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JP2007186704A - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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JP2007186704A
JP2007186704A JP2007026883A JP2007026883A JP2007186704A JP 2007186704 A JP2007186704 A JP 2007186704A JP 2007026883 A JP2007026883 A JP 2007026883A JP 2007026883 A JP2007026883 A JP 2007026883A JP 2007186704 A JP2007186704 A JP 2007186704A
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Abstract

【課題】表面のつや消し性、ならびに塗装後の塗膜密着性及び塗膜鮮映性に優るのみならず、線膨張係数が低い成形体を可能にする導電性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド(A)、ポリフェニレンエーテル(B)、芳香族ビニル単量体単位を主体とする少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(C)、導電性炭素材料(D)及びウォラストナイト粒子(E)を含む導電性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂成形体に関する。更に詳細には、本発明は、2種以上の異なるポリアミド成分からなるポリアミド(A)、ポリフェニレンエーテル(B)及び特定の部分水素化ブロック共重合体(C)を含み、該ポリアミド(A)は連続相を形成し、該ポリフェニレンエーテル(B)は該連続相中に分散して分散相を形成し、該部分水素化ブロック共重合体は、該ポリアミド(A)の連続相及び該ポリフェニレンエーテル(B)の分散相からなる群より選ばれる少なくとも1つの相に存在し、該成形体の表面に露呈している該ポリアミド(A)の表面積が、該成形体の全表面積に対して80%以上であることを特徴とする樹脂成形体に関する。本発明の樹脂成形体は、表面のつや消し性、ならびに塗装後の塗膜
との密着性(以下、屡々、単に「塗膜密着性」と称す)及び塗膜鮮映性(塗膜の光沢)にも優れる。また、本発明は、ポリアミド(A)、ポリフェニレンエーテル(B)、特定のブロック共重合体(C)、導電性炭素材料(D)及びウォラストナイト粒子(E)を含む導電性樹脂組成物にも関する。本発明の導電性樹脂組成物を用いて成形体を製造すると、得られた成形体は、表面のつや消し性、ならびに塗装後の塗膜密着性及び塗膜鮮映性に優るのみならず、自動車フェンダーや自動車バックドア等の大型成形品において特に重要な特性である線膨張係数が十分に低い成形体を得ることができる。本発明の樹脂成形体並びに本発明の導電性樹脂組成物を用いて得られた成形体は、自動車外装部品はもちろんのこと、電気・電子部品、OA部品、機械部品、及びオートバイ・自動車の電装部品や内装部品などの幅広い分野にも好適に用いることができる。
ポリフェニレンエーテルは機械的性質や、誘電率・誘電正接といった電気的性質及び耐熱性が優れており、しかも寸法安定性に優れるため幅広い用途で使用されているが、単独では成形加工性に劣っており、これを改良するために特許文献1には、ポリアミドを配合する技術が提案され、その後も、特許文献2、特許文献3及び特許文献4等に、新たな技術が開示され、現在では自動車の外装部品をはじめ、多種多様な用途に使用される材料となっている。
自動車の外装部品用途の多くは、塗装が施されることが多く、塗膜との密着性(以下、「塗膜密着性」と称す)が高いという性能が材料選択の重要な要素となっている。
ポリアミドとポリフェニレンエーテルからなる材料に塗装性を付与する技術は、従来より検討されており、例えば、特許文献5(米国特許第5554693号明細書に対応)には、特定のテルペンフェノール樹脂を添加することで、塗膜密着性を改善する技術が開示されている。また、特許文献6には、樹脂成形品を界面活性剤で後処理することによりプライマーを塗布しないで塗装可能とする技術が開示されている。
特公昭45−000997号公報 米国特許第0431508号明細書 米国特許第4732938号明細書 米国特許第4659760号明細書 特開平08−109324号公報 特開平03−143571号公報
しかしながら、これら技術では塗膜密着性の改善のために添加剤を使用しており、添加剤の添加による耐熱性の低下や、塗装後の吸湿といった弊害が生じるため、市場からは添加剤に頼ることなく塗装性を向上させる技術が望まれていた。
また、自動車フェンダーや自動車バックドア等の大型成形品に求められる特性の一つに低い線膨張係数が挙げられている。自動車のフェンダーとドアの間には、ドアの開閉用のための隙間を設けてあるが、線膨張が大きい材料を用いてフェンダーを製造した場合、その隙間の幅が気温によって変化する現象が発生し、より低い線膨張係数の材料への改良が求められている。
こういった特性に対応するためには、一般的には有機もしくは無機の充填材を添加することで改善が可能である。しかしながら有機もしくは無機の充填材を配合することで、充填材が成形体表層部に存在しやすくなり、ならびに塗装後の塗膜密着性及び塗膜の鮮映性が劣るようになってしまう。そのため、線膨張係数と塗膜密着性並びに塗膜の鮮映性を同時に改善することが求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決し、上述したような添加剤を用いることなく、表面のつ
や消し性、塗膜密着性、塗装後の塗膜鮮映性に優る成形体の製造を可能にするポリアミド−ポリフェニレンエーテルアロイを開発すべく鋭意検討を重ねた。その結果、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及び部分的に水素化された芳香族ビニル/共役ジエンブロック共重合体からなる成形体において、成形体表面におけるポリアミドの面積率を特定の値以上に制御することにより、上記の目的を達成できることを意外にも知見した。更に、本発明者らは、ポリアミド(A)、ポリフェニレンエーテル(B)、特定のブロック共重合体(C)、導電性炭素材料(D)及びウォラストナイト粒子(E)を含む導電性樹脂組成物を用いて成形体を製造すると、添加剤を用いることなく、表面のつや消し性、ならびに塗装後の塗膜密着性及び塗膜鮮映性に優るのみならず、線膨張係数が低い成形体が得られることを見出した。これらの知見に基づいて本発明は完成された。
従って、本発明の一つの目的は、表面のつや消し性、ならびに塗装後の塗膜密着性及び塗膜鮮映性に優る樹脂成形体を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、表面のつや消し性、ならびに塗装後の塗膜密着性及び塗膜鮮映性に優るのみならず、線膨張係数が低い成形体を可能にする導電性樹脂組成物を提供することである。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、以下の詳細な説明及び請求の範囲から明らかになる。
本発明によれば、
2種以上の異なるポリアミド成分からなるポリアミド(A)、
ポリフェニレンエーテル(B)及び
少なくとも1種の部分水素化ブロック共重合体(C)
を含む樹脂成形体であって、
該部分水素化ブロック共重合体(C)は、それぞれ独立して、芳香族ビニル単量体単位を主体とする少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとからなる非水素化ブロック共重合体を部分的に水素化することによって得られ、該部分水素化ブロック共重合体(C)は、少なくとも1つの数平均分子量が200,000〜300,000の部分水素化ブロック共重合体(C−1)を含み、
該ポリアミド(A)は連続相を形成し、該ポリフェニレンエーテル(B)は該連続相中に分散して分散相を形成し、該部分水素化ブロック共重合体は、該ポリアミド(A)の連続相及び該ポリフェニレンエーテル(B)の分散相からなる群より選ばれる少なくとも1つの相に存在し、
該ポリアミド(A)が該成形体の表面に露呈しており、成形体の表面に露呈している該ポリアミド(A)の表面積が、該成形体の全表面積に対して80%以上である、
ことを特徴とする樹脂成形体が提供される。
本発明の理解を容易にするために、以下、本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。
1. ポリアミド(A)、
ポリフェニレンエーテル(B)、
芳香族ビニル単量体単位を主体とする少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(C)、
導電性炭素材料(D)及び
ウォラストナイト粒子(E)
を含む導電性樹脂組成物。
2. 該ポリアミド(A)に該導電性炭素材料(D)を分散させてなるマスターバッチを、該ポリフェニレンエーテル(B)、該ブロック共重合体(C)、該ウォラストナイト粒子(E)及び場合によっては付加量の該ポリアミド(A)及び付加量の該導電性炭素材料(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種と溶融混練することによって製造され、該導電性炭素材料(D)が、導電性カーボンブラック、カーボンフィブリル及びカーボンナノチューブからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1.に記載の導電性樹脂組成物。
3. 該ウォラストナイト粒子(E)の平均粒子径が2〜9μmであることを特徴とする上記1.に記載の導電性樹脂組成物。
4. 該ウォラストナイト粒子(E)が、アスペクト比5以上の粒子とアスペクト比5未満の粒子とを含み、該ウォラストナイト粒子(E)の総重量に対する、アスペクト比5以上の粒子の量が50重量%以上であることを特徴とする上記1.に記載の導電性樹脂組成物。
本発明の導電性樹脂組成物を用いて成形体を製造すると、得られた成形体は、表面のつや消し性、ならびに塗装後の塗膜密着性及び塗膜鮮映性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一の態様においては、
2種以上の異なるポリアミド成分からなるポリアミド(A)、
ポリフェニレンエーテル(B)及び
少なくとも1種の特定の部分水素化ブロック共重合体(C)
を含む樹脂成形体であって、
該ポリアミド(A)は連続相を形成し、該ポリフェニレンエーテル(B)は該連続相中に分散して分散相を形成し、該部分水素化ブロック共重合体は、該ポリアミド(A)の連続相及び該ポリフェニレンエーテル(B)の分散相からなる群より選ばれる少なくとも1つの相に存在し、
該ポリアミド(A)が該成形体の表面に露呈しており、成形体の表面に露呈している該ポリアミド(A)の表面積が、該成形体の全表面積に対して80%以上である、
ことを特徴とする樹脂成形体が提供される。
本発明の樹脂成形体において使用することのできるポリアミド(A)の種類としては、ポリマーの繰り返し構造中にアミド結合{−NH−C(=O)−}を有するものであれば、いずれも使用することが可能である。
一般にポリアミドは、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、ω−アミノカルボン酸の重縮合などによって得られるが、これらに限定されるものではない。 上記ジアミンとしては大別して脂肪族、脂環式および芳香族ジアミンが挙げられ、具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどが挙げられる。
ジカルボン酸としては、大別して脂肪族、脂環式および芳香族ジカルボン酸が挙げられ、具体例としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,1,3−トリデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などが挙げられる。
ラクタム類としては、具体的にはε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。
また、ω−アミノカルボン酸としては、具体的にはε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、13−アミノトリデカン酸などが挙げられる。
本発明の樹脂成形体においては、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を、単独で用いて得られるポリアミド単独重合体、あるいは二種以上の混合物にして重縮合を行って得られる共重合ポリアミド類はいずれも使用することができる。
また、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を重合反応機内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量化したものも好適に使用することができる。
本発明で有用に用いることのできるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6/6,12、ポリアミドMXD(m−キシリレンジアミン),6、ポリアミド6,T、ポリアミド6,I、ポリアミド6/6,T、ポリアミド6/6,I、ポリアミド6,6/6,T、ポリアミド6,6/6,I、ポリアミド6/6,T/6,I、ポリアミド6,6/6,T/6,I、ポリアミド6/12/6,T、ポリアミド6,6/12/6,T、ポリアミド6/12/6,I、ポリアミド6,6/12/6,Iなどが挙げられ、複数のポリアミドを押出機等でブレンド又は共重合化したポリアミド類も使用することができる。
本発明の樹脂成形体においては、ポリアミド(A)として2種以上のポリアミド成分を
用いる必要があり、2種以上の粘度の異なるポリアミド成分を用いることが好ましい。この場合、ISO307に従い96%硫酸中で測定した粘度数を用いると、例えば、粘度数80ml/gのポリアミド成分と粘度数150ml/gのポリアミド成分との組み合わせ、粘度数120ml/gのポリアミド成分と粘度数115ml/gのポリアミド成分との組み合わせ等が挙げられる。また、このような異なるポリアミド成分を混合物とした場合、その粘度数が90〜130ml/gの範囲に入っていることが好ましい。より好ましくは、100〜125ml/gの範囲である。上記のような混合物の粘度数が上記範囲内に有るか否かは、混合する重量比で各ポリアミド成分を96%硫酸に溶解して、ISO307に従い粘度数を測定することで確認することができる。上記のように異なる分子量のポリアミド成分を組み合わせて用いることで、後述するように、樹脂成形体の機械的物性を損なうことなく、塗膜密着性を向上させることが可能になる。
またポリアミド成分の少なくとも一つは、ポリアミド6,6であるが好ましい。少なくとも一つをポリアミド6,6とすることにより耐熱性の低下等を抑制することが可能となる。
ポリアミド6,6以外のポリアミドとしては、ポリアミド6及び/または下式で表されるポリアミドが好ましい。
Figure 2007186704
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数3〜14のアルキレン基又は炭素数6〜9のアリーレン基である。但し、R及びRは同時に炭素数6のアルキレン基又は炭素数6のアリーレン基であることはない。)
これらの中でも、ポリアミド4,6、ポリアミド6,12、ポリアミド6,6/6,I、ポリアミド6,6/6,T、ポリアミド6,6/6,I/6,T、ポリアミド9,T、ポリアミド12,Tから選ばれる1種以上であることが好ましく、ポリアミド6,12、ポリアミド6,6/6,I、ポリアミド6,6/6,Tから選ばれる1種以上がより好ましく、ポリアミド6,12及び/又はポリアミド6,6/6,Iが最も好ましい。
ポリアミド(A)として、ポリアミド6,6とポリアミド6,6以外のポリアミドとを組み合わせて用いる場合のこれらの比率は、適宜決定することができるが、好ましくは、ポリアミド(A)の合計重量に対して、ポリアミド6,6が99重量%〜30重量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは90重量%〜45重量%の範囲であり、最も好ましくは、80重量%〜50重量%の範囲内である。
また、本発明の樹脂成形体に使用できるポリアミド(A)は、末端アミノ基濃度が、1×10〜4×10mol/kgのポリアミドを少なくとも1種含むことが好ましい。 さらには、末端アミノ基濃度が、2×10〜3×10mol/kgのポリアミドを少なくとも1種含むことがより好ましい。この際の末端カルボキシル基濃度としては、特に制限はないが、少なくとも5×10mol/g以上であることが好ましい。更に好ましくは6×10〜13×10mol/kgである。
これら末端基の調整は、ポリアミド(A)として用いる異なるポリアミドの内、少なくとも1種のポリアミドの末端基を調整すれば充分である。中でも、ポリアミド6,6に関して制御することが望ましい。
これらポリアミド樹脂の末端基の調整方法は、当業者には明らかであるような公知の方法を用いることができる。例えばポリアミドの重合時に所定の末端濃度となるようにジア
ミン化合物、モノアミン化合物、ジカルボン酸化合物、モノカルボン酸化合物などから選ばれる1種以上を添加する方法が挙げられる。
また、本発明の樹脂成形体においては、ポリアミド樹脂の耐熱安定性を向上させる目的で公知となっている特開平01−163262号公報(米国特許第4,857,575号明細書に対応)に記載されてあるような金属系安定剤も、問題なく使用することができる。
これら金属系安定剤の中で特に好ましく使用することのできるものとしては、CuI、CuCl、酢酸銅、ステアリン酸セリウム等が挙げられる。また、ヨウ化カリウム、臭化カリウム等に代表されるアルキル金属のハロゲン化塩も好適に使用することができる。これらは、もちろん併用添加しても構わない。
金属系安定剤及び/又はアルキル金属のハロゲン化塩の好ましい配合量は、合計量としてポリアミド(A)の100重量部に対して、0.001〜1重量部である。
また、本発明の樹脂成形体においては、上述した金属系安定剤の他に、公知の有機安定剤も問題なく使用することができる。有機安定剤の例としては、イルガノックス1098等に代表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤、イルガフォス168等に代表されるリン系加工熱安定剤、HP−136に代表されるラクトン系加工熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
これら有機安定剤の中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、もしくはその併用がより好ましい。これら有機安定剤の好ましい配合量は、ポリアミド(A)の100重量部に対して、0.001〜1重量部である。
さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド(A)100重量部に対して10重量部未満の量で添加してもかまわない。
本発明の樹脂成形体で使用できるポリフェニレンエーテルとは、下式の構造単位からなる、単独重合体及び/または共重合体である。
Figure 2007186704
〔式中、Oは酸素原子、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の炭素数1〜3の低級アルキル基、炭素数6〜9のアリール基、炭素数1〜3のハロアルキル基、炭素数1〜3のアミノアルキル基、炭素数1〜3の炭化水素オキシ基、又は炭素数1〜3のハロ炭化水素オキシ基(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
本発明の樹脂成形体で使用できるポリフェニレンエーテル(B)の具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−017880号公報(米国特許第4011200号明細書)に記載されているような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
本発明の樹脂成形体で用いるポリフェニレンエーテル(B)の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50−051197号公報(米国特許第3929930号明細書に対応)、特公昭52−017880号公報及び同63−152628号公報(米国特許第4011200号明細書に対応)等に記載された製造方法等が挙げられる。
本発明の樹脂成形体で使用することのできるポリフェニレンエーテル(B)の還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
また、ポリフェニレンエーテル(B)として、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルを組み合わせて用いると流動性と耐衝撃性のバランスを向上させることができるため、より有用である。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルとの組み合わせ、還元粘度0.40dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルとの組み合わせ等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
さらには、ポリフェニレンエーテル(B)として用いるポリフェニレンエーテルの1種以上が変性されたポリフェニレンエーテルであることが好ましい。特には、ポリフェニレンエーテル(B)として、変性されたポリフェニレンエーテルと未変性のポリフェニレンエーテルとを組み合わせて用いることが好ましい。
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合又は三重結合、及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指し、国際公開特許WO02/094936号公報に記載されている変性されたポリフェニレンエーテルはすべて使用可能である。
本発明の樹脂成形体の製造に用いる変性されたポリフェニレンエーテルの形態は、粉体状でもペレット状でも構わないが、ペレット状である方がより好ましい。
また、変性されたポリフェニレンエーテルと未変性のポリフェニレンエーテルとを組み合わせて用いる場合、変性されたポリフェニレンエーテルの量に特に制限はないが、好ましくは、ポリフェニレンエーテル(B)の総重量に対して、10〜95重量%であり、より好ましくは30〜90重量%、最も好ましくは45〜85重量%である。
本発明の樹脂成形体の製造時においての、好ましいポリフェニレンエーテルの添加形態は、ポリフェニレンエーテルの一部又は全部をあらかじめ溶融混練されたペレットの形状にして添加することである。こうすることで、押出機等への噛み込み性を向上させることができ、生産時の時間あたりの生産量を向上させることが可能となる。さらには、一般的に、時間あたりの生産量を向上させると生産時の脱揮効率が低下し、成形機に滞留した場合の成形片へのシルバーストリークスが問題となるが、ポリフェニレンエーテルの一部又は全部をあらかじめ溶融混練されたペレットの形状にしておくことで、このシルバーストリークスをも抑制することができ効果的である。
また、本発明の樹脂成形体に用いるポリフェニレンエーテル(B)は特定の分子量分布を有することが好ましい。具体的には、該ポリフェニレンエーテル(B)が、分子量200,000以上の比較的高分子量のポリフェニレンエーテル分子及び分子量5,000以下の比較的低分子量のポリフェニレンエーテル分子を含み、以下の要件(I)及び/又は(II)を満たすことが好ましい。
(I)該比較的高分子量のポリフェニレンエーテル分子の該比較的低分子量のポリフェニレンエーテル分子に対する重量比が0.35以下である。
(II)該ポリフェニレンエーテル(B)の重量に対する、該比較的低分子量のポリフェニレンエーテル分子及び該比較的高分子量のポリフェニレンエーテル分子の量がそれぞれ5重量%以下及び2重量%以下である。
上記要件(I)及び(II)の両方を満たすことがより好ましい。上記の要件(I)及び/又は(II)を満たすようにポリフェニレンエーテル(B)の分子量を制御することにより、塗膜密着性を更に向上させることができる。
上述した該比較的低分子量のポリフェニレンエーテル分子及び該比較的高分子量のポリフェニレンエーテル分子の量の測定は、以下の1)〜3)の工程を含む方法により可能である。
1)測定に充分な量の成形体を細かく粉砕しクロロホルム中に浸漬し超音波洗浄機等で可溶分を充分に溶解する。
2)得られた溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置と紫外分光検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンで換算した分子量データを得る。
3)得られた分子量データを市販のGPC処理ソフトを用いて特定分子量で分画しその量を計算する。この時、同時に溶出してくるブロック共重合体を検出しないため測定する紫外線波長をブロック共重合体の吸収がない波長に設定することが重要である。
[測定条件 GPC装置:GPC SYSTEM21:昭和電工(株)製、検出器:UV−41:昭和電工(株)製、溶媒:クロロホルム、温度:40℃、カラム:サンプル側(K−G、K−800RL、K−800R)、リファレンス側(K−805L×2本)、流量10ml/分、測定波長:283nm、圧力15〜17kg/cm)]
また、本発明の樹脂成形体においては、スチレン系熱可塑性樹脂をポリアミド(A)とポリフェニレンエーテル(B)の合計100重量部に対し、50重量部未満の量であれば配合しても構わない。
ここでいうスチレン系熱可塑性樹脂とは、ポリスチレン(ホモポリマー)、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)から選ばれる1つ以上である。
また、従来、ポリフェニレンエーテル(B)の安定化の為に使用されている各種安定剤も好適に使用することができる。安定剤の例としては、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の金属系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、リン系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等の有機安定剤であり、これらの好ましい配合量は、ポリフェニレンエーテル(B)100重量部に対して5重量部未満である。
更に、従来、ポリフェニレンエーテル用に用いられている公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル(B)100重量部に対して10重量部未満の量で添加しても構わない。
次に、本発明の樹脂成形体で使用することができる部分水素化ブロック共重合体(C)について具体的に説明する。
本発明の樹脂成形体で使用することのできる部分水素化ブロック共重合体(C)とは、芳香族ビニル単量体単位を主体とする少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとからなる非水素化ブロック共重合体を部分的に水素化することによって得られるものである。
また、該部分水素化ブロック共重合体(C)は、数平均分子量が200,000〜300,000の少なくとも1つの部分水素化ブロック共重合体(C−1)を含む。
上記の芳香族ビニル重合体ブロックに関して「芳香族ビニル単量体単位を主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50重量%以上が芳香族ビニル単量体単位であ
るブロックを指す。より好ましくは芳香族ビニル単量体単位が70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
また、「共役ジエン単量体単位を主体とする」に関しても同様で、少なくとも50重量%以上が共役ジエン単量体単位であるブロックを指す。より好ましくは共役ジエン単量体単位が70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
また、上記の芳香族ビニル重合体ブロックは、例えば芳香族ビニル重合体ブロック中にランダムに少量の共役ジエン化合物が結合されてなる共重合体ブロックであってもよい。 また、上記の共役ジエン重合体ブロックの場合も同様に、例えば共役ジエン重合体ブロック中にランダムに少量の芳香族ビニル化合物が結合されてなる共重合体ブロックであってもよい。
芳香族ビニル単量体単位を形成するために用いる芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
共役ジエン重合体ブロックを形成するために用いる共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
上記部分水素化ブロック共重合体(C)の共役ジエン重合体ブロック部分のミクロ構造は、1,2−ビニル含量もしくは1,2−ビニル含量と3,4−ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、15〜40%が最も好ましい。
上記部分水素化ブロック共重合体(C)の製造に用いる非水素化ブロック共重合体は、芳香族ビニル重合体ブロック(a)と共役ジエン重合体ブロック(b)が、a−b型、a−b−a型、a−b−a−b型から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体であることが好ましい。これらの内、異なる結合形式を有するブロック共重合体を組み合わせて用いても構わない。これらの中でもa−b−a型、a−b−a−b型がより好ましく、更にはa−b−a型が最も好ましい。
また、本発明の樹脂成形体で使用するブロック共重合体は、部分的に水素添加されたブロック共重合体(部分水素化ブロック共重合体)である必要がある。
部分水素化ブロック共重合体とは、上述の非水素化ブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジエン重合体ブロックの脂肪族二重結合を、0を越えて100%未満の範囲で制御したものをいう。該部分水素化ブロック共重合体の好ましい水素添加率は50%以上100%未満であり、より好ましくは80%以上100%未満、最も好ましくは98%以上100%未満である。
更に、本発明の樹脂成形体で使用する部分水素化ブロック共重合体は、数平均分子量が200,000以上でかつ300,000以下の部分水素化ブロック共重合体(C−1)を含む必要がある。数平均分子量が200,000を下回る部分水素化ブロック共重合体のみを用いると、塗膜密着性が低下し、300,000を超える部分水素化ブロック共重合体のみを用いると、本発明の樹脂成形体を製造する際に用いる組成物の流動性が低下するため、好ましくない。
ここでいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置[GPC SYSTEM21:昭和電工(株)製]を用いて、紫外分光検出器[UV−41:昭和電工(株)製]で測定し、標準ポリスチレンで換算した数平均分子量のことを指す。
[測定条件 溶媒:クロロホルム、温度:40℃、カラム:サンプル側(K−G,K−800RL,K−800R)、リファレンス側(K−805L×2本)、流量10ml/分、測定波長:254nm,圧力15〜17kg/cm)]
この時、重合時の触媒失活による低分子量成分が検出されることがあるが、その場合は分子量計算に低分子量成分は含めない。通常、計算された正しい分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.0〜1.1の範囲内である。
また、本発明の樹脂成形体においては、上記部分水素化ブロック共重合体(C)は、数平均分子量が200,000〜300,000の該少なくとも1つの部分水素化ブロック共重合体(C−1)と、数平均分子量50,000〜150,000の少なくとも1種の部分水素化ブロック共重合体(C−2)とを組み合わせて用いることもできる。このように部分水素化ブロック共重合体(C−1)と(C−2)とを組み合わせて用いることで、塗膜密着性及び耐衝撃性と流動性のバランスを高めることが可能となる。
部分水素化ブロック共重合体(C)として、該少なくとも1種の部分水素化ブロック共重合体(C−1)と該少なくとも1種の部分水素化ブロック共重合体(C−2)とを組み合わせて用いる場合、部分水素化ブロック共重合体(C−1)及び(C−2)が、全体として、
該芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が60重量%〜90重量%の非水素化ブロック共重合体を部分水素化することによって得られる、高芳香族ビニル含有率部分水素化ブロック共重合体、及び
該芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が20重量%〜60重量%未満の非水素化ブロック共重合体を部分水素化することによって得られる、低芳香族ビニル含有率部分水素化ブロック共重合体
を含み、
該部分水素化ブロック共重合体(C−1)及び(C−2)中に存在する芳香族ビニル重合体ブロックの総量が、部分水素化ブロック共重合体(C−1)及び(C−2)の総重量に対して30〜40重量%であることが好ましい。
このように高芳香族ビニル含有率部分水素化ブロック共重合体と低芳香族ビニル含有率部分水素化ブロック共重合体とを組み合わせて用いることで、耐衝撃性と高温剛性を両立させることが可能となる。
その場合、該芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が60重量%〜90重量%の非水素化ブロック共重合体を部分水素化することによって得られる、高芳香族ビニル含有率部分水素化ブロック共重合体であって、且つ部分水素化ブロック共重合体(C−2)(数平均分子量50,000〜150,000)である共重合体を使用することが特に好ましい。
また、この際の部分水素化ブロック共重合体の数平均分子量と芳香族ビニル重合体ブロックの含有量の目安としては、芳香族ビニル重合体ブロックの数平均分子量が20,000以上になるように、適切な数平均分子量と芳香族ビニル重合体ブロックの含有量を持つブロック共重合体を選択することがより好ましい。
芳香族ビニル重合体ブロックの数平均分子量は、上述したブロック共重合体の数平均分子量を用いて、下式により求めることができる。
Mn(a)={Mn×a/(a+b)}/N
〔上式中において、Mn(a)は芳香族ビニル重合体ブロックの数平均分子量、Mnはブロック共重合体の数平均分子量、aはブロック共重合体中のすべての芳香族ビニル重合体ブロックの重量%、bはブロック共重合体中のすべての共役ジエン重合体ブロックの重量%、そしてNはブロック共重合体中の芳香族ビニル重合体ブロックの数を表す。〕
上記の部分水素化ブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量もしくは1,2−結合ビニル含有量と3,4−結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル単量体単位含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等混合して用いても構わない。
なお、上記の非水素化ブロック共重合体は公知の方法で製造することができる。また、上記の非水素化ブロック共重合体の部分水素化も公知の方法で行なうことができる。
また、本発明においては、国際公開特許WO02/094936号公報に記載されているような、全部又は一部が変性されたブロック共重合体や、オイルがあらかじめ混合されたブロック共重合体も好適に使用することができる。
さらに本発明の樹脂成形体は、炭素材料(D)を含有していても構わない。炭素材料(D)を添加することにより導電性が必要な用途へ適用することが可能となる。
本発明の樹脂成形体で使用可能な炭素材料(D)は、添加することで導電性を向上させる(体積抵抗率を下げる)ことが可能な炭素系のフィラーである。
炭素材料の中でも、特に導電性カーボンブラック、カーボンフィブリル、カーボンナノチューブ、またはこれらの混合物が好ましく使用することができる。本発明で使用可能な導電性カーボンブラックとしては、国際公開特許WO01/081473号公報に導電用カーボンブラックとして記載されているカーボンブラック等が挙げられる。市販されている導電性カーボンブラックの一例を挙げると、ケッチェンブラックインターナショナル社から入手可能なケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD等が挙げられる。また、本発明で使用可能なカーボンフィブリルとしては、国際公開特許WO94/023433号公報に記載されている微細な炭素繊維等が挙げられる。また、カーボンフィブリルは広義にはカーボンナノチューブも含むが、特定の構造を有するチューブ状炭素材料がカーボンナノチューブと称されている。本発明においてカーボンナノチューブとは、米国特許第4663230号明細書、米国特許第4663230号明細書、米国特許第5165909号明細書、米国特許第5171560号明細書、米国特許第5578543号明細書、米国特許第5589152号明細書、米国特許第5650370号明細書、米国特許第6235674号明細書等に記載されている繊維径が75nm未満で中空構造をした分岐の少ない炭素系繊維等を指す。また、1μm以下のピッチでらせんが一周するコイル状形状のものも含まれる。本発明でいうカーボンナノチューブの構造は、単層であっても多層であっても構わない。また、比較的分岐構造が多く繊維径が75nm以上で中空構造を有する炭素繊維も含まれる。市販されているカーボンナノチューブの例としては米国ハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なBNフィブリル等が挙げられる。
本発明の樹脂成形体における、これら炭素材料(D)の好ましい添加量は、樹脂成形体の重量に対して、0.5〜2.5重量%である。より好ましくは1.0〜2.0重量%である。
本発明で使用する炭素材料(D)の好ましい添加方法としては、該炭素材料(D)の少なくとも一部を、該ポリアミド(A)、該ポリフェニレンエーテル(B)、該部分水素化ブロック共重合体(C)から選ばれる少なくとも1種の少なくとも一部中に分散させてなるマスターバッチを用いて、樹脂成形体を製造する方法である。より好ましくは、該炭素材料(D)の少なくとも一部を該ポリアミド(A)の少なくとも一部に分散させてなるマスターバッチを用いる方法である。マスターバッチの製造方法に特に制限はないが、押出機を使用した溶融混練が最も好ましい。より好ましくは、250〜300℃に設定した2箇所以上の供給口を備えた同方向回転二軸押出機を用いて、上流側供給口よりポリアミド(A)などの樹脂を供給し溶融混練した後、下流側供給口より炭素材料(D)を供給し溶融混練する方法が挙げられる。この際に樹脂温度は340℃未満にすることがより好ましい。該マスターバッチ中の炭素材料(D)の好ましい配合量は5〜30重量%である。より好ましくは8〜25重量%である。
該炭素材料(D)の少なくとも一部を、マスターバッチの形態には特に制限はなく、例えば、粉体状、ペレット状、シート状、ストランド状、不定形塊状等を挙げることができるが、ペレット状であることが好ましい。
該マスターバッチは市販しているものを使用しても構わない。市販品のマスターバッチ
の例としては、米国ハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なポリアミド66/カーボンフィブリルマスターバッチ(商品名:Polyamide66 with Fibril Nanotubes RMB4620−00:カーボンフィブリル量20重量%)等が挙げられる。
本発明の樹脂成形体にはウォラストナイト粒子(E)を配合しても構わない。好ましいウォラストナイト粒子(E)は、平均粒子径が2〜9μmの範囲でありアスペクト比が5以上のもの[ここでの平均粒子径は、Sedigraph粒子径分析器(米国Micromeritics Instrument社製、モデル5100)を用いて、ウォラストナイト粒子0.75gを0.05%Calgon溶液45mlに加え、超音波浴で充分分散させた後、測定し、算出された球相当の直径を示し、アスペクト比は、走査型電子顕微鏡により観察し撮影された写真を用いて、少なくとも5000個のウォラストナイト粒子の直径及び長さを測定し、その加算平均値より算出した値を示す]である。
更には、アスペクト比の異なる2種以上のウォラストナイト粒子を組み合わせて用いることがより好ましい。具体的には、例えば、アスペクト比5以上のウォラストナイト粒子とアスペクト比5未満のウォラストナイト粒子とを組み合わせて用いることが好ましい。その際には、すべてのウォラストナイト粒子(E)の総重量に対して、アスペクト比5以上のウォラストナイト粒子を50重量%以上用いることが最も好ましい。
本発明の樹脂成形体を製造する際におけるウォラストナイト粒子(E)の好ましい添加方法としては、該ポリフェニレンエーテル(B)と共にウォラストナイト粒子(E)を他の材料に添加して混練し、樹脂成形体を得る方法、該ポリアミド(A)と共にウォラストナイト粒子(E)を他の材料に添加して混練し、樹脂成形体を得る方法、ポリフェニレンエーテル(B)とポリアミド(A)を溶融混練した後に、ウォラストナイト粒子(E)を添加して更に溶融混練し、樹脂成形体を得る方法等が挙げられるが、これらの中で最も好ましいのは、ポリフェニレンエーテル(B)とポリアミド(A)を溶融混練した後に、ウォラストナイト(E)を添加して更に溶融混練する方法である。
また、これらウォラストナイト粒子(E)は、ウォラストナイト粒子(E)の分散性と取り扱い性の向上の為、あらかじめ該ポリアミド(A)の少なくとも一部及び/又は部分水素化ブロック共重合体の少なく一部に分散させて得られるウォラストナイト含有マスターバッチの形態として添加することが可能である。
上記ウォラストナイト含有マスターバッチの詳細な製造方法としては、例えば、(1)ポリアミド(A)製造時に、ウォラストナイトの存在下で原料モノマーの重合を行う方法、
(2)押出機を使用し、ポリアミド(A)及び/又は部分水素化ブロック共重合体(C)とウォラストナイトとをドライブレンドし、ポリアミド(A)及び/又は部分水素化ブロック共重合体(C)が溶融するのに充分で、かつ熱分解が起こりにくい温度範囲で混練する方法、及び(3)上流側供給口と下流側供給口を有する二軸押出機を用いて、上流側供給口よりポリアミド(A)及び/又は部分水素化ブロック共重合体(C)を供給し、下流側供給口よりウォラストナイトを添加する方法等が挙げられる。これらの中では、(3)の方法がより好ましい。
本発明の樹脂成形体の製造時に、相溶化剤を添加しても構わない。
使用することが可能な相溶化剤は、ポリアミド−ポリフェニレンエーテル混合物の物理的性質を改良するものであれば特に制限はない。具体的には相溶化剤とは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドまたはこれら両者と相互作用する多官能性の化合物を指すものである。この相互作用は化学的(たとえばグラフト化)であっても、または物理的(たとえば分散相の表面特性の変化)であってもよい。
本発明の樹脂成形体の製造時において使用することのできる相溶化剤の例としては、特開平08−008869号公報(欧州公開特許第201416号公報に対応)及び特開平09−124926号公報(欧州公開特許第747439号公報に対応)等に詳細に記載されており、これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、併用使用も可能である。
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、無水マレイン酸またはその誘導体、マレイン酸またはその誘導体、クエン酸またはその誘導体、フマル酸またはその誘導体、及びこれらによりあらかじめ変性されたポリフェニレンエーテルペレットが挙げられる。
相溶化剤の好ましい量は、ポリアミド(A)とポリフェニレンエーテル(B)の合計100重量部に対して0.01〜25重量部である。
本発明において使用できる相溶化剤の好ましい形態に特に制限はないが、粉体形状よりも、粒子形状のほうが取り扱い性に優れるため好ましい。具体的には無水マレイン酸のような刺激臭が伴う相溶化剤を使用する際は、粉体状より粒状の方が臭気が低減し、作業環境を悪化させにくくなるためより好ましい。
これら粒状の相溶化剤の好ましい粒子サイズは、直径1mm以上である。より好ましくは直径1mm〜10mmの範囲の粒状の形態である。最も好ましくは直径3〜8mmの範囲の粒状の形状である。直径10mm以下であれば押出機への供給に問題が発生する恐れがなくなる。
本発明の樹脂成形体においては、該ポリアミド(A)は連続相を形成し、該ポリフェニレンエーテル(B)は該連続相中に分散して分散相を形成し、該部分水素化ブロック共重合体は、該ポリアミド(A)の連続相及び該ポリフェニレンエーテル(B)の分散相からなる群より選ばれる少なくとも1つの相に存在する。ポリアミドが連続相を形成できない組成領域においては、塗膜密着性が急激に悪化する。この場合の分散相中のブロック共重合体の分散状態に特に制限はなく、米国特許第5109052号明細書に示されてあるようなミクロ相分離構造であっても、ポリフェニレンエーテル中にブロック共重合体が塊で存在している構造であっても構わない。
本発明の樹脂成形体においては、該ポリアミド(A)が該成形体の表面に露呈しており、成形体の表面に露呈している該ポリアミド(A)の総面積が、該成形体の表面積に対して80%以上である必要がある。また、上記該ポリアミド(A)の総面積(以下、屡々、単に「ポリアミド面積率」と称す)は90%以上であることが好ましい。
上記ポリアミド面積率が80%未満では、塗膜密着性が大幅に低下してしまう。
ここでいう成形体表面におけるポリアミド面積率は以下の方法で測定することが可能である。
成形体を幅約1cm、長さ約1cmの形状に切断し(ペレットの場合は、切断せずにそのまま使用する)、20℃〜80℃に温度調節されたリン−タングステン酸10重量%水溶液に、24時間を超えない範囲で浸漬し、ポリアミド部分を選択的に染色する。
染色後、成形体を取り出し水洗し乾燥し、得られた平板状成形片の表面を電界放出形走査電子顕微鏡FE−SEM[機器名:S−4700型/(株)日立製作所製]を用いて、5kVの加速電圧下で、表面に対して直角の角度で反射電子像を撮影する。(倍率は2,500倍)
この時、タングステンに染色されたポリアミドがタングステンの電子反射により白く見え、それ以外の染色されていない部分が黒く見え、表面のポリアミドを判別することができる。
得られた反射電子像写真を画像解析装置(機器名:Image−Pro PLUS ver.4.0/米国MediaCybernetics社製)により、撮影した全面積に対する白く反射している面積の比を計算し、ポリアミド面積率とする。(この時、白と黒の面積比を算出する時の二値化のしきい値は、色調のヒストグラムより白と黒のピーク値を求め、その中間値とする。)
成形体表面のポリアミド面積率を測定する際には、少なくとも10箇所の部位について
観察し、それぞれの部位で算出された値の加算平均値をもって表す。また、その際には、成形体の構造や成形体の製造方法から判断してポリアミドの量が他の箇所と比較して低くなることが予想されるような箇所(例えば、射出成形時の流動末端付近)ではなく、成形体の中央部付近の異なる場所の10箇所について測定する。(例えば、射出成形により成形体を製造する場合、ゲート部を0とし、ゲート部から流動末端部を距離を1とした場合、ゲート部から0〜0.8の距離にある箇所において測定する。)
また、本発明の樹脂成形体が、ストランドカットペレット(押出機を出た後に、水浴中で冷却され、ストランドカットされたペレット)である場合には、カット面は面積には含めず、測定部位もカット面以外で行う。
本発明において、樹脂成形体の優れた塗膜密着性を達成するためには、表面のポリアミド面積率が高いことが必須要件であるが、その塗膜密着性は、ポリアミド単独及びポリフェニレンエーテル単独よりも優れるという特徴を持つ。
本発明の樹脂成形体は、分散相樹脂(ポリフェニレンエーテル(B)及び部分水素化ブロック共重合体(C))が成形体表面に浮き出る形で適度な凹凸を生じさせ、かつその凹凸をポリアミド(A)が被覆することにより効果を発現する。分散相樹脂により成形体表面に適度な凹凸を生じさせるためには、分散相の溶融粘度を高める必要がある。また、良好なポリアミド(A)による分散相の被覆を得るためには、ポリアミド(A)の溶融粘度は低く設定することが望ましい。
分散相樹脂の溶融粘度を十分に高めて成形体表面に適度な凹凸を生じさせるためには、上記部分水素化ブロック共重合体(C)の分子量を高く制御することが必要である。具体的には、上記した数平均分子量が200,000〜300,000の部分水素化ブロック共重合体(C−1)を用いることにより、成形体表面に適度な凹凸を生じさせることができる。
ポリアミド(A)として溶融粘度の低いポリアミドを単独で使用した場合には、ポリアミド面積率は高く設定することができるが、機械的特性(衝撃強度等)が低下する現象が発生する。また、溶融粘度の高いポリアミドを単独で使用した場合においては、機械的特性は向上するが、成形体表面のポリアミド面積率が低下し、塗膜密着性が低下する。この両者を両立させるためには、上記したように2種以上のポリアミドを使用することが必要である。
本発明においては、分散相を形成する樹脂(ポリフェニレンエーテル(B)及び部分水素化ブロック共重合体(C))の溶融粘度(290℃、1000sec−1)が800Pa・秒以上であることが好ましい。更に好ましくは1000Pa・秒以上である。
また、連続相を形成する樹脂(ポリアミド(A))の溶融粘度(290℃、1000sec−1)は200Pa・秒未満であることが好ましい。さらに好ましくは100Pa・秒未満である。
さらに分散相樹脂と連続相樹脂の溶融粘度の比が(連続相を形成する樹脂の溶融粘度に対する分散相を形成する樹脂の溶融粘度の比)が10以上であることが好ましく、更に好ましくは20以上である。
これら、分散相樹脂と連続相樹脂の溶融粘度は、例えば、分散相樹脂の場合、その分散相を形成する樹脂組成のみで押出を行い、得られたペレットの溶融粘度をキャピラリーレオメーター等で実測することにより測定可能である。連続相樹脂についても同じである。
但し、ウォラストナイト等の添加剤を樹脂成形体の成分として用いる場合、これらは含めずに測定する。
分散相を形成する樹脂の溶融粘度を800Pa・s以上、連続相を形成する樹脂の溶融粘度が200Pa・s未満にして、かつ分散相樹脂と連続相樹脂の溶融粘度比が10以上をすることにより、上記ポリアミド面積率を向上させ、本発明の樹脂成形体の特徴である高塗膜密着性を高く保つことが容易となる。
本発明において、連続相に対する分散相の重量比率が1.0を下回る範囲が好ましい。より好ましくは、0.9以下である。1.0を下回る組成比とすることにより、上記ポリアミド面積率を安定して高めることが可能となる。また、部分水素化ブロック共重合体(C)が、ポリフェニレンエーテル(B)の分散相中に存在する場合には、分散相中のポリフェニレンエーテル(B)の比率は、分散相全体の重量に対して、50〜90重量%であることが好ましい。分散相中のポリフェニレンエーテル濃度を高く保つことにより、光沢率を低く保つことが可能となる。具体的には、ポリアミド(A)、ポリフェニレンエーテル(B)、部分水素化ブロック共重合体(C)の総重量に対して、ポリアミド(A)が50〜70重量%、ポリフェニレンエーテル(B)が25〜45重量%であり、部分水素化ブロック共重合体(C)が5〜25重量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは、ポリアミド(A)が50〜60重量%、ポリフェニレンエーテル(B)が35〜45重量%であり、部分水素化ブロック共重合体(C)が5〜15重量%の範囲である。
本発明の樹脂成形体は、ポリアミド配合量が80重量%より少なくても、成形体表面のポリアミド面積率が80%を超える(表面のポリアミド存在割合と、バルクでのポリアミド存在割合が異なる)というところに特徴があり、これにより塗膜密着性を発現できる。
本発明の樹脂成形体において、ポリアミド面積率を80%以上にする方法としては、例えば、分散相樹脂に対し、連続相樹脂の溶融時の粘度を低く設定する方法、ポリアミド(A)とポリフェニレンエーテル(B)の反応物(グラフト体)生成量を適度な量に制御するといったことが挙げられる。
分散相樹脂に対し、連続相樹脂の溶融時の粘度を低く設定するための具体的な方法としては、上記したようにポリアミド(A)の粘度を調節する方法、成形体中のポリフェニレンエーテルの分子量が、上記下好ましい範囲となる様ポリフェニレンエーテルの重合度を調整する方法、分子量の異なる2種以上のポリフェニレンエーテルをブレンドする方法等が挙げられる。
また、ポリアミド(A)とポリフェニレンエーテル(B)の反応物生成量を適度な量に制御する方法としては、上記した特定範囲のアミノ基濃度を有するポリアミドを選択する方法、ポリフェニレンエーテルの変性率を調整(例えば、変性されたポリフェニレンエーテルと、未変性のポリフェニレンエーテルの混合物とする方法)する方法等が挙げられる。
ポリアミド面積率を80%以上にするための手法は、上述したものに限られるものではなく、また、複数の手法を用いても、もちろん構わない。
また、本発明の樹脂成形体において、ウォラストナイトを用いる際の好ましい配合量は、成形体の平均線膨張率[ISO15103−2:1997に規定された成形条件にて溶融温度290℃、金型温度90℃で成形したISO294−3:1996に規定される厚み2mmのタイプD2平板の中央部を10mm(樹脂の流動方向)×3mm(流動直角方向)×2mm(厚み方向)に切削し、100℃環境下で48時間以上状態放置した試験片を用い、JIS K7197−1991に従い、−30〜80℃の温度範囲で5℃/分の昇温速度で測定]が、4.5×10−5−1〜6.5×10−5−1の範囲に入る量であることが望ましい。
具体的には、ポリアミド(A)、ポリフェニレンエーテル(B)、部分水素化ブロック共重合体(C)の総重量に対して、10〜50重量部であることが好ましい。より好ましくは15〜35重量部である。
本発明では、上記した成分のほかに、本成分の効果を損なわない範囲で必要に応じて付加的成分を添加しても構わない。
付加的成分の例としては、ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、無機充填材(タルク、カオリン、ゾノトライト、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭素繊維、ガラス繊維など、)、無機充填材と樹脂との親和性を高める為の公知のシランカップリン
グ剤、難燃剤(ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、及び三酸化アンチモン等の難燃助剤、カーボンブラック等の着色剤、カーボンファイバー、導電性カーボンブラック及びカーボンフィブリル等の導電性付与材、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。
これらの成分の具体的な添加量は、ポリアミド(A)、ポリフェニレンエーテル(B)、部分水素化ブロック共重合体(A)及び相溶化剤の合計量100重量部に対して、合計で100重量部を越えない範囲である。
本発明の樹脂成形体を製造するために用いる樹脂組成物の製造方法に関して以下に説明する。
上記樹脂組成物製造のための具体的な加工機械としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられるが、中でも二軸押出機が好ましく、特に、上流側供給口と1カ所以上の下流側供給口を備えた二軸押出機が最も好ましい。
特に、3つ以上の供給装置を備えたスクリュー径50mm以上の押出機を用いてポリアミド、ポリフェニレンエーテル、相溶化剤をそれぞれ異なる供給装置より押出機に供給し溶融混練することが中でも最も好ましい。
特に粒状の相溶化剤と粉体状のポリフェニレンエーテルを用いた場合、両者を異なる供給装置で供給することにより分級を防止し、供給装置内の場所によりポリフェニレンエーテルと相溶化剤の比が変化するという問題点を未然に防ぐことができる。
押出機等に供給されるポリフェニレンエーテルと相溶化剤の比が変化すると、分散相の粘度・粒径が変化し、場所により光沢度や塗膜密着性が変化する等の悪影響が発生する可能性がある。
また、特に相溶化剤の供給装置としてはスクリュー式重量フィーダーを使用することが好ましい。スクリュー式重量フィーダーを使用することで供給の安定性が増し、品質の安定化につながり更に有効である。
加工時の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、混練状態等を考慮して通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。この際の好ましい樹脂温度は310〜340℃である。
以下に、上記の樹脂組成物の具体的な製造方法を例示するが、もちろんこれに限定されるものではない。
上流側供給口と1カ所以上の下流側供給口を備えた二軸押出機の上流側供給口にスクリュー式重量式フィーダーとベルト式重量フィーダーを各1基ずつ配し、下流側供給口にスクリュー式重量フィーダーを1基配し、(1)ベルト式重量フィーダーからブロック共重合体とポリフェニレンエーテルの混合物を供給、スクリュー式重量フィーダーより相溶化剤をそれぞれ独立して上流側供給口に供給し、溶融混練した後、下流側供給口よりポリアミドを供給し溶融混練する方法、(2)ベルト式重量フィーダーからポリフェニレンエーテルを供給、スクリュー式重量フィーダーより相溶化剤とブロック共重合体の混合物をそれぞれ独立して上流側供給口に供給し、溶融混練した後、下流側供給口よりポリアミドを供給し溶融混練する方法、(3)ベルト式重量フィーダーから粉体状ポリフェニレンエーテルを供給、スクリュー式重量フィーダーより相溶化剤とポリフェニレンエーテルペレットをそれぞれ独立して上流側供給口に供給し、溶融混練した後、下流側供給口よりポリアミドを供給し溶融混練する方法等が挙げられる。
このようにして得られた樹脂組成物を、任意の方法で成形して本発明の樹脂成形体を得る。本発明でいう樹脂成形体とは、射出成形したものに限定されず、押出成形されたシート・フィルム・ペレット、及びそれから射出成形等で2次加工された射出成形体まで包含
される。好ましい樹脂成形体の形状は、直径3mm未満、長さ3mm未満の円柱状ペレット、直径3mm未満の球状ペレット、直径4mm未満の円盤状ペレットまたはこれらペレットを射出成形してなる射出成形体である。
本発明の第2の態様においては、
ポリアミド(A)、
ポリフェニレンエーテル(B)、
芳香族ビニル単量体単位を主体とする少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(C)、
導電性炭素材料(D)及び
ウォラストナイト粒子(E)
を含む導電性樹脂組成物が提供される。
本発明の導電性樹脂組成物において使用する上記のポリアミド(A)としては、本発明の樹脂成形体に関連して上記したものと同様のものを用いることができる。但し、本発明の導電性樹脂組成物においては、2種以上の異なるポリアミド成分を用いる必要はなく、1種のポリアミドのみを用いてもよい。しかし、本発明の樹脂成形体の場合と同様に2種以上の異なるポリアミド成分を用いることが好ましい。
本発明の導電性樹脂組成物において使用する上記のポリフェニレンエーテル(B)に関しても、本発明の樹脂成形体に関連して上記したものと同様のものを用いることができる。
また、上記のブロック共重合体(C)に関しても、本発明の樹脂成形体に関連して上記したものと同様のものを用いることができるが、水素化されていてもいなくてもよい。
本発明の導電樹脂組成物において使用するブロック共重合体(C)は、数平均分子量が50,000以上150,000未満のものであることが望ましい。
更に、導電性炭素材料(D)及びウォラストナイト粒子(E)に関しても本発明の樹脂成形体に関連して上記したものと同様のものを用いることができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物の製造方法に関しては、上記した本発明の樹脂成形体の製造に用いる樹脂組成物の製造方法を用いることができる。
本発明の樹脂成形体及び本発明の導電性樹脂組成物を成形して得られる成形体の用途としては、例えばリレーブロック材料等に代表されるオートバイや自動車の電装部品;ICトレー、各種ディスクプレーヤー等のシャーシー、キャビネット等の電気・電子部品;各種コンピューターおよびその周辺機器等のOA部品や機械部品;さらにはオートバイのカウルや、自動車のバンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、アウタードアハンドル、ドアミラーハウジング、ホイールキャップ、ルーフレール及びそのステイ材、スポイラー等に代表される外装部品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等に代表される内装部材等に好適に使用できる。
これらの中でも特に自動車外装部品として好適に使用できる。
以下、本発明を実施例、比較例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は実施例などにより何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕 無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル[以下、単にMPPEと略記]の製造
還元粘度0.42dl/gのポリフェニレンエーテル100重量部に無水マレイン酸3重量部をドライブレンドし、ZSK−40押出機[コペリオン社(ドイツ)製,L/D=42]で樹脂温度320℃で溶融混練し得られたペレット。
〔製造例2〕 ポリアミド6,6/6、I共重合体[以下、単にPA66/6Iと略記]の製造
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩20.0kgとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩5.0kg、アジピン酸1.0kg、及び純水25kgを50Lのオートクレーブの中に仕込みよく攪拌した。充分窒素置換した後、攪拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。
この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧は18kg/cm−Gになるが、18kg/cm−G以上の圧力にならないよう水を反応系外に除去しながらさらに加熱を続けた。さらに2時間後内温が260℃に到達したら加熱を止め、オートクレーブの排出バルブを閉止し、約8時間かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開け、約20kgのポリマーを取り出し粉砕した。
得られた粉砕ポリマーを、窒素気流下、200℃で10時間固相重合した。
固相重合によって得られたポリアミドは、ヘキサメチレンイソフタラミド単位を約19モル%含有し、末端アミノ基濃度はポリマー1kg当たり3.9×10mol/g、末端カルボキシル基濃度が10.2×10mol/gであった。
〔製造例3〕 ポリアミド/カーボンマスターバッチ[以下、単にPA−MB]の製造
押出機上流側に1カ所、下流側に1カ所の供給口を有するL/D(押出機のスクリュー長さLのスクリュー直径Dに対する比)が46である二軸押出機[ZSK−58MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口から下流側供給口までのシリンダー温度を280℃、下流側供給口からダイまでの温度を300℃に設定し、90重量部のPA66−1を上流側供給口より供給し、10重量部のKBを下流側供給口より供給した。このときに、スクリュー回転数は400回転とし、吐出量は300kg/hとした。
〔実施例1〕
上流側供給口に1箇所と下流側の2箇所の供給口を有するZSK70MC同方向回転二軸押出機[ドイツ国コペリオン社製、L/D=46、第1〜第12の12個の個別に温度設定可能なシリンダーユニットと、ダイを有し、第1シリンダーユニットに上流側供給口を有し、第6シリンダーユニットに下流側第一供給口を有し、第8シリンダーユニットに下流側第2供給口を有し、第5シリンダーユニットと第11シリンダーユニットに減圧吸引可能なベントポートを有する]の上流側供給口にベルト式重量フィーダー1基とスクリュー式重量フィーダー2基を配し、下流側第一供給口にスクリュー式重量フィーダー1基を配した。
還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃)が0.52dl/gのポリフェニレンエーテルパウダー[以下、単にPPE1と略記]を上流側供給口に配したスクリュー式重量フィーダー(以下、単にフィーダー1と略記)から供給し、相溶化剤としての無水マレイン酸[三菱化学(株)製:直径4〜5mmのタブレット形状](以下、単にMAH)を上流側供給口に配したスクリュー式重量フィーダー(以下、単にフィーダー2と略記)から供給し、数平均分子量(Mn)246,000のポリスチレン−ポリエチレンブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(スチレン成分含有量33%)[以下単にSEBS1と略記]4重量部及び数平均分子量(Mn)98,500のポリスチレン−ポリエチレンブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(スチレン含有量29%)[以下、単にSEBS2と略記]8重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドしたものを、上流側供給口に配したベルト式重量フィーダー(以下、単にフィーダー3と略記)から供給した。また、下流側供給口に配したスクリュー式重量フィーダー(以下、単にフィーダー4と略記)から、粘度数120ml/g、末端アミノ基濃度2.5×10mol/g、末端カルボキシル基濃度11.6×10mol/gのポリアミド6,6[以下、単にPA66−aと略記]40重量部と、粘度数130ml/g、末端アミノ基濃度4.2×10mol/g、末端カルボキシル基濃度9.1×10mol/gのポリアミド6,6[以下、単にPA66−bと略記]10重量部をタンブラーでドライブレンドしたものを供給した。
このときのバレル温度設定は、第1シリンダーユニットは水冷、第2及び第3シリンダーユニットは250℃、第4〜第7シリンダーユニットは320℃、第8〜第12シリンダーユニットまでは280℃、ダイは320℃に設定した。
これら原材料を、表1記載の組成割合になり、かつ全体の吐出量が909kg/hになるようにそれぞれのフィーダーの供給量を調整し、押出機で溶融混練し、ペレットを得た。
なお、この時のスクリュー回転数は500rpmであった。
(ポリフェニレンエーテル分子量測定)
得られたペレット約10gを約20μm厚みにミクロトームでスライスし、50mlのクロロホルムでソックスレー抽出した。得られたクロロホルム溶液(クロロホルムに可溶の成分:主としてポリフェニレンエーテルとブロック共重合体)を、GPCを用いて、紫外分光検出器で測定し標準ポリスチレンで換算し算出した。この時、同時に溶出してくるブロック共重合体を検出しないよう測定紫外線波長を283nmに設定した。
得られた分子量データを解析したところ、分子量200,000以上の重量割合が、1.45%であり、分子量5,000以下の重量割合が、4.78%であった。また、分子量5,000以下の成分の割合に対する分子量200,000以上の成分の割合の比は0.30であった。
(ポリアミド面積率測定)
次に、得られたペレットのポリアミド面積率を求めるため、ペレットを40℃に温度調節されたリン−タングステン酸10重量%水溶液に、8時間浸漬し、ポリアミド部分を選択的に染色した後、試料を取り出し水洗し乾燥し、得られた染色済みペレットの表面を電界放出形走査電子顕微鏡FE−SEM[機器名:S−4700型/(株)日立製作所製]を用いて、5kVの加速電圧下で、表面に対して直角の角度で反射電子像を倍率2,500倍で撮影した。得られた反射電子像写真を画像解析装置(機器名:Image−Pro PLUS ver.4.0/米国MediaCybernetics社製)により、撮影した全面積に対する白く反射している面積の比を計算し、ポリアミド面積率とし、表1に記載した。(この時、白と黒の面積比を算出する時の二値化のしきい値は、色調のヒストグラムより白と黒のピーク値を求め、その中間値とした。)
(成形体のつや消し状態)
シリンダー設定温度280℃,金型温度80℃に設定したIS80EPN射出成形機を用いて、幅50mm、長さ90mm、厚み2.5mmの平板状成形片に成形した。このとき、射出速度(ISO294−1に記載されている臨界断面積を通過する溶融樹脂の平均速度)は、200mm/sになるように設定し、射出圧力は、試験片を充填するために必要最小限の圧力(成形片にヒケ・未充填が発生しない最小圧力)で成形した。なお、射出時間は20秒、冷却時間は25秒であった。
得られた成形片の表面状態を観察したところ、成形片のゲート部分を除いて、ほぼつや消し状態となっていた。なお、本発明においては、つや消し状態は、以下の4段階で評価した。塗料がのりやすく均等な厚みの塗膜を得るためには、つや消し部分が多いほど好ましい。
I:成形片全面に光沢があり、つや消し部分がほとんどない。
II:成形片の流動末端部分にしか、つや消し部分がない。
III:成形片のゲート付近を除き、ほぼつや消し状態。
IV:成形片のほぼ全面が、つや消し状態。
(塗膜密着性評価)
塗膜密着性を測定するため、自動吹き付け塗装装置を用いて、塗膜厚みが20μmになるよう調節し、平板状成形片への塗装を実施した。塗料はオリジン(株)製、Z−NYを使用した。吹き付け塗装後、80℃の温度で30分間焼付けを実施した。
塗装実施後、温度23℃、湿度50%の環境下に静置し、24時間後、2cm×2cmの範囲で一目が2mm四方になるようにカッターナイフで碁盤目状に傷を付け(合計で100目となる)、セロテープを貼付し一気に引き剥がす塗膜剥離試験を実施した。100目の内、剥離試験後に剥離せずに残った碁盤目数を測定したところ、95目が剥離せず残った。
これら得られた結果は、表1に記載した。
(塗装の鮮映性)
塗装後の平板状試験片の外観を観察した。観察はまず塗装表面を詳細に観察し、塗装表面に小さな凹凸がないかを確認した。次に、約1.5m上方にある蛍光灯の、塗装面への映り方により評価を行なった。評価基準は以下のとおりである。
クラスA:塗装面に映った蛍光灯の輪郭がはっきりと見える。
クラスB:塗装面に映った蛍光灯の輪郭が不明確ではあるが判別できる。
クラスC:塗装面に映った蛍光灯の輪郭が不明確で、存在が確認できる程度。
クラスD:塗装表面に小さな凹凸がある。
分散相を形成する樹脂の溶融粘度を測定するため、上述の押出機を用いて、フィーダー4を除く3つのフィーダーのみを運転する以外はすべて同様に押出を実施し、分散相樹脂のみのペレットを得た。次に連続相を形成する樹脂の溶融粘度を測定するためフィーダー4のみを運転した状態で押出を実施し、連続相樹脂のみのペレットを得た。
得られたそれぞれのペレットを用いて、キャピラリーレオメーターで290℃、1000sec−1での溶融粘度を測定したところ、分散相溶融粘度(ηd)が、約1570Pa・秒であり、連続相溶融粘度(ηm)は、約50Pa・秒であった。両者の粘度比(ηd)/(nm)は、約31であった。
〔実施例2〜4及び比較例1〕
供給する原料及びその量を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様に実施し、各物性を測定した。結果を表1に示す。
なお、実施例1で使用したものと異なる原料は以下のとおりである。
還元粘度が0.42dl/gのポリフェニレンエーテルパウダー[以下、単にPPE2と略記]
製造例1で製造したMPPE
粘度数230ml/g、末端アミノ基濃度2.4×10mol/g、末端カルボキシル基濃度4.8×10mol/gのポリアミド6,6[以下、単にPA66−cと略記]
製造例2で製造したPA66/6I
Figure 2007186704
〔実施例5〜7及び比較例2〕
以下に示す原料を使用した以外は、例1と同様に実施した。各物性値は、組成とともに表2に記載した。
数平均分子量(Mn)105,000のポリスチレン−ポリエチレンブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(スチレン含有量60%)[以下、単にSEBS3と略記]
ケッチェンブラックインターナショナル社より入手したケッチェンブラックEC−600JD[以下、KB]
製造例3で製造したポリアミド/カーボンマスターバッチ[以下、単にPA−MB]
Figure 2007186704
〔実施例8〜10及び比較例3〕
下流側第二供給口にスクリュー式重量フィーダー1基(以下、単にフィーダー5と略記
)を配し、ウォラストナイトを供給した以外はすべて実施例1と同様に押出し、ペレットを得た。得られたペレットを用いて物性評価を実施した。組成と結果は、表3に記載した。実施例1で用いたものと異なる原料及び実施例1では使用していない原料は以下のとおりである。
宇部興産(株)より入手したポリアミド6:商品名1013B(以下、単にPA6と略す)
米国ナイコ社より入手した以下のウォラストナイト
[ウォラストナイト1]
平均粒子径=5μm、アスペクト比=13
[ウォラストナイト2]
平均粒子径=5μm、アスペクト比=3
[ウォラストナイト3]
平均粒子経=10μm、アスペクト比=13で、0.5重量%のアミノシラン化合物処理品
Figure 2007186704
〔実施例11〕
各原料の比率を変えた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた結果は、組成とともに表4に記載した。
Figure 2007186704
本発明の樹脂成形体は、表面のつや消し性、ならびに塗装後の塗膜密着性及び塗膜鮮映性にも優れる。また、本発明の導電性樹脂組成物を用いて成形体を製造すると、得られた成形体は、表面のつや消し性、ならびに塗装後の塗膜密着性及び塗膜鮮映性に優るのみならず、自動車フェンダーや自動車バックドア等の大型成形品において特に重要な特性である線膨張係数が十分に低い成形体を得ることができる。本発明の熱可塑性樹脂成形体並びに本発明の導電性樹脂組成物を用いて得られた成形体は、自動車外装部品はもちろんのこと、電気・電子部品、OA部品、機械部品、及びオートバイ・自動車の電装部品や内装部品などの幅広い分野にも好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. ポリアミド(A)、
    ポリフェニレンエーテル(B)、
    芳香族ビニル単量体単位を主体とする少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体(C)、
    導電性炭素材料(D)及び
    ウォラストナイト粒子(E)
    を含む導電性樹脂組成物。
  2. 該ポリアミド(A)に該導電性炭素材料(D)を分散させてなるマスターバッチを、該ポリフェニレンエーテル(B)、該ブロック共重合体(C)、該ウォラストナイト粒子(E)及び場合によっては付加量の該ポリアミド(A)及び付加量の該導電性炭素材料(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種と溶融混練することによって製造され、該導電性炭素材料(D)が、導電性カーボンブラック、カーボンフィブリル及びカーボンナノチューブからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. 該ウォラストナイト粒子(E)の平均粒子径が2〜9μmであることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  4. 該ウォラストナイト粒子(E)が、アスペクト比5以上の粒子とアスペクト比5未満の粒子とを含み、該ウォラストナイト粒子(E)の総重量に対する、アスペクト比5以上の粒子の量が50重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
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