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JP2007039642A - ジフルオロベンゼン誘導体及びこれを用いた液晶組成物 - Google Patents

ジフルオロベンゼン誘導体及びこれを用いた液晶組成物 Download PDF

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JP2007039642A
JP2007039642A JP2006074151A JP2006074151A JP2007039642A JP 2007039642 A JP2007039642 A JP 2007039642A JP 2006074151 A JP2006074151 A JP 2006074151A JP 2006074151 A JP2006074151 A JP 2006074151A JP 2007039642 A JP2007039642 A JP 2007039642A
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Abstract

【課題】 誘電率異方性が負でありその絶対値が大きく、粘度の低い液晶組成物、当該液晶組成物を用いたVA型等の液晶表示素子を提供する。
【解決手段】 一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物を含有する液晶組成物。
Figure 2007039642

(式中、R〜Rは、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基等を、mは0〜2、B,Bは1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル等を、Y,Yは−CHCH−、−CHO−、−CFCF−、単結合等を表す。)
【選択図】 なし

Description

本願発明は電気光学的液晶表示材料として有用な誘電率異方性Δεが負のネマチック液晶組成物、及びこれを用いた液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、家庭用各種電気機器、測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型、IPS(インプレーンスイッチング)型、OCB(光学補償複屈折)型、ECB(電圧制御複屈折)型、VA(垂直配向)型、CSH(カラースーパーホメオトロピック)型、あるいはFLC(強誘電性液晶)等を挙げることができる。また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、単純マトリックス方式、最近ではTFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)等により駆動されるアクティブマトリックス(AM)方式が主流となっている。
これらの表示方式において、IPS型、ECB型、VA型、あるいはCSH型等は現在汎用のTN型やSTN型と異なり、誘電率異方性(Δε)が負の液晶材料を用いるという特徴を有する。これらの中で特にAM駆動によるVA型表示は、高速で広視野角の要求される表示素子、例えばテレビ等への応用において、現在最も期待されているものである。
VA型等の表示方式に用いられる液晶材料には、低電圧駆動、高速応答、広い動作温度範囲が要求される。すなわち、誘電率異方性が負で絶対値が大きく、低粘度であり、高いネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が要求されている。また、屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積であるΔn×dの設定から、液晶材料の屈折率異方性をセルギャップに合わせて適当な範囲に調節する必要がある。又、高速応答を実現するために表示素子のセルギャップを小さくすることも行われるが、前述のような制約から狭セルギャップ化には限界があった。セルギャップを変えることなく応答速度を向上させるためには粘性の低い液晶組成物を用いることが有効である。液晶表示素子をテレビ等へ応用する場合においては高速応答性が重視されるため、特に粘性の低い液晶組成物の開発が求められていた。
誘電率異方性が負の液晶材料として、以下のような2,3-ジフルオロフェニレン骨格を有する液晶化合物(特許文献1及び2参照)が開示されている。
Figure 2007039642
(式中、R及びR’は炭素数1から10のアルキル基又はアルコキシ基を表す。)
更に、これらの引用文献には、本願発明を構成する液晶化合物の基本骨格である1-ヒドロキシ-2,3-ジフルオロ-4-置換ベンゼン骨格を有する化合物を含むものである。しかし、当該引用文献に記載される化合物は広範であり、両方の側鎖にアルケニル基を有する化合物に関する具体的な開示は無く、記載された化合物を用いた誘電率異方性が負の液晶組成物は、液晶テレビ等の高速応答が要求される液晶組成物においては十分に低い粘性を実現するに至っていない。
一方、本願発明を構成する液晶化合物の基本骨格である1-ヒドロキシ-2,3-ジフルオロ-4-置換ベンゼン骨格を有する化合物を用いた液晶組成物の開示もあるが(特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)、両方の側鎖にアルケニル基を有する化合物を用いた液晶組成物の具体的な記載は無く、当該化合物と他にどのような化合物を用いることで液晶組成物の粘性を低減できるかについての具体的な開示は無い。
又、2,3-ジフルオロハイドロキノン骨格を有する液晶化合物についても既に開示されており(特許文献6及び7参照)、当該化合物を用いた液晶組成物の開示もある。しかし、当該化合物はハイドロキノン骨格を有することから、電圧保持率の点でアクティブマトリックス用には使用できないものと見られており(非特許文献1参照)当該化合物を用いて低粘性のVA用液晶組成物の開発は遅れていた。
誘電率異方性値が負であってその絶対値の大きい液晶化合物として、7,8-ジフルオロクロマン骨格を有する液晶化合物(特許文献8参照)が開示されている。しかしながら、この化合物やそれを用いた液晶組成物は誘電率異方性値は負であり、その絶対値は大きいものの、粘度が十分低いとは言えず、より低粘度である液晶化合物及び液晶組成物の開発が求められていた。
粘度の低い液晶化合物として側鎖にアルケニル基を有するものが有り、多くの化合物を含む一般的な開示は既にされている(特許文献9参照)。しかし、当該引用文献は誘電異方性値が正である液晶化合物及び液晶組成物の使用を念頭に置いており、誘電異方性値が負の液晶組成物として広い開示範囲のどの化合物を具体的に使用し、どの様な化合物を併用し又その効果がどの様なものであるかについての開示は無い。
従って、誘電率異方性が負の液晶組成物で粘度の低い液晶組成物の開発が望まれていた。
特開昭60−199840号 特開平2−4725号 特開平8−104869号 特開2000−96055号 欧州特許出願公開第0474062号明細書(14頁) 特表平2−503568号 独国特許出願公開第3906058号 国際公開2005/000995号パンフレット 特開平10−45639号公報 沼田 宏,月刊ディスプレイ,Vol.4,No.3 pp.1−7,(1998)(5頁表4)
本願発明が解決しようとする課題は、絶対値の大きな負の誘電率異方性を持ち、屈折率異方性を低減させるか又は上昇させることなく粘度の低い液晶組成物を提供することにある。更に、本願発明が解決しようとする課題は当該液晶組成物の構成部材である誘電率異方性が負で、粘度の低いジフルオロベンゼン誘導体を提供し、当該液晶組成物を用いたVA型等の液晶表示素子を提供することにある。
本願発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、一般式(I)
Figure 2007039642
(式中、R1は炭素数1から10のアルキル基又は炭素数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個以上のCH2基はO及び/又はSに置換されてもよく、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はF又はClに置換されてもよく、R2は炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシル基、炭素数2から10のアルケニル基又は炭素数3から10のアルケニルオキシ基を表し、
mは0、1又は2表す。)
で表される化合物を1種又は2種以上含有し、
第二成分として、一般式(II)
Figure 2007039642
(式中、R3及びR4はそれぞれ独立的に一般式(I)におけるR2と同じ意味を表し、
B1及びB2はそれぞれ独立的に
(a) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個のCH2基は酸素原子又は硫黄原子に置換されてもよい)
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個又は2個以上のCH基は窒素原子に置換されてもよい)
(c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)又は基(c)はCN又はハロゲンで置換されていてもよく、
Y1及びY2はそれぞれ独立的に
-CH2CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-CF2CF2-、-CF=CF-、-CH2O-、-OCH2-、-OCH(CH3)-、-CH(CH3)O-、-(CH2)4-、-(CH2)3O-、-O(CH2)3-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-COS-、-SCO-又は単結合を表し、
Y2及びB2が複数存在する場合は、それらは同一でもよく異なっていてもよく、
pは0、1又は2を表す。)
で表される化合物を1種又は2種以上含有する誘電率異方性が負のネマチック液晶組成物を提供し、併せて当該液晶組成物の構成部材である一般式(I-1)
Figure 2007039642
(式中、Raは炭素原子数2から7の直鎖状アルケニル基を表し、Rbは炭素原子数1から7の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2から7の直鎖状アルケニル基を表し、p1及びp2はそれぞれ独立的に1又は2を表し、p1及びp2の合計は3以下である。)で表されるジフルオロベンゼン誘導体を提供し、更に、当該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供する。
本願発明の液晶化合物の組み合わせによって、屈折率異方性をほぼ維持したまま、粘度の低い誘電率異方性が負の液晶組成物が得られた。この組成物を用いることにより、高温域まで高い電圧保持率を維持できる信頼性に優れた液晶表示素子が提供され、このディスプレイはVA方式やECB方式、IPS方式等の液晶ディスプレイとして非常に実用的であり、特にセルギャップを薄くすることなく高速応答化に有効である。
又、本願発明のジフルオロベンゼン誘導体は誘電率異方性値が負であると共に低粘度であることから、本願発明の液晶組成物の構成部材として有用である。
本願発明における液晶組成物において、第一成分として一般式(I)で表される化合物を1種又は2種以上を含有するが、1種から20種が好ましく、1種から15種がより好ましく、1種から10種が更に好ましく、2種から8種が特に好ましい。
一般式(I)で表される化合物の含有率は、10から80質量%の範囲であることが好ましく、15から70質量%の範囲であることがより好ましい。これらの化合物は、絶対値の大きな負の誘電率異方性を有するが、含有量が多いと粘度を上昇させる傾向がある、又はスメクチック−ネマチック相転移温度を上昇させてしまうことがあるため、低い粘度を重視する場合、あるいは低いスメクチック−ネマチック相転移温度を重視する場合はこれらの含有率が少ないことが好ましく、絶対値の大きな負の誘電率異方性を重視する場合はこれらの含有率が多いことが好ましい。
一般式(I)において、R1及びR2は、炭素数1から10のアルキル基又は炭素数2から10のアルケニル基を表すが、R1又はR2の少なくともどちらか一方が炭素数2から10のアルケニル基を表すことが好ましく、アルケニル基として具体的には以下の構造が特に好ましい。
Figure 2007039642
(構造式は右端で環に連結しているものとする。)
又、mは0又は1を表すことが好ましい。
更に詳述すると、一般式(I)は、具体的な構造として以下の一般式(I-A)及び一般式(I-B)で表される化合物が好ましく、
Figure 2007039642
(式中、R5、R6、R7及びR8は、一般式(I)におけるR2と同じ意味を表す。)
一般式(I-A-I)から(I-A-VIII)及び一般式(I-B-I)から(I-B-IV)からなる群で表される化合物がより好ましい。
Figure 2007039642
(式中、R5、R6及びR8は炭素数1から10のアルキル基又は炭素数2から10のアルケニル基を表す。)
第二成分として、一般式(II)で表される化合物を1種又は2種以上を含有するが、1種から12種が好ましく、1種から8種がより好ましく、2種から6種が更に好ましい。
一般式(II)の含有率は20から70質量%の範囲であることが好ましく、25から65質量%の範囲であることがより好ましい。これらの化合物は、誘電率異方性の絶対値を大きくする効果はほとんどないものの粘度を低くする効果があり、低い粘度を重視する場合はこれらの含有率が多いことが好ましく、誘電率異方性の絶対値を大きくすることを重視する場合はこれらの含有率が少ないことが好ましい。
一般式(II)において、R3及びR4はそれぞれ独立的に、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数1から10のアルコキシル基又は炭素数3から10のアルケニルオキシ基を表すことが好ましいが、R3は炭素数1から10のアルキル基又は炭素数2から10のアルケニル基を表し、R4は炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシル基又は炭素数2から10のアルケニル基を表すことがより好ましく、
具体的にはR3は-CH3、-CH2CH3、-(CH2)2CH3、-(CH2)3CH3、-(CH2)4CH3、-(CH2)5CH3、-(CH2)6CH3、-(CH2)7CH3、-CH=CH2、-CH=CHCH3(E体)、-(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2、-(CH2)4CH=CHCH3(E体)又は-(CH2)6CH=CH2を表し、
R4は、-CH3、-CH2CH3、-(CH2)2CH3、-(CH2)3CH3、-(CH2)4CH3、-(CH2)5CH3、-(CH2)6CH3、-(CH2)7CH3、-OCH3、-OCH2CH3、-O(CH2)2CH3、-O(CH2)3CH3、-O(CH2)4CH3、-O(CH2)5CH3、-O(CH2)6CH3、-O(CH2)7CH3、-CH=CH2、-CH=CHCH3(E体)、-(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2、-(CH2)4CH=CHCH3(E体)又は-(CH2)6CH=CH2を表すことが更に好ましい。
B1及びB2はそれぞれ独立的に、トランス-1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個のCH2基が酸素原子に置換されているものを含む)、1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個又は2個以上のCH基は窒素原子に置換されているものを含む)、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基もしくはこれらの水素原子がフッ素原子で置換された置換基を表すことが好ましく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、1,4-フェニレン基、フッ素置換された1,4-フェニレン基又は1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基がより好ましい。
Y1及びY2はそれぞれ独立的に、-CH2CH2-、-CH=CH-(E体)、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-CF2CF2-、-CF=CF-(E体)、-CH2O-、-OCH2-、-OCH(CH3)-、-CH(CH3)O-、-(CH2)4-、-(CH2)3O-、-O(CH2)3-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-COS-、-SCO-又は単結合を表すことが好ましいが、-CH2CH2-、-CH=CH-(E体)、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CF2CF2-、-CF=CF-(E体)、-CH2O-、-OCH2-、-OCH(CH3)-、-CH(CH3)O-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-又は単結合がより好ましく、-CH2CH2-、-CH=CH-(E体)又は単結合が更に好ましい。
更に詳述すると、一般式(II)は、具体的な構造として以下の一般式(II-A)から一般式(II-I)からなる群で表される化合物が好ましい。
Figure 2007039642
(式中、R13、R15、R17、R19、R21、R27及びR29はそれぞれ独立的に、-CH3、-CH2CH3、-(CH2)2CH3、-(CH2)3CH3、-(CH2)4CH3、-(CH2)5CH3、-(CH2)6CH3、-(CH2)7CH3、-CH=CH2、-CH=CHCH3(E体)、-(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2、-(CH2)4CH=CHCH3(E体)又は-(CH2)6CH=CH2を表し、
R23及びR25はそれぞれ独立的に、-CH3、-CH2CH3、-(CH2)2CH3、-(CH2)3CH3、-(CH2)4CH3、-(CH2)5CH3、-(CH2)6CH3、-(CH2)7CH3、-(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2、-(CH2)4CH=CHCH3(E体)又は-(CH2)6CH=CH2を表し、
R14、R16及びR18はそれぞれ独立的に、-CH3、-CH2CH3、-(CH2)2CH3、-(CH2)3CH3、-(CH2)4CH3、-(CH2)5CH3、-(CH2)6CH3、-(CH2)7CH3、-OCH3、-OCH2CH3、-O(CH2)2CH3、-O(CH2)3CH3、-O(CH2)4CH3、-O(CH2)5CH3、-O(CH2)6CH3、-O(CH2)7CH3、-CH=CH2、-CH=CHCH3(E体)、-(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2、-(CH2)4CH=CHCH3(E体)又は-(CH2)6CH=CH2を表し、
R20、R22、R24、R26、R28及びR30はそれぞれ独立的に、-CH3、-CH2CH3、-(CH2)2CH3、-(CH2)3CH3、-(CH2)4CH3、-(CH2)5CH3、-(CH2)6CH3、-(CH2)7CH3、-OCH3、-OCH2CH3、-O(CH2)2CH3、-O(CH2)3CH3、-O(CH2)4CH3、-O(CH2)5CH3、-O(CH2)6CH3、-O(CH2)7CH3、--(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2、-(CH2)4CH=CHCH3(E体)又は-(CH2)6CH=CH2を表す。)
追加の成分として、一般式(III-A)から(III-J)からなる化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有することも好ましい。
Figure 2007039642
(式中、R31及びR32はそれぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基又は炭素数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個以上のCH2基はO及び/又はSに置換されてもよく、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はF又はClに置換されてもよい。)
本願発明のネマチック液晶組成物は、一般式(I)から選ばれる1種又は2種以上の化合物を10から80質量%含有し、一般式(II-A)から一般式(II-I)からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を20から70質量%含有することが好ましい。
一般式(I-A)及び一般式(I-B)からなる化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を10から80質量%含有し、一般式(II-A)から一般式(II-I)からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を20から70質量%含有することがより好ましい。
一般式(I-A-I)から一般式(I-A-VIII)及び一般式(I-B-I)から一般式(I-B-IV)からなる化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を10から80質量%含有し、一般式(II-A)から一般式(II-I)からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を20から70質量%含有することが更に好ましい。
本願発明において、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)は70℃であることが好ましく、75℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましい。なお、ネマチック層−等方性液体相転移温度(Tni)は可能な限り高いことが好ましいため、その上限値を特に限定する必要はないが、実用的な上限値として、例えば130℃を挙げることができる。
25℃における誘電率異方性(Δε)がは、-2.0以下であることが好ましく、-2.5以下であることがより好ましく、-3.0以下であることが更に好ましい。なお、誘電率異方性(Δε)の絶対値は可能な限り大きいことが好ましいため、その下限値を特に限定する必要はないが、実用的な下限値として、例えば-8.0を挙げることができる。
25℃における屈折率異方性(Δn)は、薄いセルギャップに対応する場合は0.10以上であることがより好ましく、0.12以上であることが更に好ましい。厚いセルギャップに対応する場合は0.095以下であることがより好ましく、0.085以下であることが更に好ましい。なお、屈折率異方性(Δn)は、セルギャップ(d)と両者の積(Δn×d)で表されるリタデーションの各最適値に応じて調整されるものであるため、その範囲を特に限定する必要はないが、実用的な範囲として、例えば0.06以上0.16以下を挙げることができる。
粘度は30mPa・s以下であることが好ましく、25mPa・s以下であることがより好ましく、20mPa・s以下であることが更に好ましい。なお、粘度は可能な限り低いことが好ましいため、その下限値を特に限定する必要はないが、実用的な下限値として、例えば10mPa・sを挙げることができる。
上記ネマチック液晶組成物は、液晶表示素子に有用であり、特にアクティブマトリクス駆動用液晶表示素子に有用であり、VAモード、IPSモード又はECBモード用液晶表示素子に用いることができる。
本願発明のネマチック液晶組成物は、上記の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有してもよい。
本願発明を構成する、一般式(I-1)で表される化合物において、
Raは炭素原子数2から7の直鎖状アルケニル基を表すが、-CH=CH2、-CH=CHCH3(E体)、-(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2又は-(CH2)4CH=CHCH3(E体)が好ましく、
Rbは炭素原子数1から7の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2から7の直鎖状アルケニル基を表すが、炭素原子数1から7の直鎖状アルキル基としてはエチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基が好ましく、炭素原子数2から7のアルケニル基としては-CH=CH2、-CH=CHCH3(E体)、-(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2又は-(CH2)4CH=CHCH3(E体)が好ましく、具体的には次の構造を表すことが好ましい。
Figure 2007039642
(式中、Raは、-CH=CH2、-CH=CHCH3(E体)、-(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2又は-(CH2)4CH=CHCH3(E体)を表し、Rbは炭素原子数1から5の直鎖状アルキル基又は-CH=CH2、-CH=CHCH3(E体)、-(CH2)2CH=CH2、-(CH2)2CH=CHCH3(E体)、-(CH2)4CH=CH2又は-(CH2)4CH=CHCH3(E体)を表す。)
本願発明の化合物は、以下のように製造することができる。
(製法1)
式(9)
Figure 2007039642
で表されるジケトン化合物に対し、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリドより調製されるイリドを反応させて式(10)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(10)の化合物を酸触媒加水分解し、更に塩基性条件下でシス−トランス異性化することにより式(11)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(11)の化合物に対し、メチルトリフェニルホスホニウムブロミドより調製されるイリドを反応させて式(12)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(12)の化合物を水素化ほう素ナトリウム等の還元剤を用いて還元して式(13)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(13)の化合物を一般式(14)
Figure 2007039642
(式中、X1は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)で表される化合物へ変換し、2,3-ジフルオロフェノールから調製されるフェノラートと反応させることにより式(15)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。これを酸化することにより式(16)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。これより調製されるフェノラートと一般式(17)
Figure 2007039642
(式中、Raは一般式(I-1)と同じ意味を表し、X2は一般式(14)におけるX1と同じ意味を表す。)で表される化合物を反応させることにより一般式(18)
Figure 2007039642
(式中、Raは一般式(I-1)と同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
(製法2)
式(19)
Figure 2007039642
で表される化合物に対し、式(9)から式(11)への変換と同様の反応を行うことにより式(20)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(20)の化合物を水素化ほう素ナトリウム等の還元剤を用いて還元して式(21)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(21)で表される化合物を一般式(22)
Figure 2007039642
(式中、X2は一般式(14)におけるX1と同じ意味を表す。)で表される化合物へと変換し、酸性条件下で脱保護することにより一般式(23)
Figure 2007039642
(式中、X2は一般式(14)におけるX1と同じ意味を表す。)で表される化合物を得る。得られた一般式(23)で表される化合物に対し、式(9)から式(11)への変換と同様の反応を行うことにより式(24)
Figure 2007039642
(式中、X2は一般式(14)におけるX1と同じ意味を表す。)で表される化合物を得る。得られた一般式(24)で表される化合物とメチルトリフェニルホスフィンブロミドより調製されるイリドを反応させることにより一般式(25)
Figure 2007039642
(式中、X2は一般式(14)におけるX1と同じ意味を表す。)で表される化合物を得る。得られた一般式(25)で表される化合物を一般式(26)
Figure 2007039642
(式中、Raは一般式(I-1)と同じ意味を表す。)
で表されるフェノール化合物から調製されるフェノラートと反応させることにより一般式(18)で表される化合物を得ることができる。
(製法4)
式(27)
Figure 2007039642
で表される化合物に対し、式(9)から式(12)への変換と同様の反応を行うことにより式(28)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(28)で表される化合物を水素化リチウムアルミニウム、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等の還元剤により還元して式(29)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(29)で表される化合物を一般式(30)
Figure 2007039642
(式中、X3は一般式(14)におけるX1と同じ意味を表す。)で表される化合物へと変換し、
一般式(26)で表されるフェノール化合物から調製されるフェノラートと反応させることにより一般式(31)
Figure 2007039642
(式中、Raは一般式(I-1)と同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
(製法3)
式(39)
Figure 2007039642
で表される化合物に対し、酸性・脱水条件下、エチレングリコールと反応させて式(40)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(40)で表される化合物を水素化リチウムアルミニウム、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等の還元剤により還元して式(41)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(41)で表される化合物を一般式(42)
Figure 2007039642
(式中、X1は塩素、臭素、よう素、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)で表される化合物へ変換し、2,3-ジフルオロフェノールから調製されるフェノラートと反応させることにより式(43)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(43)で表される化合物を、酸性条件下で脱保護することにより式(44)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(44)で表される化合物に対し、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリドより調製されるイリドを反応させて式(45)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(45)の化合物を酸性条件下で加水分解し、更に塩基性条件下でシス−トランス異性化することにより式(46)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(46)の化合物に対し、式(44)から式(46)への変換反応(ただしシス−トランス異性化は行わない)を2回行うことにより式(47)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(47)で表される化合物に対し、メチルトリフェニルホスホニウムブロミドより調製されるイリドを反応させて式(48)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(48)で表される化合物を酸化して、式(49)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(49)で表される化合物から調製されるフェノラートと一般式(50)
Figure 2007039642
(式中、X1は一般式(42)におけるものと同じ意味を表し、p2及びRbはそれぞれ一般式(I-1)におけるものと同じ意味を表す。)で表される化合物を反応させることにより一般式(51)
Figure 2007039642
(式中、p2及びRbはそれぞれ一般式(I-1)におけるものと同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
(製法5)
式(46)で表される化合物に対し、エチルトリフェニルホスホニウムブロミドより調製されるイリドを反応させ、酸性条件下でE/Z異性化することにより式(52)
Figure 2007039642
で表される化合物を得る。得られた式(52)で表される化合物に対し、式(48)から一般式(51)への変換反応を行うことにより一般式(53)
Figure 2007039642
(式中、p2及びRbはそれぞれ一般式(I-1)におけるものと同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本願発明を更に詳述するが、本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。化合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(MS)等により確認した。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
化合物記載に下記の略号を使用する。
THF :テトラヒドロフラン
DMF :N, N-ジメチルホルムアミド
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Pen :ペンチル基
Pr :プロピル基
Ms :メタンスルホニル基
実施例中、測定した物性値は以下の通りである。
TNI :ネマチック―等方相転移温度(℃)
Δn :25℃における複屈折率
Δε :25℃における誘電率異方性
η :粘度(mPa・s) (20℃)
又、C、N及びIは、それぞれ結晶相、ネマチック相、等方相を表す。
(実施例1) 2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシベンゼン(1a)の合成
Figure 2007039642
(1-1) 4,4’-ビスメトキシメチリデンビシクロヘキシルの合成
メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド882.3 gをTHF 2600 mLに分散し、-10℃に冷却した。内温を保ちながらカリウム-t-ブトキシド313.2 gを加えた。内温を保ちながら1時間攪拌した後、ビシクロヘキシル-4,4’-ジオン200.0 gのTHF (800 mL)溶液を滴下して加えた。内温を保ちながら1時間攪拌した後、水を加えて反応を停止させた。溶媒を減圧留去した後、ヘキサンを加え激しく攪拌し、濾過した(2回)。濾液を合わせ、50%メタノール水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、無水の硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、白色の固体231.8 gを得た。
(1-2) トランス,トランス-ビシクロヘキシル-4,4’-ジカルバルデヒドの合成
(1-1)で得られた固体231.8 gのTHF (930 mL)溶液に10%塩酸700 mLを加え、1時間加熱還流した。反応液を放冷した後、有機層を分離し、水層からトルエンで抽出した(4回)。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水の硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、赤茶色の液体204.5gを得た。これをメタノール800 mLに溶解し、- 10℃で激しく攪拌している中に、内温を保ったまま10%水酸化ナトリウム水溶液80 mLを滴下して加えた。内温を保ったまま2時間攪拌した。水を加え、析出した固体を吸引ろ過により濾取した。得られた固体を水、メタノールの順に洗浄、乾燥し、白色の固体189.4 gを得た。
(1-3) 4’-ビニルビシクロヘキシル-4-カルバルデヒドの合成
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド192.5 gをTHF 580 mLに分散し、-10℃で激しく攪拌している中に、内温を保ちながらカリウム-t-ブトキシド66.6 gを加えた。内温を保ちながら1時間攪拌した後、(1-2)で得られた固体120.0 gのTHF (1800 mL)溶液へ内温5 10℃で滴下して加えた。内温を保ったまま1時間攪拌した後、水を加えて反応を停止させた。反応溶液を5%塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。有機層の溶媒を留去し、ヘキサン及びトルエンを加え、50%メタノール水で洗浄した。無水の硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、ほぼ無色の固体60.1 gを得た。
(1-4) トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシルメタノールの合成
水素化ホウ素ナトリウム1.65 gのエタノール(120 mL)溶液を-10℃で攪拌している中に、内温を保ちながら(1-3)で得られたほぼ無色の固体60.1 gのTHF(180 mL)溶液を滴下して加えた。室温まで昇温した後2時間攪拌し、水、酢酸エチル、塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止させた。反応液に飽和食塩水を加え、有機層を分離し、水層から酢酸エチルで抽出した(2回)。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製して白色の固体としてトランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシルメタノール15.4 gを得た。
(1-5) メタンスルホン酸 トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシルメチルの合成
トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシルメタノール15.1 g、ピリジン8.2 mL及び4-ジメチルアミノピリジン0.41 gをジクロロメタン50 mLに溶解した。氷冷下、メタンスルホニルクロリド6.3 mLのジクロロメタン(6 mL)溶液を30分かけて滴下し、室温まで昇温後6時間攪拌し、終夜放置した。反応溶液を10%塩酸にあけて有機層を分取し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン)及び再結晶(ヘキサン/トルエン)3回で精製し、無色結晶としてメタンスルホン酸 トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシルメチル9.8 gを得た。
(1-6) 2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシベンゼンの合成
メタンスルホン酸 トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシルメチルをDMFに溶解し、2,3-ジフルオロフェノール及びリン酸三カリウムを加えて80 100℃で2時間撹拌した。水及びトルエンを加えて有機層を分取し、水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシベンゼンを得た。
(1-7) 2,3-ジフルオロ-4-(トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシフェノ−ルの合成
2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシベンゼン15.7 gをTHF 80 mLに溶解し、そこへsec-ブチルリチウム(1.01 Mヘキサン、シクロヘキサン溶液)51 mLを内温-45℃以下で滴下し、更に30分撹拌した。そこへほう酸トリメチル5.9 gを内温-40℃以下で滴下して更に30分撹拌し、0℃まで昇温した。その後水16 mLを加え、15%過酸化水素水16 mLを30分かけて滴下し、3時間撹拌した。水及びトルエンを加えて有機層を分取し、水層をトルエンで抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製し、2,3-ジフルオロ-4-(トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシフェノ−ルを得た。
(1-8) 2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシベンゼン(1a)の合成
2,3-ジフルオロ-4-(トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシフェノ−ル6.5 gをDMF 35 mLに溶解し、(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メチルブロミド4.9 g及びリン酸三カリウム6.4 gを加えて80 100℃で2時間撹拌した。水及びトルエンを加えて有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣を再結晶及びカラムクロマトグラフィーで精製して無色結晶として2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシベンゼン(1 a) 3.8 gを得た。
相転移温度 C 94.1 N 197.5 I
MS m/z : 474 (M+), 146 (100)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ: 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 0.90 1.30 (m, 17 H), 1.65 2.00 (m, 15 H), 3.70 3.80 (m, 4 H), 4.80 5.00 (m, 2 H), 5.77 (ddd, J = 16.8 Hz, J = 10.4 Hz, J = 6.4 Hz, 1 H), 6.59 (d, J = 5.6 Hz, 2 H)
(実施例2) 2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(1b)の合成
Figure 2007039642
(2-1) 2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシベンゼンの合成
2,3-ジフルオロフェノ−ル30 gをDMF 300 mLに溶解し、(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メチルブロミド56.8 g及びリン酸三カリウム73.4 gを加えて100 110℃で1時間撹拌した。水及びトルエンを加えて有機層を分取し、水層をトルエンで抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄後、カラムクロマトグラフィーに付し、溶媒を減圧留去した。残渣を再結晶により精製し、2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシベンゼン37 gを得た。
(2-2) 2,3-ジフルオロ-4-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシフェノールの合成
2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシベンゼン37 gをTHF 222 mLに溶解し、そこへブチルリチウム(2.67 Mヘキサン溶液)59.9 mLを内温-40℃以下で滴下し、更に30分撹拌した。そこへほう酸トリメチル18.1 gを内温-40℃以下で滴下し、0℃まで昇温した。その後30%過酸化水素水24.7 mLを5分かけて滴下し、3時間撹拌した。水及びトルエンを加えて有機層を分取し、水層をトルエンで抽出した。有機層を合わせて水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、2,3-ジフルオロ-4-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシフェノール20 gを得た。
(2-3) 4-メトキシメチリデンシクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリドの263.4gをテトラヒドロフラン750mLに分散し、ここへカリウム-t-ブトキシドの86.2gを-9〜-4℃で5分掛けて加えた。更に-4〜-11℃で30分攪拌後、4-オキソシクロヘキサンカルボン酸メチルの100.0gをTHF300mLに溶解し、-10〜4℃で80分かけて滴下した。更に0〜4℃で60分攪拌した後、塩化アンモニウム7.0gと水20mLを加えた。反応混合物の溶媒を減圧下に留去した後、ヘキサン600mLを加え室温下に30分攪拌した。析出物を濾別後、析出物を再度ヘキサン600mLで懸濁洗浄し、ヘキサン濾液を併せて、メタノール-水(1:1)の混合液、水、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去し、油状物として4-メトキシメチリデンシクロヘキサンカルボン酸メチルの103gを得た。
(2-4) 4-ホルミルシクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
4-メトキシメチリデンシクロヘキサンカルボン酸メチルの103gをTHF350mLに溶解させ、ここへ10%塩酸の100mLを11〜13℃で10分かけて滴下した。更に室温で3時間攪拌した後、ヘキサン80mLを加えた。水層を酢酸エチルで抽出後、有機層を併せ、水、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、油状物として4-ホルミルシクロヘキサンカルボン酸メチルの92.4gを得た。なお、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、得られたこのものはシス体・トランス体の64:36の混合物であった。
(2-5) 4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
メチルトリフェニルホスホニウムブロミドの297.4gをTHF900mLに分散し、ここへカリウム-t-ブトキシドの95.6gを-8℃で3分掛けて加えた。更に30分攪拌後、4-ホルミルシクロヘキサンカルボン酸メチルの92.4 gをTHF270mLに溶解し、-6〜4℃で50分かけて滴下した。更に0〜4℃で30分攪拌した後、水15mLを加えた。反応混合物の溶媒を減圧下に留去した後、ヘキサン500mLを加え室温下に30分攪拌した。析出物を濾別後、析出物を再度ヘキサン500mLで懸濁洗浄し、ヘキサン濾液を併せて、メタノール-水(1:1)の混合液、水、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去し、81.2gの油状物を得た。減圧蒸留により4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸メチルの57.3gを得た。沸点122〜127℃/48hPa。なお、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、得られたこのものはシス体・トランス体の26:74の混合物であった。
(2-6) トランス-4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸の合成
4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸メチルの55.3gをメタノール60mLに溶解し、15℃に冷却した後、ここへ20%水酸化ナトリウム水溶液の100gを加えた。更に室温で2時間攪拌の後、濃塩酸を加えて系を酸性にした。ヘキサンで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、52.4gの反応混合物を得た。ヘキサンから再結晶させ、トランス-4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸の23.0gを得た。
(2-7) トランス- 4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
トランス-4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸の23.0gをメタノール120mLに溶解し、トリメチルシリルクロリド0.1gを加え6時間還流した後、室温まで冷却し減圧下に濃縮した。ヘキサン150mLを加え、メタノール層を分離した後、メタノール層をヘキサンで抽出し、有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、油状物質としてトランス-4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸メチルの29.5gを得た。
(2-8) (トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メタノールの合成
リチウムアルミニウムヒドリド5.7gをTHF50mLに分散し、ここへトランス-4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸メチルの29.5gをTHF75mLに溶解し、15〜16℃で40分かけて滴下した。更に10〜20℃で30分攪拌した後、水をゆっくりと加えた。10%塩酸を約70mL加え、ヘキサンで洗い流しながらスラッジ状の不溶物をデカンタにより取り除いた後、得られた有機層を10%塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メタノールの26gを得た。
(2-9) メタンスルホン酸(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メチルの合成
(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メタノールの26gをジクロロメタン100mLに溶解し、ピリジンの23.6gと4-ジメチルアミノピリジン0.9gを加えた。ここへ、メタンスルホニルクロリドの18.8gをジクロロメタン36mLに溶解し、14〜20℃で25分かけて滴下した。更に室温で7時間攪拌した後、一晩静置した。水40mLを加え、有機層を分離した後、有機層を10%塩酸、水、飽和重曹水、飽和塩化アンモニウム水溶液の順に洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、32.7gの固形物を得た。ヘキサンから再結晶させ、メタンスルホン酸(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メチルの30.8gを得た。
(2-10) 2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(1b)の合成
2,3-ジフルオロ-4-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシフェノール10 gのDMF (50 ml)溶液に、リン酸三カリウム12 g及びメタンスルホン酸(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メチル8.1 gを加え、80 100℃で2時間撹拌した。水及びトルエンを加えて有機層を分取し、水及び飽和食塩水で洗浄後、シリカゲルで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣を再結晶及びカラムクロマトグラフィーで精製し、無色結晶として2,3-ジフルオロ-1-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシ-4-(トランス-4-ビニルシクロヘキシル)メトキシベンゼン(1b)7.9 gを得た。
相転移温度 C 59.2 N 77.1 I
MS m/z : 392 (M+), 146 (100)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ: 0.88 (t, J = 7.6 Hz, 3 H), 0.90 1.30 (m, 11 H), 1.65 2.00 (m, 11 H), 3.70 3.80 (m, 4 H), 4.85 5.05 (m, 2 H), 5.79 (ddd, J = 17.2 Hz, J = 10.4 Hz, J = 6.8 Hz, 1 H), 6.60 (d, J = 5.6 Hz, 2 H)
(実施例3) 2,3-ジフルオロ-1-((トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシ)-4-((トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル)メトキシ)ベンゼン(1c)の合成
Figure 2007039642
(3-1) 4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキサンカルボン酸メチルの合成
4-オキソシクロヘキサンカルボン酸メチル300 mLをトルエン900 mLに溶解し、エチレングリコール257 mLおよびp-トルエンスルホン酸水和物5 gを加え、生成する水を除去しながら4時間加熱還流した。室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100 mLを滴下し、水500 mLを加えて有機層を分取した。水層をトルエンで抽出して有機層を合わせ、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。総量が約1.2 Lになるまで溶媒を減圧留去し、4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキサンカルボン酸メチルのトルエン溶液を得た。
(3-2) (4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メタノールの合成
(1-1)で得られたトルエン溶液に70%水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムトルエン溶液832 gを滴下し、更に2時間攪拌した。反応溶液に酢酸エチル100 mLを滴下し、水500 mLを加えて有機層を分取した。水層をトルエンで抽出して有機層を合わせ、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣を減圧蒸留(179 184℃/2.5 kPa)して無色油状物質として(4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メタノール153.9 gを得た。
(3-3) メタンスルホン酸 (4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メチルの合成
(4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メタノール153.9 gをジクロロメタン500 mLに溶解し、ピリジン108 mLおよび4-ジメチルアミノピリジン11 gを加えて氷冷した。メタンスルホニルクロリド83 mLを30分かけて滴下し、室温まで昇温後2時間攪拌した。反応溶液を水400 mLにあけて有機層を分取し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して淡黄色油状物質としてメタンスルホン酸 (4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メチル230.6 gを得た。
(3-4) 1-((4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼンの合成
メタンスルホン酸 (4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メチル15.9 gをDMF 150 mLに溶解し、リン酸三カリウム20.2 gおよび2,3-ジフルオロフェノール9.1 gを加えて80 100℃で2時間攪拌した。反応溶液を水にあけてトルエン抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、シリカゲルで乾燥した。総量が約100 mLになるまで溶媒を減圧留去し、1-(4-(4’, 4’-エチレンジオキシ)シクロヘキシル)メトキシ-2,3-ジフルオロベンゼンのトルエン溶液を得た。
(3-5) 1-((4-オキソシクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼンの合成
(1-4)で得られたトルエン溶液にギ酸80 mLを加え、室温で6時間撹拌した。水およびトルエンを加えて有機層を分取し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、1-((4-オキソシクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン13.8 gを得た。
(3-6) 1-((トランス-4-ホルミルシクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼンの合成
1-((4-オキソシクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン13.8 gをTHF 50 mLに溶解しメトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド23.6 gを加えた。そこへ、カリウム-t-ブトキシド7.7 gのTHF(20 mL)溶液を内温10 25℃で滴下し、30分撹拌した。水10 mLを加えて溶媒を減圧留去し、ヘキサン、50%メタノール水溶液を加えて有機層を分取した。これを50%メタノール水溶液および飽和食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィーに付した。溶媒を減圧留去し、残渣をTHF 100 mLに溶解し、10%塩酸100 mLを加えて3時間加熱還流した。水および酢酸エチルを加えて有機層を分取し、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣にメタノール30 mLおよび20%水酸化ナトリウム水溶液を加え、氷冷下2時間撹拌した。水および酢酸エチルを加えて有機層を分取し、飽和食塩水で3回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して1-((トランス-4-ホルミルシクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン11.5 gを得た。
(3-7) 1-((トランス-4-(ホルミルメチル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼンの合成
1-((トランス-4-ホルミルシクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン11.5 gをTHF 50 mLに溶解しメトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド18.6 gを加えた。そこへ、カリウム-t-ブトキシド6.1 gのTHF(20 mL)溶液を内温5 20℃で滴下し、30分撹拌した。水10 mLを加えて溶媒を減圧留去し、ヘキサン、50%メタノール水溶液を加えて有機層を分取した。これを50%メタノール水溶液および飽和食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィーに付した。溶媒を減圧留去し、残渣をTHF 70 mLに溶解し、10%塩酸70 mLを加えて2時間加熱還流した。水および酢酸エチルを加えて有機層を分取し、飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後した。溶媒を減圧留去して、1-((トランス-4-(ホルミルメチル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン8.2 gを得た。
(3-8) 1-((トランス-4-(2-ホルミルエチル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼンの合成
1-((トランス-4-(ホルミルメチル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン8.2 gをTHF 50 mLに溶解しメトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド12.6 gを加えた。そこへ、カリウム-t-ブトキシド4.1 gのTHF(20 mL)溶液を内温5 20℃で滴下し、30分撹拌した。水10 mLを加えて溶媒を減圧留去し、ヘキサン、50%メタノール水溶液を加えて有機層を分取した。これを50%メタノール水溶液および飽和食塩水で洗浄し、シリカゲルで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をTHF 50 mLに溶解し、10%塩酸50 mLを加えて2時間加熱還流した。水および酢酸エチルを加えて有機層を分取し、飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して、1-((トランス-4-(2-ホルミルエチル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン7.0 gを得た。
(3-9) 1-((トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼンの合成
1-((トランス-4-(2-ホルミルエチル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン7.0 gをTHF 30 mLに溶解しメチルトリフェニルホスホニウムブロミド10.6 gを加えた。そこへ、カリウム-t-ブトキシド3.3 gのTHF(15 mL)溶液を内温5 20℃で滴下し、30分撹拌した。水10 mLを加えて溶媒を減圧留去し、ヘキサン、50%メタノール水溶液を加えて有機層を分取した。これを50%メタノール水溶液および飽和食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィーに付した。溶媒を減圧留去して、1-((トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン3.0 gを得た。
(3-10) 4-((トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロフェノールの合成
1-((トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロベンゼン3 gをTHF 30 mLに溶解し、sec-ブチルリチウム(1.01 Mシクロヘキサン、ヘキサン溶液)11.7 mLを内温-40から-60℃で滴下し、30分撹拌した。そこへほう酸トリメチル1.3 gを加えて室温まで昇温し、30%過酸化水素水1.8 mLを加えて40℃で1時間撹拌した。5%塩酸を加えて1時間撹拌し、トルエンを加えて有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して4-((トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロフェノールを得た。
(3-11) 2,3-ジフルオロ-1-((トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシ)-4-((トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル)メトキシ)ベンゼン(1c)の合成
(3-10)で得られた4-((トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル)メトキシ)-2,3-ジフルオロフェノールの全量をDMF 20 mLに溶解しリン酸三カリウム3.4 gおよび(トランス-4-エチルシクロヘキシル)メチルブロミド2.6 gを加えて80 100℃で2時間撹拌した。水およびトルエンを加えて有機層を分取し、水および飽和食塩水で洗浄して無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を再結晶およびカラムクロマトグラフィーで精製し、無色結晶として2,3-ジフルオロ-1-((トランス-4-エチルシクロヘキシル)メトキシ)-4-((トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル)メトキシ)ベンゼン(Ic)1.3 gを得た。
相転移温度 C 60.6 N 88.5 I
MS m/z : 420 (M+), 146 (100)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ: 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 0.85 1.40 (m, 14 H), 1.70 2.20 (m, 12 H), 3.76 (d, J = 6.4 Hz, 4 H), 4.90 5.04 (m, 2 H), 5.75 5.87 (m, 1 H), 6.55 6.65 (m, 2 H)
(実施例4) 液晶組成物の調製(1)
以下の組成からなるホスト液晶組成物(H)
Figure 2007039642
を調製した。ここで(H)の物性値は以下の通りである。
ネマチック相上限温度(TN-I): 103.2℃
誘電率異方性(Δε): 0.03
屈折率異方性(Δn): 0.099
粘度(mPa・s): 15.2
この母体液晶(H)80%と実施例1で得られた(1a)20%からなる液晶組成物(M-1)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
ネマチック相上限温度(TN-I): 121.0℃
誘電率異方性(Δε): −1.03
屈折率異方性(Δn): 0.099
粘度(mPa・s): 23.4
本発明の化合物(1a)を含有する液晶組成物(M-1)は、母体液晶(H)に比べ、ネマチック相上限温度(TN-I)は大きく上昇し、誘電率異方性(Δε)は減少して負の値となった。このことから、本発明の化合物は(Ia)は、高い温度でも安定してネマチック相を発現し、誘電率異方性が負であり、その絶対値が極めて大きいことがわかる。
(実施例5)液晶組成物の調製(2)
実施例4で調製した母体液晶(H)80%と実施例2で得られた(1b)20%からなる液晶組成物(M-2)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
ネマチック相上限温度(TN-I): 97.3℃
誘電率異方性(Δε): −1.20
屈折率異方性(Δn): 0.097
粘度(mPa・s): 20.6
本発明の化合物(1b)を含有する液晶組成物(M-2)は、母体液晶(H)に比べ、誘電率異方性(Δε)は大きく減少して負の値となった。このことから、本発明の化合物は(1b)は、誘電率異方性が負であり、その絶対値が極めて大きいことがわかる。
(実施例6) 液晶組成物の調製(3)
実施例4で調製した母体液晶(H)80%と実施例3で得られた(1c)20%からなる液晶組成物(M-3)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
ネマチック相上限温度(TN-I): 99.3℃
誘電率異方性(Δε): −1.09
屈折率異方性(Δn): 0.096
粘度(mPa・s): 19.6
本発明の化合物(Ic)を含有する液晶組成物(M-3)は、母体液晶(H)に比べ、誘電率異方性(Δε)は大きく減少して負の値となった。このことから、本発明の化合物は(1c)は、誘電率異方性が負であり、その絶対値が極めて大きいことがわかる。
(比較例1)
実施例4で調製した母体液晶(H)80%と特許文献8記載の化合物(R1)
Figure 2007039642
20%からなる液晶組成物(MR-1)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
ネマチック相上限温度(TN-I): 109.2℃
誘電率異方性(Δε): −1.19
屈折率異方性(Δn): 0.095
粘度(mPa・s): 24.8
実施例5の(M-2)、実施例6の(M-3)及び比較例1の(MR-1)の物性値を以下の表1にまとめる。
Figure 2007039642
特許文献1記載の化合物(R1)を含有する液晶組成物(MR-1)は、本願発明の化合物を用いた液晶組成物と比べ、粘度が高くなった。このことから、本願発明の化合物は絶対値の大きい負の誘電率異方性を有し低い粘度を有することがわかる。
(実施例7) 液晶組成物の調製(4)
以下の構造で表される液晶組成物(M-4)を調製しその物性値を測定した。
Figure 2007039642
(M-4)の物性値は、Tni:81.2℃、Δn:0.074、Δε:-4.7、η:22.2mPa・sであった。
(比較例2)
比較例2として一般式(I)で表される化合物を含まない以下の構造で表される液晶組成物(MR-2)を調整しその物性値を測定した。
Figure 2007039642
(MR-2)の物性値は、Tni:77.5℃、Δn:0.073、Δε:-4.8、η:23.5mPa・sであった。
(M-4)は、(MR-2)と同等のΔnと絶対値の大きな負のΔεを有するが、(MR-2)よりもTniが高く、低い粘度を有する、優れた液晶組成物であることがわかる。
(実施例8) 液晶組成物の調製(5)
以下の構造で表される液晶組成物(M-5)を調整しその物性値を測定した。
Figure 2007039642
(M-5)の物性値は、Tni:79.5℃、Δn:0.074、Δε:-4.7、η:22.4mPa・sであった。
(実施例9) 液晶組成物の調製(6)
以下の構造で表される液晶組成物(M-6)を調整しその物性値を測定した。
Figure 2007039642
(M-6)の物性値は、Tni:80.3℃、Δn:0.074、Δε:-4.8、η:19.0mPa・sであった。
これらの物性値を表2にまとめる。
Figure 2007039642
MR−2はM-4、M-5及びM-6と比較して、液晶相上限温度及び粘度の点で劣ることが明らかである。
(実施例10)液晶組成物の調製(7)
Δnのやや大きい組成物として以下の組成からなる液晶組成物(M-7)を調製した。
Figure 2007039642
この(M-7)の物性値は以下の通りであった。
ネマチック相上限温度(TN-I): 79.4℃
誘電率異方性(Δε): −2.55
屈折率異方性(Δn): 0.106
粘度(mPa・s): 24.4
(実施例11)液晶組成物の調製(8)
Δnのやや大きい組成物として以下の組成からなる液晶組成物(M-8)を調製した。
Figure 2007039642
この(M-8)の物性値は以下の通りであった。
ネマチック相上限温度(TN-I): 79.6℃
誘電率異方性(Δε): −2.50
屈折率異方性(Δn): 0.108
粘度(mPa・s): 24.6

Claims (12)

  1. 第一成分として、一般式(I)
    Figure 2007039642
    (式中、R1は炭素数1から10のアルキル基又は炭素数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個以上のCH2基はO及び/又はSに置換されてもよく、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はF又はClに置換されてもよく、R2は炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシル基、炭素数2から10のアルケニル基又は炭素数3から10のアルケニルオキシ基を表し、
    mは0、1又は2表す。)
    で表される化合物を1種又は2種以上含有し、
    第二成分として、一般式(II)
    Figure 2007039642
    (式中、R3及びR4はそれぞれ独立的に一般式(I)におけるR2と同じ意味を表し、
    B1及びB2はそれぞれ独立的に
    (a) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個のCH2基は酸素原子又は硫黄原子に置換されてもよい)
    (b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個又は2個以上のCH基は窒素原子に置換されてもよい)
    (c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
    からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)又は基(c)はCN又はハロゲンで置換されていてもよく、
    Y1及びY2はそれぞれ独立的に
    -CH2CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-CF2CF2-、-CF=CF-、-CH2O-、-OCH2-、-OCH(CH3)-、-CH(CH3)O-、-(CH2)4-、-(CH2)3O-、-O(CH2)3-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-COS-、-SCO-又は単結合を表し、
    Y2及びB2が複数存在する場合は、それらは同一でもよく異なっていてもよく、
    pは0、1又は2を表す。)
    で表される化合物を1種又は2種以上含有する誘電率異方性が負のネマチック液晶組成物。
  2. 一般式(I-A)及び一般式(I-B)
    Figure 2007039642
    (式中、R5、R6、R7及びR8は、一般式(I)におけるR2と同じ意味を表す。)
    で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有する、請求項1記載のネマチック液晶組成物。
  3. 一般式(II-A)から一般式(II-I)
    Figure 2007039642
    (式中、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29及びR30は一般式(I)におけるR2と同じ意味を表す。)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有する請求項1又は2記載のネマチック液晶組成物。
  4. 一般式(I-A)及び一般式(I-B)からなる化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を10から80質量%含有し、一般式(II-A)から一般式(II-I)からなる化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を20から70質量%含有する、請求項3に記載のネマチック液晶組成物。
  5. 一般式(III-A)から一般式(III-J)
    Figure 2007039642
    (式中、R31及びR32はそれぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基又は炭素数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個以上のCH2基はO及び/又はSに置換されてもよく、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はF又はClに置換されてもよい。)
    からなる化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を更に含有する、請求項4に記載のネマチック液晶組成物。
  6. 25℃における誘電率異方性Δεが-2.0から-8.0の範囲であり、25℃における屈折率異方性Δnが0.06から0.16の範囲であり、20℃における粘度が10から40mPa・sの範囲であり、ネマチック相−等方性液体相転移温度Tniが70℃から130℃の範囲である、請求項1から5に記載のネマチック液晶組成物。
  7. 一般式(I-1)
    Figure 2007039642
    (式中、Raは炭素原子数2から7の直鎖状アルケニル基を表し、Rbは炭素原子数1から7の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2から7の直鎖状アルケニル基を表し、p1及びp2はそれぞれ独立的に1又は2を表し、p1及びp2の合計は3以下である。)で表されるジフルオロベンゼン誘導体。
  8. 一般式(I-1)において、Raがビニル基を表し、Rbが炭素原子数1から7の直鎖状アルキル基を表す請求項1記載の化合物。
  9. 請求項7又は8記載の化合物を含有する液晶組成物。
  10. 請求項1から6又は請求項9のいずれかに記載のネマチック液晶組成物を用いた液晶表示素子。
  11. 請求項1から6又は請求項9のいずれかに記載のネマチック液晶組成物を用いた、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子。
  12. 請求項1から6又は請求項9のいずれかに記載のネマチック液晶組成物を用いた、VAモード、IPSモード又はECBモード用液晶表示素子。























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