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JP2007277180A - アレルギー症状改善剤 - Google Patents

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Shinji Taniguchi
慎治 谷口
Masafumi Yao
理文 八尾
Takashi Kimura
隆 木村
Munehiko Donpou
宗彦 鈍宝
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Abstract

【課題】対症療法、減感作療法などの従来の方法に代わる/もしくは併用することができ、従来よりも安全性の高い機能性成分からなる花粉症などのアレルギー症状を改善する作用を有する組成物並びにそれを含んだ製剤及び飲食品を提供する。
【解決手段】渋柿を有効成分とすることを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する経口投与組成物であって、例えば、市販の無臭柿渋を、乾燥させ、粉末状にしたものを再度水に懸濁して得られるアレルギー症状改善作用を有する経口投与組成物並びにそれを含有するアレルギー症状改善剤及びアレルギー症状の改善作用を有する食品。
【選択図】 図2

Description

本発明は、花粉症などのアレルギー症状の改善作用を有する組成物並びにそれを含有する花粉症などのアレルギー症状改善剤及び花粉症などのアレルギー症状の改善作用を有する飲食品に関するものである。
アレルギー性疾患は抗原抗体反応の形式によりI型〜IV型の4つの型に分類されている。しかし現在では通常アレルギー性疾患といえば、I型アレルギーであるアレルギー性気管支喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症、アトピー性皮膚炎などを指すことが多い。
アレルギーの発生機序としては3つの段階に分けられる。第一段階として花粉・ハウスダスト等の抗原が器官粘膜に付着してIgE抗体の産生を起こす。第二段階として抗原に感作された肥満細胞からヒスタミン等の化学伝達物質が脱顆粒により遊離される。第三段階として前記第二段階で遊離されたヒスタミン等の化学物質が器官に作用してアレルギー症状を惹起する。
現在、花粉症の症状を改善する方法としては、マスクやゴーグルや空気清浄機を使用して花粉との接触機会を少なくする方法、抗ヒスタミン薬や脱顆粒抑制能やロイコトリエン合成阻害能を有する食品、例えば甜茶やシソ葉など、を摂取する方法、アレルゲンそのものを定期的に注射することにより寛容を誘導する減感作療法などがあり(例えば、非特許文献1、特許文献1、2参照)、ある程度の改善効果が期待できる。しかしながら、花粉との接触機会を少なくする方法には技術的な限界があり、抗ヒスタミン薬や減感作療法は副作用が問題視されており、既存の機能性食品には十分な効果があるとはいえず、いずれも決定的でない。したがって、最低限、花粉に暴露しないよう日常的な清掃が推奨される一方で、ヒスタミン等の放出を抑制して花粉症等の症状を緩和する効果の高い機能性食品が望まれていた。
日本サプリメント協会著「サプリメント健康バイブル」SAPIOムック、2004年、p.74 特開2000−041639号公報 特開2004−217604号公報 ところで、渋柿の搾汁液を発酵させて得られる柿渋は、タンニンと呼ばれるポリフェノール類を多量に含んでいる。ポリフェノール類は、抗アレルギー作用、抗酸化作用、抗菌作用、抗腫瘍作用などを持つことが知られている。柿渋に含まれるタンニンにも抗酸化作用、抗菌作用があることが知られているが、抗アレルギー作用に関しての調査はいまだ乏しい。
本発明は、上述の対症療法、減感作療法などの従来の方法に代わる/もしくは併用することができ、従来よりも安全性の高い機能性成分からなる花粉症などのアレルギー症状を改善する作用を有する組成物並びにそれを含んだ製剤及び飲食品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、アレルギー性疾患について鋭意研究を重ねた結果、柿渋を所定量服用することにより優れた抗アレルギー作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、渋柿を有効成分とすることを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する経口投与組成物を要旨とするものである。
別の本発明は、前記した組成物を含有することを特徴とするアレルギー症状改善剤を要旨とするものである。
さらに別の本発明は、前記した組成物を含有することを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する飲食品を要旨とするものである。
本発明によれば、花粉症などのアレルギー症状の改善作用に優れた、安全性の高い組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
柿渋は、渋柿の未熟果(摘果柿)を搾汁することで得られる液状物に酵母等を加え、この酵母等を加えた液状物をおよそ1〜2年程度かけて発酵させることで製造される。柿渋の主成分はタンニンと呼ばれるポリフェノール類である。このタンニンには収斂作用があり、強い渋みを感じる元となる。
本発明で用いられる柿渋は、柿の品種や製法などに限定されず、どのようなものであってもよいが、透析などによって低分子化合物を除いた無臭柿渋と呼ばれるものが好ましい。
本発明で用いられる柿渋は、古来から伝わる伝統的な製法によって製造することもできるが、各種市販品を用いても構わない。そのような市販品の具体例としては、岩本亀太郎商店製「膜分離精製柿タンニンH−1」などがあげられる。
本発明のアレルギー症状の改善作用を有する経口投与組成物は、上記した柿渋を有効成分とするものである。該組成物中に含有される柿渋は、0.1質量%〜100質量%の範囲で含まれていればよく、好ましくは1質量%〜50質量%、さらに好ましくは2質量%〜25質量%である。なお、ここでいう柿渋の含有量は、液体であれば柿渋原液の質量を、粉末であれば柿渋乾燥物の質量をいう。
本発明のアレルギー症状の改善作用を有する経口投与組成物の形状としては、粉末状、液状などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、錠剤、カプセル等任意の形状とすることができる。例えば、本発明の組成物を粉末状とするためには、柿渋をスプレードライまたは凍結乾燥することにより粉末化することができる。
なお、本発明のアレルギー症状の改善作用を有する組成物には、上記の成分に加え、必要に応じて他の成分を有していてもよい。例えば、腸内環境を整える成分として乳酸菌、アラキドン酸の作用を抑える成分としてリノール酸、脂肪酸代謝をスムーズにし炎症発現物質の生成を抑える成分としてガンマ−リノレン酸などが挙げられ、本発明の機能を阻害しない範囲で添加することができる。すなわち、0.1質量%〜99.9質量%含まれていればよく、好ましくは1質量%〜50質量%、さらに好ましくは2質量%〜25質量%含まれていればよい。なお、本発明の組成物を粉末状とするに際し、柿渋以外の構成成分に液状のものが含まれている場合は、混合前もしくは混合後に、例えばシクロデキストリンなどの賦形剤を添加し、粉末化加工をすることもできる。
次に、本発明のアレルギー症状改善剤について説明する。本発明のアレルギー症状改善剤は、上記した本発明のアレルギー症状の改善作用を有する組成物を有効成分として含有するものである。アレルギー症状改善剤中の柿渋含量は乾燥粉末換算で、0.1質量%〜99.9質量%の範囲で含まれていればよく、好ましくは1質量%〜50質量%、さらに好ましくは2質量%〜25質量%である。また該剤の摂取量の目安としては、成人1日あたり5mg〜50g、好ましくは20mg〜1500mg、さらに好ましくは50mg〜1000mgとする。ただし摂取する者の年齢、体重、症状、摂取期間などによって変化させることができる。1日あたりの量を複数回に分けて摂取することもできる。
本発明のアレルギー症状改善剤は、種々の剤形とすることができる。例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができるが、これらに限定されない。また、製剤化には薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、コーティング剤を含むことができるが、これらに限定されない。
次に、本発明のアレルギー症状改善作用を有する飲食品について説明する。
本発明のアレルギー症状改善作用を有する飲食品は、上記した本発明のアレルギー症状の改善作用を有する経口投与組成物を含有するものである。該飲食品中の柿渋含量は乾燥粉末換算で、0.1質量%〜99.9質量%の範囲で含まれていればよく、好ましくは1質量%〜50質量%、さらに好ましくは2質量%〜25質量%である。
本発明のアレルギー症状改善作用を有する飲食品は、飲料を含む一般食品の形態とすることができる。例えば、アレルギー症状の改善作用を有する経口投与組成物を原材料として、麺類、パン、キャンディー、ゼリー、クッキー、スープ、健康飲料の形態とすることができる。このような食品、飲料にはアレルギー症状の改善作用を有する経口投与組成物の他に、必要に応じて他の成分、例えば、鉄、カルシウム等の無機成分、種々のビタミン類、オリゴ糖、キトサン等の食物繊維、大豆抽出物等のタンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖類などを、本発明の効果を阻害しない範囲で加えることができる。
上記した本発明のアレルギー症状改善剤及びアレルギー症状改善作用を有する飲食品に含まれることとなる柿渋は、食経験があるものであり、本発明のアレルギー症状改善剤及びアレルギー症状改善作用を有する飲食品の摂取量(投与量)は厳しく制限されるものではないが、概ね下限量は効果を発現しうる最低量、上限量は摂取のし易さ、経済性の観点から実際的な量が選択される。
実施例1〔RBL-2H3細胞を用いた肥満細胞脱顆粒抑制試験〕
(1)投与試料
試験試料には、無臭柿渋(膜分離精製柿タンニンH-1、岩本亀太郎商店)を遠心濃縮乾燥機にて乾燥させ粉末状にした。これを再度水に懸濁したものを使用した。
(2)実験条件
RBL-2H3細胞を培養し、24穴マイクロプレートそれぞれに0.5 mg/mL 抗ジニトロフェニルIgE抗体(Biogenesis社製)と5×105個の細胞を混合して蒔いた。37℃、5%二酸化炭素下で一晩培養し、PBS(和光純薬)で2回洗浄した後にHEPES緩衝液(同仁科学研究所)に置き換え、柿渋を終濃度500 mg/mLとなるように添加した。10分間加温した後、終濃度4 mg/mLとなるようにジニトロフェニル‐BSA(コスモバイオ)を添加する。30分加温後、氷上に置き脱顆粒反応を停止させた。反応を停止させたプレートを遠心し、反応液を回収した。この回収した溶液に含まれるヒスタミン量をSPI bio社製のHistamin Enzyme Immunoassay Kitを用いて検出した。陽性対象にはケトチフェンフマル酸(第2世代の抗ヒスタミン薬)(和光純薬より購入)を用いた。
(3)実験結果
測定結果を図1に示す。値は平均値±S.E.。柿渋を添加した細胞では、ヒスタミンの量が減少しており、水を添加した細胞との間に有意差が見られた(P<0.05)。
実施例2〔受身皮膚アナフィラキシー反応〕
(1)投与試料
試験試料には、無臭柿渋(膜分離精製柿タンニンH-1、岩本亀太郎商店)を遠心濃縮乾燥機にて乾燥させ粉末状にした。これを再度水に懸濁したものを使用した。
(2)実験条件
BALB/cマウス(7週齢、雄)(日本SLCより購入)を4日間の予備飼育後、マウスを8匹ずつ6群に分けた。10μg/mLとなるように調製した抗ジニトロフェニルIgE抗体(Biogenesis社製)を20μLマウスの耳に皮内注射し、おのおのの群に対し、22時間後に水に懸濁した柿渋乾燥粉末を経口投与した。陰性対照には水のみを投与し、陽性対照には水の経口投与1時間半後にケトチフェンフマル酸(和光純薬より購入)を腹腔内に10mg/kg投与した。経口投与2時間後、5mg/mLのエバンスブルー色素を含む1mg/mL DNP-BSA100μLを尾静脈から投与した。尾静脈投与30分後マウスを屠殺し、耳を回収した。回収した耳を0.5%硫酸ナトリウム/アセトン(3:7)溶液1mLに浸した。24時間後、溶出液の吸光度(620nm)を測定した。
アレルギーが発症すると血管透過性が亢進される。その結果、血中にある物質が血管外に漏れ出してくる。つまり、血管から漏れ出す物質の量でアレルギーの強度が計れる。エバンスブルーは620 nmに吸収極大をもつため、これを測定することで血管から漏れ出したエバンスブルーを定量することができ、このエバンスブルーの量によってアレルギー症状の強度が計れる。
(3)実験結果
測定結果を図2に示す。値は平均値±S.E.となっている。250mg/kg以上のとき水を投与した群との間に有意差がみられた(P<0.05)。
柿渋の脱顆粒抑制能を示す図である。 柿渋の受身皮膚アナフィラキシー反応の抑制効果を示す図である。

Claims (3)

  1. 渋柿を有効成分とすることを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する経口投与組成物。
  2. 請求項1記載の組成物を含有することを特徴とするアレルギー症状改善剤。
  3. 請求項1記載の組成物を含有することを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する飲食品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009274972A (ja) * 2008-05-13 2009-11-26 Maruzen Pharmaceut Co Ltd アレルゲン不活性化剤及びアレルゲン不活性化材

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