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JP2007131591A - 胃内滞留型徐放性固形製剤 - Google Patents

胃内滞留型徐放性固形製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 胃の機械的運動やイオン強度の影響を受けにくくて胃内に滞留でき、活性成分の放出を徐放性に安定して制御できる胃滞留型で徐放性の固形製剤を提供する。
【解決手段】 1種以上の活性成分と、保水量が400%以上で、ゲル押込み荷重が200g以上で、水溶性成分量が40〜95%で、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上で、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上である加工澱粉とを含み、投与後に胃内に滞留する徐放性固形製剤。
【選択図】 図7

Description

本発明は、胃内滞留を特徴とする徐放性固形製剤に関する。更に詳しくは、胃液との接触で膨潤することにより胃内に留まり、活性成分を胃及び腸管上部へ特異的に徐放することを特徴とする胃内滞留型徐放性固形製剤に関する。
医薬用途における徐放性固形製剤は、活性成分の血中濃度をコントロールすることにより、投与回数が減少し服用性が改善できること、生体内の消失半減期の短い活性成分の持続性が改善できること、血中最小濃度と副作用発現濃度幅の狭い活性成分の副作用を低減できること等から有用性の高い製剤である。
医薬分野で用いられる活性成分には、胃又は小腸上部などの特定部位のみで吸収されるものや、同部位に直接作用して治療効果を示すものがあり、治療効果を上げるために徐放性固形製剤を胃内に滞留させる方法が開発されている。徐放性固形製剤を胃内に滞留させる方法として、水膨潤性ポリマーを配合することで、胃液を吸収して体積を膨張させ胃幽門通過を遅らせる方法等が開示されている(特許文献1〜5等)。
特許文献1〜5等には、水膨潤性ポリマーとして、ポリエチレンオキサイドやアクリル酸ポリマー等の合成高分子、キサンタンガムやキトサンなどの非セルロース多糖類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体を用いることが記載されている。
しかし、ポリエチレンオキサイドやアクリル酸ポリマー等の合成高分子やキサンタンガムやキトサンなどの非セルロース多糖類は、水和により非常に大きく膨潤し、膨潤にともないゲル強度が弱くなる性質を有する。このため、胃の機械的運動による負荷に耐えられず、徐放性固形製剤が変形して形状を変えたり、或いは侵食や分裂により小さくなり、幽門からの排出が速まるという問題を有していた。
また、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体は、イオン強度の大きい溶液中ではイオン強度を作る溶質と水和を競合するため、ゲル化が不十分となり、マトリクスの形状を維持できず崩壊してしまう性質を有している。胃腸管でのイオン強度値は摂取した食物によっても大きく変動し、約0.01〜0.20の範囲で変動することが知られている。セルロース誘導体から成るマトリクスは、胃腸菅内でイオン強度が高く変動すると徐放性固形製剤自体が崩壊してしまい残りの活性成分が急激に溶出される用量ダンピングが起こる可能性を有していた。
以上のように、胃内滞留型の徐放性固形製剤は、胃又は小腸上部に特異的な吸収部位を有する活性成分や直接作用する活性成分の徐放性製剤として有用であるにも関わらず、胃の機械的運動やイオン強度の影響を受けることなく安定して活性成分を溶出可能な固形製剤は従来技術においては見当たらないのが現状である。
ところで、特許文献6には、保水量が400%以上、崩壊時間が5時間以上、ゲル押込み荷重が200g以上の加工澱粉、及び該加工澱粉を溶出制御基剤とする徐放性固形製剤について開示されている。該加工澱粉は、従来の天然加工澱粉には見られないα−アミラーゼに対する高い抵抗性を有するために十分な徐放性を示し、且つ、イオン強度による影響を受けないため用量ダンピングの問題を生じることなく、活性成分を比較的安定に徐放することが可能との記載がある。しかしながら、開示されている加工澱粉は比較的粒子の膨潤性が大きいものであり、圧縮成形圧が不十分であると該加工澱粉から成る固形製剤は大きく膨潤してしまい、ゲル強度が弱くなるという欠点を有していた。ゲル強度が弱いと、胃の機械的運動による負荷に耐えられず、固形製剤が変形して形状を変えたり、或いは侵食や分裂により小型化が進行して幽門からの排出が速まるため、胃滞留型の徐放性固形製剤として満足のいくものは得られなかった。
WO2002/000213号国際公開公報 WO01/097783号国際公開公報 WO01/064183号国際公開公報 特開2005−132803号公報 WO2003/035041号国際公開公報 WO2005/005484号国際公開公報
本発明は、こうした実情の下に、胃の機械的運動やイオン強度の影響を受けにくくて胃内に滞留でき、活性成分の放出を徐放性に安定して制御できる胃滞留型で徐放性の固形製剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の加工澱粉を溶出制御基剤として用いることで、イオン強度の影響を受けにくく、且つ、ゲル強度の低下を抑えることが可能となることを見出し、この知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)1種以上の活性成分と、保水量が400%以上で、ゲル押込み荷重が200g以上で、水溶性成分量が40〜95%で、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上で、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上である加工澱粉とを含み、投与後に胃内に滞留することを特徴とする徐放性固形製剤。
(2)前記加工澱粉の目開き75μmの篩いを通過する粒子が98重量%以上で、目開き32μmの篩いを通過する粒子が40重量%以上であることを特徴とする上記(1)に記載の固形製剤。
(3)さらに、水膨潤性ポリマーを含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の固形製剤。
(4)さらに、コーティング顆粒を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の固形製剤。
(5)重量が0.20gよりも大きいこと特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の固形製剤。
胃内に滞留し、その際、胃内のイオン強度等の影響を受けにくく、ゲル強度の低下を抑えることができるため、活性成分を安定して目的部位に対して徐放することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の胃滞留型固形製剤は、1種類以上の活性成分と、保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が200g以上、水溶性成分量が40〜95%、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上の特定の加工澱粉とを含む。この特定の加工澱粉は、固形製剤に用いることで、活性成分に対する溶出制御基剤として機能する。
特定の加工澱粉の固形製剤における含有量は、5重量%以上99.9重量%以下とするのが好ましい。5重量%以上とすることで、活性成分の溶出を徐放性に的確に制御することが可能になる。また、99.9重量%以下とすることで、活性成分の含有量が確保され、望ましい薬効を付与することが可能になる。該加工澱粉の具体的な含有量は、活性成分の種類や量によって適宜最適な量を選択すればよい。より好ましくは10〜99.9重量%であり、特に好ましくは20〜99.9重量%である。
この特定の加工澱粉について説明する。特定の加工澱粉は、保水量が400%以上であることが必要である。より好ましくは500%以上、特に好ましくは700%以上である。ここで保水量とは、乾燥した加工澱粉1gを20℃±5℃の純水に分散し遠心分離(2000G、10分)した後に澱粉が保持する純水量で定義する。保水量が400%以上で加工澱粉が水和してゲルを形成するため固形製剤が崩壊しにくくなり、かつ活性成分の拡散速度が保たれて十分な徐放性を発現しやすくなる。保水量が高いほどゲル形成能が高くなり、高いイオン強度下でもゲルが破壊されないので好ましいが、最大値は澱粉原料の特性に依存しせいぜい3000%までである。
また、特定の加工澱粉は、ゲル押込み荷重が200g以上であることが必要である。ゲル押込み荷重とは、加工澱粉0.5gを50MPaで圧縮して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を20℃±5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、0.1mm/secの速度で3mm直径の円柱状アダプターを押込んだ時の最大荷重で定義する。ここで、最大荷重とは、ゲル層の破断がある場合は破断時の荷重値、破断がない場合はアダプターがゲル化した円柱状成形体に5mm進入するまでに示した最大の荷重値とする。ゲル押込み荷重が200g以上で、加工澱粉が形成するゲル層内での活性成分の拡散が速くなりすぎず十分な徐放性を発現しやすくなる。ゲル押込み荷重値が高いほど徐放性が強くなり好ましいが、せいぜい3000g程度である。
また、特定の加工澱粉は、水溶性成分量が40〜95重量%の範囲にあることが必要である。水溶性成分量(重量%)は、加工澱粉1gに20℃±5℃の純水99gを加えてマグネチックスターラーで2時間攪拌して分散させ、得られた分散液の40cm3を50cm3の遠沈管に移し、5000Gで15分間遠心分離し、この上澄液30cm3を秤量瓶に入れ、110℃で一定重量になるまで乾燥して水溶性成分の乾燥重量(g)を求める。また、加工澱粉1gを110℃で一定重量になるまで乾燥して加工澱粉の絶乾重量(g)を求める。これらの値と下式(ア)により求めた値で定義する。
水溶性成分量=(乾燥重量×100÷30)÷澱粉1gの絶乾重量×100・・(ア)
水溶性成分量は、加工澱粉が加熱処理により糊化し水溶性となった糊成分の量を表す値である。水溶性成分量が40重量%以上で、水和速度が確保されて遅くなりすぎることがなく、一方で徐放性固形製剤が溶媒と接した後直ぐに多量の活性成分が溶出してしまうような現象が生じにくくなる。水溶性成分量が95重量%以下で、固形製剤の強度が確保され、十分な徐放性が得られやすくなる。また、胃腸管の機械的運動による負荷に耐えうるため浸食が進みにくく溶出速度が一定範囲に確保される。
特定の加工澱粉は、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、且つ、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上であることが必要である。好ましくは、目開き75μmの篩いを通過する粒子が95重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が30重量%以上であり、より好ましくは、目開き75μmの篩いを通過する粒子が98重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が40重量%以上である。理由は不明であるが、目開き75μの篩いを通過する粒子が90重量%以上で、かつ目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上であれば、澱粉粒子、及び該澱粉粒子からなる固形製剤の膨潤性が比較的小さい範囲に留まり、ゲル層の密度が高くて強い範囲に留まって、固形製剤からの活性成分の溶出が圧縮成形圧により変動しにくくなる。
ところで、保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が200g以上、水溶性成分量が40〜95重量%である加工澱粉の製造方法は特許文献6に開示されている。本発明者らは、特許文献6に記載の方法で得られる該加工澱粉について詳細に調べた結果、粒度によって特異的に膨潤性が異なり、該加工澱粉の粒度と膨潤性を適正範囲に制御することによって、初めて、溶出特性が圧縮成形圧に依存せず、ゲル強度を強く維持できることを見出した。その検討プロセスを次に説明する。
本発明者等は、まず、特許文献6の方法に準拠した方法、具体的には後述の比較製造例1に記載したようにして従来の加工澱粉Cを製造し、得られた加工澱粉Cを0〜32、32〜75、75〜150、150〜500μmの粒度毎に分画して基礎物性を比較した。表1に得られた加工澱粉Cの粒度分布、加工澱粉の膨潤度、加温保存条件下のゲル押込み荷重値を、図3〜6に加工澱粉Cが膨潤した後の粒子の光学顕微鏡写真を示した。
表1に示す加工澱粉Cの膨潤度は、加工澱粉Cの1.0gを20±5℃の純水に分散させて100cm3の沈降管に移し、全量を100cm3とし、16時間放置した後、上下に分かれた下層の容積と定義して求めた値である。また、加温保存条件下のゲル押込み荷重は、加工澱粉0.5gを50MPaで圧縮して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を37℃±0.5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、0.1mm/secの速度で3mm直径で円柱状のアダプターを押込んだ時に最初にピークを与えた値として求めた。
表1の加工澱粉Cのデータ及び、図3〜6の加工澱粉C膨潤粒子の写真より、0〜32μm分画の粒子は膨潤度が約14、膨潤粒子の大きさが100μm程度と膨潤性が小さく、ゲル押込み荷重値は大きいことがわかる。一方で、32μm〜500μmの粒子は何れの粒度分画も一様にして膨潤度が20〜30、膨潤粒子の大きさが200〜300μmと膨潤性が大きく、ゲル押込み荷重値は小さいことがわかる。
これらの事実から、特許文献6に記載の方法で得られる加工澱粉は、澱粉粒子の外殻構造を有し膨潤性が小さくゲル押込み荷重値の大きい0〜32μm分画の粒子群と、外殻構造を有し膨潤性の大きくゲル押込み荷重値の小さい32〜75μmの粒子群と、水溶性の糊成分(膨潤・溶解して輪郭が消失するため光学顕微鏡では観察されない)の3成分により構成されること、これらの3成分が造粒されて0〜約500μmに粒度分布を有する加工澱粉が形成されていることが明らかとなった(何れの粒子も水溶性成分により表面が覆われているため、加工澱粉の外見のみではこれらの事実は判別できない。)。
更に、膨潤性が小さくゲル押込み荷重値の大きい0〜32μm分画と膨潤性が大きくゲル押込み荷重値が小さい32〜500μm分画に分けて徐放性固形製剤とすると、0〜32μm分画は圧縮成形圧による変動のない安定した溶出性を示したが、32〜500μm分画は、圧縮力が小さいほど圧縮方向への大きな膨潤が起こり、これに溶出速度が速まることが明らかとなった。圧縮成形圧にも依存しない徐放性の胃内滞留型固形製剤とするには、膨潤性が小さくゲル押込み荷重値の大きな粒子設計とする必要があることが確認された。
本発明者らは、上述した事実を顧みて、32〜500μmの粒子中に存在する32〜75μmの外殻構造を有する1次粒子を破壊することで、該加工澱粉の膨潤性を小さく抑えることができ、その結果、圧縮力に依存しない徐放性固形製剤が得られると考えた。様々な粉砕条件について検討を重ねた結果、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、且つ、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上となるように粒度分布を管理することによって、膨潤性が一様に小さくゲル押込み荷重値の大きな加工澱粉が得られることを見出し、圧縮成形圧に依存せずゲル強度の低下を招かない胃滞留型固形製剤が得られるに至った。
ここで、実施例1により得られた、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、且つ、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上となる加工澱粉Aを、0〜32、32〜75μmの粒度毎に分画した場合の各分画の基礎物性を比較した。表1に加工澱粉A全体及び各分画の粒度分布、膨潤度、加温保存条件下のゲル押込み荷重値を示した。また、図1、2に加工澱粉Aが膨潤した後の膨潤粒子の光学顕微鏡写真を示した。加工澱粉の外殻構造を有する一次粒子が破壊されていることは、膨潤粒子の光学顕微鏡画像から確認できる。また、何れの粒度分画も膨潤性が一様に小さく抑えられ、ゲル押し込み荷重値は大きな値を示すのも確認できる。
上述の特定の加工澱粉の製法について説明する。特定の加工澱粉は、例えば澱粉原料を水存在下60℃以上100℃未満で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで該膨潤させた澱粉粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程、及び得られた乾燥粉末を粉砕して粒度を調整する工程等により製造される。或いは、減圧下、100〜130℃で加熱処理された澱粉質原料を、さらに水存在下60〜150℃で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで膨潤させた粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程、及び得られた乾燥粉末を粉砕して粒度を調整する工程等により製造される。なお、澱粉粒子の外部に存在するアミロース、アミロペクチンとは、加熱処理による膨潤により外殻構造が崩壊した澱粉に由来する、澱粉粒子の外部に溶出されたアミロースとアミロペクチンである。また、澱粉質原料についての水存在下とは、澱粉質原料と水とが存在した状態であって、水分が40重量%以上である状態をいう。
製造に用いることができる澱粉質原料は、コメ、モチゴメ、トウモロコシ、モチトウモロコシ、アミロトウモロコシ、モロコシ、コムギ、オオムギ、サトイモ、リョクトウ、バレイショ、ユリ、カタクリ、チューリップ、カンナ、エンドウ、シワエンドウ、クリ、クズ、ヤマノイモ、カンショ、ソラマメ、インゲンマメ、サゴ、タピオカ(キャッサバ)、ワラビ、ハス、ヒシ等の天然澱粉、老化澱粉、架橋澱粉等が例示され、澱粉質物質を含有するものであれば特に制限されないが、粒子の膨潤性が高く保水量を高く制御しやすいという観点からバレイショが好ましい。澱粉質原料は、上記のうち1種を使用してもよいし、2種以上を混合したものを使用することも自由である。また澱粉質原料の粒子の大きさは膨潤しやすさの観点から大きいほどよい。
澱粉質原料は、糊化開始温度が高くなり、粒子の膨潤性が高まるという観点から、例えば特開平4−130102号公報や特開平7−25902号公報に記載されているように、澱粉質含量に減圧下100℃〜130℃で加熱処理する等の、湿熱処理を施したものであればさらに良い。
例えば、特開平4−130102号公報には、(1)減圧ラインと加圧蒸気ラインとの両方を付設し、内圧、外圧共に耐圧性の密閉できる容器に澱粉を入れ、減圧とした後、蒸気導入による加圧加熱を行い、あるいはこの操作を繰り返すことにより、澱粉を所定時間加熱した後冷却する湿熱処理方法、(2)(1)の方法に加えて、缶内温度を少なくとも120℃以上とすることで、水懸濁液を加熱した時、澱粉粒子の膨潤が認められるが実質的に粘度を示さず、α−アミラーゼ吸着能が著しく高い澱粉を製造する湿熱処理方法、(3)(1)または(2)の方法に加えて、加熱後減圧にして冷却する湿熱処理方法、が開示されているが、これらの湿熱処理方法のいずれでも良い。
また、特開平7−25902号公報には、(4)澱粉質系穀粒を湿熱処理して得られる湿熱処理澱粉質系穀粒の製造方法において、耐圧容器内に充填した澱粉質系穀粒を減圧する第1工程と、減圧後、蒸気を導入して加熱、加圧する第2工程を、少なくとも1回繰り返す湿熱処理澱粉質系穀粒の製造方法、(5)(4)の製造方法の前記第2工程において、前記加熱を80℃以上で、かつ5分〜5時間行う製造方法、が開示されているが、これらの方法のいずれでも良い。
これらの方法により、澱粉質原料を減圧下で湿熱処理された澱粉は、粒子の内部が中空状で、粒子の外殻部の結晶性が増したものであり、光学顕微鏡の偏光像に見られる偏光十字模様が、生澱粉よりも弱く、非複屈折性粒子が減少しているという特徴を有する。また中空部はアミロースやアミロペクチンの結晶状態がほぐれた構造になっていると思われ、α―アミラーゼによる消化性が生澱粉よりも増しているという特徴を有し、特定の加工澱粉として用いるのに適している。
また、澱粉質原料を湿熱処理するに際し、澱粉乳液を50〜95℃へ加温していく過程における澱粉乳液の粘度が、5%濃度に調整した場合に400ブラベンダーユニット(BU)以下の値であり、かつ95℃で30分間保持した時の最大粘度が1000BU以下であることは、加熱処理により澱粉粒子に付与する膨潤性の調整が安定して行えるために好ましい。
澱粉質原料の加熱の方法は、公知の方法であれば特に制限しないが、例えば水存在下の澱粉質原料を、ジャケット付リアクターに入れてジャケットに蒸気を導入して加熱する方法、水存在下の澱粉質原料に蒸気を混合する方法、ドラム乾燥機の液溜め部で加熱する方法、噴霧乾燥時に蒸気を澱粉スラリーに供給しながら糊化と噴霧とを同時に行う方法等が挙げられるが、澱粉粒子の加熱時間の観点から水存在下の澱粉質原料に蒸気を混合する方法が好ましい。加熱温度は、上記の種々の方法で澱粉を糊化した後の液温度が、90〜150℃であればよく、好ましくは90〜130℃、さらに好ましくは95〜130℃である。
乾燥方法は特に制限はないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、棚段乾燥、気流乾燥、真空乾燥及び溶剤置換による乾燥などが挙げられるが、工業的には噴霧乾燥、ドラム乾燥が好ましい。また、乾燥時の液固形分は0.5重量%〜60重量%程度とするのが好ましい。0.5重量%以上で生産性が良くなり、60重量%以下で粘度が高くなりすぎず、収率が確保されて好ましい。さらには、1〜30重量%がより好ましく、1〜20重量%がさらに好ましい。
粉砕方法は特に制限はないが、例えば、コーンクラッシャー、ダブルロールクラッシャー、ハンマーミル、ボールミル、ロッドミル、ピン型ミル、ジェット型ミルなどが挙げられるが、粉砕不足や過粉砕を避ける目的で、上記粉砕機と分級機を兼ねそろえた閉回路粉砕方式を取るのが好ましい。
目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、且つ目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上となるように粒度調整された、保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が200g以上、水溶性成分量が0〜95%の加工澱粉は、粒度未調整のものに比べて膨潤度が小さく、ゲル押込み荷重値が高いのが特徴である。なお、粒度調整された該加工澱粉の膨潤度は、5〜20cm3/gの範囲にあるのが好ましい。
また、固形製剤に用いる加工澱粉は、嵩密度が0.1〜0.7g/cm3の範囲にあることが好ましい。さらに好ましくは0.15〜0.7g/cm3であり、特に好ましくは0.2〜0.7g/cm3である。嵩密度が0.1g/cm3以上で流動性に優れるため、固形製剤の重量分布が拡がりにくく好ましい。0.7g/cm3以下で圧縮成形性が確保され、適当な実用硬度が得られるため好ましい。嵩密度は、乾燥工程における液濃度の大小に影響され、また、スプレードライ乾燥工程においてアトマイザーの回転数にも影響されるから、嵩密度を上記の範囲とするには、これらを適宜調整すればよい。
本発明の固形製剤は、通常の固形製剤より胃の中に長時間留まり、留まっている間に活性成分を徐放する作用を有する胃内滞留型である。ここにいう長時間とは、投与から3〜24時間程度であるのが好ましい。3時間程度以上胃内に滞留することにより、胃または小腸上部で吸収されるべき医薬品成分の溶出を持続して、望ましい薬効をもたらすことができる。より好ましくは4〜16時間程度であり、さらに好ましくは、5〜12時間程度である。
このような胃内滞留性を付与するためには、固形製剤は、溶出制御基剤として用いる加工澱粉の他に、水膨潤性ポリマーを配合することが好ましい。水膨潤性ポリマーとは、それ自身が水に溶解した状態で多量の水を吸収するポリマー類を言う。水膨潤性ポリマーは自重以上の重量の水を吸収し、好ましくは自重の2倍以上、さらに好ましくは3倍以上であるなお、ここにいう「多量」とは、ポリマーの自重以上の重量を言う。好ましくは自重の2倍以上、さらに好ましくは3倍以上である。水膨潤性ポリマーを配合することで固形製剤に適度な膨潤性が付与され、優位に幽門の通過を妨げることが可能となる。水膨潤性ポリマーの含有量は0.1〜40重量%が好ましい。水膨潤性ポリマーの含有量が0.1重量%以上で固形製剤への望ましい程度の膨潤性が付与される。水膨潤性ポリマーの含有量が40重量%以下で固形製剤のゲル強度が下がりすぎず、望ましい強度の範囲に維持することが可能で、胃の機械的運動による負荷に固形製剤が耐えられる範囲に留まる。そのため、固形製剤が変形して形状を変えたり、或いは侵食や分裂により小型化が進行して幽門からの排出が速まるなどの現象が生じにくい。より好ましくは0.5〜30重量%であり、特に好ましくは1.0〜20重量%である。
水膨潤性ポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、キサンタンガム、イナゴマメガム、アルギン酸ナトリウム、キトサン、プルラン等を挙げることができる。
また、固形製剤には、さらに膨張剤を配合することが好ましい。膨張剤とは、多量の水を吸収するが、それ自体は水に溶解しないものを言う。なお、ここにいう「多量」とは膨潤剤の自重以上の重量を言う。好ましくは自重の2倍以上、さらに好ましくは3倍以上である。膨張剤を配合すると、膨張剤が大量の水を吸収して膨張するため、固形製剤に適度な膨潤性が付与され、優位に幽門の通過を妨げることが可能となる。膨張剤の含有量は0.1〜40重量%が好ましい。水膨張剤の含有量が0.1重量%以上で固形製剤への望ましい膨潤性の付与が可能となり、膨張剤の含有量が40重量%以下で、固形製剤の膨潤性が適度な範囲に留まり、加工澱粉によって形成されるマトリクスが保持されて崩壊しにくくなる。より好ましくは0.5〜30%であり、特に好ましくは1.0〜20重量%である。
使用できる膨張剤としては、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等、医薬分野においてスーパー崩壊剤(超)として知られているものを挙げることができる。
また、固形製剤は、さらにガス発生剤を配合することが好ましい。ガス発生剤から発生するガスは加工澱粉により形成されるマトリクス内に保持されるため、マトリクスに膨潤性や浮遊性が付与され、優位に幽門の通過を妨げることが可能となる。ガス発生剤の含有量は0.1〜20重量%が好ましい。ガス発生剤の含有量が0.1重量%以上で固形製剤への膨潤性や浮遊性付与の寄与が得られる。ガス発生剤の含有量が40重量%以下で固形製剤の拡張が適度な範囲に留まり、加工澱粉によって形成されるマトリクスが保持できて崩壊しにくい範囲に留まる。より好ましくは0.5〜10%重量であり、更に好ましくは1.0〜5.0重量%である。用いることのできるガス発生剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。
また、固形製剤は、粘着性剤を配合することが好ましい。粘着性剤を配合することにより、固形製剤の胃壁への付着性を付与することができ、胃からの排出を妨げることが可能となる。粘着性剤の含有量は0.1〜20重量%が好ましい。付着性剤の含有量が0.1重量%以上で固形製剤に及ぼす付着性付与効果の寄与が生じうる。付着性剤の含有量が20重量以下で、固形製剤が胃壁の特定箇所に付着する時間が適度な範囲に留まり、胃壁が炎症を起こすような現象が生じにくい。より好ましくは0.5〜10%重量であり、更に好ましくは1.0〜5.0重量%である。用いることのできる付着性付与剤としては、カルボキシビニルポリマー、キトサン、キチン等の粘着性の高いポリマーを挙げることができる。
固形製剤は、活性成分と溶出制御基剤である加工澱粉と水膨潤性ポリマーとを均一に分散せしめた単一層からなる胃内滞留型固形製剤とすることができる。また、活性成分と溶出制御基剤である加工澱粉とを含む層と、水膨潤性ポリマーを含む層とからなり、後者が固形製剤の外側になるように設計された多層型または有核型の胃内滞留型固形製剤とすることはより好ましい。
胃内滞留型徐放性固形製剤は、上記成分に加え、さらにコーティング顆粒を含有していることが好ましい。ここにいうコーティング顆粒とは、一種以上の活性成分を含有する顆粒にフィルムコーティングを施したものをいう。コーティング顆粒を含むことにより、必要に応じてより複雑で的確な活性成分の溶出パターンを得ることができる。
コーティング顆粒のコーティング剤としては、徐放性コーティング剤、腸溶性コーティング剤等がある。具体的には、セルロース系コーティング剤(例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート等)、アクリルポリマー系コーティング剤(例えばオイドラギットRS、オイドラギットL、オイドラギットNE等)、あるいはシェラック、シリコン樹脂等から選択される1種以上を用いることができる。
コーティング剤には、溶出速度調節のための水溶性物質、可塑剤等を必要に応じて加えても良い。水溶性物質としてはヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性高分子類やマンニトール等の糖アルコール類、白糖や無水マルトース等の糖類、ショ糖脂肪酸エステルやポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤類等から選択される1種以上を用いることができる。可塑剤としてはアセチル化モノグリセリド、クエン酸トリエチル、トリアセチン、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジメチル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、アジピン酸ジブチル、オレイン酸、オレイノール等から選択される1種以上を用いることができる。
これらのごときコーティング剤は、有機溶媒に溶解させたあと顆粒にコーティングしても良いし、水に懸濁させたあと顆粒にコーティングしても良い。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、ベンゼン等から選択される1種以上を用いることもできるし、更に水を含有させて用いることもできる。
また、上記の活性成分を含有する顆粒とは、活性成分の粉粒体や、活性成分に結合剤等を加えて得られる造粒物でも良く、或いは薬効成分を含まない素顆粒に薬効成分を積層して得られる顆粒でも良い。結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等から選択される1種以上を用いることができる。活性成分を含有する顆粒として好ましくは、コーティング顆粒の強度が強くなり、圧縮成形によるコーティング皮膜の損傷を抑制できる点で、機械的強度の強い素顆粒に薬効成分を積層して得られる顆粒を用いるのが良い。商業的に入手可能である機械的強度の強い素顆粒としては、結晶セルロースを構成成分とする核粒子「セルフィア(登録商標)」SCP−100、CP−203、CP−305、CP−507(旭化成ケミカルズ株式会社製)等が利用できる。
胃内滞留型固形製剤は、1粒あたりの重量が0.20g以上であることが好ましい。これにより、溶出後期の溶出速度を減少させることなく溶出時間を簡単に延長することが可能となる。これは、溶出制御基剤としての加工澱粉の膨潤性を小さく調製しているため、固形製剤の活性成分を含む層の膨潤を小さく抑えることができ、活性成分の拡散距離が固形製剤の膨潤により大きくは変わらないことによる。一方、膨潤性の大きい、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース等の溶出制御基剤を用いた例では、固形製剤の重量が大きくなると溶出後期の溶出速度が減少してしまうので好ましくない。活性成分の溶出性を維持したまま、単純に固形製剤の重量を大きくすることで活性成分の溶出時間を延長できることは、効果の1つである。
次に、1種以上の活性成分とは、固形製剤が投与された体内環境に対して、化学的または生物学的に望ましい影響を与える医薬品薬効成分を言う。活性成分は、粉体状、結晶状、油状、液状、半固形状等のいずれの性状でも良いし、粉末、細粒、顆粒等のいずれの形態でも良い。活性成分は、1種類でもよいし2種以上を併用しても良い。
医薬品薬効成分としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
胃内滞留型固形製剤は、(a)4〜8時間以下のオーダーの短い半減期を持ち、通例の調製物中で投与される時に1日に数回に分けた用量で摂取しなければならない場合、または(b)狭い治療指数を持つ場合、または(c)治療に効果的な用量が比較的少量である場合等の何れか1つ又は2つ以上の特徴を有する1種以上の、胃または小腸上部で吸収されるべき薬品薬効成分を製剤化するために特に有用である。
胃内滞留性固形製剤には、活性成分の他に、必要に応じて崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤等の他の成分を含有することも自由である。また他の成分は希釈剤として使用することも自由である。
結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、トレハロース等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコナンナン、タマリンドガム、ペクチン、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース(例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製、「セオラス(登録商標、以下同じ)」PH−101、PH−101D、PH−101L、PH−102、PH−301、PH−301Z、PH−302、PH−F20、PH−M06、M15、M25、KG−801、KG−802等)、粉末セルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等が挙げられことができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
結合剤として使用できる結晶セルロースとしては、圧縮成形性に優れるものが好ましい。圧縮成形性に優れる結晶セルロースを使用することにより、低打圧で打錠できるため打圧で失活する活性成分の活性維持が可能である、顆粒含有錠にできる、少量添加で硬度を付与できるため、嵩高い活性成分の錠剤化や多種類の活性成分を含む薬剤の錠剤化が可能で、場合によっては小型化できる、液状成分の担持性に優れ、打錠障害を抑制できる等の利点がある。商業的に入手可能である圧縮成形性に優れる結晶セルロースとしては、「セオラス」KG−801、KG−802(旭化成ケミカルズ株式会社製)等が利用できる。
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類、クロスポビドン、クロスポビドンコポリマー等の合成高分子等が挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類を挙げることができ、それ単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等が挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビンなどを挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明の胃内滞留型固形製剤は、医薬品分野で通常行われる固形製剤の製造法を用いて製造することができる。例えば、1種以上の活性成分、特定の加工澱粉、必要により、水膨潤性ポリマー、結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分を均一に混合した後に打錠する直接粉末圧縮法を用いることができる。また、他の例では、活性成分と必要により溶出制御製剤や水膨潤性ポリマー、結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分とを湿式造粒、或いは乾式造粒し、得られた顆粒に必要により溶出制御基剤や水膨潤性ポリマー、結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分を加えて打錠する湿式造粒打錠法や乾式造粒打錠法により製造することができる。
或いは、活性成分と、常温で固体であるが40℃以上で液体となる、例えば、カルナウバロウ、硬化ヒマシ油、ポリグリセリンなどの脂溶性の物質や、ポリエチレングリコール6000等の親水性高分子とを40℃以上の温度条件で均一となるように混合した後に冷却して固体とし、必要により粉砕処理等を施して粒度を調整した後に圧縮成形する方法も用いることができる。更には、活性成分と溶出制御基剤とがともに溶解する溶媒を用いて溶液とし、或いは適当な溶媒を用いて均一な分散液とし、該溶液或いは分散液を常法により乾燥させ、得られた活性成分と溶出制御基剤との均一な分散体を圧縮成形する方法によっても製造することができる。適当な溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、ベンゼン等の有機溶媒類と水から選択される1種以上を用いることができる。
錠剤を圧縮成型するための圧縮成形機としては、例えば、静圧プレス機、ブリケッティングローラー型プレス機、平滑ローラー型プレス機等のローター式プレス機、シングルパンチ打錠機、ロータリー打錠機等の医薬分野において通常用いられている圧縮機を使用すればよい。
また、本発明の効果を損なわない限り、胃内滞留型固形製剤それ自体に、活性成分の溶出性の制御や味のマスキングや防湿等の目的でコーティングが施されていても良い。コーティング剤としては例えばセルロース系コーティング剤(エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート等)、アクリルポリマー系コーティング剤(オイドラギットRS、オイドラギットL、オイドラギットNE等)、シェラック、シリコン樹脂等から選択される1種以上を用いることができる。これらのコーティング剤の使用方法は公知の方法を用いることができる。これらのコーティング剤の使用方法は公知の方法を用いることができる。コーティング剤は有機溶媒に溶解しても、水に懸濁させて用いてもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例、比較例における各試験法、及び物性の測定方法は以下の通りである。
(1)溶出試験
第14改正日本薬局方に記載の溶出試験法の第一法(回転バスケット法)に準拠する方法で、試験液に日本薬局方記載の第2液(pH6.8、イオン強度0.14、「第2液」と略すことがある)、或いは、Mcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40、組成:リン酸水素二ナトリウム173.9mM、クエン酸13.0mM、「mc液」と略すことがある)を用い、いずれかの試験液900cm3、バスケット回転数100rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で行う。なお、各試験液にはα−アミラーゼ製剤(組成:α−アミラーゼ/炭酸カルシウム/コーンスターチ=5/5/90、AD「アマノ」1、アマノエンザイム株式会社)を90mg加え、α−アミラーゼ含有量を5μg/cm3とする。
(2)固形製剤の溶出試験開始0.5時間及び6.0時間経過後の大きさ
処方粉末0.50gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧縮力で成形し、直径0.50cmの平状の固形製剤を作製する。
14改正日本薬局方に記載の溶出試験法第一法(回転バスケット法)に準拠する方法で、日本薬局方記載の第2液(pH6.8、イオン強度0.14)にα−アミラーゼを5μg/cm3の量となるように加えた溶媒を試験液に用い、試験液900cm3、バスケット回転数100rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で溶出試験を行う。試験開始0.5時間、及び、6.0時間経過後に、それぞれ固形製剤をサンプリングし、圧縮方向に垂直方向の大きさを計測し、それぞれ、溶出試験開始0.5時間、及び、6.0時間経過後の大きさとする。
(3)溶出試験開始6時間経過後のゲル押込み荷重
処方粉末0.50gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧縮力で成形し、直径0.50cmの平状の固形製剤を作製する。
第14版改正日本薬局方に記載の溶出試験法の第一法(回転バスケット法)に準拠する方法で、試験液に日本薬局方記載の第2液にα−アミラーゼ製剤を5μg/cm3の量となるように加えた溶媒を試験液に用い、試験液900cm3、バスケット回転数100rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で行う。試験開始6時間後に固形製剤を取り出し、レオメーター(RHEONER、RE−33005、YAMADEN製)を使用し、0.1mm/secの速度で3mm直径で円柱状のアダプターを押込んだ時に最初にピークを与える値と定義して求める。5個の平均値で算出する。
(4)粒度分布 32μmより小さい粒子数
JIS篩の目開き32μmを利用し、測定試料3gを5分間エアージェットシーブで篩分した時、篩を通過した測定試料の重量百分率より求める。
(5)粒度分布 75μmより小さい粒子数
JIS篩の目開き75μmを利用し、測定試料10gを5分間エアージェットシーブで篩分した時、篩を通過した測定試料の重量百分率より求める。
(6)保水量
乾燥した加工澱粉W0(g)(約1g)を、約15cm3の20℃±5℃の純水が入った50cm3遠沈管へ少しずつ入れ、かき混ぜながら透明〜半透明になるまで純水に分散させる。50cm3沈降管の7割程度になるよう20℃±5℃の純水を追加して遠心分離(2000G、10分)する。遠心分離終了後すぐに分離した上層を切り捨てた後、下層に残る重量W(g)(澱粉+澱粉が保持する純水量)から下式(イ)により保水量を求める。
保水量(%)=100×(W−W0)/W0・・・・・(イ)
(7)崩壊時間(hr)
処方粉末0.2gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて50MPaの圧縮力で成形して得られる直径0.8cmの円柱状成形体の試験液中での崩壊時間で定義される。試験液は第14改正日本薬局方に記載の第2液(pH6.8)であり、崩壊試験は第14改正日本薬局方の崩壊試験法に準じ、補助盤を使用して行う。
(8)ゲル押込み荷重(g)
処方粉末0.5gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて50MPaの圧縮力で成形して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を20℃±5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、レオメーター(RHEONER、RE−33005、YAMADEN製)を使用し、0.1mm/secの速度で3mm直径で円柱状のアダプターを押込んだ時の最大荷重と定義する。最大荷重とはゲル層の破断があれば破断時の、破断がなければアダプターがゲル化した円柱状成形体に5mm侵入するまでに示した最大の荷重値とする。5個の平均値で算出する。
(9)水溶性成分量(%)
加工澱粉1gに20℃±5℃の純水99gを加えてマグネチックスターラーで2時間攪拌して分散させ、得られた分散液の40cm3を50cm3の遠沈管に移し、5000Gで15分間遠心分離し、この上澄液30cm3を秤量瓶に入れ、110℃で一定重量になるまで乾燥して乾燥重量(g)を測定する。また、澱粉1gを110℃で一定重量になるまで乾燥して絶乾重量(g)を測定する。これらの測定値及び下式(ウ)により求めた値を水溶性成分量と定義する。
水溶性成分(%)=(乾燥重量×100÷30)÷絶乾重量×100・・・・(ウ)
(10)加工澱粉の膨潤度(cm3/g)
加工澱粉1.0gを20±5℃の純水に分散させて100cm3の沈降管に移し、全量を100cm3とし、16時間放置した後、上下に分かれた下層の容積V(cm3)と加工澱粉1.0gの乾燥重量(g)を測定し、下式(エ)より算出する。
加工澱粉の膨潤度(cm3/g)=V/加工澱粉の乾燥重量・・・・・(エ)
(11)加温保存条件下のゲル押込み荷重(g)
加工澱粉0.5gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて50MPaの圧縮力で成形して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を37℃±0.5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、レオメーター(RHEONER、RE−33005、YAMADEN製)を使用し、0.1mm/secの速度で3mm直径で円柱状のアダプターを押込んだ時に最初にピークを与える値と定義して求める。5個の平均値で算出する。
[比較製造例1]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(120℃)にて20分処理したものを原料とし、固形分濃度7.5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度100℃)させ、3L容器の滞留管(100℃)を連続的に通過した後噴霧乾燥して加工澱粉Cを得た。加工澱粉Cの基礎物性を表2に示した(特許文献6の実施例6に相当)。また、加工澱粉Cを150〜500μm、75〜150μm、32〜75μm、0〜32μmの粒度毎に分画し、加工澱粉Cの膨潤度、加温保存条件下のゲル押込み荷重値を測定した結果を表1に示した。また、加工澱粉の膨潤度測定条件において、16時間放置した後の加工澱粉の膨潤状態を、上下に分かれた層を均一に再分散した後に光学顕微鏡で観察し、図3〜6に示した。
[実施例1]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(120℃)にて20分湿熱処理したものを原料とし、固形分濃度7.5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度100℃)し、噴霧乾燥した後、分級機を内蔵したピン型ミルを用いて粉砕・分級処理を行い加工澱粉Aを得た。加工澱粉Aの基礎物性を表2に示した。また、加工澱粉Aを150〜500μm、75〜150μm、32〜75μm、0〜32μmの粒度毎に分画し、加工澱粉全体と各分画の膨潤度、加温保存条件下のゲル押込み荷重値を測定した結果を表1に示した。また、加工澱粉の膨潤度測定条件において、16時間放置した後の加工澱粉の膨潤状態を、上下に分かれた層を均一に再分散した後に光学顕微鏡で観察し、図1〜2に示した。
加工澱粉Aと結晶セルロース(「セオラス」KG−802、旭化成ケミカルズ株式会社製)とアクリル酸ナトリウム(アロンビスAH、日本純薬株式会社製)と100M乳糖(ファーマトース100M、DMV社製)とポリエチレングリコール(マクロゴール6000、三洋化成工業株式会社製)と活性成分としてのアセトアミノフェン(エーピーアイコーポレーション社製)とを、40/10/20/10/10/10重量比になるように均一に混合し、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮し、直径1.13cm、重量0.50gの固形製剤を得た。
得られた固形製剤を、日本薬局方記載の第2液(pH6.8、イオン強度0.14)、またはMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)を用い、何れの溶液にもα−アミラーゼを5μm/cm3となるように添加して、それぞれで溶出試験を行った。
得られた固形製剤の溶出試験開始0.5時間及び6.0時間経過後の大きさと、溶出試験開始6時間経過後のゲル押込み荷重値を表3に、また、溶出試験の結果を図7に示した。加工澱粉Aを用い、水溶性膨潤剤にアクリル酸ナトリウムを用いて作製した固形製剤は、幽門の通過を妨げるサイズまで大きく膨潤し、且つ、適度なゲル強度を維持したまま0次溶出を示した。
[比較例1]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(120℃)にて20分湿熱処理したものを原料とし、固形分濃度7.5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度115℃)させた後、噴霧乾燥して加工澱粉Bを得た(特許文献6の実施例5に相当)。加工澱粉Bの基礎物性を表2に示した。
次に、加工澱粉Aを加工澱粉Bに代えた以外は実施例1と同様の方法で錠剤を作製し溶出試験を行った。得られた錠剤の溶出試験開始0.5時間及び6.0時間経過後の大きさと、溶出試験開始6時間経過後のゲル押込み荷重値を表3に、また、溶出試験の結果を図8に示した。加工澱粉Bを用いて作製した錠剤は、溶出試験の途中で錠剤が崩れてしまい残りの活性成分が多量に溶出してしまった。
[実施例2]
実施例1で得られた加工澱粉Aと結晶セルロース(「セオラス」KG−802、旭化成ケミカルズ株式会社製)と100M乳糖(ファーマトース100M、DMV社製)とポリエチレングリコール(マクロゴール6000、三洋化成工業株式会社製)とアセトアミノフェン(エーピーアイコーポレーション社製)とを40/30/10/10/10重量比となるように混合し内層処方粉末とし、また、結晶セルロースとアクリル酸ナトリウム(アロンビスAH、日本純薬株式会社製)と100M乳糖を40/40/20の重量比となるように混合し外層処方粉末とした。
静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて外層処方粉末0.05gを20MPaの圧力で圧縮し、続いて内層処方粉末0.45gを重ねて20MPaの圧力で圧縮し、最後に外層処方粉末0.05gを重ねて120MPa圧力で圧縮し、直径11.3cm、重量0.55gの多層錠を得た。
得られた錠剤を用いて、実施例1と同様の方法で溶出試験を行った。溶出試験開始0.5時間及び6.0時間経過後の錠剤の大きさと、溶出試験開始6時間経過後のゲル押込み荷重値を表3に、また、溶出試験の結果を図7に示した。加工澱粉Aを溶出制御基剤として活性成分を含む内層に用い、水膨潤性ポリマーとしてアクリル酸ナトリウムを外層に用いることで、幽門の通過を妨げるサイズまで大きく膨潤し、且つ、適度なゲル強度を維持したまま0次溶出を示した。
[比較例2]
加工澱粉Aの代わりにヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ90SH−100SR、信越化学工業株式会社製)を用いる以外は実施例1と同様の方法で錠剤を作製し溶出試験を行った。得られた錠剤の溶出試験開始0.5時間及び6.0時間経過後の大きさと、溶出試験開始6時間経過後のゲル押込み荷重値を表3に、溶出試験の結果を図9に示した。ヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶出制御基剤とする錠剤は、高イオン強度条件(イオン強度0.40)では試験開始後間もなく錠剤が崩壊してしまい、活性成分の全量が溶出してしまった。
[比較例3]
加工澱粉Aの代わりにキサンタンガム(太陽化学株式会社製)を用いる以外は実施例1と同様の方法で行い、錠剤を作製し溶出試験を行った。得られた錠剤の溶出試験開始0.5時間及び6.0時間経過後の大きさと、溶出試験開始6時間経過後のゲル押込み荷重値を表3に、溶出試験の結果を図10に示した。キサンタンガムを溶出制御基剤とする錠剤は、非常に大きな膨潤性を示したが、ゲル強度が大きく低下し、また溶出後期に溶出速度の低減が見られた。
[比較例4]
加工澱粉Aの代わりにポリエチレンオキサイド(ポリオックスWSR303、ダウケミカルズ社製)を用いる以外は実施例1と同様の方法で行い、錠剤を作製し溶出試験を行った。得られた錠剤の溶出試験開始0.5時間及び6.0時間経過後の大きさと、溶出試験開始6時間経過後のゲル押込み荷重値を表3に、溶出試験の結果を図11に示した。ポリエチレンオキサイドを溶出制御基剤とする錠剤は、非常に大きな膨潤性を示したが、ゲル強度が大きく低下し、また溶出後期に溶出速度の低減が見られた。
加工澱粉A(0−32μm分画)の膨潤粒子の光学顕微鏡写真(100倍)である。 加工澱粉A(32−75μm分画)の膨潤粒子の光学顕微鏡写真(100倍)である。 加工澱粉C(0−32μm分画)の膨潤粒子の光学顕微鏡写真(100倍)である。 加工澱粉C(32−75μm分画)の膨潤粒子の光学顕微鏡写真(100倍)である。 加工澱粉C(75−150μm分画)の膨潤粒子の光学顕微鏡写真(100倍)である。 加工澱粉C(150μm−500μm分画)の膨潤粒子の光学顕微鏡写真(100倍)である。 実施例1、2の溶出試験結果を示したグラフである。 比較例1の溶出試験結果を示したグラフである。 比較例2の溶出試験結果を示したグラフである。 比較例3の溶出試験結果を示したグラフである。 比較例4の溶出試験結果を示したグラフである。

Claims (5)

  1. 1種以上の活性成分と、保水量が400%以上で、ゲル押込み荷重が200g以上で、水溶性成分量が40〜95%で、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上で、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上である加工澱粉とを含み、投与後に胃内に滞留することを特徴とする徐放性固形製剤。
  2. 前記加工澱粉の目開き75μmの篩いを通過する粒子が98重量%以上で、目開き32μmの篩いを通過する粒子が40重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の固形製剤。
  3. さらに、水膨潤性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の固形製剤。
  4. さらに、コーティング顆粒を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固形製剤。
  5. 重量が0.20gよりも大きいこと特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固形製剤。
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