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JP2007246408A - Ldl酸化抵抗性改善剤 - Google Patents

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Chikei Yokoi
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佐藤  直
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Abstract

【課題】LDLの酸化を抑制し、動脈硬化の初期病変である血管壁の脂質沈着をも抑制し、日常的に摂取が可能な飲食品および医薬品の提供。
【解決手段】ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)YIT 2001、同YIT 2102、同YIT 2108及び当該乳酸菌の親水性溶媒抽出物から選ばれる一種以上を有効成分とするLDL酸化抵抗性改善剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の乳酸菌又は該乳酸菌の親水性溶媒抽出物を有効成分とするLDL酸化抵抗性改善剤、血管壁への脂質沈着の抑制剤、動脈硬化の予防・進行抑制剤及び飲食品に関するものである。
近年、動脈硬化の発症過程においてLDLの酸化が重要なステップであることが認識されるようになった。血管内皮細胞下でLDLが酸化されると、マクロファージはこれを無制限に取り込み、泡沫化して動脈硬化に進展する。一方、未変性のLDLのマクロファージへの取り込み量は厳格に制御されており、過剰に取り込まれることはない。それゆえ、本疾患を予防するためには、LDLを酸化されにくい状態に保つことが重要である。
一方、生活習慣病の一つである動脈硬化を予防するためには日々の食生活が大切であり、安全性が高く日常的に経口摂取できるLDL酸化抵抗性改善(動脈硬化予防)剤・食品が望まれていた。
血中脂質の酸化を防ぐ物質として、抗酸化剤であるビタミンEおよびその誘導体が知られているが、これらは水に溶け難いことから水分含量の高い飲食品に使用した場合、加工特性や安定性の面で問題がある。
また、乳酸菌である、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)OLL 1162あるいはストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)OLS 3059(FERM P-15487)の発酵乳の乳清(菌を含まない上清画分)から調製したエーテル抽出物がLDLの酸化を抑制したとの報告がある(特許文献1)。しかし、この現象が過酸化脂質を多量に摂取した場合に認められるもので、通常の飼料(食事)では当該効果が認められないことが本報告中に示されている。
特開2001-302523号公報
従って、本発明の目的は、LDLの酸化を抑制し、動脈硬化の初期病変である血管壁の脂質沈着を抑制し、動脈硬化の予防・進行をも抑制する、日常的に摂取が可能な飲食品および医薬品を新たに提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、乳酸菌の中から、経口摂取した際にLDLの酸化を抑制し、動脈硬化の初期病変である血管壁の脂質沈着を抑制し、動脈硬化の予防・進行を抑制する高活性菌株を見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)YIT 2001、同YIT 2102、同YIT 2108及び当該乳酸菌の親水性溶媒抽出物から選ばれる一種以上を有効成分とする、LDL酸化抵抗性改善剤、血管壁への脂質沈着の抑制剤又は動脈硬化の予防若しくは進行抑制剤を提供するものである。
また、本発明は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)YIT 2001、同YIT 2102、同YIT 2108及び当該乳酸菌の親水性溶媒抽出物から選ばれる一種以上を含有するLDL酸化抵抗性改善飲食品を提供するものである。
本発明のLDL酸化抵抗性改善剤によれば、動脈硬化の発症リスクを低減し、病状の進行を抑制することができる。また、本発明の食品は安全性が高く日常的に経口摂取することができる。
本発明のLDL酸化抵抗性改善剤等は、乳酸菌S. thermophilus YIT 2001(FERM BP-7538)、同YIT 2102(FERM AP-20830)、同YIT 2108(FERM AP-20831)及び当該乳酸菌の親水性溶媒抽出物から選ばれる1種以上を有効成分とするものである。これらの菌はヨーグルトの製造に用いられ、安全性が極めて高い菌である。また、これらの菌を用いて製造した発酵乳は、極めて良好な風味を呈する。
本発明のLDL酸化抵抗性改善剤等は、当該乳酸菌を、滅菌した牛乳、スキムミルク(還元乳を含む)等に植菌して培養し、発酵乳や乳酸菌飲料とする他、種々の培地で培養して得た菌液あるいは菌末等の形態として得ることができる。
また、メタノール、エタノール等の低級アルコールやその水溶液等の親水性溶媒を用いて菌体から活性成分を抽出してもよい。あるいは、菌体を水又は緩衝液中で物理的に破砕し、活性成分の水抽出液を調製しても良い。これらの抽出液は必要によりカラムクロマトグラフィー等一般的に用いられる方法により更に精製してから使用することもできる。
本発明のLDL酸化抵抗性改善剤等は、上記した菌液、菌末や抽出物に、公知の製剤学的製法に準じて、薬理学的に許容され得る担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤等を加え、製剤化して得てもよい。製剤化において用いられる担体や賦形剤としては、例えば乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニトール、デンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末等が挙げられる。また、結合剤としては、例えばデンプン、トロガントゴム、ゼラチン、乳糖、カルボキシメチルセルロース等が、崩壊剤としては、例えばデンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、アスパラギン酸ナトリウム等が挙げられる。更に滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、水素添加植物油等が挙げられる。着色剤には医薬品に添加することが許容されているものを用いることができる。
本発明のLDL酸化抵抗性改善剤等の形態としては、錠剤(糖衣錠、コーティング錠を含む)、散剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、顆粒剤(コーティングしたものを含む)、丸剤、トローチ剤、液剤又はこれらの製剤学的に許容され得る徐放化製剤等が挙げられる。また、経口投与用液剤とすることもでき、例えば、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等の形態とすることもできる。
また、本発明のLDL酸化抵抗性改善剤は、飲食品添加用剤とすることもでき、種々の食品素材中に添加、混合して飲食品を得ることもできる。飲食品の好ましい例としては、果汁飲料、清涼飲料、発酵乳、スープ、パン、煎餅、クッキー等が挙げられる。なお、飲食品には動物の飼料も含まれる。また、上記乳酸菌を、滅菌した牛乳、スキムミルク(還元乳を含む)等に植菌して培養した発酵乳や乳酸菌飲料をそのまま飲料としてもよい。
本発明の飲食品には、更に、食品として通常用いられている種々の素材を併用することができる。このような素材としては、グルコース、シュークロース、フラクトース、ラクトース、蜂蜜等の糖類; ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット等の糖アルコール; 蔗糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤; ペクチン、水溶性大豆多糖類、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム等の安定化剤が挙げられる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE等の各種ビタミン類や乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、パンテトン酸カルシウムや各種マグネシウム、亜鉛化合物等のミネラル類、ハーブエキス等を本発明の飲食品に配合することもできる。
上記の各種製剤又は飲食品中に配合されるべき微生物菌体又は菌体抽出物の量は、服用する患者の症状、年齢、体重等により適宜決定すればよいが、通常成人1日あたり生菌として1010〜1013コロニー・フォーミング・ユニット(cfu)、あるいは乾燥菌体として約0.01 g〜20 gが好ましく、特に好ましくは0.1〜5 g程度である。
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。
実施例1 微生物菌体の製造
乳糖を1%添加した変法GAMブイヨン培地(日水製薬(株)製)に凍結保存した菌株(表1)を1%接種し、37℃で24時間静置培養した。この培養液10 mLを2%乳糖添加変法GAMブイヨン培地1 Lに植え継ぎ、37℃で24時間静置培養した。培養終了後、4000 rpmで2回洗浄して微生物菌体を得た。S. thermophilus YIT 2001の及び同YIT 2108の凍結乾燥後の菌体収量は、それぞれ培養液1 Lあたり1.0 gであり、同YIT 2102の菌株の凍結乾燥後の菌体収量は、培養液1 Lあたり0.7 gであった。
なお、凍結乾燥の際には、保護剤として脱脂粉乳およびグルコース(菌体1重量部に対してそれぞれ0.5および0.625重量部)を使用した。
実施例2 LDL酸化抵抗性改善活性(in vitro)の菌株間における相違の検証試験
(1)試料の調製
各種乳酸菌(表1)の菌体を濁度(660 nmの吸光度)が10になるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁した。この懸濁液2 mLとエタノール8 mLを混合し、室温で2時間振盪抽出した。抽出後に遠心分離(4000 rpm、10 分)して上清2 mLを回収し、窒素ガス噴射下(40℃)で乾固してエタノール抽出物を得た。なお、各菌株とも菌液(濁度10)1 mLあたり約10 mgの抽出物が回収された。
(2)LDL酸化抵抗性(酸化ラグ・タイム)の評価方法
ヒト血清から超遠心法でLDL画分を調製し、嫌気条件下においてPBSで一晩透析した。透析後、0.1 mg蛋白質/mLに濃度調整したLDL画分に各菌株の抽出物を0.25 mg/mLの濃度で溶解した。この混液に2,2'-アゾビス-4-ジメチルバレロニトリル(V-70;酸化開始剤)を終濃度125 mMになるように添加し、37℃に保温しながら過酸化脂質濃度の経時変化を共役ジエン法(234 nmの吸光度)で測定した。V-70の添加から過酸化脂質濃度の上昇が始まるまでの時間(酸化ラグ・タイム)を求めた上で、次式に従ってその延長率を計算し、LDLの酸化抵抗性改善の指標とした(近藤和雄、平野玲子、2000年、『食品機能研究法篠原(鈴木、上野川 編)』、248〜251頁、(株)光琳)。
[酸化ラグ・タイムの延長率] =([酸化ラグ・タイムT]−[酸化ラグ・タイムC])/[酸化ラグ・タイムC]
[酸化ラグタイムT] :LDL画分に菌体抽出物を添加した時の酸化ラグ・タイム
[酸化ラグタイムC] :LDL画分に菌体抽出物を添加しない時の酸化ラグ・タイム
(3)LDL酸化抵抗性改善活性(in vitro)の菌株間における相違
S. thermophilus(表1)について、in vitro試験でLDL酸化抵抗性改善活性を調べた。その結果、S. thermophilus YIT 2001、YIT 2102、YIT 2108の酸化ラグ・タイムの延長率は従来報告されていたS. thermophilus OLS 3059(FERM P-15487)の2倍以上であった。また、S. thermophilus YIT 2084の当該活性はOLS 3059と同等であった。
Figure 2007246408
実施例3 溶媒による抽出試験
実施例2-(1)のエタノールの代わりに各種有機溶媒(表2)を用いてS. thermophilus YIT 2001の有機溶媒抽出物を調製し、それらによるLDL酸化抵抗性改善活性を実施例2-(2)の方法で測定した。
その結果、S. thermophilus YIT 2001のLDL酸化抵抗性改善活性は有機溶媒としてエタノールを用いた時に最も効率よく回収され、ジエチルエーテルやヘキサン等の非極性溶媒を用いた場合は低かった。このことから、当該活性物質は、特開2001-302523号公報に報告されている疎水性物質とは異なると考えられた。
Figure 2007246408
実施例4 経口投与によるLDL酸化抵抗性改善作用の菌株比較試験(動物試験)
(1)試験方法
7週齢のSlc:Syrianハムスターを7日間馴化飼育した後に、各群の体重に有意差がないように3群に群分けした。試験群および被験飼料の組成を表3に示した。飼料の基本組成はAIN-76Aを用い、S. thermophilus YIT 2001およびS. thermophilus YIT 2084をこの基本飼料に添加して、両菌株のLDL酸化抵抗性改善作用を比較した。S. thermophilus YIT 2001は実施例2で高活性を示した株、S. thermophilus YIT 2084はS. thermophilus OLS 3059と同等の活性を示した株である。飼育環境は、明暗12時間サイクル、室温25℃、湿度55%で、飼料、飲料水とも自由摂取とした。飼育期間中は毎週1回、各動物の体重を測定した。
被験飼料の投与開始後4週間目に、18時間の絶食の後に解剖し、腹部大動脈から採血した。血液は採血後直ちにエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA-2K)(1.2 mg/mL血液)と混合し、3000 rpmで20分間、遠心分離して血漿を回収した。この血漿から、超遠心法でLDL画分を調製した。
調製したLDL画分を嫌気条件下においてPBSで一晩透析した後、PBSで0.1 mg蛋白/mLに濃度調整した。このLDL画分に、2,2’−アゾビス−4−ジメチルバレロニトリル(V-70;酸化開始剤)を終濃度125 mMになるように添加し、37℃に保温しながら過酸化脂質濃度の経時変化を共役ジエン法(234 nmの吸光度)で測定した。V-70の添加から過酸化脂質濃度の上昇が始まるまでに要する時間(酸化ラグ・タイム)を求め、LDLの酸化抵抗性改善の指標とした。
Figure 2007246408
(2)試験結果
LDL画分の酸化ラグ・タイムは対照群に比べてYIT 2001群で有意に長く、YIT 2001群のLDLが酸化されにくくなったことが示された。一方、YIT 2084群と対照群の間に差は認められなかった(図1)。このことから、S. thermophilus YIT 2001のような抗酸化活性が極めて高い株以外は、in vitroで活性が認められる株であっても経口摂取した際に生体内で十分な効果を示さないと考えられた。
実施例5 血管壁への脂質沈着の抑制作用(動物試験)
(1)試験方法
S. thermophilus YIT 2001の経口投与が大動脈弓の脂質沈着に及ぼす影響を調べた。7週齢のSlc:Syrianハムスターを7日間馴化飼育した後に、各群の体重に有意差がないように群分けして試験を行った。試験群および被験飼料の組成を表4に示した。飼育環境は、明暗12時間サイクル、室温25℃、湿度55%で、飼料、飲料水とも自由摂取とした。飼育期間中は毎週1回、各動物の体重を測定した。
被験飼料の投与開始後10週間目に、18時間の絶食の後に解剖し、腹部大動脈から採血した。採血後、大動脈弓を採取して、10%中性緩衝ホルマリン液(pH 7.4)で固定した。一方、血液は採血後直ちにEDTA-2K(1.2 mg/mL血液)と混合し、3000 rpmで20分間、遠心分離して血漿を回収した。この血漿からLDL画分を調製し、実施例4と同様の方法でLDL画分の酸化ラグ・タイムを測定した。
血漿の総コレステロール濃度および中性脂肪濃度は、それぞれデタミナーTC-555(協和メディックス)およびトリグリセライド G-テストワコー(和光純薬)を用いて測定した。
大動脈弓の脂質沈着面積の測定方法はAsamiらの方法(Asamiら、1999年、Atherosclerosis誌、 146巻、 237〜242頁)に従った。すなわち、ホルマリン固定した大動脈弓の外側の脂肪を完全に取り除き、D.W.と60% 2-プロパノールで順次洗浄した後に長軸方向に切開して、oil red Oで25分間(室温)染色した。染色後の標品を60% 2-プロパノール、D.W.で順次洗浄し、ホールスライドグラス上でカバーグラスとAquatex(Merck)を用いて血管内腔側を上にしてマウントした。顕微鏡に接続したデジタルカメラと画像解析ソフトWinROOF Professional ver.3.53 (MITANI Corporation)を用いて、oil red Oによる染色面積を求め、以下の式で脂質沈着面積率を計算した。
[脂質沈着面積率(%)]=[染色面積]/[大動脈弓内壁の面積]×100
Figure 2007246408
(2)血漿総コレステロール濃度、血漿中性脂肪濃度および体重
血漿の総コレステロール濃度および中性脂肪濃度は、高脂肪・高コレステロール食を与えた3群(対照、S0.05、S0.4)で普通食群に比べ上昇したが、菌の投与による有意な変化は認められなかった(表5)。各群の動物の体重に有意差は認められなかった。
Figure 2007246408
(3)LDL画分の酸化抵抗性
高脂肪・高コレステロール食ハムスターのLDL画分の酸化ラグ・タイムは、S.thermophilus YIT 2001の投与量に依存して延長(酸化抵抗性が改善)し、S0.4群と対照群の間に有意差が認められた(表6)。
Figure 2007246408
(4)大動脈弓の脂質沈着
大動脈弓の血管壁への脂質沈着の程度を血管壁の面積に対する脂質沈着面積の割合で評価した。高脂肪・高コレステロール食ハムスターの脂質沈着面積率は、S. thermophilus YIT 2001の投与量に依存して減少する傾向を示し、S0.4群と対照群の間に有意差が認められた(図2)。 図2中の定義は次の通りである。
脂質沈着面積率(%) = 脂質沈着面積/大動脈弓内壁の面積×100
S0.05群;菌0.05%混餌投与群
S0.4群;菌0.4%混餌投与群
* 対照群に対して有意差あり(P < 0.05 ; Dunnet test)
大動脈弓の脂質沈着面積(率)とLDL酸化抵抗性は、共に菌の投与量依存的に改善されたが、血漿コレステロールおよび中性脂肪の濃度に変化は認められなかった。このことから、S. thermophilus YIT 2001は、LDL酸化抵抗性を改善し、酸化LDLの産生量を低下させることによって、大動脈弓における脂質沈着を抑制したと考えられた。
実施例6 ヒトにおける有効性試験
(1)試験方法
血中総コレステロール濃度が180 mg/dL以上の健常成人36名を男女比および喫煙歴に差がないようにYIT 2001群およびプラセボ群の二群に分けた。
試験スケジュールを表7に示した。被験者には35日間の試験期間に渡って、S. thermophilus YIT 2001を含む食品および抗酸化サプリメントの摂取を避けてもらった。また、食事内容(野菜・果物・お茶・コーヒー等の摂取状況)と服薬状況の簡易アンケートの記入をお願いした。
試験開始7日目から35日目までの4週間、試験サンプル(YIT 2001又はプラセボ;YIT 2001群のサンプルには、1.3×1011 cfuのS. thermophilus YIT 2001を含む)を1日に1回(朝食時)、連日飲用してもらった。サンプル飲用前(試験7日目)、サンプル飲用14日目(試験21日目)、サンプル飲用28日目(試験35日目)の3回、採血を行った。採血前の10時間は絶食とし、お湯、水以外の飲料の摂取も制限した。
採取した血液は、総コレステロール、HDL-コレステロール、トリグリセライド、総蛋白、アルブミン、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、過酸化脂質、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、血糖、総ビリルビン、白血球数、赤血球数、血小板数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの測定に供した。また、実施例4と同様の方法でLDL画分の酸化ラグ・タイムを測定し、LDLの酸化抵抗性の指標とした。
Figure 2007246408
(2)試験結果
酸化ラグ・タイムを除く全ての測定項目で、いずれの採血時においても、YIT 2001群とプラセボ群の間に有意差は認められなかった。
図3に血漿LDL画分の酸化ラグ・タイムを示した。サンプル飲用前(飲用日数0日)にはプラセボ群とYIT 2001群に差はなかった。一方、飲用14日目および28日目には、YIT 2001群の酸化lag timeはプラセボ群に比べ有意に延長し、血漿LDLの酸化抵抗性が改善されることが示された。
実施例7 飲食品の製造
本発明にかかる微生物を使用して各種食用組成物を製造した。以下にその処方例を示す。
(1)発酵乳
10%の脱脂粉乳を滅菌し、本発明の微生物(S. thermophilus YIT 2001)を1%接種して、37℃で24時間培養し、発酵乳を製造した。
(2)果汁飲料
本発明の微生物(S. thermophilus YIT 2001)を用い、表8の組成により果汁飲料を製造した。
Figure 2007246408
(3)健康向け飲料
本発明の微生物(S. thermophilus YIT 2001)を用い、表9の組成により健康向け飲料を製造した。
Figure 2007246408
(4)錠剤
本発明の微生物(S. thermophilus YIT 2001)を用い、表10の添加物を含有する組成物を打錠して、錠剤とした。
Figure 2007246408
(5)発酵乳飲料の製造
20%脱脂粉乳を120℃で3秒間殺菌した後、本発明にかかる微生物(S. thermophilus YIT 2001)を1%接種して、24時間培養した。これを均質化機により15MPaで均質化し、発酵乳とした。表11に示す成分を50℃の温水に溶解し、120℃で3秒間殺菌してシロップ液を調製した。発酵乳40重量部とシロップ液60重量部を混合した後、ポリエチレン容器に充填、密封し、発酵乳製品とした。この発酵乳製品を官能評価したところ、良好な風味を有しており、また、10℃で1週間保存した後でも高い安定性を維持していた。
Figure 2007246408
本発明にかかる乳酸菌は、発酵乳の製造に用いられる極めて安全なものであり、飲食品や医薬品として人や動物が継続的に摂取することができる。そして、当該飲食品および医薬品の摂取により、動脈硬化のきっかけと考えられているLDLの酸化を抑制し、動脈硬化を予防する効果が期待できる。
実施例4で血漿LDLの酸化抵抗性を調べた結果を示す図面である。 実施例5で大動脈壁への脂質沈着を調べた結果を示す図面である。 実施例6で血漿LDLの酸化抵抗性を調べた結果を示す図面である。

Claims (4)

  1. ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)YIT 2001、同YIT 2102、同YIT 2108及び当該乳酸菌の親水性溶媒抽出物から選ばれる一種以上を有効成分とするLDL酸化抵抗性改善剤。
  2. ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)YIT 2001、同YIT 2102、同YIT 2108及び当該乳酸菌の親水性溶媒抽出物から選ばれる一種以上を有効成分とする血管壁への脂質沈着の抑制剤。
  3. ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)YIT 2001、同YIT 2102、同YIT 2108及び当該乳酸菌の親水性溶媒抽出物から選ばれる一種以上を有効成分とする動脈硬化の予防又は進行抑制剤。
  4. ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)YIT 2001、同YIT 2102、同YIT 2108及び当該乳酸菌の親水性溶媒抽出物から選ばれる一種以上を含有するLDL酸化抵抗性改善飲食品。
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