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JP2007090405A - 積層光学素子、及びその製造方法 - Google Patents

積層光学素子、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の大面積ウェハを積層、接着した状態でレーザ光線によって個片毎に切断、分離する際に、仮接合状態に保持された複数枚のウェハを、個片間の切断線に沿って切断する過程で同時に個片の接合面周縁部(非有効光学領域)のみを接着するようにした積層光学素子、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】同一の外周輪郭形状を有した複数個の光学素子2、3を積層一体化した積層光学素子1において、各光学素子の対向面の外周縁に各光学素子を溶着させた溶着接合部4を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は複数の光学素子を積層して形成される積層光学素子、及びその製造方法に関し、特に格別の接着剤を用いずに複数の光学素子を接合一体化した積層光学素子、及びその製造方法に関する。
近年の光ディスク記録再生装置としては、DVD(記録再生用の波長660nm)、CD(同波長785nm)に加えて、Blue-ray DiscやHD DVD等の青紫色レーザ(同波長405nm)に対応した光学記録媒体にも対応可能なコンバーチブルなタイプが提案、実施されている。
このように異なった波長による記録再生に対応可能な記録再生装置に使用する光学系には、使用波長が広帯域化された光学素子を使用する必要がある。例えば、1/4波長板には、405〜785nmの帯域において、位相差が90°となるものが要求されている。このような要請を満たすために、一般的には、1/2波長板と1/4波長板とを積層した積層波長板を使用している(特許文献1〜3)。
ところで、ミラー、波長板、プリズム等々の板状、或いは多面体状の光学素子を、大面積のシート状ガラス基板(ウェハ)を用いたバッチ処理により製造する場合、個々の個片領域に対して一括して所要の加工を加えて完成させてから、光学素子個片にダイシングすることにより製造される。従来、シート状のウェハを用いた工程により上記の如き積層光学素子を製造する場合には、二枚のウェハの対向面間を接着剤を用いて接合してから各光学素子の境界に沿って形成された切断線に沿ってダイシングブレードによって切断、分離していた。
しかしながら、二枚のウェハを貼り合わせるために有効光学領域を含む対向面に接着剤を塗布していたため、有効光学領域面にウェハを構成する材料とは異なる屈折率を有する接着剤が介在することとなり、波長板、その他の光学素子が本来有する光学特性に少なからず影響を与えてしまうという問題があった。
また、接着剤層の厚みのバラツキにより、光学素子の光学有効領域内において波面収差が悪化するという問題も起きる。
更に、ウェハを接着剤、或いは熱接着により接合する工程は煩雑な作業を伴うため、生産性を低下させる原因となっていた。
次に、近年ダイシング装置メーカでは、従来のダイシングブレードを用いたウェハの切断装置に代えて、エキシマレーザ等のレーザ光線をウェハの切断線に沿って照射してウェハを個片に分割して部品を製造することを提案している(特許文献4、5)。
レーザ光線を利用した切断は、ダイシングブレードによる切断に比して切断面のビリ、カケ(チッピング)を減少させることができる点が利点である。
しかし、この場合もダイシングに代えてレーザ光線を使用する以外の工程には変更がないため、接着剤、或いは熱接着等によるウェハ間の接着工程は依然として必要であり、接着工程がある分だけ生産性が低下し、更に接着剤が光学素子間に介在することによる不具合も依然として改善されていなかった。
特開平10−68816号公報 特開2001−101700公報 WO03/091768 特開2005−21940公報 特開2004−111428公報
以上のように、従来は、異種、或いは同種の光学素子を積層して接合した構造の接合光学素子を量産する場合には、個々の光学素子の母材となる大面積のウェハを接着剤を用いて接合してから、各光学素子個片の境界に沿って形成した切断線に沿ってダイシングしていた。このため、積層光学素子間の接合面に接着剤が介在することとなり、光学特性に悪影響を及ぼしていた。更に、ウェハ同士を接着させる工程の分だけ生産性が低下するという問題があった。更に、レーザ光線によって接合したウェハを切断する場合にも、同様な特性上の不具合、作業工程上の不具合が残るという問題がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、積層光学素子を量産するために複数の大面積ウェハを積層、接着した状態でレーザ光線によって個片毎に切断、分離する際に、簡易な手順で実施可能な仮接着によって仮接合状態に保持された複数枚のウェハを、個片間の切断線に沿って切断する過程で同時に個片の接合面周縁部(非有効光学領域)のみを接着するようにした積層光学素子、及びその製造方法を提供するものである。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、同一の外周輪郭形状を有した複数個の光学素子を積層一体化した積層光学素子において、各光学素子の対向面の外周縁に各光学素子を溶着させた溶着接合部を備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記各光学素子の対向面間に空気層を備えることを特徴とする。
請求項3の発明は、複数個の第1の光学素子をシート状に連結した第1のウェハと、前記第1の光学素子と同じ外周輪郭形状を有する第2の光学素子を複数個シート状に連結した第2のウェハとを整合状態で積層して仮接着することによりウェハ積層体を形成する仮接着工程と、前記ウェハ積層体を構成する第1及び第2のウェハ上の各光学素子間の境界に沿った切断線に沿ってレーザ光線を照射して第1及び第2の光学素子を積層状態のまま切断分離すると同時に、該レーザ光線の熱により第1の光学素子と第2の光学素子の対向面の外周縁のみを溶着により接合させる切断、溶着工程と、を備えたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3において、前記仮接着工程において、前記ウェハ積層体を形成する際に前記第1のウェハと前記第2のウェハ間に空気層が形成されるように両ウェハを積層、仮接着することを特徴とする。
本発明によれば、同一の外周輪郭形状を有した複数個の光学素子を積層一体化した積層光学素子において、各光学素子の対向面の外周縁に各光学素子を溶着させた溶着接合部を備えるようにしたので、有効光学領域に接着剤が介在することがなくなり、光学特性の劣化を防止できる。
また、本発明方法によれば、積層光学素子を量産するために複数の大面積ウェハを積層、接着した状態でレーザ光線によって個片毎に切断、分離する際に、簡易な手順で実施可能であり、且つ有効光学領域に悪影響を与えない仮接着によって仮接合状態に保持された複数枚のウェハを、個片間の切断線に沿って切断する過程で同時に個片の接合面周縁部(非有効光学領域)のみを接着することができる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る積層光学素子の構成を示す斜視図、及びA−A断面図である。
この積層光学素子1は、例えば波長板であり、同一の外周輪郭形状を有した第1の光学素子としての第1波長板(1/2波長板)2と、第2の光学素子としての第2波長板(1/4波長板)3とを接合一体化した構成を備えている。
この積層光学素子1は、図1(b)に示すように第1波長板2と第2波長板3の各対向面2a、3aを密着させた状態で、各波長板2、3の対向面の外周縁部(溶着接合部)4のみを全周に亘って溶着により接合した構成を備えている。
図1(c)は、第1波長板2と第2波長板3を、各対向面間に空気層Sからなるギャップを介して対向配置すると共に、外周縁部4のみを全周に亘って溶着により接合した構成を備えている。第1及び第2波長板2、3の接合面間が密着せずに空気層Sが存在する場合であっても、空気の屈折率が積層光学素子の特性に影響を与えることはない。
なお、積層光学素子1としては、2枚の波長板を接合した積層波長板以外にも、波長板と回折格子(グレーティング)を接合した積層光学素子、樹脂フィルム波長板とガラス基板間に挟んだ積層光学素子(特許第3458895号)、2枚の複屈折板の間に1/4波長板を配置した構成の光学ローパスフィルタ(特開2004−70340)等、同種、或いは異種の光学素子を2枚以上積層したものを広く含むものである。
次に、図2(a)乃至(d)は図1に示した積層光学素子1としての積層波長板を2枚のシート状ウェハを用いて量産する場合の製造工程を示す図である。
図2(a)は、第1の光学素子としての第1波長板2を複数個シート状に連結した第1のウェハ11と、第1波長板2と同じ外周輪郭形状を有する第2の光学素子としての第2波長板3を複数個シート状に連結した第2のウェハ12を示している。各ウェハ11、12は、大面積のシート状ガラス基板、或いは水晶基板上の個々の個片領域に対して一括して所要の加工(研磨等)を加えることにより製造される。
第1のウェハ11を構成する個々の第1波長板2の形状、配列と、第2のウェハ12を構成する個々の第2波長板3の形状、配列は、一致するように予め構成される。即ち、両ウェハ11、12上に形成される個片間の切断線(境界線)Cのレイアウトも互いに一致(整合)するように形成される。従来のダイシングブレードにより切断されるウェハの場合には、ブレードの肉厚を考慮して切断線Cの幅寸法を所定値に設定していたが、本実施形態ではレーザ光線Lを用いて個片に分断するため、レーザ光線のスポット径よりも所定幅だけ大きめに切断線Cの幅寸法を設定する。
図2(b)は、第1及び第2のウェハ11、12を整合状態で積層して仮接着することによりウェハ積層体13を形成する仮接着工程を示している。仮接着は、有効光学領域外、例えばウェハの外周縁に沿った端縁部同士を接着剤により接合することにより行う。なお、ここで整合状態とは、各ウェハ11、12上の各切断線Cが合致した状態を意味する。
この際、両ウェハの対向面間は密着していることが理想であるが、両者が密着せずに空気層Sが介在していてもよい。
図2(c)(d)はレーザ光線によりウェハ積層体13を切断線Cに沿って切断、分離すると同時に、第1及び第2の波長板同士を接合する工程を示している。レーザ光線Lがウェハ面に照射される際のスポット径は、切断線Cの幅wよりも小さく、しかも図示しないレーザ装置から出射されるレーザ光の軌道が切断線Cの幅寸法wの中心線に沿って移動するように装置を制御する。このため、アブレーション(蒸発)効果により中心線に沿った部分を線状に切断すると同時に、積層状態にある各波長板2、3の対向面の外周縁部(溶着接合部)4のみを全周に亘って溶着により接合した状態とすることができる。即ち、レーザ光線のスポット径は切断線Cの幅wよりも十分に小さいため、レーザ光線のパワーを所定に設定することにより、切断線Cの幅寸法の中心線に沿ってレーザ光線が移動する際に、切断線Cの幅寸法の中心線に沿ったウェハ材料は完全に蒸発するため中心線に沿って分断ラインが形成される一方で、この中心線よりも両外側の材料15は蒸発直前の溶融状態に留まる。つまり、レーザ光線Lの照射中において、第1波長板2と第2波長板3の外周面は構成材料が溶融した状態にあるため、各波長板2、3の対向面の外周縁部(溶着接合部)4のみを全周に亘って溶着し、冷却によって接合状態に移行させることができる。
このように本発明においては、接着剤を用いないレーザ光線による切断、溶着方法を使用して光学素子外周面のみを溶着させて各波長板2、3の対向面の外周縁を接合しているので、切断分離された積層光学素子1は、光学有効領域上に接着剤が存在しない状態となっており、波面収差等の光学特性の劣化が発生しない。第1及び第2波長板2、3の接合面間が密着せずに空気層Sが存在する場合であっても、空気の屈折率が積層光学素子の特性に大きな影響を与えることはない。但し、各波長板2、3の対向面での光の乱反射を防止するために、両対向面にARコート(反射防止膜)を形成することにより、透過性を高めるようにしてもよい。
また、接着剤を用いたり、熱接着方法を用いた格別の本接着工程を必要とせず、レーザ光線による切断工程と同時に接着工程が実施されるのでリードタイムを短縮できる。
なお、本発明の製造方法は上記以外の光学部品にも広く適用することができる。
(a)乃至(c)は本発明の一実施形態に係る積層光学素子の構成を示す斜視図、及びA−A断面図。 (a)乃至(d)は図1に示した積層光学素子としての積層波長板を2枚のシート状ウェハを用いて量産する場合の製造工程を示す図。
符号の説明
1…積層光学素子、2、3…波長板(光学素子)、2a、3a…対向面、4…外周縁部、11、12…ウェハ、13…ウェハ積層体、15…材料。

Claims (4)

  1. 同一の外周輪郭形状を有した複数個の光学素子を積層一体化した積層光学素子において、
    各光学素子の対向面の外周縁に各光学素子を溶着させた溶着接合部を備えることを特徴とする積層光学素子。
  2. 前記各光学素子の対向面間に空気層を備えることを特徴とする請求項1に記載の積層光学素子。
  3. 複数個の第1の光学素子をシート状に連結した第1のウェハと、前記第1の光学素子と同じ外周輪郭形状を有する第2の光学素子を複数個シート状に連結した第2のウェハとを整合状態で積層して仮接着することによりウェハ積層体を形成する仮接着工程と、
    前記ウェハ積層体を構成する第1及び第2のウェハ上の各光学素子間の境界に沿った切断線に沿ってレーザ光線を照射して第1及び第2の光学素子を積層状態のまま切断分離すると同時に、該レーザ光線の熱により第1の光学素子と第2の光学素子の対向面の外周縁を溶着により接合させる切断、溶着工程と、
    を備えたことを特徴とする積層光学素子の製造方法。
  4. 前記仮接着工程において、前記ウェハ積層体を形成する際に前記第1のウェハと前記第2のウェハ間に空気層が形成されるように両ウェハを積層、仮接着することを特徴とする請求項3に記載の積層光学素子の製造方法。
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