、湿度や、これらの複合した環境においても同様である。劣化すると光学フィルターの透過特性が変わってしまい、色調が変化したり近赤外線カット能が低下する場合がある。
また、透明基材を形成するための樹脂組成物や、塗布層を形成するための塗布組成物中に溶解または分散させるために、色素は溶媒への溶解性や分散性も高いことが好ましい。
また、色素の濃度は、色素の吸収波長・吸収係数、透光性電磁波シールド膜に要求される透過特性・透過率、そして分散させる媒体または塗膜の種類・厚さから適宜設定することができる。
機能性フィルムに色素を含有させる場合、透明基材の内部に含有していてもよいし、基材表面に色素を含有する層をコーティングしてもよい。また、粘着剤層中に色素を含有させてもよい。また、異なる吸収波長を有する色素2種類以上を混合して一つの層中に含有させてもよいし、色素を含有する層を2層以上有していても良い。
また、色素は金属との接触によっても劣化する場合があるため、このような色素を用いる場合、色素を含有する機能性フィルムは、色素を含有する層が透光性電磁波シールド膜上の導電性金属部と接触しないように配置することが更に好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
(ハロゲン化銀感光材料の作製)
水媒体中のAg60gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9およびK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が1g/m2となるようにポリエチレンテレフタレート(PET)からなる支持体上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は1/2とした。
PET支持体の厚さは90μm、幅30cmのものを用いた。幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行い、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
(露光)
ハロゲン化銀感光材料の露光は特開2004-1244号公報の発明に記載のDMD(デジタル・ミラー・デバイス)を用いた露光ヘッドを25cm幅になるように並べ、感光材料の感光層上にレーザー光が結像するように露光ヘッドおよび露光ステージを湾曲させて配置し、感材送り出し機構および巻取り機構を取り付けた上、露光面のテンション制御および巻取り、送り出し機構の速度変動が露光部分の速度に影響しないようにバッファー作用を有する撓みを設けた連続露光装置にて行った。露光の波長は400nmで、ビーム形は10μmの略正方形、およびレーザー光源の出力は100μJであった。
露光のパターンは、線幅10μmの格子状のパターンが45度の角度になるようにし、ピッチが300μm間隔で幅24cm長さ10m連続するように行った。
(現像処理)・現像液1L処方(補充液も同組成)
ハイドロキノン 22 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 4 g
ポリエチレングリコール4000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.2に調整
・定着液1L処方(補充液も同組成)
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3-ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済みハロゲン化銀感光材料を、富士写真フイルム社製自動現像機FG−710PTSを用いて処理条件としては現像33℃で40秒、定着30℃で25秒、水洗は流水(5L/min)で25秒の処理を行った。
ランニング処理条件として、感光材料の処理量を100m2/日で現像液の補充量を500ml/m2、定着液の補充量を640ml/m23日間のランニング処理を行った。
以上のようにして透明フィルム上に銀メッシュパターンが格子状に作製されたフィルムを作製した。このフィルムの表面抵抗は、45.2Ω/□であった。
(めっき処理)
上記処理により銀メッシュパターンが形成されたフィルムに対して、図1に示す電解めっき槽10と実質的に同じ機能槽構成であるが、銅めっき液A(15)を満たしためっき槽11に代表される第1段階の複数の槽と、銅めっき液B(18)を満たしためっき槽19に代表される第2段階の複数の槽とを後述する工程になるように連続構成とし、後述の処理の実施が可能となるようにめっき槽を接続した電解めっき装置を用い、めっき処理を行った。なお、フィルムの銀メッシュ面が下向きとなるように(銀メッシュ面が給電ローラと接するように)、電解めっき装置にとり付けた。めっき槽11および19のサイズは、各浴ともに80cm×80cm×80cmであった。
なお、給電ローラ12a,12bとして、鏡面仕上げしたステンレス製ローラ(10cmφ、長さ70cm)を使用し、ガイドローラ14およびその他の搬送ローラとしては、5cmφ、長さ70cmのローラを使用した。また、ガイドローラ14の高さを調製することで、ライン速度が違っても一定の液中処理時間が確保されるようにした。
また入り口側の給電ローラ12aとフィルムの銀メッシュ面とが接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離La)を9cmとした。出口側の給電ローラと感光材料の銀メッシュ部分が接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離Lb)を19cmとした。また、ライン搬送速度を2.5m/分とした。
めっき処理におけるめっき処理液及び防錆液の組成めっき槽は以下のとおりである。
化学処理液の組成 (補充液も同組成)
グルタルアルデヒド 20g
水を加えて 1L
化学処理液の補充量は、感材1mに対して20mlに設定した。
銅めっき液Aの組成 (補充液も同組成)
硫酸銅5水塩 220g
硫酸(47%) 220mL
塩酸(2N) 0.5mL
ポリエチレングリコール4000
(平均分子量4000) 0.4g
ヤヌスグリーンB 0.05g
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 0.05g
純水を加えて 1L
pH−0.1
銅めっき液Bの組成 (補充液も同組成)
硫酸銅5水塩 200g
硫酸(47%) 200mL
純水を加えて 1L
pH−0.1
銅めっき液AとBの補充量は、感材1mに対して40mlに設定した。
黒化液 タンク液 補充液
硫酸ニッケル6水塩 120g 180g
チオシアン酸アンモニウム 17g 17g
硫酸ナトリウム 16g なし
純水を加えて 1L
pH5.0(硫酸と水酸化ナトリウムでpH調整)
黒化液の補充量は、感材1m2に対して60mlに設定し、0.6Nの水酸化ナトリウムを感材1mに対して20mlの割合で別途滴下した。
防錆液 タンク液 補充液
ベンゾトリアゾール 2.0g 3.0g
メタノール 20ml 20ml
純水を加えて 1L 1L
防錆液の補充量は、感材1mに対して100mlに設定した。
以下に、めっき槽の処理時間、及び印加電圧を示す。また、めっき1〜8のめっき液は銅めっき液Aを、めっき9〜16のめっき液は銅めっき液Bを用いた。
また、全ての銅めっき液、水洗水及び化学処理液、防錆液の温度は25〜30℃、黒化液の温度は45℃、乾燥温度は50℃〜70℃で処理を行った。
化学処理 30秒
水洗 30秒
水洗 30秒 乾燥 30秒
めっき1 30秒 電圧 20V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき2 30秒 電圧 18V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき3 30秒 電圧 17V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき4 30秒 電圧 12V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき5 30秒 電圧 10V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき6 30秒 電圧 9V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき7 30秒 電圧 8V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき8 30秒 電圧 7V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき9 30秒 電圧 5V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき10 30秒 電圧 4V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき11 30秒 電圧 4V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき12 30秒 電圧 3V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき13 30秒 電圧 3V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき14 30秒 電圧 2V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき15 30秒 電圧 2V
水洗 30秒
乾燥 30秒
めっき16 30秒 電圧 1V
水洗 30秒
水洗 30秒
乾燥 30秒
黒化処理1 45秒 電圧 6V
水洗 30秒
乾燥 30秒
黒化処理2 45秒 電圧 3V
水洗 30秒
水洗 30秒
防錆 45秒
水洗 30秒
乾燥 1分 50℃〜70℃
得られたフィルム試料について以下のようにして、各金属量を定量した。
(試料中の金属量定量)
10%硝酸を作製し、10%硝酸100mlに試料を一定面積(7cm×3.5cm)浸漬したものを超音波装置に約2時間セットし、完全に試料中の金属を抽出する。その後、液中の金属濃度をICP発光分析装置(島津製作所製)を用いて定量し、フィルム試料1m当りの金属量として求めた。金属としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛について定量し、ニッケル/亜鉛の質量比を求めた。
(試料中の防錆剤の定量)
前記金属定量に用いた抽出液について、液体クロマトグラフィーを用いて防錆剤濃度を定量し、フィルム試料1m当りの防錆剤量として求めた。
上記作製したフィルム試料に対して、黒化処理の電流密度、黒化処理1と、黒化処理2の黒化液のpH、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛、チオシアン酸アンモニウムの濃度を適宜変更することによって、黒化層のニッケルと亜鉛の比率を変更したサンプルを作成した。
得られた試料について、以下のようにして、金属メッシュフィルムの欠陥・ムラ、及び、湿熱経時後の色味変化と密着性について評価した。得られた結果を表1に示す。
(金属メッシュフィルムの欠陥)
得られた試料の中央の幅5cmを長さ1mに渡って、目視及び光学顕微鏡で観察し、金属メッシュの欠陥の観察した。この場合の欠陥は金属メッシュの断線及び、黒化層が被覆されていない金属銅表面の露出部分、金属メッシュに接した透明フィルム部分に観られるえぐれや異物などの欠陥等であり、欠陥が10個以上観測されるものを×、それ以下のものを○とした。
(金属メッシュフィルムのムラ)
得られた試料中央の幅5cmを長さ1mに渡って、目視にて観測し、ムラの観られるものを×、観測されないものを○とした。
(金属メッシュフィルムの色調(黒さ))
めっき直後の色味を日立の分光光度計U3410にて透過スペクトルを測定し、測定値に基づいてCIED65標準光源下でのL*b*c*の色度座標のb*値を求めて、色調(黒さ)を評価した。この値が0に近いほど、黄色味や青味のないニュートラルな黒であり、好ましい。目視評価と合わせて、黄色味や青味のないものを○、黄色味や青味のあるものを×と評価した。
(湿熱経時後の色味変化)
めっき直後の色味を日立の分光光度計U3410にて透過スペクトルを測定し、測定値に基づいてCIED65標準光源下でのL*b*c*の色度座標のb*値を求めてb*(Fr)とし
た。次いで、この試料を60℃90%の恒温恒湿条件下で500時間保管し、再び同様にして色度座標値b*を求めてb*(500hr)として、高温保管中の色味変化として両測定値
の差(Δb*)を求めた。
Δb* = b*(500hr)−b*(Fr)
Δb*が小さいほど、色味変化が小さく好ましい。Δb*が3.0より大きいと、PDP用の電磁波シールド膜としての使用には不適当である。
(密着性の評価)
めっき処理直後の試料を、セロハンテープ(ニチバン(株)製のCT24)を用いて指の腹で試料に密着させた後剥離した。目視にて剥離状況を確認した。
× 一部ではあるが明らかな剥離が見られる
×× 全体的に明らかな剥離が見られる
(表面抵抗値)
得られた試料に対して、ダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて行い、先頭及び末尾から1mをのぞく任意の場所10ヶ所を測定し、その平均値を求めた。0.4Ω/□以下であることが電磁波シールド性から好ましい。得られた結果を表3に示す。
(全光透過率)
ヘイズメーターNDH2000(NIPPON DENSHOKU製)にてJISK7105に基づいて全光透過率を測定した。値が大きいほど透過率が高く好ましい。
(ヘイズ)
ヘイズメーターNDH2000(NIPPON DENSHOKU製)にてヘイズを測定した。値が小さいほどヘイズが小さく好ましい。
Figure 2007335729
表1から分かるように、チオシアン酸アンモニウムが 8〜30g/L の範囲内の本発明試料では、色調に優れるとともにのムラまはた欠陥が少なかった。
また上記の本発明の試料は、湿熱経時後の色味変化が小さく、密着性に優れていた。また、表面抵抗は、0.4Ω/□以下、全光線透過率は80%以上、ヘイズは5%以下であり、PDP用の電磁波シールドフィルムとして好適に使用できる。
[実施例2]
実施例1の実験101の電解めっき処理後の試料に、PET支持体の金属メッシュと反対の面側に、総厚みが28μmの保護フィルム(パナック工業(株)製、品番;HT−25)をラミネーターローラーを用いて貼り合わせた。また、金属メッシュ側にも、ポリエチレンフィルムにアクリル系粘着剤層が積層された総厚みが65μmの保護フィルム((株)サンエー化研製、品名;サニテクトY−26F)をラミネーターローラーを用いて貼り合わせを行った。
次いで、PET支持体の金属メッシュと反対の面を貼り合わせ面にして、厚さ2.5mm、外形寸法950mm×550mmのガラス板を透明なアクリル系粘着材を介して貼り合わせた。
次に、外縁部20mmを除いた内側の金属メッシュ上に、厚さ25μmのアクリル系透光性粘着材を介して、厚さ100μmPETフィルム、反射防止層、近赤外線吸収剤含有層からなる反射防止機能付近赤外線吸収フィルム(住友大阪セメント(株)製 商品名クリアラスAR/NIR)を貼り合わせた。なお、該アクリル系透光性粘着材層中には光学フィルターの透過特性を調整する調色色素(三井化学製 PS−Red−G、PS−Violet−RC)を含有させた。
さらに、ガラス板には、粘着材を介して反射防止フィルム(日本油脂(株)製 商品名リアルック8201)を貼り合わせ、光学フィルターを作製した。
得られた光学フィルターは、保護フィルム付き電磁波シールドフィルムを有しているので、傷や金属メッシュの欠陥が極めて少ないものであった。また金属メッシュが黒色であってディスプレイ画像が金属色を帯びることがなく、また、実用上支障がないレベルの電磁波遮蔽能及び近赤外線カット能(300〜800nmの透過率が15%以下)を有し、両面に有する反射防止層により視認性に優れていた。また、色素を含有させることによって、調色機能を付与できており、プラズマディスプレイ等の光学フィルターとして好適に使用できることが示された。
本発明のめっき処理方法に好適に用いられる電解めっき槽の一例を示す模式図である。
符号の説明
10 電解めっき槽
11 めっき浴
12a,12b 給電ローラ
13 アノード板
14 ガイドローラー
16 フィルム
17 液切ローラー

Claims (12)

  1. 電磁波シールド能を有し、かつ表面が黒化層で覆われたパターン状の導電性金属膜を透明支持体上に設けてなる透光性電磁波シールド膜であって、該黒化層の黒化金属がニッケルのみからなり、かつニッケル量が0.06〜5.0g/mであることを特徴とする透光性電磁波シールド膜。
  2. 前記導電性金属膜を構成する金属の総量が、0.2〜10.0g/mであって、かつニッケル量が0.06〜5.0g/mであることを特徴とする請求項1に記載の透光性電磁波シールド膜。
  3. 前記導電性金属膜を構成する金属が、少なくとも銀及び銅のいずれかを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の透光性電磁波シールド膜。
  4. 前記導電性金属膜を構成する金属がそれぞれ、銀0.05〜2.0g/m、銅0.2〜10g/mであって、かつ黒化層のニッケルが、0.06〜2.0g/mであることを特徴とする請求項3に記載の透光性電磁波シールド膜。
  5. 前記導電性金属膜を構成する金属が銀0.1〜1.0g/m、銅1.0〜4.0g/mであって、かつ黒化層のニッケルが、0.08〜1.0g/mであることを特徴とする請求項3又は4に記載の透光性電磁波シールド膜。
  6. 前記黒化層のニッケルが、チオシアン酸塩を含有するニッケルめっき液を用いて電解めっきにより形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
  7. 前記パターン状の導電性金属膜が、銀と銅の2層の積層構成であり、銀層が支持体側であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
  8. 膜中にベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体及びメルカプト系化合物から選ばれる少なくとも1種を0.03〜0.3g/m含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
  9. 膜中にゼラチンを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
  10. 前記導電性金属膜が、パターン状の現像銀上に電解めっきによって形成された金属膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透光性電磁波シールド膜。
  11. 前記導電性金属膜が、銀塩感光材料にパターン状の露光を施した後現像と電解めっきを行うことによって形成された金属膜であることを特徴とする請求項10に記載の透光性電磁波シールド膜。
  12. 前記のニッケルめっき液のチオシアン酸塩の濃度がチオシアン酸アンモニウム換算で、8〜30g/Lであることを特徴とする請求項6に記載の透光性電磁波シールド膜。
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