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JP2007128059A - 感光性樹脂組成物及び感光性フィルム - Google Patents

感光性樹脂組成物及び感光性フィルム Download PDF

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JP2007128059A JP2006272091A JP2006272091A JP2007128059A JP 2007128059 A JP2007128059 A JP 2007128059A JP 2006272091 A JP2006272091 A JP 2006272091A JP 2006272091 A JP2006272091 A JP 2006272091A JP 2007128059 A JP2007128059 A JP 2007128059A
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Abstract

【課題】保管安定性に優れるとともに、はんだ耐熱性、耐クラック性及びHAST耐性に優れたアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)下記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む、軟化点が100〜150℃であるエポキシ樹脂と、(B)カルボキシル基を含有するベースポリマーと、(C)分子内に少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、(D)光重合開始剤と、(E)上記(A)エポキシ樹脂の23℃での溶解度が1質量%以下である希釈剤と、を含有する感光性樹脂組成物。
Figure 2007128059


[式中、nは1〜10の整数を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板、半導体パッケージ、フレキシブル配線板等に用いられる感光性樹脂組成物及び感光性フィルムに関する。
各種電子機器の小型化、軽量化に伴い、プリント配線板、及び半導体素子を内蔵するパッケージ基板には、微細な開口パターンを形成する目的で感光性のソルダーレジストが用いられている。
これらの用途におけるソルダーレジストに対しては、現像性、高解像度、絶縁性及びはんだ耐熱性等の特性が要求される。近年、特に半導体パッケージ用のソルダーレジストにおいては、これら特性に加えて、例えば、−55℃〜125℃の温度サイクル試験(TCT)に対して更に高い耐クラック性や微細配線間でのHAST耐性を達成することが要求されている。また、近年の環境対応に伴い、リフロー温度が従来の240℃から260℃に上がりつつあるため、はんだ耐熱性についても従来に比べてより高い水準が要求されている。
一方、パッケージ基板の分野では、基板の薄型化に伴い、ドライフィルムタイプのソルダーレジストが、膜厚均一性、表面平滑性及び薄膜形成性の観点から注目されている。さらに、ドライフィルムタイプのソルダーレジストは、工程簡便化、溶剤排出量の低減化などを実現可能であるという利点を有している。
しかしながら、一般的なソルダーレジストは、硬化剤であるエポキシ樹脂とアルカリ現像性を付与させるためのカルボン酸含有感光性プレポリマーとを別々に分けた液状2液タイプの感光性樹脂組成物を用いて形成されるのが主流である。かかる感光性樹脂組成物としては、例えば、下記特許文献1に示されているような感光性樹脂組成物がある。このような感光性樹脂組成物は、硬化剤であるエポキシ樹脂とアルカリ現像性付与に必要なカルボン酸を有する感光性プレポリマーとが、室温で反応するため、2液混合後の安定性(ポットライフ)に問題があり、また、この感光性樹脂組成物のドライフィルム化を行った場合には、保管安定性に課題があった。
これまで、上記問題点を解決するために、例えば、下記特許文献2に示されているような、硬化剤としてブロック型イソシアネートを用いる方法や、メチルエーテル化メラミンを用いる方法が提案されている。
特開2002−162738号公報 特開平11−109622号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載された方法であっても、熱硬化時にアウトガスが発生する問題や、ソルダーレジストとしての上述した諸特性を十分に満足することができないという問題がある。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、保管安定性に優れるとともに、はんだ耐熱性、耐クラック性及びHAST耐性に優れたアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物及び感光性フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(A)下記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む、軟化点が100〜150℃であるエポキシ樹脂と、(B)カルボキシル基を含有するベースポリマーと、(C)分子内に少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、(D)光重合開始剤と、(E)上記(A)エポキシ樹脂の23℃での溶解度が1質量%以下である希釈剤と、を含有する感光性樹脂組成物を提供する。
Figure 2007128059


[式中、nは1〜10の整数を示す。]
ここで、(A)成分であるエポキシ樹脂は、上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂を含むものであり、かかるビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ベンゼン環が全てp位で結合したビスフェノールF型構造からなるジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であることを特徴としている。ベンゼン環がp位、m位、o位混合で結合した一般的なビスフェノールF型エポキシ樹脂が、室温で液状、又は軟化点が100℃より低いのに対し、上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ベンゼン環がp位のみで結合しているため、軟化点が100〜150℃と高く、室温で結晶状態である。そして、かかるビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む(A)エポキシ樹脂も、その軟化点が100〜150℃となるように構成され、室温で結晶状態となっている。また、上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、特定の溶剤への溶解性が著しく低いという性質を有している。そして、(E)成分である希釈剤として、(A)上記エポキシ樹脂の23℃での溶解度が1質量%以下であるものを用いることにより、(A)エポキシ樹脂が感光性樹脂組成物中に結晶状態で安定して分散することとなる。これにより、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のグリシジルエーテル基と、(B)成分であるベースポリマー中のカルボキシル基との反応が室温で殆ど進行せず、感光性樹脂組成物は、極めて良好な保管安定性を示すことができる。
更に、本発明の感光性樹脂組成物は、硬化収縮が小さく、密着性に優れ、且つ絶縁信頼性に優れるため、はんだ耐熱性、耐クラック性、及びHAST耐性にも優れている。また、本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性にも優れている。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、上記(B)ベースポリマーは、9.0以下のpKaを有する三級アミンを触媒とする、ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と二塩基酸との重合反応から生成するエステル結合による鎖状構造を分子内に有し、且つ、酸無水物を付加することによりカルボキシル基を含有した、重量平均分子量が20000〜70000の酸変性ポリエステル樹脂を含むものであることが好ましい。かかる(B)ベースポリマーを用いることにより、アルカリ現像性をより良好なものとすることができるとともに、耐クラック性及び濡れ性をより向上させることができる。
更に、本発明の感光性樹脂組成物において、上記(C)光重合性化合物が、多価アルコール類とジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレート類とから合成される(メタ)ウレタンアクリレート類を含むものであることが好ましい。かかる(C)光重合性化合物を用いることにより、感光性樹脂組成物の硬化物に優れた可とう性を付与することができる。
本発明はまた、支持体と、該支持体上に形成された上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性フィルムを提供する。
かかる感光性フィルムによれば、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を備えることにより、保管安定性に優れるとともに、はんだ耐熱性、耐クラック性及びHAST耐性に優れ、且つ、アルカリ現像可能なものとなる。
本発明によれば、保管安定性に優れるとともに、はんだ耐熱性、耐クラック性及びHAST耐性に優れた、アルカリ現像可能な感光性樹脂組成物及び感光性フィルムを提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む、軟化点が100〜150℃であるエポキシ樹脂と、(B)カルボキシル基を含有するベースポリマーと、(C)分子内に少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、(D)光重合開始剤と、(E)上記(A)エポキシ樹脂の23℃での溶解度が1質量%以下である希釈剤と、を含有するものである。以下、各成分について説明する。
(A)成分において、上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂とは、ベンゼン環がp位で結合したビスフェノールF型構造からなるジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であることを特徴とするものであり、ベンゼン環がp位、m位、o位混合で結合した一般的なビスフェノールF型エポキシ樹脂が、室温で液状、又は軟化点が100℃より低いのに対し、上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂は、軟化点が100〜150℃と高く、室温で結晶状態である。また、このビスフェノールF型エポキシ樹脂は、特定の溶剤への溶解性が著しく低く、そのため、感光性樹脂組成物中に結晶状態で分散した場合、カルボキシル基を含有する(B)ベースポリマーのカルボキシル基と上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のグリシジルエーテル基との反応が室温で殆ど進行せず、保管安定性が保たれる。
本発明で用いるビスフェノールF型エポキシ樹脂は、そのエポキシ当量(1当量のエポキシ基を含む化合物のグラム質量)をJIS K 7236「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に基づいて測定することができる。この測定法により求められる上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、160〜2000であることが好ましく、250〜1000であることが更に好ましい。エポキシ当量が160より小さい場合は、溶剤への溶解性が高くなる傾向にあり、2000より大きい場合は現像性が低下する傾向にある。また、感光性樹脂組成中に上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂を分散するときの結晶の粒径としては、レジストの膜厚を考慮し30μm以下にすることが望ましい。分散手法としては、3本ロールミル、ビーズミル等の公知の方法で行うことができる。
(A)成分であるエポキシ樹脂は、上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含み、且つ、軟化点が100〜150℃のものである。ここで、(A)エポキシ樹脂は、上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂単独で構成されていてもよく、他のエポキシ樹脂を含む混合物であってもよい。(A)エポキシ樹脂が上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂以外の他のエポキシ樹脂(例えば、ベンゼン環がm位やo位で結合したもの等)を含む場合、それら全てのエポキシ樹脂の混合物の軟化点が100〜150℃の範囲内であることが必要である。なお、(A)エポキシ樹脂における上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂の含有量は、保管安定性をより良好なものとする観点から、(A)エポキシ樹脂全量を基準として70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%である((A)エポキシ樹脂が上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂のみからなる)ことが最も好ましい。
感光性樹脂組成物中に用いられる(E)希釈剤としては、上記(A)エポキシ樹脂の23℃での溶解度が1質量%以下のものを用い、さらに望ましくは溶解度が0.5質量%以下のものを用いる。(E)希釈剤として溶解度の高い溶剤を用いた場合、(A)エポキシ樹脂が溶剤に溶解し、ポリマー中のカルボキシル基とグリシジルエーテル基との反応が溶解量に伴い進行し、アルカリ現像液へ不溶となり保管安定性が低下する。また、この溶解度が0.01質量%以上の溶剤を用いることが好ましい。
本発明で用いられる(E)希釈剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及びそのアセテートジエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリエチレングリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテル類、また、トルエン、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ若しくはソルベントナフサ等の石油系溶剤、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類などの溶剤を単独、或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
一方、アミン、アミド類である、例えば、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等や、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン等は、上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂の溶解度が高く本発明における(E)希釈剤としては好ましくない。
例えば、エポキシ当量が480のビスフェノールF型エポキシ樹脂は、メタノール、メチルエチルケトン、ソルベントナフサ、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに対して、溶解度が1質量%以下である。それに対し、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンに対して、溶解度が20質量%以上である。
本発明で用いる(B)ベースポリマーは、カルボキシル基を含有するアルカリ現像可能なポリマーを指し、本発明の効果をより十分に得る観点から、好ましくは、重量平均分子量が10000〜150000のものである。また、(B)ベースポリマーとして好ましくは、9.0以下のpKaを有する三級アミンを触媒とする、ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と二塩基酸との重合反応から生成するエステル結合による鎖状構造を分子内に有し、且つ、酸無水物を付加することによりカルボキシル基を含有した、酸変性ポリエステル樹脂を用いる。該酸変性ポリエステル樹脂は、ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と二塩基酸との重合反応時に触媒として9.0以下のpKaを有する三級アミンを用いることで、枝分かれの少ない直鎖構造のポリマーとなっており、これを特徴とする。該酸変性ポリエステル樹脂は、直鎖構造で、且つ、分子内にカルボキシル基が均一に導入されているため、アルカリ現像液への溶解性が良好でありアルカリ現像が可能である。また、該酸変性ポリエステル樹脂は、直鎖構造であるため、感光性樹脂組成物の耐クラック性向上に寄与する。また、該酸変性ポリエステル樹脂は、感光性樹脂組成物の濡れ性を良好なものとすることができる。
酸変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜70000の範囲であることが好ましく、30000〜50000の範囲であることがより好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンによる換算)。
また、上記酸変性ポリエステル樹脂の酸価は、以下の方法により測定することができる。まず、本発明で用いる酸変性ポリエステル樹脂溶液約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、滴定結果から下記式(2);
A=10×Vf×56.1/(Wp×I) (2)
により酸価を算出する。なお、式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfはフェノールフタレインの滴定量(mL)を示し、Wpは酸変性ポリエステル樹脂溶液の質量(g)を示し、Iは酸変性ポリエステル樹脂溶液の不揮発分の割合(質量%)を示す。
この測定方法により求められる上記酸変性ポリエステル樹脂の酸価は、希アルカリ水溶液による現像性の観点、並びに、得られる硬化膜の電気絶縁性、耐薬品性及びめっき耐性等の観点から、50〜200mgKOH/gであることが好ましく、100〜160mgKOH/gであることが更に好ましい。
次に、上述した酸変性ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。上記酸変性ポリエステル樹脂は、一分子中に二つのグリシジル基を有するジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と二塩基酸との重合反応により中間生成物を得る工程と、中間生成物に酸無水物を付加することにより上述したような酸変性ポリエステル樹脂を得る工程とを含む製造方法により製造することができる。
ここで、原料として用いられるジグリシジルエーテル型エポキシ化合物は特に限定されないが、一分子中に一つ以上のフェノキシ基をさらに有することが好ましく、一分子中に二つ以上のフェノキシ基をさらに有することがより好ましい。かかるジグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び、それらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐薬品性に優れ、硬化により比較的収縮しないことからビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
これらの化合物としては市販のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしてはエピコート828、エピコート1001及びエピコート1002(いずれもジャパンエポキシレジン社製、商品名)、エポトートYD−011及びエポトートYD−012(いずれも東都化成社製、商品名)等を挙げることができる。ビスフェノールFジグリシジルエーテルとしてはエピコート807(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等を挙げることができ、ビスフェノールSジグリシジルエーテルとしてはEBPS−200(日本化薬社製、商品名)及びエピクロンEXA−1514(大日本インキ化学工業社製、商品名)等を挙げることができる。また、ビフェノールジグリシジルエーテルとしてはYL−6121(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等を挙げることができ、ビキシレノールジグリシジルエーテルとしてはYX−4000(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等を挙げることができる。さらに、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルとしてはST−2004及びST−2007(いずれも東都化成社製、商品名)等を挙げることができ、上述した二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としてはST−5100及びST−5080(いずれも東都化成社製、商品名)等を挙げることができる。
原料として用いられる二塩基酸としてはジカルボン酸が好ましい。ジカルボン酸として具体的には、例えば、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸及びメチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの二塩基酸のなかで、テトラヒドロフタル酸がより好ましい。
重合反応に用いられる触媒としては、例えば、ホスフィン類、アルカリ金属化合物及びアミン類等が挙げられ、具体的には、例えば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物、トリエタノールアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ジメチルパラトルイジンなどのアミン類が挙げられる。これらの中で、特に9.0以下のpKaを有する三級アミンを用いることで、直鎖状のポリエステル樹脂を得ることができる。さらに、三級アミンは7.3以下のpKaを有するものがより好ましい。このとき、三級アミンであって9.0以上のpKaのものを用いると、ポリエステル樹脂中の結合種(エーテル型網目結合及び/又はエステル型網目結合)によるゲル化が生じ、直鎖状のポリマーを得ることができず、現像性が低下する傾向がある。かかる触媒の使用量は、重合反応速度の観点、並びに感光性樹脂組成物より得られる硬化膜の耐熱性及び電食絶縁性等の観点から、ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物及び二塩基酸の総量100質量部に対して、1〜10質量部であると好ましい。また、反応温度は、重合反応速度の観点、及び副反応の進行防止の観点から、100〜150℃であることが好ましい。
酸変性用の酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などの二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物、その他これに付随する例えば5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらの中でも、二塩基性酸無水物を用いると好ましく、ジカルボン酸無水物を用いるとより好ましい。また、これらは1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、酸変性における反応温度は、反応速度の観点及び副反応を防止する観点から、80〜130℃であることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂の製造方法においては、通常、適当量の溶剤が用いられる。このとき溶剤は、(A)エポキシ樹脂の溶解度を考慮して用いなければならない。例えば、(E)希釈剤と同様に、(A)エポキシ樹脂の溶解度が1質量%以下のものを用い、さらに望ましくは0.5質量%以下のものを用いる。溶剤の種類としては、(E)希釈剤と同様のものが挙げられるが、溶剤の沸点がポリマーの合成温度以上のものを選択することが望ましい。
(C)成分である分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物(以下、単に「光重合性化合物」という。)は、要求される特性によって種々変えることができ、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのモノあるいは多官能(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAのポリエチレングリコールあるいはプロピレングリコール付加物のモノ又は多官能(メタ)アルリレート類、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のモノあるいは多官能(メタ)アクリレート類、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類、ジアリルフタレート等が使用できる。これらは単独あるいは混合系で使用できる。
また、硬化物に優れた可とう性を持たせたい場合は、多価アルコール類とジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレート類とから合成されるエチレン性不飽和基を有するウレタン化合物を用いることが望ましい。
本発明において(D)成分として用いる光重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヘラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−モルホリノフェノン)−ブタノン−1,2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等などが挙げられる。これらは1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、はんだ耐熱性及び光感度の観点から、(B)成分と(C)成分との総量100質量部に対して、1〜70質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましく、10〜40質量部であることが更に好ましい。(B)成分の含有量は、(B)成分と(C)成分との総量100質量部に対して、10〜90質量部であることが好ましく、25〜85質量部であることがより好ましい。この含有量が10質量部未満では、現像時のアルカリ現像液耐性が低下する傾向があり、90質量部を超えると、光感度が不十分となる傾向がある。
(D)成分の含有量は、光感度の観点及びはんだ耐熱性の観点から、(B)成分と(C)成分との総量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましい。
(E)成分の含有量は、感光性樹脂組成物を液状のまま使用する場合には、感光性樹脂組成物全量を基準として5〜40質量%であることが望ましい。また、支持体に塗布して感光性フィルムとして使用する場合には、塗布前のワニス状態では、感光性樹脂組成物全量を基準として30〜70質量%含有させることが好ましい。その後、感光性フィルムとした後は、フィルム作製時の乾燥工程において揮発させるため、例えば3質量%以下となる。
また、感光性樹脂組成物には、必要に応じて、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン若しくはロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤若しくはp−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、フタロシアニングリーン若しくはフタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、アゾ系等の有機顔料若しくは二酸化チタン等の無機顔料、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム若しくは硫酸バリウム等の無機顔料からなる充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料或いはイメージング剤などを(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対して各々0.01〜50質量部程度含有することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、アクリル系共重合体、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂等の(B)成分以外のポリマー成分を併用してもよい。
次に、本発明の感光性フィルムについて説明する。本発明の感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に形成された本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備えるものである。感光性樹脂組成物層上には、該感光性樹脂組成物層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。
以下、本発明の感光性フィルムの好適な実施形態について図1を参照しながら説明する。図1に示す感光性フィルム1は、支持体11と、該支持体上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層12と、感光性樹脂組成物層12上に形成された保護フィルム13とを備えるものである。
感光性樹脂組成物層12は、上述した本発明の感光性樹脂組成物を、上記(E)希釈剤により固形分30〜80質量%程度の溶液とし、かかる溶液を支持体11上に塗布して形成することが好ましい。感光性樹脂組成物層12の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。この厚みが10μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると本発明により奏される上述の効果が小さくなりやすく、特に、物理特性及び解像度が低下する傾向がある。
感光性フィルム1が備える支持体11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
支持体11の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では現像前に支持体11を剥離する際に当該支持体11が破れやすくなる傾向があり、また、100μmを超えると解像度及び可撓性が低下する傾向がある。
保護フィルム13としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、表面処理した紙等が挙げられる。保護フィルム13は、感光性樹脂組成物層12と支持体11との間の接着力よりも、感光性樹脂組成物層12と保護フィルム13との間の接着力が小さくなるものであると好ましい。
上述したような支持体11と感光性樹脂組成物層12と保護フィルム13との3層からなる感光性フィルム、又は、支持体11と感光性樹脂組成物層12との2層からなる感光性フィルムは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、保護フィルム13を介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管してもよい。
本発明の感光性フィルムは、感光性樹脂組成物層が本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されているため、保管安定性に優れるとともに、はんだ耐熱性、耐クラック性及びHAST耐性に優れ、且つ、アルカリ現像可能なものとなる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物又は感光性フィルムを用いたレジストパターンの形成方法について説明する。かかるレジストパターンの形成方法は、初めに、其々、公知のスクリーン印刷、ロールコータにより塗布する工程、又はラミネート等により貼り付ける工程により、レジストを形成する基板上に感光性樹脂組成物層を積層する。次いで、必要に応じて上述した感光性フィルムから保護フィルムを除去する除去工程を行い、活性光線を、マスクパターンを通して、感光性樹脂組成物層の所定部分に照射し、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行う。照射部以外の感光性樹脂組成物層は、次の現像工程により除去される。なお、レジストを形成する基板とは、プリント配線板、半導体パッケージ用基板、フレキシブル配線板を指す。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。
現像工程では、現像液として、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等のアルカリ現像液が用いられ、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。
上記現像工程終了後、はんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば、0.2〜10J/cm程度の照射量で照射を行うこともできる。また、レジストパターンを加熱する場合は、100〜170℃程度の範囲で15〜90分程行われることが好ましい。さらに紫外線照射と加熱とを同時に行うこともでき、いずれか一方を実施した後、他方を実施することもできる。紫外線の照射と加熱とを同時に行う場合、はんだ耐熱性、耐薬品性等を効果的に付与する観点から、60〜150℃に加熱することがより好ましい。
この感光性樹脂組成物層は、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、優れたHAST耐性、耐クラック性を有するので、プリント配線板用、半導体パッケージ用、フレキシブル配線板用のソルダーレジストとして有効である。
このようにしてレジストパターンが形成された基板は、その後、半導体素子などの実装(例えば、ワイヤーボンディング、はんだ接続)がなされ、そして、パソコン等の電子機器へ装着される。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[樹脂(1)の合成]
(B)成分としての樹脂(1)を以下の方法により調製した。まず、攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エポトートYD−011、東都化成社製、エポキシ当量479g/eq)182.7質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート64.0質量部及びトルエン30.0質量部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、130℃に加熱した状態で攪拌することにより、エポキシ樹脂に含まれる水分の還流脱水を行った。次いで、これにテトラヒドロフタル酸(新日本理化社製)34.9質量部とジメチルパラトルイジン(三星化学社製)3.6質量部とを添加し、140℃で4時間保温した。そして、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製)108.0質量部を添加し、120℃で3時間保温させることにより、(B)成分である酸変性ポリエステル樹脂(樹脂(1))を得た。その後、得られた酸変性ポリエステル樹脂をメチルエチルケトン127.0質量部で希釈した。得られた酸変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は38000であり、希釈後の固形分は58.0質量%であり、酸価は130mgKOH/gであった。
(実施例1〜9、比較例1〜4)
まず、下記表1に示す各成分をそこに示す固形分の配合比(質量基準、(E)成分は液体としての配合比、それ以外は固形分としての配合比)で混合することにより、感光性樹脂組成物溶液を得た。
なお、表1中、樹脂(2)は、カルボキシル基含有アクリルポリマーであって、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びスチレンを質量比26:34:20:18で共重合させた共重合体であり、重量平均分子量が70000、酸価が150mgKOH/gである。樹脂(3)は、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(商品名:CCR−1219H、日本化薬社製、重量平均分子量30000)である。樹脂(4)は、アクリルアクリレート(商品名:T−4−29M、新中村化学社製、重量平均分子量50000)である。また、樹脂(5)は、多価アルコールとジイソシアネートと水酸基含有アクリレート類とから合成されるウレタンアクリレート(商品名:ヒタロイド9082、日立化成工業社製)であり、重量平均分子量が5,000である。
また、(A)成分としてのLCE−21(商品名、日本化薬社製)は、上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、軟化点は100〜110℃である。(A)成分としてのLCE−31(商品名、日本化薬社製)は、上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、軟化点は120〜130℃である。更に、(A)成分としての変性LCE(サンプル名、日本化薬社製)は、上記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、軟化点は140〜150℃である。
その他、市販の材料として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:DPHA、日本化薬社製)、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(商品名:FA−321M、日立化成工業社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:I−369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート807、ジャパンエポキシレジン社製、23℃で液状)、ブロック型イソシアネート(商品名:BL−3175、住化バイエルウレタン社製)、メチルエーテル化メラミン(商品名:サイメル300、三井サイテック社製)、を用いた。また、(E)成分の希釈剤には、酸変性ポリエステル樹脂にも使用しているメチルエチルケトンを使用した。また、(E)成分に対する(A)成分の23℃での溶解度(質量%)を表1に示す。
Figure 2007128059

次いで、この感光性樹脂組成物溶液を支持体である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:G2−16、帝人社製)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、それを熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、25μmであった。
続いて、感光性樹脂組成物層の支持体と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(商品名:NF−13、タマポリ社製)を保護フィルムとして貼り合わせ、感光性フィルムを得た。
[塗膜性の評価]
得られた感光性フィルムに対し、露光を行わずに、感光性フィルム上のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥離し、感光性樹脂組成物層の塗膜表面に指を軽く押し付け、指に対する張り付き程度を以下の評価基準に基づいて評価した。すなわち、指に対する張り付きが認められない、または、ほとんど認められないものは「○」とし、指に対する張り付きが認められるものは「×」とした。その結果を下記表2に示す。
[はんだ耐熱性の評価]
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基材(商品名:E−679、日立化成工業株式会社製)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このプリント配線板用基材の研磨した銅箔上に、連プレス式真空ラミネータ(商品名:MVLP−500、名機製作所製)を用いて、プレス熱板温度60℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaの条件の下、上記感光性フィルムを、その感光性樹脂組成物層と銅箔とが密着するようにポリエチレンフィルム(保護フィルム)を剥離しつつ積層し、評価用積層体を得た。
得られた評価用積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ネガとして2mm角のパターンを有するフォトツール及びストーファー21段ステップタブレットを密着させ、オーク製作所社製EXM−1201型露光機を使用して、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。次いで、評価用積層体を常温で1時間静置した後、該積層体上のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、最小現像時間(未露光部が現像される最小時間)の1.5倍の時間でスプレー現像を行い、レジストパターンを形成した。
続いて、形成したレジストパターンに、オーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cmのエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、2mm角の開口部を有するソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を得た。
次に、得られた評価用積層体基板に、ロジン系フラックス(商品名:MH−820V、タムラ化研社製)を塗布した後、260℃のはんだ浴中に30秒間浸漬してはんだ処理を行った。このようにしてはんだめっきが施された評価用積層体基板上のソルダーレジストのクラック発生状況、並びに、基板からのソルダーレジストの浮き程度及び剥離程度を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。すなわち、ソルダーレジストのクラックの発生が認められず、ソルダーレジストの浮き及び剥離も認められないものは「○」とし、少なくともそれらのいずれかが認められるものは「×」とした。その結果を下記表2に示す。
[耐クラック性の評価]
上述のソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を、−55℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の昇温速度で昇温し、次いで、125℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の降温速度で降温する熱サイクルを1000回繰り返した。このような環境下に晒した後、評価用積層体基板のソルダーレジストのクラック及び剥離程度を100倍の金属顕微鏡により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。すなわち、ソルダーレジストのクラック及び剥離を観察できなかったものは「○」とし、少なくともそれらのいずれかを確認できたものは「×」とした。その結果を下記表2に示す。
[HAST耐性(耐電食性)の評価]
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基材(商品名:E−679、日立化成工業株式会社製)の銅表面にエッチングを施して、ライン幅/スペース幅が50μm/50μmのくし型電極を形成した。この基材の電極を形成した面上に、上記[はんだ耐熱性の評価]と同様の手順でソルダーレジストを形成し、評価用積層体基板を得た。
得られた評価用積層体基板のくし型電極間に電圧が印加されるように、ポリテトラフルオロエチレン製のシールド線をSn/Pbはんだによりそれらの櫛形電極に接続した後、評価用積層体に5Vの電圧を印可した状態で、該評価用積層体基板を130℃、85%RHの超加速高温高湿寿命試験(HAST)槽内に100時間静置した。その後の評価用積層体基板のソルダーレジストのマイグレーションの発生程度を100倍の金属顕微鏡により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。すなわち、ソルダーレジストのマイグレーションの発生を確認できなかったものは「○」とし、確認できたものは「×」とした。その結果を表2に示す。
[アウトガスの評価]
18μm厚の銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント配線板用基板(商品名:F30VC1、ニッカン工業社製)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このフレキシブルプリント配線板用基板上に、連続式真空ラミネータ(商品名:HLM−V570、日立化成工業社製)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度0.5m/分、気圧4000Pa以下、圧着圧力0.3MPaの条件の下、上記実施例1〜9及び比較例1〜4の感光性フィルムを、ポリエチレンフィルムを剥離しつつ積層し、オーク製作所社製のEXM−1201型露光機を使用して、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。こうして得られた光硬化物10mgを、示差熱−熱重量分析装置6200(SEIKO社製)により160℃まで昇温して1時間保持し、そのときの重量減少率を測定して、以下の評価基準に基づいてアウトガスの発生状況を評価した。すなわち、重量減少率が5%以下のものは「○」とし、5%を超えるものは「×」とした。その結果を表2に示す。
[保管安定性の評価]
作製した感光性フィルムを室温(23℃)で20日間放置した。次に、放置後の感光性フィルムを用いて、上記[はんだ耐熱性の評価]と同様の手順で露光、現像、UV照射、加熱工程を行い、ソルダーレジストを形成した。得られたソルダーレジストパターンを実体顕微鏡で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。すなわち、未露光部分に樹脂残りがないものは「○」、未露光部分に樹脂残りがあるものを「×」とした。その結果を下記表2に示す。
[屈曲性の評価]
18μm厚の銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント配線板用基板(商品名:F30VC1、ニッカン工業社製)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このフレキシブルプリント配線板用基板上に、連続式真空ラミネータ(商品名:HLM−V570、日立化成工業社製)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度0.5m/分、気圧4000Pa以下、圧着圧力0.3MPaの条件の下、上記実施例1〜9及び比較例1〜4の感光性フィルムを、ポリエチレンフィルムを剥離しつつ積層し、オーク製作所社製のEXM−1201型露光機を使用して、ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。続いて、PETフィルムを剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を40秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱乾燥した。その後、オーク製作所社製の紫外線照射装置を使用して1J/cmのエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、ソルダーレジストを形成した評価用基板を得た。このソルダーレジストを形成した評価用基板を、ハゼ折りにより180°折り曲げを5回繰り返して行い、その際のソルダーレジストにおけるクラック発生状況を目視により観察して、以下の評価基準に基づいて屈曲性を評価した。すなわち、折り曲げを5回繰り返してもソルダーレジストにクラックが認められないものは「○」とし、2〜5回の折り曲げでソルダーレジストにクラックが認められたものは「△」とし、1回の折り曲げでソルダーレジストにクラックが認められたものは「×」とした。その結果を表2に示す。
[濡れ性の評価]
上記[屈曲性の評価]で作製したソルダーレジストを形成した評価用基板を用いて、動的接触角・表面張力測定装置FTA−200(FTA社製)により水の接触角を測定し、以下の評価基準に基づいてソルダーレジストの濡れ性を評価した。すなわち、水の接触角が70°以下のものは「○」とし、70°を超えるものは「×」とした。その結果を表2に示す。
Figure 2007128059

本発明の軟化点が100〜150℃である結晶性のビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いた感光性樹脂組成物の硬化物は、従来一般的に使用されてきたエポキシ樹脂と比較して保管安定性に優れており、また、硬化剤として他の材料を用いたものに比べ、アウトガスの発生が無く、ソルダーレジストとしての要求特性に優れていることが確認された。従って、本発明の感光性樹脂組成物や感光性フィルムは、プリント配線板用、半導体パッケージ用、フレキシブル配線板用のソルダーレジスト(特にドライフィルムタイプ)用途にきわめて有用である。
本発明の感光性フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。
符号の説明
1…感光性フィルム、11…支持体、12…感光性樹脂組成物層、13…保護フィルム。

Claims (4)

  1. (A)下記一般式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む、軟化点が100〜150℃であるエポキシ樹脂と、
    (B)カルボキシル基を含有するベースポリマーと、
    (C)分子内に少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、
    (D)光重合開始剤と、
    (E)前記(A)エポキシ樹脂の23℃での溶解度が1質量%以下である希釈剤と、
    を含有する感光性樹脂組成物。
    Figure 2007128059


    [式中、nは1〜10の整数を示す。]
  2. 前記(B)ベースポリマーが、9.0以下のpKaを有する三級アミンを触媒とする、ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と二塩基酸との重合反応から生成するエステル結合による鎖状構造を分子内に有し、且つ、酸無水物を付加することによりカルボキシル基を含有した、重量平均分子量が20000〜70000の酸変性ポリエステル樹脂を含む、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(C)光重合性化合物が、多価アルコール類とジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレート類とから合成される(メタ)ウレタンアクリレート類を含む、請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
  4. 支持体と、該支持体上に形成された請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性フィルム。
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