JP2007277273A - 哺乳類細胞の増殖を治療するためのハロゲン化芳香族を含有する医薬製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下式:
(上記式中、R1は水素、ヒドロキシル及びハロゲンから成る群より選択され;R2はフェニル、及び置換フェニルから成る群より選択され、前記置換はヒドロキシル基であり;R3は水素、ヒドロキシル、低級アルキル、及び低級アルコキシから成る群より選択され;R4はフェニル、及び置換フェニルから成る群より選択され、前記置換はヒドロキシル基及びハロゲンから成る群より選択される。)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を含有する、哺乳類の望ましくない細胞増殖を阻止するための医薬製剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、哺乳類細胞の増殖を抑制する方法及び生成物に関するものである。これらの方法は、癌、動脈硬化症、及び新血管新生によって特徴付けられる疾患を治療するためのin vivo用途を含む広範な用途を有する。
細胞増殖は、生命それ自体にとって必要な、哺乳類存在の正常な一部である。しかしながら、細胞増殖は、必ずしも望ましいとは限らず、例えば癌、皮膚病、炎症性疾患及び動脈硬化症のような生命を脅かす状態の原因となることがある。
本発明は、哺乳類細胞の増殖を抑制する方法及び生成物を提供する。発明の背景で記載した化合物のイミダゾール官能価は、前記化合物の増殖抑制活性にとって必要ではないことを発見した。したがって、抗真菌薬であり、また赤血球のカルシウム活性化カリウムチャンネルを抑制するイミダゾールを、イミダゾール基を取り除くことによって、本発明で用いるために改質した。前記の改質化合物は、典型的には原子5個以下の分だけ、更に典型的には原子3個以下の分だけ、互いから分離された少なくとも2つの芳香族基を有する。芳香族基を結合させる原子は、炭素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子であることができる。芳香族基の少なくとも1つは、塩素、又は正味の総負電荷を有する別の官能価で置換される。
本発明で有用な他の化合物は下式:
本発明のこれらの及び他の態様を、以下でより詳細に説明する。
本発明は、哺乳類細胞の増殖を抑制するための方法及び生成物を含む。抗真菌薬であり、且つ赤血球のカルシウム活性化カリウムチャンネルを抑制する、ある種のイミダゾールは、哺乳類細胞の増殖を抑制することができるということは既に確立されている。本発明は、これらのイミダゾールの代謝産物及び類似化合物が、それらがイミダゾール官能価を含んでいないにもかかわらず、哺乳類細胞の増殖を抑制することができるという予期外の所見を含んでいる。
最も好ましい化合物は、クロトリマゾール、ミコナゾール及びエコナゾールの類似化合物であり、それらのイミダゾール基は水素、ヒドロキシル、低級(1 − 3個の炭素原子)アルキル又は低級アルコキシ基で置換されるように改質された分子である。前記の化合物としては:
好ましい化合物は
本発明にしたがって有用であると考えられる他の化合物としては、オキシコナゾール、イソコナゾール、クロコナゾール、ブトコナゾール、フェンティコナゾール、エニルコナゾール、オモコナゾール、スルコナゾール及びチココナゾールを含む、抗真菌薬であり、且つ赤血球のカルシウム活性化カリウムチャンネルを抑制する他のイミダゾールの誘導体が挙げられる:
アメリカ合衆国の人々の1/3が癌になると考えられている。癌は、アメリカ合衆国における主たる死因として、心臓病に次ぐ第二番目を保っている。本発明の化合物を用いる化学療法が提供される。
動脈硬化は、動脈壁の肥厚及び硬化を説明するために用いられ用語である。動脈硬化は、アメリカ合衆国及び最も西洋化された社会における死亡原因の大部分を占めていると考えられる。アテローム性動脈硬化症は、ほとんどの冠状動脈疾患、大動脈瘤、及び下肢の動脈疾患の原因、ならびに脳血管疾患の原因であると考えられる動脈疾患の1つのタイプである。動脈疾患は、アメリカ合衆国における死因の第一位である。
本発明は、動脈硬化状態を治療することに関して用いられる。本明細書で用いている動脈硬化状態とは、古典的なアテローム性動脈硬化症、悪性アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症の病変、及び糖尿病の血管性合併症を含む、望ましくない内皮細胞及び/又は脈管平滑筋細胞の増殖によって特徴付けられるあらゆる他の動脈硬化状態を意味している。脈管平滑筋細胞の増殖は、古典的なアテローム性動脈硬化症における主たる病理学的特徴である。内皮細胞からの増殖因子の遊離は、口径を減少させ、最終的には動脈を塞いでしまう内膜下平滑筋の増殖を刺激する。本発明は、前記の増殖を抑制するので、前記増殖及び関連するアテローム性動脈硬化状態の始まりを遅らせ、進行を抑制し、又は進行を停止させるのにも有用である。
が挙げられる。
血管新生、すなわち脈管形成は、新しい動脈の成長及び発達である。血管新生は、損傷修復を含む脈管系の正常な発達には重要である。しかしながら、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、慢性関節リウマチ、及びある種の癌を含む異常な血管新生によって特徴付けられる状態がある。例えば糖尿病性網膜症は、失明の主な原因である。糖尿病性網膜症には2つのタイプ、すなわち単純タイプと増殖性タイプとがある。増殖性網膜症は、血管新生及び瘢痕によって特徴付けられる。増殖性網膜症を有するそれらの患者の約1/2は、約5年以内に、失明へと進行する。
本発明は、実質的にあらゆる増殖性疾患と関連のある哺乳類の細胞増殖を抑制するのに有用である。上記した特有の疾患に加えて、また本発明は、ケロイド、過形成性瘢痕、脂漏性角化症、パピローマウィルス感染(例えば、尋常性ゆうぜい、足底ゆうぜい、扁平ゆうぜい、コンジロメータ(condilomata)などを生じさせる)光線性角化症及び湿疹を含む他の皮膚病;増殖性糸球体腎炎を含む他の炎症性疾患;紅斑性狼瘡;強皮症;一時性関節炎;閉塞性血栓性脈管炎;皮膚粘膜リンパ節症候群;及び子宮レイオミオマス(leyomyomas)を治療するのにも有用である。
投与するとき、本発明の処方は、薬学的に許容可能な量で且つ薬学的に許容可能な配合物で適用される。前記の製剤は、通常、塩、緩衝剤、保存薬、適合担体、及び任意に他の治療成分を含むことができる。医学で用いるとき、塩は、薬学的に許容可能であるべきであるが、薬学的に許容可能でない塩を都合良く用いて、それらの薬学的に許容可能な塩を調製することができ、また本発明の範囲からも排除されない。前記の薬理学的に及び薬学的に許容可能な塩としては、限定するものではないが、次の酸:すなわち、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、マロン酸、琥珀酸、ナフタレン−2−スルホン酸、及びベンゼンスルホン酸が挙げられる。また、薬学的に許容可能な塩は、例えばカルボン酸基のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩のようなアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩として調製することもできる。
材料
略語:ChTX,カリブドトキシン;CLT,クロトリマゾール;ECZ,エコナゾール;MCZ,ミコナゾール;FCZ,フルコナゾール;METZ,メトロニダゾール;IbTX,イベロトキシン;KTX,カリオトキシン;DIDS,ジ−イソチアシアノ−ジスルホニルスチルベン;ヘモグロビン濃度;MCHC,平均血球ヘモグロビン濃度;MOPS,3−[N−モルフォリノ]プロパンスルホン酸。
合成カリブドトキシン(ChTX)は、Peptides International(ケンタッキー州ルイスビル)から購入した。A23187は、Calbiochem-Behring(カリフォルニア州ラホーヤ)から購入した。フルコナゾールは、コネチカット州グロトンにある Pfizer Inc.から購入した。ジスルホン酸(MOPS)、クロトリマゾール(CLT)、ミコナゾール、エコナゾール、メトロニダゾール、及びすべての他の薬剤及び化学薬品は、Sigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)及びFisher Scientific Co.(ニュージャージー州フェアローン)から購入し、放射性同位体86Rbは、Dupont(マサチューセッツ州ビレリカ)から購入した。
[3H]チミジンの取り込みによって評価したDNA合成:細胞は、ウェル(well)1つ当たり104及び0.8 10-3個の細胞がそれぞれ存在している48又は96のウェルプレート(Costar, マサチューセッツ州ケンブリッジ)中で増殖させ、また、10%熱失活仔ウシ血清が補われた Dubelcco によって改良されたイーグル培地(DME, Gibco, ニューヨーク州グランドアイランド)中で増殖させた;それらを、5%CO2中37℃に保った。それらが、集密に達したら(通常は3 − 4日)、培地をDME0.5%血清で置換して、それらを停止させ、有糸分裂誘発アッセイを24時間後に行う。
Ca++感受性K+チャンネルは、ヒト赤血球を含む細胞中で広範に分布している。ヒト赤血球は、前記チャンネルが初めて発見された細胞であり、また次の理由:すなわち、それらは容易に入手することができ、研究室で容易に扱うことができ、また輸送アッセイを、赤血球懸濁液のヘモグロビン濃度を読み取ることによって正確に標準化することができる、という理由から、前記チャンネルの活性剤及び抑制剤に関して最も普通に用いられるアッセイシステムである。
ヒト赤血球のCa++活性化Kチャンネルに関するクロトリマゾール代謝産物B(2−クロロフェニル−ビス−フェニル−メタノール)の抑制効果を、A231H7/L細胞 60マイクロモル 及び塩化カルシウム 100μM の存在下で評価した。この代謝産物は、Ca++で活性化された86Rb流入及びK流出を著しく抑制した。IC50の平均値は、約9mMであった。
Ca++活性化K輸送を抑制する代謝産物Bの能力は、125I-ChTXの置換を評価することによっても測定した。ChTXによるK輸送の抑制と比較して、ChTXによる125I-ChTXの置換に関するIC50値は2 − 3倍増加するということはChTXに関して既に示されている(Brugnara, J.Biol.Chem.1993)。細胞を、1μMの代謝産物Bで処理したとき、また代謝産物Bが10μMの最大レベルに達したとき、K輸送の抑制%は50%を超えた。
細胞増殖に関する代謝産物Bの抑制効果を、Swiss 3T3 細胞(ネズミの線繊芽細胞系)で評価した。休止細胞を、精製された増殖因子(bFGF)及びDNAの合成で刺激し、24時間後に測定した[3H]チミジンの取り込みによって評価した。10μMのCLTは、bFGFで刺激されたDNA合成を完全に抑制した。代謝産物B、すなわちケトプロフェン及びジクロフェナックも、細胞増殖を抑制した。対照と比較して、ケトプロフェンは約80%だけ、チミジンの取り込みを抑制し、CLT代謝産物B及びジクロフェナックは、約50%だけチミジンの取り込みを抑制した。
この実験では、ヒト黒色腫細胞(MM RU)系を用いた。MM RU細胞系は、肺においてのみ転移(metasteses)を生じた(Byers,H.R.,ら による「Organ
Specific Metasteses in ImmunoDeficient Mice Injected with Human Melanomacells; A Quantitative Pathologic Analysis. Melanoma Res. 3:247-253(1993))。これらの細胞は、CLT代謝産物Bの存在及び非存在下で培養し、チミジン取り込みを測定した。10μMのCLT代謝産物Bは、対照に対して、約60%だけチミジンの取り込みを抑制した。
この実験では、結腸線癌細胞系(HT59)を用いた。前記の細胞は、CLT代謝産物Bの存在及び非存在下で培養した。10μMのCLT代謝産物Bは、対照に対して、約50%だけ、チミジンの取り込みを抑制した。
Claims (16)
- 望ましくない哺乳類の細胞増殖が、癌、脈管形成状態、動脈硬化状態、皮膚病又は炎症性病状である請求項1〜3のいずれかに記載の医薬製剤。
- 癌が:胆管癌;脳の癌;胸部の癌;子宮頸部癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;血液学的新生物;上皮内新生物;肝臓癌;肺癌;リンパ腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;睾丸癌;甲状腺癌;及び腎臓癌から成る群より選択される請求項9記載の医薬製剤。
- 癌が皮膚癌である請求項9に記載の医薬製剤。
- 癌が結腸癌である請求項9に記載の医薬製剤。
- 動脈硬化状態がアテローム性動脈硬化症および糖尿病性血管合併症から選択される請求項9に記載の医薬製剤。
- 脈管形成状態が、糖尿病性網膜症、血管新成緑内障、慢性関節リュウマチ(非癌性脈管形成状態)、固化腫瘍(癌性脈管形成状態)、血管内皮腫、血管腫、カポージ肉腫、乾癬からなる群から選択される。請求項9に記載の医薬製剤。
- 皮膚病が、ケロイド、過形成性瘢痕、脂漏性角化症、パピローマウィルス感染、光線性角化症及び湿疹から成る群より選択される請求項9に記載の医薬製剤。
- 炎症性症状が、増殖性糸球体腎炎、紅斑性狼瘡、心臓移植の悪性アテローム性動脈硬化症;強皮症;一時性関節炎;閉塞性血栓性脈管炎;皮膚粘膜リンパ節症候群および子宮レイオミオマスから成る群より選択される請求項9に記載の医薬製剤。
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