JP2007016133A - ポリピロール及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 球状粒子であって、粒径が1000nm以下であり、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液中で分散性を示すポリピロール、及びかかるポリピロールの製造方法である。
【選択図】 図3
Description
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、HPCを1%(w/v)となるように溶解させた。このHPC水溶液中にピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。HPC水溶液は、ピロールを加えるとすみやかにエマルジョンを形成し、乳化白濁した。次いで、FeCl3・6H2O 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、HPC−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。得られた反応液中に黒色沈殿が存在した。沈殿物のろ過と洗浄、そして減圧乾燥を行ない、黒色粉末を得た。
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、HPCを5%(w/v)となるように溶解させた。このHPC水溶液中にピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。HPC水溶液は、ピロールを加えるとすみやかにエマルジョンを形成し、乳化白濁した。次いで、FeCl3・6H2O 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、HPC−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。得られた反応液には沈殿物はなく黒色溶液であった。黒色溶液の透析を行い過剰の塩化鉄を除去し、溶液のpHを中性にし、黒色のポリピロール溶液(ポリピロールコロイド溶液)を得た。
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、HPCを10%(w/v)となるように溶解させた。このHPC水溶液中にピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。HPC水溶液は、ピロールを加えるとすみやかにエマルジョンを形成し、乳化白濁した。次いで、FeCl3・6H2O 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、HPC−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。この反応溶液について透析操作を行ない塩化鉄を除去したところ、透析チューブの中でゲルが生成されていた。このゲルは、HPC濃度が20%のときに得られたもの(実施例4)よりもかなりゆるいものであった。
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、HPCを20%(w/v)となるように溶解させた。このHPC水溶液中にピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。HPC水溶液は、ピロールを加えるとすみやかにエマルジョンを形成し、乳化白濁した。次いで、FeCl3・6H2O 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、HPC−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。塩化鉄を加えてから1時間後に反応溶液がゲル化した。6時間の重合反応の後、生成したゲルを水中に浸漬させ塩化鉄を除去した。
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、ピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。次いで、FeCl3・6H2O 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、ピロール分散液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。6時間の重合反応の後、生成したポリピロール沈殿物のろ過と蒸留水による洗浄を行い、塩化鉄を除去し、ポリピロール粉末を製造した。
キトサンを所定の濃度となるよう2%酢酸水溶液10mlに溶解させた。このキトサン溶液中にピロール0.84g(12.5mmol)を加えて攪拌し、0℃にまで冷却した。FeCl3・6H20 10.1g(37.5mmol)を水4mlに溶解させた後、アイスバス中にてキトサン−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。反応終了後、反応溶液をメタノール中に分散させた。その後、遠心分離(10000rps)とメタノール分散を3回行ない、塩化鉄と未反応キトサンを除去した。キトサンからは、黒色の粉末状ポリピロールが得られたのみであり、水溶性(水分散性)ポリピロールを得ることはできなかった。
1.ポリピロールのIRスペクトル
本発明のポリピロールのIR吸収スペクトルを図1に示す。HPC濃度が1%及び5%のとき、HPCを用いないで製造したポリピロールのIR吸収スペクトルとほぼ一致した。HPCに由来する吸収バンドは観察されず、HPCの存在量は非常に少ない。一方、ゲルとして得られたHPC濃度が10%及び20%のときに得られた複合体からは、HPC由来の吸収バンドが観察された。ゲル中にHPCが存在している。
SEM観察により、実施例1及び実施例2より得られたポリピロール粒子の形状とその粒子径を求めた。顕微鏡観察はカバーガラス上に溶液を落とし、もう1枚のカバーガラスで挟み込んで観察を行った。得られた複合体溶液の粒子径測定は、溶液をSEMグリッド上にのせ溶媒を除去した後、SEM観察を行なうことによって算出した。その結果を表1及び図2〜図4に示す。図2は、実施例1で得られたポリピロールのSEMの写真であり、図3は、実施例2で得られたポリピロールのSEMの写真である。また、図4は、比較例1で得られたポリピロールのSEMの写真である。
得られたポリピロールの導電率を測定した。実施例1より得られた粉末状試料はペレット形成を行い、ファンデルポー法により導電率を求めた。また、実施例2により得られたポリピロール、実施例3及び実施例4より得られたポリピロールゲルは、ガラス基盤上にキャストし乾燥と粉砕によって粉末状にし、粉末状試料と同様に導電率を測定した。表1に示すように、実施例2より得られたコロイド状ポリピロールの導電率は、1.2×10−1S/cmであり、粉末状のもの(実施例1)と同程度であった。実施例3及び実施例4より得られたポリピロールゲルの導電率は、粉末やコロイド粒子の導電率よりも低い値10−4〜10−3S/cmを示した。
Claims (19)
- 粒子形状であって、粒径が1000nm以下であることを特徴とするポリピロール。
- 導電率が、1.0×10−6S/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリピロール。
- 球状あることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリピロール。
- 水酸基含有ポリサッカライド水溶液中で分散性を示すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリピロール。
- 水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度が、2〜10%(w/v)のいずれかの濃度であることを特徴とする請求項4に記載のポリピロール。
- 水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項4又は5に記載のポリピロール。
- 水酸基含有ポリサッカライドを含み、ポリピロールが分散されたことを特徴とするポリピロール分散液。
- 水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項7に記載のポリピロール分散液。
- 水酸基含有ポリサッカライドとの複合体であることを特徴とするポリピロール。
- 水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項9に記載のポリピロール。
- ゲル状であることを特徴とする請求項9又は10に記載のポリピロール。
- 水酸基含有ポリサッカライドの存在下、ピロールのエマルジョンを形成し、重合することを特徴とするポリピロールの製造方法。
- 水酸基含有ポリサッカライド水溶液にピロールを添加してピロールのエマルジョンを形成することを特徴とする請求項12に記載のポリピロールの製造方法。
- 重合が、化学酸化重合であることを特徴とする請求項12又は13に記載のポリピロールの製造方法。
- エマルジョンを形成した後、系内に化学酸化重合触媒を添加することを特徴とする請求項14に記載のポリピロールの製造方法。
- 化学酸化重合触媒が、鉄系酸化剤であることを特徴とする請求項15に記載のポリピロールの製造方法。
- 水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度が、0.1〜30%(w/v)であることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載のポリピロールの製造方法。
- 水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載のポリピロールの製造方法。
- 請求項12〜18のいずれかに記載のポリピロールの製造方法により製造されたことを特徴とするポリピロール。
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