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JP2007224741A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

内燃機関の可変動弁装置 Download PDF

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JP2007224741A
JP2007224741A JP2006043785A JP2006043785A JP2007224741A JP 2007224741 A JP2007224741 A JP 2007224741A JP 2006043785 A JP2006043785 A JP 2006043785A JP 2006043785 A JP2006043785 A JP 2006043785A JP 2007224741 A JP2007224741 A JP 2007224741A
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Koichi Shimizu
弘一 清水
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】コントロールシャフトが軸線方向に熱膨張したとき、機関バルブのバルブ特性の適正状態からのずれの各気筒間でのばらつきを小さく抑える。
【解決手段】パイプ状のロッカシャフト15内に挿入されたコントロールシャフト16を回転駆動すると、コントロールシャフト16にピニオンギヤ34を介して係合されたスライダ26が同シャフト16の軸線方向に変位し、バルブリフト可変機構が駆動される。コントロールシャフト16は、各気筒毎に設けられた複数の軸材16aを互いに上記軸線方向に相対移動可能に且つ周方向に一体回転可能に連結して形成される。ロッカシャフト15は、上記各軸材16a毎に複数設けられるとともに、上記ピニオンギヤ34を支持している。そして、各気筒の軸材16a及びロッカシャフト15は、位置決めピン48によってクリアランスCを有する状態で上記軸線方向について位置決めされる。
【選択図】図11

Description

本発明は、内燃機関の可変動弁装置に関するものである。
自動車用エンジン等の内燃機関においては、吸気バルブや排気バルブといった機関バルブのバルブ特性、例えば同バルブの最大リフト量及び同バルブを駆動するカムの作用角を可変とする可変動弁機構が各気筒毎にシリンダヘッドに設けられ、これら可変動弁機構を機関運転状態に応じて駆動するものが提案されている(特許文献1参照)。
こうした可変動弁機構は、回転するカムに押されて軸を中心に揺動する入力アームと、この入力アームの揺動に基づき上記軸を中心に揺動して機関バルブをリフトさせる出力アームと、それらアームを貫通した状態に配置されるとともに両アームに対し歯すじの傾斜方向の異なるギヤによって連結される円筒状のスライダとを備えている。
各可変動弁機構のスライダの内部には全気筒共通の共通の一本のコントロールシャフトが挿入されており、この一本のコントロールシャフトに対し各可変動弁機構のスライダが係合部材によって各々係合されている。また、コントロールシャフトの端部は例えば油圧式のアクチュエータに接続されており、同アクチュエータによってコントロールシャフトが軸線方向に駆動されるようになっている。一方、各可変動弁機構の入力アーム及び出力アームは、シリンダヘッドに形成された立壁部によってコントロールシャフトの軸線方向への変位が規制されている。
そして、コントロールシャフトの軸線方向への駆動を通じて各可変動弁機構のスライダを入力アーム及び出力アームに対し上記軸線方向に変位させることにより、上記ギヤの作用によって入力アームと揺動アームとの揺動方向についての相対位置が変更され、各気筒において上記最大リフト量及び作用角といったバルブ特性が同時に変更される。
特開2001−263015公報
上記のように、一本のコントロールシャフトの軸線方向への駆動に基づき、各気筒の可変動弁装置すべてを駆動するようにすれば、各気筒でのバルブ特性の変更を同時に行うことができるようにはなる。しかし、内燃機関の運転時にコントロールシャフトが軸線方向に熱膨張する際、それに起因して以下のような問題が生じることは避けられない。
コントロールシャフトにおいてはその端部がアクチュエータと接続されており、コントロールシャフトの軸線方向への熱膨張時には上記端部を基準として同シャフトが軸線方向に伸びることになる。このようにコントロールシャフトが熱膨張によって軸線方向に伸びると、同シャフトに対する係合部材によるスライダの係合位置が上記熱膨張の分だけ適正位置から上記軸線方向にずれ、それに伴いスライダも上記軸線方向にずれる。
こうしたコントロールシャフトの熱膨張時には、入力アーム及び出力アームの上記軸線方向への変位を規制する立壁部も熱膨張し、それによって入力アーム及び出力アームも上記軸線方向に変位する。ここで、立壁部の熱膨張による入力アーム及び出力アームの上記軸線方向への変位が、コントロールシャフトの熱膨張によるスライダの上記軸線方向への変位と等しければ、入力アーム及び出力アームに対する上記軸線方向についてのスライダの相対位置に変化はなく、バルブ特性が適正状態から変化することもない。
しかし、立壁部は内燃機関の軽量化を重視してアルミ合金等で形成され、コントロールシャフトは強度を重視して鉄系材料等で形成されるなど、立壁部とコントロールシャフトとは異なる材料で形成される可能性が高く、両者の熱膨張率は同じにはならない。また、立壁部はシリンダヘッドに固定されているのに対し、コントロールシャフトはその端部をアクチュエータに接続しているだけである。このように両者の熱膨張率、及び設置態様が異なることから、立壁部及びコントロールシャフトの熱膨張時、入力アーム及び出力アームとスライダとが上記軸線方向に同じだけ変位するとは考えにくい。より詳しくは、立壁部の熱膨張による入力アーム及び出力アームの上記軸線方向についての変位は僅かであるのに対し、コントロールシャフトの熱膨張によるスライダの上記軸線方向への変位は大きなものとなる可能性が高い。
従って、コントロールシャフトが熱膨張時、同シャフトに係合部材を介して係合されるスライダが適正位置から上記軸線方向に変位するときには、スライダと入力アーム及び出力アームとの上記軸線方向についての相対位置が変化し、それに伴いバルブ特性が適正状態からずれることになる。ただし、こうしたバルブ特性の適正状態からのずれが各気筒で気筒であれば、そのずれを考慮してコントロールシャフトを軸線方向に駆動することで、バルブ特性を全ての気筒において適正状態とすることが可能になると考えられる。
ところが、コントロールシャフトの上記端部を基準とする軸線方向についての熱膨張量は、当該端部から離れた部分ほど大となる。これは、コントロールシャフトの上記端部から離れるほど、その端部との間にあるコントロールシャフトの材料量が多くなるためである。
このように、コントロールシャフトにおいては上記端部から離れた部分ほど、当該端部を基準とする軸線方向についての熱膨張量が大となることから、上記端部から離れて位置する気筒ほど、コントロールシャフトに対する係合部材によるスライダの係合位置の適正値からの上記軸線方向へのずれが大となる。その結果、上記端部からはなれた気筒ほど、スライダの適正位置からの上記軸方向への変位が大となり、同スライダの入力アーム及び出力アームに対する上記軸線方向についての相対位置の変化も大となることから、機関バルブのバルブ特性の適正状態からのずれが大となる。従って、コントロールシャフトに軸線方向についての熱膨張が生じると、それに伴うバルブ特性の適正状態からのずれが気筒毎に大きくばらつくことになる。
この場合、いずれかの気筒で上記ずれをなくようコントロールシャフトを軸線方向に駆動することで、当該気筒のみでバルブ特性を適正状態とすることはできても、その他の気筒ではバルブ特性が適正状態から大きくずれることになり、その気筒での燃焼状態の悪化を招くことは避けられない。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、コントロールシャフトが軸線方向に熱膨張したとき、機関バルブのバルブ特性の適正状態からのずれの各気筒間でのばらつきを小さく抑えることのできる内燃機関の可変動弁装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、内燃機関の各気筒毎に設けられて機関バルブのバルブ特性の変更に用いられるスライダと、それらスライダに対し係合部材を介して同スライダと係合されるコントロールシャフトとを備え、前記コントロールシャフトを駆動して前記スライダを同シャフトの軸線方向に変位させることにより各気筒の機関バルブのバルブ特性を可変とする内燃機関の可変動弁装置において、前記コントロールシャフトは、複数の軸材を互いに軸線方向に相対移動可能に且つ周方向に一体回転可能に連結して形成されるとともに、モータにより軸線を中心とする回転方向に回転駆動されるものであって、前記係合部材は、前記軸材の回転に基づき、前記スライダを前記軸線方向に変位させるものであり、前記複数の軸材は、互いの間にクリアランスを有する状態で、位置決めピンにより前記軸線方向についての位置決めがなされていることを要旨とした。
上記構成によれば、コントロールシャフトが複数の軸材によって形成されており、同シャフトの熱膨張時には、各軸材が位置決めピンの位置を基準として軸線方向に伸び、それに伴い各軸材間のクリアランスが小さくなる。熱膨張によって軸材が上記軸線方向に伸びると、同軸材に対する係合部材によるスライダの係合位置が上記軸線方向に変位し、スライダが適正位置から上記軸線方向に変位するため、バルブ特性が適正状態からずれることになる。ここで、軸材の一つ一つの軸線方向長さはコントロールシャフト全体の軸線方向長さよりも短くなるため、一つの軸材における上記熱膨張の基準位置から上記係合位置までの最大距離、すなわち位置決めピンの位置から上記係合位置までの最大距離が短く抑えられる。上記熱膨張の基準位置から上記係合位置までの距離が短いほど、熱膨張時におけるスライダの適正位置からの上記軸線方向へのずれが小さくなり、バルブ特性の適正状態からのずれも小さくなる。従って、コントロールシャフトを複数の軸材により形成し、上記熱膨張の基準位置から上記係合位置までの最大距離を短く抑えることで、熱膨張時のバルブ特性の適正状態からのずれの各気筒間でのばらつきを小さく抑えることができる。また、いずれかの気筒でバルブ特性の適正状態からのずれをなくすようコントロールシャフトを回転駆動したとき、その他の気筒でバルブ特性が適正状態から大きくずれることによる燃焼状態の悪化を抑制することができる。
また、可変動弁機構の駆動は、コントロールシャフトの回転駆動を通じて行われる。ここで、仮に可変動弁機構の駆動をコントロールシャフトの軸線方向への駆動を通じて行うようにしたとすると、モータとコントロールシャフトとの間に同モータの回転運動をコントロールシャフトの直線運動に変換するための回転直動変換機構等を設ける必要があり、その回転直動変換機構等を設ける分だけモータ側の構造が複雑になるという不具合が生じる。しかし、可変動弁機構の駆動をコントロールシャフトの回転駆動を通じて行うことで、モータの回転をそのままコントロールシャフトへと伝達するだけでよくなり、上述したモータ側の構造が複雑になるという不具合の発生を回避することができる。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記軸材は、内燃機関の気筒毎に設けられていることを要旨とした。
上記構成によれば、各気筒に対応して軸材が設けられているため、一つ一つの軸材の軸線方向長さを短くすることができ、それら軸材における熱膨張の基準位置から同軸材に対する係合部材によるスライダの係合位置、言い換えれば位置決めピンの位置から上記係合位置までの距離を小さく抑えることができる。従って、各軸材の熱膨張時における上記係合位置の適正位置からの変位、言い換えればスライダの適正位置からの変位を小さく抑えることができ、ひいては熱膨張時のバルブ特性の適正状態からのずれの各気筒間のばらつきを小さく抑えることができる。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において、複数の軸材における前記位置決めピンと前記係合部材との距離は、各軸材間で等しくされていることを要旨とした。
上記構成によれば、軸材の熱膨張時、同軸材に対する係合部材によるスライダの係合位置の適正位置からの変位を各気筒で等しくし、スライダの適正位置からの変位も各気筒で等しくすることができる。従って、熱膨張時のバルブ特性の適正状態からのずれが各気筒間でばらつくことを防止し、そのずれを気筒間で一致させることができる。また、そのずれに伴うバルブ特性の適正状態からのずれをなくすよう、コントロールシャフトを回転駆動することで、各気筒すべてでバルブ特性を適正状態とすることができる。
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記係合部材は、前記軸材の外周面に形成された雄ねじと噛み合い、同軸材の回転時に前記スライダを前記軸線方向に押すものとした。
上記構成によれば、モータにより軸材が回転すると、その軸材の雄ねじと噛み合う係合部材がスライダを軸線方向に押し、同スライダがバルブ特性を変更すべく軸線方向に変位する。このように軸材の回転運動を係合部材によって的確にスライダの直線運動へと変換することができる。
請求項5記載の発明では、請求項4記載の発明において、前記各軸材毎に設けられて内部に同軸材を回転可能に支持する複数のパイプ状のロッカシャフトを備え、前記ロッカシャフトの各々は、前記軸材と同じ材料で形成され、前記軸材の軸線方向に直列となるように、かつ互いの間にクリアランスを有する状態で配置されており、前記位置決めピンは、前記軸材とともに同軸材に対応する前記ロッカシャフトの前記軸線方向の位置決めを行うものであり、前記係合部材は、前記軸材の径方向を中心軸線の延びる方向とするピニオンギヤであって、前記中心軸線周りに回転可能となるよう前記ロッカシャフトに支持されるとともに、前記軸材の雄ねじ及び前記スライダに形成されたギヤ面と噛み合うものとした。
上記構成によれば、モータにより軸材が回転すると、その軸材の外周面に形成された雄ねじと噛み合うピニオンギヤが回転し、更にピニオンギヤと噛み合うスライダが同ピニオンギヤによって軸材の軸線方向に押される。このように軸材の回転運動をピニオンギヤによって的確にスライダの直線運動へと変換することができる。また、軸材が位置決めピンを基準位置として軸線方向に熱膨張する際には、ピニオンギヤが支持されたロッカシャフトも位置決めピンを基準位置として上記軸線方向に熱膨張し、軸材に対するピニオンギヤによるスライダの係合位置が適正位置から上記軸線方向に変位する。これによりスライダが適正位置から上記軸線方向に変位し、バルブ特性が適正状態からずれることになるが、こうしたずれの各気筒間でのばらつきを抑制することができる。更に、ピニオンギヤが支持されたロッカシャフトの熱膨張率は軸材の熱膨張率と等しくなるため、それらロッカシャフト及び軸材の熱膨張時に軸材の雄ねじとロッカシャフトのピニオンギヤとの上記軸線方向についての相対位置が変化することは抑制される。ここで、仮に上記相対位置の変化が生じたとすると、当該変化に対応する分だけピニオンギヤが回転し、スライダが上記軸線方向に変位してバルブ特性がずれることになる。しかし、上記相対位置の変化は抑制されるため、こうしたバルブ特性のずれの発生を抑制することができる。
以下、本発明を自動車用の直列四気筒エンジンに適用した一実施形態を図1〜図11に従って説明する。
図1は、エンジン1の一番〜四番気筒のうちの所定気筒におけるシリンダヘッド2周りの構造を示す拡大断面図である。このエンジン1においては、シリンダヘッド2、シリンダブロック3、及びピストン5によって燃焼室6が区画され、この燃焼室6には吸気通路7及び排気通路8が各々二つに分岐した状態で接続されている(図1には一方のみ図示)。そして、吸気通路7と燃焼室6との間は吸気バルブ9の開閉動作によって連通・遮断され、排気通路8と燃焼室6との間は排気バルブ10の開閉動作によって連通・遮断される。なお、これら吸気バルブ9及び排気バルブ10はそれぞれ各気筒毎に二つずつ設けられている。
シリンダヘッド2には、吸気バルブ9及び排気バルブ10を駆動するための吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12が設けられている。これら吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12は、エンジン1のクランクシャフトからの回転伝達によって回転する。また、吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12には、それぞれ吸気カム11a及び排気カム12aが設けられている。そして、これら吸気カム11a及び排気カム12aの吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12との一体回転を通じて、吸気バルブ9及び排気バルブ10が開閉動作する。
エンジン1には、吸気バルブ9及び排気バルブ10といった機関バルブのバルブ特性を可変とするバルブリフト可変機構として、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角を可変とするバルブリフト可変機構14が吸気カム11aと吸気バルブ9との間に設けられている。このバルブリフト可変機構14の駆動を通じて、例えば吸入空気量を多く必要とするエンジン運転状態になるほど、最大リフト量及び作用角が大となるよう制御される。これは最大リフト量及び作用角を大とするほど、吸気通路7から燃焼室6への空気の吸入が効率よく行われ、上述した吸入空気量に関する要求を満たすことが可能なためである。
次に、バルブリフト可変機構14の詳細な構造について説明する。
バルブリフト可変機構14は、回転する吸気カム11aにより押されて上記吸気カムシャフト11と平行に延びるロッカシャフト15及びコントロールシャフト16の軸線を中心に揺動する入力アーム17と、この入力アーム17の揺動に基づき上記軸線を中心に揺動する出力アーム18とを備えている。入力アーム17にはローラ19が回転可能に取り付けられている。そして、そのローラ19が吸気カム11aに押しつけるられるよう、入力アーム17がコイルスプリング20によって吸気カム11a側に付勢されている。また、出力アーム18は、その揺動時にロッカアーム21に押しつけられ、同ロッカアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせる。
このロッカアーム21の基端部はラッシュアジャスタ22によって支持され、同ロッカアーム21の先端部は吸気バルブ9に接触している。また、ロッカアーム21は吸気バルブ9のバルブスプリング24によって出力アーム18側に付勢され、これによりロッカアーム21の基端部と先端部との間に回転可能に支持されたローラ23が出力アーム18に押しつけられている。
従って、吸気カム11aの回転に基づき入力アーム17及び出力アーム18が揺動すると、出力アーム18がロッカアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせ、吸気バルブ9の開閉動作が行われる。そして、バルブリフト可変機構14では、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が変更されることで、上記吸気バルブ9の最大リフト量、及び吸気カム11aの吸気バルブ9に対する作用角を可変とする。即ち、入力アーム17と出力アーム18とを揺動方向について互いに接近させるほど、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は小となってゆく。逆に、入力アーム17と出力アーム18とを揺動方向について互いに離間させるほど、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は大となってゆく。
次に、上記バルブリフト可変機構14のシリンダヘッド2への取り付け構造、及びバルブリフト可変機構14の駆動に用いられる上記ロッカシャフト15及びコントロールシャフト16のシリンダヘッド2への取り付け構造について、図2〜図4を参照して説明する。
図2は、シリンダヘッド2の上部に形成されたカムキャリア41を上方から見た平面図である。
このカムキャリア41には複数の立壁部45が各気筒に対応して互いに平行となるように設けられている。これら立壁部45は内燃機関の軽量化を図るべくアルミ合金等の軽量な材料によって形成されている。そして、各立壁部45の間には内燃機関の各気筒に対応して上記バルブリフト可変機構14が配設されている。バルブリフト可変機構14の駆動に用いられる上記ロッカシャフト15及びコントロールシャフト16は、各バルブリフト可変機構14及び各立壁部45を貫通している。そして、各バルブリフト可変機構14は、ロッカシャフト15を介して上記各立壁部45に支持されている。また、同機構14の入力アーム17及び出力アーム18は立壁部45に挟まれた状態となっており、その立壁部45によって入力アーム17及び出力アーム18のロッカシャフト15の軸線方向についての変位が規制されている。
このカムキャリア41には複数の立壁部45が各気筒に対応して互いに平行となるように設けられている。そして、これら立壁部45の間には、内燃機関の各気筒に対応して上記バルブリフト可変機構14が配設されている。バルブリフト可変機構14の駆動に用いられる上記ロッカシャフト15及びコントロールシャフト16は、各バルブリフト可変機構14及び各立壁部45を貫通している。そして、各バルブリフト可変機構14は、ロッカシャフト15を介して上記各立壁部45に支持されている。
ロッカシャフト15はパイプ状に形成されており、ロッカシャフト15の内部には上記コントロールシャフト16が回転可能に支持されている。そして、コントロールシャフト16は、各気筒毎に設けられた複数の軸材16aを、軸線方向に直列となる状態で互いに当該軸線方向に相対移動可能に、かつ周方向に一体回転可能に連結することにより形成されている。また、ロッカシャフト15は、各軸材16a毎に設けられており、軸材16aの軸線方向に直列となるように、且つ互いに当該軸線方向に相対移動可能に配置されている。これら複数のロッカシャフト15は、軸材16aと同じ材料で形成されている。具体的には、ロッカシャフト15と軸材16aとは共に、必要な強度を確保することを重視して鉄系材料といった強度の高い材料を用いて形成されている。
複数の軸材16aによって形成された上記コントロールシャフト16においては、その基端部(図中の左端部)がモータ47にギヤ等を介して連結されており、モータ47の回転が上記ギヤ等を介して伝達されることにより回転駆動される。各気筒のバルブリフト可変機構14は、コントロールシャフト16の回転駆動を通じて駆動され、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置を変更させる。
ここで、仮にモータ47の回転運動を回転直動変換機構等によりコントロールシャフト16の軸線方向への直線運動に変換し、そのコントロールシャフト16の直線運動を通じてバルブリフト可変機構をすることも考えられるが、この場合は上記回転直動変換機構等を設けなければならない分だけモータ47側の構造が複雑になる。しかし、この実施形態のようにコントロールシャフト16の回転駆動を通じてバルブリフト可変機構14を駆動するようにすれば、モータ47の回転をそのままコントロールシャフト16へと伝達するだけでよくなり、上述したモータ47側の構造が複雑になるという不具合の発生を回避することができる。
図3は、コントロールシャフト16を形成する各軸材16a同士の連結構造、並びに、それら軸材16aとロッカシャフト15との立壁部45への取付構造を示す断面図である。
立壁部45は、シリンダヘッド2に形成されたアルミ合金等の軽量材料からなる軸受け42の上側に、同じくアルミ合金等の軽量材料からなるカムキャップ43を、ボルト44で取り付けることによって形成されている。このカムキャップ43の下面には穴46が形成されており、その穴46にはロッカシャフト15及びコントロールシャフト16の軸材16aの位置決めを行うための位置決めピン48が挿入されている。ロッカシャフト15及びコントロールシャフト16は、立壁部45における軸受け42とカムキャップ43との間を貫通している。
コントロールシャフト16の軸材16aにおいて、その一端部(図中右端部)には突部49が形成され、他端部(図中左端部)には上記突部49を挿入するためのスリット50が形成されている。これら突部49及びスリット50の詳細な形状をそれぞれ図4及び図5に示す。図4に示されるように、上記突部49は軸材16aの径方向に延びる板状に形成されており、軸材16aの突部49の近傍には同軸材16aの外周面の周方向に沿って環状に延びる位置決め溝51が形成されている。また、図5に示されるように、上記スリット50も軸材16aの径方向に延びるように形成されている。
各軸材16aは、図3に示されるように、軸材16aの突部49を他の軸材16aのスリット50に挿入することで、軸線方向に直列となる状態で同軸線方向に相対移動可能に、かつ周方向に一体回転可能に連結されている。また、各軸材16aの外周面にはそれぞれロッカシャフト15が軸材16aに対して軸線方向及び周方向に相対移動可能に取り付けられている。これにより各ロッカシャフト15が軸材16aの軸線方向に直列となるように配置される。また、これら各ロッカシャフト15における軸材16aの位置決め溝51に対応する部分には位置決め孔52が形成されている。
そして、位置決め溝51と位置決め孔52とが連通するようロッカシャフト15と軸材16aとを位置合わせした状態で、位置決めピン48が上記位置決め溝51及び位置決め孔52に挿入されるよう、カムキャップ43をボルト44で軸受け42に取り付けることで、ロッカシャフト15及び軸材16aが位置決めピン48により位置決めされる。より詳しくは、各軸材16aは互いの間にクリアランスCを有する状態で位置決めピン48により軸線方向について位置決めされる。また、各ロッカシャフト15も互いの間にクリアランスCを有する状態で位置決めピン48により軸線方向について位置決めされる。上記クリアランスCの大きさは、ロッカシャフト15及び軸材16aの熱膨張を吸収可能な大きさに設定されている。
なお、軸材16a及びロッカシャフト15の長さ、並びに、位置決めピン48、位置決め孔52及び位置決め溝51の位置は、上述したように位置決めピン48によってロッカシャフト15及び軸材16aを位置決めしたとき、各軸材16aの間、及び各ロッカシャフト15の間に上記クリアランスCを形成できるように定められている。また、位置決めピン48によって軸材16aを位置決めした状態でコントロールシャフト16が回転するときには、その回転が位置決めピン48と位置決め溝51との上記回転方向についての相対移動によって許容される。
次に、バルブリフト可変機構14の内部構造について、図6〜図9を参照して説明する。
図6は、バルブリフト可変機構14における入力アーム17及び出力アーム18の内側の構造を示す破断斜視図である。
バルブリフト可変機構14は、入力アーム17及び出力アーム18の内側に配設された円筒状のスライダ26を備えている。このスライダ26の内部には上記ロッカシャフト15が挿入され、ロッカシャフト15の内部には上記コントロールシャフト16が挿入されている。そして、コントロールシャフト16が回転すると、その回転運動がロッカシャフト15に取り付けられたピニオンギヤ(図6には図示せず)によって、スライダ26のロッカシャフト15の軸線方向への直線運動に変換される。スライダ26の外壁において、長手方向中央部にはヘリカルスプライン27を有する入力ギヤ27aが固定され、長手方向両端部にはヘリカルスプライン29を有する出力ギヤ29aが固定されている。
一方、図7に示されるように、入力アーム17の内壁にはヘリカルスプライン28を有する円環状の内歯ギヤ28aが形成され、出力アーム18の内壁にはヘリカルスプライン30を有する円環状の内歯ギヤ30aが形成されている。そして、入力アーム17の内歯ギヤ28aはスライダ26の入力ギヤ27a(図6)と噛み合わされ、出力アーム18の内歯ギヤ30aはスライダ26の出力ギヤ29a(図6)と噛み合わされている。なお、ヘリカルスプライン27,28とヘリカルスプライン29,30とは、互いに傾斜角が異なっており、例えば互いに歯すじの傾斜方向が逆となっている。
そして、コントロールシャフト16の回転に基づきスライダ26がロッカシャフト15の軸線方向に変位すると、ヘリカルスプライン27,29とヘリカルスプライン28,30との噛み合いにより、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が変更される。具体的には、スライダ26を図6の矢印L方向に変位させるほど入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに接近するように変更され、スライダ26を矢印H方向に変位させるほど上記相対位置が互いに離間するように変更される。こうした入力アーム17及び出力アーム18の揺動方向についての相対位置の変更を通じて、吸気カム11aの回転により出力アーム18が揺動したときの吸気バルブ9の最大リフト量、及び吸気カム11aの作用角が可変とされる。
図8は、入力アーム17、出力アーム18、スライダ26及びロッカシャフト15等の内部構造を示す断面図である。
同図に示されるように、ロッカシャフト15には同シャフト15の軸線方向に延びる長穴33が形成され、その長穴33内には軸材16aの回転運動をスライダ26のロッカシャフト15の軸線方向への直線運動に変換するためのピニオンギヤ34が設けられている。このピニオンギヤ34においては、その中心軸線が軸材16aの径方向に延びるように設けられている。また、位置決めピン48からピニオンギヤ34までの距離は各気筒毎に等しくされている。すなわち、上記距離が各気筒で等しくなるようピニオンギヤ34及び位置決め孔52等の位置が定められている。図9は、上記ピニオンギヤ34をその上方から見た平面図である。同図に示されるように、ピニオンギヤ34の中心軸35の両端部は長穴33の対向する壁面に形成された凹部36に上方から挿入されており、これによってピニオンギヤ34が凹部36によって中心軸線周りに回転可能に支持される。
図8に示されるように、軸材16aの外周面における上記ピニオンギヤ34に対応する部分には、同ピニオンギヤ34と噛み合う雄ねじ32が形成されている。従って、軸材16a(コントロールシャフト16)が回転駆動されると、雄ねじ32と噛み合うピニオンギヤ34がその中心軸線周りに回転する。また、スライダ26の長手方向中央部の内周面には、ピニオンギヤ34と噛み合うとともにロッカシャフト15の軸線方向に並ぶギヤ37を備えるギヤ面38が形成されている。このギヤ37はピニオンギヤ34に対しロッカシャフト15の周方向に相対移動可能となっている。そして、ピニオンギヤ34がその中心軸線周りに回転すると、ギヤ面38のギヤ37がピニオンギヤ34によってロッカシャフト15の軸線方向に押され、スライダ26が上記軸線方向に変位する。
この実施形態では、軸材16a(コントロールシャフト16)が正回転してピニオンギヤ34がその中心軸線周りに右方向に回転すると、スライダ26が図中の矢印H方向に変位する。また、軸材16aが逆回転してピニオンギヤ34がその中心軸線周りに左方向に回転すると、スライダ26が図中の矢印L方向に変位する。このため、軸材16aの正回転時には、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに離間するように変更され、吸気バルブ9の最大リフト量、及び吸気カム11aの作用角が大となる。また、軸材16aの逆回転時には、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに接近するように変更され、吸気バルブ9の最大リフト量、及び吸気カム11aの作用角が小となる。
なお、吸気カム11aの回転により入力アーム17及び出力アーム18を揺動させて吸気バルブ9を開閉駆動する際には、その入力アーム17及び出力アーム18の揺動に伴いスライダ26もロッカシャフト15の外周面に対し周方向に変位(回動)する。このとき、スライダ26のギヤ面38のギヤ37はピニオンギヤ34に対し上記周方向(図8の紙面と直交する方向)する方向に摺動可能なため、スライダ26の上記変位が妨げられることはない。
また、スライダ26のギヤ37がピニオンギヤ34に対し上記のように摺動するとき、ギヤ37とピニオンギヤ34との間の摩擦力により同ピニオンギヤ34がロッカシャフト15の周方向に変位しようとする。仮に、上記摩擦力によってピニオンギヤ34がロッカシャフト15の周方向に変位したとすると、ピニオンギヤ34が軸材16aの雄ねじ32と噛み合っている関係から、同ピニオンギヤ34がその中心軸線周りに回転してスライダ26が適正位置からロッカシャフト15の軸線方向にずれてしまう。その結果、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置も変わってしまい、吸気バルブ9の最大リフト量、及び吸気カム11aの作用角が適正状態からずれることになる。しかし、上記摩擦力に起因するピニオンギヤ34の周方向への変位は、長穴33の対向面に形成された凹部36によって規制されるため、上述した最大リフト量及び作用角の適正状態からのずれは抑制される。
次に、この実施形態における軸材16a(コントロールシャフト16)をスライダ26に係合させる構造、及びスライダ26をロッカシャフト15の軸線方向に移動させる構造を採用した場合の効果について、従来と比較しながら図10及び図11を参照して説明する。なお、図10では従来のコントロールシャフト等を模式的に示しており、図11では本実施形態のコントロールシャフト16及びロッカシャフト15等を模式的に示している。
従来においては、一本のコントロールシャフトに対し各気筒のバルブリフト可変機構のスライダが係合部材を介して係合されていた。この各気筒毎の係合部材によるスライダのコントロールシャフトに対する係合位置を図10(a)の黒三角で示す。この場合、アクチュエータにより上記コントロールシャフトをその軸線方向に変位させることで、同シャフトに対し係合部材を介して係合されたスライダが上記軸線方向に変位する。その結果、各気筒で入力アームと出力アームとの揺動方向についての相対位置が同時に変更され、吸気バルブの最大リフト量及び吸気カムの作用角といったバルブ特性が各気筒で同時に変更されることとなる。
ところで、内燃機関の運転時にコントロールシャフトがその軸線方向に膨張する際、同シャフトが図10(b)に示されるようにアクチュエータに連結される側の端部を基準として上記軸線方向に延びると、上記係合位置が図10(a)に黒三角で示される位置から図10(b)に黒三角で示される位置へとずれる。こうした係合位置の適正位置からのずれによってスライダが適正位置から上記軸線方向にずれると、それに起因して入力アームと出力アームとの揺動方向についての相対位置がずれ、バルブ特性が適正状態からずれることは[課題が解決しようとする課題]の欄に記載したとおりである。
そして、図中の黒三角で示される係合位置の上記熱膨張に伴う適正位置からのずれ量は、コントロールシャフトの上記端部から離れた気筒ほど大となる。より詳しくは、一番気筒〜四番気筒の上記ずれ量をそれぞれ「z1」、「z2」、「z3」、「z4」とすると、それらずれ量z1〜z4は「z1<z2<z3<z4」という関係を有する。これは、上記端部を基準位置とする係合位置までの距離が一番気筒、二番気筒、三番気筒、四番気筒の順で大きくなるためである。すなわち、一番気筒〜四番気筒における上記距離をそれぞれ「x1」、「x2」「x3」「x4」とすると、それら距離は「x1<x2<x3<x4」という関係を有し、一番気筒、二番気筒、三番気筒、四番気筒の順で上記端部と上記係合位置との間にあるコントロールシャフトの材料量が多くなる。その結果、上記端部を基準位置とする上記係合位置でのコントロールシャフトの軸線方向についての熱膨張量、言い換えれば上記ずれ量z1〜z4が一番気筒、二番気筒、三番気筒、四番気筒の順で多くなる。
このように、上記ずれ量z1〜z4が「z1<z2<z3<z4」という関係を有することから、上記端部から離れて位置する気筒ほど、すなわち一番気筒、二番気筒、三番気筒、四番気筒の順で吸気バルブのバルブ特性の適正状態からのずれが大となってゆく。従って、コントロールシャフトに軸線方向についての熱膨張が生じると、それに伴うバルブ特性の適正状態からのずれが気筒毎に大きくばらつくことになる。この場合、いずれかの気筒の上記ずれ量z1〜z4を考慮してコントロールシャフトを軸線方向に駆動することにより当該気筒での上記ずれ量をなくすことはできても、その他の気筒ではバルブ特性が適正状態からずれることになり、同気筒での燃焼状態の悪化を招くおそれがある。
これに対し、本実施形態では、図11(a)に示されるようにコントロールシャフト16が複数の軸材16aによって形成されており、各軸材16aの雄ねじ32には同軸材16aに対しスライダ26を係合させるためのピニオンギヤ34が噛み合わされている。そして、内燃機関の運転時におけるコントロールシャフト16の熱膨張時には、各軸材16aが位置決めピン48の位置を基準として軸線方向に伸び、それに伴い図11(b)に示されるように各軸材16a間のクリアランスCが小さくなる。また、このように軸材16a(コントロールシャフト16)が熱膨張するときには、各軸材16aに対応するロッカシャフト15も軸材16aと同じ熱膨張率で膨張する。その結果、各ロッカシャフト15も位置決めピン48の位置を基準として軸線方向に伸び、それに伴い各ロッカシャフト15間のクリアランスCも小さくなる。
ここで、ロッカシャフト15のピニオンギヤ34、及び軸材16aの雄ねじ32における同ピニオンギヤ34と噛み合う部分、言い換えれば軸材16aに対するピニオンギヤ34によるスライダ26の係合位置は、ロッカシャフト15及び軸材16aの軸線方向への熱膨張によって適正位置からずれる。このときのずれ量は各気筒で等しくなる。すなわち、一番気筒〜四番気筒における各々のずれ量Z1〜Z4は「Z1=Z2=Z3=Z4」という関係を有する。これは、位置決めピン48を基準位置とするピニオンギヤ34までの距離、言い換えれば位置決めピン48を基準位置とする雄ねじ32におけるピニオンギヤ34と噛み合う部分までの距離が各気筒で等しくされているためである。すなわち、一番気筒〜四番気筒における上記距離をそれぞれ「X1」、「X2」「X3」「X4」とすると、それら距離は「X1=X2=X3=X4」という関係を有する。このため、位置決めピン48とピニオンギヤ34との間にあるロッカシャフト15の材料量、及び、位置決めピン48と雄ねじ32におけるピニオンギヤ34と噛み合う部分との間にある軸材16aの材料量は、各気筒で等しくなる。その結果、位置決めピン48を基準位置とするロッカシャフト15におけるピニオンギヤ34の位置での熱膨張量、及び、位置決めピン48を基準位置とする軸材16aにおける雄ねじ32のピニオンギヤ34と噛み合う部分での熱膨張量、言い換えれば上記ずれ量Z1〜Z4が各気筒で等しくなる。
熱膨張によって上記ずれ量Z1〜Z4が生じ、各気筒において軸材16aに対するピニオンギヤ34によるスライダ26の係合位置が適正位置から上記軸線方向にずれると、スライダ26も適正位置から上記軸線方向にずれ、それに起因して各気筒のバルブ特性が適正状態からずれる。しかし、上記ずれ量Z1〜Z4の各気筒間でのばらつきが防止され、それらずれ量Z1〜Z4が各気筒間で等しくされるため、バルブ特性の適正状態からずれを各気筒間で一致させることができる。従って、上記ずれ量Z1〜Z4に起因する各気筒でのバルブ特性の適正状態からのずれをなくすよう、コントロールシャフト16(軸材16a)を回転駆動することで、各気筒すべてでバルブ特性を適正状態とすることができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)上記位置決めピン48からピニオンギヤ34までの距離X1〜X4、言い換えれば位置決めピン48から雄ねじ32におけるピニオンギヤ34が噛み合わされる部分までの距離X1〜X4は、各気筒で等しくされている。従って、ロッカシャフト15及び軸材16aが軸線方向に熱膨張したとき、位置決めピン48を基準位置とするピニオンギヤ34の適正位置からのずれ量Z1〜Z4、言い換えれば位置決めピン48を基準位置とする雄ねじ32におけるピニオンギヤ34の噛み合う部分の適正位置からのずれ量Z1〜Z4を、各気筒で等しくすることができる。従って、そのずれに起因するバルブ特性の適正状態からのずれも各気筒で等しくなり、そのずれをなくすようコントロールシャフト16を回転駆動することで、各気筒すべてでバルブ特性を適正状態とすることができる。
(2)軸材16a及びロッカシャフト15を各気筒毎に設け、それら軸材16a及びロッカシャフト15を気筒毎に位置決めピン48で位置決めしたため、上記距離X1〜X4を小さく抑えることが可能になる。この距離X1〜X4が長くなるほど上記ずれ量Z1〜Z4は大となることから、上記のように距離X1〜X4を小さく抑えることで、ずれ量Z1〜Z4を可能な限り小とすることができる。従って、ずれ量Z1〜Z4に伴うバルブ特性の適正状態からのずれも可能な限り小さく抑えることができる。
(3)コントロールシャフト16(軸材16a)の回転時には、軸材16aの雄ねじ32と噛み合うピニオンギヤ34がその中心軸線周りに回転し、更にピニオンギヤ34と噛み合うスライダ26が同ピニオンギヤ34によってロッカシャフト15の軸線方向に押される。このようにコントロールシャフト16の回転運動をピニオンギヤ34によって的確にスライダ26の上記軸線方向への直線運動に変換することができる。
(4)コントロールシャフト16の回転運動をピニオンギヤ34によってスライダ26の直線運動に変換しているため、コントロールシャフト16をモータ47によって回転させるだけでバルブリフト可変機構14を駆動してバルブ特性を可変とすることができる。仮に、バルブリフト可変機構の駆動をコントロールシャフトの軸線方向への駆動を通じて行うようにしたとすると、モータ47とコントロールシャフトとの間に、同モータ47の回転運動をコントロールシャフトの軸線方向への直線運動に変換するための回転直動変換機構を設ける必要が生じる。こうした回転直動変換機構としては、例えばボールねじを用いた機構があげられる。従って、こうした回転直動変換機構を設ける分だけ、モータ47側の構造が複雑になるという不具合が生じる。しかし、バルブリフト可変機構14の駆動をコントロールシャフト16の回転駆動を通じて行うようにすれば、モータ47の回転をそのままコントロールシャフト16へと伝達するだけでよくなり、上述したモータ47側の構造が複雑になるという不具合の発生を回避することができる。
(5)ピニオンギヤ34が取り付けられたロッカシャフト15は、コントロールシャフト16の軸材16aと同じ材料で形成されている。このため、軸材16aが位置決めピン48を基準として軸線方向に膨張したときには、その軸材16aに対応するロッカシャフト15も位置決めピン48を基準として上記軸線方向に軸材16aと同じ熱膨張率で膨張する。従って、このときの熱膨張に起因して、軸材16aの雄ねじ32とロッカシャフト15のピニオンギヤ34との上記軸線方向について相対位置が変化することは抑制される。仮に、上述した相対位置の変化が生じたとすると、その変化に対応する分だけピニオンギヤ34が回転することから、スライダ26が上記軸線方向に変位してバルブ特性がずれるが、こうしたバルブ特性のずれの発生を抑制することができる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・ロッカシャフト15の材料と軸材16aの材料とを異なる材料としてもよい。この場合、ロッカシャフト15及び軸材16aの熱膨張時、それらの熱膨張率の違いに起因して雄ねじ32とピニオンギヤ34との上記軸材16aの軸線方向についての相対位置が変化し、その相対位置の変化分だけバルブ特性がずれることになる。しかし、こうしたバルブ特性のずれは各気筒で等しく生じるため、そのずれをなくすようコントロールシャフト16を回転駆動すれば、各気筒すべてのバルブ特性を適正状態とすることができる。なお、ロッカシャフト15の材料と軸材16aの材料とを異なる材料とする場合であっても、それらの材料としては可能な限り熱膨張率の近い材料を用い、上記バルブ特性のずれを小さく抑えることが好ましい。
・コントロールシャフト16(軸材16a)に対するスライダ26の係合は、ピニオンギヤ34を用いる代わりに、図12に示されるような係合部材61を用いて実現することも可能である。
この係合部材61は、スライダ26の内周面に周方向に延びるように形成された溝64に挿入されるブッシュ62と、そのブッシュ62を貫通するとともにロッカシャフト15の長穴33を貫通した状態で雄ねじ32に噛み合わされるピン63とを備えている。図13は上記係合部材61を図12の上側から見た平面図である。この係合部材61のブッシュ62とスライダ26の溝64とは、スライダ26の周方向(図中の上下方向)について相対移動可能となっている。また、係合部材61のピン63とロッカシャフト15の長穴33とは上記周方向についての相対移動が不能であり、且つロッカシャフト15の軸線方向(図中の左右方向)についての相対移動は可能となっている。
そして、図12に示されるコントロールシャフト16(軸材16a)を回転させると、軸材16aの雄ねじ32と噛み合う係合部材61が長穴33に沿って軸材16aの軸線方向に変位し、スライダ26における溝64の内側面を上記軸線方向に押すため、スライダ26がバルブ特性を変更すべく上記軸線方向に変位する。従って、この場合においては軸材16aの回転運動を係合部材61によって的確にスライダ26の直線運動へと変換することができる。また、係合部材61はロッカシャフト15に対しその軸線方向に相対移動可能な関係にあるため、ロッカシャフト15の軸方向についての熱膨張が係合部材61の位置に影響を及ぼすことはない。従って、ロッカシャフト15を各軸材16a毎に設ける必要はなく、例えば全気筒共通の一本のロッカシャフトだけ設けることも可能になる。
なお、スライダ26が入力アーム17及び出力アーム18の揺動に伴って周方向に揺動するとき、スライダ26の溝64が係合部材61のブッシュ62に対して摺動し、両者の間の摩擦力によって係合部材61も上記周方向に揺動しようとする。しかし、スライダ26の揺動につられての係合部材61の揺動は、ロッカシャフト15の長穴33の内側面によって規制される。
・上述した距離X1〜X4を必ずしも一致させる必要はない。距離X1〜X4を一致させていなくても、各気筒毎に軸材16a及びロッカシャフト15を設けていれば、距離X1〜X4を小さく抑えることができる。その結果、軸材16a及びロッカシャフト15における軸線方向についての熱膨張量も小さく抑えることができ、ひいては熱膨張時のバルブ特性の適正状態からのずれの各気筒間のばらつきを小さく抑えることができる。従って、いずれかの気筒でバルブ特性の適正状態からのずれをなくすようコントロールシャフト16を回転駆動したとき、その他の気筒でバルブ特性が適正状態から大きくずれたままとなることによる燃焼状態の悪化を抑制することができる。なお、距離X1〜X4を一致させない場合であっても、距離X1〜X4を可能な限り近い値とし、上記バルブ特性の適正状態からのずれの各気筒間のばらつきを極力小さく抑えることが好ましい。
・ロッカシャフト15及び軸材16aを必ずしも各気筒毎に設ける必要はない。例えば、一番気筒と二番気筒との二つの気筒、及び、三番気筒と四番気筒との二つの気筒といった隣り合う二つの気筒毎に、一つのロッカシャフト及び軸材を設けるようにしてもよい。また、一番気筒〜四番気筒のうち、連続した三つの気筒に対応して一つのロッカシャフト及び軸材を設け、残りの気筒に対応して一つのロッカシャフト及び軸材を設けてもよい。この場合、各気筒における上記距離X1〜X4すべてを一致させることはできないが、それら距離X1〜X4のばらつきを小さく抑えることはでき、ロッカシャフト及び軸材の熱膨張時におけるバルブ特性の適正状態からのずれの各気筒間でのばらつきを小さく抑えることはできる。
・立壁部45、すなわち軸受け42及びカムキャップ43を、アルミ合金以外の材料で形成してもよい。
・ロッカシャフト15及び軸材16aを、鉄系材料以外の高強度材料で形成してもよい。
本実施形態の可変動弁装置が適用されるエンジンのシリンダヘッド周りの構造を示す拡大断面図。 シリンダヘッドのカムキャリアを示す平面図。 コントロールシャフトを形成する各軸材同士の連結構造、並びに、それら軸材とロッカシャフトとの立壁部への取付構造を示す断面図。 上記軸材の一方の端部を示す拡大斜視図。 上記軸材の他方の端部を示す拡大斜視図。 バルブリフト可変機構の内部構造を示す破断斜視図。 入力アーム及び出力アームの内部構造を示す破断斜視図。 入力アーム、出力アーム、スライダ及びロッカシャフト等の内部構造を示す断面図。 ロッカシャフトに支持されたピニオンギヤをその上方から見た平面図。 (a)及び(b)は、従来のコントロールシャフトにおける軸線方向についての熱膨張を示す模式図。 (a)及び(b)は、この実施形態のコントロールシャフト及びロッカシャフトにおける軸線方向についての熱膨張を示す模式図。 軸材とスライダとの係合をピニオンギヤの代わりに他の係合部材を用いて実現した例を示す断面図。 上記係合部材周りをその上方から見た平面図。
符号の説明
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…シリンダブロック、5…ピストン、6…燃焼室、7…吸気通路、8…排気通路、9…吸気バルブ、10…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、11a…吸気カム、12…排気カムシャフト、12a…排気カム、14…バルブリフト可変機構、15…ロッカシャフト、16…コントロールシャフト、16a…軸材、17…入力アーム、18…出力アーム、19…ローラ、20…コイルスプリング、21…ロッカアーム、22…ラッシュアジャスタ、23…ローラ、24…バルブスプリング、26…スライダ、27…ヘリカルスプライン、27a…入力ギヤ、28…ヘリカルスプライン、28a…内歯ギヤ、29…ヘリカルスプライン、29a…出力ギヤ、30…ヘリカルスプライン、30a…内歯ギヤ、32…雄ねじ、33…長穴、34…ピニオンギヤ(係合部材)、35…中心軸、36…凹部、37…ギヤ、38…ギヤ面、41…カムキャリア、42…軸受け、43…カムキャップ、44…ボルト、45…立壁部、46…穴、47…モータ、48…位置決めピン、49…突部、50…スリット、51…位置決め溝、52…位置決め孔、61…係合部材、62…ブッシュ、63…ピン、64…溝。

Claims (5)

  1. 内燃機関の各気筒毎に設けられて機関バルブのバルブ特性の変更に用いられるスライダと、それらスライダに対し係合部材を介して同スライダと係合されるコントロールシャフトとを備え、前記コントロールシャフトを駆動して前記スライダを同シャフトの軸線方向に変位させることにより各気筒の機関バルブのバルブ特性を可変とする内燃機関の可変動弁装置において、
    前記コントロールシャフトは、複数の軸材を互いに軸線方向に相対移動可能に且つ周方向に一体回転可能に連結して形成されるとともに、モータにより軸線を中心とする回転方向に回転駆動されるものであって、
    前記係合部材は、前記軸材の回転に基づき、前記スライダを前記軸線方向に変位させるものであり、
    前記複数の軸材は、互いの間にクリアランスを有する状態で、位置決めピンにより前記軸線方向についての位置決めがなされている
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 前記軸材は、内燃機関の気筒毎に設けられている請求項1記載の内燃機関の可変動弁装置。
  3. 複数の軸材における前記位置決めピンと前記係合部材との距離は、各軸材間で等しくされている請求項2記載の内燃機関の可変動弁装置。
  4. 前記係合部材は、前記軸材の外周面に形成された雄ねじと噛み合い、同軸材の回転時に前記スライダを前記軸線方向に押すものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  5. 請求項4記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記各軸材毎に設けられて内部に同軸材を回転可能に支持する複数のパイプ状のロッカシャフトを備え、
    前記ロッカシャフトの各々は、前記軸材と同じ材料で形成され、前記軸材の軸線方向に直列となるように、かつ互いの間にクリアランスを有する状態で配置されており、
    前記位置決めピンは、前記軸材とともに同軸材に対応する前記ロッカシャフトの前記軸線方向の位置決めを行うものであり、
    前記係合部材は、前記軸材の径方向を中心軸線の延びる方向とするピニオンギヤであって、前記中心軸線周りに回転可能となるよう前記ロッカシャフトに支持されるとともに、前記軸材の雄ねじ及び前記スライダに形成されたギヤ面と噛み合うものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
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