JP2007121418A - エレクトロクロミック装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持基板1、6上に少なくとも透明電極2、7が形成されている一対の電極構造体11、12が、透明電極2、7同士が対面するように、電解質層5を挟持して配置されており、一対の透明電極2、7のうちの、少なくとも一方の上に、二量化された構造のビピリジン化合物よりなる有機EC色素が吸着されている多孔質電極4が形成されているエレクトロクロミック装置を提供する。
【選択図】図1
Description
従来においては、CRT、LCD、PDP、ELD等の発光型素子は明るくて見やすいという特徴を有しており、多くの技術の提案がなされてきた。
しかしながら、上記各種発光型素子は、ユーザーが発光を直視する形式で使用するものであるため、長時間閲覧すると視覚的な疲労を引き起こすという問題がある。
また携帯電話等のモバイル機器は、屋外で使用される場合が多く、太陽光下では、発光が相殺されて視認性が悪化するという問題もあった。
またLCDは、発光型素子の中でも特に需要が拡大している技術であり、大型、小型の、様々なディスプレイ用途に用いられているが、LCDは視野角が狭く、見やすさの観点からは他の発光型素子に比較すると改善すべき課題を有している。
例えば、反射型LCDや電気泳動方式が挙げられる。
反射型LCDとしては、従来、二色性色素を用いたG−H型液晶方式や、コレステリック液晶等が知られている。これらの方式は、従来の発光型LCDと比較して、バックライトを使用しないため、省消費電力であるという利点を有しているが、視野角依存性があり、また光反射効率も低いため、必然的に画面が暗くなってしまうという問題がある。
他方、電気泳動方式は、溶媒中に分散された電荷を帯びた粒子が、電界によって移動する現象を利用した方式であり、省消費電力で、視野角依存性がないという利点を有しているが、フルカラー化を行う場合には、カラーフィルターを利用する並置混合法を適用する必要があるため、反射率が低下し、必然的に画面が暗くなってしまうという問題がある。
このEC素子による発光は、偏光板等が不要であり、視野角依存性が無く、受光型で視認性に優れ、構造が簡易でかつ大型化も容易で、更には材料の選択によって多様な色調の発光が可能であるという利点を有している。
このようなEC素子を用いると、減法混色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の発色が可能な色素を適用してC、M、Y発色層を積層した構成とすることによって、フルカラー表示を実現できる。
また黒色は、C、M、Yを混色することにより表示でき、白色は、各色素を消色状態として透明にし、背景色を白色にすることにより表示できる。
この表示装置は、開回路を構成して電極間の電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるので、表示画像を維持する電力が不要であり、消費電力が極めて低いという点で特に優れている。
またこれらの表示装置は、色純度の低さや、精密かつ鮮明なカラー画像の表示を行うことが困難であるという問題を有していた。
更には、素子の作製条件や、色素化合物の電極への吸着密度等によって、上記式(2)、(3)の化合物よりなるダイマーの形成量が変化してしまうため、安定した発色スペクトルが得られないという問題を有していた。
また、これらを用いて作製した表示装置は、多数回繰り返して動作させると、ダイマー形成量が変化し、発色スペクトルの形状が変化してしまい、耐久性の点において実用上劣るという問題を有していた。
Y1〜Y4、Z1〜Z4は、水素原子か、あるいは、脂肪族炭化水素基、エーテル基、アシル基、ハロゲン基又はシアノ基、エステル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、芳香族炭化水素基を表し、Y1〜Y4、Z1〜Z4のうち少なくともひとつ以上は、多孔質電極へ吸着するための吸着基である。
但し、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、従来公知の構成を適宜付加することができ、本発明の要旨を何ら逸脱しないものとする。
エレクトロクロミック装置10は、支持基板1上に、透明電極2と、後述するビピリジン化合物よりなる有機EC色素3が担持された多孔質電極4とを具備する構成の表示電極構造体11と、支持基板6上に、透明電極7と多孔質電極8とを具備する構成の対向電極構造体12とが、電解質層5を介して対向配置された構成を有している。
なお、図1においては、対向する透明電極2、7のいずれにも多孔質電極4、8が形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて一方の電極にのみ多孔質電極を形成させた構成としてもよい。以下、構成要素について順次説明する。
前記透明性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
透明電極層の形成用材料としては、例えば、In2O3とSnO2との混合物、いわゆるITO膜や、SnO2またはIn2O3をコーティングした膜等が挙げられる。
また、上記ITO膜や、SnO2 またはIn2O3をコーティングした膜にSn、Sb、F等をドーピングしても良く、その他MgOやZnO等も適用できる。
多孔質電極4、8の材料は、例えば、金属、真性半導体、酸化物半導体、複合酸化物半導体、有機半導体、カーボン等が適用できる。
金属としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu等が挙げられ、真性半導体としては、例えば、Si、Ge、Te等が挙げられる。酸化物半導体としては、例えば、TiO2、SnO2、Fe2O3、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、V2O5、In2O3、CdO、MnO、CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。また、複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb2O5−SrTiO3、Nb2O5−Ta2O5、Nb2O5−ZrO2、Nb2O5−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Sb−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2等が挙げられ、特にTiO2、SnO2、Sb−SnO2、In−SnO2が好適である。また、有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
有機EC色素3は、多孔質電極4の表面及び内部の微細孔に担持されているものとし、本発明においては、特に、下記一般式(1)で示される二量体のビピリジン化合物であるものとする。
多孔質電極へ吸着するための吸着基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基、アミノ基、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物等が挙げられる。
この一般式(1)においては、4価として表記されているが、マゼンタ発色を行う際には、還元反応により2価のラジカル状態となる。この化合物はこの2価の状態に安定化させることが可能であり、マゼンタ発色用の有機EC色素として極めて優れていることが確かめられた。
上記一般式(1)で表されるビピリジン化合物の具体例〔化5〕〜〔化13〕を下記に示す。
具体的には、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート等の塗布法、電界析出法、電界重合法、担持させる化合物の溶液に浸す自然吸着法等を適宜選定でき、特に自然吸着法、及び多孔質電極表面への有機EC色素を化学結合させる方法が好適である。
有機EC色素を多孔質電極4に自然吸着させるためには、有機EC色素の化学構造中に吸着性官能基を導入することが必要である。この吸着性官能基は、吸着させる多孔質電極の材料に応じて適宜選定するものとし、例えば、多孔質電極4が酸化物半導体により構成されている場合には、有機EC色素の化学構造中に、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等の吸着性官能基を導入しておくことが好ましい。
前記吸着性官能基は、有機EC色素の骨格に直接、あるいはその他の所定の官能基を介して導入してもよい。前記のうち、所定の官能基を介して吸着基を導入する場合は、アルキル基、フェニル基、エステル、アミド基等の官能基を介して吸着基を導入する方法が好適である。
なお、有機EC色素を溶解する溶媒としては、例えば、水、アルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素等が適用できる。これらは、単独で用いてもよく、適宜混合して用いてもよい。
また、多孔質電極4の表面をシランカップリング剤等によって改質した後に、有機EC色素を化学結合して形成させるようにしてもよい。
すなわち、対向電極構造体12側の多孔質電極8にも所定の有機EC色素を担持させた構成としてもよい。この場合には、発色反応と消色反応とが、酸化反応、還元反応のうち、それぞれ逆反応に応じて生じるように材料選定することが必要である。
例えば、多孔質電極4に担持させたビピリジン色素が還元反応によってラジカル状態となり発色する場合には、多孔質電極8には定常状態で多孔質電極4に担持させたビピリジン色素と同色調であり、酸化反応によって消色する有機EC色素を選定する。
このように、両電極構造体11、12において有機EC色素を担持させた構成とすることにより、最終的に得られるエレクトロクロミック装置において、発色が明瞭化し、画像の鮮明さを向上させることができる。
支持電解質としては、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等のリチウム塩や、例えばKCl、KI、KBr等のカリウム塩や、例えばNaCl、NaI、NaBr等のナトリウム塩や、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
電解質層5には、必要に応じて公知の酸化還元化合物を添加してもよい。酸化還元物質としては、例えばフェロセン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、フェニレンジアミン誘導体等が適用できる。
溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述した有機EC色素を溶解しないものを選択する。
例えば、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等から適宜選定する。
マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ、−(C−C−O)n−、−(CC(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。
なお、これらを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等も好適である。
なお、この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの混合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、及びこれらの混合物が好適である。
図1のエレクトロクロミック装置10において、多孔質電極4の表面には、定常状態において可視域に吸収をもたない有機EC色素である、一般式(1)に示すビピリジン化合物が担持されている。
エレクトロクロミック装置10を構成する対の電極構造体11、12に、所定のリード線を結線し表示装置として構成する。
所定のリード線を通じて所定の電圧を印加すると、多孔質電極4とこれに担持された有機EC色素材料との間に電子の授受がなされ、有機EC色素において電気化学的な還元反応が起き、マゼンダに発色する。
すなわち、図1に示すエレクトロクロミック構成と同様の構造であって、有機EC色素として、イエロー(Y)、シアン(C)に発色する材料を多孔質電極に担持させた電極構造体を積層させることにより、複数色の組み合わせやこれらの発消色表示を可逆的に行うことができるフルカラー表示のエレクトロクロミック装置が得られる。
厚さ1.1mmのガラス製の支持基板1上に、平面的に15Ω/□のFTO膜(透明電極2)を形成した。
次に、PH=約1.0の塩酸水溶液に1次粒径20nmの酸化チタンを15重量%分散させたスラリーに、ポリエチレングリコールを5重量%の割合で溶解させて塗料を作製した。この塗料を、上記FTO膜上にスキージ法によって塗布した。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行い、さらに、電気炉で500℃、1時間焼結を行い、膜厚3μmの酸化チタン多孔質電極4が形成されたFTO基板が得られた。
上記酸化チタン膜よりなる多孔質電極4が形成されたFTO基板を、ビピリジン化合物の0.02M水溶液に1時間、6時間、あるいは24時間浸漬させ、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を吸着させた。
その後、エタノール溶液で洗浄処理を行い乾燥処理を行った。
厚さ1.1mmのガラス製の支持基板6上に、平面的に15Ω/□のFTO膜(透明電極7)を形成した。
次に、酸性水溶液に1次粒径20nmのアンチモンドープされた酸化スズを20重量%分散させたスラリーに、ポリエチレングリコールを5重量%の割合で溶解させて塗料を作製した。この塗料を、上記FTO膜上にスキージ法によって塗布した。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行い、さらに、電気炉で500℃、1時間焼結を行い、膜厚7μmのアンチモンドープ酸化スズ多孔質電極8が形成されたFTO基板が得られた。
電解質層5形成用溶液は、ガンマブチロラクロンに、過塩素酸リチウムを0.1mol/L溶解させ、脱水、脱気したものを適用した。
上述のようにして作製した表示電極構造体(色素吸着酸化チタン多孔質電極付き基板)と、対向電極構造体(アンチモンドープ酸化スズ多孔質電極付き基板)とを、厚さ50μmの熱可塑性フィルム接着剤を用いて、90℃で貼り合わせた。
この際、後述の工程により、電解液を注入できるように、一部分に注入口を形成した。
前記電解液を、注入口から注入した。
その後、注入口をエポキシ系の熱硬化樹脂で封止することにより、電解質層を挟持した状態で対向した電極構造体を具備するエレクトロクロミック装置が完成した。
上述したエレクトロクロミック装置の製造工程に従い、多孔質電極に担持させる有機EC色素について異なるものを適用し、下記実施例、及び比較例のサンプルセルを作製した。
クロロホルム40mlに3,4−ジメチル安息香酸0.03モル、N-ブロモスクシンイミド0.062モル、過酸化ベンゾイル0.001モルを加えて、100℃で3時間反応させた。溶媒を減圧除去して得られた白色粉末を、ジエチルエーテルと純水で良く洗浄し乾燥させると、3,4−ビス(ブロモメチル)安息香酸を得た。
1H-NMR(DMSO)δ:13.20(1H,s),8.06(1H,s),7.88(1H,d,J=7.8Hz),7.61(1H,d,J=8.0Hz),
4.89(4H,d,J=13.9Hz).
アセトニトリル50mlに4,4’−ビピリジンを0.05モル溶解させ還流した。そこへ0.02モルの1,2−ビス(ブロモメチル)ベンゼンを溶解させた40mlのアセトニトリルを滴下した。2時間後析出した固体をろ取しアセトニトリルで洗浄すると、1,1’’−[1,2−フェニレン−ビス(メチレン)]ビス−4,4’―ビピリジニウム−ジブロミドを得た。
1H-NMR(D20)δ:8.63(4H,d,J=5.6Hz),8.40(4H,d,J=2.7Hz),8.08(4H,d,J=5.6Hz),
7.65(4H,d,J=18.5Hz),7.49(4H,d,J=3.4Hz),5.97(4H,s).
IPA/水=1:1混合溶媒40mlに上記の方法で得られた2種の化合物を0.01モルずつ溶解させ、24時間還流した。析出した固体をろ取し、MeOHで再結晶することにより、有機EC色素(〔化5〕)を得た。
1H-NMR(D20)δ:9.18-9.09(3H,m),8.27(8H,m),8.07(2H,m),7.95(2H,m),7.82-7.77(8H,m),
6.24-5.91(8H,m).
なお、上記〔化6〕〜〔化13〕に示した化合物についても、上記〔化5〕と同様の手順で合成できる。
有機EC色素として、上記のようにして合成した〔化5〕の化合物を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に吸着させて、エレクトロクロミック装置を作製した。
このエレクトロクロミック装置の、表示電極と対向電極の間に、−1.5Vの電圧を印加すると、直ちに鮮やかなマゼンタの発色を示した。表示変更の応答速度は約180msであった。
また、電極間に0.5Vを印加すると再び直ちに透明となった。表示変更の応答速度は約60msであった。
表示電極の有機EC色素溶液への浸漬時間を1時間、6時間、24時間と変更させて、それぞれ表示電極と対向電極の間に、−1.5Vを印加したときの発色の濃度について測定を行ったところ、図2の可視吸収スペクトルに示すように、スペクトル形状は変化しなかった。
図2に示すように、有機EC色素溶液への浸漬時間が長いと発色濃度も高くなる傾向にあったが、浸漬時間を1時間程度の短時間とした場合であっても、実用上充分な発色濃度が得られた。
また、この例におけるエレクトロクロミック装置の表示電極と対向電極の間に、−1.5Vと0.5Vを交互に1Hzで100万回印加した前後の可視吸収スペクトルを測定した。その結果を図3に示す。これによると、100万回電圧印加を繰り返した後においても初期の状態とスペクトル形状の変化が殆ど見られなかった。
図2、3から明らかなように、本発明のエレクトロクロミック装置によれば、吸収波長幅が狭く、鮮やかなマゼンタの発消色を可逆的に行うことができた。
また、本発明において特有の、一般式(1)で示す構造のビピリジン化合物を有機EC色素として適用したことにより、電極への吸着量が少量であっても、実用上充分な発色濃度が得られ、さらには、多数回繰り返して発消色動作を行った場合においても極めて安定なマゼンタ発色の画像表示が実現できた。
有機EC色素として、上記一般式(2)に示した化合物を適用した。なお、この場合、一般式(2)中のX-は、Cl-であるものとする。
これを図1に示すエレクトロクロミック装置の表示電極構造体11を構成する多孔質電極4に吸着させた。
このエレクトロクロミック装置の、表示電極と対向電極の間に、−1.5Vの電圧を印加すると、紫の発色を示した。表示変更の応答速度は約180msであった。
また、表示電極と対向電極との間に0.5Vの電圧を印加すると、再び直ちに消色し、透明となった。表示変更の応答速度は約60msであった。
表示電極の有機EC色素溶液への浸漬時間を1時間、6時間、24時間と変更させて、それぞれ表示電極と対向電極の間に、−1.5Vの電圧を印加したときの発色の濃度について測定を行ったところ、図4の可視吸収スペクトルに示すように、浸漬時間に応じて発色の濃度の変化が見られ、かつスペクトル形状が変化した。
図4に示すように、吸収波長幅がブロードであり、鮮鋭な色表示を行うという点において、上記実施例の場合に劣っている。また、有機EC色素溶液への浸漬時間によって吸収波長にずれが生じており、安定した発色が得られないことが解った。
また、この例におけるエレクトロクロミック装置の表示電極と対向電極の間に、−1.5Vと0.5Vを交互に1Hzで100万回印加した前後の可視吸収スペクトルを測定した。その結果を図5に示す。
これによると、100万回電圧印加を繰り返した後においては、初期状態と明らかにスペクトル形状に変化が生じており、多数回使用により発色状態が不安定になることが確かめられた。
図4、5から明らかなように、有機EC色素として、一般式(2)に示した化合物を適用すると、紫の発色を示したが、フルカラー表示として要求されるマゼンタの発色は得られなかった。
また、多孔質電極への色素の吸着濃度が少ないと、上記実施例に比較すると発色濃度が薄くなり、多数回動作によって、発色濃度の低下が大きく、安定な表示を行うことができなかった。
有機EC色素として、上記一般式(3)に示した化合物を適用した。なお、この場合、一般式(3)中のX-は、Cl-であるものとする。
これを図1に示すエレクトロクロミック装置の表示電極構造体11を構成する多孔質電極4に吸着させた。
このエレクトロクロミック装置の、表示電極と対向電極の間に、−1.5Vを印加すると、マゼンタ〜紫の発色を示した。表示変更の応答速度は約180msであった。また、電極間に0.5Vを印加すると再び直ちに消色し、透明となった。表示変更の応答速度は約60msであった。
表示電極の有機EC色素溶液への浸漬時間を1時間、6時間、24時間と変更させて、それぞれ表示電極と対向電極の間に、−1.5Vの電圧を印加したときの発色の濃度について測定を行ったところ、図6の可視吸収スペクトルに示すように、浸漬時間に応じて発色の濃度の変化が見られ、かつスペクトル形状が変化した。
図6に示すように、吸収波長幅がブロードであり、鮮鋭な色表示を行うという点において、上記実施例の場合に劣っている。また、有機EC色素溶液への浸漬時間によって吸収波長にずれが生じており、安定した発色が得られなかったことが解った。
また、この例におけるエレクトロクロミック装置の表示電極と対向電極の間に、−1.5Vと0.5Vを交互に1Hzで100万回印加した前後の可視吸収スペクトルを測定し、その結果を図7に示す。
これによると、100万回電圧印加を繰り返した後においては、初期状態と明らかにスペクトル形状に変化が生じており、多数回使用により発色状態が不安定になることが確かめられた。
図6、7から明らかなように、有機EC色素として、一般式(3)に示した化合物を適用すると、マゼンタ〜紫の発色を示したが、フルカラー表示として要求される明瞭なマゼンタの発色は得られなかった。
また、多孔質電極への色素の吸着濃度が少ないと、上記実施例に比較すると発色濃度が薄くなり、多数回動作によって、発色濃度の低下が大きく、安定な表示を行うことができなかった。
Claims (2)
- 支持基板上に、少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極同士が対面するように、電解質層を挟持して配置されており、
前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、少なくとも下記一般式(1)で示されるビピリジン化合物が吸着されている多孔質電極が形成されており、
前記一対の電極構造体に、電圧を印加することにより、マゼンタの可逆的な発消色を行うことを特徴とするエレクトロクロミック装置。
但し、前記一般式(1)において、a、bはa×b=4を満たす整数であり、Xb−は適宜のb価アニオンを表している。
Y1〜Y4、Z1〜Z4は、水素原子か、あるいは、脂肪族炭化水素基、エーテル基、アシル基、ハロゲン基又はシアノ基、エステル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、芳香族炭化水素基を表し、Y1〜Y4、Z1〜Z4のうち少なくともひとつ以上は、多孔質電極へ吸着するための吸着基である。 - 前記多孔質電極が、メソポーラス形状、粒子状、ロット形状、ワイヤ形状の、金属、半導体材料、あるいは導電性高分子により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック装置。
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