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JP2007210315A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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JP2007210315A JP2006062447A JP2006062447A JP2007210315A JP 2007210315 A JP2007210315 A JP 2007210315A JP 2006062447 A JP2006062447 A JP 2006062447A JP 2006062447 A JP2006062447 A JP 2006062447A JP 2007210315 A JP2007210315 A JP 2007210315A
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Hideo Sugimoto
英夫 杉本
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Abstract

【課題】滲みがなく高濃度画像で良インク吸収性のインクジェット記録用紙の提供。
【解決手段】非吸水性支持体上に、インクを印字する側の表面側から見て、A層、B層、C層の順に積層された少なくとも3層のインク吸収層を設けたインクジェット記録用紙であって、各インク吸収層は無機微粒子及びバインダーを含有しており、A層には水溶性多価金属化合物存在下で分散した無機微粒子分散液を含有させ、乾燥させて形成した記録用紙であり、更に、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87に準じ、ジエチレングリコール/トリエチレングリコールモノブチルエーテル/水=15/15/70の質量比で混合した液体により、ブリストー法で測定した接触時間0.04秒における液体転移量が、B層<C層<A層の順であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、滲みの発生が少なく、高い画像濃度が得られインク吸収性の良好なインクジェット記録用紙(以後、記録用紙ともいう)に関する。
近年、写真画質同等をインクジェット記録で達成するために記録用紙の改善が進んでおり、最近では高画質化に伴い、高インク吸収性、高乾燥性等の記録用紙に要求される特性も一段と高まって来ている。
写真画質同等を達成するインクジェット記録においては、画質の美しさから水溶性染料が色材として好ましく用いられるが、この水溶性染料は親水性が高いために通常、記録面上に水滴が付着したり、あるいは記録後に高湿下に長期間保存した場合に染料が滲みやすいという問題がある。即ち耐水性に問題がある。
また、多孔質のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙は、高インク吸収性でインクジェット記録時にムラのない均質な画像が得られる反面、多孔質被膜を形成する微粒子が表面で光を散乱することにより、画像濃度の低下が起き易いという問題がある。
耐水性を解決する手段としてはカチオン性物質のような染料固着性物質を多孔質層中に添加してアニオン性の染料と結合させ、強固に不動化する方法が一般的に行われている。カチオン性物質としては、4級アンモニウム塩の重合物等のカチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、金属イオンを用いる方法等があげられる。例えばカチオン性ポリマーと水溶性多価金属塩を併用する方法が記載されて(例えば、特許文献1参照。)いる。
しかし、これらの方法では耐水性は不十分で経時にじみは改善しきれず、また多孔質のインクジェット記録用紙の発色性向上に関する開示もなかった。
最表層に表面をアルミニウムで処理したシリカ粒子を用いているが(例えば、特許文献2参照。)、顔料インク限定の効果であり、染料インクの画像濃度は未だ不十分であった。さらに、ゼータ電位の高い無機微粒子と水溶性多価金属化合物を含有する分散液を用いているが(例えば、特許文献3参照。)発色性向上に関する開示はない。
また、ジルコニウム化合物あるいはアルミニウム化合物を支持体から離れた部分により多く分布させることが記載されているが(例えば、特許文献4参照。)、これだけでは滲み及び発色性については不十分であった。
特開昭60−67190号公報 特開2000−351267号公報 特開2004−285308号公報 特開2002−160442号公報
本発明の目的は、滲みの発生が少なく、高い画像濃度が得られインク吸収性の良好なインクジェット記録用紙を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.非吸水性支持体上に、インクを印字する側の表面側から見て、A層、B層、C層の順に積層された少なくとも3層のインク吸収層を設けたインクジェット記録用紙であって、各インク吸収層は無機微粒子及びバインダーを含有しており、A層には水溶性多価金属化合物存在下で分散した無機微粒子分散液を含有させ、乾燥させて形成した記録用紙であり、更に、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87に準じ、ジエチレングリコール/トリエチレングリコールモノブチルエーテル/水=15/15/70の質量比で混合した液体により、ブリストー法で測定した接触時間0.04秒における液体転移量が、B層<C層<A層の順であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
2.前記A層が最表層であり、その乾燥膜厚が、全乾燥膜厚の5%以上20%以下であることを特徴とする1に記載のインクジェット記録用紙。
3.前記B層の乾燥膜厚が、全乾燥膜厚の10%以上20%以下であることを特徴とする1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
4.前記水溶性多価金属化合物が酸化物換算値で無機微粒子の酸化物換算値に対して10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
5.前記A層の塗布液の濁度が50ppm以下であることを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
6.前記水溶性多価金属化合物の多価金属がアルミニウム又はジルコニウムであることを特徴とする4に記載のインクジェット記録用紙。
7.前記無機微粒子が気相法シリカ微粒子であることを特徴とする1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
本発明により、滲みの発生が少なく、高い画像濃度が得られインク吸収性の良好なインクジェット記録用紙を提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。本発明者が検討した結果、ブリストー法での接触時間0.04秒における液体転移量をB層(中層)<C層<A層(最表面層)の順に大きくすると、印字した時にインクが中層に染み込みにくい為、インクが最表層に留まりその間に染料が最表層のカチオン化された無機微粒子に吸着し画像濃度を向上させられることがわかった。またA層は最初に大量のインクを吸収する為に液体転移量は多いほうが良好であり、さらにB層よりもC層の方を液体転移量が多い層を用いることにより吸収性を低下させることなく染料を吸着でき、インク溶剤も吸収できることがわかった。一方染料が最表層に吸着され、インク溶剤はC層と染料と溶剤が分離することが出来る為に、高湿下における滲み耐性も向上できることがわかった。
例えばB層(中層)の液体転移量が多いとA層(最表層)に染料が吸着する前にB層及びC層に吸収されてしまう為に発色性が低くなり、またA層の液体転移量が少ないとあふれが生じる可能性があり、C層の液体転移量が少ないと染料とインク溶剤を分離することができなくなり滲みが悪化する恐れがある。
(層構成)
本発明に係るインクジェット記録用紙は、インク吸収層として、少なくとも、最表面からA層、B層、C層との順で、それぞれの塗布液を支持体上に塗布し積層されていることが好ましい。もし4層以上設ける場合には、C層の下に1層以上の層を設けることが可能である。
また、各インク吸収層は無機微粒子及びバインダーを含有しており、特にA層には水溶性多価金属化合物存在下で分散した無機微粒子分散液を用いて含有させ、これらはその後乾燥され層形成され、インクジェット記録用紙とされたものである。
(ブリストー法)
本発明でいうブリストー法とは、短時間での紙及び板紙の液体吸収挙動を測定する方法であり、詳しくは、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87の紙又は板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)に準じて測定し、接触時間0.04秒におけるインク転移量(ml/m2)で表される。なお、上記の測定方法では、測定に純水(イオン交換水)が使用されているが、本発明においては、ジエチレングリコール/トリエチレングリコールモノブチルエーテル/水=15/15/70の質量比で混合した溶液を用いて測定する。
具体的な測定方法の一例を、以下に説明する。インク転移量の測定法としては、記録用紙を25℃、50%RHの雰囲気下で12時間以上放置した後、例えば、熊谷理機工業株式会社製の液体動的吸収性試験機であるBristow試験機II型(加圧式)を用いて測定する。測定に用いる液体は、ジエチレングリコール/トリエチレングリコールモノブチルエーテル/水=15/15/70の質量比で混合した溶液とし、判定精度を高めるため、市販の染料を添加し、規定の接触時間後に記録用紙上の染色された部分の面積を測定することにより、インク転移量を求めることができる。また、各層の液体転移量を測定する方法としては、各層を固形分が15g/m2となるように支持体上に単層塗布し、乾燥させることにより記録用紙を形成し、その単層で塗布した記録用紙を用いることでブリスト−法による液体転移量を測定することができる。
本発明で規定する接触時間0.04秒における液体転移量を調整する方法としては、特に制限はないが、無機微粒子とバインダーの比率(F/B)を高くすることにより、あるいは無機微粒子の粒径を大きくすることにより転移量を増やすことができるが、無機微粒子を分散する場合にカチオン性高分子樹脂(カチオン性ポリマーともいう)を分散溶液中に用いて、その量で調整することができる。すなわち、用いるカチオン性ポリマーの量が少なければ少ないほど液体転移量は増える方向であるので、例えば、本発明において、液体転移量を増やしたい層には分子量が5000以下のカチオン性ポリマーを用い、その量を調整する方法により調整することができる。更には、カチオン性ポリマーの代わりに水溶性多価金属化合物のような無機媒染剤を用いることが、吸水量の観点からより好ましい。
(水溶性多価金属化合物)
水溶性多価金属化合物は、一般に、無機微粒子含有の塗布液中に存在すると凝集を起こしやすいことが多く、これにより微少な塗布故障や光沢性の低下を引き起こしやすいため、本発明に係るA層に水溶性多価金属化合物を含有させるには、特に予め無機微粒子を水溶性多価金属化合物存在下で分散しこれをA層に含有させることにより、水溶性多価金属化合物を層中に含有させることが必要である。
本発明に係る水溶性多価金属化合物としては、例えば、Mg2 +、Ca2 +、Zn2 +、Zr2 +、Ni2 +、Al3 +などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等で用いられるが、特に、Zr2 +、Al3 +を含むものが好ましい。
なお、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニルなどの無機ポリマー化合物も、好ましい水溶性多価金属化合物の例に含まれる。
本発明で使用するジルコニウム原子を含む化合物は、酸化ジルコニウムを除くものであるが、その具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウム等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、本発明の目的とするプリント後の滲み防止効果を更に顕著に奏するという観点において、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニル、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましく、特に、炭酸ジルコニルアンモニウム、酸塩化ジルコニル、酢酸ジルコニルが好ましい。上記化合物の具体的商品名としては、第一希土類元素化学工業株式会社製の酢酸ジルコニルZA(商品名)や、第一希土類元素化学株式会社製の酸塩化ジルコニル(商品名)等が挙げられる。
ジルコニウム原子を含む化合物は、単独で用いても良いし、異なる2種類以上の化合物を併用してもよい。2種類以上用いると、ジルコニウム原子を含む化合物を使用したときに引き起し易いブロンジング(インク中の染料の結晶化を促進して金属光沢状を呈する現象)を抑えることができるという利点が考えられる。
本発明で用いることのできるアルミニウム原子を有する化合物の具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩等)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(例えば、ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩等)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩など)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、燐酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸珪酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。
本発明においては、分子内にアルミニウム原子を有する化合物の中でも、ポリ塩化アルミニウム化合物、ポリ硫酸アルミニウム化合物又はポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物であることが好ましい。
ポリ塩化アルミニウム化合物は、一般式〔Al2(OH)nCl6-nm、〔Al(OH)3n・AlCl3で示されるものであり、例えば、〔Al6(OH)153+、〔Al8(OH)204+、〔Al13(OH)345+などのような塩基性で、かつ高い陽電子を持った多核縮合イオン(高分子性)を有効成分として、安定に含んでいるポリ塩化アルミニウムである。
ポリ塩化アルミニウム化合物の市販品としては、例えば、浅田化学(株)製のポリ水酸化アルミニウム(Paho)、多木化学(株)製のポリ塩化アルミニウム(PAC)、(株)理研グリーン製のピュラケムWTが挙げられる。
また、ポリ硫酸アルミニウム化合物は、一般式〔Al2(OH)n(SO46-n/2m(ただし、0<n<6)で表されるものであり、市販品としては浅田化学(株)製の塩基性硫酸アルミニウム(AHS)が挙げられる。
ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物の市販品としては、日本軽金属(株)製のPASSが挙げられる。
水溶性多価金属化合物は酸化物換算値で無機微粒子の酸化物換算値に対して10質量%以上50質量%以下添加することが画像濃度が高くなるという点で好ましく、15質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。水溶性多価金属化合物が10質量%未満であるとカチオン性が弱い為に画像濃度が低下する恐れがあり、50質量%を超えると分散安定性及び塗布液安定性が悪化する為である。また、塗布液の安定性の観点から水溶性多価金属化合物は、分散中に入れることが好ましい。
(水溶性多価金属化合物存在下で分散した無機微粒子分散液)
次いで、本発明に係る水溶性多価金属化合物存在下で分散した無機微粒子分散液について説明する。
本発明に係る水溶性多価金属化合物存在下で分散した無機微粒子分散液としては、具体的には、水に、表面がアニオン性である気相法シリカ微粒子を添加して分散(一次分散)を行い、得られた一次分散液を水溶性多価金属化合物を含有する水溶液に加え、その後pH調整剤を添加し、その混合物を分散(二次分散)して得られるものであり、水溶性多価金属化合物を含有する水溶液は二次分散時までに添加されていることが好ましい。
上記の一次分散する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサー等により、水を主体とする分散媒中に気相法シリカ微粒子を吸引分散することで一次分散液を得ることができる。続いて、該一次分散液に水溶性多価金属化合物とpH調整剤を加えて、その混合物を分散、細粒化することで無機微粒子分散液を調製することできる。
上記の二次分散する方法としては、例えば、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、ロールミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、本発明では形成される凝集状態の無機微粒子の分散を効率的に行うという点から、超音波分散機または高圧分散機が好ましく用いられる。
超音波分散機は、通常、20kHz以上25kHz以下の超音波を照射することで固液界面にエネルギーを集中させることで分散するものであり、非常に効率的に分散され、少量の分散液を調製する場合に特に適している。一方、高圧分散機は、3本または5本のピストンを持った高圧ポンプの出口に、ねじまたは油圧によってその間隙を調整できるようになっている均質バルブが1個または2個備えられたものであり、高圧ポンプにより送液された液媒体が均質バルブによりその流れが絞られて圧力がかかり、この均質バルブを通過される瞬間に微小なダマ物質が粉砕される。この方式は連続的に多量の液を分散できるために、多量の分散液を調製する場合に特に好ましい方式である。均質バルブに加えられる圧力は通常5MPa以上100MPa以下であり、分散は1回のパスで済ますことも多数回繰り返して行うこともできる。
本発明に係る水溶性多価金属化合物存在下で分散した無機微粒子分散液は、無機微粒子の表面がカチオン性に完全に置き換わって安定化したものが好ましい。無機微粒子に対する水溶性多価金属化合物の混合比が、それぞれ酸化物換算した時の質量比(水溶性多価金属化合物の酸化物質量/無機微粒子の酸化物質量)として、上記の範囲が好ましい。なお、無機微粒子として気相法シリカ微粒子が好ましいことは上記のとおりである。気相法シリカ微粒子に対する水溶性多価金属化合物の混合比が上記の範囲であると、気相法シリカ微粒子のアニオン成分がほぼ完全にカチオン成分によって被覆されるため、気相法シリカ微粒子と水溶性多価金属化合物とのイオン結合による粗大粒子形成をひきおこすことがなく好ましい。また、水溶性多価金属化合物の比率が小さくなると塗布液を調製する際、親水性バインダーと混合するとゲル化しやすくなり、逆に水溶性多価金属化合物の比率が大きくなると、塗布液の停滞安定性に問題を生じる場合がある。
本発明に係る水溶性多価金属化合物存在下で分散した無機微粒子分散液は上記の一次分散した状態からpH調整剤によりpHを変化させて得られることが好ましい。これにより均質なカチオン変換されたシリカ微粒子の分散液が得られ、且つその後のインク吸収層塗布液の調製過程で、濁度変化や粘度変化のない安定な塗布液が得られることになる。その結果、本発明の目的である製造時にひび割れ等の塗布故障欠陥がない塗膜品質を保持した高光沢性の記録材料を得ることができる。より好ましくは分散時にpHを上昇させてカチオン性微粒子分散液を得ることであり、この結果、インク吸収性とインク定着性が向上できる。pH変化巾としては0.20以上1.0以下が好ましい。変化巾が0.20以下では本発明の効果は得られにくく、また1.0以上では分散液のゲル化、凝集を生じる場合がある。ここで、分散時とは、一次分散終了後から二次分散終了まで期間をいう。
pH調整剤の酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピメリン酸、及びスベリン酸等の有機酸や、塩酸、硝酸、硼酸及び燐酸等の無機酸などを挙げることができる。またアルカリとして水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム、トリエタノールアミンなどを挙げることができるが、本発明ではこれらに限定されるものではない。また、これら各種酸類、またはアルカリ類を添加する量は、分散進行性や分散液安定性により各種酸類の酸性の程度またはアルカリ性の程度を考慮して添加量を決める必要がある。
上記pH調整剤の中で好ましいのは硼素化合物である。硼素化合物とは硼酸及びその塩を意味し、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55))等を挙げることができる。硼素化合物水溶液として、単独の水溶液でも2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのは硼砂と硼酸の混合液である。硼酸と硼砂の水溶液は、それぞれは比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、分散液を濃縮化することができる。また、硼砂と硼酸の混合比率によりpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。
(各インク吸収層の無機微粒子)
また、A層以外のインク吸収層は無機微粒子をインク吸収性、皮膜強度などの観点で、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを使用して分散することが好ましい。特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合しうる1または2以上のモノマーとの共重合体であり、使用する場合には二次分散時に添加することが好ましい。また、B層はインク吸収性の観点から、カチオン性ポリマーと水溶性多価金属化合物を併用した無機微粒子分散液を使用することが好ましい。
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーとしては、例えば、特開平11−301096号公報の段落番号〔0028〕、同〔0029〕に記載の化合物例を挙げることができる。上記第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、特開平11−301096号公報の段落番号〔0031〕に記載の化合物例を挙げることができる。
特に、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であっても良い。
本発明に好ましく用いられる第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーの具体例は、特開平11−301096号公報の段落番号〔0035〕〜同〔0038〕に記載の化合物を挙げることができる。
無機微粒子分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加して調製することができる。例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類など必要に応じて適宜使用することができる。
特に、水混和性有機溶媒は、表面がアニオン性である気相法シリカ微粒子と水溶性多価金属化合物及び/あるいはカチオン性ポリマーとを含有する水溶液に混合した際、微小なダマの形成が抑制されるために好ましい。そのような水混和性有機溶媒は、分散液中に0.1質量%以上20質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以上10質量%以下の範囲で使用される。
(A層の乾燥膜厚)
A層の乾燥膜厚は全乾燥膜厚の5%以上20%以下であることが好ましく、5%以上15%以下が高い画像濃度とインク吸収性を両立できる点で好ましい。20%を超えると画像濃度が低下する恐れがあり、5%未満であると高い画像濃度を得ることができない。
なお、ここでいう全乾燥膜厚とは、インクジェット記録用紙の支持体上に塗設された全層の乾燥膜厚を言う。
(B層の乾燥膜厚)
B層の乾燥膜厚は全乾燥膜厚の10%以上20%以下であることが好ましく、10%以上15%以下がインク吸収性の点で好ましい。10%未満であるとバリア層のような役割を果たすことができずA層に染料を吸着させられず、また20%を超えるとインク吸収性が低下し、あふれが生じる恐れがある。
(4層以上の場合)
また吸収量等の観点から4層以上設ける場合にはC層のさらに下層に層を設けることができる。その場合にはA、B、C層で全乾燥膜厚の75%以上85%以下であることが好ましい。75%未満であると本発明の効果を得ることができない。またC層とほとんど液体転移量の変わらない層をC層の下に設けた場合にはその層もあわせて、C層とみなすことができる。
なお、本発明の各インク層の合計した乾燥膜厚は、30μm以上60μm以下が好ましい。30μm未満ではインク吸収性が不足し、60μm超では製造時にひび割れなどの問題が起こる場合がある。
(濁度)
インクジェット記録用紙に無機微粒子分散液を用いる場合、前記分散液の最終分散度が、発色性等に大きく影響し、従来のように、電子顕微鏡や粒径測定器で求めた、数平均粒径のみでは、品質を保証できないのが現状で、発色性を向上させるには、分散液中の粗大粒子を把握することが重要である。その手段として、濁度評価を用いることで、解決できることがわかった。もちろん数平均粒径と濁度を併用して分散度評価に用いることが好ましい。数平均粒径は、一般的に、光沢性を得るために300nm以下3nm以上が好ましい。
インクジェット記録用紙に用いる無機微粒子分散液の場合、濁度値として50ppm以下であることが好ましく、今回の層構成ではA層の濁度が50ppm以下であることが発色性の点ではより好ましい。下限値は、特に限定されないが小さい程好ましく、実技的に5ppmまでが好ましい範囲と言える。濁度を小さくする方法としては、カチオン性ポリマー等の分散剤を変えること、分散方法を変えること、分散濃度を高くする、分散時間を長くする、分散時のpHを低くする等の方法をとることができる。
本発明の濁度は、積分球式濁度計により、5mm幅の石英セルに、分散液を入れ、測定した値である。測定器としては、濁度計SEP−PT−706D(三菱化学社製)等が挙げられる。
一般に、インクジェット記録用紙のインク吸収層を形成するのに用いられている無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができるが、本発明のインクジェット記録用紙においては、気相法で合成された気相法シリカ微粒子を用いることが好ましい。
本発明でいう気相法シリカ微粒子とは、二酸化ケイ素を主体とする合成ケイ素化合物である合成シリカの中で、四塩化ケイ素を水素及び酸素のバーナー中、1000℃以上の高温下で加水分解する製法に代表されるいわゆる乾式法または気相法により合成される超微粒子シリカを指す。このような気相法シリカ微粒子としては、日本アエロジル社のAEROSILシリーズ、トクヤマ社のレオロシールシリーズなどがある。この気相法で合成されたシリカ微粒子は、表面がアルミニウムで修飾されたものであってもよく、この場合、気相法シリカ微粒子のアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05%以上5%以下のものが好ましい。
上記気相法シリカ微粒子の粒径は、いかなる粒径のものも用いることができるが、平均粒径(一次平均粒径)が1μm以下であることが好ましい。1μmを越えると光沢性、または発色性が低下しやすく、そのため200nm以下が好ましい。更に100nm以下のシリカが最も好ましい。粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね3nm以上、特に5nm以上が好ましい。
上記気相法シリカ微粒子の平均粒径は、インク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
また、本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から平均粒径が60nm以下で、孤立シラノール基比率が5.0以上7.0以下の気相法シリカ微粒子を用いることが好ましい。
本発明の記録用紙において、インク吸収層に平均粒子径が60nm以下で、かつ孤立シラノール基比率が5.0以上7.0以下である気相法シリカ微粒子を用いることにより、40℃以上の高温乾燥条件においても空隙体積率60%以上を達成することができる。より好ましい孤立シラノール基比率の範囲は5.5以上7.0以下である。孤立シラノール基比率が高いほど粒子間相互作用が高くなり、高い空隙を得やすいが、孤立シラノール基比率が7.0を超えると、塗布液調製時の粘度が高くなりすぎ、ハンドリング上好ましくない。孤立シラノール基比率は、下記の気相法シリカ微粒子の含水率を変化させることで調整することができる。
上記気相法シリカ微粒子の孤立シラノール基比率をコントロールする方法として、気相法シリカ微粒子に水蒸気を吹き付けることで調整することが好ましい。
水蒸気を吹き付ける方法は、気相法シリカ微粒子を搬送しながら連続的に水蒸気を吹き付ける方法、気相法シリカ微粒子を密閉バッチに投入しエアレーションしながら、水蒸気を吹き付ける方法等を挙げることができる。また、気相法シリカ微粒子を湿度20%以上60%以下の環境下で3日以上保存して、気相法シリカ微粒子の含水率を調整する方法も好ましい。
なお、本発明でいう孤立シラノール基比率は、FT−IRを用いて下記の方法に従って求めることができる。
気相法シリカ微粒子を120℃、24hr乾燥し、乾燥させた気相法シリカ微粒子のFT−IR測定を行う。Si−OHに起因する3750cm-1の吸光度、Si−O−Siに起因する1870cm-1の吸光度を求め、以下の式で求められる値を孤立シラノール基比率とした。
孤立シラノール基比率(以下、IR比ともいう)=(3750cm-1の吸光度/1870cm-1の吸光度)
(バインダー)
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層のバインダーとしては、通常用いられるものを適用できるが、親水性のバインダー、特にポリビニルアルコールおよびその誘導体が好ましい。好ましく用いられるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,000以上5,000以下のものが好ましく用いられ、ケン化度は70%以上100%以下のものが好ましく、80%以上99.8%以下のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アミノ基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−メチルビニルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1%以上10モル%以下、好ましくは0.2%以上5モル%以下である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報及び同63−307979号公報に記載されているビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号公報に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類の違いなど、2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め気相法シリカ微粒子に対して0.05質量%以上10質量%以下、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下添加してから、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
インク吸収層の親水性バインダーに対する気相法シリカ微粒子の比率は、質量比で2以上20以下であることが好ましい。質量比が2以上であれば、充分な空隙率の多孔質膜が得られ、充分な空隙容量を得やすくなり、維持できる親水性バインダーによるインクジェット記録時の膨潤によって空隙を塞ぐ状況を招かず、高インク吸収速度を維持できる要因となる。一方、この比率が20以下であれば、空隙層を厚膜で塗布した際、ひび割れが生じにくくなる。特に好ましい親水性バインダーに対する気相法シリカ微粒子の比率は2.5以上12以下、最も好ましくは3以上10以下である。
インク吸収層において、空隙の総量(空隙容量)は、インクジェット記録用紙1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量を20ml/m2以上とすることにより、インク量が多くなってもインク吸収性を良好とすることができるので、画質を向上させ、乾燥性の低下を抑制することができる。
本発明のインクジェット記録用紙においては、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体が、電離放射線により重合されてものが好ましい。
(支持体)
本発明で用いることのできる支持体としては、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもよいが、非吸水性支持体であることが好ましい。吸収性支持体を用いた場合には、支持体がインク中の水分を吸収することによりコックリングを起こしてしまうことがあり、プリント後の品位が損なわれてしまう。
ここでいう吸水性支持体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができる。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものを挙げることができる。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
本発明に係る非吸水性支持体には、透明支持体及び不透明支持体がある。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用として使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50μm以上200μm以下が好ましい。また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆる、RCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなる、いわゆるホワイトペットが好ましい。前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
本発明のインクジェット記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP又はLDPの比率は10質量%以上70質量%以下が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200ml以上500ml以下が好ましく、又、叩解後の繊維長は、JIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30%以上70%以下が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は30g以上250g以下が好ましく、特に50g以上200g以下が好ましい。原紙の厚さは40μm以上250μm以下が好ましい。原紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7g/cm3以上1.2g/cm3以下(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20g以上200g以下が好ましい。また、原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良い。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5以上9以下であることが好ましい。原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。特に、インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常3質量%以上20質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下である。ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、またポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3質量%以上10質量%以下に保持するのが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙において、支持体上に本発明に係るインク吸収層等の構成層を塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもできる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
(カチオン性シリカ分散液A)
カチオン性ポリマー(1)の20%水溶液50gに気相法シリカ微粒子(日本アエロジル製:アエロジル200)の20%水溶液を500g、ついでほう酸3g、ほう砂0.5gを添加し高圧ホモジナイザーで分散して、カチオン性シリカ分散液Aを作製した。
(カチオン性シリカ分散液B)
カチオン性シリカ分散液Aからカチオン性ポリマー(1)水溶液50gをポリ塩化アルミニウム(多木化学製:タキバイン#1500、Al23換算23%)90gに変更した以外は同様にしてカチオン性シリカ分散液Bを作製した。
(カチオン性シリカ分散液C)
カチオン性シリカ分散液Aのカチオン性ポリマー(1)水溶液20gを25gに変更し、ポリ塩化アルミニウム(多木化学製:タキバイン#1500、Al23換算23%)1.6g加えた以外は同様にしてカチオン性シリカ分散液Cを作製した。
Figure 2007210315
(記録用紙1)比較例
以下の塗布液を第2層、第1層の順番でそれぞれの乾燥膜厚が各20μmとなるように同時重層塗布を行い、20〜40℃の風で乾燥し、インクジェット記録用紙1を作製した。
第一層(上層)(B層)
カチオン性シリカ分散液A(17%) 500g
ポリビニルアルコール(6%)(クラレ製:PVA235) 270ml
両性界面活性剤(6%)(ネオス製:フタージェント400S) 2ml
最後に液全体の体積が1000mlになるように純水を加えた。
第二層(下層)(C層)
カチオン性シリカ分散液A(17%) 500g
ポリビニルアルコール(6%)(クラレ製:PVA235) 280ml
エマルジョン樹脂(55%)(住友化学製:スミカフレックス400HQ)
10ml
最後に液全体の堆積が1000mlになるように純水を加えた。
(記録用紙2)比較例
以下の塗布液をC層、B層、A層の順番でそれぞれの乾燥膜厚が各13μmとなるように同時重層塗布を行い、20〜40℃の風で乾燥し、インクジェット記録用紙2を作製した。
A層(最表層)
カチオン性シリカ分散液B(15%) 690g
ポリビニルアルコール(6%)(クラレ製:PVA235) 290ml
カチオン性界面活性剤(6%)(花王製:コータミン24P) 2ml
両性界面活性剤(6%)(ネオス製:フタージェント400S) 2ml
最後に液全体の体積が1000mlになるように純水を加えた。
B層
記録用紙1の上層と共通。
C層
記録用紙1の下層と共通。
(記録用紙3)本発明
記録用紙2のB層のカチオン性シリカ分散液Aをカチオン性シリカ分散液Cに変更した以外は同様にして記録用紙3を作製した。
(記録用紙4)比較例
A層とC層を逆転させた以外は記録用紙3と同様にして記録用紙4を作製した。
(記録用紙5)本発明
記録用紙3のA層においてカチオン性シリカ分散液Bのポリ塩化アルミニウムをジルコゾールZC−2(第一希元素化学工業社製)に変更し、Al23付量と同量のZrO2付量になるようにした以外は同様にして記録用紙5を作製した。
(記録用紙6)
記録用紙3においてA層(最表層)の乾燥膜厚を4μmとし、それ以外の層については各18μmとした以外は同様にして記録用紙6を作製した。
(記録用紙7)
記録用紙6においてB層(A層の隣接層)の乾燥膜厚を6μmとしC層(B層の隣接層)を20μmとした以外は同様にして記録用紙7を作製した。
(記録用紙8)
A層の塗布液として、カチオン性シリカ分散液Bに代えカチオン性シリカ分散液Aを用い更に記録用紙3のAl23付量となるようにポリ塩化アルミニウム(多木化学製:タキバイン#1500)を加えた溶液を塗布液に添加しこれを用いた以外は、記録用紙3と同様にして記録用紙8を作製した。
(記録用紙9)
記録用紙3のA層において、カチオン性シリカ分散液Bのポリ塩化アルミニウム量を17gに変更した以外は同様にして記録用紙9を作製した。
(記録用紙10)
記録用紙3のA層においてポリ塩化アルミニウム(Al23付量)と同量のMgCl2付量となるように市販塩化マグネシウムに変更した以外は同様にして記録用紙10を作製した。
(記録用紙11)
記録用紙3のA層において、カチオン性シリカ分散液Bのポリ塩化アルミニウム量を217gに変更した以外は同様にして記録用紙11を作製した。
〔評価〕
発色性
各記録用紙に、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−G800及び純正染料インクを用いて黒の100%出力ベタ画像を印字し、該黒ベタ画像の反射濃度(Visial)を光学反射濃度計(X−Rite938、X−Rite社製)で測定した。
◎:2.1以上
○:2.0以上2.1未満
△:1.9以上2.0未満
×:1.9未満。
滲み
23℃、55%RHの環境下で、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−950Cを用いて、純正インクによりブルーのベタ画像を背景にした線幅が約0.3mmのブラックラインをプリントし、1時間自然乾燥した後、透明クリアファイルに挿入した。これをクリアファイルのまま、40℃、80%RHの環境下で1週間放置して、保存前後のでブラックラインの線幅をマイクロデンシトメーターで測定(反射濃度が最大濃度の50%の部分の幅を線幅とした)し、下式で表される線幅変化率を求め、この値を長期保存後の滲みの尺度とし、以下に従い滲みの判定を行った。この値が小さいほど滲みが良好であることを示し、実用上問題がないレベルは130以下である。
線幅変化率=
(保存後のブラックラインの線幅/保存前のブラックラインの線幅)×100
◎:上記線幅変化率が110以下
○:上記線幅変化率が110を超え120以下
△:上記線幅変化率が120を超え130以下(実用上問題なし)
×:上記線幅変化率が130を超える(実用上問題あり)。
吸収性
23℃80%RH環境下においてEPSON PM950Cで青の濃度変化を行ったチャートの印字を行い、目視にて判定した。
◎:全くまだら、あふれ等が認められない
○:インク量の多い部分にわずかにまだら、あふれが認められる
△:インク量の多い部分に明らかにまだら、あふれが認められる(実用上問題あり)
×:インク量の少ない部分でも明らかにまだら、あふれが認められる(実用上問題あり)。
濁度
濁度計SEP−PT−706D(三菱化学社製)を用いて、5mm幅の石英セルに塗布液を入れ、測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2007210315
表1から、本発明のインクジェット記録用紙は、滲みの発生が少なく、高い画像濃度が得られインク吸収性の良好であることがわかる。なお、表1中、記録用紙8の塗布液濁度は、表の如く調液不能であったので、測定を行わなかった。

Claims (7)

  1. 非吸水性支持体上に、インクを印字する側の表面側から見て、A層、B層、C層の順に積層された少なくとも3層のインク吸収層を設けたインクジェット記録用紙であって、各インク吸収層は無機微粒子及びバインダーを含有しており、A層には水溶性多価金属化合物存在下で分散した無機微粒子分散液を含有させ、乾燥させて形成した記録用紙であり、更に、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87に準じ、ジエチレングリコール/トリエチレングリコールモノブチルエーテル/水=15/15/70の質量比で混合した液体により、ブリストー法で測定した接触時間0.04秒における液体転移量が、B層<C層<A層の順であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 前記A層が最表層であり、その乾燥膜厚が、全乾燥膜厚の5%以上20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記B層の乾燥膜厚が、全乾燥膜厚の10%以上20%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 前記水溶性多価金属化合物が酸化物換算値で無機微粒子の酸化物換算値に対して10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 前記A層の塗布液の濁度が50ppm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 前記水溶性多価金属化合物の多価金属がアルミニウム又はジルコニウムであることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用紙。
  7. 前記無機微粒子が気相法シリカ微粒子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
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