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JP2007083359A - 研磨方法 - Google Patents

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JP2007083359A JP2005276855A JP2005276855A JP2007083359A JP 2007083359 A JP2007083359 A JP 2007083359A JP 2005276855 A JP2005276855 A JP 2005276855A JP 2005276855 A JP2005276855 A JP 2005276855A JP 2007083359 A JP2007083359 A JP 2007083359A
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Abstract

【課題】実際の加工形状に近い形状を算出するに際し高い自由度を有し、目標加工形状への対応能力、算出時間等についても満足を得ることが可能となる研磨方法を提供する。
【解決手段】被加工物の形状、該被加工物の形状と設計形状との差である目標加工形状、および単位時間加工した際に得られる加工形状である単位加工形状に基づいて、前記被加工物の加工に用いる研磨工具が被加工物の各座標に滞在する滞留時間を算出し、前記滞留時間の間、前記被加工物の各座標に前記研磨工具が滞在するように制御して被加工物を研磨する研磨方法であって、滞留時間分布を、高速フーリエ変換を用いて算出する工程と、前記残差形状を除去のシミュレーションにより算出する工程と、を有する構成とする。
【選択図】図5

Description

本発明は研磨方法に関し、特に半導体、硝子、セラミックス、金属単体または金属酸化物の単結晶等の硬脆材料の表面を精密研磨加工(非球表面研磨)する研磨方法に関するものである。
従来、特に高機能が要求される用途に用いられるレンズ、ミラー等に代表される高精度な光学素子において、これらを加工する上で必要となる高精度な自由曲表面の研磨は、形状測定と修正研磨を繰り返すことで行われている。
このような被加工物の形状修正は、単位時間当たりに加工する一定の加工値の形状(以下、これを単位加工形状と称する)の得られる小径の研磨工具を、被加工物表面上で位置、速度を制御して走査させる滞留時間制御によって行われる。
その基本モデルを図1に示す。
ここでは、形状測定により得られる被加工物の表面形状と設計形状との差形状である誤差値による形状(以下、誤差形状と称する)を、目標とする加工値による形状(以下、これを目標加工形状d(x,y)と称する)とする。
また、ここでは、単位加工形状f(x,y)と畳み込み積分によって算出された滞留時間分布g(x,y)により滞留時間制御されて加工される形状を、計算加工形状と称する。
ここで、この計算加工形状は

Figure 2007083359

で表される。
また、上記目標加工形状d(x,y)から上記計算加工形状h(x,y)を差し引いた形状を、残差形状と称する。
ここで、この計算加工形状は

Figure 2007083359

で表される。
滞留時間制御を行うためには、上記式1を展開し、既知の単位加工形状f(x,y)と目標加工形状d(x,y)から、残差形状e(x,y)を最小とする滞留時間分布g(x,y)を算出する必要がある。
しかしながら、これには逆畳み込み積分によることが必要であり、上記式1のままではそれを算出することはできない。そのため、従来においては、例えば非特許文献1に紹介されている図2に示すような(A)高速フーリエ変換を用いる方法が採られる。
高速フーリエ変換により、単位加工形状f(x,y)はF(wx,y)となり、目標加工形状d(x,y)はD(wx,y)となる。
また、滞留時間分布g(x,y)はG(wx,y)となり、残差形状e(x,y)はE(wx,y)となる。
以上により、上記式1は簡単な関数の積算の式

Figure 2007083359

に変換される。
また、これにより、上記式2はE(wx,y)=0として滞留時間分布を求める式

Figure 2007083359


に展開することができる。
また、上記式3は単位加工形状F(wx,y)が0に近づく領域で、解が発散的となる。そこで、全周波数領域で

Figure 2007083359

となる汎関数フィルタ

Figure 2007083359

を用いて、滞留時間分布

Figure 2007083359

を安定化させることができる。
実際の滞留時間分布の導出は、図3のフローチャートに示すようにして行われる。
まず、上記式4を用いて(1)滞留時間分布の算出(単位加工形状と目標加工形状から逆畳み込み積分により滞留時間分布を求める)を行う。
つぎに、加工機上の制約等に従って(2)滞留時間分布の補正を行う。
つぎに、上記式2を用いて(3)残差形状の導出(補正された滞留時間分布と単位加工形状から畳み込み積分により計算加工形状を求め、目標加工形状と計算加工形状の差形状から残差形状を求める)を行う。
つぎに、残差形状が要求される規格を満足するか判定することで(4)滞留時間分布の評価を行う。
つぎに、残差形状が要求する規格を満足しない場合は、残差形状を新たな目標加工形状として(5)目標加工形状の再設定をし、再び(1)から残差形状が要求される規格を満足するまで上記過程を繰り返す。
最終的に残差形状が規格を満足した段階で必要とする(6)滞留時間分布の導出が行われる。
また、上記した(1)滞留時間分布及び(3)残差形状の算出は、上記した非特許文献1に別の方法として紹介されている(B)除去のシミュレーションを用いる方法によっても行うことができる。
この除去のシミュレーションを用いる方法では、単位時間ΔTを定め、単位時間ΔTで研磨工具が加工する形状を単位加工形状とし、つぎのようにして上記した(1)滞留時間分布及び(3)残差形状が得られる。
まず、上記(1)滞留時間分布の導出は、図4に示すように単位時間研磨工具を被加工物表面上に走査した時、研磨工具の重なる部分で目標加工形状が全て正なら目標加工形状から単位加工形状を差し引く。
つぎに、滞留時間分布の対応する場所に単位時間ΔTを加え、これらを収束するまで繰り返し、滞留時間分布を得る。
また、上記(3)残差形状の導出は、図5に示すように被加工物表面上の各位置で滞留時間の分だけ単位加工形状を重ね合わせ、これを全加工領域に対して行うことで計算加工形状を求める。目標加工形状からこの計算加工形状を差し引くことで残差形状を得る。
精密工学会 第62巻 第3号 1996 p408−412
上記した(A)高速フーリエ変換を用いる方法によれば、算出過程を簡素化して、多様な目標加工形状に対し比較的短い時間で算出することができる。
しかしながら、一方では高速フーリエ変換を行うためには、必要な様々な制約が存在することから、実際の加工形状に近い形状を算出するに際しての自由度が低い。そのため、上記した(1)滞留時間分布及び(3)残差形状の算出に、実際の加工を反映していない部分が存在することになり、上記した(6)滞留時間分布について満足の行く評価が行われない場合が生じる。
これに対して、上記した(B)除去のシミュレーションを用いる方法は、基本となる算出過程が単純なことから実際の加工形状に近い形状を算出する際の自由度が高い。そのため、実際の加工を忠実に反映した算出が可能となる。
しかしながら、上記(1)滞留時間分布では、形状によっては滞留時間分布の算出が困難な目標加工形状が存在する。また、繰り返し計算により計算量が増大し、特に上記の(1)滞留時間分布の算出に膨大な時間がかかることになる。
ここで、上記の(A)高速フーリエ変換を用いる方法と、(B)除去のシミュレーションを用いる方法による(1)滞留時間分布及び(3)残差形状の算出について、その長所及び短所をまとめると、図6に示すようになる。
この図から明らかなように、算出の自由度(実際の加工により近い形状の導出ができる)という点では、上記(1)滞留時間分布及び(3)残差形状の算出は、共に上記除去のシミュレーションを用いる方法が優れているといえる。
つぎに、目標加工形状への対応能力(多様な目標加工形状に適切な滞留時間分布の算出ができる)という点では、上記したいずれの方法ともに優れている。これに対して、上記(1)滞留時間分布の算出については、上記(B)除去のシミュレーションを用いる方法が、上記(A)高速フーリエ変換を用いる方法より若干劣る。
最後に、これらの算出に要する時間という点では、上記(1)滞留時間分布の計算では、上記(B)除去のシミュレーションを用いる方法は(A)高速フーリエ変換を用いる方法に比べ、膨大な算出時間を必要とすることが多い。
また、上記(3)残差形状の算出においても、上記(B)除去のシミュレーションを用いる方法の方が、算出に要する時間は長いが、上記(A)高速フーリエ変換を用いる方法に比べて、それほど大きく違う訳ではない。
本発明は、上記課題に鑑み、実際の加工形状に近い形状を算出するに際し高い自由度を有し、目標加工形状への対応能力、算出時間等についても満足を得ることが可能となる研磨方法を提供することを目的とするものである。
本発明は上記課題を解決するため、つぎのように構成した研磨方法を提供するものである。
すなわち、本発明の研磨方法は、被加工物の形状、該被加工物の形状と設計形状との差である目標加工形状、および単位時間加工した際に得られる加工形状である単位加工形状に基づいて、前記被加工物の加工に用いる研磨工具が被加工物の各座標に滞在する滞留時間を算出し、前記滞留時間の間、前記被加工物の各座標に前記研磨工具が滞在するように制御して被加工物を研磨する研磨方法であって、前記単位加工形状と目標加工形状から、加工後に残る誤差形状である残差形状を最小とするために必要となる滞留時間分布を、高速フーリエ変換を用いて算出する工程と、前記被加工物表面上の各位置で滞留時間の分だけ前記単位加工形状を重ね合わせ、これを全加工領域に対して行うことによって得られた計算加工形状を、前記目標加工形状から差し引くことによって前記残差形状を算出する、除去のシミュレーションによる該残差形状を算出する工程と、を有することを特徴としている。
本発明においては、前記除去のシミュレーションによる該残差形状を算出する工程において、予め予測される実際の加工中におきる単位加工形状の変化に基づいて、前記被加工物表面上の各位置ごとに前記単位加工形状を変化させ、実際の加工を反映させるようにしたプロセスを含む構成を採ることができる。
また、このような残差形状を算出する工程において、研磨工具が通る軌道に沿って滞留時間が存在するように、前記滞留時間分布を変換し、実際の加工を反映させるようにしたプロセスを含む構成を採ることができる。
また、このような残差形状を算出する工程において、実際の加工中に前記研磨工具により平滑化される被加工物の空間波長の短い形状誤差成分を前記目標加工形状から取り除き、実際の加工を反映させるようにしたプロセスを含む構成を採ることができる。
本発明によれば、実際の加工形状に近い形状を算出するに際し高い自由度を有し、目標加工形状への対応能力、算出時間等についても満足を得ることが可能となる。
本発明の上記構成によれば、高速フーリエ変換による有利性を維持しつつ、算出の自由度を高めることが可能となる。
従来においては、前述したように(1)滞留時間分布と(3)残差形状の算出には、前述したように、上記の(A)高速フーリエ変換を用いる方法、あるいは(B)除去のシミュレーションを用いる方法のいずれか一方のものが用いられていた。
これに対して、本発明では(1)滞留時間分布の算出には上記の(A)高速フーリエ変換を用い、上記(3)残差形状の算出には上記の(B)除去のシミュレーションを用いる方法を採用した。これにより、上記目標加工形状への対応能力と算出時間については上記の(A)高速フーリエ変換による有利性を維持しつつ、上記した算出の自由度を高めることが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
図7に、本実施の形態における滞留時間分布の算出に高速フーリエ変換を用い、残差形状の算出に除去のシミュレーションを用いた方法を説明する図を示す。
本実施の形態においては、上記(B)除去のシミュレーションを用いて上記(3)残差形状を算出するに際し、以下のように実際の加工形状を反映させる手法を組み込む。
本実施の形態では、実際の加工中におきる単位加工形状の変化を予め実験データ等により予測し、被加工物表面上の位置ごとに単位加工形状を変化させるようにする。
従来の方法では高速フーリエ変換を用いるための制約により、単位加工形状は全加工領域で同じ形状としなければ算出できなかった。しかし、実際は被加工物の周辺部を加工する時に研磨工具の一部が被加工物から飛び出し、研磨工具と被加工物のあたり方が変化し、単位加工形状が変化する。そこで、ここでは研磨工具の飛び出し量毎に単位加工形状を複数用意し、被加工物周辺部で研磨工具の飛び出し量に対応して単位加工形状を変化させるようにする。これにより、より実際の加工に近い残差形状の導出を行うことが可能となる。
また、本実施の形態では、研磨工具が通る軌道に沿って滞留時間が存在するように、滞留時間分布を変換するようにする。
従来の方法では高速フーリエ変換を用いるための制約により、滞留時間分布は加工領域全域に一様に分布しなければ計算ができなかった。しかし、実際の研磨工具は決められた軌道に沿って連続して移動するため、滞留時間はこの軌道上にのみ存在する。そこで、ここでは任意の座標に存在する滞留時間を、最も近い研磨工具が通る軌道上の座標に集約するようにする。これにより、より実際の加工に近い残差形状の導出を行うことが可能となる。
また、本実施の形態では、目標加工形状に研磨工具が持つ加工表面の平滑化能力に相当するフィルタ処理を行うようにする。
実際の加工においては、滞留時間分布を一様として全加工領域で除去量が一定となるような加工を行っても、加工表面のもつ研磨工具径より空間波長の短い成分を平滑化されることとなる。例えば、加工前の被加工物表面形状のある空間周波数λの振幅を100[%]として、加工後の被加工物表面形状の同じ空間周波数λの振幅をX[%]とする。その際、空間周波数λが研磨工具径より長い場合は加工後の振幅Xは加工前とほぼ同じ100[%]程度となるが、空間周波数λが研磨工具径より短い場合は加工後の振幅Xは加工前の100[%]より小さい値となる。そこで、事前に被加工表面と同様な材質形状を持ち、様々な空間波長成分を持つテストピース上で、実際の修正研磨で用いるのと同一の研磨工具で加工を行い、加工後の振幅X[%]と空間周波数のデータを得るようにする。
このデータにより目標加工形状の空間周波数毎に振幅をスケーリングするフィルタ関数を作成する。この工具の平滑化能力に相当するフィルタを計算加工形状から差し引く前の目標加工形状にかけることにより、より実際の加工に近い残差形状の導出を行うことが可能となる。
滞留時間分布を導出するまでのデータ処理は、従来例の上記した(A)高速フーリエ変換を用いる方法では図8に示すような処理となるが、上記した本実施の形態では図9に示すように処理される。これにより、本実施の形態では実際の加工を反映した滞留時間分布の導出を、多様な目標加工形状に対して短い時間で行うことができ、高精度な形状修正加工が可能となる。
つぎに、本実施の形態での滞留時間の算出方法を、例えば、高精度な自由曲表面の研磨装置に用いる場合について説明する。
これらについて、その動作のフローチャートを示した図10を用いて説明する。まず、被加工物W(以下、被加工物と称する)に対し、形状測定を行う(ステップS1)。
その結果、得られた被加工物形状データ(データD4)と、被加工物の設計形状(データD3)から、設計形状からの差、つまり目標加工形状(データD5)を求める(ステップS2)。
つぎに、この誤差形状が目標精度に達しているかどうかを判定する(ステップS3)。
それがすでに目標精度に達している場合には終了し、まだ達していない場合には、単位加工形状(データD6)と目標加工形状から滞留時間を求める計算操作(ステップS4)を行い、滞留時間分布(データD8)を得る。
つぎに、本発明の特徴である滞留時間を求める計算操作について説明する。
まず、単位加工形状を求める。それは、事前に被加工表面と同様な材質形状を持つテストピース上で、実際の修正研磨で用いるのと同一の研磨工具、研磨条件で既知の時間一定の位置で研磨を行う。そして、この研磨により得られた研磨窪みを形状計測し、それを単位時間あたりに換算することによって得られる。このとき、例えば、既知の時間を600秒とし、単位時間を1秒とすれば,600秒の一定の位置の研磨で得られた研磨窪みの深さを1/600倍すればよい。この単位加工形状は、例えば図11で示すような形状を有している。単位加工形状の中心を(u,v)とする。
つぎに、この単位加工形状(データD6)と、ステップS2で求めた目標加工形状(データD5)を制御装置33の演算領域に読み込む。
これら2つのデータ群は、ポイント当たり(x,y,z)の三次元データで構成されている。
x,yについては等間隔のメッシュ状であり、zが目標加工値および単位加工値を表わし、(x,y)の各座標に対応するz値をそれぞれ目標加工値d(x,y)、単位加工値f(x,y)で示すこととする。これら2つのデータ群を用いて被加工表面上で研磨工具が滞在する時間である滞留時間を算出する。
この滞留時間においても、同様にポイント当たり(x,y,z)の三次元データで構成され、x,yは等間隔のメッシュ状であり、zが滞留時間を表わし、(x,y)の各座標に対応するz値を滞留時間g(x,y)で示すこととする。
次に図9に沿って、滞留時間分布を出力するまでのデータ処理について説明する。
まずは(1)滞留時間分布の計算を行う。研磨工具が全域で被加工物に接触している単位加工形状f(x,y)と目標加工形状d(x,y)から滞留時間分布gsum(x,y)の計算を行う。単位加工形状f(x,y)を高速フーリエ変換し、F(wx,y)にする。目標加工形状d(x,y)を高速フーリエ変換し、D(wx,y)にする。汎関数を用いて単位加工形状F(wx,y)からフィルタ関数

Figure 2007083359

を設定する。

逆畳み込み積分

Figure 2007083359

から滞留時間分布G(wx,y)を計算する。滞留時間分布G(wx,y)を逆フーリエ変換し、g(x,y)とする。
次いで(2)滞留時間分布の補正を行う。
(1)で計算された滞留時間分布g(x,y)を、前回の繰り返し計算までに計算された滞留時間分布の総和gsum(x,y)(gsum(x,y)の初期値は全領域において0とする)に加算する。それにより、新たに滞留時間分布gsum(x,y)を設定する。実際の加工ではマイナスの滞留時間は存在し得ないため、滞留時間がマイナスになる点値は0となるように滞留時間分布を変換し、gsum(x,y)→gsum’(x,y)とする。
次いで(3)残差形状の計算を行う。
滞留時間分布gsum’(x,y)で任意の座標上に存在する滞留時間を、最も近い研磨工具が通る軌道上の座標上に集約し、実際の加工時に研磨工具が通る軌道を反映した滞留時間分布gsumline(x,y)に変換する。
単位加工形状は、先の研磨工具が全域で被加工物に接触している場合のf(x,y)以外に、研磨工具の被加工物からの飛び出し量の異なる単位加工形状f1(x,y)〜fn(x,y)を登録する。
目標加工形状d(x,y)に実験により求められた研磨工具の平滑化能力に相当するフィルタ関数にかける。これにより、研磨工具の平滑化能力を反映した目標加工形状d’(x,y)に変換する。
滞留時間分布gsumline(x,y)、単位加工形状f(x,y)、目標加工形状d’(x,y)から、除去のシミュレーションを用いた畳み込み積分により、残差形状e(x,y)を求める。
次いで(4)滞留時間分布の評価を行う。残差形状が要求される規格を満足するか判定する。それを満足していない場合は、残差形状e(x,y)を新たな目標加工形状d(x,y)として(5)再設定し、繰り返し計算の準備を行い、再び(1)滞留時間分布の計算を行う。
次いで、上記した(4)滞留時間分布の評価で残差形状が要求される規格を満足するまで、繰り返し計算を行い、最終的に算出されたgsum’(x,y)により(6)滞留時間分布の出力を行う。
つぎに、本実施の形態での研磨方法を実施するための研磨装置の1例を、図12を参照して説明する。
NC研磨装置のベッド10上には、ベッド10に対して相対的にY方向に往復移動可能なYテーブル11が取付けられている。Yテーブル11の移動はYモーター12により駆動される。Yモーター12にはエンコーダー13が付設されており、エンコーダー13によりYテーブル11のY方向移動値が検出される。
また、Yテーブル11の上には、Yテーブル11に対して直交するX方向に相対的に往復移動可能なXテーブル14が取付けられている。Xテーブル14の移動はXモーター15により駆動される。Xモーター15にはエンコーダー16が付設されており、Xテーブル14のX方向移動値はエンコーダー16により検出される。
Xテーブル14の上に研磨槽17が固設され、この研磨槽17中には、被加工物Wを保持する側断表面視略L字状の保持体20を回動自在に支持する支持体18が固定されている。
支持体18に取付けられたモーター22の駆動回転軸は保持体20の垂直部片20aの軸19に結合され、保持体20はモーター22の駆動によりX方向の軸19の回りに回転可能に支持されている。
また、保持体20の水平部片20bの上には被加工物Wを保持する回転テーブル21が設置され、回転テーブル21は図示しないモーターおよびエンコーダーによりその回転駆動および回転位置の検出がなされる。
Xテーブル14上で研磨槽17の外側にコラム23が立設され、コラム23には、上下方向(Z方向)のガイド24が形成されている。ガイド24に沿ってZ方向に往復移動可能な研磨ヘッド保持体25は、コラム23の上端部に取付けられた駆動手段としてのエアーシリンダー31のロッド32の先端に連結されている。研磨ヘッド保持体25はエアーシリンダー31の駆動によりコラム23のガイド24に沿ってZ方向に移動する。
また、研磨ヘッド保持体25には傾斜位置決め機構27を介して前述の研磨ヘッド26が取付けられる。
研磨ヘッド保持体25には傾斜位置決め機構27を駆動するモーター30が取付けられ、モーター30の駆動により傾斜位置決め機構27を介して研磨ヘッド26の傾斜位置を決定することができる。
また、研磨槽17は、その中に適当値の研磨液が注入され、特に、研磨液中の酸化セリウム砥粒の粒径を調整することで研磨プロセスの安定性を向上させることができ、研磨剤砥粒の分散剤を撹拌した研磨液を用いることが望ましい。
また、制御装置33は、研磨装置の作動を制御するためのものであり、メモリ領域に記憶された情報や、各エンコーダー13、16等からYテーブル11の移動値やXテーブル14の移動値および回転テーブル21の移動値等が入力される。そして、Yモーター12、Xモーター15、モーター22、モーター30、被加工物Wを回転する回転テーブル21の駆動モーター(不図示)、に指令を出す。あるいは、これら以外にも研磨ヘッド26の駆動モーター(不図示)、エアーシリンダー31、あるいはそれらの動きを代換するモーターに指令を出す。これにより、それぞれのモーターを駆動することができる。具体的には、前記滞留時間の演算により求められた値と、既に記憶されている研磨走査パターン(データD7)と設計形状(データD3)の値とから、被加工表面上を研磨走査パターンに従って研磨工具を変速走査するように指令を出す。この指令により、上記したそれぞれのモーターを駆動し、研磨工具を制御することで、高精度な自由曲表面の研磨を行うことができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
本実施例では、本発明及び本発明の実施の形態で説明した研磨方法を適用し、以下の加工条件で被加工物を加工した。
本実施例では、被加工物を直径100mmの平表面形状の石英材とした。また、研磨工具に直径8mmのウレタン研磨工具を用いた。
研磨ヘッドは、研磨工具を周転運動させ、研磨荷重は800gf、周転運動の半径は2mm、周波数は6Hzとした。
研磨剤は、酸化セリウム、粒径は1.25μm、媒質は生成水、濃度は2wt%としたものを用いた。
以上の加工条件において、形状修正加工を行った。
その結果、最終的に計算された滞留時間分布から計算された残差形状は向上し、実際の加工結果も向上したものが得られた。
滞留時間制御の基本モデルを説明するための図。 従来例である非特許文献1における高速フーリエ変換を用いる方法を説明するための図。 実際の滞留時間分布の導出を説明するための図。 従来例である非特許文献2における除去のシミュレーションを用いた方法による滞留時間分布計算を説明するための図。 除去のシミュレーションを用いた方法による残差形状計算を説明するための図。 従来例の高速フーリエ変換を用いる方法と除去のシミュレーションを用いる方法の長所短所をまとめた図。 本発明の実施の形態における滞留時間分布の導出に高速フーリエ変換を用い、残差形状の導出に除去のシミュレーションを用いた方法を説明するための図。 従来例の高速フーリエ変換を用いた方法による滞留時間分布を導出するまでのデータ処理を説明する図。 本発明の実施の形態の方法による滞留時間分布を導出するまでのデータ処理を説明する図。 本発明の実施の形態における滞留時間の算出方法を、研磨装置に適用して用いる場合について説明するためのフローチャート。 本発明の実施の形態における滞留時間の算出方法を説明する際に用いられる単位加工形状を示す図。 本発明の実施の形態における研磨方法を実施する研磨装置の構成を示す図。
符号の説明
T:研磨工具
W:被加工物
10:NC研磨装置のベッド
11:Yテーブル
12:Yモーター
13:エンコーダー
14:Xテーブル
15:Xモーター
16:エンコーダー
17:研磨槽
20:被加工物の保持体
33:制御装置
































Claims (4)

  1. 被加工物の形状、該被加工物の形状と設計形状との差である目標加工形状、および単位時間加工した際に得られる加工形状である単位加工形状に基づいて、
    前記被加工物の加工に用いる研磨工具が被加工物の各座標に滞在する滞留時間を算出し、前記滞留時間の間、前記被加工物の各座標に前記研磨工具が滞在するように制御して被加工物を研磨する研磨方法であって、
    前記単位加工形状と目標加工形状から、加工後に残る誤差形状である残差形状を最小とするために必要となる滞留時間分布を、高速フーリエ変換を用いて算出する工程と、
    前記被加工物表面上の各位置で滞留時間の分だけ前記単位加工形状を重ね合わせ、これを全加工領域に対して行うことによって得られた計算加工形状を、前記目標加工形状から差し引くことによって前記残差形状を算出する、除去のシミュレーションによる該残差形状を算出する工程と、
    を有することを特徴とする研磨方法。
  2. 前記除去のシミュレーションによる該残差形状を算出する工程において、予め予測される実際の加工中におきる単位加工形状の変化に基づいて、前記被加工物表面上の各位置ごとに前記単位加工形状を変化させ、実際の加工を反映させるようにしたプロセスを含むことを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
  3. 前記除去のシミュレーションによる該残差形状を算出する工程において、研磨工具が通る軌道に沿って滞留時間が存在するように、前記滞留時間分布を変換し、実際の加工を反映させるようにしたプロセスを含むことを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
  4. 前記除去のシミュレーションによる該残差形状を算出する工程において、実際の加工中に前記研磨工具により平滑化される被加工物の空間波長の短い形状誤差成分を前記目標加工形状から取り除き、実際の加工を反映させるようにしたプロセスを含むことを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
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