以下、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の実施形態では、ボタン電話装置としてボタン電話主装置と該ボタン電話主装置に接続された有線式ボタン電話機を例にあげて説明する。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、有線式ボタン電話機の代わりに無線式ボタン電話機を用いることができ、応答操作のみであれば、単独電話機を用いることもできる。また、本発明は、ボタン電話装置で実施するだけでなく、ボタン電話機を収容する構内交換機で実施しても良い。回線としても、外線および内線のいずれかまたは両方がIP(Internet Protocol)回線であって、ボタン電話主装置またはボタン電話機のいずれかまたは両方がIP対応の機器であっても良い。更に、以下の実施形態では、音声呼出の形態及び呼出特番としてページング呼出・一斉音声呼出・グループ音声呼出の3種類で説明しているが、ページング呼出と一斉音声呼出を同時に行う音声呼出の形態及び呼出特番を利用することも可能である。
図1は、本発明に係るボタン電話装置を構成するボタン電話主装置10と、ボタン電話機20の構成概略図である。図2は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11と、記憶部19の機能ブロック図である。図3は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の処理フローチャートである。図4は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内で音声呼出時間タイマ処理を行う場合のフローチャートである。
まず、図1を用いてボタン電話装置を構成するボタン電話主装置10と、ボタン電話機20の構成の概要を説明する。ボタン電話装置は、1以上の外線および複数の内線を収容するボタン電話主装置10と、該ボタン電話主装置10に接続された複数のボタン電話機20−1〜20−nから構成される。
ボタン電話主装置10は、中央制御部11と、通話路スイッチ12と、1以上の外線回路13−1〜13−nと、音声ガイダンス送出部14と、トーン送出部15と、PB信号受信部16と、ページング回路17と、複数の内線回路18−1〜18−nと、記憶部19を有して構成される。
中央制御部11は、ボタン電話主装置10の各回路からの入力情報(ボタン電話機20からの情報も含む)に対する分析や判断、記憶部19に対する情報の入出力、各回路の制御を行う。
通話路スイッチ12は、ボタン電話主装置10内の交換処理(外線と内線の接続、音声ガイダンス送出部の内線・外線への接続、トーン送出部の内線・外線への接続、ページング回路の内線・外線への接続、他)を行う。
外線回路13−1〜13−nは、外線に接続されるインタフェース回路である。
音声ガイダンス送出部14は、外線着信時に発呼者に対して操作方法を説明する音声案内や応答がなかったときの音声案内等を通話路スイッチ12経由で外線回路13に送出する回路である。
トーン送出部15は、外線着信時に発呼者に対してダイヤルトーンや操作を間違ったときのエラー音(話中音でも良い)や音声呼出を開始するときに流す冒頭音等を通話路スイッチ12経由で外線回路13に送出する回路である。
PB信号受信部16は、発呼者のPB信号によるダイヤル操作を受信する回路で、通話路スイッチ12経由で外線回路13に接続され、外線回路13からのPB信号受信結果はPB信号データとして中央制御部11に受け渡し後、記憶部19に記憶される。
ページング回路17は、放送装置等の音響機器に音声信号を送出するためのインタフェース回路であり、外部の放送装置30に接続される。ページング回路17は、発呼者のPB信号によるダイヤル操作がページング音声呼出特番の場合、外部の放送装置30に発呼者の音声を送出するため、通話路スイッチ12経由で外線回路13に接続される。尚、本図ではページング回路は1個であるが、複数のページング回路を設け、発呼者が操作する特番に応じて音声を送出するエリアを分けることも可能である。
内線回路18−1〜18−nは、ボタン電話機20−1〜20−nと音声データ、制御データの通信を行うためのインタフェース回路である。
記憶部19は、通常の記憶部としての働きの他に、発呼者からのPB信号データやボタン電話機20からのダイヤル情報、外線や内線の状態が一時記憶される。
ボタン電話機20は、制御部21と、データ送受信回路22と、音声処理部23と、送受話器24と、スピーカ25と、ダイヤルキー26と、外線キー27と、機能キー28と、LCD表示器29を有して構成される。
制御部21は、ボタン電話機20内の各回路からの入力情報に対する分析や判断、各回路の制御を行う。
データ送受信回路22は、内線を介してボタン電話主装置10と音声データ、制御データの通信を行うためのインタフェース回路である。
音声処理部23は、音声のデジタル/アナログ変換、アナログ/デジタル変換と、ボタン電話機20内の送受話器24やスピーカ25等との通話路切替および音量を制御する。
送受話器24は、一般的な通話時の送話、受話を行うためのハンドセットである。また、音声ガイダンスの内容を録音するときにも使用する。
スピーカ25は、通常は着信音の送出や、スピーカによる拡声受話に使用し、一斉音声呼出時やグループ音声呼出時は着信時に外線側発呼者の音声を出力する。尚、利用者がスピーカ25からの音声呼出を望まない場合は、所定の操作(例えば機能キー28およびダイヤルキー26による特番操作)により、制御部21はスピーカ25からの音声呼出を停止することも可能である(スピーカ呼出停止手段)。
ダイヤルキー26は、電話番号を入力する手段であり、また、各種設定の入力手段としても用いられる。本実施例では、ページング音声呼出時や一斉音声呼出時やグループ音声呼出時に応答するための応答特番をダイヤルするために使用する。尚、ページング音声呼出時や一斉音声呼出時やグループ音声呼出に応答する操作は、ダイヤルキー26の応答特番操作でなく、機能キー28を使用しても良い。
外線キー27は、複数ある外線から使用したい外線を選択するための複数のボタンである。
機能キー28は、ボタン電話装置で一般的に使用する“保留”ボタン、“再発信”ボタン、“設定”ボタン、等により構成される(各ボタンは図示していない)。尚、本実施例では、“設定”ボタンとダイヤルキー26の複合操作により、本実施例の発呼者からの特番操作及びページング音声呼出時や一斉音声呼出時やグループ音声呼出の応答特番等を登録するときに使用する。また、一斉音声呼出時やグループ音声呼出時の電話機のスピーカを利用した音声呼出を規制するためのON/OFFスイッチとして使用することもできる。
LCD表示器29は、電話番号、通話時間等を表示する。尚、本実施例では発呼者の電話番号や名称に加えて外線からの音声呼出であることを表示したり、音声呼出の応答方法のガイダンス表示を行うことも可能である。
次に、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11と記憶部19の機能構成を、図2を用いて説明する。ボタン電話主装置10は、中央制御部11が、少なくとも、外線回路制御手段F40と、音声ガイダンス制御手段F41と、トーン送出制御手段F42と、PB信号受信手段F43と、通話路制御手段F44と、ページング制御手段F45と、データ送受信手段F46と、移行制御手段F47と、音声呼出制御手段F48と、外線状態分析処理手段F49と、ダイヤル情報分析処理手段F50と、受信分析手段F51と、音声呼出応答分析処理手段F52とを有し、記憶部19に一時記憶手段F53と設定データ記憶手段F54とを有して構成される。
外線回路制御手段F40は外線発信、外線着信の制御を行う機能を有している。外線回路13が着信状態になると外線回路制御手段F40は該外線が着信中であることを一時記憶手段F53経由で記憶部19に記憶し、該外線がDID方式設定の場合は移行制御手段F47からの指示により該外線の着信に対する自動応答制御を行う。また、外線側終話時も該外線が終話したことを一時記憶手段F53経由で記憶部19に記憶する。
音声ガイダンス制御手段F41は、DID方式が設定されている外線に対して音声ガイダンス送出が設定されている場合に、外線回路13の着信に対する自動応答動作後、移行制御手段F47からの音声ガイダンス送出の通知により、音声ガイダンス送出部14に対して該外線に通話路スイッチ12経由で音声ガイダンス(例えば、「音声で呼び出す場合は、70をダイヤルした後、呼び出したい人の名前を呼んでください。」等の音声)の送出指示を出す機能を有している。
トーン送出制御手段F42は、発呼者の操作に誤りがあったときに移行制御手段F47からのエラー音送出の通知により、トーン送出部15に対し該外線に通話路スイッチ12経由でエラー音(話中音でも良い)を送出する指示を出す機能を有している。また、音声呼出開始可能時にトーン送出部15に対し外線回路13及びページング回路17または電話機20に対して通話路スイッチ12経由で冒頭音(例えば「プップッ」や「ピンポンパンポン」等)を送出する指示を出す機能も有している。
PB信号受信手段F43は、DID方式が設定されている外線回路13の着信に対する自動応答動作後、移行制御手段F47からのPB信号受信開始の通知により、PB信号受信部16に対し通話路スイッチ12経由で該外線からのPB信号の受信開始を指示する機能、及びPB信号受信部16からのPB信号データを一時記憶手段F53経由で記憶部19に記憶する機能を有している。
通話路制御手段F44は、移行制御手段F47からの通知内容により、外線回路13と各回路との接続や開放の指示を通話路スイッチ12へ出す機能を有している。DID方式が設定されている外線回路13の着信に対する自動応答動作後、通話路制御手段F44は、外線回路13の外線への出力側通話路と音声ガイダンス送出部14とを接続する指示を通話路スイッチ12へ出すと共に、外線回路13の外線からの入力側通話路とPB信号受信部16とを接続する指示を通話路スイッチ12へ出す。また、通話路制御手段F44は、発呼者から受信したPB信号データにより外線回路13の外線からの入力側通話路とページング回路17とを接続する指示、または外線回路13の外線からの入力側通話路と空き状態の音声呼出可能な全ボタン電話機(またはグループ内のボタン電話機)20に接続する内線回路18の電話機への出力側通話路とを接続する指示を通話路スイッチ12へ出す。また、通話路制御手段F44は、冒頭音送出段階でトーン送出部15と外線回路13の外線への出力側通話路とを接続する指示、及びトーン送出部15とページング回路17または空き状態の音声呼出可能な全ボタン電話機(またはグループ内のボタン電話機)20に接続する内線回路18の電話機への出力側通話路とを接続する指示を通話路スイッチ12へ出す。また、応答操作を行ったボタン電話機20との通話状態に移行する段階で、通話路制御手段F44は、外線回路13の双方向通話路と該ボタン電話機20に接続する内線回路18の双方向通話路とを接続する指示を通話路スイッチ12へ出し、これまで外線回路13に接続していたページング回路17または他の内線回路18及び音声ガイダンス送出部14及びPB信号受信部16を開放する指示を通話路スイッチ12へ出す。
ページング制御手段F45は、発呼者の操作にてページング呼出が指定された場合に音声呼出制御手段F48から音声呼出開始の通知を受け、ページング回路17に対し外線側発呼者の音声を通話路スイッチ12経由で送出するための制御を行う機能を有している。
データ送受信手段F46は、ボタン電話機20より内線回路18を経由して受信したデータを受信分析手段F51へ通知する機能、及び移行制御手段F47や音声呼出制御手段F48からの情報をボタン電話機20に送信する機能を有している。例えば、一斉音声呼出またはグループ音声呼出の場合、データ送受信手段F46は、対象となるボタン電話機20に対する音声呼出開始の通知を音声呼出制御手段F48から受け、ボタン電話機20に送信する。ボタン電話機20が音声呼出開始の通知を受けると、ボタン電話機内の制御部21は、音声処理部23をスピーカ25に接続しスピーカ25を動作させ、発呼者からの音声をスピーカ25より送出することが可能となる。
移行制御手段F47は、音声呼出制御手段F48、外線状態分析処理手段F49、ダイヤル情報分析処理手段F50及び音声呼出応答分析処理手段F52と連携を取りながら、状態遷移を行うために外線回路制御手段F40、音声ガイダンス制御手段F41、トーン送出制御手段F42、PB信号受信手段F43、通話路制御手段F44、データ送受信手段F46に対して動作移行の通知を行う機能を有している。
音声呼出制御手段F48は、ダイヤル情報分析処理手段F50と連携を取りながら、音声呼出状態への遷移を行うためにページング制御手段F45またはデータ送受信手段F46に対して音声呼出開始の通知を行う機能、及び音声呼出応答分析手段F52と連携を取りながら、音声呼出状態を終了するためにページング制御手段F45またはデータ送受信手段F46に対して音声呼出終了の通知を行う機能を有している。更に、音声呼出制御手段F48は、全電話機に対する音声による呼出を行う際に、設定データ記憶手段F54により記憶部19に記憶された電話機毎の音声呼出可否設定を参照し、音声呼出可能な電話機に対してのみ音声呼出開始を行うようにデータ送受信手段F46に対して通知をすると共に、音声呼出可能な電話機のみ通話路を接続するように移行制御手段F47に対して通知する機能も有している。
外線状態分析処理手段F49は、一次記憶手段F53により記憶部19に記憶された外線状態を定期的に監視する機能を有している。該外線が着信状態であることを確認すると、事前に設定データ記憶手段F54により記憶部19に保存されている外線種別から該外線がDID方式設定であるか確認し、DID方式設定の場合はDID方式設定であるとの分析結果を移行制御手段F47に通知し、移行制御手段F47は外線回路制御手段F40に対して該外線の着信に対する自動応答開始を通知する。通知を受けた外線回路制御手段F40は外線回路13の自動応答動作を行う。また、該外線にて相手終話であることを確認すると、移行制御手段F47に相手終話を通知し、移行制御手段F47は外線回路と各回路の接続状態の開放処理や各回路の復旧処理等を行う。
ダイヤル情報分析処理手段F50は、一時記憶手段F51により記憶されたPB信号データが設定データ記憶手段F52により記憶されたページング音声呼出特番・一斉音声呼出特番・グループ音声呼出特番の何れに該当するかを分析する機能を有している。分析結果がページング音声呼出特番の場合は音声呼出制御手段F48にページング呼出が通知され、音声呼出制御手段F48はページング制御手段F45に対して音声呼出開始の通知を行う。分析結果が一斉音声呼出特番の場合は音声呼出制御手段F48に一斉音声呼出が通知され、音声呼出制御手段F48は空き状態の音声呼出可能な全ボタン電話機20に対して音声呼出開始の通知をデータ送受信手段F46経由で行う。分析結果がグループ音声呼出特番の場合は音声呼出制御手段F48にグループ音声呼出が通知され、音声呼出制御手段F48は空き状態の音声呼出可能なグループ内のボタン電話機20に対して音声呼出開始の通知をデータ送受信手段F46経由で行う。
受信分析手段F51は、データ送受信手段F46より通知されたボタン電話機20からの内線捕捉情報、オフフック情報、ダイヤル情報、設定データ情報、機能キー操作情報等の受信データを分析し、情報の内容によって一次記憶手段F53または設定データ記憶手段F54により各情報を記憶部19に記憶する機能を有している。
音声呼出応答分析処理手段F52は、一時記憶手段F53により記憶された電話機のオフフック状態等の電話機状態や内線からのダイヤル情報を確認し、設定データ記憶手段F54により記憶された音声呼出に対するオフフック応答可能であるか、または音声呼出応答特番と一致するかを分析する機能を有している。音声呼出に対してオフフック可能である、または音声呼出応答特番と一致であると分析された場合は、該電話機が音声呼出応答操作したことを移行制御手段F47及び音声呼出制御手段F48に通知し、外線と該電話機との通話状態に移行する。
一時記憶手段F53は、発呼者からのPB信号データ、内線に接続されたボタン電話機20からのダイヤル情報やオフフック情報、等を記憶部19に一時的に記憶する機能を有している。また、外線が着信状態であることや相手が終話したことを示すデータを一時的に記憶する機能も有している。尚、一時的に記憶したデータは、外線や電話機の状態が変化した場合に外線回路制御手段F40や受信分析手段F51からの情報で消去または変化する。また、一時的に記憶したデータは、不要となった段階で移行制御手段F47からの指示で消去される場合もある。例えば、受信したPB信号データが無効でありPB信号の再受信待ち状態になったときは、移行制御手段F47からの指示で発呼者からのPB信号データは消去される。
設定データ記憶手段F54は、音声呼出機能を実現するためのページング音声呼出特番、一斉音声呼出特番、グループ音声呼出特番、音声呼出応答特番、音声呼出可能時間タイマ設定値、電話機毎の音声呼出可否、及びその他のシステム運用データを記憶する機能を有している。各特番や音声呼出可能時間タイマ設定値及びシステムの運用データはボタン電話機20の機能キー28やダイヤルキー26等の操作の組み合わせにより登録することができ、ボタン電話機20から送出された情報を受信分析手段F51によって設定データ情報であると分析した後に設定データ記憶手段F52により記憶部19に記憶される。また、各特番やシステムの運用データはボタン電話機20からの登録以外にもパソコンによる設定、遠隔にて電話回線等を経由した設定等も可能であり、登録手段は特に限定しない。記憶された情報は一時記憶手段F53により記憶されたデータとの照合用としてダイヤル情報分析処理手段F50や音声呼出応答分析処理手段F52が使用したり、外線等の状態が遷移したときなどのその後の処理を決定するために外線状態分析処理手段F49が使用したり、音声呼出可能な電話機を照合するために音声呼出制御手段F48が使用する。尚、設定データ記憶手段F54により記憶されたデータは、受信分析手段F51からの新たな設定指示により消去や更新が行われる。
次に、上記実施の形態におけるボタン電話主装置10側の動作の流れについて、図2及び図3を用いて説明する。DID方式を設定した外線に着信があると主装置自動応答処理(S61)が実行される。外線状態分析処理手段F49が着信を検出すると、事前に設定データ記憶手段F54により記憶部19に保存されている外線種別から該外線がDID方式設定であることを確認し、DID方式設定であるとの分析結果を移行制御手段F47に通知し、移行制御手段F47は外線回路制御手段F40に対して外線の自動応答開始を通知し、外線回路制御手段F40は外線回路13の自動応答制御を行う(例えば、アナログ外線の場合はループ形成を行う)。尚、DI方式やサブアドレスダイヤルイン方式の外線で音声呼出機能を利用する場合も同様に、主装置自動応答処理が実行される。
主装置自動応答処理(S61)が完了すると、移行制御手段F47は、音声ガイダンス送出部14と外線回路13の外線への出力側通話路とを通話路スイッチ12で接続し、且つ、PB信号受信部16と外線回路13の外線からの入力側通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう、通話路制御手段F44に対して指示する(S62)。尚、DI方式やサブアドレスダイヤルイン方式の外線で音声呼出機能を利用する場合、発呼者からのPB信号受信は行わないため、音声ガイダンス送出部14の接続のみ行いPB信号受信部16の接続は行わない。
音声ガイダンス送出部14及びPB信号受信部16の通話路への接続(S62)が完了すると、移行制御手段F47は音声ガイダンス制御手段F41に対して音声ガイダンス(例えば、「音声で呼び出す場合は、70をダイヤルした後、呼び出したい人の名前を呼んでください。」等の音声、DI方式やサブアドレスダイヤルイン方式の場合は「音声で呼び出しますので、呼び出したい人の名前を呼んでください。」等の音声)を送出する指示を出し、音声ガイダンス送出部14からの音声ガイダンスは、通話路スイッチ12を経由して外線回路13から送出される(S63)。
音声ガイダンス送出処理(S63)開始直後、移行制御手段F47はPB信号受信手段F43に対してPB信号受信開始の指示を出し、PB信号受信部16は外線回路13から送られてくるPB信号を通話路スイッチ12経由で受信し、PB信号受信手段F43は受信したPB信号データを一時記憶手段F53経由で記憶部19に記憶する(S64)。尚、DI方式やサブアドレスダイヤルイン方式の外線で音声呼出機能を利用する場合、発呼者からのPB信号受信は行わないため、本ステップは省略される。
PB信号受信処理(S64)が完了すると、ダイヤル情報分析処理手段F50はステップS64で記憶部19に一時記憶されたPB信号データと、事前に設定データ記憶手段F54により記憶部19に記憶されている各種特番と照合を行う(S65、S76、S84)。尚、DI方式やサブアドレスダイヤルイン方式の外線で音声呼出機能を利用する場合、発呼者のPB信号データと特番との照合の代わりに、着信時のダイヤルイン番号やサブアドレスが、事前に設定データ記憶手段F54により記憶部19に記憶されている音声呼出用のダイヤルイン番号やサブアドレスと一致するかをダイヤル情報分析処理手段F50が照合し、ページング音声呼出、一斉音声呼出、またはグループ音声呼出に分岐する。
ステップS65にてPB信号データがページング音声呼出特番の場合、ダイヤル情報分析処理手段F50はページング音声呼出であるとの分析結果を移行制御手段F47に通知し、移行制御手段F47はページング回路17と外線回路13の外線からの入力側通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示すると共に、これまで外線回路13に接続していた音声ガイダンス送出部14及びPB信号受信部16を通話路スイッチ12から開放するよう通話路制御手段F44に対して指示する(S66)。
また、ダイヤル情報分析処理手段F50はページング音声呼出であるとの分析結果を音声呼出制御手段F48に通知し、音声呼出制御手段F48はページング制御手段F44にページング回路の起動(例えば、放送装置30の起動信号の出力)を行う(S67)。
ページング回路17の起動指示(S67)が完了すると、音声呼出開始時の冒頭音を送出するため、移行制御手段F47はトーン送出部15と外線回路13の外線への出力側通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示すると共に、トーン送出部15とページング回路17とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示する(S68)。
尚、音声呼出に応答できない場合も考慮し、一定時間で音声呼出を終了する処理を行っても良い。本実施例では、ステップS68の通話路接続後、音声呼出可能時間タイマ処理の起動を行っている(S69)。音声呼出可能時間タイマ処理については、図4を用いて別途説明する。
トーン送出部15の通話路への接続(S68)が完了すると、移行制御手段F47はトーン送出制御手段F42に対して音声呼出開始用の冒頭音(例えば、「プップッ」や「ピンポンパンポン」等)を送出する指示を出し、冒頭音が外線側の発呼者に聞こえ、話し始めるタイミングをつかむことができ、同時に放送装置30のスピーカからも冒頭音が聞こえ、呼出に応答する側に対しても音声呼出の注意を促すことができる(S70)。
発呼者が話し始めると発呼者の音声が放送装置30のスピーカより送出され、応答する人が最寄りのボタン電話機20にて内線捕捉を行うと(オフフックや内線ボタン押下等の操作)、内線回路18、データ送受信手段F46、受信分析手段F51、一時記憶手段F53経由で該ボタン電話機20の内線捕捉状態が記憶部19に記憶され(S71)、該ボタン電話機20からの音声呼出応答特番待ち状態となる。
引き続き、上記内線捕捉を行ったボタン電話機20にて音声呼出応答特番をダイヤルすると、ダイヤル情報は内線回路18、データ送受信手段F46、受信分析手段F51、一時記憶手段F53経由で記憶部19に記憶され(S72)、音声呼出応答分析処理手段F52は設定データ記憶手段F54により事前に記憶部19に記憶されている音声呼出応答特番と合致しているか照合を行う(S73)。
ステップS73にて該ボタン電話機20のダイヤル情報が音声呼出応答特番の場合、音声呼出応答分析処理手段F52は音声呼出応答であるとの分析結果を移行制御手段F47に通知し、移行制御手段F47は外線回路13の双方向通話路と該ボタン電話機20に接続する内線回路18の双方向通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示すると共に、ステップS66にて外線回路13に接続したページング回路17を通話路スイッチ12から開放するよう通話路制御手段F44に対して指示し、更に音声呼出応答分析処理手段F52は音声呼出応答であるとの分析結果を音声呼出制御手段F48に通知し、音声呼出制御手段F48はページング制御手段F45に対して音声呼出終了の通知を行うことにより、外線回路と応答電話機のみの通話状態へと遷移し、ページング音声呼出の処理が終了する(S74)。
ステップS73にて該ボタン電話機20のダイヤル情報が音声呼出応答特番でない場合は、その他の処理を行う(S75)。例えば、特番でなく内線番号であった場合は、該当する内線番号への発信処理となる。尚、ページング音声呼出に応答操作する電話機は複数あり、ステップS71〜ステップS73は複数の電話機に対して実行されているため、この時点ではページング音声呼出の処理は終了しない。
ステップS65にてPB信号データがページング音声呼出特番でない場合、ステップS76で一斉音声呼出特番かどうかを照合する。尚、グループ音声呼出特番の場合は音声呼出の対象となるのが全ボタン電話機ではなくグループ内のボタン電話機のみに限定されるだけであるため、図3では同一のフローチャート内に( )にて記載している。ステップS76にてPB信号データが一斉音声呼出特番(またはグループ音声呼出特番)の場合、ダイヤル情報分析処理手段F50は一斉音声呼出(またはグループ音声呼出)であるとの分析結果を移行制御手段F47に通知し、移行制御手段F47は空き状態の音声呼出可能な全ボタン電話機(または空き状態のグループ内のボタン電話機)20に接続する内線回路18の電話機への出力側通話路と外線回路13の外線からの入力側通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示すると共に、これまで外線回路13に接続していた音声ガイダンス送出部14及びPB信号受信部16を通話路スイッチ12から開放するよう通話路制御手段F44に対して指示する(S77)。
また、ダイヤル情報分析処理手段F50は一斉音声呼出(またはグループ音声呼出)であるとの分析結果を音声呼出制御手段F48に通知し、音声呼出制御手段F48はデータ送受信手段F46、内線回路18経由で空き状態の全ボタン電話機(または空き状態のグループ内のボタン電話機)20に対してスピーカ呼出状態への移行を指示する(S78)。尚、図示していないが、音声呼出制御手段F48はステップS77実行前に、設定データ記憶手段F54により事前に記憶部19に記憶されている電話機毎の音声呼出可否設定を確認し、音声呼出可能な電話機に対してのみ通話路を接続するように移行制御手段F47に通知すると共に、音声呼出可能な電話機のみスピーカ呼出状態へ移行するようデータ送受信手段F46に対して指示する。
空き状態の音声呼出可能な全ボタン電話機(または空き状態のグループ内のボタン電話機)20に対してスピーカ呼出状態への移行指示(S78)が完了すると、音声呼出開始時の冒頭音を送出するため、移行制御手段F47はトーン送出部15と外線回路13の外線への出力側通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示すると共に、トーン送出部15と上記の音声呼出可能な全ボタン電話機(またはグループ内のボタン電話機)20に接続する内線回路18の電話機への出力側通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示する(S79)。
尚、音声呼出に応答できない場合も考慮し、一定時間で音声呼出を終了する処理を行っても良い。本実施例では、ステップS79の通話路接続後、音声呼出可能時間タイマ処理の起動を行っている(S80)。音声呼出可能時間タイマ処理については、図4を用いて別途説明する。
トーン送出部15の通話路への接続(S79)が完了すると、移行制御手段F47はトーン送出制御手段F42に対して音声呼出開始用の冒頭音(例えば、「プップッ」や「ピンポンパンポン」等)を送出する指示を出し、冒頭音が外線側の発呼者に聞こえ、話し始めるタイミングをつかむことができ、同時に上記の音声呼出可能な全ボタン電話機(またはグループ内のボタン電話機)20のスピーカ25からも冒頭音が聞こえ、呼出に応答する側に対しても音声呼出の注意を促すことができる(S81)。
発呼者が話し始めると発呼者の音声が上記の音声呼出可能な全ボタン電話機(またはグループ内のボタン電話機)20のスピーカ25より送出され、応答する人が最寄りのボタン電話機(他の電話機と区別するため20−1とする)をオフフックすると内線回路18、データ送受信手段F46、受信分析手段F51、一時記憶手段F53経由で該ボタン電話機20−1のオフフック状態が記憶部19に記憶される(S82)。
オフフック情報受信後(S82)、音声呼出応答分析処理手段F52は設定データ記憶手段F51により事前に記憶部19に設定されている電話機毎の一斉音声呼出(またはグループ音声呼出)に対するオフフック応答可否データを確認し(S83)、確認結果を移行制御手段F47に通知する。ステップS82でオフフックしたボタン電話機20−1がオフフック応答可能な場合、移行制御手段F47は外線回路13の双方向通話路と該ボタン電話機20−1に接続する内線回路18の双方向通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示すると共に、ステップS77にて外線回路13に接続した該ボタン電話機20−1以外のボタン電話機20の内線回路18を通話路スイッチ12から開放するよう通話路制御手段F44に対して指示し、更に音声呼出応答分析処理手段F52は音声呼出応答であるとの分析結果を音声呼出制御手段F48に通知し、音声呼出制御手段F48はデータ送受信手段F46、内線回路18経由で音声呼出を行っていた全ボタン電話機(またはグループ内のボタン電話機)20に対して音声呼出終了の通知を行うことにより、外線回路と応答電話機のみの通話状態へと遷移し、一斉音声呼出(またはグループ音声呼出)の処理が終了する(S74)。
一方、ステップS82でオフフックしたボタン電話機20−1が一斉音声呼出(またはグループ音声呼出)に対してオフフック応答が不可な場合(S83)は、音声呼出応答特番待ち状態となる。
引き続き、上記オフフックしたボタン電話機20−1にて音声呼出応答特番をダイヤルすると、ダイヤル情報は内線回路18、データ送受信手段F46、受信分析手段F51、一時記憶手段F53経由で記憶部19に記憶され(S72)、音声呼出応答分析処理手段F52は設定データ記憶手段F54により事前に記憶部19に記憶されている音声呼出応答特番と合致しているか照合を行う(S73)。
ステップS73にて該ボタン電話機20−1のダイヤル情報が音声呼出応答特番の場合、音声呼出応答分析処理手段F52は音声呼出応答であるとの分析結果を移行制御手段F47に通知し、移行制御手段F47は外線回路13の双方向通話路と該ボタン電話機20−1に接続する内線回路18の双方向通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示すると共に、ステップS77にて外線回路13に接続した該ボタン電話機20−1以外のボタン電話機の内線回路18を通話路スイッチ12から開放するよう通話路制御手段F44に対して指示し、更に音声呼出応答分析処理手段F52は音声呼出応答であるとの分析結果を音声呼出制御手段F48に通知し、音声呼出制御手段F48はデータ送受信手段F46、内線回路18経由で音声呼出を行っていた全ボタン電話機(またはグループ内のボタン電話機)20に対して音声呼出終了の通知を行うことにより、外線回路と応答電話機のみの通話状態へと遷移し、一斉音声呼出(またはグループ音声呼出)の処理が終了する(S74)。
ステップS76にてPB信号データが一斉音声呼出特番(またはグループ音声呼出特番)でない場合、ステップS84でその他の特番等に該当するかを照合する。該当する特番があった場合はその他の処理を行う(S87)。例えば、特番でなく内線番号であった場合は、一般的なDID方式である該当する内線の呼出処理となる。更に、移行制御手段F47はこれまで外線回路13に接続していた音声ガイダンス送出部14及びPB信号受信部16を通話路スイッチ12から開放するよう通話路制御手段F44に対して指示する。
ステップS84にて該当する特番等がない場合、ダイヤル情報分析処理手段F50は分析結果(該当特番等なし)を移行制御手段F47に通知し、移行制御手段F47はトーン送出部15と外線回路13の外線への出力側通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示する(S85)。
トーン送出部15の通話路への接続(S85)が完了すると、移行制御手段F47はトーン送出制御手段F42にエラー音(話中音でも構わない、以下同様)の送出指示を行い、トーン送出部15より外線回路13へエラー音が送出される(S86)。トーン送出部15のエラー音送出時間は一定時間(設定により可変が可能)とし、エラー音送出後、移行制御手段F47はトーン送出部15を外線回路13から開放するよう通話路制御手段F44に対して指示する。尚、トーン送出部15からのエラー音の代わりに音声ガイダンス送出部14からのエラー用音声ガイダンスを送出しても良い。
エラー音の送出(S86)が完了すると、音声ガイダンス送出処理(S63)に戻り、発呼者への音声ガイダンス送出処理(S63)、PB信号受信処理(S64)を再度行う。尚、図では明記していないが、ステップS84からステップS86のエラー処理は無限に繰り返すのではなく、カウンタを設けて一定回数(設定により可変)繰り返すと外線側に話中音を出した後に外線を切断したり、操作が無効である内容の音声ガイダンスを流して外線を切断したり、通常の一般着信に遷移したりする処理を行っても良い。
発呼者側が終話した場合のフローは図3に明記していないが、発呼者側が終話した場合は、各ステップで実施済の外線回路と各回路の接続状態の開放処理や各回路の復旧処理等を行い終了する。
次に図3の音声呼出可能時間タイマ処理(S69、S80)について、図2〜図4を用いて説明する。ステップS68またはステップS79の処理が完了すると、音声呼出応答分析処理手段F52は設定データ記憶手段F52により事前に記憶部19に設定されている音声呼出可能時間タイマ設定値を参照し、音声呼出可能時間タイマT1をスタートする(S91)。
タイマT1スタート後、音声呼出応答分析処理手段F52はボタン電話機20の音声呼出に対する応答成立有無を分析する(S92)。ボタン電話機20の応答成立はステップS74の実行有無で判断し、移行制御手段F47は音声呼出応答分析処理手段F52に割込処理としてステップS74の実行完了を通知し、音声呼出応答分析処理手段F52は本割込を受けた場合に応答成立と分析する。尚、応答成立の有無を分析する方法としては、ステップS74の処理終了を移行制御手段F47が一時記憶手段F53により記憶部19に記憶し、音声呼出応答分析処理手段F52が記憶部19に対してステップ74の処理終了を確認することで実現しても良い。
応答が成立した場合(S92)、音声呼出応答分析処理手段F52はタイマ処理を終了する(S93)。
応答が成立していない場合(S92)、音声呼出応答分析処理手段F52はタイマT1が満了したか判断し(S94)、満了していない場合はステップ92〜ステップ94の処理を繰り返す。
タイマT1が満了した場合(S94)、図3で示す主処理で実行中の電話機の内線捕捉情報受信処理(S71)または電話機のオフフック情報受信処理(S82)または電話機のダイヤル情報受信処理(S72)を中止する(S95)。
移行制御手段F47はステップS66にて外線回路13に接続したページング回路17またはステップ77にて外線回路に接続した音声呼出中の全ボタン電話機20の内線回路18を通話路スイッチ12から開放するよう通話路制御手段F44に対して指示すると共に、音声ガイダンス送出部14またはトーン送出部15と外線回路13の外線への出力側通話路とを通話路スイッチ12で接続するよう通話路制御手段F44に対して指示し、更に、音声呼出制御手段F48はページング制御手段F45またはデータ送受信手段F46、内線回路18経由で音声呼出を行っていた全ボタン電話機(またはグループ内のボタン電話機)20に対して音声呼出終了の通知を行う(S96)。
音声ガイダンス送出部14の通話路への接続(S96)が完了すると、移行制御手段F47は音声ガイダンス制御手段F41に対して応答なしを通知する音声ガイダンス(例えば、「呼び出しましたが応答しません。」等)を送出する指示を出し、音声ガイダンス送出部14からの音声ガイダンスは通話路スイッチ12を経由して外線回路13から送出される。尚、音声ガイダンスを使用しない場合は、移行制御手段F47はトーン送出制御手段F42に対して話中音を送出する指示を出し、トーン送出部15からの話中音(送出時間は設定により一定時間とする)が通話路スイッチ12を経由して外線回路13から送出される(S97)。
音声ガイダンスまたは話中音の送出(S97)が完了すると、外線切断処理を行い(S98)、タイマ処理を終了する(S99)。