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JP2007218230A - エコラン制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両に搭載されたバッテリの放電電気量によるエコランが実施されやすくする。
【解決手段】エコラン制御装置10は、エコラン許可判定部46により、メインバッテリが放電できる放電電気量およびサブバッテリが放電できる放電電気量の両方に基づいてエコランを許可するか禁止するかを判定するようにしたので、サブバッテリの放電電気量が所定値以上であればエコランを許可でき、また、サブバッテリの放電電気量が少ない場合でもメインバッテリの放電電気量が所定値以上であればエコランを許可できるようになる。
【選択図】図3

Description

本発明はエコラン制御装置に関し、特に車載電気ユニットへの電源供給を行うメインバッテリと、エコランからのエンジン再始動時にメインバッテリの電圧低下を抑制するサブバッテリとを備えた車両にて、所定のエンジン停止条件が成立するとエンジンを自動的に停止し、所定のエンジン再始動条件が成立するとエンジンを自動的に再始動するエコラン制御装置に関する。
現在、車両には、所定のエンジン停止条件が成立するとエンジンを自動的に停止し、所定のエンジン再始動条件が成立するとエンジンを自動的に再始動するエコランシステムが搭載されているものがある。
このような車両において、エンジンを停止したエコラン実施中は発電していないにも拘らずカーオーディオなどの車載電気ユニットを使用できるので、バッテリのバッテリ電圧値の低下が予測される。エンジンを再始動してエコランから復帰する場合に、このバッテリ電圧値の低下のために車載電気ユニットが電源供給を制限されてリセットされることや、エンジンを再始動できないことなどが考えられる。
このようなバッテリ電圧値の低下を防止するため、バッテリ電圧値を計測し、このバッテリ電圧値の落ち込みが大きい場合にはエンジンの自動停止を禁止し、エコランを禁止する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
また、車両にエンジン再始動時におけるバッテリ電圧値の低下分を補うためのサブバッテリ(キャパシタ)が搭載されているものがあり、サブバッテリが所定の充電状態となるまではエンジンの自動停止を禁止し、エコランを禁止する技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照。)。
特開2002−115578号公報 特開2004−251234号公報
しかし、従来の技術では、バッテリまたはサブバッテリの放電電気量に余裕がない場合、エコランを実施しないようにしているので、バッテリの放電電気量に余裕があってもサブバッテリの放電電気量に余裕がなければ、エコランを実施できないことから、エコランを実施できる機会を少なくしているという問題点があった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、エコランが実施されやすいエコラン制御装置を提供することを目的とする。
本発明では、上記課題を解決するために、車載電気ユニットへの電源供給を行う第1のバッテリと、エコランからのエンジン再始動時に前記第1のバッテリの電圧低下を抑制する第2のバッテリとを備えた車両にて、所定のエンジン停止条件が成立するとエンジンを自動的に停止し、所定のエンジン再始動条件が成立すると前記エンジンを自動的に再始動するエコラン制御装置において、エンジン始動のために前記第1のバッテリが放電できる放電電気量および前記第2のバッテリが放電できる放電電気量と、エンジン始動時から前記エンジンが完爆するまでの間に必要とされる電気量とに基づき、エコランを許可するか禁止するかの判定をするエコラン許可判定手段を備えていることを特徴とするエコラン制御装置が提供される。
このようなエコラン制御装置によれば、第1および第2のバッテリが放電できる放電電気量の両方に基づいてエコランを許可するか禁止するかを判定するようにしたので、第2のバッテリの放電電気量が所定値以上であればエコランを許可でき、また、第2のバッテリの放電電気量が少ない場合でも第1のバッテリの放電電気量が所定値以上であればエコランを許可できるようになる。
本発明のエコラン制御装置は、第1および第2のバッテリが放電できる放電電気量の両方に基づいてエコランを許可するか禁止するかを判定するようにしたので、第2のバッテリの放電電気量が所定値以上であればエコランを許可でき、また、第2のバッテリの放電電気量が少ない場合でも第1のバッテリの放電電気量が所定値以上であればエコランを許可できるようになる。このように、エコラン頻度が増加することにより、車両の燃費を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、エコラン制御システムのハードウェア構成について説明する。
図1はエコラン制御システムのハードウェアブロック図である。
エコラン制御システムは、エコランを制御するエコラン制御装置10を備え、このエコラン制御装置10には、エンジン動作中に発電するオルタネータ11、車載電気ユニット12、この車載電気ユニット12への電源供給を行うメインバッテリ13、および、エコランからのエンジン再始動時にメインバッテリ13の電圧低下を抑制するサブバッテリ(たとえば、キャパシタなどの蓄電池)14が電源ライン15を介して接続されている。
メインバッテリ13には、電圧を検出する電圧センサ16、電流を検出する電流センサ17および温度を検出する温度センサ18が設けられ、これらの電圧センサ16、電流センサ17および温度センサ18の出力端子は図示はしないがエコラン制御装置10に接続されている。また、サブバッテリ14には、電圧センサ19、電流センサ20および温度センサ21が設けられ、これらの電圧センサ19、電流センサ20および温度センサ21の出力端子は図示はしないがエコラン制御装置10に接続されている。
車載電気ユニット12は、車両に搭載される電気ユニットであり、たとえば、エンジン制御システムやブレーキ制御システムなどの電子制御ユニットやカーオーディオなどが挙げられる。
エコラン制御装置10は、メインバッテリ13の電圧センサ16、電流センサ17および温度センサ18により検出された信号、および、サブバッテリ14の電圧センサ19、電流センサ20および温度センサ21により検出された信号に基づき、メインバッテリ13のメインバッテリ電圧値が所定電圧変動する間にメインバッテリ13から放電される放電電気量、サブバッテリ14が放電できる放電電気量、エンジン始動時からエンジンが完爆するまでの間のメインバッテリ電圧値の電圧降下量を算出する。これらの算出結果に基づき、エコラン制御装置10は、エコランを許可するか禁止するかの判定をする。
次に、エコラン制御装置10のハードウェア構成について説明する。
図2はエコラン制御装置のハードウェアブロック図である。
エコラン制御装置10は、マイクロコンピュータ(マイコン)30を備え、このマイコン30は、エコラン制御装置10内のバス31に接続されていて、I/F(Interface)32を介して外部の信号ライン33に接続されている。
マイコン30は、CPU(Central Processing Unit)34を有し、CPU34には、ROM(Read Only Memory)35およびRAM(Random Access Memory)36がマイコン30内のバス37を介して接続されている。また、CPU34には、バス31がバス37を介して接続されている。
CPU34は、エコラン制御装置10全体を制御する。RAM36には、CPU34が実行するOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM36には、CPU34の処理に必要な各種データが格納される。ROM35には、OSのプログラムやアプリケーションプログラムなどが格納される。
このアプリケーションプログラムは、エコラン制御装置10が実行するメインバッテリ状態検出処理、サブバッテリ状態検出処理、電圧降下量算出処理、エコラン許可判定処理のためのプログラムなどを含んでいる。
次に、エコラン制御装置10の機能構成について説明する。
図3はエコラン制御装置の機能ブロック図である。
エコラン制御装置10は、メインバッテリ監視部41、サブバッテリ監視部42、メインバッテリ状態検出部43、サブバッテリ状態検出部44、電圧降下量算出部45およびエコラン許可判定部46を備えている。
メインバッテリ監視部41は、電圧センサ16、電流センサ17および温度センサ18がそれぞれ検出したメインバッテリ13のメインバッテリ電圧値、メインバッテリ電流値およびバッテリ液温度をサンプリングする。また、サブバッテリ監視部42は、電圧センサ19、電流センサ20および温度センサ21がそれぞれ検出したサブバッテリ14のサブバッテリ電圧値、サブバッテリ電流値およびバッテリ雰囲気温度をサンプリングする。
これらのサンプリング結果に基づき、メインバッテリ状態検出部43は、メインバッテリ電圧値が所定電圧変動する間にメインバッテリ13から放電される放電電気量を示すメインバッテリ容量を算出し、サブバッテリ状態検出部44は、サブバッテリ14が放電できる放電電気量を示すサブバッテリ容量を取得し、電圧降下量算出部45は、エンジン始動時からエンジンが完爆するまでの間のメインバッテリ電圧値の電圧降下量を算出する。
これらの算出結果に基づき、エコラン許可判定部46は、メインバッテリ13およびサブバッテリ14からエンジン始動のために供給できる電気量とエンジン始動時からエンジンが完爆するまでの間に必要とされる電気量とを比較することで、エコランを許可するか禁止するかの判定をする。
次に、メインバッテリ状態検出部43による処理について説明する。
図4はメインバッテリ状態検出処理を示すフローチャートである。
メインバッテリ状態検出部43は、スタータ駆動によりエンジンが始動された場合、メインバッテリ状態検出処理プログラムにより以下のステップに従った処理を実行する。
[ステップS11]CPU34は、スタータ駆動によりエンジンが始動されたか否かを判定する。始動された場合、処理はステップS12に進み、始動されていない場合、メインバッテリ状態検出処理は終了する。
[ステップS12]CPU34は、エンジンが始動されてから所定時間が経過したか否かを判定する。これは、エンジン始動の初期段階にスタータ突入電流が流れていて、このスタータ突入電流をメインバッテリ電流値としてサンプリングしないようにするため、エンジン始動から所定時間待つためのものである。所定時間が経過した場合、処理はステップS14に進み、所定時間が経過していない場合、処理はステップS13に進む。
[ステップS13]CPU34は、今後のメインバッテリ電圧値と比較するために現状のエンジン始動直後のメインバッテリ電圧値を始動時電圧値V0として記憶して所定の時間の経過を待つ。
[ステップS14]CPU34は、電圧センサ16および電流センサ17によりそれぞれ検出されたメインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値のサンプリングを開始する。
[ステップS15]CPU34は、今回サンプリングしたメインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値と前回サンプリングしたメインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値とから、メインバッテリ電圧値の変化量およびメインバッテリ電流値の変化量を算出し、メインバッテリ電圧値の変化量をメインバッテリ電流値の変化量で除算してバッテリ内部抵抗値Rnを算出する。すなわち、バッテリ内部抵抗値Rn(V/A)は、今回サンプリングしたメインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値をそれぞれVnow(V)およびInow(A)とし、前回サンプリングしたメインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値をそれぞれVold(V)およびIold(A)とすると、
Rn=(Vnow−Vold)/(Inow−Iold)・・・(1)
により算出される。このサンプリングごとに個別に算出されたバッテリ内部抵抗値Rnは、順次積算され、バッテリ内部抵抗値の合計値Rsumが次式のように求められる。
Rsum=R0+R1+R3+・・・+Rn・・・(2)
[ステップS16]CPU34は、ステップS12の処理で所定時間が経過してから現在までの間にメインバッテリ13から放電された放電電気量Isum0、すなわち、メインバッテリ電流値の積算値を算出する。
[ステップS17]CPU34は、ステップS14で計測したメインバッテリ電圧値V1が始動時電圧値V0よりも所定値V2以上大きいか否かを判定する。大きい場合、処理はステップS20に進み、小さい場合、処理はステップS18に進む。
[ステップS18]CPU34は、エンジンが完爆したか否かを判定する。完爆した場合、処理はステップS20に進み、完爆していない場合、処理はステップS19に進む。
[ステップS19]CPU34は、サンプリング開始から所定時間が経過したか否かを判定する。これは、エンジンが始動されて完爆していない状態が所定時間続くと、スタータが正常に駆動されていないなどのトラブルの可能性があるので、そのようなトラブルの際にはメインバッテリ状態検出処理を終了するためのものである。所定時間が経過した場合、メインバッテリ状態検出処理は終了し、所定時間が経過していない場合、処理はステップS15に戻る。
以上までの処理では、現状のメインバッテリ電圧値V1と始動時電圧値V0との差が所定値V2以上になるか、エンジンが完爆するまで、メインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値のサンプリング、バッテリ内部抵抗値の個別および合計の算出、放電電気量Isum0の算出が周期的に行われていることになる。
[ステップS20]CPU34は、ステップS16の処理で算出された放電電気量Isum0を、現状のメインバッテリ電圧値V1から始動時電圧値V0を減算した値で除算し、メインバッテリ電圧値が1V変動する間にメインバッテリ13から放電される放電電気量を示すメインバッテリ容量を算出する。すなわち、メインバッテリ容量Cm(Asec/V)は、現状のメインバッテリ電圧値をV1(V)とし、始動時電圧値をV0(V)とし、放電電気量をIsum0(Asec)とすると、
Cm=a/(|V1−V0|)×Isum0・・・(3)
により算出される。なお、定数aは、メインバッテリ13における電圧の単位変動幅で、ここでは、a=1である。
[ステップS21]CPU34は、バッテリ内部抵抗値を決定する。本実施の形態では、このバッテリ内部抵抗値は、ステップS15の処理で算出されたバッテリ内部抵抗値の合計値Rsumをサンプリング数nで除算した平均値としている。もちろん、このバッテリ内部抵抗値は、最大値または最頻値としてもよく、各バッテリ内部抵抗値の中の外れ値を削除してからバッテリ内部抵抗値を決定してもよい。
[ステップS22]CPU34は、今後のバッテリ液温度と比較するために現状のバッテリ液温度をTHB0として記憶する。
以上の処理により、エンジン始動から所定時間経過後にメインバッテリ電圧値が始動時電圧値から回復するかエンジンが完爆するまでの間に計測したメインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値に基づき、メインバッテリ容量およびバッテリ内部抵抗値を求め、最後に、バッテリ液温度を求めることで、メインバッテリ13の状態が検出される。
ここで、バッテリ内部抵抗値は、メインバッテリ電流値およびバッテリ液温度の変化によって常に変化しているので、算出されたバッテリ内部抵抗値を変化分に対応したバッテリ内部抵抗値で更新する必要がある。
次に、メインバッテリ状態検出部43によるバッテリ内部抵抗値更新処理について説明する。
図5はバッテリ内部抵抗値更新処理を示すフローチャート、図6はバッテリ液温度に対するバッテリ内部抵抗値特性を示す図である。
メインバッテリ状態検出部43は、メインバッテリ状態検出処理プログラムにより以下のステップに従った処理を繰り返し実行する。
[ステップS31]CPU34は、バッテリ内部抵抗値の初回算出が完了しているか否かを判定する。完了している場合、処理はステップS32に進み、完了していない場合、バッテリ内部抵抗値更新処理は終了する。
[ステップS32]CPU34は、現状のメインバッテリ電流値とバッテリ内部抵抗値決定時のメインバッテリ電流値との差が所定値I0以上であるか否かを判定する。ここで、メインバッテリ電流値が所定値I0以上変化すると、その分、バッテリ内部抵抗値も変化しているので、バッテリ内部抵抗値を更新する必要がある。差が所定値I0以上の場合、処理はステップS33に進み、差が所定値I0未満の場合、処理はステップS38に進む。
[ステップS33]CPU34は、電圧センサ16および電流センサ17によりそれぞれ検出されたメインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値のサンプリングを開始する。
[ステップS34]CPU34は、バッテリ内部抵抗値Rnを算出する。このバッテリ内部抵抗値Rn(V/A)は、前述の式(1)により算出される。次いで、バッテリ内部抵抗値の合計値Rsumが、前述の式(2)により算出される。
[ステップS35]CPU34は、サンプリング開始から所定時間が経過したか否かを判定する。これは、メインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値を所定時間に渡って所定周期ごとにサンプリングするためのものである。所定時間が経過した場合、処理はステップS36に進み、所定時間が経過していない場合、処理はステップS33に戻る。
以上までの処理では、サンプリング開始から所定時間が経過するまで、メインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値のサンプリング、バッテリ内部抵抗値の個別および合計の算出が周期的に行われていることになる。
[ステップS36]CPU34は、バッテリ内部抵抗値を決定する。本実施の形態では、このバッテリ内部抵抗値は、ステップS34の処理で算出されたバッテリ内部抵抗値の合計値Rsumをサンプリング数nで除算した平均値としている。もちろん、このバッテリ内部抵抗値は、最大値または最頻値としてもよく、各バッテリ内部抵抗値の中の外れ値を削除してからバッテリ内部抵抗値を決定してもよい。
[ステップS37]CPU34は、今後のバッテリ液温度と比較するために現状のバッテリ液温度をTHB0として記憶する。
[ステップS38]CPU34は、現状のバッテリ液温度とバッテリ内部抵抗値決定時のバッテリ液温度との差が所定値THB1以上であるか否かを判定する。ここで、バッテリ液温度が所定値THB1以上変動すると、その分、バッテリ内部抵抗値も変動しているので、バッテリ内部抵抗値を更新する必要がある。差が所定値THB1以上の場合、処理はステップS39に進み、差が所定値THB1未満の場合、バッテリ内部抵抗値更新処理を終了する。
ここで、メインバッテリ13は、図6に示したように、バッテリ液温度の変化に対応してバッテリ内部抵抗値が変化する温度特性を有している。この温度特性のデータは、バッテリ液温度とバッテリ内部抵抗値とが関連付けられたテーブルの形式でROM35に格納されている。
[ステップS39]CPU34は、予めROM35に格納されている上記の温度特性のデータを参照し、バッテリ液温度に対応するバッテリ内部抵抗値を取得して仮に更新する。
このステップS39の処理は、バッテリ液温度が変化しているにも拘らずメインバッテリ電流値が変化しないでバッテリ内部抵抗値の更新ができないときに、バッテリ内部抵抗値を実測値の代りに理論値のバッテリ内部抵抗値で仮に更新するものである。たとえば、高速道路などを長時間に渡って定速で走行した場合、エンジン回転数が一定なので、オルタネータ11の発電量の変化が少なくなってメインバッテリ電流値が変化しにくくなり、ステップS36の処理に進みにくくなり、バッテリ内部抵抗値が更新されにくくなる。このような状況でバッテリ液温度が大きく変化した場合にバッテリ内部抵抗値が更新されない状況を回避するため、ステップS39の処理で、バッテリ内部抵抗値を仮に更新している。なお、バッテリ内部抵抗値を仮に更新した後に、次回以降のサイクルでステップS36の処理に進むことができた場合、実測値のバッテリ内部抵抗値で更新することになる。
以上の処理により、メインバッテリ電流値が変化した場合、その変化分に応じてバッテリ内部抵抗値が更新され、メインバッテリ電流値の変化量は小さいがバッテリ液温度の変化量が大きい場合には、バッテリ液温度に対応したバッテリ内部抵抗値に更新され、常に、最新のバッテリ内部抵抗値になるようにしている。
次に、メインバッテリ状態検出部43によるメインバッテリ容量補正処理について説明する。
図7はメインバッテリ容量補正処理を示すフローチャート、図8はバッテリ液温度に対するメインバッテリ容量の補正係数特性を示す図、図9はバッテリ内部抵抗値に対するメインバッテリ容量の補正係数特性を示す図である。
メインバッテリ状態検出部43は、メインバッテリ状態検出処理プログラムにより以下のステップに従った処理を繰り返し実行する。
ここで、メインバッテリ13は温度特性を有しているので、バッテリ液温度が変化した分メインバッテリ容量も変化している。このメインバッテリ容量の変化分に対応するため、メインバッテリ容量をバッテリ液温度に応じて補正する必要がある。
メインバッテリ13は、バッテリ液温度Tmが上昇するとメインバッテリ13内部のイオンが活性化されやすく、メインバッテリ容量が大きくなる傾向を有している。そのため、図8に示したように、バッテリ液温度が上昇するに従ってメインバッテリ容量を補正する補正係数が大きくなるようにしている。この温度特性のデータは、バッテリ液温度と補正係数とが対応付けられたテーブルの形式でROM35に格納されている。
[ステップS41]CPU34は、現状のバッテリ液温度とメインバッテリ容量算出時のバッテリ液温度との差が所定値THB1以上であるか否かを判定する。ここで、バッテリ液温度の変化が所定値THB1以上の場合、その分、メインバッテリ容量も変動しているので、メインバッテリ容量を補正するために処理はステップS42に進み、変化が所定値THB1未満の場合、処理はステップS44に進む。
[ステップS42]CPU34は、予めROM35に格納されている上記の温度特性のデータを参照し、バッテリ液温度に対応するメインバッテリ容量の補正係数を取得する。次いで、CPU34は、メインバッテリ容量にこの補正係数を乗算し、メインバッテリ容量を補正する。
[ステップS43]CPU34は、今後のバッテリ液温度と比較するために現状のバッテリ液温度をTHB0として記憶する。
ここで、メインバッテリ13はバッテリ内部抵抗値の変化に対応してメインバッテリ容量が変化する特性を有しているので、バッテリ内部抵抗値が変化した分メインバッテリ容量も変化している。このメインバッテリ容量の変化分に対応するため、メインバッテリ容量をバッテリ内部抵抗値に応じて補正する必要がある。
メインバッテリ13は、バッテリ内部抵抗値Rmの上昇に従ってメインバッテリ電流値が減少し、メインバッテリ容量が小さくなる傾向を有している。そのため、図9に示したように、バッテリ内部抵抗値が上昇するに従ってメインバッテリ容量を補正する補正係数が小さくなるようにしている。この特性のデータは、バッテリ内部抵抗値と補正係数とが関連付けられたテーブルの形式でROM35に格納されている。
[ステップS44]CPU34は、現状のバッテリ内部抵抗値とメインバッテリ容量算出時のバッテリ内部抵抗値との差が所定値R0以上であるか否かを判定する。ここで、バッテリ内部抵抗値の変化が所定値R0以上の場合、その分、メインバッテリ容量も変動しているので、メインバッテリ容量を補正するために処理はステップS45に進み、変化が所定値R0未満の場合、メインバッテリ容量補正処理は終了する。
[ステップS45]CPU34は、予めROM35に格納されている上記の特性のデータを参照し、バッテリ内部抵抗値に対応するメインバッテリ容量の補正係数を取得する。次いで、CPU34は、メインバッテリ容量にこの補正係数を乗算し、メインバッテリ容量を補正する。
以上の処理により、バッテリ液温度が大きく変化すれば、メインバッテリ容量をそのバッテリ液温度に応じたメインバッテリ容量に補正し、バッテリ液温度があまり変化しなくてもバッテリ内部抵抗値が大きく変化すれば、メインバッテリ容量をそのバッテリ内部抵抗値に応じたメインバッテリ容量に補正し、常に、最新のメインバッテリ容量になるようにしている。
次に、サブバッテリ状態検出部44による処理について説明する。
図10はサブバッテリ状態検出処理を示すフローチャート、図11はサブバッテリ電圧値に対するサブバッテリ容量特性を示す図、図12はバッテリ雰囲気温度に対するサブバッテリ容量の補正係数特性を示す図である。
サブバッテリ状態検出部44は、サブバッテリ状態検出処理プログラムにより以下のステップに従った処理を繰り返し実行する。
[ステップS51]CPU34は、電圧センサ19により検出されたサブバッテリ電圧値を取得する。
[ステップS52]CPU34は、サブバッテリ電圧値に対応する、サブバッテリ14が放電できる放電電気量を示すサブバッテリ容量を取得する。つまり、サブバッテリ14は、図11に示すように、サブバッテリ電圧値Vsに応じてサブバッテリ容量が変化する特性を有しているので、CPU34は、その特性のデータを格納しているROM35を参照し、サブバッテリ電圧値に対応するサブバッテリ容量を取得する。
[ステップS53]CPU34は、温度センサ21により検出されたサブバッテリ雰囲気温度を取得する。これは、サブバッテリ14においても、図12に示すように、多少の温度特性を有しているので、サブバッテリ雰囲気温度に応じ、サブバッテリ電圧値に対応するサブバッテリ容量を補正するためのものである。なお、この温度特性のデータは、ROM35に格納されている。
[ステップS54]CPU34は、ROM35を参照することにより、バッテリ雰囲気温度に対応するサブバッテリ容量の補正係数を取得し、ステップS52で取得したサブバッテリ容量にその補正係数を乗算し、サブバッテリ14が放電できる放電電気量、つまり、サブバッテリ容量を補正するようにしている。
以上の処理により、サブバッテリ電圧値およびバッテリ雰囲気温度に対応するサブバッテリ容量を取得することで、サブバッテリ14の状態が検出される。
次に、電圧降下量算出部45は、スタータ駆動時のメインバッテリ13の電圧降下量を算出する処理を行う。この電圧降下量から、スタータ駆動時に必要とされる放電電気量を求めることができる。
図13は電圧降下量算出処理を示すフローチャートである。
電圧降下量算出部45は、電圧降下量算出処理プログラムにより以下のステップに従った処理を実行する。
[ステップS61]CPU34は、今後のメインバッテリ電圧値と比較するためにエンジン始動直前のメインバッテリ電圧値をV3として記憶する。
[ステップS62]CPU34は、スタータ駆動によりエンジンが始動されたか否かを判定する。始動された場合、処理はステップS63に進み、始動されていない場合、電圧降下量算出処理は終了する。
[ステップS63]CPU34は、電圧センサ16および電流センサ17によりそれぞれ検出されたメインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値のサンプリングを開始する。
[ステップS64]CPU34は、サンプリングしたメインバッテリ電流値の中における最大のメインバッテリ電流値をImaxとして検出する。
[ステップS65]CPU34は、サンプリングしたメインバッテリ電圧値の中における最小のメインバッテリ電圧値をVminとして検出する。
[ステップS66]CPU34は、エンジンが始動されてから現在までの間にメインバッテリ13から放電された放電電気量Isum0を算出する。
[ステップS67]CPU34は、エンジンが完爆したか否かを判定する。完爆した場合、処理はステップS70に進み、完爆していない場合、処理はステップS68に進む。
[ステップS68]CPU34は、サンプリング開始から所定時間が経過したか否かを判定する。これは、エンジンが始動されて完爆していない状態が所定時間続くと、スタータが正常に駆動されていないなどのトラブルの可能性があるので、そのようなトラブルの際には電圧降下量算出処理を終了するためのものである。所定時間が経過した場合、電圧降下量算出処理は終了し、所定時間が経過していない場合、処理はステップS69に進む。
[ステップS69]CPU34は、スタータ駆動が完了したか否かを判定する。これは、エンジンが始動されて完爆するまでの間はスタータ駆動が実施されるが、エンジンが完爆していないにも拘らずにスタータ駆動が完了した場合、スタータが正常に駆動されていないなどのトラブルの可能性があるので、そのようなトラブルの際には電圧降下量算出処理を終了するためのものである。エンジンが完爆していないにも拘らずにスタータ駆動が完了した場合、電圧降下量算出処理は終了し、スタータ駆動が完了していない場合、処理はステップS63に戻る。
[ステップS70]CPU34は、放電電気量Isum0をメインバッテリ容量で除算し、メインバッテリ電圧値の電圧降下量の推定値を算出する。すなわち、メインバッテリ電圧値の電圧降下量の推定値Vd1(V)は、メインバッテリ容量をCmとすると、
Vd1=Isum0/Cm・・・(4)
により算出される。
[ステップS71]CPU34は、エンジン始動直前のメインバッテリ電圧値V3から最小のメインバッテリ電圧値Vminを減算し、メインバッテリ電圧値の電圧降下量の実測値を算出する。すなわち、メインバッテリ電圧値の電圧降下量の実測値Vd2(V)は、エンジン始動直前のメインバッテリ電圧値をV3(V)とし、最小のメインバッテリ電圧値をVmin(V)とすると、
Vd2=V3−Vmin・・・(5)
により算出される。
[ステップS72]CPU34は、メインバッテリ電圧値の電圧降下量を決定する。この電圧降下量は、ステップS70の処理で算出された電圧降下量の推定値およびステップS71で算出された電圧降下量の実測値に基づいて決定される。ここでは、メインバッテリ電圧値の電圧降下量は、ステップS70の処理で算出された電圧降下量の推定値とステップS71で算出された電圧降下量の実測値とを比較して値の大きい方に決定される。なお、ここで決定される電圧降下量は、電圧降下量の推定値と電圧降下量の実測値との平均値としてもよい。
以上の処理により、スタータを駆動したときに、スタータを駆動してからスタータ駆動が完了するまでの間にメインバッテリ13から放電された最大のメインバッテリ電流値Imaxとメインバッテリ電圧値の電圧降下量とが得られる。
ここで、電圧降下量は、メインバッテリ容量およびバッテリ内部抵抗値の変化によって常に変化しているので、算出された電圧降下量を変化分に対応した電圧降下量で更新する必要がある。
次に、電圧降下量算出部45による電圧降下量更新処理について説明する。
図14は電圧降下量更新処理を示すフローチャートである。
電圧降下量算出部45は、電圧降下量算出処理プログラムにより以下のステップに従った処理を繰り返し実行する。
[ステップS81]CPU34は、現状のメインバッテリ容量と電圧降下量算出時のメインバッテリ容量との差が所定値Cm1以上であるか否かを判定する。ここで、メインバッテリ容量が所定値Cm1以上変動すると、その分、メインバッテリ電圧値の電圧降下量も変動しているので、メインバッテリ電圧値の電圧降下量を更新する必要がある。差が所定値Cm1以上の場合、処理はステップS82に進み、差が所定値Cm1未満の場合、処理はステップS83に進む。
[ステップS82]CPU34は、電圧降下量算出時の放電電気量Isum0を現状のメインバッテリ容量で除算し、メインバッテリ電圧値の電圧降下量を再算出して更新する。
[ステップS83]CPU34は、現状のバッテリ内部抵抗値と電圧降下量算出時のバッテリ内部抵抗値との差が所定値R1以上であるか否かを判定する。ここで、バッテリ内部抵抗値が所定値R1以上変動すると、その分、メインバッテリ電圧値の電圧降下量も変動しているので、メインバッテリ電圧値の電圧降下量を更新する処理を行う必要がある。差が所定値R1以上の場合、処理はステップS84に進み、差が所定値R1未満の場合、電圧降下量更新処理は終了する。
[ステップS84]CPU34は、電圧降下量算出時の最大のメインバッテリ電流値Imaxに現状のバッテリ内部抵抗値を乗算し、メインバッテリ電圧値の電圧降下量を再算出して更新する。
以上の処理により、スタータ駆動完了後において、メインバッテリ容量が所定値Cm1以上変化した場合、または、メインバッテリ容量が変化していないときにバッテリ内部抵抗値が所定値R1以上変化した場合、すでに算出されているメインバッテリ電圧値の電圧降下量は更新され、常に、現状のメインバッテリ電圧値の電圧降下量に更新されることになる。
以上の処理により求められたメインバッテリ状態およびサブバッテリ状態を基に、次に、エコラン許可判定部46は、エコランを許可するか禁止するかの判定処理を実施することになる。
エコラン許可判定部46は、第1のエコラン許可判定処理および/または第2のエコラン許可判定処理プログラムを含んでおり、これらは、必要に応じて選択される。
まず、エコラン許可判定部46による第1のエコラン許可判定処理について説明する。
図15は第1のエコラン許可判定処理を示すフローチャートである。
エコラン許可判定部46は、エコラン許可判定処理プログラムにより以下のステップに従った処理を繰り返し実行する。
[ステップS91]CPU34は、スタータ駆動時にメインバッテリ13が放電すべき必要放電電気量Ind0を算出する。この必要放電電気量Ind0(Asec)は、ステップS72の処理で算出された電圧降下量にメインバッテリ容量を乗算することにより算出され、メインバッテリ電圧値の電圧降下量をVd(V)として式で表すと、
Ind0=Vd×Cm・・・(6)
となる。
[ステップS92]CPU34は、必要放電電気量Ind0がサブバッテリ容量(サブバッテリ14の放電電気量)以上大きいか否かを判定する。小さい場合、メインバッテリ13が放電すべき全ての放電電気量をサブバッテリ14の放電電気量により完全にアシストできるので、処理はステップS97に進み、大きい場合、処理はステップS93に進む。
[ステップS93]必要放電電気量Ind0がサブバッテリ容量以上では、サブバッテリ14はメインバッテリ13を完全にアシストできないので、CPU34は、サブバッテリ14の放電電気量によるエコランを禁止する。
[ステップS94]CPU34は、メインバッテリ13の放電電気量によるエコランを許可できるエコラン許可電圧閾値V4を算出する。このエコラン許可電圧閾値V4は、スタータ駆動時にメインバッテリ電圧値がこれ以上低下しないと判定される低電圧判定電圧値に、ステップS72の処理で算出された電圧降下量を加算することにより算出される。
[ステップS95]CPU34は、メインバッテリ電圧値がエコラン許可電圧閾値V4以上大きいか否かを判定する。大きい場合、メインバッテリ13が放電すべき全ての放電電気量をメインバッテリ13自身が保持していることになり、処理はステップS96に進み、小さい場合、処理はステップS98に進む。
[ステップS96]CPU34は、サブバッテリ14の放電電気量によるエコラン禁止を解除する。
[ステップS97]CPU34は、メインバッテリ13の放電電気量によるエコラン、または、サブバッテリ14の放電電気量によるエコランを許可する。
[ステップS98]CPU34は、メインバッテリ13の放電電気量によるエコランを禁止する。
このようにして、エコラン許可判定部46は、まず、サブバッテリ14だけでエンジンを再始動できるか否かを判定し、サブバッテリ14によるエコランを禁止した場合でも、メインバッテリ電圧値がエコラン許可電圧閾値以上であれば、サブバッテリ14によるエコラン禁止を解除してエコランを許可することができる。これにより、エコランを許可してエンジンを停止しても、メインバッテリ13またはサブバッテリ14がスタータ駆動時にメインバッテリ13が放電すべき必要放電電気量を保持しているので、エコランから復帰する際に確実にエンジンを再始動できる。
次に、エコラン許可判定部46による第2のエコラン許可判定処理について説明する。
図16は第2のエコラン許可判定処理を示すフローチャートである。
エコラン許可判定部46は、エコラン許可判定処理プログラムにより以下のステップに従った処理を繰り返し実行する。
[ステップS101]CPU34は、スタータ駆動時にメインバッテリ13が放電すべき必要放電電気量Ind0を算出する。この必要放電電気量Ind0は、ステップS72の電圧降下量算出処理で算出された電圧降下量にメインバッテリ容量を乗算することによって算出される。
[ステップS102]CPU34は、スタータ駆動時におけるサブバッテリ14の不足放電電気量を算出する。この不足放電電気量は、必要放電電気量Ind0からステップ53の処理で算出されたサブバッテリ容量(サブバッテリ14の放電電気量)を減算することにより算出される。
[ステップS103]CPU34は、不足放電電気量が所定値Ind1以上大きいか否かを判定する。小さい場合、メインバッテリ13が放電すべき全ての放電電気量をサブバッテリ14の放電電気量により十分にアシストできるので、処理はステップS108に進み、大きい場合、処理はステップS104に進む。
[ステップS104]不足放電電気量が所定値Ind1以上では、サブバッテリ14はメインバッテリ13を十分にアシストできないので、CPU34は、サブバッテリ14の放電電気量によるエコランを禁止する。
[ステップS105]CPU34は、メインバッテリ13の放電電気量によるエコランを許可できるエコラン許可電圧閾値V5を算出する。このエコラン許可電圧閾値V5は、不足放電電気量をメインバッテリ容量で除算し、その除算結果に、スタータ駆動時にメインバッテリ電圧値がこれ以下に低下しないと判定される低電圧判定電圧値を加算することにより算出される。すなわち、エコラン許可電圧閾値V5(V)は、不足放電電気量をIf(Asec)とし、必要放電電気量をInd0(Asec)とし、補助バッテリ容量をCs(Asec)とし、低電圧判定電圧値をVt(V)とし、メインバッテリ容量をCm(Asec/V)とすると、
V5=Vt+(If/Cm)・・・(7)
により算出される。
[ステップS106]CPU34は、メインバッテリ電圧値がエコラン許可電圧閾値V5以上大きいか否かを判定する。大きい場合、メインバッテリ13が放電すべき全ての放電電気量をメインバッテリ13およびサブバッテリ14が保持していることになり、処理はステップS107に進み、小さい場合、処理はステップS109に進む。
[ステップS107]CPU34は、サブバッテリ14の放電電気量によるエコラン禁止を解除する。
[ステップS108]CPU34は、メインバッテリ13の放電電気量によるエコラン、または、サブバッテリ14の放電電気量によるエコランを許可する。
[ステップS109]CPU34は、メインバッテリ13の放電電気量によるエコランを禁止する。
このようにして、エコラン許可判定部46は、まず、不足放電電気量からサブバッテリ14だけでエンジンを再始動できるか否かを判定し、サブバッテリ14によるエコランを禁止した場合でも、メインバッテリ電圧値がエコラン許可電圧閾値以上であれば、サブバッテリ14によるエコラン禁止を解除してエコランを許可することができる。これにより、エコランを許可してエンジンを停止しても、メインバッテリ13またはサブバッテリ14がスタータ駆動時にメインバッテリ13が放電すべき必要放電電気量を保持しているので、エコランから復帰する際に確実にエンジンを再始動できる。
次に、エコラン許可判定部46によるエコラン時容量更新処理について説明する。
図17はエコラン時容量更新処理を示すフローチャートである。
エコラン許可判定部46は、エコラン実施中にエコラン許可判定処理プログラムにより以下のステップに従った処理を繰り返し実行する。
[ステップS111]CPU34は、エコランを実施しているか否かを判定する。実施している場合、処理はステップS113に進み、実施していない場合、処理はステップS112に進む。
[ステップS112]CPU34は、今後のメインバッテリ電圧値と比較するためにエコラン実施前のメインバッテリ電圧値を始動時電圧値V0として記憶する。
[ステップS113]CPU34は、電圧センサ16および電流センサ17によりそれぞれ検出されたメインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値のサンプリングを開始する。
[ステップS114]CPU34は、バッテリ内部抵抗値Rnを算出する。このバッテリ内部抵抗値Rn(V/A)は、前述の式(1)により算出される。次いで、バッテリ内部抵抗値の合計値Rsumが、前述の式(2)により算出される。
[ステップS115]CPU34は、サンプリング開始から現在までの間にメインバッテリ13から放電された放電電気量Isum0を算出する。
[ステップS116]CPU34は、サンプリング開始から所定時間が経過したか否かを判定する。これは、メインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値を所定時間に渡って所定周期ごとにサンプリングするためのものである。所定時間が経過した場合、処理はステップS117に進み、所定時間が経過していない場合、処理はステップS113に戻る。
以上までの処理では、サンプリング開始から所定時間が経過するまで、メインバッテリ電圧値およびメインバッテリ電流値のサンプリング、バッテリ内部抵抗値の個別および合計の算出、放電電気量の算出が周期的に行われていることになる。
[ステップS117]CPU34は、メインバッテリ電圧値V1が始動時電圧値V0よりも所定値V2以上大きいか否かを判定する。大きい場合、メインバッテリ電圧値の変動が大きいことによりエコラン継続を許可するか禁止するかの判定を行う必要が発生し、処理はステップS118に進み、小さい場合、エコラン時容量更新処理は終了する。
[ステップS118]CPU34は、ステップS115の処理で算出された放電電気量Isum0を、現状のメインバッテリ電圧値V1から始動時電圧値V0を減算した値で除算し、メインバッテリ電圧値が1V変動する間にメインバッテリ13から放電される放電電気量を示すメインバッテリ容量を算出する。このメインバッテリ容量Cm(Asec/V)は、前述の式(3)により算出される。
[ステップS119]CPU34は、バッテリ内部抵抗値を決定する。本実施の形態では、このバッテリ内部抵抗値は、ステップS114の処理で算出されたバッテリ内部抵抗値の合計値Rsumをサンプリング数nで除算した平均値としている。もちろん、このバッテリ内部抵抗値は、最大値または最頻値としてもよく、各バッテリ内部抵抗値の中の外れ値を削除してからバッテリ内部抵抗値を決定してもよい。
[ステップS120]CPU34は、今後のバッテリ液温度と比較するために現状のバッテリ液温度をTHB0として記憶する。
以上の処理により、エコラン実施中にはメインバッテリ電圧値の低下が予測される中でメインバッテリ電圧値が所定値未満に低下した場合、メインバッテリ容量およびバッテリ内部抵抗値が更新される。
次に、エコラン許可判定部46によるエンジン自動再始動処理について説明する。
図18はエンジン自動再始動処理を示すフローチャートである。
エコラン許可判定部46は、エコラン実施中にエコラン許可判定処理プログラムにより以下のステップに従った処理を繰り返し実行する。
[ステップS131]CPU34は、エコラン中であるか否かを判定する。エコラン中である場合、処理はステップS132に進み、エコラン中でない場合、エンジン自動再始動処理は終了する。
[ステップS132]CPU34は、メインバッテリ電圧値がステップS94またはステップS105の処理で算出されたエコラン許可電圧閾値以上大きいか否かを判定する。大きい場合、エンジン始動時からエンジンが完爆するまでの間に必要とされる電気量をメインバッテリ13およびサブバッテリ14が保持していることになり、処理はステップS133に進み、小さい場合、処理はステップS134に進む。
[ステップS133]CPU34は、エコラン継続を許可する。
[ステップS134]CPU34は、エコラン継続を禁止し、エンジンを強制的に再始動する。
以上の処理により、メインバッテリ電圧値がエコラン許可電圧閾値以上であった際は、エコランの実施が継続され、メインバッテリ電圧値がエコラン許可電圧閾値未満であった際には、エンジンが強制的に再始動される。これにより、エコラン実施中にメインバッテリ13およびサブバッテリ14が十分な電気量を保持している限り、エコランを継続することができる。
なお、上記の説明では、エコラン制御装置10が単体で構成される場合について説明したが、これに限られるものでなく、たとえば、エンジンを制御するエンジン制御装置と一体に構成されるようにしてもよい。また、エコラン制御装置10から、バッテリおよびオルタネータ11を制御する電源マネジメント装置を分離するよう構成するようにしてもよい。
エコラン制御システムのハードウェアブロック図である。 エコラン制御装置のハードウェアブロック図である。 エコラン制御装置の機能ブロック図である。 メインバッテリ状態検出処理を示すフローチャートである。 バッテリ内部抵抗値更新処理を示すフローチャートである。 バッテリ液温度に対するバッテリ内部抵抗値特性を示す図である。 メインバッテリ容量補正処理を示すフローチャートである。 バッテリ液温度に対するメインバッテリ容量の補正係数特性を示す図である。 バッテリ内部抵抗値に対するメインバッテリ容量の補正係数特性を示す図である。 サブバッテリ状態検出処理を示すフローチャートである。 サブバッテリ電圧値に対するサブバッテリ容量特性を示す図である。 バッテリ雰囲気温度に対するサブバッテリ容量の補正係数特性を示す図である。 電圧降下量算出処理を示すフローチャートである。 電圧降下量更新処理を示すフローチャートである。 第1のエコラン許可判定処理を示すフローチャートである。 第2のエコラン許可判定処理を示すフローチャートである。 エコラン時容量更新処理を示すフローチャートである。 エンジン自動再始動処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10 エコラン制御装置
41 メインバッテリ監視部
42 サブバッテリ監視部
43 メインバッテリ状態検出部
44 サブバッテリ状態検出部
45 電圧降下量算出部
46 エコラン許可判定部

Claims (8)

  1. 車載電気ユニットへの電源供給を行う第1のバッテリと、エコランからのエンジン再始動時に前記第1のバッテリの電圧低下を抑制する第2のバッテリとを備えた車両にて、所定のエンジン停止条件が成立するとエンジンを自動的に停止し、所定のエンジン再始動条件が成立すると前記エンジンを自動的に再始動するエコラン制御装置において、
    エンジン始動のために前記第1のバッテリが放電できる放電電気量および前記第2のバッテリが放電できる放電電気量と、エンジン始動時から前記エンジンが完爆するまでの間に必要とされる電気量とに基づき、エコランを許可するか禁止するかの判定をするエコラン許可判定手段、
    を備えていることを特徴とするエコラン制御装置。
  2. 前記第1のバッテリの電圧値、電流値および液温度を監視する第1のバッテリ監視手段と、
    前記第2のバッテリの電圧値、電流値および雰囲気温度を監視する第2のバッテリ監視手段と、
    エンジン始動時に前記第1のバッテリの電圧値が所定電圧変動する間に前記第1のバッテリから放電される放電電気量を示す第1のバッテリのバッテリ容量、および、前記第1のバッテリの内部抵抗値を算出する第1のバッテリ状態検出手段と、
    前記第2のバッテリが放電できる放電電気量を示す第2のバッテリのバッテリ容量を取得する第2のバッテリ状態検出手段と、
    エンジン始動時から前記エンジンが完爆するまでの間に必要とされる電気量を算出する際に用いる、エンジン始動時から前記エンジンが完爆するまでの間の前記第1のバッテリの電圧値の電圧降下量を算出する電圧降下量算出手段と、
    をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載のエコラン制御装置。
  3. 前記エコラン許可判定手段は、前記第1のバッテリの電圧値の前記電圧降下量に前記第1のバッテリのバッテリ容量を乗算してエンジン始動時に前記第1のバッテリが放電すべき必要放電電気量を算出し、前記必要放電電気量が前記第2のバッテリのバッテリ容量未満の場合は前記第2のバッテリの放電電気量によるエコランを許可し、前記必要放電電気量が前記第2のバッテリのバッテリ容量以上の場合には前記第2のバッテリの放電電気量によるエコランを禁止することを特徴とする請求項2記載のエコラン制御装置。
  4. 前記エコラン許可判定手段は、前記第2のバッテリの放電電気量によるエコランが禁止された場合でも、前記第1のバッテリの電圧値が、エコランを許可することができるエコラン許可電圧閾値以上であれば、前記第1のバッテリの放電電気量によりエコランを許可することを特徴とする請求項3記載のエコラン制御装置。
  5. 前記エコラン許可判定手段は、前記エコラン許可電圧閾値を、エンジン始動時に前記第1のバッテリの電圧値がこれ以下に低下しないと判定される低電圧判定電圧値、および、前記第1のバッテリの電圧値の前記電圧降下量に基づき、算出することを特徴とする請求項4記載のエコラン制御装置。
  6. 前記エコラン許可判定手段は、前記第1のバッテリの電圧値の前記電圧降下量に前記第1のバッテリのバッテリ容量を乗算してエンジン始動時に前記第1のバッテリが放電すべき必要放電電気量を算出し、前記必要放電電気量から前記第2のバッテリのバッテリ容量を減算してエンジン始動時における前記第2のバッテリの不足放電電気量を算出し、前記不足放電電気量が所定値未満の場合は前記第2のバッテリの放電電気量によるエコランを許可し、前記不足放電電気量が前記所定値以上の場合には前記第2のバッテリの放電電気量によるエコランを禁止することを特徴とする請求項2記載のエコラン制御装置。
  7. 前記エコラン許可判定手段は、前記第2のバッテリの放電電気量によるエコランが禁止された場合でも、前記第1のバッテリの電圧値が、エコランを許可することができるエコラン許可電圧閾値以上であれば、前記第1のバッテリの放電電気量によりエコランを許可することを特徴とする請求項6記載のエコラン制御装置。
  8. 前記エコラン許可判定手段は、前記エコラン許可電圧閾値を、エンジン始動時に前記第1のバッテリの電圧値がこれ以下に低下しないと判定される低電圧判定電圧値、前記不足放電電気量および前記第1のバッテリのバッテリ容量に基づき、算出することを特徴とする請求項7記載のエコラン制御装置。
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