JP2007147214A - 廃棄物溶融設備水砕水汚染防止方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】廃棄物溶融炉よりスラグを排出する出滓口と、該出滓口より流出したスラグを、スラグ排出路を介してスラグ冷却装置にて水冷固化させるとともに、前記スラグ排出路上方に出滓口よりの排ガス導出部を具えた廃棄物溶融設備において、前記出滓口スラグ流出端若しくはその下方に、スラグ排出路を横断する方向に燃焼気体流を形成し、出滓口より排出される排ガスとスラグを冷却するための水砕水が接触することを防止することを特徴とする廃棄物溶融設備水砕水汚染防止方法。
【選択図】図1
Description
排ガス67の一部が下方へ流れる原因として、出滓口63が一般に下向きの角度を持っているため一部はそのまま下方へ流れるということ、噴射ノズル69、水砕槽65で水砕水によってスラグを冷却しているため出滓口63と比べるとスラグ排出路64下部は温度が低いため、排ガス67の下方流れ成分が発生しやすくなる、水の流れにガスが同伴される、といったことがあげられる。
したがって、本発明は出滓口を出た排ガスが下方へ流れることを防ぐことにより、洗浄槽を設置することなく良質なスラグを得ることができ、さらに、衝突壁面へ固着して垂れ落ちること、水砕水の汚染を防ぐことができる廃棄物溶融設備における水砕水の汚染を防止する方法を提供することを目的とする。
この方法によれば、出滓口が下向きの角度をもっていることに起因する排ガスの下方流れ成分を、出滓口スラグ流出端若しくはその下方にできる燃焼気体流によって、下方へ流れることを妨げることができ、また、燃焼気体流によって出滓口下方の温度が上がるため、出滓口下方の温度が低いことによる排ガスの下方流れ成分の生成を防ぐことができるため、排ガスが出滓口より下方へ流れるという課題を解決することができ、排ガスに含まれる鉛化合物由来の水砕水の汚染を防止することができる。また、出滓口から流出する排出流れと燃焼気体流による空気流れが対向する関係にあると、その対向関係によって新たな下方流れ成分ができるため、燃焼気体流は前記位置とする必要がある。
なお、水砕水の汚染を防止するという本発明の目的とは異なるが、気体流を生成するという点において類似している構成として特開2001−147009号公報に開示されている方法があげられる。この方法は、出滓口と溶融スラグ冷却手段の間に高温の排ガスを引き込まない程度に、冷却手段からの低温のガスの大部分を排出する方法であるが、低温のガスを抜き出す際に、ガスを抜き出す排出口方向への気体の流れが発生し、高温の排ガスにも排出口方向すなわち下方流れ成分が発生してしまう。この方法では低温のガスを抜き出すように制御しているため、下方流れ成分が発生した高温の排ガスは排出口から抜き出されることなくさらに下方にある水砕水まで到達し、水砕水を汚染するという可能性がある。
また、別の気体流を生成する類似の構成として、特開平9−145040号公報に開示されている方法があげられる。この方法は、再燃焼室(二次燃焼室)に出滓口に対向して燃焼用バーナを設けるとともに、再燃焼室(二次燃焼室)の側壁に二次燃焼空気ノズルとを配設し、スラグ抜出室(スラグ排出路)に、二次燃焼空気を吹き込むパージ用ノズルを配設した方法であるが、この方法では、二次空気を入れることにより出滓口より下方の温度が下がるため、下方流れ成分ができやすくなり、水砕水の汚水を助長してしまう可能性がある。さらに、出滓口から流出する排出流れと二次燃焼空気によって生ずる空気流れが対向する関係にあり、新たな下方流れ成分が発生し、水砕水の汚染を助長してしまう可能性もある。
また、さらに別の気体流を生成する類似の構成として、特開2000−146144号公報、特開2002−31323号公報に公開された方法があげられるが、いずれも加熱バーナをスラグへ向けて配設しており、出滓口から流出する排出流れとバーナによって生ずる空気流れが対向する関係にあり、新たな下方流れ成分が発生し、水砕水の汚染を助長してしまう可能性がある。
前記の通り、類似手段を用いても本発明の課題である水砕水の汚染を防止することはできない。
この場合、バーナの燃料投入量の制御をすることができる構成とすることもできる。なお、投入量の制御の方法は特定されるものではなく、例えば燃料投入量の流量計及び流量調節弁を設けて投入量を制御しても、燃料少量投入ノズルを複数本設けておき使用ノズル本数を制御するようにしてもよい。
したがって、出滓口をでた排ガスが下方へ流れることを防ぐことにより、洗浄槽を設置することなく良質なスラグを得ることができ、さらに、衝突壁面への固着、水砕水の汚染を防ぐことができる廃棄物溶融設備における水砕水の汚染を防止する方法を提供することができる。
ごみ等を焼却した際に生じた灰は、スクリューフィーダ6を介して灰溶融炉1へ送られ約1400〜1700℃(好ましくは1550〜1650℃)のスラグ温度で溶融される。溶融されて得られた溶融スラグ2は、スラグ出滓口3より灰溶融炉1を出て、スラグ排出路4を経て水砕槽5へ落下する。溶融スラグ2は、水砕槽5又はスラグ排出路4中を落下途中に水砕水を噴霧されることにより急冷され、水砕スラグとして水砕槽5に回収される。また、灰溶融炉1で溶融した際に生じた排ガス7は出滓口3から出てからは上昇し、二次燃焼室8で排ガス中の可燃成分を完全燃焼した後に処理される。
また、排ガス中に含まれる鉛成分による水砕水汚染防止のため、スラグ排出路4中であり、出滓口3のスラグ流出端と同じ高さである位置にバーナ9を水平に取り付けた。前記の通り出滓口3の流出端と同じ高さで且つ水平にバーナ9は取り付けられているため、バーナ9の中心線の延長線10は出滓口3のスラグ流出端と同じ高さに位置する。なお、バーナ9の燃料には灯油を使用した。
したがって図4で示したとおり、本発明を実施することにより、水砕水の汚染を防止することができた。
耐火物表面温度が600℃以下になると耐火物表面に鉛が析出して付着し、付着物と一緒に垂れて水砕水に混入するため、耐火物表面温度についても排ガスと同様に600℃以上、好ましくは900℃以上とするのがよい。耐火物温度を上昇させるためには、耐火物の厚さを増大させたり、耐火物に熱伝導度の小さい(例えば2.0kcal/mh℃)ものを用いることが有効である。
したがって、排ガス温度を600℃以上、より好ましくは900℃以上という鉛析出温度以上とすることにより、鉛(Pb)の析出を防止し、水砕水の汚染を防止することができる。
また、排ガス温度を検知し、排ガス温度が600℃以上、より好ましくは900℃以上となるようにバーナ9から燃料を投入するといった制御を行うこともできる。
灰処理量が少ない場合には灰溶融炉から排出される鉛(Pb)総量も少ないため、水砕水中の鉛(Pb)濃度も低いが、灰処理量が増加するにしたがって灰溶融炉から排出される鉛(Pb)総量も増加し、水砕水中の鉛(Pb)濃度も増加する。また、灰処理量が増加するにしたがって、排ガス量も増加するため、排ガス温度も上がる。しかし、排ガス温度が600℃を以上となると、灰処理量の増加に対する水砕水中の鉛(Pb)濃度の上昇が緩やかになり、排ガス温度が800℃以上となると水砕水中の鉛(Pb)濃度は急激に下がる。このことは、前記図7で示した通りガス中の鉛(Pb)化合物の存在率(%)は排ガス温度600℃を境に急激に変化するためである。
したがって、図6に示したような、灰処理量と水砕水中の鉛(Pb)濃度の関係をあらかじめ求めておくことにより、例えば排ガス温度が600℃以下となる灰処理量1.3t/h以下ではバーナ31を利用するというように、灰処理量によってバーナの燃料使用量を制御することもできる。
炉室24では、炉室24内を還元雰囲気にした状態で直流電源29により電圧を電極26、28間に印加し、電極26、28間にプラズマアークを発生させることによって、炉室24内が1000℃以上の雰囲気となり、またスラグは焼却灰の融点以上の温度となり、焼却灰の溶融が開始される。溶融された焼却灰は、溶融スラグSとなり、焼却灰中に含まれているメタル成分は溶融メタルMとなり、比重の重い溶融メタルMは溶融スラグSの下部に沈む。溶融スラグSは出滓口30の高さまで達すると、出滓口30から溢れでて出滓樋31を通り、スラグ排出路32を落下し、水砕水(図示せず)によって冷却されることにより、水砕スラグとなる。また、灰溶融炉21で生じた排ガスは、耐火壁41によって作られた二次燃焼室42から構成される二次燃焼装置40で排ガス中の可燃成分を完全燃焼させた後に処理される。
また、排ガス中に含まれる鉛成分による水砕水汚染防止のため、スラグ排出路32中であり、ノズル延長線52が出滓口スラグ流出端と同じ高さである位置に上向きにバーナ51を取り付けた。バーナ51の燃料には灯油を使用した。
その結果、実施例1と同じ結果が得られた。
水砕水中の鉛(Pb)濃度を4mg/L未満にすると、スラグからの鉛溶出基準を満足することができる。水砕水中の鉛(Pb)濃度を下げるには、水を入れ替えて水砕水中の鉛濃度を低下したり、水を浄化して再循環して水砕水中鉛温度を低下することも有効である。また、定期的に水砕水中鉛濃度を計測して基準値以下に管理することも有効であり、これらの方法を併用することもできる。
図7から灰処理量の増加につれて、排ガス温度(二次燃温度)も上がり、また図5で示したように鉛(Pb)の析出量は温度によって変化するため、水砕水中の鉛(Pb)温度も変化する。そこで、灰処理量に応じてバーナの灯油量を調整し、排ガス温度を600℃以上、より好ましくは900℃以上に保つこという鉛析出温度以上にすることによって、バーナの灯油量を必要最低限に抑え水砕水の汚染を防止することができた。
2 スラグ
3 出滓口
4 スラグ排出路
5 水砕槽(スラグ冷却装置)
7 排ガス
8 二次燃焼室
9 バーナ
10 バーナノズル延長線
11 灰投入量流量計
12 排ガス温度計
13 制御回路
14 バーナ燃料流量調節弁
Claims (12)
- 廃棄物溶融設備よりスラグを排出する出滓口と、該出滓口より流出したスラグを、スラグ排出路を介してスラグ冷却装置にて水冷固化させるとともに、前記スラグ排出路上方に出滓口よりの排ガス導出部を具えた廃棄物溶融設備において、
前記出滓口スラグ流出端若しくはその下方に、スラグ排出路を横断する方向に燃焼気体流を形成し、出滓口より排出される排ガスとスラグを冷却するための水砕水が接触することを防止することを特徴とする廃棄物溶融設備水砕水汚染防止方法。 - 前記燃焼気体流の温度が、出滓口より排出される排ガスの鉛析出温度以上に維持されていることを特徴とする廃棄物溶融設備水砕水汚染防止方法。
- 前記スラグ排出路を横断する方向が出滓口に対面する側より出滓口スラグ流出端又は前記出滓口スラグ流出端よりも下方に向けた水平又は上向き傾斜流であることを特徴とする請求項1若しくは2記載の廃棄物溶融設備水砕水汚染防止方法。
- 出滓口より排ガス導出部に排出される排ガスの温度を検知し、排ガス温度に応じてバーナからの燃料投入量を制御することを特徴とする請求項1、2若しくは3記載の廃棄物溶融設備水砕水汚染防止方法。
- 廃棄物溶融設備における廃棄物処理量に応じてバーナからの燃料投入量を制御することを特徴とする請求項1、2若しくは3記載の廃棄物溶融設備水砕水汚染防止方法。
- 前記排ガス導出部の先側に位置する二次燃焼炉の入り口側の排ガス温度を検知し、排ガス温度に応じてバーナからの燃料投入量を制御することを特徴とする請求項1、2若しくは3記載の廃棄物溶融設備水砕水汚染防止方法。
- 前記スラグ排出路に、出滓口より落下するスラグを急冷するための水砕水噴霧装置を設置してなる請求項1記載の廃棄物溶融設備において、
前記燃焼気体流形成位置が、出滓口スラグ流出端下方で且つ水砕水噴霧位置の上方であることを特徴とする廃棄物溶融設備水砕水汚染防止方法。 - 廃棄物溶融設備よりスラグを排出する出滓口と、該出滓口より流出したスラグを、スラグ排出路を介してスラグ冷却装置にて水冷固化させるとともに、前記スラグ排出路上方に出滓口よりの排ガス導出部を具えた廃棄物溶融設備において、
前記出滓口スラグ流出端若しくはその下方に位置するスラグ排出路に、該スラグ排出路を横断する方向に燃焼気体流を形成するバーナを設けたことを特徴とする廃棄物溶融設備。 - 前記バーナ取付位置が出滓口スラグ流出端の反対側に面するスラグ排出路上であって、該バーナの軸中心線の延長が出滓口スラグ流出端又は前記出滓口スラグ流出端よりも下方位置に向けて水平又は上向きにバーナを配置したことを特徴とする廃棄物溶融設備。
- 前記バーナの燃料投入量可変手段と、該廃棄物溶融炉における廃棄物処理量又は出滓口より排ガス導出部に排出される排ガスの温度のうち少なくとも1を検知する手段とを有し、前記検知手段よりの検知信号に基づいて前記バーナの燃料投入量が可変制御されることを特徴とする請求項8記載の廃棄物溶融設備水砕水汚染防止装置。
- 前記バーナの燃料投入量可変手段と、前記排ガス導出部の先側に位置する二次燃焼炉の入り口側の排ガス温度を検知する温度検知手段とを具え、該検知手段の排ガス検知温度に応じてバーナからの燃料投入量を制御することを特徴とする請求項9記載の廃棄物溶融設備。
- 前記スラグ排出路に、出滓口より落下するスラグを急冷するための水砕水噴霧装置を設置してなる請求項1記載の廃棄物溶融設備において、
前記バーナ取付位置が出滓口流出端の反対側に面するスラグ排出路上の出滓口スラグ流出端下方で且つ水砕水噴霧位置の上方であることを特徴とする廃棄物溶融設備。
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