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JP2007186434A - 医薬組成物 - Google Patents

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JP2007186434A JP2006004279A JP2006004279A JP2007186434A JP 2007186434 A JP2007186434 A JP 2007186434A JP 2006004279 A JP2006004279 A JP 2006004279A JP 2006004279 A JP2006004279 A JP 2006004279A JP 2007186434 A JP2007186434 A JP 2007186434A
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Masayasu Takahashi
正泰 高橋
新也 ▲高▼見
Shinya Takami
Akira Nagakura
晃 長倉
Takashi Kamikubo
隆 上久保
Hana Mukai
華 向井
Ryotaro Ibuka
遼太郎 井深
Hiroyuki Koshio
裕之 古塩
Noriko Ishikawa
典子 石川
Hiroshi Shibata
洋 柴田
Yumiko Soga
有美子 曽我
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Abstract

【課題】 一酸化窒素産生促進剤及び/又は内皮性一酸化窒素合成酵素活性化剤として有用な化合物を提供する。
【解決手段】 本発明医薬の有効成分であるフェネチルニコチンアミド化合物は、優れた血管内皮性一酸化窒素産生促進作用及び/又は内皮性一酸化窒素合成酵素活性化作用に基づく血流循環改善作用を有する。本発明医薬は、血管内皮機能不全が病因である疾患又は病理学的状態の改善、殊に、末梢動脈閉塞症、動脈硬化、虚血性心疾患などの治療剤として有用である。更に、痴呆の予防又は治療剤、並びに、脳卒中、脳外傷、脊髄損傷等の中枢神経変性疾患による運動機能障害を含めた機能障害の回復促進作用又は機能回復訓練効果の増強及び/又は促進剤としても有用である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、血管内皮細胞由来の一酸化窒素(NO)産生促進剤及び/又は内皮性一酸化窒素合成酵素(eNOS)活性化作用を有するフェネチルニコチンアミド化合物及びその製薬学的に許容される塩を有効成分とする医薬に関する。殊に、血管内皮性NO産生促進作用及び/又はeNOS活性化剤に関する。
NO(一酸化窒素)はL-アルギニンが酸化されL-シトルリンになる際に産生され、その反応はNO合成酵素(NO Synthase:NOS)によって触媒される。NO産生は生体内の様々な組織、細胞種で観察されるが、恒常的にNOを産生、放出する代表的な細胞種が血管内皮細胞である。血管内皮細胞で産生されるNO(血管内皮性NO)が内皮由来血管弛緩因子(EDRF:endothelium-derived relaxing factor)であることが報告されている(Nature, 1987,327,524-526 ; Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1987, 84, 9265-9269)。
高脂血症・動脈硬化などの動脈硬化性疾患や糖尿病にみられる血管内皮の機能障害は、eNOSにより産生されるNOの低下による内皮依存性血管弛緩・拡張反応(EDR)の減弱がその大きな原因であると言われている。
またeNOSにより産生される血管内皮性NOは、血管弛緩作用だけでなく、血小板凝集抑制・抗血栓作用、抗増殖作用、抗炎症作用などを有する(医学のあゆみ, 2003, 204(4), 621-625)。
NOがEDRFの本体であることが判明し、更にNOが全身の循環調節において重要な役割を果たすことが明らかになったことから、循環不全治療薬としてニトログリセリン製剤をはじめとするNO供与製剤(硝酸剤)が臨床的に頻用されるようになった。しかし、NO供与製剤は作用持続時間が短く、長期服用した際に耐性が生じやすい。また対象臓器特異性に乏しいことから副作用として全身血圧低下、血圧下降による頻脈、頭痛、めまいが出現する。また、過度のNO産生は細胞毒性を生じることが知られている。
また、NOSの基質であるL-アルギニンの効果がNOに関連する疾患で検討されてきたが、L-アルギニン長期投与の効果は微弱で部分的であると報告されている(Hypertension, 1994, 23, 752-756 ; Hypertension, 1996, 25, 898-902)。
一方、血管拡張剤としては、一般に、カリウムチャンネル開口作用剤が血管拡張作用を有することが知られているが、血圧低下作用も併せ持つため、血流循環改善のためには血圧低下を起こす量以上の投与が必要であることが報告されている(Eur. J. Pharmacol., 1994, 264, 285-293; Gen. Pharmacol., 1998, 31, 59-62)。そのため、血圧への影響の少ない血流循環改善剤の開発が切望されている。
これらの知見より、血管内皮細胞での自発的かつ十分量のNO産生を促進する化合物、及び/又はeNOS活性化作用を有する化合物は、血管内皮性NOが関与する機序と血流循環改善による機序を有することから、血管内皮機能を改善し、血流障害、動脈硬化、高脂血症、糖尿病性合併症、虚血性心疾患や各種臓器での循環不全等の血管内皮機能低下に起因する疾患等の疾患に対して優れた治療剤になると考えられる。
また、脳循環、特に脳微小循環は、他の組織にはない脳血流の自動調節能(autoregulation)によってほぼ一定に保持されているが、その調節には、脳組織へのエネルギー供給を制御している血液脳関門が深く関与していることが知られている。血管内皮細胞は血液脳関門の主体であり、血管内皮細胞でeNOSにより産生されるNOは血管透過性亢進作用を調節するとともに、脳血流の自動調節能の保持に非常に重要な役割を演じていると考えられている(日薬理誌, 1999, 113, 203-210; J.Creb.Blood.Flow.Metab., 1984, 4, 574-585)。
eNOSは脳内においても広範に分布していることが報告されており、殊に、大脳皮質、海馬等の神経細胞に発現が認められる(Neuroscience 2003, 119, 979-990)。記憶・学習の神経細胞レベルのモデルと考えられる長期増強(LTP:Long-term potentiation)の形成にeNOSの活性化が関与していることや、NOS阻害剤の投与により動物において学習障害が惹起され、NO供与製剤によって学習障害が回避されることが報告されていることから、eNOSにより産生されるNOは記憶、学習において非常に重要な役割を果たしていると考えられている(Brain res., 2003, 964, 159-163; Prog. Neurobiol., 2001, 64, 51-68; Cell, 1996, 87, 1015-1023)。
更に、学習障害が認められる老齢動物の大脳皮質、海馬においてeNOS活性が低下していることが報告されており(Neurosci. letters, 2004, 370, 175-179)、一方、ヒトにおいてもアルツハイマー病患者の神経細胞においてeNOS発現の異常が報告されている(Neurobiol. Aging, 2000, 21, 309-319)。これらの知見より、血管内皮細胞及び/又は神経細胞での自発的かつ十分量のNO産生を促進する化合物、及び/又はeNOS活性化作用を有する化合物が、痴呆、その他の認知障害に対して優れた治療剤になると考えられる。
また、血管内皮性NO産生促進又はeNOS活性化作用と、脳卒中、脳外傷、脊髄損傷等の中枢神経変性疾患による運動機能障害を含めた機能障害の回復促進作用、又は機能回復訓練(リハビリテーション医療)効果の増強及び/又は促進作用との関連が示唆されている。動物において、脳損傷後の機能障害の回復がNO供与製剤によって促進・増強されることが報告されており(Ann. Nueol., 2001, 50, 602-611)、その背景として、損傷部位周辺組織におけるeNOSの活性化による血管新生が深く関与していることが報告されている(Stroke, 2005, 36, 847-852; Circ. Res., 2003, 92, 308-313)。
これまで知られている血管内皮性NO産生促進又はeNOSに関する作用を有する化合物は、主に、eNOS量を増加させることをその機序としている。例えば、HMG-CoA還元酵素阻害剤(コレステロール合成阻害剤)が、血管内皮細胞においてeNOSのmRNA量を増加させることにより、NO産生を促進することが報告されている。また、4-フルオロ-N-インダン-2-イルベンズアミド(特許文献1)、ヘテロ環-CONH-又はアリール-CONH-で置換されたインダン誘導体(特許文献2)、ヘテロ環-CONH-又はアリール-CONH-で置換された6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン誘導体(特許文献3)、及びヘテロ環-CONH-等で置換された1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(特許文献4)がeNOS発現亢進作用を有することが開示されている。また、ソイステロール、ピリドキシン類、リボフラビン類、タウリン、イノシトールヘキサニコチネート及びパンテチンも血管内皮性一酸化窒素の合成促進及び/又は内皮性酸化窒素血中濃度の維持・向上作用を有することが知られている(特許文献5)。しかしながら、eNOS発現のみを増強させると、その程度によっては、コファクターがアンカップリングなeNOSが増加する。そのアンカップリングなeNOSは、NOではなく活性酸素を産生し、かえってNOバイオアベイラビリティを低下させ、動脈硬化等の循環器疾患を悪化させる可能性があることが報告されている(J. Clin. Invest., 2002, 110, 331-340)。
また、フェネチルニコチンアミド誘導体としては、以下の化合物が知られている。
Figure 2007186434
(表中、(Hal)mの欄のハロゲンの前の数字は置換位置を表し、2,4-diClは2位と4位それぞれにClが存在することを示す。)
化合物Aは、製造中間体として開示されているとともに(特許文献6)、弱いカリウムチャンネル開口作用及び弱い血管拡張作用を有することが開示されている(非特許文献1及び2)。
化合物B(非特許文献3)、D(特許文献7)、J(特許文献6)及びL(特許文献8)は、いずれも製造中間体として開示されている。
化合物C、E、F、G、H、I、K及びMは試薬カタログ上の公知化合物であり、用途に関する開示はない。
しかしながら、これらの化合物が血管内皮性NO産生促進作用及び/又はeNOS活性化作用を有することは、これらの文献には開示も示唆もない。
国際公開WO02/064146パンフレット 国際公開WO02/64545パンフレット 国際公開WO02/64546パンフレット 国際公開WO02/64565パンフレット 特開2004−115507 特開平7−33729 特開昭61−289087 国際公開WO02/18327パンフレット Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 1994, 4 (20), 2485-2488 Archives Internationales de Pharmacodynamie et de Therapie 1994, 328 (3), 297-306 Nippon Kagaku Zasshi 1970, 91(6), 575-577
本発明の課題は、新規な血管内皮性NO産生促進剤及び/又はeNOS活性化剤を提供することである。
本発明者等は、血管内皮性NO産生促進作用及び/又はeNOS活性化作用を有する化合物について鋭意検討した結果、ベンゼン環が少なくとも1個以上のハロゲンで置換されたフェネチルニコチンアミド化合物が、優れた血管内皮性NO産生促進作用を有することを知見し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記式(I)で示されるフェネチルニコチンアミド化合物又はその製薬学的に許容される塩と製薬学的に許容される担体とからなる血管内皮性NO産生促進及び/又はeNOS活性化剤、並びに、式(I)で示される化合物又はその製薬学的に許容される塩と、製薬学的に許容される担体とからなる末梢動脈閉塞症(PAOD)(間歇性跛行等)治療剤に関する。更に、痴呆(アルツハイマー型痴呆、脳血管性痴呆症(脳血管性認知症)等)の予防又は治療剤、並びに、脳卒中、脳外傷、脊髄損傷等の中枢神経変性疾患による運動機能障害を含めた機能障害の回復促進作用又は機能回復訓練(リハビリテーション医療)効果の増強及び/又は促進剤にも関する。
Figure 2007186434
(式中の記号は以下の意味を示す。
X1:N又はC-R1
X2:N又はC-R2
X3:N又はC-R3
但し、X1、X2又はX3のうち、1個がNのとき、他の2個はNではない、
R1、R2、R3及びR4:同一又は互いに異なって、-H、-ハロゲン、-RA、-OH、-O-RA、-S-RA、-ハロゲノ低級アルキル、-N(R11)(R12)、-O-シクロアルキル、-O-(置換されていてもよい含窒素飽和へテロ環)、-CN、-CO2H、-CO2-R0又は-CO-N(R13)(R14)、
RA:-OH、-O-R0、-CO2H及び-CO2-R0から選択される1個以上の基で置換されていてもよい低級アルキル、
R0:-低級アルキル、
R11及びR12:同一又は互いに異なって、-H、-R0又は-CO-R0
R13及びR14:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-O-R0又は-シクロアルキル、或いは、結合する窒素原子とともに、置換されていてもよい含窒素飽和へテロ環を形成してもよい、
R5:-H、-R0、-低級アルキレン-CO2H、-低級アルキレン-CO2-R0又は-低級アルキレン-CO-N(R15)(R16)、
R15及びR16:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
Hal:ハロゲン、
R6:-NO2、-CN、-R0、-OH、-ハロゲノ低級アルキル、-CO2H、-O-R0、-CO2-R0、-CO-N(R13)(R14)又は-低級アルキレン-O-R0
m:1、2、3、4又は5、
但し、mが2以上のとき、Halは同一又は互いに異なっていてもよい、
n:0又は1、但し、m+nは5以下、
k:0又は1。以下同様。)
また本発明は、下記式(I’)の化合物又はその製薬学的に許容される塩と、製薬学的に許容される担体とからなる医薬組成物にも関する。
Figure 2007186434
(式中の記号は以下の意味を示す。
X1:N又はC-R1
X2:N又はC-R2
X3:N又はC-R3
但し、X1、X2又はX3のうち、1個がNのとき、他の2個はNではない、
R1、R2、R3及びR4:同一又は互いに異なって、-H、-ハロゲン、-RA、-OH、-O-RA、-S-RA、-ハロゲノ低級アルキル、-N(R11)(R12)、-O-シクロアルキル、-O-(置換されていてもよい含窒素飽和へテロ環)、-CN、-CO2H、-CO2-R0又は-CO-N(R13)(R14)、
RA:-OH、-O-R0、-CO2H及び-CO2-R0から選択される1個以上の基で置換されていてもよい低級アルキル、
R0:-低級アルキル、
R11及びR12:同一又は互いに異なって、-H、-R0又は-CO-R0
R13及びR14:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-O-R0又は-シクロアルキル、或いは、結合する窒素原子とともに、置換されていてもよい含窒素飽和へテロ環を形成してもよい、
R5:-H、-R0、-低級アルキレン-CO2H、-低級アルキレン-CO2-R0又は-低級アルキレン-CO-N(R15)(R16)、
R15及びR16:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
Hal:ハロゲン、
R6:-NO2、-CN、-R0、-OH、-ハロゲノ低級アルキル、-CO2H、-O-R0、-CO2-R0、-CO-N(R13)(R14)又は-低級アルキレン-O-R0
m:1、2、3、4又は5、
但し、mが2以上のとき、Halは同一又は互いに異なっていてもよい、
n:0又は1、但し、m+nは5以下、
k:0又は1。
但し、以下の化合物を除く:
Figure 2007186434
表中、(Hal)mの欄のハロゲンの前の数字は置換位置を表し、2,4-diClは2位と4位それぞれにClが存在することを示す。以下同様。)
更に本発明は、上記式(I)又は(I’)で示されるフェネチルニコチンアミド化合物又はその製薬学的に許容される塩の、血管内皮性NO産生促進及び/又はeNOS活性化剤又はPAOD治療剤製造のための使用、血管内皮性NO産生促進及び/又はeNOS活性化方法、並びに、PAOD、痴呆の治療方法又は機能障害の回復促進作用又は機能回復訓練効果の増強及び/又は促進方法にも関する。
本発明医薬の有効成分であるフェネチルニコチンアミド化合物又はその塩は、優れた血管内皮性NO産生促進及び/又はeNOS活性化作用による血流循環改善作用を有する。即ち、本発明医薬は、血管内皮性NOが関与する機序と血流循環改善による機序を有し、その一方又は両方の作用により、血管内皮機能不全が病因である種々の疾患の治療に有用である。血管内皮機能不全が病因である疾患として、例えば、末梢動脈閉塞症(PAOD)が挙げられる。PAODは、その症状からI〜IV度に分類(Fontain分類、I度:しびれ・冷感、II度:間歇性跛行、III度:安静時疼痛、IV度:潰瘍・壊死)されるが、本発明医薬はこれらのいずれの症状にも有効性が期待され、殊に間歇性跛行に有効であると考えられる。また、本発明医薬は血圧や心拍に対する影響が少ないことも期待できる。
また、本発明医薬の有効成分であるフェネチルニコチンアミド化合物又はその塩は、脳卒中、脳外傷、脊髄損傷等の中枢神経変性疾患による運動機能障害を含めた機能障害の回復促進、又は機能回復訓練効果の増強及び/又は促進剤として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書中、「アルキル」及び「アルキレン」とは、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を意味する。「低級アルキル」は、好ましくは炭素数1〜6個(以下、C1-6と略す)のアルキル基であり、より好ましくはメチル、エチル、2-プロピル及びヘキシルである。「低級アルキレン」は、上記「低級アルキル」の任意の水素原子1個を除去してなる二価基(C1-6アルキレン)を意味し、好ましくはC1-4アルキレンであり、より好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン及びジメチルメチレンである。
「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIを示す。「ハロゲノ低級アルキル」とは、好ましくは、1個以上のハロゲンで置換されたC1-6アルキルを意味し、より好ましくはハロゲノC1-3アルキルであり、更に好ましくはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル及び2,2,2-トリフルオロエチル、より更に好ましくは、トリフルオロメチル及び2,2,2-トリフルオロエチルである。
「シクロアルキル」は、好ましくはC3-10のシクロアルキルであり、架橋されていてもよい。より好ましくはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチルである。
「含窒素飽和へテロ環」とは、1個の窒素原子を有し、更に1個のO、S及びNから選択されるヘテロ原子を有していても良い単環3〜8員、好ましくは5〜7員の、飽和ヘテロ環基を示す。例えば、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、モルホリニル、チオモルホリニル基が挙げられる。
「置換されていてもよい」とは、「無置換」あるいは「同一又は異なる置換基を1〜5個有していること」を示す。「置換されていてもよい含窒素飽和へテロ環」における置換基としては、好ましくはR0-、R0-CO-又はR0-O-CO-、より好ましくはR0-又はR0-CO-、更に好ましくはR0-である。
本発明医薬の有効成分である式(I’)の化合物は式(I)の化合物に包含される。したがって、以下説明において、単に「化合物(I)」と略記することがある。
本発明医薬の有効成分である化合物(I)の好ましい態様を以下に示す。
(1)X1がC-R1;X2がC-R2;X3がC-R3;R1、R2、R3及びR4のうち1個は、-H、-ハロゲン、-R0、-O-R0、-S-R0及び-ハロゲノ低級アルキルから選択される基であり、他の3個は-Hである化合物。
(2)mが2乃至5の整数であり、nが0である化合物。
(3)mが1乃至3、nが0、X1、X2及びX3がともにCH、R4がH、かつkが0である化合物。
(4)mが2、nが0、X1、X2及びX3がともにCH、R4がH、かつkが0である化合物。
(5)mが1乃至3、Halが同一又は異なってF又はClである化合物。殊に、mが2である化合物。
(6)R5がHである化合物。
(7)kが1である化合物。
(8)X1がN又はC-R1、X2及びX3がともにCHである化合物。
(9)X2がN又はC-R2、X1及びX3がともにCHである化合物。
(10)上記(8)又は(9)において、R1又はR2が、-H、-OH、-R0、-O-R0、-NH2、-NHR0及び-N(R0)2から選択される基である化合物。
(11)R5がH、X1がN又はCH、X2及びX3がともにCHである化合物。
(12)R5がH、X2がN又はCH、X1及びX3がともにCHである化合物。
(13)上記(1)、(2)、(5)、(6)及び(8)〜(12)において、kが1である化合物。
(14)上記(1)、(2)、(5)、(6)及び(8)〜(12)において、kが0である化合物。
(15)上記(1)〜(14)のいずれかのうち、X1、X2及びX3がともにCHである化合物。
(16)上記(1)〜(15)のいずれかのうち、mが2である化合物。
及び/又は、
(17)上記(1)〜(3)及び(5)〜(15)のいずれかのうち、mが3である化合物。
特に好ましくは以下の化合物である:
N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド、N-[2-(3-ブロモフェニル)エチル]ニコチンアミド、N-[2-(2,4,5-トリフルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-(イソプロピルアミノ)ニコチンアミド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド 1-オキシド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ピリダジン-4-カルボキサミド、N-[2-(2-クロロ-4,5-ジフルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-ヒドロキシニコチンアミド、N-[2-(2-クロロフェニル)エチル]-5-メチルニコチンアミド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-エトキシニコチンアミド 1-オキシド及びN-[2-(2-クロロ-4,5-ジフルオロフェニル)エチル]ピリミジン-5-カルボキサミド。
「痴呆」とは、いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し社会的・職業的に明らかな能力低下を示す状態をいう。
「痴呆の症状」としては、中核症状として記憶障害と認知機能障害、随伴症状として種々の精神症状(自発性・意欲低下、うつ状態、幻覚・妄想、不安焦燥、心気状態等)と行動障害(徘徊、不眠・昼夜逆転、夜間せん妄等)と大脳機能障害(失語、失行、失認等)が認められる。
「痴呆の予防」とは、頭部X線CT、MRI、PET、SPECT等の画像所見、脳波所見、各種知的機能検査、神経心理学的検査等の早期診断により、将来的に「痴呆」の発症が予想される段階で薬物療法を実施することにより、「痴呆の症状」の発現を未然に防止し、もしくは、「痴呆の症状」の発現を遅延させ、本来ある機能を日常生活上支障をきたさないレベルに維持することを意味する。
「痴呆の治療」とは、頭部X線CT、MRI、PET、SPECT等の画像所見、脳波所見、各種知的機能検査、神経心理学的検査等の診断により「痴呆の症状」が発現していると確認された段階で薬物療法を実施することにより「痴呆の症状」の進行を遅延させる、又は、進行を抑止することにより日常生活上の支障を最小限にする、もしくは、取り除くことを意味する。
「行動心理学的症候(behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)」とは痴呆に随伴する症状(周辺症状)としての種々の精神症状と行動障害を示す。
「軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)」とは、記憶低下または認知機能低下の客観的証拠(家族の観察、神経心理学的検査等)はあるが、社会生活上明らかな支障をきたしていない状態を示す。
「中枢神経変性疾患による機能障害」とは、脳卒中等の中枢神経変性疾患による脳の障害や、脳に障害を受けた部位が司る神経機能の障害による運動機能障害、感覚障害等を意味する。好ましくは、運動機能障害である。
「脳卒中」とは、出血性及び非出血性に分けられ、出血性としては、脳出血、くも膜下出血、脳動脈奇形に伴う頭蓋内出血、非出血性としては脳梗塞が挙げられる。
「脳外傷」とは、交通事故などの原因により外傷性に脳に損傷を受けた状態を指し、脳挫傷、脳硬膜外血腫、脳硬膜下血腫、脳内血腫、びまん性軸索損傷などが挙げられる。
「脊髄損傷」とは、脊椎の骨折や脱臼などにより、脊髄が圧迫・挫滅を受け機能障害をきたす状態を示す。
「神経変性疾患」とは、特定の機能系に属する神経細胞が慢性かつ進行性に死んでいく疾患群のことを示す。パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症などが挙げられる。
「運動機能障害」とは、随意運動が困難又は不能、或いは円滑に行えない状態を意味し、運動麻痺及び運動失調を意味する。具体的には、巧緻運動の障害、Babinski徴候、痙性麻痺、spasticity(慢性期)、深部腱反射亢進(慢性期)、筋固縮(rigidity)、動作緩徐、不随意運動(振戦、舞踏運動、アテトーゼ、ジストニア等)、運動失調(四肢・体幹)、又は言語障害、摂食・嚥下障害である。好ましくは歩行機能障害ならびに上肢機能障害である。
「感覚機能障害」とは、脳の障害により、触覚、圧覚、温覚等の表在感覚、位置感覚、振動覚などの深部感覚、2点識別覚や皮膚書字覚等の複合感覚などの感覚が正常に認識されない状態をいい、その程度により、感覚消失(脱失)、感覚鈍麻(減退)、感覚過敏、感覚異常(錯感覚)がある。また、半身感覚障害、表在感覚障害、全感覚障害などの感覚障害の生じている部位による感覚障害も含まれる。
「言語機能障害」とは、言語機能を司る領域の損傷により、言葉を聴く、読む、話す、書くといった言語側面の能力低下を呈する失語症ならびに、唇、舌、声帯など発声・発語器官の麻痺や、運動の調節障害(失調)によって発声や発音がうまくできなくなるなどの症状を呈する構音障害をいい、好ましくは運動障害性構音障害である。
「機能障害の回復促進」とは、発症後の入院期間の短縮やセルフケアの早期自立、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上を促す等を目的とし、前記機能障害をより早期に高いレベルまで回復させることを意味する。
本発明の好ましい用途は、脳卒中、脳外傷、神経変性疾患、脊髄損傷による運動機能障害に関し、更に好ましくは脳卒中後の歩行機能障害ならびに上肢機能障害に関する。
「機能障害回復訓練」とは、中枢神経疾患発症後の時期及び患者の状態に応じて、急性期、回復期、維持期に行われる筋力増強、手指や膝などの関節可動域訓練、歩行などの動作訓練などの運動機能回復訓練、言語機能回復訓練、認知機能回復訓練等を意味する。好ましくは、運動機能回復訓練である。
「機能障害回復訓練効果の増強」とは、訓練のみ行った場合と比較し、さらに高いレベルまで機能を回復させ障害を軽減させることを意味する。
「機能障害回復訓練効果の促進」とは、訓練のみ行った場合と比較し、より短期間に機能の回復を促すことを意味する。
本発明医薬の有効成分である化合物(I)は置換基の種類によっては幾何異性体や互変異性体が存在する場合があるが、本発明にはこれらの異性体の分離したもの、あるいは混合物が包含される。
また、化合物(I)は不斉炭素原子を有する場合があり、これに基づく(R)-体、(S)-体の光学異性体が存在しうる。本発明はこれらの光学異性体の混合物や単離されたものを全て包含する。
更に、化合物(I)には、薬理学的に許容されるプロドラッグも含まれる。薬理学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で本発明のNH2、OH、CO2H等に変換できる基を有する化合物である。プロドラッグを形成する基としては、Prog. Med., 5, 2157-2161 (1985)や「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
化合物(I)は、酸付加塩又は置換基の種類によっては塩基との塩を形成する場合もある。かかる塩としては、製薬学的に許容される塩であり、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マイレン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
さらに、本発明は、化合物(I)及びその塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含する。
(製造法)
本発明の有効成分である化合物(I)及びその製薬学的に許容される塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基で保護、又は当該官能基に容易に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等であり、それらの保護基としては例えばグリーン(T. W. Greene)及びウッツ(P. G. M. Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行った後、必要に応じて保護基を除去、あるいは所望の基に転化することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、化合物(I)のプロドラッグは上記保護基と同様、原料乃至中間体の段階で特定の基を導入、あるいは得られた化合物(I)を用い反応を行うことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者により公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下、化合物(I)の代表的な製造法を説明する。なお、本発明の製造法は以下の例に限られるわけではない。
第1製法(アミド化)
Figure 2007186434
化合物(I)は、対応するカルボン酸化合物(II)と式(III)で示されるフェネチルアミンとを公知の方法(例えばM. Bodanszky、Peptide Chemistry、p55-73 (1988);泉屋信夫ら、ペプチド合成の基礎と実験、p89-142 (1985)などが参照される)によりアミド化することにより製造できる。なお、kが1である化合物(N-オキシド)である化合物(I)は、対応するカルボン酸誘導体(II)のN-オキシドを用いて製造することができる。
好ましくは、カルボン酸化合物(II)を反応性誘導体(例えば酸クロリド、酸ブロミド等の酸ハライド;酸アジド;メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、置換していてもよいフェノール、N-ヒドロキシスクシンイミド(HONSu)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等を用いて調整できる活性エステル;対称酸無水物;アルキル炭酸、p-トルエンスルホン酸等との混合酸無水物等)に変換した後、化合物(III)と反応させることにより行うことができる。カルボン酸の反応性誘導体を用いる場合、塩基(水酸化ナトリウム等の無機塩基、又はトリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基)を添加することが好ましい。或いは、カルボン酸を用い、縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)、1,1’-カルボニルビス-1H-イミダゾール(CDI)等)の存在下に反応させることによって行うこともできる。その際HOBtやHONSu等の添加剤を加えてもよい。
反応温度は、原料化合物に応じて適宜選択できる。溶媒は不活性溶媒、例えばベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系の溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられ、原料化合物の種類等に従い適宜選択され、単独、或いは2種以上混合して用いられる。
第2製法(アルキル化)
Figure 2007186434
(Yはハロゲン又はスルホネート等の脱離基、R5aは低級アルキル、-Z-CO2R0(Zは低級アルキレン基)を示す。以下同様。)
本発明化合物中、式(I)で示される化合物のうち、R5が低級アルキル又は-Z-CO2R0で置換されたアミド化合物(Ib)は、対応するR5がHの化合物(Ia)のN-アルキル化反応によっても製造できる。
反応は適当な不活性溶媒(好ましくは、THFなどのエーテル系溶媒あるいはDMF)中、反応対応量の化合物(Ia)と化合物(IV)あるいはいずれか一方を過剰量用い、必要により、水素化ナトリウム、カリウム tert-ブトキシド、炭酸カリウム、TEA等の無機又は有機塩基を加え、冷却下〜加熱下に実施するのが有利である。
第3製法(酸化)
kが0である本発明化合物を原料として、酸化反応に付すことによりkが1である化合物(N-オキシド)を製造することができる。
反応は、kが0である本発明化合物を適当な酸化剤(例えば、過酸化水素、m-クロロ過安息香酸、過酢酸等の過酸あるいは過酸化物)を反応対応量あるいは過剰量用い、必要により、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基を加え、冷却下〜加熱下に実施することができる。溶媒は、例えばクロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒、アセトン、アセトニトリル、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、原料化合物および酸化剤の種類等に従い適宜選択される。
第4製法
式(I)における基R1、R2、R3、R4又はR5上の種々の置換基は、本発明化合物(I)を原料として、当業者にとって自明である反応、又はこれらの変法を用いることにより、他の官能基へと容易に変換することができる。例えば以下の反応が適用できる。
(1)加水分解
カルボン酸エステル体を加水分解することによって、カルボキシル基を有する本発明化合物を製造できる。反応は加水分解の常法を用いることができ、例えば、前述の「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版)」のカルボキシル基の脱保護反応等に記載の方法を適用することができる。
(2)アミド化
カルボキシル基を有する本発明化合物を原料とし、種々のアミド化合物が製造できる。反応は前記第1製法(アミド化)の方法が適用できる。
上記各製法により得られた反応生成物は、遊離化合物、その塩あるいは水和物など各種の溶媒和物として単離され、精製される。塩は通常の造塩処理に付すことにより製造できる。
単離、精製は、抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等通常の化学操作を適用して行われる。
各種異性体は異性体間の物理化学的な性質の差を利用して常法により単離できる。例えば、光学異性体は一般的な光学分割法、例えば分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離できる。また、光学異性体は、適当な光学活性な原料化合物より製造することもできる。
化合物(I)又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する製剤は通常製剤化に用いられる担体や賦形剤、その他の添加剤を用いて調製される。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、あるいは関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、経鼻剤あるいは吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
投与量は症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常、経口投与の場合、成人1日当たり0.001 mg/kg〜1000 mg/kg程度、好ましくは0.1〜300 mg/kg、更に好ましくは0.1〜100 mg/kgが適当であり、これを1回で、あるいは2〜4回に分けて投与する。また、症状によって静脈投与される場合は、通常、成人1日当たり0.0001 mg/kg〜500 mg/kgが適当であり1日に1回乃至複数回に分けて投与する。また、経鼻剤あるいは吸入剤等の経粘膜剤の場合は、通常、成人1日当たり0.001 mg/kg乃至500 mg/kgの範囲で1日に1回乃至複数回に分けて投与される。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一種又はそれ以上の有効成分を、少なくとも一種の不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、及び/又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な溶剤、例えば精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁化剤のような補助剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤を含む。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(局方名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体、半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば、ラクトースや澱粉のような賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、もしくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
以下、製造例に基づき本発明の有効成分である化合物(I)の製法を更に詳細に説明する。また原料化合物の製法を参考例に、公知化合物の製造を参考製造例にそれぞれ示す。
また、製造例、参考例及び後記表中以下の略号を用いる。Pre:製造例番号、REx:参考例番号、RPr:参考製造例番号、Dat:物理化学的データ(FAB:FAB-MS(M+H)+、FAB-N:FAB-MS(M-H)-、ESI:ESI-MS(M+H)+、EI:EI-MS(M+)、NMR:DMSO-d6中の1H NMRにおける特徴的なピークのδ(ppm)、Sal:塩(HCl:塩酸塩、2HCl:2塩酸塩、HBr:臭化水素酸塩、−又は無記載:フリー体)、Me:メチル、Et:エチル、iPr:2-プロピル、cHex:シクロヘキシル、Ac:アセチル、Bn:ベンジル、Boc:tert-ブトキシカルボニル、null:非存在。
参考例1
(4-ブロモ-2-クロロフェニル)メタノール 2.6 gのクロロホルム 30 ml溶液に、室温下塩化チオニル 1.7 mlを加え1時間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残留物2.4 gを得た。残留物のアセトニトリル 30 ml溶液に、室温下シアン化カリウム 2.4 gおよび18-クラウン-6-エーテル 3.4 gを順次加え80℃で一晩撹拌した。室温まで冷却後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:n-ヘキサン)に付し、淡黄色油状物を得た。得られた淡黄色油状物のTHF 20 ml溶液に、ボラン-THF錯体(1M THF溶液)20 mlを加え4時間加熱還流した。室温まで冷却後、1M塩酸水溶液を加え更に1時間加熱還流した。再び室温まで冷却後、1M水酸化ナトリウム水溶液を加え反応系を塩基性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層より1M塩酸水溶液で抽出し、1M水酸化ナトリウム水溶液を加え塩基性とした後、再度酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、2-(4-ブロモ-2-クロロフェニル)エチルアミン 772 mgを淡黄色油状物として得た。FAB:234, 236。
参考例2
[2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]アセトニトリル 787 mgのTHF 7 ml溶液に、ボラン-ジメチルスルフィド錯体 1.66 mlを加え6時間加熱還流した。室温まで冷却後、4M塩酸水溶液を加えさらに1時間加熱還流した。再び室温まで冷却後、水層をジエチルエーテルで洗浄し、1M水酸化ナトリウム水溶液を加え水層を塩基性とした。ジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、2-[2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン 682 mgを無色油状物として得た。FAB:224, 226。
参考例3
4-ブロモ-2-フルオロベンジルクロリド 1.0 gのアセトニトリル 30 ml溶液に、室温下シアン化カリウム 874 mg及び18-クラウン-6-エーテル 1.4 gを順次加え60℃で二晩撹拌した。室温まで冷却後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた生成物のTHF 10 ml溶液に、ボラン-THF錯体(1M THF溶液)20 mlを加え2時間加熱還流した。室温まで冷却後、1M塩酸水溶液を加えさらに1時間加熱還流した。再び室温まで冷却後、1M水酸化ナトリウム水溶液を加え反応系を塩基性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層より1M塩酸水溶液で抽出し、1M水酸化ナトリウム水溶液を加え塩基性とした後、再度酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、2-(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)エチルアミン 388 mgを淡黄色油状物として得た。FAB:218, 220。
参考例4
(4-クロロ-2-メトキシフェニル)メタノール 5.3 gのTHF 100 ml溶液に、氷冷下塩化チオニル 2.7 mlを加え30分間撹拌した。室温まで昇温後、溶媒を減圧留去し、残留物を無色油状物として得た。得られた油状物のアセトニトリル 100 ml溶液に、室温下、シアン化カリウム 3.0 gおよび18-クラウン-6-エーテル 12.3 gを順次加え60℃で一晩撹拌した。室温まで冷却後、反応液をある程度まで減圧留去し、残留物に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル−n-ヘキサン)で精製して、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセトニトリル 3.6 gを淡黄色固体として得た。FAB-N:180。
参考例5
(4-クロロ-4-メトキシフェニル)アセトニトリル 3.6 g、ラネーニッケル約10 g、30%アンモニア水溶液及びエタノールの混合物を水素気流下6時間撹拌した。セライトを用いてろ過後、溶媒を減圧下留去し、2-(4-クロロ-4-メトキシフェニル)エチルアミン 3.5 gを無色油状物として得た。ESI:186, 188。
参考例6
3-ブロモ-2-フルオロ安息香酸 498 mgのTHF 4.4 ml溶液に、室温下、ボラン−ジメチルスルフィド錯体 1.05 mlを加え一晩撹拌した。メタノールを加え、溶媒を減圧下留去し、(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)メタノール 455 mgを褐色油状物として得た。EI:204, 206。
参考例7
(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)メタノール 455 mgのジクロロメタン 4.4 ml溶液に、室温下、三臭化リン 0.08 mlを加え2時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、3-ブロモ-2-フルオロベンジルブロミド 427 mgを褐色の油状物として得た。EI:266, 268, 270。
参考例8
3-ブロモ-2-フルオロベンジルブロミド 427 mgのエタノール 1.6 ml溶液に、調整した1Mシアン化ナトリウム水溶液 2.4 mlを加え、80℃にて2時間攪拌した。冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)アセトニトリル 427 mgを淡黄色の油状物として得た。EI:213, 215。
参考例9
5-ブロモ-2-フルオロベンズアルデヒド 5.1 gのメタノール 25 ml溶液に、氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム 1.13 gを加え、室温で一晩撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)メタノール 5.0 gを白色固体として得た。EI:204, 206。
参考例10
3-ブロモ-4-フルオロフェニル酢酸 1.99gのDMF 25 ml溶液に、室温下HOBt 1.25 g及びWSC塩酸塩 2.42 gを順次加えた。30分後、炭酸アンモニウム 2.69 mgを加え、さらに一晩撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、2-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)アセタミド 2.29 gを淡黄色固体として得た。EI:231, 233。
参考例11
2-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)アセタミド 2.29 gのTHF 14 ml溶液に、ボラン−ジメチルスルフィド錯体 3.36 mlを加え6時間加熱還流した。室温まで冷却後、濃塩酸を加えさらに1時間加熱還流した。再び室温まで冷却後、4M水酸化ナトリウム水溶液を加え水層を塩基性とした後、ジエチルエーテルで抽出した。有機層に4M塩酸水溶液を加え、ジエチルエーテルで洗浄した。1M水酸化ナトリウム水溶液を加え水層を塩基性とした後、再度ジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた生成物を常法に従い塩酸塩とすることにより、2-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩 1.18 gを無色固体として得た。FAB:218, 220。
参考例12
5-ヒト゛ロキシニコチン酸メチル 766 mgのTHF 20 ml溶液に、室温にてエタノール 0.34 ml、トリフェニルホスフィン 1.6 g、ジエチルアゾジカルボキシレート 0.95 mlを順次加え、同温で一晩攪拌した。シリカゲル 5 gを加え、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:n-ヘキサン)で精製することにより、5-エトキシニコチン酸メチルを含む生成物 990 mgを得た。本生成物はこれ以上の精製操作を行うことなく、次反応に用いた。FAB:182。
参考例13
参考例12の生成物 990 mgのエタノール 10 mlの溶液に、室温にて1M水酸化ナトリウム水溶液 7.5 mlを加え、同温にて3時間攪拌した。反応終了後、1M塩酸水溶液 7.5 mlを加え、反応系を中和した。溶媒を減圧留去し、析出した結晶をろ取し、5-エトキシニコチン酸 522 mgを白色固体として得た。FAB:168。
参考例14
5-ブロモニコチン酸メチル 432 mgのトルエン 2.0 ml及びイソプロピルアミン 2.0 mlの混合溶液に、ナトリウム-tert-ブトキシド 288 mg、(±)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル 37 mg、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 12 mgを順次加え、封管中100℃にて二晩攪拌した。反応終了後、セライトを用いてろ過し、水を加え酢酸エチルで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:n-ヘキサン)で精製することにより、N-イソプロピル-5-(イソプロピルアミノ)ニコチンアミド 180 mgを得た。FAB:222。
参考例15
ジイソプロピルアミン 6.3 mlのTHF 150 ml溶液にアルゴン雰囲気下、-78℃にて1.6M n-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液 30 mlを加え、-10℃で30分間攪拌した。再度-78℃にて4-クロロピリジン 3.47 gのTHF 50 ml溶液を加え、同温でさらに4時間攪拌した。同温にてDMF 12 mlを加え、さらに2時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:n-ヘキサン)で精製することにより、黄色固体の4-クロロニコチンアルデヒド 3.35 gを得た。EI:141。
参考例16
参考例15の化合物2.85 gの水溶液200 mlに、室温にて過マンガン酸カリウム 6.3 gを加え、同温で2時間攪拌した。反応終了後、エタノールを約25 ml加え、1時間攪拌した。セライトを用いてろ過後、溶媒を減圧留去し、生成物 4.2 gを得た。その生成物 2.2 gを用い、6M塩酸水溶液 100 ml中、一晩加熱還流した。次いで溶媒を減圧留去し、残渣のメタノール 50 ml溶液に、濃硫酸 5.0 mlを加え、一晩加熱還流した。氷冷下、飽和炭酸水素ナトリウムを加え、反応液を中和した後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;メタノール:クロロホルム)で精製することにより、低極性溶出部より4-メトキシニコチン酸メチル 712 mgを白色固体として得、高極性流出部より4-ヒドロキシニコチン酸メチル 124 mgを白色固体として得た。4-メトキシニコチン酸メチル FAB:168;4-ヒドロキシニコチン酸メチル EI:153。
参考例17
参考例16と同様にして4-クロロニコチンアルデヒドを酸化後、エタノール中、濃硫酸存在下、一晩加熱還流し、以下同様に精製して、4-エトキシニコチン酸エチル 893 mgを白色固体として得た。FAB:196。
参考例2と同様にして参考例18〜54の化合物を、参考例6と同様にして参考例55〜59の化合物を、参考例7と同様にして参考例60〜65の化合物を、参考例8と同様にして参考例66〜73の化合物を、参考例12と同様にして参考例74〜78の化合物を、並びに、参考例13と同様にして参考例79〜82の化合物を、それぞれ製造した。参考例18〜82の化合物の構造及び物理化学的データを表4〜6にそれぞれ示す。
参考製造例1
2-(2-クロロフェニル)エチルアミン 778 mgのピリジン 4 mlおよび1,4-ジオキサン 4 mlの混液に、ニコチン酸クロリド塩酸塩 890 mgを徐々に加え80℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出た。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物を4M塩化水素/酢酸エチル溶液を用いて塩酸塩とした後、メタノール-酢酸エチルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロフェニル)エチル]ニコチンアミド塩酸塩 1.36 gを白色固体として得た。
参考製造例1と同様にして、参考製造例2〜4の化合物を、後記製造例51と同様にして、参考製造例5及び6の化合物をそれぞれ製造した。化合物の構造及び物理化学的データを表7に示す。
製造例1
参考製造例1と同様にして、後記表に示す製造例1の化合物を製造した。
製造例2
2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチルアミン 1.05 gのピリジン 3 ml及び1,4-ジオキサン 4 mlの混液に、ニコチン酸クロリド塩酸塩 1.2 gを徐々に加え80℃で1時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物を4M塩化水素/酢酸エチル溶液を用いて塩酸塩とした後、エタノール-酢酸エチルより析出した結晶をろ取した。得られた結晶をエタノールより再結晶し、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド塩酸塩 1.18 gを白色固体として得た。
製造例3〜39
製造例2と同様にして、後記表に示す製造例3〜39の化合物を製造した。
製造例40
(2,3,4-トリフルロフェニル)アセトニトリル 428 mgのTHF 5 ml溶液に、ボラン-ジメチルスルフィド錯体 1.19 mlを加え、6時間加熱還流した。室温まで冷却後、4M塩酸水溶液を加え、さらに1時間加熱還流した。再び室温まで冷却後、水層をジエチルエーテルで洗浄した。1M水酸化ナトリウム水溶液を加え水層を塩基性とした後、ジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた生成物のピリジン 3.1 ml及び1,4-ジオキサン 6.2 mlの混液に、ニコチン酸クロリド塩酸塩 329 mgを加え80℃で30分間撹拌した。室温まで冷却後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物を4M塩化水素/酢酸エチル溶液を用いて塩酸塩とした後、エタノールより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2,3,4-トリフルロフェニル)エチル]ニコチンアミド塩酸塩 235 mgを白色固体として得た。
製造例41
製造例40と同様にして後記表に示す製造例41の化合物を製造した。
製造例42
2-メチルニコチン酸 206 mgのDMF 4 ml溶液に、室温下HOBt 243 mg及びWSC塩酸塩 575 mgを順次加えた。30分後、2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチルアミン 347 mgを加え、さらに3時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル)で精製し、4M塩化水素/酢酸エチル溶液を用いて塩酸塩とした後、エタノール−ジエチルエーテルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-2-メチルニコチンアミド塩酸塩 371 mgを白色固体として得た。
製造例43〜50
製造例42と同様にして、後記表に示す製造例43〜50の化合物を合成した。
製造例51
2-メトキシニコチン酸 1.0 gのTHF 20 ml溶液に、室温下TEA 2.73 ml、クロロギ酸エチル 1.87 ml及び2-(2,4-ジクロロフェニル)エチルアミン 0.98 mlを順次加え5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物より酢酸エチル−ヘキサンより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル]-2-メトキシニコチンアミド 1.25 gを白色固体として得た。
製造例52〜57
製造例51と同様にして、後記表に示す製造例52〜57の化合物を合成した。
製造例58
N-[2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル]ニコチンアミド 2.9 gのTHF 50 ml溶液に、氷冷撹拌下60%油性水素化ナトリウム 520 mgを徐々に加えた。30分後、室温まで昇温しブロモ酢酸エチル 1.6 mlを加えさらに2時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウム、1M塩酸水溶液を順次加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:n-ヘキサン)に付し、淡黄色油状物 873 mgを得た。得られた淡黄色油状物の673 mgのメタノール 15 ml溶液に、室温下1M水酸化ナトリウム水溶液 3.4 mlを加え1時間撹拌した。反応液に1M塩酸水溶液 3.4 mlを加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物より酢酸エチル−n-ヘキサンより析出した結晶をろ取し、{[2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル](ピリジン-3-イルカルボニル)アミノ}酢酸 562 mgを白色固体として得た。
製造例59
製造例58の化合物 331 mgのDMF 6 ml溶液に、室温下HOBt 153 mg及びWSC塩酸塩360 mg を順次加えた。30分後、炭酸アンモニウム約500 mgを加え、さらに3時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物より酢酸エチル−ヘキサンにて析出した結晶をろ取し、N-(2-アミノ-2-オキソエチル)-N-[2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル]ニコチンアミド 310 mgを白色固体として得た。
製造例60及び61
製造例59と同様にして、後記表に示す製造例60及び61の化合物を合成した。
製造例62
N-[2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル]ニコチンアミド 1.0 gのTHF 15 ml溶液に、氷冷撹拌下60%油性水素化ナトリウム 203 mgを徐々に加えた。1時間後、ヨウ化メチル 0.57 mlを加え、直ちに室温まで昇温し更に1時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウム、1M塩酸水溶液を順次加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:n-ヘキサン)で精製し、臭化水素酸エタノール溶液を用いて臭化水素酸塩とした後、エタノール−ジエチルエーテルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル]-N-メチルニコチンアミド臭化水素酸塩 1.23 gを白色固体として得た。
製造例63
ニコチン酸クロリド塩酸塩 5.3 mgのTHF 1 ml溶液に2-(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)エチルアミン 6.9 mgのN-メチル-2-ピロリジノン溶液 0.06 mlを加え、さらにPS-ジイソプロピルエチルアミン (Argonaut Technologies社製、3.57 mmol/g) 21 mgを加えた後、室温下1日攪拌した。反応液にPS-トリスアミン (Argonaut Technologies社製、3.38 mmol/g) 27 mgとPS-イソシアネート (Argonaut Technologies社製、1.47 mmol/g) 34 mg を加えた後、室温下2時間攪拌した。反応液を濾過して得られた溶液を、HPLC(カラム:CAPCELLPAK C18 AQ 5μM 30 x 50mm (資生堂製); 溶媒:MeOH / 0.1% HCOOH-H2O = 10/90 (0 min)- 10/90 (1 min)- 100/0 (9 min)-100/0 (12 min); 流速30 ml/min)にて分取精製を行い、N-[2-(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)エチル]ニコチンアミドを定量的に得た。
製造例64
製造例2と同様にして後記表に示す製造例64の化合物を製造した。
製造例65
ピリジン-3,5-ジカルボン酸ジメチル 8.34 gのメタノール 100 ml溶液に、室温にて1M水酸化ナトリウム水溶液 43 mlを加え、同温にて2時間攪拌した。反応終了後、1M塩酸水溶液 43 mlを加え、溶媒をある程度まで減圧留去後、析出した結晶をろ取し、生成物 6.44 gを得た。得られた生成物 1.8 gのDMF 8.0 ml溶液に、室温下HOBt 1.5 g及びWSC塩酸塩 2.3 gを順次加えた。30分後、2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩 2.5 g及びTEA 6.9 mlを順次加え、さらに3時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:n-ヘキサン)で精製し、5-({[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]アミノ}カルボニル)ニコチン酸メチル 2.72 gを白色固体として得た。得られた化合物 300 mgを常法に従い、塩酸塩 304 mgを白色固体として得た。
製造例66
製造例65の化合物 2.41 gのメタノール 25 ml溶液に、室温にて1M水酸化ナトリウム水溶液 8 mlを加え、同温にて3時間攪拌した。反応終了後、1M塩酸水溶液 8 mlを加え、溶媒をある程度まで減圧留去後、析出した結晶をろ取し、5-({[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]アミノ}カルボニル)ニコチン酸 2.3 gを白色固体として得た。得られた化合物 200 mgを常法に従い塩酸塩とした後、エタノール−酢酸エチルより析出した結晶をろ取し、塩酸塩 205 mgを白色固体として得た。
製造例67
製造例66のフリー体化合物 250 mgのDMF 5.0 ml溶液に、室温下HOBt 126 mg及びWSC塩酸塩 224 mgを順次加えた。30分後、メチルアミン塩酸塩 100 mg及びTEA 0.55 mlを順次加え、さらに一晩撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;メタノール:クロロホルム)で精製し、常法に従い塩酸塩とした後、エタノール−酢酸エチルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-N’-メチルピリジン-3,5-ジカルボキサミド塩酸塩 167 mgを白色固体として得た。
製造例68
5-[2-(ベンジルオキシ)エトキシ]ニコチン酸 771 mg、エタノール 25 ml、メタノール 25 ml及びパラジウム炭素 70 mgの混合物を、水素雰囲気下一晩攪拌した。セライトを用いてろ過後、溶媒を減圧留去し、5-(2-ヒドロキシエトキシ)ニコチン酸 537 mg。得られた化合物のDMF 10 ml溶液に、室温下HOBt 762 mg及びWSC塩酸塩 1.6 gを順次加えた。30分後、2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩 1.78 g及びTEA 2.0 mlを順次加え、同温にて一晩撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;メタノール:クロロホルム)で精製し、常法に従い塩酸塩とした後、エタノール−ジエチルエーテルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-(2-ヒドロキシエトキシ)ニコチンアミド塩酸塩 414 mgを白色固体として得た。
製造例69
5-(2-メトキシエトキシ)ニコチン酸メチル 1.14 gのメタノール 10 mlの溶液に、室温にて1M水酸化ナトリウム水溶液 10 mlを加え、同温にて3時間攪拌した。反応終了後、1M塩酸水溶液 10 mlを加え、反応系を中和した。溶媒を減圧留去して得た5-(2-メトキシエトキシ)ニコチン酸を用い、以下製造例68と同様にして、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-(2-メトキシエトキシ)ニコチンアミド塩酸塩 721 mgを白色固体として得た。
製造例70
N-イソプロピル-5-(イソプロピルアミノ)ニコチンアミド 180 mgのメタノール 1.0 ml溶液に、4M水酸化ナトリウム水溶液 1.0 mlを加え、50℃にて3時間攪拌した。反応終了後、1M塩酸水溶液を加え、反応系を中和した。溶媒を減圧留去して得た5-(イソプロピルアミノ)ニコチン酸を用い、以下製造例68と同様にして、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-(イソプロピルアミノ)ニコチンアミド塩酸塩 153 mgを白色固体として得た。
製造例71
5-アミノ-N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド 200 mgのピリジン 6.0 ml溶液に、0℃にてアセチルクロリド 0.07 mlを徐々に加え、同温にて30分間攪拌した。反応終了後、メタノールを加え、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;メタノール:クロロホルム)で精製し、常法に従い塩酸塩とした後、エタノール−酢酸エチルより析出した結晶をろ取し、5-(アセチルアミノ)-N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド塩酸塩 153 mgを白色固体として得た。
製造例72
tert-ブチル 4-{[5-({[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]アミノ}カルボニル)ピリジン-3-イル]オキシ}ピペリジン-1-カルボキシラート(5-{[1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}ニコチン酸を用い、製造例42と同様にして製造) 1.06 gのエタノール 10 ml溶液に、室温で4M塩化水素/酢酸エチル溶液 5.0 mlを加え、同温にて3時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、エタノール−酢酸エチルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-(ピペリジン-4-イルオキシ)ニコチンアミド二塩酸塩 817 mgを白色固体として得た。
製造例73
製造例72の化合物を常法に従いフリー体とし(173 mg)、THF 5.0 ml中、室温で1H-ベンゾトリアゾール 76 mg、酢酸 0.2 ml、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド 147 mgを順次加え、同温にて一晩攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;アンモニア水:メタノール:クロロホルム)で精製し、常法に従い塩酸塩とした後、エタノール−酢酸エチルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-[(1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ]ニコチンアミド二塩酸塩 176 mgを白色固体として得た。
製造例74
4-エトキシニコチン酸エチル 893 mgのエタノール 10 ml溶液に、室温にて1M水酸化ナトリウム水溶液 6.9 mlを加え、同温にて2時間攪拌した。反応終了後、1M塩酸水溶液 6.9 mlを加え、溶媒を減圧留去して得られた生成物 1.13 gを用い、以下製造例68と同様にして、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-4-エトキシニコチンアミド塩酸塩 159 mgを白色固体として得た。
製造例75
ニコチン酸 1-オキシド 278 mgのDMF 8.0 ml溶液に、室温下HOBt 324 mg及びWSC塩酸塩 575 mgを順次加えた。30分後、2-(2-クロロ-4,5-ジフルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩 421 mg、TEA 0.85 mlを順次加え、同温にて4時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;メタノール:クロロホルム)で精製し、酢酸エチル−n-ヘキサンより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4,5-ジフルオロフェニル)エチル]-4-エトキシニコチンアミド 1-オキシド 519 mgを白色固体として得た。
製造例76
ニコチン酸 1-オキシド 206 mgのDMF 6.0 ml溶液に、室温下HOBt 486 mg及びWSC塩酸塩1.1 gを順次加えた。30分後、2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩 756 mg、TEA 1.2 mlを順次加え、同温にて一晩撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、析出した結晶をろ取した。結晶を乾燥後、エタノール−酢酸エチルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド 1-オキシド 435 mgを白色固体として得た。
製造例77
N-[2-(2-クロロ-4,5-ジフルオロフェニル)エチル]-4-メトキシニコチンアミド 146 mgのクロロホルム溶液に、室温でm-クロロ過安息香酸 163 mgを加え、同温にて4時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;メタノール:クロロホルム)で精製し、酢酸エチルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4,5-ジフルオロフェニル)エチル]-4-メトキシニコチンアミド 1-オキシド 123 mgを白色固体として得た。
製造例78
5-({[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]アミノ}カルボニル)ニコチン酸メチル 1-オキシド 192 mgのメタノール 5.0 ml溶液に、室温にて1M水酸化ナトリウム水溶液 0.6 mlを加え、同温にて一晩攪拌した。反応終了後、1M塩酸水溶液 0.6 mlを加え、溶媒をある程度まで減圧留去後、析出した結晶をろ取し、5-({[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]アミノ}カルボニル)ニコチン酸 1-オキシド 148 mgを得た。
製造例79
N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピリジン-3,5-ジカルボキサミド 383 mgの酢酸 5.0 ml溶液に、30%過酸化水素水 1.0 mlを加え、80℃にて2時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;メタノール:クロロホルム)で精製し、ジイソプロピルエーテルより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピリジン-3,5-ジカルボキサミド 1-オキシド 45 mgを白色固体として得た。
製造例80
5-ヒドロキシニコチン酸 1.39 gの酢酸 14 ml溶液に、30%過酸化水素水 2.0 mlを加え、100℃にて7時間攪拌した。反応終了後、析出した結晶を水で洗浄しながらろ取し、生成物 1.4 gを白色固体として得た。得られた生成物 173 mgのDMF 2.0 ml溶液に、室温下HOBt 149 mg及びWSC塩酸塩 288 mg、2-(2-クロロフェニル)エチルアミン 156 mgを順次加え、同温にて二晩撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、メタノール−水より析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロフェニル)エチル]-5-ヒドロキシニコチンアミド 1-オキシド 59 mgを白色固体として得た。
製造例81
4-ピラジンカルボン酸 372 mgのDMF 5.0 ml溶液に、室温下HOBt 486 mg及びWSC塩酸塩 1.15 gを順次加えた。30分後、2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩 756 mg、TEA 2.0 mlを順次加え、同温にて一晩撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:n-ヘキサン)で精製し、酢酸エチル−n-ヘキサンより析出した結晶をろ取し、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ピラジン-4-カルボキサミド 726 mgを白色固体として得た。
製造例2と同様にして製造例82〜94の化合物を、製造例67と同様にして製造例95〜102の化合物を、製造例42と同様にして製造例103〜123、128〜130の化合物を、製造例71と同様にして製造例124の化合物を、製造例74と同様にして製造例125〜127の化合物を、製造例75と同様にして製造例131〜132の化合物を、製造例80と同様にして製造例133〜134の化合物を、製造例77と同様にして製造例135〜147の化合物を、並びに、製造例81と同様にして製造例148〜155の化合物を、それぞれ製造した。製造例化合物の構造及び物理化学的データを表8〜19にそれぞれ示す。
Figure 2007186434
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Figure 2007186434
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Figure 2007186434
Figure 2007186434
Figure 2007186434
実施例1 培養上清NOx量測定
ヒト大動脈由来血管内皮細胞(HAEC、Clonetics社製)をコラーゲンタイプIV処理24wellプレート(イワキ(株)社製)にコンフルエントまで培養した後、培地を無血清培地に変え、16時間培養を続けた。培地の除去後、被験化合物10μMを含む無血清培地にて細胞を30分間処理した。細胞から放出されたNO量は培養上清中のNOx(NO2 -及びNO3 -)量を測定することで算出した。NO2 -及びNO3 -量は酸化窒素分析システム(Eicom社)を用い、添付の方法に従って測定した。
培養上清中NOx増加率を溶媒添加(0.1% DMSO)群に対する相対比で下記表に示す。
Figure 2007186434
表に示すように、これらの化合物はNO産生促進活性を有することが確認された。
実施例2 ラット摘出血管における血管弛緩反応
Wistar系雄性ラットをペントバルビタールにより麻酔し、頸動脈切断により放血致死させた。その後、胸部大動脈を摘出しリング標本を作製した。作製した標本は、Krebs-Hanseleit buffer (pH 7.4, 95%O2, 5%CO2, 37℃)を満たしたorgan bath (10 mL)中に静止張力1 g下で懸垂し、10-6 M塩酸フェニレフリン (PE)により収縮を惹起させた。PE刺激条件下における標本の等尺性収縮は、張力トランスデューサーを用いて測定した。摘出血管標本は、PE刺激条件下で30〜60分間の安定期間を置いた後に、被験化合物を累積的に添加した。PEによる収縮を50%弛緩する被験化合物の濃度をIC50値としてlogistic法により算出し、被験化合物の活性の指標とした。更に、bath内を新しいbufferで洗浄後、eNOSの阻害剤であるNG-ニトロ-L-アルギニンメチルエステル塩酸塩 (L-NAME:10-5 M)存在下[L-NAME (+)]で、再びPEによる収縮及び被験化合物による弛緩を上記L-NAME非存在下[L-NAME (-)]と同様に測定し、被験化合物による弛緩反応のNO依存性を確認した。例えば、製造例14の化合物はL-NAME存在下のIC50値は70μMに低下したことから、その作用はeNOSを介していることが確認された。
L-NAME非存在下での測定結果を下記表に示す。
Figure 2007186434
実施例3 3H-アルギニンによる細胞内eNOS活性測定
3H-アルギニンによる細胞内eNOS活性測定はRajesh K.D.らの報告に従った(Rajesh K.D. et al., Hypertension, 1993, 21, 939-94)。ヒト大動脈由来血管内皮細胞(HAEC、Clonetics社製)をコラーゲンタイプIV処理24wellプレート(イワキ(株)社製)にコンフルエントまで培養後、培地をL-Arg無添加、無血清培地に変え、16時間培養を続けた。培地の除去後、3H-Arg(最終濃度1.5μCi/mL)、被験化合物を含むmodified HEPES溶液(25mM Hepes(pH7.4), 140 mM NaCl, 5.4 mM KCl, 1.8 mM CaCl2, 1.0 mM MgCl2, 5.0 mM glucose)にて細胞を処理した。ice-cold 1.3N トリクロロ酢酸を400μL/well加え、反応を停止させた後、凍結融解で細胞を破砕した。細胞破砕液をエーテル処理後、Stop buffer(200 mM Hepes (pH5.5), 20 mM EDTA)、Dowex樹脂(Bio-Rad)を加え混合した後に、ろ過によりDowex樹脂を除き、3H-Citrullin量を液体シンチレーションカウンターにより測定した。
実施例4 麻酔ラット後肢血流増加作用
本発明の参考製造例及び製造例の化合物について、ペントバルビタール麻酔ラットにおける後肢血流増加作用を以下の試験方法により確認した。
Wistar系雄性ラットを用いた。被験化合物 30 mg/5 mL/kg (0.5%メチルセルロース)を経口投与し、その2時間後、ペントバルビタール 60 mg/kgを腹腔内投与し麻酔を施した。後肢血流はレーザー血流画像化装置(PIM II; インテグラル)を用いて測定した。
本試験の結果、製造例87の化合物は132%の血流改善効果を示し、製造例2、28、76、81、105、121、139の化合物は117〜164%の血流改善効果を示した。
上記の各試験の結果、本発明化合物はNO産生促進活性、eNOS活性化活性及び血流増加作用を有することが確認された。このことから、間歇性跛行を含むPAOD、動脈硬化、虚血性心疾患などの血管内皮機能不全が病因である種々の疾患の治療剤として有用であることは明らかである。
実施例5 老齢ラットにおける学習障害改善作用(音恐怖条件付け反応試験)
実験には28-30ヶ月齢(老齢)のF344雄性ラット(日本チャールズリバー)を用いた。試験1日目に訓練を行った。ラットを訓練開始1時間以上前に実験室に搬入した。被験化合物又は偽薬を経口投与した。被験化合物は0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁し、投与容量は体重1 kg当たり3 mlとした。偽薬として同量の0.5%メチルセルロース水溶液を投与した。その1時間後、ラットを防音箱の中のアクリルボックス(電気刺激装置付)内に入れ、音(10 kHz、60 dB、20秒間)を聞かせながら、電気ショック(0.12 mA、1秒間)を負荷した。40秒間隔で計3回行った。ラットを取り出しホームケージに戻し訓練を完了させた。その後1時間以上実験室に放置し飼育室に戻した。その2日後にテストを行った。ラットをテスト開始1時間以上前に実験室に搬入した。訓練時に使用した電気刺激装置付のアクリルボックスとは別のアクリルボックスにラットを入れ、1分後、音刺激(10 kHz、60 dB、180秒間連続で1回)のみを負荷した。音刺激を負荷している間、著明な行動量の低下・立ちすくみ(freezing)行動が起きるが、このfreezingを起こしている時間(単位は秒)を計測し記憶・学習能形成の指標とした。行動観察はアクリルボックス上部に設置してあるCCDカメラにて撮影し、音及び電気ショックの負荷、freezing時間の計測は、すべてコンピュータ制御で行った。被験化合物の学習障害改善作用の有無は、偽薬を投与したラット群と被験化合物を投与したラット群のfreezingを起こしている時間をDunnett検定により比較し判定した。p<0.05で有意な差があると判定した。製造例76の化合物の最小有効用量ですは3 mg/kgであった。
実施例6 マイクロスフェア注入誘発脳塞栓モデルラットにおける学習障害改善作用(受動回避反応試験)
脳塞栓モデル動物の作製は、ラットをペントバルビタール麻酔し、頸部正中線切開後、右外頸動脈及び翼突口蓋動脈を一時的に駆血し、20%デキストラン含有生理食塩液に懸濁させた500個のマイクロスフェア(直径50μm)をカテーテルを経て右総頸動脈より注入し、微小脳血管を閉塞して作製した。その後、カテーテルを除去し、右外頸動脈及び翼突口蓋動脈の血流を再開通させた。また、マイクロスフェアを懸濁していない20 %デキストラン含有生理食塩液を注入したものを偽手術ラットとした。受動的回避反応試験は術後7日間の回復期間をおいて行った。試験1日目に訓練を行った。ラットを試験開始1時間以上前に実験室に搬入し、馴化操作を行った。被験化合物又は偽薬を経口投与した。被験化合物は0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁し、投与容量は体重1 kg当たり10 mlとした。偽薬として同量の0.5%メチルセルロース水溶液を投与した。その1時間後、ラットを明室に入れ30秒後、明暗仕切りドアを開け、ラットが暗室に入った後、明暗仕切りドアを閉め、暗室のフォトビームセンサーを横切ることで床の金属グリットより電気ショック(intensity 0.25 mA、delay 1 秒、duration 3-5 秒)を与えた。電気ショック被爆後に明暗仕切りドアを開け明室への逃避を確認し、30秒間放置後ラットを取り出しホームケージに戻し訓練を完了させた。その後1時間以上実験室に放置し、飼育室に戻した。試験2日目にテストを行った。ラットをテスト開始1時間以上前に実験室に搬入した。ラットを受動的回避反応装置の明室に入れ、30秒間放置後、明暗仕切りドアを開け、暗室のフォトビームセンサーを横切ることで、ラットの四肢が完全に暗室に入るまでの時間を計測し反応潜時(step-through latency)とした。step-through latency(単位は秒)を記憶・学習能形成の指標とした。マイクロスフェア注入誘発脳塞栓による学習障害形成の有無は、偽薬を投与した脳塞栓ラット群と偽手術ラット群のstep-through latencyをWilcoxon順位和検定により比較し判定した。被験化合物の学習障害改善作用の有無は、偽薬を投与した脳塞栓ラット群と被験化合物を投与した脳塞栓ラット群のstep-through latencyを両側Steel検定により比較し判定した。各検定においてp<0.05で有意な差があると判定した。製造例76の化合物の最小有効用量は10 mg/kgであった。
上記実施例5及び6の試験の結果、本発明化合物は学習障害改善作用を示したことから、痴呆治療剤として有用であることが確認された。
実施例7 脳梗塞モデルラットにおける機能回復増強・促進作用(ステアケーステスト)
体重253〜344 gの雄性高血圧自然発症ラット(星野試験動物)を用いた。前肢機能はJ Neurosci Methods 36, 219-228, 1991 に記載の方法に準じて、ステアケーステスト(ラット1匹が入れるアクリルボックスの中に、台座とそれに平行する形で階段が左右に設置されているケースを用いたテスト)により評価した。予め食餌制限したラットをステアケースの中に入れ、階段の各ステップの窪みに設置した餌を摂取する技能を獲得させた。左右それぞれの前肢で取り上げた餌の数及び食べた餌の数を測定した。摂取技能獲得後、脳梗塞を作製した。脳梗塞モデル動物の作製はJ Cereb. Blood Flow Metab. 8, 474-485, 1988に記載の方法を用い、左総頚動脈及び同側の中大脳動脈を閉塞して作製した。右前肢に麻痺が発生した。被験化合物を脳梗塞作製の翌週から6週目まで週5日経口投与した。被験化合物は0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁し、投与容量は体重1 kg当たり3 mlとし、投与用量は1 mg/kgとした。コントロール群には同量の0.5%メチルセルロース水溶液を投与した。テストは薬物投与1時間後に行った。機能回復増強・促進作用の有無を判定するために、機能回復訓練最終週の右前肢による餌の摂取量の各個体の最大値をDunnett検定により比較した。取り上げた餌の数及び食べた餌の数を指標に麻痺した右前肢の機能障害を比較した結果、製造例76の化合物投与群ではコントロール群と比較し有意な改善作用が認められた(p<0.05)。
上記実施例7の試験の結果、本発明化合物は前肢運動機能障害の改善作用を示したことから、機能障害の回復促進剤又は機能回復訓練効果の増強及び/又は促進剤として有用であることが確認された。
また、血管抵抗を形成する細動脈径の調節は、EDRF(NO)よりも内皮由来過分極因子(EDHF:endothelium-derived hyperpolarizing factor)の関与が大きいとの報告(Am. J. Physiol., 1999, 277, H1252-H1259; Acta Physiol. Scand., 2000, 168, 505-510)もあることから、本発明医薬は、血圧や心拍に対する影響が少ないことも期待できる。更に、化合物(I)、特にkが1であるN-オキシド化合物は、薬物間相互作用や代謝酵素(特に、CYP3A4等のチトクロームP450系酵素)への影響が少なく、医薬として好ましいと考えられる。
本発明医薬の有効成分であるフェネチルニコチンアミド化合物又はその塩は、優れた血管内皮性NO産生促進及び/又はeNOS活性化作用による血流循環改善作用を有することから、種々の、血管内皮機能不全が病因である疾患又は病理学的状態、或いは血管内皮機能不全又は低下を引き起こす疾患に有効である。殊に、心不全、心筋梗塞、狭心症等の心疾患;動脈硬化、高血圧、肺高血圧、閉塞性動脈硬化症、PAOD、閉塞性血栓血管炎、大動脈炎症候群等の末梢動脈疾患(PAD);再狭窄症等の血管性疾患;血栓症;脊椎間狭窄症;糖尿病;糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症、糖尿病性血管障害、糖尿病性四肢病変、糖尿病性血管障害等の糖尿病性合併症;胃潰瘍、虚血性腸疾患等の消化管疾患;腎障害、腎不全、腎炎、腎硬化症等の腎疾患;並びに、勃起障害等の泌尿器疾患の治療剤として有用である。更に、痴呆の予防又は治療剤としても有用である。ここに痴呆としては、アルツハイマー型痴呆;脳血管性痴呆症(脳血管性認知症);レビー小体型痴呆;アルツハイマー病、Pick病、Creutzfeldt-Jakob病、Kraepelin病、Parkinson病、Huntington舞踏病、Hallervorden-Spats病、脊髄小脳変性症、進行性ミオクロヌスてんかん、進行性核上麻痺、粘性水腫、副甲状腺疾患、Wilson病、肝疾患、低血糖症、癌の遠隔症候、Cushing症候群、尿毒症、動脈硬化症、脳動脈硬化症(慢性脳循環不全症)、脳出血、脳梗塞、脳塞栓、くも膜下出血、慢性硬膜下出血、仮性球麻痺、大動脈弓症候群、Binswanger病、動静脈奇形-閉塞性血栓性動脈炎、低酸素症、無酸素症、正常圧水頭症、Wernicke-Korsakoff症候群、ペラグラ、Marchiafava-Bignami病、ビタミンB12欠乏症、毒物もしくは薬物(金属、有機化合物、一酸化炭素、薬物)による障害、脳腫瘍、開放性及び閉鎖性頭部外傷、バンチー症候群、熱発作、感染症、細菌性髄膜炎、真菌性髄膜炎、脳炎、進行性多巣性白質脳症、Behcet症候群、Kuru、梅毒、多発性硬化症、筋ジストロフィー症、Whipple病、収容所症候群、播種性紅斑性狼瘡、心停止、エイズ脳症、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症又は慢性アルコール中毒による痴呆;軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI);或いは、痴呆に随伴する症状(周辺症状)としての種々の精神症状と行動障害である行動心理学的症候(behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)である。更に、脳卒中、脳外傷、脊髄損傷等の中枢神経変性疾患による運動機能障害を含めた機能障害の回復促進作用又は機能回復訓練(リハビリテーション医療)効果の増強及び/又は促進剤としても有用である。また、本発明医薬は血圧や心拍に対する影響が少ないことも期待できる。

Claims (16)

  1. 下記式(I)で示されるフェネチルニコチンアミド化合物又はその製薬学的に許容される塩と、製薬学的に許容される担体とからなる血管内皮性一酸化窒素産生促進及び/又は内皮性一酸化窒素合成酵素活性化剤。
    Figure 2007186434
    (式中の記号は以下の意味を示す。
    X1:N又はC-R1
    X2:N又はC-R2
    X3:N又はC-R3
    但し、X1、X2又はX3のうち、1個がNのとき、他の2個はNではない、
    R1、R2、R3及びR4:同一又は互いに異なって、-H、-ハロゲン、-RA、-OH、-O-RA、-S-RA、-ハロゲノ低級アルキル、-N(R11)(R12)、-O-シクロアルキル、-O-(置換されていてもよい含窒素飽和へテロ環)、-CN、-CO2H、-CO2-R0又は-CO-N(R13)(R14)、
    RA:-OH、-O-R0、-CO2H及び-CO2-R0から選択される1個以上の基で置換されていてもよい低級アルキル、
    R0:-低級アルキル、
    R11及びR12:同一又は互いに異なって、-H、-R0又は-CO-R0
    R13及びR14:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-O-R0又は-シクロアルキル、或いは、結合する窒素原子とともに、置換されていてもよい含窒素飽和へテロ環を形成してもよい、
    R5:-H、-R0、-低級アルキレン-CO2H、-低級アルキレン-CO2-R0又は-低級アルキレン-CO-N(R15)(R16)、
    R15及びR16:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
    Hal:ハロゲン、
    R6:-NO2、-CN、-R0、-OH、-ハロゲノ低級アルキル、-CO2H、-O-R0、-CO2-R0、-CO-N(R13)(R14)又は-低級アルキレン-O-R0
    m:1、2、3、4又は5、
    但し、mが2以上のとき、Halは同一又は互いに異なっていてもよい、
    n:0又は1、但し、m+nは5以下、
    k:0又は1。
  2. 請求項1記載の式(I)で示されるフェネチルニコチンアミド化合物又はその製薬学的に許容される塩と、製薬学的に許容される担体とからなる末梢動脈閉塞症治療剤。
  3. 末梢動脈閉塞症が間歇性跛行である請求項2記載の治療剤。
  4. 請求項1記載の式(I)で示されるフェネチルニコチンアミド化合物又はその製薬学的に許容される塩と、製薬学的に許容される担体とからなる痴呆の予防又は治療剤。
  5. 痴呆がアルツハイマー型痴呆、脳血管性痴呆(脳血管性認知症)又はレビー小体型痴呆である請求項4記載の予防又は治療剤。
  6. 痴呆が、アルツハイマー病、Pick病、Creutzfeldt-Jakob病、Kraepelin病、Parkinson病、Huntington舞踏病、Hallervorden-Spats病、脊髄小脳変性症、進行性ミオクロヌスてんかん、進行性核上麻痺、粘性水腫、副甲状腺疾患、Wilson病、肝疾患、低血糖症、癌の遠隔症候、Cushing症候群、尿毒症、動脈硬化症、脳動脈硬化症(慢性脳循環不全症)、脳出血、脳梗塞、脳塞栓、くも膜下出血、慢性硬膜下出血、仮性球麻痺、大動脈弓症候群、Binswanger病、動静脈奇形-閉塞性血栓性動脈炎、低酸素症、無酸素症、正常圧水頭症、Wernicke-Korsakoff症候群、ペラグラ、Marchiafava-Bignami病、ビタミンB12欠乏症、毒物もしくは薬物(金属、有機化合物、一酸化炭素、薬物)による障害、脳腫瘍、開放性及び閉鎖性頭部外傷、バンチー症候群、熱発作、感染症、細菌性髄膜炎、真菌性髄膜炎、脳炎、進行性多巣性白質脳症、Behcet症候群、Kuru、梅毒、多発性硬化症、筋ジストロフィー症、Whipple病、収容所症候群、播種性紅斑性狼瘡、心停止、エイズ脳症、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症又は慢性アルコール中毒による痴呆;軽度認知障害;或いは痴呆に随伴する症状(周辺症状)としての種々の精神症状と行動障害である行動心理学的症候である請求項4記載の予防又は治療剤。
  7. 請求項1記載の式(I)で示されるフェネチルニコチンアミド化合物又はその製薬学的に許容される塩と、製薬学的に許容される担体とからなる中枢神経疾患発症後の機能障害回復促進剤。
  8. 請求項1記載の式(I)で示されるフェネチルニコチンアミド化合物又はその製薬学的に許容される塩と、製薬学的に許容される担体とからなる中枢神経疾患発症後の機能障害回復訓練効果の増強剤及び/又は促進剤。
  9. 中枢神経疾患が脳卒中、脳外傷、脊髄損傷又は神経変性疾患である請求項7又は8記載の剤。
  10. 機能障害が運動機能障害、感覚機能障害又は言語機能障害である請求項9記載の剤。
  11. 下記式(I’)で示されるフェネチルニコチンアミド化合物又はその製薬学的に許容される塩と、製薬学的に許容される担体とからなる医薬組成物。
    Figure 2007186434
    (式中の記号は以下の意味を示す。
    X1:N又はC-R1
    X2:N又はC-R2
    X3:N又はC-R3
    但し、X1、X2又はX3のうち、1個がNのとき、他の2個はNではない、
    R1、R2、R3及びR4:同一又は互いに異なって、-H、-ハロゲン、-RA、-OH、-O-RA、-S-RA、-ハロゲノ低級アルキル、-N(R11)(R12)、-O-シクロアルキル、-O-(置換されていてもよい含窒素飽和へテロ環)、-CN、-CO2H、-CO2-R0又は-CO-N(R13)(R14)、
    RA:-OH、-O-R0、-CO2H及び-CO2-R0から選択される1個以上の基で置換されていてもよい低級アルキル、
    R0:-低級アルキル、
    R11及びR12:同一又は互いに異なって、-H、-R0又は-CO-R0
    R13及びR14:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-低級アルキレン-OH、-低級アルキレン-O-R0又は-シクロアルキル、或いは、結合する窒素原子とともに、置換されていてもよい含窒素飽和へテロ環を形成してもよい、
    R5:-H、-R0、-低級アルキレン-CO2H、-低級アルキレン-CO2-R0又は-低級アルキレン-CO-N(R15)(R16)、
    R15及びR16:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
    Hal:ハロゲン、
    R6:-NO2、-CN、-R0、-OH、-ハロゲノ低級アルキル、-CO2H、-O-R0、-CO2-R0、-CO-N(R13)(R14)又は-低級アルキレン-O-R0
    m:1、2、3、4又は5、
    但し、mが2以上のとき、Halは同一又は互いに異なっていてもよい、
    n:0又は1、但し、m+nは5以下、
    k:0又は1。
    但し、以下の化合物を除く:
    Figure 2007186434
    表中、(Hal)mの欄のハロゲンの前の数字は置換位置を表し、2,4-diClは2位と4位それぞれにClが存在することを示す。)
  12. X1がC-R1;X2がC-R2;X3がC-R3;R1、R2、R3及びR4のうち1個は、-H、-ハロゲン、-R0、-O-R0、-S-R0及び-ハロゲノ低級アルキルから選択される基であり、他の3個は-Hである請求項11記載の医薬組成物。
  13. R5がHである請求項11記載の医薬組成物。
  14. X1がN又はC-R1、X2及びX3がともにCHである請求項13記載の医薬組成物。
  15. kが1である請求項14記載の医薬組成物。
  16. 請求項11記載の式(I’)で示されるフェネチルニコチンアミド化合物が以下の群から選択される化合物である請求項11記載の医薬組成物:N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド、N-[2-(3-ブロモフェニル)エチル]ニコチンアミド、N-[2-(2,4,5-トリフルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-(イソプロピルアミノ)ニコチンアミド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド 1-オキシド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]ピリダジン-4-カルボキサミド、N-[2-(2-クロロ-4,5-ジフルオロフェニル)エチル]ニコチンアミド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-ヒドロキシニコチンアミド、N-[2-(2-クロロフェニル)エチル]-5-メチルニコチンアミド、N-[2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル]-5-エトキシニコチンアミド 1-オキシド及びN-[2-(2-クロロ-4,5-ジフルオロフェニル)エチル]ピリミジン-5-カルボキサミド。
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