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JP2007195632A - 炊飯器用内釜 - Google Patents

炊飯器用内釜 Download PDF

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JP2007195632A
JP2007195632A JP2006015474A JP2006015474A JP2007195632A JP 2007195632 A JP2007195632 A JP 2007195632A JP 2006015474 A JP2006015474 A JP 2006015474A JP 2006015474 A JP2006015474 A JP 2006015474A JP 2007195632 A JP2007195632 A JP 2007195632A
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徹 西部
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Abstract

【課題】炊飯器用内釜をセラミックス材料から構成した場合に、剥離を防止して炊飯目安となる凸状目盛りを形成することができる炊飯器用内釜を提供すること。
【解決手段】炊飯器用内釜2は、炊飯器本体1の内釜保持部内に収容するものであり、容器形状の基材3の表面を釉薬層4によって被覆してなり、基材3及び釉薬層4は、いずれもセラミックス材料からなる。内釜の内周面21における釉薬層4の表面には、炊飯目安となる凸状目盛り5が設けてある。凸状目盛り5は、釉薬層4の表面に、ガラスフラックスと有機バインダーと無機顔料とを混合してなるガラスペーストを焼き付けることにより、5〜100μmの突出高さで形成してある。
【選択図】図2

Description

本発明は、炊飯器本体の内釜保持部内に収容する炊飯器用内釜に関する。
現在普及している家庭用又は業務用の電気式炊飯器又はガス炊飯器等は、一般に米と水とを入れて加熱する内釜を備えている。内釜は、ほとんどが鉄又はアルミ合金等の金属で作られており、その表面は、焦げ付き防止や汚れを落とし易くする目的で、フッ素樹脂加工が施されていることが多い。
しかし、フッ素樹脂加工によって形成したフッ素被膜は、炊飯の繰り返しや洗浄の繰り返しにより傷ついてしまう。また、長期間でみるとフッ素被膜が剥がれるおそれがあり、この場合には、剥がれたフッ素被膜が炊飯物に混ざったり、焦げ付きが容易に発生してしまうおそれがある。
一方最近、おいしいものを食したい高級本物志向から、セラミックスで作製された内釜が使われ始めている。この内釜はセラミックスで作られているので、従来の金属製の釜よりも保温性に優れており、加熱されたセラミックスが出す遠赤外線の効果により、炊飯物を美味しく炊き上げることができると考えられる。
セラミックス製の内釜を用いた炊飯器としては、例えば、特許文献1に開示された誘導加熱式炊飯器がある。この誘導加熱式炊飯器においては、内鍋をセラミックスから作製し、内鍋において加熱手段に対向する部位をセラミックスと金属との多層構造から形成し、この金属に温度センサを当接させている。
また、特許文献2には、加熱される鉄等の金属製の外釜と、この外釜に出し入れ自在な多孔質の素焼き製内釜とから構成したおひつ釜が開示されている。このおひつ釜においては、素焼き製内釜を用いることにより、外釜からフッ素樹脂等の内面被覆が剥がれたときでも、この剥がれた内面被覆がご飯に混ざらないようにしている。また、このおひつ釜においては、既存のおひつ釜を流用し、既存のおひつ釜に素焼き製内釜を配置して使用することも考慮されている。
また、特許文献3には、陶土を焼結してなる鍋本体を備えた炊飯用土鍋が開示されている。この炊飯用土鍋の鍋本体の内壁面には、金属溶射発熱層及び金属溶射伝熱層が設けられ、金属溶射伝熱層の表面には、炊飯時に所定割合で装入される米と水からなる被加熱物の適正装入量毎の高さ位置を、それぞれ示す複数の装入容積指標部が設けられている。
しかしながら、炊飯器においてセラミックス製の内釜を適用する際に、この内釜の内周面に、剥離を生じることなく炊飯目安となる目盛りを設ける技術は、特許公報1〜3等には開示されていない。
例えば、特許文献3においては、セラミックスの原料となる陶土を用いて鍋本体(内釜)を構成し、装入容積指標部(目盛り)は、アルミニウム、銀等の金属膜からなる金属溶射伝熱層の表面に形成している。そのため、陶土と金属膜との大きな熱膨張差によって、装入容積指標部を含めた金属溶射伝熱層が鍋本体から剥離してしまうおそれがある。
また、特に、炊飯器をガス燃料を用いて炊飯を行うガス炊飯器とした場合には、内釜が燃焼火炎によって直接加熱されることになる。そのため、この場合には、ご飯等の炊飯物を美味しく炊き上げるために、内釜が燃焼火炎と接触することによって炊飯物が受ける影響を考慮する必要があるが、このような技術は、特許公報1〜3等には開示されていない。
特開2005−304709号公報 特開平9−56580号公報 実用新案登録第3110038号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、炊飯器用内釜をセラミックス材料から構成した場合に、剥離を防止して炊飯目安となる凸状目盛りを形成することができる炊飯器用内釜を提供しようとするものである。
本発明は、炊飯器本体の内釜保持部内に収容する炊飯器用内釜において、
該内釜は、容器形状の基材の表面を釉薬層によって被覆してなり、該基材及び該釉薬層は、いずれもセラミックス材料からなり、
上記内釜の内周面における上記釉薬層の表面には、炊飯目安となる凸状目盛りが設けてあり、
該凸状目盛りは、ガラスペーストを焼き付けることにより、5〜100μmの突出高さで形成してあり、
該ガラスペーストは、ガラスフラックスと、有機バインダーと、無機顔料とを混合してなり、
上記ガラスフラックスは、熱膨張係数が4.5×10-6/℃〜7.0×10-6/℃であると共に、SiO2を42〜67重量%、Al23を5〜10重量%、B23を18〜23重量%、MgO、CaO、SrO及びBaOのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計を2〜5重量%、Li2O、Na2O及びK2Oのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計を5〜10重量%、及びZrO2を3〜10重量%含有してなることを特徴とする炊飯器用内釜にある(請求項1)。
本発明の炊飯器用内釜は、セラミックス材料からなる基材の表面をセラミックス材料からなる釉薬層によって被覆してなる。
そして、本発明の内釜は、基材及び釉薬層の両方をセラミックス材料から構成したことにより、耐熱性に優れている。また、耐熱性に優れていることにより、特に、内釜をガス炊飯器に用いた場合には、この内釜に燃焼火炎を直接接触させて炊飯を行うことができる。これにより、ご飯等の炊飯物を美味しく炊き上げることができる。
また、本発明の内釜は、基材及び釉薬層がいずれもセラミックス材料からなることにより、基材に対して釉薬層が剥がれ難く、耐久性に優れている。また、本発明の内釜は、金属性の内釜に比べて保温性にも優れている。
さらに、炊飯目安となる凸状目盛りは、熱膨張係数が4.5×10-6/℃〜7.0×10-6/℃であるガラスフラックスを用いたガラスペーストを焼き付けて形成している。そのため、ガラスフラックスとセラミックス材料との熱膨張差が小さく、内釜における釉薬層から凸状目盛りが剥離してしまうことを効果的に防止することができる。
また、凸状目盛りは、釉薬層の表面から5〜100μmの突出高さで突出していることにより、視覚的に認識することができるだけでなく、触覚的に(手で触ることによって)認識することもできる。
また、凸状目盛りを構成するガラスフラックスを、上記組成で構成したことにより、凸状目盛りが内釜における釉薬層から剥離してしまうことを一層効果的に防止することができる。
それ故、本発明によれば、炊飯器用内釜をセラミックス材料から構成した場合に、剥離を防止して炊飯目安となる凸状目盛りを形成することができる。
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記凸状目盛りを構成するガラスフラックスの熱膨張係数が4.5×10-6/℃未満である場合には、ガラスフラックスの溶融密着性が不十分になり、凸状目盛りが基材の表面における釉薬層に十分に密着しないおそれがある。
一方、凸状目盛りを構成するガラスフラックスの熱膨張係数が7.0×10-6/℃を超える場合には、上記釉薬層の表面に凸状目盛りを焼き付けた後に、この凸状目盛りの剥離が生ずるおそれがある。
また、上記凸状目盛りの突出高さが5μm未満である場合には、この凸状目盛りによる炊飯目安を触覚的に(手で触ることによって)認識できないおそれがある。
一方、凸状目盛りの突出高さが100μmを超える場合には、上記釉薬層の表面に凸状目盛りを焼き付けた後に、この凸状目盛りが欠損して剥離してしまうおそれがある。
また、上記凸状目盛りを構成するガラスフラックスの組成において、SiO2の含有量が42重量%未満である場合には、ガラスフラックスの熱膨張係数が大きくなり、凸状目盛りの剥離が生ずるおそれがある。
一方、SiO2の含有量が67重量%を超える場合には、ガラスフラックスの粘性流動が高くなり、凸状目盛りの表面の平滑性が失われ、凸状目盛りの防汚性が悪化するおそれがある。
また、上記凸状目盛りを構成するガラスフラックスの組成において、Al23の含有量が5重量%未満である場合には、耐アルカリ性が劣化するおそれがある。
一方、Al23の含有量が10重量%を超える場合には、ガラスフラックスの粘性流動が高くなり、凸状目盛りの表面の平滑性が失われ、凸状目盛りの防汚性が悪化するおそれがある。
また、上記凸状目盛りを構成するガラスフラックスの組成において、B23の含有量が18重量%未満である場合には、ガラスフラックスの熱膨張係数が大きくなり、耐酸性が劣化するおそれがある。
一方、B23の含有量が23重量%を超える場合には、耐アルカリ性が劣化するおそれがある。
また、上記凸状目盛りを構成するガラスフラックスの組成において、MgO、CaO、SrO及びBaOのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計含有量が2重量%未満である場合には、ガラスフラックスの粘性流動が高くなり、凸状目盛りの表面の平滑性が失われ、凸状目盛りの防汚性が悪化するおそれがある。
一方、MgO、CaO、SrO及びBaOのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計含有量が5重量%を超える場合には、ガラスフラックスの熱膨張係数が著しく増加するおそれがある。また、耐アルカリ性が劣化するおそれもある。
また、上記凸状目盛りを構成するガラスフラックスの組成において、Li2O、Na2O及びK2Oのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計含有量が5重量%未満である場合には、ガラスフラックスの粘性流動が高くなり、凸状目盛りの表面の平滑性が失われ、凸状目盛りの防汚性が悪化するおそれがある。
一方、Li2O、Na2O及びK2Oのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計含有量が10重量%を超える場合には、ガラスフラックスの熱膨張係数が著しく増加し、凸状目盛りにクラックや剥離が生じ易くなってしまう。また、耐アルカリ性が劣化するおそれもある。
また、上記凸状目盛りを構成するガラスフラックスの組成において、ZrO2の含有量が3重量%未満である場合には、耐酸性が劣化するおそれがある。
一方、ZrO2の含有量が10重量%を超える場合には、ガラスフラックスの粘性流動が高くなり、凸状目盛りの表面の平滑性が失われ、凸状目盛りの防汚性が悪化するおそれがある。
また、上記有機バインダーとしては、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、エトセル樹脂及びブチル樹脂から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
また、上記無機顔料としては、例えば、黒(Cr−Fe、Co−Mn−Cr−Fe、Co−Ni−Cr−Fe、Co−Ni−Cr−Fe−Mn等)、グレー(Sn−Sb、Sn−Sb−V等)、黄(Sn−V、Zr−V、Zr−Si−Pr、Ti−Cr−Sb、Zr−Si−Cd−S、CdS等)、茶(Zn−Al−Cr−Fe、Zn−Mn−Al−Cr−Fe等)、緑(Ca−Cr−Si、Cr−Al、Co−Zn−Al−Cr、Zr−Si−Pr−V等)、青(Co−Al−Zn、Co−Al、Co−Si、Zr−Si−V等)、ピンク(Mn−Al、Ca−Sn−Si−Cr、Sn−Cr、Zr−Si−Fe等)、赤(Zr−Si−Cd−Se−S、Cd−Se−S等)があり、これらは所望の色を得るように任意の割合で混合することができる。
また、上記基材は、熱膨張係数が1.0×10-6/℃〜3.0×10-6/℃であると共に吸水率が2.0〜8.0%であり、上記釉薬層は、熱膨張係数が上記基材よりも大きく、かつ当該熱膨張係数が2.0×10-6/℃〜5.0×10-6/℃であることが好ましい(請求項2)。
上記基材の熱膨張係数が1.0×10-6/℃〜3.0×10-6/℃であり、上記釉薬層の熱膨張係数が2.0×10-6/℃〜5.0×10-6/℃であることにより、基材の表面にセラミックス材料を塗布し焼成して釉薬層を形成したときに、この釉薬層に亀裂や破損等の損傷が発生し難くすることができる。また、上記内釜によって炊飯を行う際にも、釉薬層に損傷が発生し難くすることができる。
また、上記基材の吸水率が2.0〜8.0%であることにより、基材は、炊飯を行う前には適度に水分を吸収できると共に、炊飯を行う際には、適切に水分を放出することができる。これにより、ご飯等の炊飯物を美味しく炊き上げることができる。
なお、上記吸水率とは、基材の水分の吸収し易さを示す尺度のことをいい、基材に水分を飽和状態まで吸収させたときの飽和質量をA、基材に水分の吸収がないときの乾燥質量をBとしたとき、(A−B)/B×100%で示される値のことをいう。
なお、上記基材の熱膨張係数が1.0×10-6/℃未満である場合には、基材の表面に釉薬層を焼成した後に、基材と釉薬層との熱膨張差によって、釉薬層に亀裂が入り、この釉薬層が剥離するおそれがある。一方、上記基材の熱膨張係数が3.0×10-6/℃を超える場合には、内釜として使用する際に急冷されたとき、基材に亀裂や破損等が発生するおそれがある。
また、上記釉薬層の熱膨張係数が2.0×10-6/℃未満である場合には、釉薬層の表面の光沢、平滑性等が悪化するおそれがある。一方、上記釉薬層の熱膨張係数が5.0×10-6/℃を超える場合には、基材の表面に釉薬層を焼成した後に、基材と釉薬層との熱膨張差によって、釉薬層に亀裂が入り、この釉薬層が剥離するおそれがある。
また、上記基材の吸水率が2.0%未満である場合には、内釜として使用する際に、基材が水分を含んだまま急加熱されたときに、この基材に水分の気化膨張による亀裂や破損等が発生するおそれがある。一方、上記基材の吸水率が8.0%を超える場合には、基材の強度が劣化し、基材に衝撃等による亀裂や破損等が発生するおそれがある。
また、上記基材を構成するセラミックス材料は、β−スポジューメン、β−ユークリプタイト及びコーディエライトのうちの1種又は2種以上と、ムライト及び石英を含有してなり、上記釉薬層を構成するセラミックス材料は、β−スポジューメン、β−ユークリプタイト及びコーディエライトのうちの1種又は2種以上と、ムライト、石英、硼素系ガラス及び無機顔料を含有してなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、各セラミックス材料の組成が適切であり、釉薬層における亀裂や破損等の損傷の発生を効果的に防止することができる。
以下に、本発明の炊飯器用内釜にかかる実施例につき、図面と共に説明する。
本例の炊飯器用内釜2は、図1、図2に示すごとく、炊飯器本体1の内釜保持部11内に収容するものである。この内釜は、容器形状の基材3の表面を釉薬層4によって被覆してなり、基材3及び釉薬層4は、いずれもセラミックス材料からなる。
また、図3に示すごとく、内釜の内周面21における釉薬層4の表面には、炊飯目安となる凸状目盛り5が設けてある。凸状目盛り5は、釉薬層4の表面に、ガラスフラックスと有機バインダーと無機顔料とを混合してなるガラスペーストを焼き付けることにより、5〜100μmの突出高さで形成してある。
上記ガラスフラックスは、熱膨張係数が4.5×10-6/℃〜7.0×10-6/℃である。また、ガラスフラックスは、SiO2を42〜67重量%、Al23を5〜10重量%、B23を18〜23重量%、MgO、CaO、SrO及びBaOのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計を2〜5重量%、Li2O、Na2O及びK2Oのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計を5〜10重量%、及びZrO2を3〜10重量%含有してなる。
以下に、本例の炊飯器用内釜2につき、図1〜図3と共に詳説する。
図1に示すごとく、本例の炊飯器本体1は、ガス燃料Fを用いて炊飯を行うガス炊飯器であり、その底部31に、ガス燃料Fを用いて燃焼を行うバーナー12を配設してなる。そして、ガス炊飯器の内釜保持部11内に上記内釜2を収容して炊飯を行うときには、バーナー12による燃焼火炎Hが内釜2の底部31に接触することにより、この内釜2を加熱することができる。
なお、炊飯器本体1は、炊飯後の炊飯物の保温を行うための保温手段を備えることができる。この保温手段としては、電気式の加熱ヒータ等を用いることができる。
また、炊飯器本体1には、炊飯、保温の制御を行うための操作スイッチを備えた操作パネル13が設けてある。
図2に示すごとく、上記基材3は、底部31と、この底部31の外周端部から環状に立設した側壁部32とによって形成されている。
上記内釜2の底部31の下面には、下方へ突出形成した突出部311が形成してある。上記釉薬層4は、基材3の表面において突出部311の下面312以外の全面に被覆してある。そして、セラミックス材料からなる基材3は、突出部311の下面312から水分を吸い上げ、突出部311の下面から水分を放出することができる。
また、同図に示すごとく、本例の内釜2の上端開口部30(側壁部32の上方端部)には、径方向へ突出した鍔部33が形成してあり、この鍔部33の内側には、セラミックス材料からなる上蓋35を配置する凹部331が形成してある。そして、本例の内釜2は、炊飯器本体1から取り出したときには、上記凹部331に上蓋35を配置して、おひつ釜として使用することができる。この際に、内釜2及び上蓋35の両方がセラミックス材料から構成してあることにより、内釜2を保温性に優れたおひつ釜として使用することができる。
また、上記基材3を構成するセラミックス材料(基材用セラミックス材料)は、低膨張素地を形成するためのβ−スポジューメン、β−ユークリプタイト、コーディエライト等のセラミックス成分と、ムライト及び石英とを含有してなる。
また、上記釉薬層4を構成するセラミックス材料(釉薬用セラミックス材料)は、低膨張素地を形成するためのβ−スポジューメン、β−ユークリプタイト、コーディエライト等のセラミックス成分と、ムライト及び石英と、焼成後の釉薬層4における表面の平滑性を保つための硼素系ガラスと、着色用の無機顔料とを含有してなる。
基材3を構成するセラミックス材料は、1.0×10-6/℃〜3.0×10-6/℃の熱膨張係数の基材3を形成するために、上記セラミックス成分を作り出すためのペタライトを約40%含有してなる。そして、本例の基材3の熱膨張係数は1.9×10-6/℃となり、基材3の吸水率は、5.0%となった。
また、釉薬層4を構成するセラミックス材料は、2.0×10-6/℃〜5.0×10-6/℃の熱膨張係数の釉薬層4を形成するために、上記セラミックス成分を作り出すためのペタライトを約20%含有してなる。そして、本例の基材3の熱膨張係数は3.5×10-6/℃となった。
また、基材3は、上記基材用セラミックス材料を、1000〜1200℃で焼成して形成した。釉薬層4は、基材3の表面に上記釉薬用セラミックス材料を塗布し、1100〜1300℃で焼成して形成した。釉薬層4は、100〜300μmの厚みに形成した。
また、上記凸状目盛り5を形成するためのガラスフラックスとしては、粒度が0.8〜6.0μmであるものを用いた。また、本例のガラスフラックスとしては、屈伏点が540〜640℃であり、屈折率が1.45〜1.55であり、密度が2.2〜2.5g/cm3であるものを用いた。
また、ガラスペーストは、ガラスフラックス70〜99.9重量%と、無機顔料0.1〜30重量%との合計が100重量部に対して、有機バインダーを70〜150重量部混合して構成した。
また、有機バインダーとしては、アクリル樹脂を用いた。
有機バインダーの混合量が70重量部未満である場合には、ガラスペーストを印刷したときの表面状態が悪く、焼成後における凸状目盛り5の表面状態も悪化してしまうおそれがある。一方、有機バインダーの混合量が150重量部を超える場合には、ガラスペーストが広がって、凸状目盛り5の突出高さが低くなってしまうおそれがあり、凸状目盛り5による装飾図柄が滲んでしまうおそれがある。
より具体的には、凸状目盛り5は、ガラスペーストから文字、図形等の装飾図柄を設けた転写用シートを形成し、次いで、この転写用シートをいわゆる転写技法によって釉薬層4の表面に貼り付け、その後、750〜1000℃の温度で焼成して(焼き付けて)形成した。また、凸状目盛り5は、釉薬層4の表面に対して5〜100μmの突出高さで形成した。
なお、凸状目盛り5を形成する際の焼成温度が750℃未満である場合には、凸状目盛り5の焼付け形成が困難になり、凸状目盛り5の表面の平滑性が失われ(表面がザラザラになり)、凸状目盛り5における汚れ落とし性及び耐薬品性等が悪化するおそれがある。一方、凸状目盛り5を形成する際の焼成温度が1000℃を超える場合には、ガラスペーストが広がって、凸状目盛り5の突出高さが低くなってしまうおそれがあり、凸状目盛り5による装飾図柄が滲んでしまうおそれがある。
本例の炊飯器用内釜2は、ガス燃料Fを用いて炊飯を行うガス炊飯器に用いるものであり、セラミックス材料からなる基材3の表面をセラミックス材料からなる釉薬層4によって被覆してなる。
そして、本例の内釜2は、基材3及び釉薬層4の両方をセラミックス材料から構成したことにより、耐熱性に優れている。また、耐熱性に優れていることにより、特に、内釜2をガス炊飯器に用いた本例の場合には、内釜2に燃焼火炎Hを直接接触させて炊飯を行うことができる。これにより、ご飯等の炊飯物を美味しく炊き上げることができる。
また、本例の内釜2は、基材3及び釉薬層4がいずれもセラミックス材料からなることにより、基材3に対して釉薬層4が剥がれ難く、耐久性に優れている。また、本例の内釜2は、金属性の内釜2に比べて保温性にも優れている。また、基材3の表面を釉薬層4によって被覆したことにより、内釜2に汚れが付着することを防止し、かつ内釜2内に入れた水が、内釜2の内周面21から基材3の内部に浸透することを防止することができる。
また、基材3の熱膨張係数が1.0×10-6/℃〜3.0×10-6/℃であり、釉薬層4の熱膨張係数が2.0×10-6/℃〜5.0×10-6/℃であることにより、基材3の表面にセラミックス材料を塗布し焼成して釉薬層4を形成したときに、この釉薬層4に亀裂や破損等の損傷が発生し難くすることができる。また、上記内釜2によって炊飯を行う際にも、釉薬層4に損傷が発生し難くすることができる。
また、基材3の吸水率が2.0〜8.0%であることにより、炊飯を行う前には適度に水分を吸収できると共に、炊飯を行う際には、適切に水分を放出することができる。これにより、ご飯等の炊飯物を美味しく炊き上げることができる。なお、基材3の吸水率は、基材3を構成するセラミックス材料中に形成された気孔等の割合によって変化する。
さらに、炊飯目安となる凸状目盛り5は、熱膨張係数が4.5×10-6/℃〜7.0×10-6/℃であるガラスフラックスを用いたガラスペーストを焼き付けて形成している。そのため、ガラスフラックスとセラミックス材料との熱膨張差が小さく、内釜における釉薬層4から凸状目盛り5が剥離してしまうことを効果的に防止することができる。
また、凸状目盛り5は、釉薬層4の表面から5〜100μmの突出高さで突出していることにより、視覚的に認識することができるだけでなく、触覚的に(手で触ることによって)認識することもできる。
また、凸状目盛り5を構成するガラスフラックスを、上記組成で構成したことにより、凸状目盛り5が内釜における釉薬層4から剥離してしまうことを一層効果的に防止することができる。
それ故、本例によれば、耐熱性及び耐久性に優れ、ご飯等の炊飯物を美味しく炊き上げることができるガス炊飯器用内釜2を形成することができ、セラミックス材料から構成したガス炊飯器用内釜2において、炊飯目安となる凸状目盛り5を剥離を防止して形成することができる。
(物性試験)
次に、上記凸状目盛り5を構成するガラスペースト(ガラスフラックス、有機バインダー及び無機顔料)の組成を適宜変化させて形成した凸状目盛り5(発明品1〜4)の各種の物性試験を行った。また、比較のために、従来の組成のガラスペーストにより形成した凸状目盛り(比較品1、2)についても各種の物性試験を行った。
各種の物性試験としては、テープ剥離試験、摩耗試験、耐アルカリ試験、耐酸試験、耐洗剤試験、耐煮汁試験及び耐熱試験を行った。
テープ剥離試験においては、市販の透明テープを装飾表面(凸状目盛り)に貼り付け、爪等で強く擦り密着させた後、45°の角度で勢いよく剥がした。そして、凸状目盛りが剥離しなかったものを○、凸状目盛りが少しでも剥離したものを×とした。
摩耗試験においては、ASTM C448に基づき、装飾表面(凸状目盛り)をPEI試験機(KEYSTONE ELECTRIC CO,INC.製のPEI ABRASION(商品名))によって摩耗させた。そして、摩耗終了後の凸状目盛りにおいて、50%以上の高さが残っており、文字が認識できるものを○、それ以外を×とした。
耐アルカリ試験においては、40℃に加熱したpH=13±0.5の5%水酸化ナトリウム溶液中に、炊飯用内釜における凸状目盛りを24時間浸漬した。そして、装飾表面(凸状目盛り)が変化しない、又はわずかにマットになったものを○、完全にマットになり剥離したものを×とした。
耐酸試験においては、40℃に加熱したpH=2.5±0.5の5%酢酸溶液中に、炊飯用内釜における凸状目盛りを24時間浸漬した。そして、装飾表面(凸状目盛り)が変化しなかったものを○、少しでも変化したものを×とした。
耐洗剤試験においては、40℃に加熱したpH=6.5±0.5の0.15%中性洗剤溶液中に、炊飯用内釜における凸状目盛りを24時間浸漬した。そして、装飾表面(凸状目盛り)が変化しなかったものを○、少しでも変化したものを×とした。
耐煮汁試験においては、70℃に加熱したpH=6±0.5のおでん煮汁中に、炊飯用内釜における凸状目盛りを1000時間浸漬した。そして、装飾表面(凸状目盛り)が変化しなかったものを○、少しでも変化したものを×とした。
耐熱試験においては、装飾表面(凸状目盛り)を200℃で10時間保持した後、十分に冷却し、装飾表面にテープを貼り付けて剥がしたときの剥離の有無を確認した。そして、装飾表面が剥離しなかったものを○、剥離したものを×とした。
発明品1〜4及び比較品1、2のガラスフラックスの組成及び物理特性、ガラスフラックス、無機顔料及び有機バインダーの混合量、及び上記各種の物性試験を行った結果を表1に示す。
Figure 2007195632
同表において、発明品1〜4については、いずれの物性試験においても良好な結果(○)が得られたのに対し、比較品1、2については、テープ剥離試験、摩耗試験及び耐アルカリ試験においては、いずれも良い結果が得られなかった。
以上の結果より、上記ガラスフラックスを上記実施例に示した組成にすることにより、各種の物性試験における良好な結果が得られることがわかった。
実施例における、炊飯器本体の内釜保持部内に収容した炊飯器用内釜を示す説明図。 実施例における、炊飯器用内釜を示す断面図。 実施例における、基材の表面に釉薬層を設け、釉薬層の表面に凸状目盛りを設けた状態を示す断面図。
符号の説明
1 炊飯器本体
11 内釜保持部
2 炊飯器用内釜
21 内周面
3 基材
4 釉薬層
5 凸状目盛り

Claims (3)

  1. 炊飯器本体の内釜保持部内に収容する炊飯器用内釜において、
    該内釜は、容器形状の基材の表面を釉薬層によって被覆してなり、該基材及び該釉薬層は、いずれもセラミックス材料からなり、
    上記内釜の内周面における上記釉薬層の表面には、炊飯目安となる凸状目盛りが設けてあり、
    該凸状目盛りは、ガラスペーストを焼き付けることにより、5〜100μmの突出高さで形成してあり、
    該ガラスペーストは、ガラスフラックスと、有機バインダーと、無機顔料とを混合してなり、
    上記ガラスフラックスは、熱膨張係数が4.5×10-6/℃〜7.0×10-6/℃であると共に、SiO2を42〜67重量%、Al23を5〜10重量%、B23を18〜23重量%、MgO、CaO、SrO及びBaOのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計を2〜5重量%、Li2O、Na2O及びK2Oのグループから選ばれる1種又は2種以上の合計を5〜10重量%、及びZrO2を3〜10重量%含有してなることを特徴とする炊飯器用内釜。
  2. 請求項1において、上記基材は、熱膨張係数が1.0×10-6/℃〜3.0×10-6/℃であると共に吸水率が2.0〜8.0%であり、
    上記釉薬層は、熱膨張係数が上記基材よりも大きく、かつ当該熱膨張係数が2.0×10-6/℃〜5.0×10-6/℃であることを特徴とする炊飯器用内釜。
  3. 請求項1又は2において、上記基材を構成するセラミックス材料は、β−スポジューメン、β−ユークリプタイト及びコーディエライトのうちの1種又は2種以上と、ムライト及び石英を含有してなり、
    上記釉薬層を構成するセラミックス材料は、β−スポジューメン、β−ユークリプタイト及びコーディエライトのうちの1種又は2種以上と、ムライト、石英、硼素系ガラス及び無機顔料を含有してなることを特徴とする炊飯器用内釜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010220749A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 Miyao Company Ltd 加熱調理用の容器
US20110111946A1 (en) * 2008-06-19 2011-05-12 Yuri Schiocchet Structure made of ceramic material and relative production process
CN102701712A (zh) * 2012-06-04 2012-10-03 宜兴市大成陶瓷有限公司 电压力锅用陶瓷内胆

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