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JP2007333117A - 駆動車輪用軸受ユニット - Google Patents

駆動車輪用軸受ユニット Download PDF

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JP2007333117A
JP2007333117A JP2006166678A JP2006166678A JP2007333117A JP 2007333117 A JP2007333117 A JP 2007333117A JP 2006166678 A JP2006166678 A JP 2006166678A JP 2006166678 A JP2006166678 A JP 2006166678A JP 2007333117 A JP2007333117 A JP 2007333117A
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Zenichi Fukumura
善一 福村
Masayuki Kuroda
正幸 黒田
Hisaaki Kura
久昭 藏
Makoto Tomoue
真 友上
Hiroshi Kawamura
浩志 河村
Shigeaki Fukushima
茂明 福島
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

【課題】 本発明は、駆動車輪軸受ユニットの部品点数を削減することを目的とする。
【解決手段】 車輪に取り付けられるハブ輪10の外周に、それぞれにアウタレース22を有する一対の軸受外輪261、262と、各アウタレース22に適合する一対の転動体列23とを組み込み、その後、軸受外輪261、262間に隙間を設け、当該隙間に分割構造の間座263を挿入する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の駆動車輪(FF車の前輪、FR車の後輪、4WD車の全輪)用の軸受ユニットに関する。
エンジンからの動力を駆動車輪に伝達するドライブシャフト1は、図23に示すように、アウトボード側(車幅方向の車体側部の側)の固定型等速自在継手J1と、インボード側(車幅方向の車体中心の側)の摺動型等速自在継手J2とを中間軸2で結合した構成を有する。アウトボード側の等速自在継手J1は、車輪軸受3で回転自在に支持されたハブ輪4に結合され、インボード側の等速自在継手J2は、ディファレンシャル5に結合される。
車輪軸受3は、ハブ輪4の外周に固定した軸受内輪3aと、車体側の懸架装置から延びるナックル部材6に固定した軸受外輪3bと、軸受内輪3aと軸受外輪3bの間に複列配置した転動体3cとを有する。通常、ハブ輪4の外周に軸受内輪3aを圧入することによって両者が固定される。軸受外輪3bとナックル部材6の固定は、軸受外輪3bのフランジ3b1をナックル部材6にボルト止めして行うのが通例である。
従来のドライブシャフト1の車両への組付けは、予めハブ輪4および車輪軸受3をナックル部材6に固定した状態で、ドライブシャフト1のアウトボード側の軸端(外側継手部材7のステム部7a)をハブ輪4の内周に挿入し、ハブ輪4から突出した軸端にナット8を螺合させることによって行われる(例えば、特許文献1参照)。ナット8の締め付けに伴い、ドライブシャフト1の全体がアウトボード側にスライドし、外側継手部材7の肩部7bが軸受内輪3aの端面に当接する。これにより、外側継手部材7とハブ輪4とが軸方向で位置決めされ、かつ車輪軸受3に所定の予圧が付与される。外側継手部材7のステム部7aの外周面とハブ輪4の内周面は、図示しないスプラインで結合され、外側継手部材7に伝達されたエンジンの駆動力は、当該スプライン、さらにはハブ輪4を介して車輪に伝達される。
特開2004−270855号公報
しかしながら、上記従来工程では、車輪軸受3およびハブ輪4を組付けたナックル部材6を、予め中立位置からキングピンセンタを中心として旋回させた位置で待機させ、この状態でアウトボード側等速自在継手J1をハブ輪4に固定し、さらにナックル部材6を中立位置に戻してからインボード側等速自在継手J2をディファレンシャル5に固定するという煩雑な作業が必要となる。加えて、軸受外輪3bのナックル部材6へのボルト止めやナット8の締め込み等の多くの締結作業が必要となる。従って、ドライブシャフトの組付け工程が煩雑化しており、この点がコスト高の要因となっている。また、多くのナットやボルトを必要とし、部品点数が多くなることもコスト面で不利になっている。さらに、ナックル部材の旋回に伴ってドライブシャフトが旋回するので、広い作業スペースが必要となる点も問題となる。
ところで、ナットの締め付け作業は、アウトボード側等速自在継手J1の外側継手部材7とハブ輪4とを予め結合一体化しておくことで省略することができる。しかしながら、両者の結合部には、コーナリング中のモーメント荷重をはじめ、車両走行に伴って大荷重が作用するので、これに耐え得るような高強度を有しかつコスト的にも安価な結合構造が必要とされる。
本発明は、駆動車輪用軸受ユニットの部品点数を削減し、構造を簡素化すると共に、低コスト化を図ることを目的とする。
併せて、ハブ輪、軸受部、および等速自在継手を含む駆動車輪用軸受ユニットのナックル部材への組付け工程を簡略化することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、内周に複数のアウタレースを有する外方部材と、前記アウタレースと対向する複数のインナレースを有する内方部材と、対向するアウタレースとインナレースとの間に配置された複数列の転動体と、車輪に取り付けられるハブ輪と、アウトボード側等速自在継手とを備える駆動車輪用軸受ユニットにおいて、外方部材を、それぞれにアウタレースを有する一対の軸受外輪と、軸受外輪間に介在させた間座とで構成した。
かかる構成から、軸受外輪のハブ輪への組込み、および複数列の転動体の外方部材とハブ輪の間の空間に組み込みを行い、その後、間座をハブ輪の外周に組み込む、という手順を経ることにより、複数列の転動体を外方部材とハブ輪の間の空間に組み込むことが可能となる。従って、内輪が不要となり、部品点数の削減による低コスト化を図ることが可能となる。この場合、複数のインナレースは、ハブ輪の外周面に形成することができる。
間座は、両軸受外輪のハブ輪への組込み後にハブ輪外周に組込み可能となる構成とする。これは、例えば間座を周方向で分割することにより実現することができる。
さらに、外方部材の外周面を車体側のナックル部材の内周面に嵌合組込し、アウトボード側等速自在継手の最大外径寸法をナックル部材の最小内径寸法よりも小さくした。外方部材の外周面は円筒面状に形成することができる。ここで、「等速自在継手」の用語は、ブーツ、ブーツバンド等の付属品も含むものとする(以下のインボード側等速自在継手に同じ)。これら付属品も含めたアウトボード側等速自在継手の最大外径寸法がナックル部材の最小内径寸法よりも小さく設定される。
かかる構成から、アウトボード側等速自在継手の外側継手部材とハブ輪とを結合した状態で、アウトボード側から外方部材をナックル部材に組込み嵌合することにより、軸受ユニットをナックル部材に固定することが可能となる。かかる作業は、軸受ユニットを車軸方向へ押し込むだけで行うことができ、しかも基本的に外方部材をナックル部材にボルト止めする必要もない。従って、軸受ユニットの車両への組付け作業を簡略化することができる。
アウトボード側等速自在継手とインボード側等速自在継手を中間軸を介して連結し、両側の等速自在継手の最大外径寸法をナックル部材の最小内径寸法よりも小さくすることにより、駆動車輪用軸受ユニットを、アウトボード側およびインボード側等速自在継手を有するドライブシャフトと、ハブ輪とを一体化したアセンブリの状態で車体に組み付けることができる。この組み付けは、ナックル部材の内周に、インボード側等速自在継手およびアウトボード側等速自在継手を順次挿入し、次いで外方部材をナックル部材の内周に圧入することにより行われる。
ハブ輪とアウトボード側等速自在継手の外側継手部材は、非分離に結合するのが望ましい。非分離に結合する手段としては塑性結合が考えられる。一例として、ハブ輪および外側継手部材のうち、何れか一方に設けられた雄部を、他方に設けられ、雄部と異形の雌部に圧入することにより、ハブ輪と外側継手部材とを塑性結合したものが挙げられる。この場合、圧入に伴って生じる塑性流動により、雄部と雌部の接合部分に存在する空隙の一部または全てが充足されるので、雄部と雌部を強固に結合し、一体化することができる。しかもこの結合は、雄部と雌部の何れか一方を他方に圧入するだけで行われるので作業性も良好である。
以上に述べた駆動車輪用軸受ユニットは、車輪に取り付けられるハブ輪の外周に、それぞれにアウタレースを有する一対の軸受外輪と、各アウタレースに適合する一対の転動体列とを組み込み、その後、軸受外輪間に隙間を設け、当該隙間に間座を挿入することによって得ることができる。
本発明によれば、軸受ユニットの内輪を省略することができるので、部品点数の削減による構造の簡素化、コスト低減を図ることができる。また、軸受ユニットのナックル部材への組み付け工程を簡略化することができる。
本発明に係る駆動車輪用軸受ユニットの実施形態を以下に詳述する。
図1に駆動車輪用軸受ユニットの第1の実施形態を示す。この駆動輪用軸受ユニットは、ハブ輪10、軸受部20、およびアウトボード側等速自在継手30で構成される。
ハブ輪10は、その外周面に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ11を備えている。この車輪取付フランジ11の円周方向に複数のボルト孔12が形成され、このボルト孔12にホイール、ディスクを固定するためのハブボルト(図示省略)が植設されている。ハブ輪10は、旋削あるいは鍛造によって製作される。
軸受部20は、背面配列した複列アンギュラ玉軸受構造で、複列のインナレース21およびアウタレース22と、対向するインナレース21とアウタレース22との間に配置した転動体23と、アウトボード側(図面左側)の転動体列およびインボード側(図面右側)の転動体列をそれぞれ円周方向等間隔に保持する保持器24とを有する。図示例では、双方のインナレース21がハブ輪10の外周面に形成されている。この場合、ハブ輪10が複列のインナレース21を有する内方部材25を構成する。
外方部材26は、一対の軸受外輪261、262と、軸受外輪261、262間に配置したリング状の間座263とで構成される。両軸受外輪261、262の内周面にはそれぞれアウタレース22が形成されている。軸受外輪261、262および間座263の外周面は、何れも円筒面状である。従来の外方部材と異なり、ナックル部材6に取り付けるためのフランジ(図23の符号3b1)は両外周面26aに設けられていない。間座263の外径寸法は、軸受外輪261、262の外径寸法よりも僅かに小さく、ナックル部材6の内周面との間には僅かな隙間がある。間座263は、軸方向の分割線で周方向の複数箇所で分割されており、例えば図3に示すように周方向で二分割される。外方部材26の軸方向両端の内周面には、軸受部20の両端開口部を密封するシール27a、27bが圧入固定されている。
シール27のうち、アウトボード側のシール27aは、外径端をゴム等の弾性材料で被覆して複数(例えば2つ)のシールリップを形成した芯金271と、シールリップと接触するスリンガ272とで構成される。芯金271はハブ輪10の外周面に圧入固定され、スリンガ272はアウトボード側の軸受外輪262の内周面に圧入固定される。スリンガ272のアウトボード側の端部は、フランジ11のインボード側端面に近接してラビリンスシールを構成する。
特に組み込み性に問題がなければ、アウトボード側のシール27aとして、芯金の内径端にシールリップを有し、芯金の外周面を外方部材26の内周面に圧入するタイプを使用することもできる。この場合、シールリップは、ハブ輪10の外周面とフランジ部11のインボード側端面にそれぞれ接触させる。
インボード側のシール27bは、カセットシールと呼ばれるもので、芯金の内径側に形成した複数(例えば3つ)のシールリップを断面逆L字型のスリンガに接触させた構成を有する。芯金を外方部材26の内周面に圧入し、スリンガを内輪28の外周面に圧入することで、シール27bが開口部に固定される。このシール27a、27bによって軸受部20の両端開口部が密封され、内部に充填されたグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
なお、図示例の軸受部20では、転動体23としてボールを例示しているが、車重が嵩む場合等には、円錐ころを転動体23として使用することもできる。
アウトボード側等速自在継手30は、中間軸2のアウトボード側の一端に設けられ、内周面にトラック溝が形成された外側継手部材31と、外側継手部材31のトラック溝と対向するトラック溝が外周面に形成された内側継手部材32と、外側継手部材31のトラック溝と内側継手部材32のトラック溝との間に組み込まれたトルク伝達ボール33と、外側継手部材31と内側継手部材32との間に介在してトルク伝達ボール33を円周方向等間隔に保持するケージ34とで構成される。内側継手部材32は、その内周に挿入した中間軸2のアウトボード側の軸端とセレーション35を介して結合されている。
外側継手部材31は、例えば鍛造によって製作され、内側継手部材32、ケージ34およびトルク伝達ボール33を収容したマウス部31aと、マウス部31aから軸方向に一体的に延びる中実のステム部31bとを有する。マウス部31aの開口側の外周面と中間軸2の外周面には、それぞれブーツバンド36を介して蛇腹状ブーツ37の大径開口端および小径開口端が固定されている。このように外側継手部材31と中間軸2の間の空間をブーツ37で被覆することにより、グリースが外部へ漏洩したり、あるいは継手内部へ水やダスト等の異物が侵入したりする事態を防止している。
外側継手部材31のステム部31bは、後述の各種結合構造によりハブ輪10と結合される。ハブ輪10と外側継手部材13とを結合する際、外側継手部材31の肩面38をハブ輪10のインボード側の端面と当接させる。ハブ輪10と外側継手部材13の結合強度が十分に確保されていれば、両面間に隙間を介在させることもできる。
軸受外輪261、262および間座263からなる外方部材26は、車体側のナックル部材6に嵌合組込みされる。ここでいう嵌合組込みは、外方部材26をナックル部材6に嵌合することにより両者の組込みが完了することを意味する。この組込みは、例えば軸受外輪261、262の円筒面状の外周面26aをナックル部材6の円筒状内周面6aにアウトボード側から圧入することにより行うことができる。外方部材26の圧入に際し、各軸受外輪261、262の圧入代を均一に設定しておけば、軸受部20に付与される予圧量を安定化させることができる。必要に応じて、ナックル部材6の内周面6aのインボード側端部には、外方部材26の端面と軸方向で係合する凸部6bが設けられる。
嵌合組込み後のアウトボード側の軸受外輪262は、止め輪53で位置決めされる。この止め輪53としては、図2に示すように、円周方向両端に外径側へ延びた操作部53aを有するC型が使用可能である。止め輪53をナックル部材6の内周面に形成した止め輪溝6cに嵌め込み、かつ操作部53aをナックル部材6に形成した軸方向の切欠き6dに収容することにより、止め輪53が軸受外輪262のアウトボード側端面と係合して外方部材の位置決めが行なわれる。
あるいは図14に示す第2の実施形態のように、アウトボード側軸受外輪262の外周面とナックル部材6の内周面6aとの間に止め輪53を介在させることもできる。この場合、アウトボード側から圧入した外方部材26のインボード側端面が凸部6bに当接すると同時に、ナックル部材6の内周面6aに形成した止め輪溝6cと軸受外輪262の外周面26aに形成した止め輪溝26bとが対向し、外方部材26の止め輪溝26bに収容した止め輪53が弾性的に拡径してナックル部材6および外方部材26の双方と軸方向で係合する。
この場合、図15に示すように、ナックル部材6の内周面6aに形成した止め輪溝6cのアウトボード壁面6c1をインボード側ほど拡径させたテーパ面状に形成することもできる。この場合、外方部材26を矢印で示すようにアウトボード側に所定の力で引き抜けば、テーパ面6c1の案内で止め輪53が縮径するので、ドライブシャフトアセンブリをナックル部材6から分離することが可能となり、当該アセンブリの保守点検作業や交換作業の作業性を高めることができる。嵌合組込み時の抜け止め効果と交換時の作業性の両立から、テーパ面6c1の角度θは15°〜30°の範囲に設定するのが望ましい。
圧入だけでも十分な固定力が得られる場合は、凸部6bおよび止め輪53(図1および図14に示す双方の止め輪)の何れか一方または双方を省略することもできる。。
このように外方部材26の円筒状外周面26aをナックル部材6の内周面6aに圧入固定することにより、従来のように、フランジ付きの外方部材をナックル部材の複数箇所にボルト止めする場合に比べ、ボルトの締結作業を省略でき、その分だけ部品点数や作業工数を減じて低コスト化を図ることができる。
また、外方部材26をナックル部材6に圧入することで、圧入後の外方部材26には、ラジアル方向の縮径力が作用し、この縮径力によって軸受隙間が縮小する。従って、予備予圧量を加味して圧入代を適切に設定すれば、圧入後に適正量の負隙間(例えば0〜100μm、好ましくは0〜30μm)を得ることが可能となる。この場合、ナットの締め込みによる予圧付与作業が不要となるので、軸受ユニットの組付け作業性を更に向上させることができる。なお、0よりも大きい正隙間であると、軸受剛性が不充分となって耐久性が低下し、負隙間量が100μmを上回ると、逆に予圧が過大となって異常発熱の原因となる点が問題となる。
かかる嵌合組込みにおいては、アウトボード側等速自在継手30の最大外径寸法D1をナックル部材6の最小内径寸法Dnよりも小さくする(D1<Dn)。これにより、まずアウトボード側等速自在継手30をナックル部材6の内周に挿入し、引き続いて軸受部20の外方部材26をナックル部材6の内周に圧入することにより、ハブ輪10、軸受部20およびアウトボード側等速自在継手30を予めアセンブリにした状態で車両に組付けることが可能となる。この組み付け時には、アセンブリの押し込み方向が一定となるので、組み付け時の作業性も良好となる。
ここで、ナックル部材6の「最小内径寸法Dn」は、ナックル部材6のうちで最も内径側に存在する部分の内径寸法を意味する。図1に示す実施形態のように、ナックル部材6の内周面に凸部6bを設けた場合、凸部6bの内径寸法が「最小内径寸法」となる。凸部6bを省略した場合、ナックル部材6の内周面6aが「最小内径寸法」となる。
また、アウトボード側等速自在継手の「最大外径寸法D1」は、ブーツ37およびブーツバンド36等の付属品も含めた状態で、最も外径側に存在する部分の外径寸法をいう。例えば図1に示すアウトボード側等速自在継手30では、ブーツ最大径部37aの外径寸法がアウトボード側等速自在継手30の最大外径寸法D1となる。
併せて図12に示すように、ドライブシャフト1のインボード側等速自在継手40の最大外径寸法D2をナックル部材6の最小内径寸法Dnよりも小さくすれば(D2<Dn)、ドライブシャフト1とハブ輪10と軸受部20とを予めアセンブリにした状態(以下、ドライブシャフトアセンブリと呼ぶ)でも車両への組み付けが可能となる。すなわち、ドライブシャフトアセンブリを、インボード側等速自在継手40、中間軸2、アウトボード側等速自在継手30の順に順次ナックル部材6の内周に挿入し、次いで外方部材26の外周面26aをナックル部材6の内周面に圧入することにより、車両への組み付けが完了する。これにより、組付け作業現場での作業工数を減じることができ、作業性が高まる。この場合、従来工程のようにナックル部材6を旋回させる必要もないので、作業スペースも最小限で足りる。インボード側等速自在継手40の最大外径寸法D2は、アウトボード側等速自在継手30の場合と同様に、ブーツ37およびブーツバンド36等の付属品も含めた状態でのインボード側等速自在継手40の最大外径寸法を意味する。
図13に示すように、軸受外輪261、262の外周面26aのうち、シール27a、bの外径側領域と、これに対向するナックル部材6の内周面6aとの間に隙間55を形成するのが望ましい。隙間55は、図示のように、外方部材26の外周面26aにヌスミ部56を形成する他、ナックル部材6の内周面6bにヌスミ部(図示省略)を形成することによっても形成可能である。なお、間座263の外周面とナックル部材6の内周面6aとの間には隙間があり、間座263を圧入しない分、圧入面積が減じられるので、圧入時の作業性をより高めることができる。
以上に述べた軸受ユニットの組立は、先ず軸受部20を組み立ててから、ハブ輪10と外側継手部材とを結合することにより行われる。
軸受部20の組立は、例えば以下の手順で行うことができる。
まず図4に示すように、ハブ輪10の外周にアウトボード側のシール27aの芯金271を圧入固定する。
次に、図5に示すように、ハブ輪10の外周に転動体23を組み込んでインナレース21に収容する。この際、転動体23は予め保持器24のポケットに収容した状態でハブ輪10の外周に組み込まれる。次いで、アウトボード側の軸受外輪262をハブ輪10の外周に挿入する。この際、予め軸受外輪262の内周面にスリンガ272を圧入しておく。軸受外輪262をアウトボード側に押し進めると、芯金271に形成したシールリップがスリンガ272の内周面に接触し、シール27bが構成される。また、軸受外輪262のアウタレース22に転動体23が収容される。
次に図6に示すように、インボード側の軸受外輪261をハブ輪10の外周に挿入する。この際、軸受外輪261をアウトボード側の軸受外輪262に接触させる等して規定位置よりもアウトボード側に位置させることにより、軸受外輪261のインボード側端部とハブ輪10との間にボール径Dよりも大きな隙間δが形成されるので、この隙間δから転動体23を軸受外輪261とハブ輪10の間の空間に挿入する。規定数の転動体23を挿入したところで、インボード側の開口部から保持器24を押し込んでポケットに転動体23を収容し、各転動体23を円周方向等間隔に保持する。
次に図7に示すように、軸受外輪261、262の間に隙間を形成し、当該隙間にハブ輪10を挟むようにして分割間座263を挿入する。これにより、インボード側の軸受外輪261が規定位置に配置され、インボード側の転動体23がインナレース21およびアウタレース22に所定の接触角をもって収容される。
その後、図8に示すように、インボート側の軸受外輪261とハブ輪10との間に開口部にカセットシールを圧入し、シール27bを構成する。
以上に説明した軸受部20のように、一対の軸受外輪261、262の間に、後入れ可能の間座263を配置すれば、ハブ輪10に直接インナレース21を形成している場合でも複列の転動体23を外方部材26とハブ輪10の間の空間に組み込むことができる。従って、従来のこの種の軸受ユニットで必須の一つあるいは複数の内輪(図23の符号3a)が不要となり、部品点数の削減による低コスト化を図ることが可能となる。
軸受部20の組立を行った後、ハブ輪10をアウトボード側等速自在継手30の外側継手部材31と結合する。結合方法としては、ナットを用いるような可逆的な結合方法も採用することもできるが、好ましくは、ハブ輪10と外側継手部材31の可逆的な分離・結合が許容されていない非分離の結合構造、特に塑性流動を利用した塑性結合を採用するのが望ましい。
ハブ輪10と外側継手部材31の塑性結合は、例えば、何れか一方の部材に雄部51を形成すると共に、他方の部材に雄部51と異形の雌部52を形成し、雄部51と雌部52を相互に圧入することによって行われる。図1では、雄部51を外側継手部材31のステム部31bに形成すると共に、雌部52を同じくハブ輪10のインボード側端部に形成した場合を例示している。雄部51および雌部52のうち、何れか一方は断面真円形状に形成され、他方は断面非真円形状に形成される。図9(a)(b)は、その一例として、雄部51をセレーションのような歯形面に形成すると共に、雌部52を円筒面状に形成した場合を例示している。断面非真円状の雄部51は鍛造や転造で効率的にかつ精度良く形成することができる。
この他、雄部51の形状としては、図10に示すように角筒面を採用することもできる。何れの形状であっても、断面真円状の雌部52の内径寸法Dfは、雄部51の断面輪郭線に内接する円Aの直径よりも大きく、外接する円Bの直径よりも小さい。
以上の形状を有する雄部51を雌部52の内周に圧入することで、接合部分に塑性流動が生じて両者間の隙間の全部または一部が充足される。これにより、ハブ輪10と外側継手部材31が塑性結合され、一体化される。
図11に示すように、圧入後、さらにステム部31bの中実軸端の外周部(破線で示す)を加締め具59で加締めてフランジ部58を形成すれば、ハブ輪10の抜け止め効果が更に高まる。圧入のみで十分な結合強度が得られるのであれば、この加締め工程を省略することもできる。
この結合構造においては、予め断面非真円状の雄部51に熱処理を施して、図11に示すようにその表層Hを雌部52よりも高硬度にしておくのが望ましい。これにより、圧入に伴う雄部51の変形が抑えられ、雄部51が雌部52に食い込み易くなるので、結合強度をより一層高めることができる。図11に示す加締め加工を行う場合、加締めにより塑性変形させるステム部31bの軸端部分は未焼入れとし、フランジ部58の形成を容易なものとする。雄部51の熱処理方法としては、焼入れ範囲および焼入れ深さのコントロールが容易な高周波焼入れが望ましい。雌部52は基本的に熱処理を加えない生材とするが、雄部51の表面硬度を越えなければ熱処理を施しても構わない。
以上の説明では、雄部51を断面非真円状に形成し、雌部52を断面真円状に形成する場合を例示したが、コスト面等で特に問題がなければ、これとは逆に雄部51を断面真円状に形成し、雌部52を断面非真円状に形成しても構わない。断面非真円状の雌部52は例えばブローチ加工で形成することができる。この場合、断面非真円状の雌部52を断面真円状の雄部51よりも高硬度に形成する。
ハブ輪10と外側継手部材31とは、図16〜図18に示す種々の方法で結合することもできる。
このうち、図16は第3の実施形態を示すもので、ハブ輪10と外側継手部材31とを拡径加締めで塑性結合したものである。拡径加締めでは、外側継手部材31のステム部31bが中空に形成され、そのアウトボード側の端部に他所より内径寸法を小さくした小径部31b1が形成される。ハブ輪10の内周にステム部31bを挿入した後、ステム部31bの内周に小径部31b1の内径寸法よりも大径のマンドレルを押し込んで小径部31b1を拡径させ、ハブ輪10の内周面に圧接させることにより、ハブ輪10と外側継手部材31とが塑性結合される。予めハブ輪10の内周面にローレット加工等で凹凸部15を形成し、この凹凸部15を熱処理により硬化させておけば、小径部31b1の拡径により凹凸部15をステム部31bの外周面に確実に食い込ませることができ、ハブ輪10と外側継手部材31とを強固に塑性結合することが可能となる。
なお、拡径加締めのように、外側継手部材31のステム部31bを中空に形成する場合、マウス部31a内部への異物の侵入およびグリースの流出等の事態を避けるため、ステム部31bの内周面にキャップ39を装着するのが望ましい。
図17は第4の実施形態を示すもので、ハブ輪10と外側継手部材31とを揺動加締めと呼ばれる方法で非分離に結合したものである。揺動加締めでは、ステム部31bのアウトボード側の軸端を円筒状に形成し、加締め具の揺動により円筒部を外径側に塑性変形させてフランジ31b2が形成される。フランジ31b2をハブ輪10の端面に当接させることにより、ハブ輪10の抜け止めが行なわれ、かつハブ輪10の内周面とステム部31bの外周面との間にスプライン60を形成することで、ハブ輪10と外側継手部材31の回り止めがなされる。
図18は第5の実施形態を示すもので、ハブ輪10と外側継手部材31とを溶接により非分離に結合したものである(溶接部分を符号61で示す)。溶接法としては、レーザビーム溶接、プラズマ溶接、電子ビーム溶接、高速パルス方式によるプロジェクション溶接等を例示することができる。ステム部31bはハブ輪10の内周に圧入されており、この圧入嵌合面を介してトルクを伝達することができるため、溶接部61にかかる負荷は小さく、従って、上記のように熱影響の少ない溶接法を採用することができる。
以上の各実施形態では、転動体23を保持器24で保持した軸受部20を例示しているが、図19に示すように保持器を用いない総転動体形式を採用することもできる。総転動体形式であれば、保持器を使用する場合に比べて組み込み可能な転動体数が増えるので、個々の転動体の負荷荷重を低減することができる。従って、高荷重条件下でも軸受ユニットの寿命向上を図ることができる。総転動体形式は、インボード側の転動体列とアウトボード側の転動体列との負荷荷重に差がある場合は、高荷重側にのみ採用することができる。もちろん双方の転動体列が同程度の荷重条件である場合は、双方を総転動体形式にすることもできる。通常は、インボード側のモーメント荷重が大きくなるので、インボード側の転動体列を総転動体形式にする。
なお、総転動体形式の場合、転動体間の円周方向の隙間が大きすぎると、転動体同士が激しく衝突して打音や発熱を生じる可能性があるので、転動体間の総隙間Sを転動体23の直径寸法Dbよりも小さくする(特に転動体23としてボールを使用する場合、総隙間Sはボール直径の約40%以下に設定する)のが望ましい。
保持器24を使用した軸受形式においても、図20(a)(b)に示すように、アウトボード側の転動体列のPCD(P1)とインボード側の転動体列のPCD(P2)との間に差を設けることにより、高剛性化や長寿命化の効果が期待できる。これは、一方のPCDを大きくすれば、軸受ユニットの軸方向寸法の増大なしに軸受スパン(両レース面に加わる力の作用方向の作用線と軸心との交点の間隔)の増大を図ることができること、組み込み可能な転動体数が増えること、等の理由による。図20(a)は、インボード側の転動体列のPCD(P2)を大きくした場合を示し、図20(b)、反対にアウトボード側の転動体列のPCD(P1)を大きくした場合を示している。また、インボード側の保持器24とアウトボード側の保持器24を異なる設計とすることで、何れか一方の側の保持器24に他方の側より多い転動体を組み込んでも同様の効果が得られる。さらには、図21(a)(b)に示すように、インボード側の転動体23の径とアウトボード側の転動体23の径を異ならせても同様の効果が得られる。
図22に本発明の第6の実施形態を示す。この駆動車輪用軸受ユニットは、ホイール80の内周に嵌合する円筒状のパイロット部72をハブ輪10と別部材、例えばブレーキロータ70に設けた例である。ブレーキロータ70は、ハブ輪10のフランジ11のアウトボード側端面とホイール80の間に配置され、その円周方向複数箇所にはハブボルトを挿通するための孔71が形成されている。
図1に示すように、通常、パイロット部72はハブ輪10のアウトボード側の端部に一体形成されており、それ故にハブ輪10の形状が複雑化している。そのため、実際にはハブ輪10を鍛造成形することは難しく、旋削品とする場合が多い。また、パイロット部72には、部分的に防錆塗装を施す必要がある。以上から、ハブ輪10の製作コストは高騰する傾向にある。
これに対し、ハブ輪10のパイロット部72を廃し、これを図22に示すように、ブレーキロータ70の例えば内径端部に設ければ、ハブ輪10のアウトボード側の形状が簡略化されるため、これを鍛造成形することが可能となり、かつハブ輪10への防錆塗装処理も不要となる。従って、ハブ輪10の低コスト化を図ることができ、かつ軽量化設計も可能となる。通常、ブレーキロータ70は鋳造で成形されるので、パイロット部72を有するブレーキロータ70は低コストに製作可能である。
第1の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 止め輪の断面図である。 間座の断面図である。 軸受部の組立工程を示す断面図である。 軸受部の組立工程を示す断面図である。 軸受部の組立工程を示す断面図である。 軸受部の組立工程を示す断面図である。 軸受部の組立工程を示す断面図である。 (a)図はハブ輪と外側継手部材の結合部分における雄部の断面図、(b)図は同じく雌部の断面図である。 雄部の他の構成例を示す断面図である。 ハブ輪と外側継手部材の塑性結合工程を示す断面図である。 ドライブシャフトアセンブリの断面図である。 外方部材とナックル部材の圧入部を拡大して示す断面図である。 第2の実施形態にかかる駆動輪用車輪軸受ユニットの断面図である。 外方部材とナックル部材の圧入部を拡大して示す断面図である。 第3の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 第4の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 第5の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 総転動体式の軸受構造を示す正面図である。 異なるPCDを有する転動体を概略図示する側面図である。 径の異なる転動体を概略図示する側面図である。 第6の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 車両の懸架装置周りの概略構造を示す断面図である。
符号の説明
1 ドライブシャフト
2 中間軸
6 ナックル部材
6a 内周面
6b 凸部
6c1 テーパ面
10 ハブ輪
11 フランジ
20 軸受部
21 インナレース
22 アウタレース
23 転動体
24 保持器
25 内方部材
26 外方部材
26a 外周面
27a シール
27b シール
30 アウトボード側等速自在継手
31 外側継手部材
31a マウス部
31b ステム部
32 内側継手部材
33 トルク伝達ボール
34 ケージ
36 ブーツバンド
37 ブーツ
38 肩面
40 インボード側等速自在継手
51 雄部
52 雌部
53 止め輪
70 ブレーキロータ
72 パイロット部
80 ホイール
261 軸受外輪
262 軸受外輪
263 間座
Dn ナックル部材の最小内径寸法
D1 アウトボード側等速自在継手の最大外径寸法
D2 インボード側等速自在継手の最大外径寸法

Claims (8)

  1. 内周に複数のアウタレースを有する外方部材と、前記アウタレースと対向する複数のインナレースを有する内方部材と、対向するアウタレースとインナレースとの間に配置された複数列の転動体と、車輪に取り付けられるハブ輪と、アウトボード側等速自在継手とを備える駆動車輪用軸受ユニットにおいて、
    外方部材が、それぞれにアウタレースを有する一対の軸受外輪と、軸受外輪間に介在させた間座とを有することを特徴とする駆動車輪用軸受ユニット。
  2. 間座が、両軸受外輪のハブ輪への組込み後に、軸受外輪間に組込み可能である請求項1記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  3. 間座を周方向で分割した請求項2記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  4. 前記複数のインナレースをハブ輪の外周面に形成した請求項1〜3何れか記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  5. 各軸受外輪が車体側のナックル部材に嵌合組込みされ、アウトボード側等速自在継手の最大外径寸法がナックル部材の最小内径寸法よりも小さい請求項1〜4何れか記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  6. アウトボード側等速自在継手とインボード側等速自在継手を中間軸を介して連結し、両側の等速自在継手の最大外径寸法をナックル部材の最小内径寸法よりも小さくした請求項1〜5記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  7. ハブ輪および外側継手部材のうち、何れか一方に設けられた雄部を、他方に設けられ、雄部と異形の雌部に圧入することにより、ハブ輪と外側継手部材とを塑性結合した請求項1〜6何れか記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  8. 車輪に取り付けられるハブ輪の外周に、それぞれにアウタレースを有する一対の軸受外輪と、各アウタレースに適合する一対の転動体列とを組み込み、その後、軸受外輪間に隙間を設け、当該隙間に間座を挿入することを特徴とする駆動車輪用軸受ユニットの組立方法。
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