JP2007302248A - 車両構体 - Google Patents
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Abstract
【課題】構体質量の増加を極力抑えながら、構体の曲げ剛性を向上することによって、鉄道車両の良好な乗心地性能を提供する。
【解決手段】屋根構体1、側構体2、台枠3、妻構体4から成る鉄道車両構体10の長手方向中央部の屋根構体1の車内側に強度板7を貼り付けする。強度板7の鉄道車両構体10の長手方向の貼り付け範囲は2つの枕梁6の間であり、屋根構体1の左右方向の貼付範囲は屋根構体1の左右方向の長さの半分程度である。強度板7の板厚は、屋根構体1の上下方向の高さが高くなるに従って厚くなっている。かかる構造においては、多大な変形が生じる鉄道車両構体10の長手方向中央部の屋根構体1の変形を抑えられるので、鉄道車両構体10の曲げ剛性を効率的に向上できる。すなわち、鉄道車両の上下方向の曲げ振動を抑制できるので、良好な乗心地性能を提供できる。
【選択図】図1
【解決手段】屋根構体1、側構体2、台枠3、妻構体4から成る鉄道車両構体10の長手方向中央部の屋根構体1の車内側に強度板7を貼り付けする。強度板7の鉄道車両構体10の長手方向の貼り付け範囲は2つの枕梁6の間であり、屋根構体1の左右方向の貼付範囲は屋根構体1の左右方向の長さの半分程度である。強度板7の板厚は、屋根構体1の上下方向の高さが高くなるに従って厚くなっている。かかる構造においては、多大な変形が生じる鉄道車両構体10の長手方向中央部の屋根構体1の変形を抑えられるので、鉄道車両構体10の曲げ剛性を効率的に向上できる。すなわち、鉄道車両の上下方向の曲げ振動を抑制できるので、良好な乗心地性能を提供できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、鉄道車両やモノレール車両の車両構体の構成に関する。
鉄道車両構体は、上面を構成する屋根構体と側面を構成する2枚の側構体と下面を構成する台枠と端面を構成する2枚の妻構体から成る。近年では、軽量化や製作性向上を主な目的として、屋根構体、側構体及び台枠にアルミニウム合金製の中空押出形材を、妻構体にアルミニウム合金製のリブ付き押出形材を使用するようになった。これは、下記特許文献1に示されている。
特許第2604226号公報
鉄道車両においては、良好な乗心地性能を確保するため、上下方向の曲げ振動を抑制する必要がある。この曲げ振動の抑制には構体の曲げ剛性の向上(堅くすること)が有効であり、その具体的な方法としては「構体の断面二次モーメントを高くする」、「構体に使用する材料の縦弾性係数を高くする」といったものが挙げられる。
構体の断面二次モーメントを高くするための最も有効な手段は、構体の高さ及び幅を拡張することである。しかし、これは、周囲のインフラ設備との干渉を引き起こすため、現実的でない。
構体の断面二次モーメントを高くするための最も有効な手段は、構体の高さ及び幅を拡張することである。しかし、これは、周囲のインフラ設備との干渉を引き起こすため、現実的でない。
よって、構体の断面二次モーメントを高くするための現実的に有効な手段は、構体に使用する部材の板厚を増加することである。しかし、構体に使用する全ての部材の板厚を増加することは、構体質量の大幅な増加を引き起こす。また、同様に、構体に使用する全ての材料の縦弾性係数を高くすることは、構体質量の大幅な増加を引き起こす。これは、一般に、縦弾性係数の高い材料は、密度も高いからである。
本発明の目的は、構体質量の増加を極力抑えながら、構体の曲げ剛性を向上し、鉄道車両の上下方向の曲げ振動を抑制することによって、良好な乗心地性能を提供することにある。
本発明の目的は、構体質量の増加を極力抑えながら、構体の曲げ剛性を向上し、鉄道車両の上下方向の曲げ振動を抑制することによって、良好な乗心地性能を提供することにある。
上記目的は、車両構体の長手方向中央部の屋根構体または台枠の側梁が他の部位の前記屋根構体または前記側梁の剛性よりも高くなっており、前記側梁の長手方向中央部の車外側と反対側の前記板厚は、前記車外側と反対側の面に強度板を貼り付けすることにより厚くなっていること、によって達成できる。
本発明の各種の実施例を以下に説明する。各図において、後の図に出てきた先の図と同一番号は説明を省略し、先の図で説明した同一部材を示す。
本発明の第1の実施例を図1、図2により説明する。鉄道車両構体10は、上面を構成する屋根構体1、側面を構成する2枚の側構体2、下面を構成する台枠3、端面を構成する2枚の妻構体4から成る。側構体2の幅方向端部で、下部には、側梁5が存在する。台枠3には、台枠3と走行装置(図示せず)とを接続する枕梁6が存在する。
屋根構体1、側構体2、台枠3、妻構体4は、それぞれ複数の押出形材を接合して構成している。屋根構体1、側構体2、台枠3を構成する押出形材は、アルミニウム合金製の中空形材であり、押出方向を鉄道車両構体10の長手方向にしている。妻構体4を構成する押出形材は、アルミニウム合金製のリブ付き形材であり、押出方向を鉄道車両構体10の上下方向にしている。
鉄道車両構体10の変形状態を図19、図20により説明する。図19(a)は、鉄道車両構体10の側面図である。鉄道車両構体10は、枕梁6の長手方向中心で走行装置(図示せず)に支持されている。
鉄道車両構体10には、鉄道車両構体10に加えて電気機器などの艤装部材や人員による鉄道車両構体10の上下方向の荷重17が負荷される。この上下方向の荷重17により、鉄道車両構体10には、モーメント分布18が発生する。
ここで、図19(b)の横軸は鉄道車両構体10の長手方向の位置を、縦軸は該当位置に発生するモーメント量を示している。このモーメント量に比例して、図20に示すように、ひずみ分布19が発生する。ここで、縦軸は鉄道車両構体10の上下方向の位置を、横軸は該当位置に発生するひずみ量を示している。
これより、鉄道車両構体10は、鉄道車両構体10の長手方向中央部の屋根構体1及び側梁5において大きく変形することがわかる。すなわち、鉄道車両構体10の曲げ剛性を効率的に向上するためには、鉄道車両構体10の長手方向中央部の屋根構体1及び側梁5の変形を抑えることが有効であることがわかる。
ここで、図2の構造を説明する。鉄道車両構体10の長手方向中央部の屋根構体1の中空形材1bの車内側に強度板7を貼り付けしている。貼り付けは、溶接によって行っている。この溶接は、強度板7の外周部は隅肉溶接7b、強度板7の外周部の間は、強度板7を貫通する穴8を設け、この穴8にて中空形材1bに栓溶接9している。栓溶接といっても、穴8を埋める必要はなく、強度的に接合していればよく、ここも隅肉溶接でよい。穴8は、中空形材1bの車内側の面板1cと車外側の面板1dとを接続する接続板1eと面板1cとの交点に溶接している。交点に車両長手方向に沿って、連続的に溶接しても間欠的に溶接してもよい。
強度板7の鉄道車両構体10の車両長手方向の貼付範囲は、2つの枕梁6の間であり、鉄道車両構体10の長手方向中心からほぼ対称である。
強度板7の幅方向(車両の幅方向、車両長手方向に対して直角方向を言う。)の貼付範囲は、屋根構体1の幅方向の長さの半分程度であり、屋根構体1の幅方向中心からほぼ対称である。
強度板7の幅方向(車両の幅方向、車両長手方向に対して直角方向を言う。)の貼付範囲は、屋根構体1の幅方向の長さの半分程度であり、屋根構体1の幅方向中心からほぼ対称である。
これらの範囲及び強度板7の板厚は、鉄道車両構体10に必要とされる曲げ剛性、鉄道車両構体10の質量制限、許容空間、施工制限などによって変化する。また、強度板7は、複数の板から構成されることもある。強度板7の板厚の変化は中空形材1bの面板1c、1dの板厚で対応できる。
強度板7の板厚は、車両の幅方向中心に近づくに従って厚くなっている。言い換えれば、強度板7の板厚は、屋根構体1の上下方向の高さが高くなるに従って厚くなっている。
これは、一般に、屋根構体1の上下方向の高さは、屋根構体1の幅方向中心に近づくに従って高くなっているからである。強度板7の車外側の面(屋根構体1の中空形材の車内側の面板1bに沿う面)は、屋根構体1の車内側の面に沿うように機械加工されており、面板1bに接することができる。強度板7の車内側の面は、加工コストの面から機械加工されていない。
強度板7の材料は、アルミニウム合金である。強度板7の材料は、鉄などの他の材料でも良い。強度板7の材料を鉄などの縦弾性係数が高い材料にすると、剛性や空間の面で有利になるが、リサイクル性や接合性の面で不利になる。異種材料を接合して用いる場合には、リサイクル時にこれらの材料を分離する必要がある。また、異種材料を接合する方法として、溶接を主として用いることは困難である。
かかる構成によれば、鉄道車両構体10の長手方向中央部の屋根構体1の変形が抑えられるので、鉄道車両構体10の曲げ剛性を効率的に向上できる。すなわち、鉄道車両の上下方向の曲げ振動を抑制できるので、良好な乗心地性能を提供できる。
上記実施例では、屋根構体の車内側の面に強度板7を張っているので、車外側の面に張るよりも車両の外観を損ねることがない。
本発明の第2の実施例を図3から説明する。図3において、板厚が同一の強度板7を用いた例である。強度板7を機械加工で曲げている。強度板7の固定構造は図2と同様である。
これによれば、強度板7の車外側の機械加工を不要にでき、コスト面で有利にできる。
これによれば、強度板7の車外側の機械加工を不要にでき、コスト面で有利にできる。
本発明の第3の実施例を図4、図5、図6から説明する。この実施例では強度板7を用いていない。
屋根構体1の長手方向の中央部(V部を言う。)の屋根構体1の中空形材11の車内側の面板1c、車外側の面板1dの板厚は、長手方向端部(VI部を言う。)の中空形材12の面板1b、1cの板厚よりも厚い。
これによれば、強度板7を不要にでき、空間、部品点数、溶接コストなどの面で有利となる。なお、V部とVI部との間に点線で示す枠は区分を示すものであり、枠そのものはない。
屋根構体1の長手方向の中央部(V部を言う。)の屋根構体1の中空形材11の車内側の面板1c、車外側の面板1dの板厚は、長手方向端部(VI部を言う。)の中空形材12の面板1b、1cの板厚よりも厚い。
これによれば、強度板7を不要にでき、空間、部品点数、溶接コストなどの面で有利となる。なお、V部とVI部との間に点線で示す枠は区分を示すものであり、枠そのものはない。
本発明の第4の実施例を図7、図8から説明する。図4の屋根構体1の長手方向中央部Vの中空形材11の材質は縦弾性係数の高い材料である。屋根構体1の長手方向端部VIの中空形材は通常使用する中空形材12である。長手方向中央部Vの中空形材が押出加工でできない場合は、通常の板(鉄系材料)1c、1dに接続板(鉄系材料)1eを溶接する、または機械的に結合する。
本発明の第5の実施例を図9、図10により説明する。鉄道車両構体10の長手方向中央部の台枠の側梁5の台枠の水平面よりも下方の垂直面の車内側(ここでの車内側とは車内に面しているという意味ではなく、車外側に面した面ではないの意味である。)の面板5bに強度板7を貼り付けしている。強度板7の鉄道車両構体10の長手方向の貼り付け範囲は、2つの枕梁6の間であり、鉄道車両構体10の長手方向中心からほぼ対称である。強度板7の上下方向の貼り付け範囲は、側梁5の垂直面の面板5b、台枠3の下面に隅肉溶接7bしている。台枠3の下面に溶接しないで、面板5bに溶接してもよい。また、強度板7の下端も側梁の下端で溶接してもよいが、垂直面の途中で終了してもよい。強度板7の下端には開先を設け、この開先の空間を溶接7dしている。
強度板7の上下の間は、中空形材5aの車内側の面板5bと車外側の面板5cとを接続する接続板5dと面板5bとの交点に栓溶接9している。強度板7は栓溶接9の個所に穴8を開口している。栓溶接9は隅肉溶接でもよい。
強度板7は台枠側が下端よりも板厚が小さい。これは機械加工によって形成している。強度板7の車外側の面は、側梁5の車内側の面に沿うように機械加工されている。側梁5の垂直面の車内側の面が直線である場合には、強度板7の車外側の面を加工コストの面から機械加工しない。強度板7の車内側の面は、必要な板厚に応じて機械加工されている。
強度板7の材料は、アルミニウム合金である。また、強度板7の材料は、鉄などの他の材料でも良い。強度板7の材料を鉄などの縦弾性係数が高い材料にすると、剛性や空間の面で有利になるが、リサイクル性や接合性の面で不利になる。異種材料を接合して用いる場合には、リサイクル時にこれらの材料を分離する必要がある。また、異種材料を接合する方法として、溶接を主として用いることは困難である。
この強度板7の範囲及び強度板7の板厚は、鉄道車両構体10に必要とされる曲げ剛性、鉄道車両構体10の質量制限、許容空間、施工制限などによって変化する。また、強度板7は、複数の板から構成されることもある。
この強度板7の範囲及び強度板7の板厚は、鉄道車両構体10に必要とされる曲げ剛性、鉄道車両構体10の質量制限、許容空間、施工制限などによって変化する。また、強度板7は、複数の板から構成されることもある。
強度板7が複数の板から構成される場合には、複数の板同士を突き合わせ溶接にて溶接する。強度板7を複数の板で構成すると、運搬やハンドリングの面で有利になるが、部品点数や溶接コストの面で不利になる。
強度板7は、リベット接合やボルト締結などの他の方法にて屋根構体1に接合されていても良い。異種金属を接合する方法としては、これらの方法が主として用いられる。
かかる構造によれば、鉄道車両構体10の長手方向中央部の側梁5の変形が抑えられるので、鉄道車両構体10の曲げ剛性を効率的に向上できる。すなわち、鉄道車両の上下方向の曲げ振動を抑制できるので、良好な乗心地性能を提供できる。強度板7は下端にいくにしたがって厚くなっているので、図20のように、車体の上下方向中心から離れるに従って、ひずみが大きくなるのに対応させることができる。
本発明の第6の実施例を図11により説明する。図11は強度板7の板厚を一定にしたものである。強度板7は、側梁5の車内側の垂直面5bが曲がっていれば、面に沿うように曲げ加工されている。側梁5の車内側の面が直線である場合には、強度板7を加工コストの面から曲げ加工しない。
本発明の第7の実施例を図12、図13から説明する。これは、強度板7を側梁5の最下部の面が円弧状であるので、円弧状に曲げて円弧面に沿うようにしている。強度板7の車外側は中空形材に隅肉溶接7eしている。強度板の車内側の個所は中空形材との間に開先を設け、この開先を溶接7gしている。
図20のように対象位置が車体の中止から離れるに従ってひずみ量が大きくなるので、その大きい個所に貼り付けており、好都合である。
これによれば、強度板の大きさを小さくできる。
これによれば、強度板の大きさを小さくできる。
本発明の第8の実施例を図14、図15、図16から説明する。これは、強度板7の貼付けではなく、側梁5の板厚の増加により側梁5の変形の抑制を図った例である。鉄道車両構体10の長手方向中央部(XV部と言う。)の側梁5の下部16の板厚は、鉄道車両構体10の長手方向端部(XVI部という。)を構成する側梁5の下部15の板厚より厚い。
これによれば、強度板7の貼付が不要となるため、空間、部品点数、溶接コストなどの面で有利となる。
これによれば、強度板7の貼付が不要となるため、空間、部品点数、溶接コストなどの面で有利となる。
本発明の第9の実施例を図17、図18から説明する。これは、側梁5の長手方向中央部(XV部で示す。)を構成する側梁5の下部16の材料の縦弾性係数は、長手方向端部(XVI部で示す。)を構成する側梁5の下部15の材料の縦弾性係数より高い。
これによれば、側梁5の長手方向中央部(XV部)を構成する側梁5の下部16の板厚の増加が不要となるため、鉄道車両構体10の長手方向の位置に関わらず、側梁5の形状しいては鉄道車両構体10の形状を統一できる。
これによれば、側梁5の長手方向中央部(XV部)を構成する側梁5の下部16の板厚の増加が不要となるため、鉄道車両構体10の長手方向の位置に関わらず、側梁5の形状しいては鉄道車両構体10の形状を統一できる。
本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の各請求項に記載の文言あるいは課題を解決するための手段の項に記載の文言に限定されず、当業者がそれから容易に置き換えられる範囲にも及ぶものである。
1:屋根構体
2:側構体
3:台枠
4:妻構体
5:側梁
6:枕梁
7:補強板
8:穴
9:栓溶接
10:鉄道車両構体
2:側構体
3:台枠
4:妻構体
5:側梁
6:枕梁
7:補強板
8:穴
9:栓溶接
10:鉄道車両構体
Claims (4)
- 車両構体の長手方向中央部の屋根構体または台枠の側梁が他の部位の前記屋根構体または前記側梁の剛性よりも高くなっており、
前記側梁の長手方向中央部の車外側と反対側の前記板厚は、前記車外側と反対側の面に強度板を貼り付けすることにより厚くなっていること、
を特徴とする車両構体。 - 請求項1の車両構体において、
前記強度板の板厚は、前記側梁の下端側に行くに従って厚くなっていること、
を特徴とする車両構体。 - 請求項1の車両構体において、
前記側梁は中空形材であり、前記強度板は、前記車外側と反対側の面に溶接されており、前記強度板の全周が隅肉溶接されており、また、前記強度板は、前記中空形材の車外側の面板と反対側の面の面板とを接続する板と前記反対側の面板との交点に栓溶接していること、
を特徴とする車両構体。 - 請求項1の車両構体において、
前記側梁の長手方向中央部の材料の縦弾性係数は、前記側梁の最下部に近づくに従って高くなっていること、
を特徴とする車両構体。
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