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JP2007115829A - マスク搬送装置、マスク搬送方法、及び露光方法 - Google Patents

マスク搬送装置、マスク搬送方法、及び露光方法 Download PDF

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JP2007115829A JP2005304601A JP2005304601A JP2007115829A JP 2007115829 A JP2007115829 A JP 2007115829A JP 2005304601 A JP2005304601 A JP 2005304601A JP 2005304601 A JP2005304601 A JP 2005304601A JP 2007115829 A JP2007115829 A JP 2007115829A
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Abstract

【課題】 装置の低コスト化及び処理の高速化を図る。
【解決手段】 レチクル搬送装置のセンサユニット3において基準部材32を用いてレチクルRを外形基準で機械的に所定の基準に整合させて、レチクルRのマークRMを計測することによりパターンの描画誤差を求めておく。また、レチクルステージRST上においても、基準部材82を用いてレチクルRを外形基準で機械的に所定の基準に整合させるとともに、求めておいたパターンの描画誤差を相殺するようにレチクルステージRSTを移動させた後に、レチクルアライメントを実施する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、マスクを搬送するマスク搬送方法及び装置、並びにこれらを用いた露光方法に関する。
半導体素子の製造工程の1つであるフォトリソグラフィ工程においては、露光処理、現像処理、及び各種のウエハ処理が繰り返し行われる。上記の露光処理は、露光装置を用いてマスクやレチクル(以下、これらを総称する場合にはマスクという)に形成されたパターンを、フォトレジスト等の感光剤が塗布されたウエハ(基板)に転写する処理であり、現像処理は露光処理を終えたウエハ上の感光剤を現像してウエハ上にレジストパターンを形成する処理である。また、上記のウエハ処理は、例えばレジストパターンの形状にウエハをエッチングする処理、ウエハに不純物をドープする処理、ウエハ上に配線を形成する処理、その他の処理である。
上記の露光処理、現像処理、及び各種のウエハ処理を行うことによりウエハ上には1つの層(レイヤ)が形成される。一般的に半導体素子は、複数のマスクを交換しながら上記露光処理、現像処理、及び各種のウエハ処理を数回〜数十回程度繰り返し行い、複数のレイヤを重ね合わせることにより製造される。このため、露光処理に用いられる露光装置は、複数のマスクを収納する収納装置と、該収納装置に収納されたマスクを適宜に取り出し、露光装置が備えるマスクステージ上に自動搬送するマスク搬送装置とを備えている。なお、従来のマスク搬送装置の詳細については、例えば以下の特許文献1を参照されたい。
ところで、マスクステージは、搬送装置により搬入されたマスクの位置及び姿勢(マスク面内における回転)を検出してその補正(アライメント)を行うためのアライメント装置を備えている。このアライメント装置は、マスクに形成されたマークを光学的に検出してマスクステージ上におけるマスクの位置及び回転を示す情報を計測する計測装置を備えており、この計測装置の計測結果に基づいてマスクステージが駆動されてマスクの位置及び姿勢の補正が行われる。
マスクステージ上に搬入されたマスクに形成されたマークがマスクステージのアライメント装置が備える計測装置の計測視野内に配置されている状態であれば、マークの検出結果からマスクの位置及び姿勢を補正することができる。しかしながら、マスクの位置及び姿勢の補正は高精密に行う必要があり、従ってマークの計測を高倍率のカメラ(センサ)、即ち計測視野の小さいセンサを用いて行う必要があるため、マスクのマークが計測装置の計測視野内に入らないことがあり、この状態では、計測装置でマークを検出することができない。このため、従来は、マスクステージとして、その可動範囲の大きなものを採用するとともに、計測装置として、低倍率でマークを計測するラフ計測用カメラと高倍率でマークを計測するファイン計測用カメラの二つのカメラを備えたものを採用し、低倍率でラフな計測を行ってマークがファイン計測用カメラの計測視野内に入る程度にマスクの位置及び姿勢を調整した後に、ファイン計測用カメラを用いて高倍率で精密な位置及び姿勢を計測するようにしている。このように、従来技術では、マスクステージの可動範囲が大きいとともに、アライメント装置も二つのカメラを要するため、マスクステージや計測装置の構成が複雑化し、高コストとなるとともに、ファイン計測の前にラフ計測を行う必要があるため、アライメントに長時間を要するという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、装置の低コスト化及び処理の高速化を図ることを目的とする。
特開平10−163094号公報
本発明によると、マスク収納部に収納されたマスクを、該マスクを用いる搬送先装置に搬送するマスク搬送装置であって、前記マスク収納部から取り出された前記マスクを一時的に載置する載置台と、前記載置台上に載置された前記マスクの端部と所定の基準部材とを当接させて、前記載置台上における前記マスクを該基準部材により規定される基準に整合させる調整装置と、前記マスク上に描画されたパターンの描画誤差情報を取得するために、前記調整装置により前記マスクが前記基準に整合されている状態下で、該マスク上に形成された基準マークを光学的に計測する計測装置と、前記得られた前記描画誤差情報に基づいて、前記搬送先装置内での前記マスクの位置調整を行う制御装置と、を有するマスク搬送装置が提供される。
本発明では、マスクの外形を基準としてマスクに形成されているパターンの描画誤差を搬送先装置に搬送する前に取得し、搬送先装置において、この描画誤差情報に基づいて当該マスクの位置調整を行うようにしたので、マスクの可動範囲を小さくできるとともに、大きい計測視野の計測装置を用いることなく小さい計測視野の計測装置を用いることができ、従って、装置の低コスト化、処理の高速化を達成することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、最初に露光装置の全体構成を概説し、次いでマスク搬送装置としてのレチクル搬送装置について詳細に説明する。
[露光装置]
図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成を模式的に示す正面図である。図1に示す露光装置は、投影光学系PLに対してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期移動させつつレチクルRに形成されたパターンをウエハW上に逐次転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。なお、以下の説明においては、図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。図1中に示すXYZ直交座標系は、XY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。X軸に沿う方向がスキャン方向(走査方向)である。
図1において、照明光学系ILは、ArFエキシマレーザ光源(波長193nm)等の光源から射出されるレーザ光の断面形状をY方向に伸びるスリット状に整形するとともに、その照度分布を均一化して照明光として射出する。なお、本実施形態では、光源としてArFエキシマレーザ光源を備える場合を例に挙げて説明するが、これ以外にg線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、Fレーザ(波長157nm)、その他の光源を用いることができる。
レチクルRは、レチクルステージRST上に吸着保持されており、レチクルステージRST上の一端にはレチクル用干渉計システムIFRからの測長用ビームBMrが照射される移動鏡MRrが固定されている。レチクルRの位置決めは、レチクルステージRSTを光軸AXと垂直なXY平面内で並進移動させるとともにXY平面内で微小回転させるレチクル駆動装置DRによって行われる。このレチクル駆動装置DRは、レチクルRのパターンをウエハW上に転写する際には、レチクルステージRSTを一定速度でX方向に走査する。レチクルステージRSTの上方には、レチクルRの周辺の2箇所に形成されたレチクルアライメント用のマークRM(図4(c)参照)を光電検出するアライメント系OB1,OB2が設けられている。アライメント系OB1,OB2の検出結果は、レチクルRを照明光学系IL又は投影光学系PLの光軸AXに対して所定の精度で位置決めするために使用される。
レチクルステージRSTは、装置本体のコラム構造体の一部を構成するレチクルステージベース構造体CL1上に移動可能に保持され、レチクル駆動装置DRのモータ等もベース構造体CL1上に取り付けられる。そして、レチクルRの位置変化を計測するレチクル用干渉計システムIFRのビーム干渉部分(ビームスプリッタ等)もベース構造体CL1に取り付けられる。干渉計システムIFRは、レチクルステージRST上の一端に取り付けられた移動鏡MRrに測長用ビームBMrを投射し、その反射ビームを受光してレチクルRの位置変化を計測する。
レチクルRに形成されたパターンの像は、レチクルステージRSTの直下に配置された投影光学系PLを介してウエハW上に1/4又は1/5の投影倍率で結像投影される。投影光学系PLの鏡筒はコラム構造体の一部を構成するレンズベース構造体CL3に固定され、このレンズベース構造体CL3は複数本の支柱構造体CL2を介してレチクルベース構造体CL1を支持している。なお、図1に示したレチクル用干渉計システムIFRでは測長用ビームBMrの反射ビームが投影光学系PLの上部に固定された参照鏡FRrで反射してきた参照ビームと干渉するような構成とするが、参照鏡をレチクルベース構造体CL1側に固定した構成の干渉計システム又は参照鏡自体を内蔵した干渉計システムであってもよい。
投影光学系PLはレンズ等の複数の光学素子を有し、その光学素子の硝材としては照明光学系ILから射出される照明光の波長に応じて石英、蛍石等の光学材料から選択される。なお、投影光学系PLに設けられる光学素子のうちのいくつかは、光軸AX方向及び光軸AXと交差する方向に移動可能に構成されているとともに、姿勢(光軸AXに対する角度)が調整可能に構成されており、これらの光学素子の位置又は姿勢を調整することで投影光学系PLの倍率、収差等の光学特性が調整可能となっている。
レンズベース構造体CL3は、ウエハWを載置してXY平面に沿って2次元移動するウエハステージWSTが搭載されるウエハベース構造体CL4上に取り付けられている。このウエハステージWSTには、図示は省略しているが、ウエハWを真空吸着するウエハホルダと、このウエハホルダをZ方向(光軸AX方向)に微小移動させるとともに微小傾斜させるレベリングテーブルとが設けられている。
ウエハステージWSTのXY平面内での移動座標位置とヨーイングによる微小回転量とは、ウエハ用干渉計システムIFWによって計測される。この干渉計システムIFWは、レーザ光源LSからのレーザビームをウエハステージWSTのレベリングテーブルに固定された移動鏡MRwと、投影光学系PLの最下部に固定された固定鏡FRwとに投射し、各鏡MRw、FRwからの反射ビームを干渉させてウエハステージWSTの座標位置と微小回転量(ヨーイング量)とを計測する。
また、ウエハステージWSTのレベリングテーブル上には、各種のアライメント系、フォーカスセンサ、及びレベリングセンサのキャリブレーションとベースライン量の計測とに用いられる基準板FMも取り付けられている。この基準板FMの表面には、露光波長の照明光のもとでレチクルRのマークRMとともにアライメント系OB1,OB2で検出可能な基準マークが形成されている。
なお、上記の各種のアライメント系としては、ウエハWに形成されたアライメントマークの位置情報を計測するオフ・アクシス型のアライメントセンサを例示できる。また、フォーカスセンサは投影光学系PLの像面に対するウエハWの表面のずれ量を計測するセンサであり、レベリングセンサはウエハWの表面の姿勢(傾斜)を計測するセンサである。ベースライン量とは、ウエハW上に投影されるレチクルのパターン像の基準位置(例えば、パターン像の中心位置)とアライメントセンサの計測視野中心との距離を示す量である。
[レチクル搬送装置]
図2は、本発明の実施形態に係るレチクル搬送装置の構成を示す斜視図である。図2に示すレチクル搬送装置は、略正方形状のレチクルRを複数収納するレチクルケース1a,1bからレチクルRを取り出してレチクルステージRST上に搬送するとともに、レチクルRST上のレチクルRをレチクルケース1a,1bに搬送する装置であり、レチクル搬送ロボット2、センサユニット(アライメントステージ)3、バッファ4、置き台6、及び旋回アーム7を含んで構成されている。
図3は、レチクルケース及び収納分離ユニットの構成を示す正面図である。なお、レチクルケース1a,1b及びこれらにそれぞれ対応する収納分離ユニット14は同一構成であるため、ここではレチクル1a及びこれに対応する収納分離ユニット14を例に挙げて説明する。
レチクルケース1aは、SMIF(Standard of Mechanical InterFace)型のケース(いわゆるスミフポッド)であって、底部側が開口するカバー11、カバー11の開口を開閉自在とするようにカバー11に取り付けられる底板12、底板12上に配設された保持棚13、及びカバー11の内部に保持棚13を収容した状態でカバー11と底板12とを解除可能に固定するためのロック機構(不図示)を備えている。なお、図3においては、ロックが解除されてカバー11と底板12及び保持棚13とが分離された状態が示されている。保持棚13には複数段(図3に示す例では6段)の棚が設けられており、これらの棚の各々にレチクルRが水平に挿入保持される。
レチクルケース1aは、スミフポートSP(図2参照)に配置されたポートベース板10上に設けられた収納分離ユニット14に載置される。収納分離ユニット14の上部には、レチクルケース1aを受容保持する取付部15が支柱17で支持固定されることにより、取付部15の下方に空間16が画成されている。取付部15には、取り付けられたレチクルケース1aのカバー11と底板12とのロックを解除する機構(不図示)が設けられているとともに、底板12及び保持棚13を通過させるための開口15aが設けられている。また、収納分離ユニット14は、ボールネジ機構等により上下に駆動される移動板18を有する上下移動機構を備えており、カバー11とのロックが解除された底板12及び保持棚13は、移動板18により支持されて空間16内で上下移動されるようになっている。なお、このときカバー11は取付部15に取り付けた状態のまま残される。
ここで、レチクル搬送装置によって搬送されるレチクルRについて説明する。図4は、レチクルRの一例を示す図であって、図4(a)は斜視図、図4(b)は図4(a)中のA−A線に沿った断面図、図4(c)は平面図である。レチクルRには透明ガラス基板の一方の面にクロム等を用いてパターンが形成されており、このパターンが形成された面(以下、レチクル面という)に透明なペリクルPRが架設されている。ペリクルPRは、塵又は埃等の異物がレチクル面に付着するのを防止することで露光時に異物の像がウエハWの表面に結像するのを防止するために設けられる。
また、図4(c)に示す通り、レチクル面のパターンが形成されているパターン形成領域PAの外側であって、ペリクルPRが架設されている領域の内側には位置計測用のマークRMが2つ形成されている。図4(c)に示すマークRMは大きさが異なる2つの正方形パターンと十字パターンとを組み合わせたものである。これらのマークRMは、図1に示すアライメント系OB1,OB2を用いてレチクルステージRST上におけるレチクルの位置及び回転を計測するときに用いられ、また図2に示すセンサユニット3上において、外形を基準としたパターンの描画誤差を計測するときに用いられる。また、レチクルRのパターン領域PAの外側には、当該レチクルRの識別情報等が設定されたバーコードBCが形成又は貼付されている。バーコードBCとしては、1次元コード、2次元コード、若しくはその他のコード又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。なお、バーコードBCはレチクルRの側面に形成又は貼付される場合もある。
図2に戻り、レチクル搬送ロボット2は、ベース20上に設置された多関節ロボットであり、縦軸スライダ21に沿ってZ軸方向に移動する縦軸移動部22、縦軸移動部22に回転可能に支持された回転移動部23、回転移動部23に回転可能に支持された回転移動部24、及び回転移動部24に回転可能に支持されたフォーク部25から構成されている。
このレチクル搬送ロボット2は収納分離ユニット14のレチクルRをレチクルステージRSTに搬送する場合には、収納分離ユニット14から特定のレチクルRを取り出すとともに、取り出したレチクルRをセンサユニット3に搬送する。また、センサユニット3からバッファ4へ、バッファ4から置き台6へ順にレチクルRを搬送する。また、旋回アーム7によってレチクルステージRSTから置き台6にレチクルRが搬送された場合には、置き台6上に載置されたレチクルRをバッファ4又は収納分離ユニット14に搬送する。
センサユニット3は各種の機能を併せ持つ多機能ユニットであり、この実施形態では、レチクルRの位置及び姿勢を外形基準で機械的に所定の基準に整合させるメカアライメント機能、レチクルRに形成されているアライメントマークRMを計測することにより、レチクルRに形成されているパターンの描画誤差を計測する描画誤差計測機能、レチクルRのバーコードBCを読み取るバーコード読取機能、レチクルRの表面への異物の付着の有無を検出する異物検出機能等を有している。また、センサユニット3はステージ3aを備え、このステージ3a上には、レチクルRを下方から支持する4本の支持部31が配設されている。これら支持部31の上部には吸着口が設けられており、レチクルRを真空吸着できるようになっている。ステージ3aは、ここでは後述する異物検出装置33との関係でY方向に移動可能に構成されたステージである。なお、ステージ3aは移動できないタイプのものでもよく、あるいはXY平面内において移動及び回転可能に構成されたタイプでもよい。
ステージ3a上には、X方向に直交する押圧面とY方向に直交する押圧面とを有する略くの字状の基準部材(メカニカルガイド)32が設けられている。この基準部材32はXY平面内においてX又はY方向に対して45度の角度で不図示のガイドに沿ってスライド可能に構成されており、不図示の駆動装置により駆動されるようになっている。基準部材32は、進出した状態で所定の基準位置に位置決めされ、退去した状態で所定の待避位置に位置されるようになっている。支持部31上に載置されたレチクルRの4つの側面のうち−X方向側の側面と−Y方向側の側面に基準部材32の各押圧面をそれぞれ当接させて、当該基準位置まで移動させることにより、レチクルRのXY面内における位置及び姿勢が機械的に補正される。この機械的補正(メカアライメント)は、支持部31によるレチクルRの真空吸着を解除した状態で行われる。なお、基準部材32によりレチクルRの位置及び姿勢を補正する際に、レチクルRの対応する側面が基準部材32の各押圧面に正確に沿って位置するようにするため、レチクルRの4つの側面のうち+X方向側の側面と+Y方向側の側面を−X方向及び−Y方向に押圧するように付勢する押圧ピン又は当該側面に当接するように固定ピンをそれぞれ設けてもよい。これらの押圧ピン又は固定ピンに代えて、基準部材32と同様の形状の押圧部材又は固定部材をレチクルRの対角線上の該基準部材32と点対称な位置に設けてもよい。
ステージ3aの上方(+Z方向)には、支持部31上に載置されたレチクルRのマークRMに対して照明光を照射する照明装置34a,34bが設けられている。ステージ3a上における照明装置34a,34bからの照明光が照射される位置には照明光を透過させる透光孔34c,34dが形成されており、透光孔34c,34dの下方(−Z方向)には透光孔34c,34dを介してマークRMを光学的に計測する計測装置36が設けられている。
この計測装置36は、透光孔34c,34dを介した照明光を集光する光学系と、光学系で集光された照明光を受光するCCD等の撮像素子と、撮像素子から出力される画像信号を画像処理する画像処理装置を備えている。画像処理装置が撮像素子からの画像信号を画像処理することによりマークRMの位置が計測され、この計測されたマークRMの位置情報は後述するレチクル搬送制御装置90に送られる。レチクル搬送制御装置90は、送られた(計測された)マークRMの位置情報及びマークRMの設計値情報に基づいて、パターンの描画誤差を算出する。なお、パターンの描画誤差は、例えば、図4(c)において、レチクルRの側辺E1と側辺E2の交差する点を原点Oとし、側辺E1をX軸又は側辺E2をY軸とするXY直交座標系を基準とし、一方のマークRMの設計値(x、y)からのX及びY方向のズレ量(dx、dy)と、一方のマークRM及び他方のマークRMの中心を結ぶ線とX軸とのなす角度(dθ)で表現することができる。
レチクルRは、支持部31上において、基準部材32によって外形基準で基準位置に正確に位置決めされているので、レチクルRのマークRMが計測装置36の計測視野内に入らずにマークRMの計測を行うことができないということはない。なお、計測装置36の計測視野の大きさ(光学系の倍率)は、基準部材32によるメカアライメントの精度と、レチクルRの外形を基準としたパターンの描画誤差の最大許容値との関係で、計測視野内にマークRMが入るように設定される。
ステージ3aの近傍には、レチクルRに形成又は貼付されたバーコードBCを読み取るためのバーコードリーダ35が設けられている。レチクルRの各々には互いに異なるバーコードが貼付されており、このバーコードを読み取ることでレチクルRを特定することができる。なお、各レチクルRに関する情報(形成されているパターンの種類、透過率、平坦度等を示す情報)とバーコードとを対応させた情報を、露光装置を制御する主制御系100(図5参照)又はさらに上位のホストコンピュータ103(図5参照)にデータベース化しておくことで、レチクルRのバーコードを読み取るだけで、露光処理を行う上で必要となるレチクルRに関する情報が得られる。
また、ステージ3aの近傍には、異物検出装置33が設けられている。異物検出装置33は、支持部31上に載置されたレチクルRの表面又はペリクルPRに付着している塵若しくは埃等の異物又は傷の有無を検出するものである。この異物検出装置33は、例えばレチクルRの表面又はペリクルの表面に斜め方向から検出光を照射し、得られる散乱光を受光して異物の有無、異物の大きさ、又はその分布を検出する。この実施形態では、異物検出装置33は、レチクルRの表面に検出光を射出する光源とレチクルRの表面での散乱光を受光する受光センサ(光学系を含む)を固定とし、ステージ3aをY方向に移動させることにより、レチクルRの表面の全面を検出できるようにしている。この構成では、レチクルRのペリクル面(裏面)を検査する場合には、レチクル搬送ロボット2によって、支持部31上のレチクルRを裏返すことにより行うことができる。なお、レチクルRの表面及び裏面を同時に検査するため、該光源及び該受光センサ等と同様のものを該裏面側にも設けるようにしてもよい。また、ステージ3aを移動するのではなく、該光源及び該受光センサ等をY方向に移動する構成としてもよい。さらに、異物検出すべきレチクルRをステージ3aにより移動するのではなく、レチクル搬送ロボット2のフォーク部25に保持せしめて、該レチクル搬送ロボット2によりY方向に移動するようにしてもよい。
バッファ4は、ステージ3aの下方(−Z方向)に設けられており、その一側面に開閉自在な扉41,42が設けられているとともに、その内部に複数(十数個程度)の収納棚が配設されている。このバッファ4は、センサユニット3で位置及び姿勢が補正された複数のレチクルRを一時的に収納し、レチクルRを露光装置内部の環境にならすため(なじませるため)に設けられている。なお、バッファ4の位置はステージ3の下方には限られず、センサユニット3の側方又はその他の場所であってもよい。
置き台6は、センサユニット3における、レチクルRの機械的位置補正(メカアライメント)、マークRMの計測、バーコードBCの読み取り、及び異物検出を終えて、レチクル搬送ロボット2によって搬送されてきたレチクルR、又は後述する旋回アーム7によってレチクルステージRSTから搬送されてきたレチクルRを一時的に載置するための台、即ちレチクル搬送ロボット2と旋回アーム7との間でレチクルRを受け渡すための台である。置き台6は、レチクルRを支持するための4個の支持部61を有している。
旋回アーム7は、旋回モータ71、中心が旋回モータ71の回転軸に取り付けられた旋回板72、及び旋回板72の両端部にそれぞれ取り付けられた2つの保持部73a,73bとから概略構成されており、保持部73a,73bの少なくとも一方でレチクルRを保持して置き台6とレチクルステージRSTとの間でレチクルRを搬送する。これら旋回モータ71、旋回板72、及び保持部73a,73bは、上下駆動機構UDによって一体的にZ方向に移動可能に構成されている。旋回モータ71の回転軸はZ方向に平行な方向に設定され、保持部73aと保持部73bとの中間位置に設定されている。
保持部73aは、第1アーム部74aと第2アーム部74bとを備えている。これら第1アーム部74a及び第2アーム部74bは、回転板72の一端に取り付けられたスライダ75によってそれぞれY方向に沿って平行移動可能に構成されている。スライダ75は、第1アーム部74aと第2アーム部74bとを互いに逆向きに同じ距離だけ移動させることで、第1アーム部74aと第2アーム部74bとの間隔を変更して開閉動作をさせる。第1アーム部74aは、搬送するレチクルRを下方(−Z方向)から支持する4個の支持部をそれぞれ備えている。これらの支持部の上部には吸着口が設けられており、レチクルRを選択的に真空吸着できるようになっている。なお、保持部73bは保持部73aと同様の構成であるため説明を省略する。
図示は省略しているが、レチクルステージRSTのほぼ中央部には、レチクルRを透過した露光光を透過させる矩形形状の開口が形成されている。この開口部の四隅のそれぞれの近傍には、レチクルRを支持する4個の支持部81が配設されている。支持部81の各々にはレチクルRを真空吸着するための吸着口が形成されている。
レチクルステージRST上には、X方向に直交する押圧面とY方向に直交する押圧面とを有する略くの字状の基準部材(メカニカルガイド)82が設けられている。この基準部材82はXY平面内においてX又はY方向に対して45度の角度で不図示のガイドに沿ってスライド可能に構成されており、不図示の駆動装置により駆動されるようになっている。基準部材82は、進出した状態で所定の基準位置に位置決めされ、退去した状態で所定の待避位置に位置されるようになっている。支持部81上に載置されたレチクルRの4つの側面のうち−X方向側の側面と−Y方向側の側面に基準部材32の各押圧面をそれぞれ当接させて、当該基準位置まで移動させることにより、レチクルRのXY面内における位置及び姿勢が機械的に補正される。この機械的補正(メカアライメント)は、支持部81によるレチクルRの真空吸着を解除した状態で行われる。
なお、基準部材82によりレチクルRの位置及び姿勢を補正する際に、レチクルRの対応する側面が基準部材82の各押圧面に正確に沿って位置するようにするため、レチクルRの4つの側面のうち+X方向側の側面と+Y方向側の側面を−X方向及び−Y方向に押圧するように付勢する押圧ピン又は当該側面に当接するように固定ピンを設けてもよい。これらの押圧ピン又は固定ピンに代えて、基準部材82と同様の形状の押圧部材又は固定部材をレチクルRの対角線上の該基準部材82と点対称な位置に設けてもよい。なお、この基準部材82(及びその駆動機構等)としては、基準部材32(及びその駆動機構等)と全く同一の構成のものを用いることが望ましい。なお、基準部材82として、基準部材32と異なる構成のものを採用してもよいが、この場合には、基準部材32のレチクルRに対する当接部と同一の部分に当接するものを採用することが望ましい。
レチクルステージRSTの上方(+Z方向)には、支持部81上に載置されたレチクルRのマークRMを計測するためのアライメントセンサ84a,84bが配置されている。これらのアライメントセンサ84a,84bはアライメント系OB1,OB2内に設けられている。
次に、以上説明したレチクル搬送装置を含む露光装置の制御系の主要部について、図5に示すブロック図を参照して説明する。なお、図5においては、図2〜図4に示した構成に相当するものには同一の符号を付してある。図5中のレチクル搬送制御装置90はレチクル搬送装置の動作を一括して制御する装置である。このレチクル搬送制御装置90は、露光装置全体の動作を統括制御する主制御系100の下位に位置し、主制御系100の制御の下でレチクル搬送装置の動作を制御する。レチクル搬送制御装置90には計測装置36の計測結果、異物検出装置33の検出結果、及びバーコードリーダ35で読み取られたバーコード情報が入力される。記憶装置91には、レチクル搬送制御装置90がレチクル搬送装置の制御を行う上で必要となる情報が記憶されている。
また、図5に示すロボット駆動装置92はレチクル搬送ロボット2を駆動する装置であり、基準部材駆動装置93は基準部材32の動作(進退)を行わせる装置であり、ステージ駆動装置94はセンサユニット3のステージ3aを駆動する装置であり、旋回アーム駆動装置95は旋回アーム7を駆動する装置である。レチクル搬送制御装置90は、これらの装置の各々に対して制御信号を出力してレチクル搬送装置全体の動作を制御する。また、基準部材駆動装置102は基準部材82の動作(進退)を行わせる装置であり、ステージ駆動装置DRはレチクルステージRSTを駆動する装置である。レチクルステージ制御装置101は、これらの装置の各々に対して制御信号を出力してレチクルステージRST上におけるレチクルRのアライメント動作及びステージの移動を制御する。
次に、レチクル搬送動作について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。レチクルRを収納したレチクルケース1a,1bの少なくとも一方が収納分離ユニット14に載置された状態でレチクル搬送制御装置90からロボット駆動装置92に制御信号が出力されると、レチクル搬送ロボット2は、収納分離ユニット14からレチクルRを1つ取り出してセンサユニット3のステージ3a上に搬送し、レチクルRをステージ3aの4個の支持部31上に載置する(S10)。この段階では、支持部31によるレチクルRの吸着は行わない。次いで、基準部材駆動装置93により基準部材32が進出され、所定の基準位置で停止される。これにより、レチクルRの側面が基準部材32の押圧面により押され、レチクルRの移動に伴い、レチクルRの対応する側面(−X側の側面、−Y側の側面)が基準部材32の対応する押圧面に正確に沿うことにより、レチクルRの位置及び姿勢が所定の基準に整合される(S11)。
次いで、照明装置34a,34bから照明光が射出されてレチクルRに照射され、レチクルRを透過した照明光が透光孔34c,34dを通過して計測装置36に設けられた撮像素子で受光される。レチクルRに形成されたマークRMの光学像の各々が撮像素子の受光面に結像し、それらの光学像が画像信号に変換されて撮像素子から出力される。撮像素子から出力された画像信号は計測装置36に設けられた画像処理装置で画像処理され、各マークRMの位置情報が計測される(S12)。これらの位置情報計測結果はレチクル搬送制御装置90に出力され、レチクル搬送制御装置90は各々の位置情報計測結果に基づいて、レチクルRに形成されたパターンの描画誤差(基準に対するX方向の位置ズレ量dx、Y方向の位置ズレ量dy、及び回転量dθ)を算出する。この描画誤差は、後述するレチクルアライメントで用いるため、レチクルステージ制御装置101に送られる。なお、計測装置36で計測されたマークRMの位置情報をレチクル搬送制御装置90からレチクルステージ制御装置101に送り、レチクルステージ制御装置101でレチクルRのパターンの描画誤差を算出するようにしてもよい。また、103はこの露光装置を含む製造ライン又は該製造ラインを複数含む製造工場全体を統括的に管理するホストコンピュータであり、計測装置36で計測されたマークRMの位置情報をホストコンピュータ103又は主制御系100に送るようにして、ホストコンピュータ103又は主制御系100でパターンの描画誤差を算出し、この算出結果をレチクルステージ制御装置101に送るようにしてもよい。
次に、バーコードリーダ35によってステージ3a上のレチクルRに形成又は貼付されたバーコードBCが読み取られて、当該読取結果はレチクル搬送制御装置90を介して主制御系100に送られる(S13)。なお、ここでは、バーコードリーダ35はレチクルRがステージ3a上で静止した状態でバーコードを読み取るものとして説明したが、バーコードリーダ35として、例えばX方向に長手方向が設定されたラインセンサを用い、ステージ3aをY方向に移動することにより読み取るようにしてもよい。この場合には、レチクルRを支持部31で吸着保持した状態で行う。
次に、異物検出装置33により、レチクルRの表面に異物が付着しているか否かが検出される(S14)。この検出は、光源からレチクルRの表面に斜め方向から検出光を照射し、その表面からの散乱光を受光センサにより受光しつつ、ステージ3aをY方向に移動させて、レチクルRの表面の全面に渡るデータを収集することにより行われる。収集されたデータから、異物の有無が判定され、異物が存在する場合には該異物の大きさ又はその分布が求められる。この検出結果はレチクル搬送制御装置90を介して主制御系100に送られ、異物が発見された場合にはオペレータに通知する処理などが行われる。ステージ3aの移動はレチクルRを支持部31で吸着保持した状態で行う。なお、バーコードBCの読み取りのために、ステージ3aを移動する場合には、バーコードBCの読取動作と異物検出を同時並列的に行うようにしてもよい。
異物検出が終了すると、レチクル搬送制御装置90からロボット駆動装置92に制御信号が出力され、レチクル搬送ロボット2によってレチクルRがセンサユニット3から搬出され、バッファ4の収納棚の1つに収納される(S15)。レチクルケース1a,1bに複数のレチクルRが収納されている場合には、以上の動作が繰り返し行われ、レチクルRの各々がセンサユニット3にて上述した各種の処理を行われた後、バッファ4の収納棚に収納される。バッファ4の内部は環境(温度及び湿度)が調整されているため、レチクルRを一時的にバッファ4に収納することで、各レチクルRを露光装置内部の環境にならす(なじませる)ことができる。
レチクルRのバッファ4への格納が終了した後において、主制御系100から露光開始命令が出力されると、レチクル搬送制御装置90は記憶装置91に記憶された情報を読み出して、主制御系100から指示された露光処理に最初に用いるレチクルRが収納されているバッファ4の収納棚を示す情報を得る。そして、レチクル搬送制御装置90は、制御信号をロボット駆動装置92に出力し、読み出した情報で示される収納棚に収納されたレチクルRをレチクル搬送ロボット2に取り出させて、置き台6上に載置する(S16)。
次に、置き台6に載置されたレチクルRは、旋回アーム7によりレチクルステージRSTに搬送される(S17)。まず、保持部73a,73bの一方(ここでは73aとする)を置き台6の上方に位置させ、第1及び第2アーム部74a,74bをX方向に互いに離間する方向に開いた状態で、上下駆動機構UDによって旋回モータ71、旋回板72、及び保持部73a,73bを一体的に−Z方向に移動させて、保持部73aがレチクルRを保持できる位置まで降下させる。次いで、第1及び第2アーム部74a,74bを互いに近接する方向に移動させた後、上下動機構UDによって旋回モータ71、旋回板72、及び保持部73a,73bを一体的に+Z方向に移動させる。このとき、レチクルRが置き台6の支持部61から保持部73aの支持部に移載された時点で、保持部73aの支持部によるレチクルRの吸着を行う。
レチクルRが所定の高さ位置になるまで上下駆動機構UDを駆動すると、次に旋回モータ71が駆動されて旋回アーム7が旋回し、レチクルRを保持する保持部73aが受け渡し位置に配置されたレチクルステージRSTの上方(+Z方向)に配置される。次いで、上下駆動機構UDによって旋回モータ71、旋回板72、及び保持部73a,73bを一体的に−Z方向に移動させる。上下駆動機構UDの駆動によって保持部73aがレチクルステージRSTに近接すると、保持部73aによるレチクルRの吸着が解除され、レチクルRはレチクルステージRSTの支持部81に載置される。第1及び第2アーム部74a,74bがレチクルRに干渉しない程度に降下された後、第1及び第2アーム部74a,74bが互いに離間する方向に移動され、上下駆動機構UDによって旋回モータ71、旋回板72及び保持部73a,73bを一体的に+Z方向に移動させて所定の高さ位置に配置する。以上の動作によってレチクルRが保持部73aからレチクルステージRSTに受け渡される。
レチクルRの受け渡しが完了すると、レチクルステージ制御装置101は、基準部材駆動装置102に基準部材82の基準位置への進出動作を指令する。これに応じて基準部材82が進出され、所定の基準位置で停止される。これにより、レチクルRの側面が基準部材82の押圧面により押され、レチクルRの移動に伴い、レチクルRの対応する側面(−X方向側の側面、−Y方向側の側面)が基準部材82の対応する押圧面に正確に沿うことにより、レチクルRの位置及び姿勢が外形基準で所定の基準に整合される(S18)。その後、基準部材82は退去される。次に、レチクルステージ制御装置101は、レチクル搬送制御装置90から受け取っていた描画誤差情報に基づき、当該描画誤差を相殺するようにステージ駆動装置DRに指令する(S19)。即ち、描画誤差情報が(dx,dy,dθ)である場合には(−dx,−dy,−dθ)だけレチクルステージRSTが移動及び回転される。これにより、レチクルRのマークRMがアライメントセンサ84a,84bの計測視野内に位置することになる。
これらS18及びS19の処理を図7(A)〜図7(D)を参照して説明する。旋回アーム7によりレチクルステージRST上にレチクルRが載置された状態が図7(A)に示されている。この状態は、レチクルRが正確に位置決めされていない状態なので、レチクルRのマークRMはアライメントセンサ84a,84bの計測視野MFに対して全く外れた位置に位置している。なお、レチクルステージRSTの支持部81によるレチクルRへの吸着は、この時点ではなされていない。次いで、図7(B)に示されているように、基準部材82が所定の基準位置まで進出されることにより、レチクルRの位置が機械的に補正され、レチクルRの外形は該基準に整合した状態となるが、パターンの描画誤差が存在する場合には、やはりレチクルRのマークRMはアライメントセンサ84a,84bの計測視野MFから僅かではあるが外れた位置に位置している。その後、図7(C)に示されているように、基準部材82が退去されるとともに、レチクルステージRSTの支持部81によるレチクルRへの吸着が行われる。次いで、図7(D)に示されているように、パターンの描画誤差(dx,dy,dθ)を相殺するように、レチクルステージRSTがX方向に(−dx)だけ移動され、Y方向に(−dy)だけ移動され、さらにXY平面内で(−dθ)だけ回転される。これにより、レチクルRのマークRMはアライメントセンサ84a,84bの計測視野MFに入り、アライメントセンサ84a,84bによる計測が可能となる。
次いで、アライメント系OB1,OB2(アライメントセンサ84a,84b)を用いてレチクルステージRST上におけるレチクルRの位置及び回転が精密に計測され、この計測結果に基づいて照明光学系IL又は投影光学系PLの光軸AXに対してレチクルRが所定の精度で位置決めされるとともに、レチクルステージRST上のレチクルRとウエハステージWSTとの相対的な位置合わせが行われる(S20)。
その後、露光処理が行われる(S21)。まず、ステージ駆動装置DRによってレチクルステージRSTが駆動されてレチクルRが露光開始位置に配置されるとともに、ウエハステージWが駆動されてウエハステージWST上に保持されたウエハWのショット領域の1つが露光開始位置に配置される。そして、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの加速が開始されて、ウエハステージWSTの速度が最大速度Vwに達するとともに、レチクルステージRSTの速度が最大速度Vr=Vw/α(αはレチクルRからウエハWへの投影倍率(例えば、α=1/4又は1/5))に達した時点で照明光学系ILから照明光が射出され、均一な照度分布を有する照明光がレチクルR上に照射され、投影光学系PLを介してウエハW上へのレチクルRのパターン転写が開始される。
レチクルステージRST及びウエハステージWSTを最大速度で同期移動(走査)させている間は投影光学系PLを介してレチクルRのパターンが逐次ウエハW上の1つのショット領域に転写される。レチクルステージRST及びウエハステージWSTを一定時間走査してそのショット領域に対するレチクルRのパターン転写が完了すると、照明光学系ILからの照明光の射出が停止されるとともに、レチクルステージRST及びウエハステージWSTが減速される。以上の処理により1つのショット領域に対する露光処理が終了する。
次いで、レチクルステージRSTの移動方向を反転するとともにウエハステージWSTを移動させて次に露光すべきショット領域を露光開始位置に配置し、次のショット領域に対する露光処理を行う。以上の動作がウエハW上に設定された全てのショット領域に対して繰り返して行われる。全てのショット領域が露光されるとウエハステージWST上のウエハWに対する露光処理が終了し、ウエハステージWST上のウエハWが露光装置から搬出されるとともに、新たなウエハWがウエハステージWST上に搬送されて同様の露光処理が行われる。以上の処理を繰り返して、例えば1ロット分のウエハWが露光される。
露光処理が終了すると、主制御系100はレチクル駆動装置DRに制御信号を出力してレチクルステージRSTを保持部73aの下方(−Z方向)の受け渡し位置に移動させるとともに、旋回アーム駆動装置95に制御信号を出力してレチクルステージRST上のレチクルRを置き台6に搬送させる(S22)。次いで、レチクル搬送制御装置90は、ロボット駆動装置92に対して制御信号を出力し、レチクル搬送ロボット2により置き台6上のレチクルRをバッファ4の収納棚(そのレチクルRが収納されていた収納棚)に搬送させる。なお、以後の工程でそのレチクルRが使用されることがない場合には、レチクル搬送ロボット2により置き台6上のレチクルRをレチクルケース1a,1bに搬送させてもよい。
次に、基準部材82及びその駆動機構の変形例について、図8(A)〜図8(D)を参照して説明する。上記の例で用いていた基準部材32は、図8(A)及び図8(B)に示されているように、XY平面内においてX方向及びY方向に対して45度の角度で進退する構成のものであった。上記の例では、レチクルステージRST上に基準部材82及びその駆動機構を設けているため問題は生じないが、高精度露光の観点から、可動部であるレチクルステージRSTはなるべく簡素であることが望ましい。このため、基準部材82及びその駆動機構をレチクルステージRST上ではなく、レチクルステージベース構造体CL1等の固定部に設けることが望ましい。この場合、図8(A)及び図8(B)に示す構成では、基準部材82がレチクルステージRSTの動作の障害となる可能性がある。そこで、この場合には、図8(C)及び図8(D)に示されているように、XY平面に対して斜め下側からレチクルRの対応する隅部を指向するようにガイドGiを設け、基準部材82をこのガイドGiに沿って斜め下方向から進退するように構成するとよい。レチクルステージRSTを移動する場合には、図8(C)に示されているように、基準部材82を退去させれば、基準部材82がレチクルステージRSTの動作の障害となることはなく、レチクルRのメカアライメントを行う場合には、図8(D)に示されているように、進出させることによりその機能を十分に発揮することが可能である。なお、基準部材82の進退方向は斜め上方向から行うように構成してもよい。また、センサユニット3の基準部材32及びその駆動機構についても、このような構成を採用してもよい。
上述した本実施形態によると、レチクル搬送装置のセンサユニット3において基準部材32を用いてレチクルRを外形基準で機械的に所定の基準に整合させて、レチクルRのマークRMを計測することによりパターンの描画誤差を求め、レチクルステージRST上においても、基準部材82を用いてレチクルRを外形基準で機械的に所定の基準に整合させるとともに、当該描画誤差を相殺するようにレチクルステージRSTを移動ないし回転させるようにしたので、レチクルステージRST上のレチクルRのマークRMを、アライメントセンサ84a,84bの計測視野内に確実に位置させることができる。このため、アライメントセンサ84a,84bとして、高倍率のもの(計測視野の狭いもの)を採用することができ、従来のように、低倍率のセンサでラフアライメント(マーク計測及びステージの微調整)を行ったのちに、高倍率のセンサでファインアライメントを行うというように、高精度センサの計測視野にマークRMを位置させるために、事前にラフなアライメント行う必要がなく、アライメント系の構成を簡略化できるとともに、アライメントに要する時間を短縮することができる。
また、単一のセンサユニット3において、レチクルRの機械的位置決め(メカアライメント)、パターンの描画誤差の計測、バーコードの読み取り、及び異物検出を行うようにしたので、これらを別々のユニットで行う場合と比較して、構成を簡略化できるとともに、レチクルRをユニット間で搬送する必要もなく、処理時間を短縮することもできる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上記実施形態では、基準部材32,82を単一の駆動機構でレチクルRの2つの側面を同時に押圧するために略くの字状に形成したものを用いたが、該2つの側面のうちの一方の側面を押圧するために単一の押圧面を有する基準部材及びその駆動機構を設けるとともに、他方の側面を押圧するために単一の押圧面を有する基準部材及びその駆動機構を設けることにより、同様の機能を実現するようにしてもよい。また、上記実施形態では、ステージ3a,RSTは固定(停止)させた状態で、基準部材32,82を進退させることにより、レチクルRのメカアライメントを行うようにしたが、基準部材32,82を基準位置に固定してステージ3a、RSTを移動することにより、同様の機構を実現するようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、基準部材32,82によるレチクルRのメカアライメントを、ステージ3a,RSTの支持部31,81による吸着を単に解除した状態で行うようにしたが、当該吸着のための吸着口又は他の排出口からエアを排出して、エアベアリングの原理によりレチクルRを支持部31,82から僅かに浮上させた状態でメカアライメントを行うようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、露光装置としてステップ・アンド・スキャン方式の露光装置を例に挙げて説明したが、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置に適用することも可能である。また、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子、プラズマディスプレイ、薄膜磁気ヘッド、及び撮像素子(CCD等)の製造にも用いられる露光装置、及びレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。即ち本発明は、露光装置の露光方式や用途等に関係なく適用可能である。
なお、デバイスとしての半導体素子は、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいて、レチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを製造するステップ、上述した実施形態のレチクル搬送装置を含む露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成を模式的に示す正面図である。 本発明の実施形態に係るレチクル搬送装置の構成を示す斜視図である。 レチクルケースの構成を示す正面図である。 レチクルの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る制御系の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態のレチクル搬送処理及び露光処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態のレチクルステージ上における基準部材の動作及びパターンの描画誤差の補正を説明するための図である。 本発明の実施形態の基準部材及びその駆動機構、及びこれらの変形例を示す図である。
符号の説明
1a,1b…レチクルケース、2…レチクル搬送ロボット、3…センサユニット、6…置き台、7…旋回アーム、32…基準部材、33…異物検出装置、34a,34b…照明装置、35…バーコードリーダ、36…計測装置、82…基準部材、84a,84b…アライメントセンサ、R…レチクル、RM…マーク、RST…レチクルステージ

Claims (11)

  1. マスク収納部に収納されたマスクを、該マスクを用いる搬送先装置に搬送するマスク搬送装置であって、
    前記マスク収納部から取り出されたマスクを一時的に載置する載置台と、
    前記載置台上に載置された前記マスクの端部と所定の基準部材とを当接させて、前記載置台上における前記マスクを該基準部材により規定される基準に整合させる調整装置と、
    前記マスク上に描画されたパターンの描画誤差情報を取得するために、前記調整装置により前記マスクが前記基準に整合されている状態下で、該マスク上に形成された基準マークを光学的に計測する計測装置と、
    前記得られた前記描画誤差情報に基づいて、前記搬送先装置内での前記マスクの位置調整を行う制御装置と、を有することを特徴とするマスク搬送装置。
  2. 前記搬送先装置は、
    前記搬送されてきたマスクを載置した状態で移動可能なステージと、
    前記調整装置と同一構成であり、且つ前記載置台に対する前記基準と同様の位置関係で前記ステージに対するステージ基準を備えるステージ側調整装置と、を含み、
    前記ステージ上に載置されたマスクを、前記ステージ側調整装置で前記ステージ基準に整合させた後に、前記制御装置は、前記描画誤差情報に基づいて該ステージを駆動することにより前記マスクの位置調整を行うことを特徴とする請求項1に記載のマスク搬送装置。
  3. 前記載置台上に載置された前記マスクの表面の異物の存否を光学的に検出する異物検出装置をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク搬送装置。
  4. 前記載置台上に載置された前記マスクに形成された固有情報マークを検出する情報検出装置をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のマスク搬送装置。
  5. 前記基準部材は前記パターン面と平行な面に対して斜交する方向に進退するように設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のマスク搬送装置。
  6. マスク収納部に収納されたマスクを該マスクを用いる搬送先装置に搬送するマスク搬送方法であって、
    前記マスク収納部からマスクを取り出して該マスクを一時的に載置する載置台上に載置する取出ステップと、
    前記載置台上に載置されたマスクの端部と所定の基準部材とを当接させて、前記載置台上における前記マスクを該基準部材により規定される基準に整合させる調整ステップと、
    前記マスク上に描画されたパターンの描画誤差情報を取得するために、前記調整装置により前記マスクが前記基準に整合されている状態下で、該マスク上に形成された基準マークを光学的に計測する計測ステップと、
    前記計測ステップで得られた前記描画誤差情報に基づいて、前記搬送先装置内での前記マスクの位置調整を行う位置調整ステップと、を有することを特徴とするマスク搬送方法。
  7. 前記搬送先装置は、
    前記搬送されてきたマスクを載置した状態で移動可能なステージと、
    前記調整装置と同一構成であり、且つ前記載置台に対する前記基準と同様の位置関係で前記ステージに対するステージ基準を備えるステージ側調整装置と、を含み、
    前記位置調整ステップでは、前記ステージ上に載置されたマスクを、前記ステージ側調整装置で前記ステージ基準に整合させた後に、前記描画誤差情報に基づいて該ステージを駆動することにより前記マスクの位置調整を行うことを特徴とする請求項6に記載のマスク搬送方法。
  8. 前記載置台上に載置された前記マスクの表面の異物の存否を光学的に検出する異物検出ステップをさらに備えることを特徴とする請求項6又は7に記載のマスク搬送方法。
  9. 前記載置台上に載置された前記マスクに形成された固有情報マークを検出する情報検出ステップをさらに備えることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項記載のマスク搬送方法。
  10. 前記調整ステップでは、前記基準部材を前記パターン面と平行な面に対して斜交する方向に進出させて前記マスクを前記基準に整合させることを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載のマスク搬送方法。
  11. マスクのパターンを物体に露光転写する露光方法であって、
    請求項6〜9の何れか一項に記載のマスク搬送方法を用いて前記マスクを搬送する搬送ステップと、
    前記位置調整ステップを行った後に、前記マスクのパターンを介して前記物体を露光する露光ステップとを有することを特徴とする露光方法。
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