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JP2007254914A - 塗工白板紙 - Google Patents

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JP2007254914A
JP2007254914A JP2006080108A JP2006080108A JP2007254914A JP 2007254914 A JP2007254914 A JP 2007254914A JP 2006080108 A JP2006080108 A JP 2006080108A JP 2006080108 A JP2006080108 A JP 2006080108A JP 2007254914 A JP2007254914 A JP 2007254914A
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Hiroyuki Furukawa
博之 古川
Yukio Tani
幸雄 谷
Yukio Yamakoshi
幸男 山越
Tetsuya Hirabayashi
哲也 平林
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Abstract

【課題】本発明は、未脱墨の古紙パルプを使用した塗工白板紙について、塗工欠陥が少なく、表面の白色ムラが少なく、平滑性や印刷適性に優れた塗工白板紙を提供するものである。
【解決手段】基紙の表面に、顔料と接着剤を主成分として含有する2層の塗被層を有する塗工白板紙において、前記塗被層のうち下塗り塗被層の顔料として、下塗り塗被層の顔料全固形分中、特定条件を満足するデラミネーテッドカオリンを10〜40質量%、沈降方式により測定した平均粒子径が0.35〜3.5μmの重質炭酸カルシウムを40〜80質量%含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、特に古紙パルプを使用した塗工白板紙に関するものである。
白板紙は通常、白ボールとマニラボールに分類され、マニラボールはさらに高級白板紙と特殊白板紙に分類される。さらに白ボールについては、塗工タイプと非塗工タイプがある。白板紙は、通常3〜9層の多層構造からなる厚紙で、各種包装箱等に多く使用される。中でも、白ボール、塗工白ボールおよび特殊白板紙は、環境面や包材のコストダウンの観点から古紙パルプが多く用いられており、中層には未脱墨の古紙パルプが使用されている。例えば、塗工白ボールでは、表層には、バージンパルプまたは脱墨された白色度の高いパルプを、また中層、裏層には白色度の低い未脱墨の古紙パルプを使用する。また、特殊白板紙カードでは、最外層(表層、裏層)には、バージンパルプまたは脱墨された白色度の高いパルプを使用し、中層は脱墨古紙が使用されている。
中層の色を隠蔽するためには、最外層にはある程度の厚さが必要であるが、最外層のみに隠蔽性を求めると、コスト的な問題があるため、最外層と中層の間に中間層(表下層、裏下層)を設けて、この層でも中層の色を隠蔽させるのが普通である。
しかし、中間層には上述のとおりコスト的な問題から最外層と同等の高い白色度を有するパルプを使用することが難しく、中層ほどではないが最外層よりも白色度の低いパルプが使用される。中間層を設けることにより、中層の隠蔽は可能となるものの、中間層の白色度の影響は受けるため、紙面を上方から直視して見たときに、微小な面積の色差ムラ(白色ムラ)を生じ、面感の低下をまねく。
白色度の低い未脱墨の古紙パルプが使用されている白板紙において、白色ムラが存在する原因は必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。すなわち最外層の米坪が約30〜80g/mと少なく、隠蔽性が低いうえに、通常の板紙マシンにて得られる各層の原紙地合いは、マシン構造の違いから洋紙系の長網マシンに比べると劣ることが多い。そのため最外層は、パルプ量の少ない(透明性の高い)部分と、パルプ量の多い(透明性の低い)部分の差が比較的大きく、目立ちやすい。この層が内側の層と抄合わされると中間層の表面部が、最外層のパルプ量の少ない(透明性の高い)部分より透けて映り、このときの最外層と中間層のシート表面の白色度差が大きい場合には、中間層の表面が透けて映る部分は色差ムラ(以下、白色ムラとする)となって、白紙面感の低下をもたらすものと推定される。
印刷適性付与の目的で顔料塗被層を設けた塗工白板紙は、塗被層を設けることにより白色ムラは良化する傾向にあるが、単層紙の洋紙と比較して原紙が多層からなり、多層構造由来の各層の原紙凹凸により、塗被層の被覆性は大きく劣るため、被覆性を補うために塗被層中の顔料として、これまでに構造化カオリン、二酸化チタン及び中空型のプラスチックピグメントを使用する方法が提案されている(特許文献1,2を参照)が、更なる改良が望まれている。また、原紙面より白色ムラを改良する目的で、最外層と中間層との白色度差を少なくする方法も提案されている(特許文献3を参照)。
特開平06−166991号公報 特開2003−306892号公報 特願2004−114995号公報
本発明は、未脱墨の古紙パルプを使用した塗工白板紙について、塗工欠陥が少なく、表面の白色ムラが少なく、平滑性や印刷適性に優れた塗工白板紙を提供するものである。
本発明にかかる塗工白板紙は、基紙の表面に、顔料と接着剤を主成分として含有する2層の塗被層を有する塗工白板紙において、前記塗被層のうち下塗り塗被層の顔料として、下塗り塗被層の顔料全固形分中、下記条件を満足するデラミネーテッドカオリンを10〜40質量%、沈降方式により測定した平均粒子径が0.35〜3.5μmの重質炭酸カルシウムを40〜80質量%含有することを特徴とする。
本発明範囲のデラミネーテッドカオリンとは、光散乱方式により測定した平均粒子径d50が2.0〜5.0μmの範囲内にあり、沈降方式により測定した平均粒子径d50が0.30〜0.55μmの範囲内にあり、かつ平均粒子径d50と平均粒子径d50の比(d50/d50)が4以上である。
前記デラミネーテッドカオリンは22〜37質量%含有することがさらに好ましい。
下塗り塗被層の顔料として、さらに沈降方式により測定した平均粒子径が0.1〜3.5μmの軽質炭酸カルシウムを下塗り塗被層の顔料全固形分中、10〜40質量%含有することが好ましい。
前記下塗り塗被層の塗工方式がロッド塗工、上塗り層の塗工方式がブレード塗工により形成されることが好ましい。
本発明によって、塗工欠陥が少なく、表面の白色ムラが少なく、平滑性や印刷適性に優れた塗工白板紙を提供することが可能となった。
一般に、古紙配合率の高いパルプ構成である塗工白板紙において、片面10〜30g/m以下の塗工量にて塗工表面の高白色性と、かつ基紙表面のくすみを十分に隠蔽した良好な白紙外観を得ることは難しい。そこで、本発明者らは上記のごとき難点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、前記塗被層のうち下塗り塗被層の顔料として、下記条件を満足するデラミネーテッドカオリンを10〜40質量%、沈降方式により測定した平均粒子径が0.35〜3.5μmの重質炭酸カルシウムを40〜80質量%含有することより、塗工表面の高白色性、原紙表面の隠蔽性、つまり白色ムラの少ない優れた白紙外観を有する塗工白板紙を得ることができ、さらに塗工欠陥が少なく、平滑性および印刷適性にも優れた塗工白板紙が得られ、本発明の所望とする目的を達成することができたのである。
本発明範囲のデラミネーテッドカオリンとは、光散乱方式により測定した平均粒子径d50が2.0〜5.0μmの範囲内にあり、沈降方式により測定した平均粒子径d50が0.30〜0.55μmの範囲内にあり、かつ平均粒子径d50と平均粒子径d50の比(d50/d50)が4以上である。
本発明の塗工白板紙において、下塗り塗被層を構成する顔料成分としては、下塗り塗被層の顔料全固形分中、本発明範囲のデラミネーテッドカオリンを10〜40質量%、より好ましくは22〜37質量%含有し、かつ沈降方式により測定した平均粒子径が0.35〜3.5μmの重質炭酸カルシウムを40〜80質量%含有するものである。なお、下塗り塗被層を構成する顔料成分としては、本発明範囲のデラミネーテッドカオリンと前記特定の平均粒子径の重質炭酸カルシウムのみからなるものも含まれる。
本発明範囲のデラミネーテッドカオリンの量が、下塗り塗被層の顔料成分の10質量%未満であったり、重質炭酸カルシウムの量が80質量%を超える場合は、下塗り塗被層自体に優れた平滑性、被覆性(白色ムラ改良)を付与することが難しく、デラミネーテッドカオリンの量が40質量%を越えたり、重質炭酸カルシウムの量が下塗り塗被層の顔料成分の40質量%未満である場合には、塗工欠陥が生じる恐れがある。
次に本発明における下塗り塗被層に使用されるデラミネーテッドカオリンについて述べる。デラミネーテッドカオリンは、六角板状が積層した通常のカオリンを単層に剥がすことにより得られ、比較的粒子径が大きく、アスペクト比が高いために、塗被層に配合すると原紙の被覆性が良好になり、平滑性が向上すると言われている。また、光散乱方式による平均粒子径d50と沈降方式による平均粒子径d50の比、d50/d50は、顔料のアスペクト比と関係しており、これが被覆性に影響するためと考えられる。光散乱方式による平均粒子径測定では、個々の粒子を形状に関係なく、球相当径に換算して粒子径を表示するのに対して、沈降方式による平均粒子径測定では、形状の特性が沈降性に影響を及ぼし、カオリン等の板状の粒子は沈降が遅くなり、見かけ上、細かい粒子として表示されるため、それぞれの測定方式による平均粒子径に差が出るものと考えられる。顔料粒子のアスペクト比が大きく、すなわち板状の形状が強いほど、沈降方式による平均粒子径が小さくなり、光散乱方式による平均粒子径d50と沈降方式による平均粒子径d50の比、d50/d50は大きくなるものと考えられる。
以上のことを鑑み、鋭意検討を行なった結果、光散乱方式により測定した平均粒子径d50が2.0〜5.0μm、好ましくは2.2〜2.8μm、沈降方式により測定した平均粒子径d50が0.3〜0.55μm、好ましくは0.30〜0.50μm、沈降方式により測定した平均粒子径d50と光散乱方式により測定した平均粒子径d50の比、d50/d50が4以上、好ましくは5以上であるデラミネーテッドカオリンを使用することにより、被覆性と平滑性のバランスが優れた塗工白板紙を発明するに至った。なお、光散乱方式による平均粒子径d50および沈降方式による平均粒子径が、それぞれ2.0μm未満および0.3μm未満の場合、被覆性の高い塗被層を形成することができず、また、光散乱方式による平均粒子径d50および沈降方式よる平均粒子径d50が、それぞれ5.0μmおよび0.55μmを越える場合、本発明でもとめる平滑性が得られない。また、光散乱方式による平均粒子径d50と沈降方式による平均粒子径d50の比、d50/d50が4未満の場合も、本発明の塗工白板紙を得ることができない。
本発明における下塗り塗被層に使用される重質炭酸カルシウムについては、沈降方式により測定した平均粒子径の範囲が0.35〜3.5μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.35〜1.5μm、さらに好ましくは0.35〜0.9μmの範囲である。0.35μm未満の場合、被覆性の高い塗被層を形成することができず、また、3.5μmを越えると本発明で求める平滑性、被覆性(白色ムラ改良)が得られない。
本発明において、下塗り塗被層に含有するデラミネーテッドカオリン、重質炭酸カルシウム以外の顔料としては例えば、前記範囲以外のデラミネーテッドカオリン、カオリン、タルク、クレー、焼成カオリン、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミカオリン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料のほか、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等、通常の塗被紙分野に使用される顔料を使用することが可能であり、これらの中から1種あるいは2種以上を適宜選択して使用できる。なお、使用する顔料の、沈降方式により測定した平均粒子径は、0.1〜3.5μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.7μmの範囲である。
なかでも、沈降方式により測定した平均粒子径が0.1〜3.5μmの範囲にある軽質炭酸カルシウムを下塗り塗被層の顔料全固形分中、10〜40質量%含有することにより、特に印刷時において、大豆油インキを使用した場合に良好なインキ乾燥性が得られるため、結果として良好な印刷適性が得られる。前記平均粒子径としては、より好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.7μmの範囲であり、含有量としては、10〜30質量%がより好ましい。
本発明において、下塗り塗被層に含有する接着剤としては、特に限定させるものではなく、通常の塗工白板紙分野で使用される接着剤、例えば水溶性接着剤として、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などを、また分散液型接着剤として、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどを使用することが可能であり、必要に応じてこれらの中から1種類あるいは2種類以上を適宜選択して使用する。
また本発明においては、下塗り塗被層の接着剤成分の量は、顔料成分100質量部当たり10〜30質量部の範囲が好ましく、特には10〜25質量部がより好ましい。塗工白板紙に印刷、加工を施す場合、必要とされる印刷、加工強度を発現させるために、塗被層に接着剤を含有させるが、接着剤成分の量が10〜30質量部の範囲であれば、印刷時の加工強度に優れ、良好な平滑性が得られる。
下塗り塗被層の接着剤成分として、水溶性接着剤を併用する場合は、その含有量を顔料成分100質量部当たり、7質量部以下、特に4質量部以下とすることが好ましい。7質量部以下の範囲であれば、下塗り塗被層において良好な平滑性を得ることができる。なお、少量の水溶性接着剤を分散型接着剤と併用することは、下塗り塗被層を形成する塗被液の増粘、保水に有効である。
本発明にかかる塗工白板紙の下塗り塗被層は、本発明範囲のデラミネーテッドカオリン10〜40質量%と、重質炭酸カルシウム40〜80質量%とで構成させた顔料成分と、好ましくは顔料成分100質量部当たり10〜30質量部の接着剤を含有する下塗り塗被層を形成する塗被液を、原紙の片面又は両面に塗工して乾燥することによって形成される。
原紙に下塗り塗被層用塗被液を塗工するための塗工装置としては特に限定されるものではなく、例えばエアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーターおよびゲートロールコーター、サイズプレス等のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター等が本発明の効果を損なわない範囲で適宜組み合わせて使用されるが、ロッドコーターがより好ましく使用される。ロッドコーターが好ましく使用されるのは、基紙表面の凹凸に沿った輪郭塗工が可能であり、かつ高濃度塗料を使用できるため高速塗工も可能であることが理由としてあげられる。
また本発明にかかる塗工白板紙の上塗り塗被層は、平均粒子径が0.1〜3.5μmの範囲、好ましくは0.3〜1.0μmの範囲にある白色顔料と、白色顔料100質量部当たり10〜25質量部の接着剤を含有する上塗り塗被層を形成する塗被液を、原紙上に形成されている下塗り塗被層の表面に塗工して乾燥することによって形成される。
下塗り塗被層を設けた紙への上塗り塗被層形成の塗工装置としてはブレードコーターが好ましく使用される。上塗り塗被層用塗料の塗工装置として、ブレードコーターが好ましく使用されるのは、高平滑な塗工面が得られやすく、また下塗りで使用されるロッドコーターと同じく、高濃度塗料を使用できるため高速塗工も可能であることが理由としてあげられる。上塗り塗被液の塗工量は、前述した下塗り塗被液の塗工量との合計で、原紙の片面当たり、乾燥重量で10〜30g/cmの範囲で選ばれる。
上塗り塗被層中の顔料については、平均粒子径が0.1〜3.5μmの範囲であれば、上塗り塗被層の良好な平滑性が得られる。
上塗り塗被層に使用できる顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、焼成カオリン、エンジニアードカオリン、カオリン、本発明範囲またはそれ以外のデラミネーテッドカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ニ酸化チタン、サチンホワイト、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機顔料や、密実型、中空型、貫通孔型のプラスチックピグメント等を挙げることができる。これらの白色顔料は、1種又は2種以上が本発明では使用可能である。
中でもカオリン、炭酸カルシウム、ニ酸化チタンは、印刷適性、平滑性、白色度を高める理由で好ましく使用される顔料である。
上塗り塗被層の接着剤成分には、通常は分散型接着剤を使用する。分散型接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどを例示することができ、これらの1種又は2種以上が、上塗り塗被層の接着剤成分として使用可能である。
上記した分散型接着剤と共に少量の水溶性接着剤を併用することができる。水溶性接着剤としては、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などが例示できる。
上塗り塗被層が含有する接着剤成分の量は、水溶性接着剤を併用するか否かにかかわらず、上塗り塗被層に含まれる顔料成分100質量部当たり、10〜25質量部の範囲が好ましく、10〜20質量部の範囲がより好ましい。接着剤成分の含有量が10〜25質量部の範囲であれば、印刷時の加工強度に優れ、良好な平滑性が得られる。
下塗り塗被層の形成に使用する塗被液および上塗り塗被層の形成に使用する塗被液には、それぞれ必要に応じて、青系統あるいは紫系統の染料や有色顔料、蛍光染料、増粘保水剤、酸化防止剤、老化防止剤、導電誘導剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
下塗り塗被層を形成する前にマシンキャレンダー、ソフトキャレンダー、あるいはヤンキードライヤー等を使用して、あらかじめ基紙の平滑化処理を行うこともできる。また、上塗り用塗被液を塗工、乾燥した後にマシンキャレンダー、ソフトキャレンダー、あるいはスーパーキャレンダー等を使用して平滑化処理を施すのが望ましい。
原紙としては二層以上の多層抄きで構成され、使用するパルプとしては特に限定するものではなく、例えば晒ないしは未晒の化学パルプ、機械パルプ、さらには脱墨ないしは未脱墨の古紙パルプ等の一種、又は二種以上を適宜混合して使用される。その他、基紙には必要に応じて、サイズ剤;紙力剤;濾水剤;填料;染料等を適宜添加することもできる。なお、基紙の米坪は通常150〜650g/m程度である。
一般的に言えば、塗工白板紙は原紙の少なくとも片面に、白色顔料と接着剤を主成分とする塗被層を複層で形成させることで製造される。本発明によって、特に未脱墨の古紙パルプを使用した原紙に対して、下塗り塗被層の顔料成分の種類を規定することにより、塗工欠陥が少なく、表面の白色ムラが少なく、平滑性や印刷適性に優れた塗工白板紙を提供することが可能となった。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。もちろん、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の「部」、「%」は、「質量部」、「質量%」を示す。また、実施例や比較例で使用した顔料の平均粒子径は以下の方法で測定した。
・光散乱方式による顔料の平均粒子径測定
(株)島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000を使用して、調製した顔料スラリーの粒度分布を測定し、50累積質量%に該当する平均粒子径(d50)を測定した。なお、測定に供した顔料分散液は、分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム)を対顔料0.05%添加し、顔料固形分濃度が1%になるように希釈して得た。さらに必要に応じて、当該測定装置で測定可能な領域にまで希釈した。
・沈降方式による顔料の平均粒子径測定
米国 マイクロメリティックス社製のセディグラフ5100を使用して、調製した顔料スラリーの粒度分布を測定し、50累積質量%に該当する平均粒子径(d50)を求めた。なお、測定に供した顔料分散液は、分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム)を対顔料0.05%添加して調製した顔料スラリーを、燐酸塩系分散剤(ナンカリン)の0.1%水溶液で、顔料固形分濃度が約5%になるように希釈して得た。
各実施例及び比較例で得られた塗工白板紙を、下記の方法で評価し、その結果を表1に示した。なお、本発明における測定および評価については、特に記載のない限り、23℃、50%RHの環境下でおこなった。
(白色ムラ)
表面の白色ムラの程度を目視にて評価した。
◎:均一で白色ムラがない。
○:一部白色ムラが認められるが、実用上問題ない。
△:白色ムラが目立ち、実用上問題ある。
×:白色ムラが、非常に目立つ。
(PPS平滑度)
パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(機種名:MODEL M-569型、MESSMER BUCHEL社製、英国)を用い、バッキングディスク:ソフトラバー、クランプ圧力:2MPaで、表面を5回平滑度測定を行い、その平均を求めた。
(印刷適性)
RI印刷機にて、印刷インキ(商品名:Values−G 墨 Sタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.1cc使用してRI印刷機にて、各塗工白板紙の表面に印刷を行い、塗工白板紙のインキ転写面を肉眼で観察し、転写したインキ濃度(インキ着肉性)と、濃度の均一性(印刷平滑性)とから、塗被紙の印刷適性を4段階評価した。
◎:印刷適性が特に優れる。
○:印刷適性が優れる。
△:印刷適性がやや劣る。
×:印刷適性が劣る。
(インキ乾燥性)
RI印刷試験機にて大豆油インキ(大日本インキ化学工業社製、商品名:ナチュラリス100プロセス墨)0.6ccを用いて印刷し、印刷直後、印刷から2分後、および4分後に上質紙を重ねあわせて一定の圧力で加圧し、上質紙に転写したインキ濃度を以下の基準に従って観察、判定を行った。
◎:2分後には、上質紙にほとんど転写しない。
○:4分後には、上質紙にほとんど転写しない。
△:印刷直後のインキ転移濃度に対して、4分後の転移濃度が半分程度である。(乾燥速度がやや遅い)
×:印刷直後のインキ転移濃度に対して、4分後の転移濃度がやや薄くなっている程度である。(乾燥速度がかなり遅い)
(塗工欠陥)
塗工白板紙の塗工欠陥発生状況に対して、下記のように評価を行った。
◎:塗工欠陥が無く、まったく問題の無いレベルである
○:塗工欠陥が僅かに発生したが、実用上問題とならないレベルである。
×:塗工欠陥が頻繁に発生し、生産効率に劣り、問題となるレベルである。
実施例1
(1a)下塗り塗被層用塗被液の調製
顔料として、デラミネーテッドカオリン(商品名:コンツァー1500、イメリス社製、光散乱方式平均粒子径d50が2.7μm、沈降方式平均粒子径d50が0.46μm、d50/d50の比5.9)35部、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、ファイマテック社、沈降方式平均粒子径0.78μm)65部を使用し、分散剤として、前記全顔料に対し、ポリアクリル酸ソーダ0.2部を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が70%の顔料スラリーを調製した。このスラリーに顔料100部に対して、リン酸エステル化澱粉(商品名:エースP−F260、王子コーンスターチ社製)3部(固形分換算)、および固形濃度50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:X−400A、ガラス転移温度:−23℃、JSR社製)15部(固形分換算)をそれぞれ添加し、さらに水を加えて固形分濃度が60%の塗料を調製した。
(1b)上塗り塗被層用塗被液の調製
顔料として、カオリン(商品名:UW−90、エンゲルハード社製、沈降方式平均粒子径0.32μm)60部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221−GS、奥多摩工業社製、沈降方式平均粒子径0.49μm)35部、二酸化チタン(商品名:クロノスKA−10、チタン工業社製、沈降方式平均粒子径0.41μm)5部を使用し、分散剤として、前記全顔料に対し、ポリアクリル酸ソーダ0.2部を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が65%の顔料スラリーを調製した。このスラリー顔料100部に対して、にリン酸エステル化澱粉(商品名:エースP−F260、王子コーンスターチ社製)3部(固形分換算)、固形濃度50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:L−1825、ガラス転移温度:8℃、旭化成社製)15部(固形分換算)をそれぞれ添加し、さらに水を加えて固形分濃度が60%の塗料を調製した。
(1c)塗工白板紙の作製
外層に脱墨古紙パルプ(表・裏層:パルプ白色度76%、表下・裏下層56%)、中層に未脱墨の古紙パルプ(パルプ白色度50%)を使用して5層に抄き合わされた米坪290g/mの原紙の片面に、上記で得た下塗り塗被層用塗被液をロッドコーターを用いて、乾燥重量で10g/mとなるように塗被、乾燥して下塗り塗被層を形成し、さらに下塗り塗被層上に、上記で得た上塗り塗被層用塗被液をブレードコーターを用い、乾燥重量で10g/mとなるように塗被、乾燥してそれぞれ表面2層タイプの塗工白板紙を得た。次に、2スタックの、金属ロール表面温度が150℃、2ニップのソフトキャレンダーに通紙して、平滑化処理された塗工白板紙を得た。
実施例2
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)を重質炭酸カルシウム(商品名:FMT65、ファイマテック社製、沈降方式平均粒子径1.21μm)に変更した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例3
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、デラミネーテッドカオリン(商品名:コンツァー1500、前出)を20部、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)80部に変更した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例4
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、顔料をデラミネーテッドカオリン(商品名:コンツァー1500、前出)30部、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)65部、サチンホワイト(商品名:SW-BL、白石工業社製、沈降方式平均粒子径0.5μm)5部に変更した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例5
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)を重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1500、備北粉化社製、沈降方式平均粒子径3.07μm)に変更した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例6
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)65部を50部に変更し、さらに軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221−GS、奥多摩工業社製、沈降方式平均粒子径0.49μm)15部を配合した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例1
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、顔料をデラミネーテッドカオリン(商品名:ニューサーフ、エンゲルハード社製、光散乱方式平均粒子径d50が5.6μm、沈降方式平均粒子径d50が2.1μm、d50/d50が2.7)35部、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)65部に変更した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例2
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、デラミネーテッドカオリン(商品名:コンツァー1500、前出)5部、重質炭酸カルシウム(FMT90、前出)95部に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例3
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、デラミネーテッドカオリン(商品名:コンツァー1500、前出)50部、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)50部に変更した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例4
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)を使用せず、デラミネーテッドカオリン(商品名:コンツァー1500、前出)50部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121−7C、奥多摩工業社製、沈降方式平均粒子径1.0μm)50部を配合した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例5
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)を使用せず、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221−GS、前出)65部を配合した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例6
実施例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT90、前出)を重質炭酸カルシウム(商品名:ホワイトンSB、白石カルシウム社製、沈降方式平均粒子径4.0μm)に変更した以外は実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
Figure 2007254914

Claims (4)

  1. 基紙の表面に、顔料と接着剤を主成分として含有する2層の塗被層を有する塗工白板紙において、前記塗被層のうち下塗り塗被層の顔料として、下塗り塗被層の顔料全固形分中、下記条件を満足するデラミネーテッドカオリンを10〜40質量%、沈降方式により測定した平均粒子径が0.35〜3.5μmの重質炭酸カルシウムを40〜80質量%含有することを特徴とする塗工白板紙。
    デラミネーテッドカオリン:光散乱方式により測定した平均粒子径d50が2.0〜5.0μmの範囲内にあり、沈降方式により測定した平均粒子径d50が0.30〜0.55μmの範囲内にあり、かつ平均粒子径d50と平均粒子径d50の比(d50/d50)が4以上であるデラミネーテッドカオリン。
  2. 前記デラミネーテッドカオリンを22〜37質量%含有する、請求項1記載の塗工白板紙。
  3. 下塗り塗被層の顔料として、さらに沈降方式により測定した平均粒子径が0.1〜3.5μmの軽質炭酸カルシウムを下塗り塗被層の顔料全固形分中、10〜40質量%含有する、請求項1または2に記載の塗工白板紙。
  4. 前記下塗り塗被層の塗工方式がロッド塗工、上塗り層の塗工方式がブレード塗工により形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の塗工白板紙。
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