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JP2007065314A - 円偏光分離シート - Google Patents

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JP2007065314A JP2005251547A JP2005251547A JP2007065314A JP 2007065314 A JP2007065314 A JP 2007065314A JP 2005251547 A JP2005251547 A JP 2005251547A JP 2005251547 A JP2005251547 A JP 2005251547A JP 2007065314 A JP2007065314 A JP 2007065314A
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Nobuyuki Goto
伸幸 後藤
Kazuhisa Mitsuhata
和久 光畑
Manabu Haraguchi
学 原口
Yasunari Kawabata
耕也 川畑
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Abstract

【課題】 斜めから観察したときにも着色の生じない表示ができ且つ偏光分離性能に優れた円偏光分離シート及び該円偏光分離シートを備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 0.18以上の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を含む溶液を基材に塗布し、次いで紫外線を照射して前記重合性液晶化合物を重合させて、コレステリック規則性を持った、総厚み7μm以下の樹脂層を形成することによって円偏光分離シートを得る。偏光子A、液晶セル、偏光子B、1/4波長板及び前記偏光分離シートをこの順に有する液晶表示装置を得る。
【選択図】 無し。

Description

本発明は、偏光分離性能に優れた円偏光分離シート及び該円偏光分離シートを備えた液晶表示装置に関し、詳しくは、斜めから観察したときに着色の生じない表示ができ且つ偏光分離性能に優れた円偏光分離シート及び該円偏光分離シートを備えた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は多くの表示デバイスに用いられている。そして、液晶表示装置の表示特性に対する要求がますます高まっている。そのため、液晶表示装置を構成する、偏光板、視野角補償フィルム、広帯域1/4波長板、輝度向上フィルムなどの光学フィルムの性能、併せてその生産性に対する要求も高まっている。
特に表示明るさを増大させるための輝度向上フィルムは液晶表示装置の消費電力を抑えるための必須の構成要素になっており、その品質に対する要求は高い。輝度向上フィルムは、構成要素として入射光を偏光状態に応じて透過光と反射光に分離するための偏光分離膜を含んでいる。
この偏光分離膜には、例えば特許文献1に開示される異方性ポリマー層を多数積層して得られる直線偏光分離膜や、特許文献2や特許文献3に開示されているコレステリック液晶層を用いた円偏光分離膜などが知られている。この内、後者の円偏光分離膜は、棒状液晶分子あるいは側鎖型液晶性高分子の液晶性基が層法線と平行な螺旋軸を回転軸として厚み方向に捩れた構造の液晶層を有し、その選択反射特性を利用して、左右回転の円偏光を透過光と反射光に分離するものである。
円偏光分離膜は、例えば、特許文献4の段落番号0014に記載されているように、基材の主面に厚さ5μm以下のコレステリック液晶層の重畳層を形成することによって得ることができる。特許文献4の実施例では、厚み2μmとなるコレステリック液晶層を4種類(波長域が400〜500nm、450〜550nm、500〜600nm、600〜700nmのもの;総厚み8μm)積層させている。特許文献4には、コレステリック液晶層を構成する好適な液晶ポリマーは、複屈折率の大きいものほど、円偏光二色性(選択反射)の波長域が広くなり、重量層数の軽減や大視野角時の波長シフトに対する余裕等の点で好ましいと教示している。
また、本出願人は、先に、特許文献5において、二個のエチレン性二重結合を有する重合性液晶化合物、重合開始剤、界面活性剤、カイラル剤等を含む液を、ポリビニルアルコールからなる配向膜が形成された基材に塗布し、該塗布液を重合させてコレステリック層を形成することによって、偏光分離シートが得られることを開示している。
米国特許6335999号公報 特開平6−235900号公報 特開平8−271731号公報 特開平11−231130号公報 特開2005−91825号公報
ところが、特許文献4に記載の円偏光分離膜では、斜めからの観察において、表示に着色が生じることが判った。また特許文献5において提案した偏光分離シートでも、斜めからの観察における表示の着色抑制が十分でなかった。
本発明の目的は、斜めから観察したときにも着色の生じない表示ができ且つ偏光分離性能に優れた円偏光分離シート及び該円偏光分離シートを備えた液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために検討した結果、コレステリック規則性を持った樹脂層を、0.18以上の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を用いて得、その総厚みを7μm以下にすることによって、斜めから観察したときにも着色の生じない表示ができ且つ偏光分離性能に優れた円偏光分離シートが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
かくして本発明によれば、
(1) 0.18以上の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を用いて得られた、コレステリック規則性を持った、総厚み7μm以下の樹脂層を有してなる円偏光分離シートが提供される。
好適な態様として
(2)前記樹脂層が非液晶性である前記円偏光分離シート、
(3)コレステリック規則性が厚み方向にある、前記円偏光分離シート、
(4)コレステリック規則性の周期が厚み方向で段階的に変化している前記円偏光分離シート。
(5)前記樹脂層は、コレステリック規則性の周期が異なる2以上の層で形成されている前記円偏光分離シート。
(6)コレステリック規則性の周期が厚み方向で連続的に変化している前記円偏光分離シート。
(7)前記樹脂層の平均屈折率が1.5〜1.8である、前記円偏光分離シート、及び/又は
(8)反射率が30%以上となる入射角0度の光の最大波長が700nm以上である、前記円偏光分離シートが提供される。
また、本発明によれば、(9)0.18以上の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を含む溶液を基材に塗布し、次いで紫外線を照射して前記重合性液晶化合物を重合させて、コレステリック規則性を持った、総厚み7μm以下の樹脂層を形成することを含む円偏光分離シートの製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、(10)偏光子A、液晶セル、偏光子B、1/4波長板及び前記円偏光分離シートをこの順に有する液晶表示装置が提供され、
好適な態様として
(11)偏光子Bと1/4波長板とが一体になっている、前記液晶表示装置、
(12)前記円偏光分離シートの、前記1/4波長板側の面に、光拡散性が備わっている、前記液晶表示装置、
(13)円偏光分離シートと1/4波長板との間に拡散シートをさらに有する、前記液晶表示装置、が提供される。
本発明の円偏光分離シートは、可視光領域において高い偏光分離性能を有する。また、斜めからの観察によっても表示に着色がない。そのため、本発明の円偏光分離シートは、液晶表示装置の輝度向上フィルムとして好適である。
本発明の円偏光分離シートが、斜めからの観察で表示に着色を生じない理由は定かではないが、その機構は次のように推定される。
コレステリック規則性を持つ樹脂層は、棒状液晶分子が捩れてらせん状に回転した構造を成している。コレステリック規則性を持つ樹脂層の屈折率はコレステリック規則性の周期等でその値が変わるが、一般に、n=n>n(n、nは面内方向の主屈折率、nは厚み方向の主屈折率)の関係を有している。
厚み方向に変化するコレステリック規則性を持った樹脂層で反射される円偏光は、その波長によって、反射される場所、すなわち厚み方向の深さが異なる。例えば、400〜500nm、500〜600nm及び600〜700nmのそれぞれに選択反射波長域を持つコレステリック規則性を持った樹脂層を積層させたとき、400〜500nmの一方の円偏光は樹脂層に入射して最初の層で反射され、もう一方の円偏光は樹脂層の中を透過する。500〜600nmの円偏光は樹脂層の中央辺りで反射され、もう一方の円偏光は樹脂層の中を透過する。600〜700nmの円偏光は樹脂層から出射する直前の層で反射され、もう一方の円偏光は樹脂層の中を透過する。このように、円偏光の波長によって、樹脂層を通過する距離が異なってくる。樹脂層を通過する距離が異なるために、各波長における位相変化量が異なってくる。この位相変化量の相違は斜め入射した光においてより顕著に表れる。
樹脂層における反射係数QはπΔn/nの値で定義されることが知られている(なお、Qは、後述するカイラル構造の、1ピッチあたりの反射係数のことである)。Δnは重合性液晶化合物の複屈折すなわちn−n(nは重合性液晶化合物分子の長軸方向の屈折率、nは重合性液晶化合物分子の短軸方向の屈折率)、nは平均屈折率、すなわち(n+n)/2である。このΔnを0.18以上にすると、反射係数Qが大きくなる。その結果、同じ反射率を得るために必要な総厚みdを小さくすることができる。また反射帯域ΔλはN×Δn×p(Nは層の数、pは、後述するカイラル構造の、ピッチ長さ)で定義されることが知られており、Δnが大きくなると反射帯域が広がる。その結果、同じ反射帯域を確保するために必要な総厚みd(層の数及びカイラル構造のピッチ数)を小さくすることができる。総厚みdを小さくできると、波長による位相変化の差異を大幅に小さくすることができる。本発明は、このような機構によって、偏光分離性能を落とさずに、斜め入射した光の位相変化を大幅に抑制し、その結果、斜めからの観察における表示の着色を抑えることができるものと考えられる。
本発明の円偏光分離シートは、0.18以上の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を用いて得られた、コレステリック規則性を持った、総厚み7μm以下の樹脂層を有してなるものである。
本発明の円偏光分離シートを構成する樹脂層は、コレステリック規則性を持つものである。
コレステリック規則性とは、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるという具合に、該平面の法線方向に分子軸の角度が次々にずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造はカイラルな構造と呼ばれる。該平面の法線(カイラル軸)は、コレステリック規則性を持つ樹脂層の厚み方向に略平行になっていることが好ましい。
コレステリック規則性を持つ樹脂(以下、コレステリック樹脂ということがある)は、円偏光分離機能を有する。すなわち、ある特定波長域の左回転若しくは右回転の円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過する機能を有する。これを選択反射ということがある。
コレステリック樹脂層の総厚みdは、7μm以下、好ましく、5μm以下である。総厚みdが小さくなることによって波長による位相変化量の相違が小さくなる。なお、総厚みとは、コレステリック樹脂層が別れている場合にはそれらの厚みの合計を、コレステリック樹脂層が一体になっている場合は、その厚みをさす。
本発明に用いるコレステリック樹脂層は非液晶性の樹脂層であることが好ましい。非液晶性のものであると、周囲の温度や電界などによってコレステリック規則性が変化しないからである。非液晶性のコレステリック樹脂層は、重合性基を2以上有する重合性液晶化合物を含む組成物を重合することによって得ることができる。重合性基を2以上有する重合性液晶化合物によって、コレステリック樹脂に比較的剛直な架橋構造が導入され、液晶性を生じない樹脂が得られる。コレステリック樹脂層は、その平均屈折率が1.5〜1.8であることが好ましい。
本発明においては、この円偏光分離機能を可視光の全波長領域にわたって発揮するコレステリック樹脂層を備えることが好ましい。具体的には、青色(波長410〜470nm)、緑色(波長520〜580nm)、赤色(波長600〜660nm)のいずれの波長域の光についても円偏光分離機能を有するコレステリック樹脂層であることが好ましい。
円偏光分離機能を発揮する波長は、コレステリック樹脂におけるカイラル構造のピッチ(=コレステリック規則性の周期)に依存する。カイラル構造のピッチとは、カイラル構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度がずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでのカイラル軸方向の距離のことである。このカイラル構造のピッチの大きさを変えることによって、円偏光分離機能を発揮する波長を変えることができる。
可視光の全波長領域にわたって円偏光分離機能を発揮するコレステリック樹脂層は、例えば、(i)カイラル構造のピッチの大きさを段階的に変化させたコレステリック樹脂層、(ii)カイラル構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層等が挙げられる。
(i)カイラル構造のピッチを段階的に変化させたコレステリック樹脂層は、例えば、2以上の樹脂層を積層することによって得られる。具体的には、青色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層、緑色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層及び赤色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層を積層することによって得ることができる。また、反射される円偏光の中心波長が例えば470nm、550nm、640nm、及び770nmのように異なるコレステリック樹脂層をそれぞれ作製し、これらのコレステリック樹脂層を任意に選択し、反射光の中心波長の順序で3〜7層積層することによって得ることができる。カイラル構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層を積層する場合には、各コレステリック樹脂層で反射する円偏光の回転方向が同じであることが好ましい。また、カイラル構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層の積層順序は、カイラル構造のピッチの大きさで、昇順又は降順になるようにするのが、視野角の広い液晶表示装置を得るために好ましい。これらコレステリック樹脂層の積層は、単に重ね置いただけでもよいし、粘着剤や接着剤を介して固着させてもよい。
(ii)カイラル構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層は、その製法によって特に制限されない。例えば、コレステリック樹脂層を形成するための重合性液晶化合物と、カイラル剤と、紫外線吸収剤とを含有してなる層を形成し、この層に紫外線を照射することによって得ることができる。ここで重合性液晶化合物とカイラル剤は紫外線照射における重合性が異なる化合物であることが好ましい。なお、カイラル剤とは、分子の配列にカイラルな構造を付与できる化合物のことである。
紫外線照射でピッチの大きさを連続的に変化させる機構は詳細に判っていないが、つぎのような機構でピッチに傾斜が生じると言われている。前記重合性液晶化合物と、カイラル剤と、紫外線吸収剤とを含有してなる層に照射された紫外線の受光強度は、層の表面(紫外線照射面)側では強い。層の中では紫外線は紫外線吸収剤によって吸収されるので層の深さが増すほどに紫外線受光強度が弱くなる。したがって、層の表面(紫外線照射面)から層の深さが増すにつれて重合度の差が生じる。重合性液晶化合物とカイラル剤のうち重合度の高い化合物の濃度が層表面側で高くなり、未反応成分として残った重合性液晶化合物とカイラル剤のうち重合度の低い化合物が拡散して層の反対側へと移動する。最終的に、重合性液晶化合物あるいはカイラル剤の濃度が層の深さ方向で連続的に変化した濃度勾配が形成される。カイラル剤の量はカイラル構造のピッチの大きさに影響を与える。このようにして、深さ方向に対して連続的にカイラル構造のピッチが変化したコレステリック樹脂層を得ることができる。
このようなタイプのコレステリック樹脂層としては、例えば、SID ’95,Asia Display.,p735(1995年);液晶、第2巻、第2号、p32−39(1998年);特表平11−514757号公報、米国特許20010001509号公報、米国特許6638449号公報、米国特許5948831号公報などに記載されたものがある。
本発明を構成するコレステリック樹脂層は、0.18以上の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を用いて得られるものである。
本発明に用いる重合性液晶化合物は、その複屈折Δn(=n−n)が0.18以上、好ましくは0.18〜0.40、より好ましくは0.18〜0.22のものである。Δnはセルナモン法によって測定できる。上記範囲に入るΔnを有する重合性液晶化合物は、棒状の重合性液晶化合物から選択するのが好ましい。
棒状の重合性液晶化合物としては、式(1)で表される化合物を挙げることができる。
R1−B1−A1−B3−M−B4−A2−B2−R2 式(1)
なお、式(1)中のA1及びA2は、後述するように連結基であるが、この連結基を省いて、直接にB1とB3又はB4とB2が結合していてもよい。
式(1)中、R1及びR2は重合性基を表す。重合性基であるR1、R2の具体例としては、化1に示す(r−1)〜(r−15)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007065314
B1、B2、B3及びB4は、それぞれ独立して単結合又は二価の連結基を表す。また、B3、B4の少なくとも一方は、−O−CO−を含む基であるのが好ましい。
A1及びA2は炭素原子数1〜20の連結基を表す。ここでの連結基としては、例えば、ポリメチレン基やポリオキシメチレン基等が挙げられる。連結基を形成する構造単位に含まれる炭素数は、メソゲン基の化学構造等により適宜に決定され、一般にはポリメチレン基の場合には、炭素数が1〜20、好ましくは2〜12であり、ポリオキシメチレン基の場合には、炭素数が1〜10、好ましくは1〜3である。
Mはメソゲン基を表す。メソゲン基Mの形成材料としては特に制限されないが、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
コレステリック樹脂層は、通常、重合性液晶化合物を重合することによって得られる。重合性液晶化合物は、重合開始剤、及び必要に応じて、カイラル剤や界面活性剤などの存在下に重合する。重合性液晶化合物を用いてコレステリック樹脂層を形成する方法の具体例として、重合性液晶化合物、重合開始剤及びカイラル剤、さらに必要に応じて界面活性剤、配向調整剤等を溶剤に溶解させた塗布液を得、これを基材に膜状に積層し、乾燥させ、乾燥させた膜を重合させる方法、及び重合性液晶化合物を重合してコレステリック規則性を持つポリマーを得、このポリマーを基材に積層する方法がある。コレステリック樹脂層のカイラル構造のピッチの調整が容易であることから、前者の重合性液晶化合物を含む塗布液を基材に積層し、乾燥させた膜を重合する方法が好ましい。
前記重合開始剤には、熱重合開始剤と光重合開始剤とがあるが、重合反応が速いことから光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、多核キノン化合物(米国特許3046127号公報、米国特許2951758号公報)、オキサジアゾール化合物(米国特許4212970号公報)、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号公報、米国特許2367670号公報)、アシロインエーテル化合物(米国特許2448828号公報)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号公報)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号公報)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号公報)などが挙げられる。
重合開始剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることがさらに好ましい。光重合開始剤を用いたときには、照射光として、紫外線を用いることが好ましく、中でも、320〜390nmの波長の紫外線(以下、UV−Aということがある。)を用いることが好ましい。照射エネルギーは、0.1mJ/cm〜50J/cmであることが好ましく、0.1〜800mJ/cmであることがさらに好ましい。
紫外線の照射方法は、特に制限されないが、反射帯域を広くするために、先ず、重合性液晶化合物に重合転化率が100%にならない程度の照射量の紫外線を照射し、次いで、カイラル構造のピッチを変化させ、そして、重合転化率が100%になるまで紫外線を照射する方法が好ましい。重合性液晶化合物を重合転化率が100%にならない程度の照射量は、重合性液晶化合物の種類によって適宜選択される。重合転化率が100%にならない程度の照射量は、UV−A基準で、通常、0.1〜250mJ/cmである。
カイラル構造のピッチを変化させる方法としては、例えば、液晶相を示す温度以上に加熱する方法、光重合した樹脂層にさらに重合性液晶化合物を含む組成物を塗布し、さらに光重合する方法、光重合した樹脂層に非液晶性化合物を塗布する方法が挙げられる。これらのうち液晶相を示す温度以上に加熱する方法が好ましい。加熱温度は、液晶化合物の種類によって適宜選択でき、通常65〜115℃である。加熱時間は通常0.001〜20分間、好ましくは0.001〜10分間、より好ましくは0.001〜5分間である。
重合転化率が100%になるまでの紫外線照射量は、重合性液晶化合物の種類によって適宜選択される。重合転化率が100%になるまでの照射量は、最初の紫外線照射量との積算で、UV−A基準で、通常、200〜1500mJ/cmである。
前記カイラル剤としては、特開2003−66214号公報、特開2003−313187号公報、米国特許第6468444号公報、国際公開WO98/00428号公報等に掲載されるものを適宜使用することが出来るが、液晶性化合物を捩じる効率を表す指標であるHTPの大きなものが経済性の観点から好ましい。HTPは、式(I):HTP=1/p・cで表される。ここで、pはカイラル構造のピッチ長さを表し、cはカイラル剤の濃度を表す。また、カイラル剤の添加による意図しない相転移温度の変化を避けるために、カイラル剤自身が液晶性を示すものを用いることが好ましい。
前記塗布液及び基材に積層した塗膜の、表面張力を調整するために界面活性剤を使用し得る。ここで用いる界面活性剤としては、特にノニオン系の界面活性剤が好ましく、分子量が数千程度のオリゴマーであることが好ましい。このような界面活性剤としては、セイミケミカル社製KH−40等が挙げられる。
前記配向調整剤は、基材上に形成されたコレステリック樹脂層の空気側表面の配向状態を制御するためのものである。配向調整剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、あるいはこれらの変性物などが挙げられる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の具体例としては、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類が挙げられる。特に環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液を膜状に積層するには、公知の方法、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等を実施する。
塗布液を積層するために用いる基材は、光学的に透明な基材であれば特に限定されないが、偏光が変化することを避けるために光学的に等方性のものが好ましい。かかる基材としては、透明樹脂フィルム、ガラス基板等が挙げられ、液晶層を効率よく製造することができる観点から、長尺の透明樹脂フィルムがより好ましい。透明樹脂フィルムは、単層のフィルムであっても、複層フィルムであってもよいが、1mm厚で全光線透過率が80%以上のものが好ましい。
透明樹脂フィルムの樹脂材料としては、脂環式構造含有重合体樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等の鎖状オレフィン系重合体、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、エポキシ系樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性等の観点から、脂環式構造含有重合体樹脂が好ましい。
脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体樹脂の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。
脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと、フィルムの耐熱性が低下するおそれがある。
脂環式構造含有重合体樹脂は、具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体及びこれらの水素添加物がより好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。上記の脂環式構造を有する重合体は、例えば特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体から選ばれる。
本発明に好適な透明樹脂フィルムの樹脂材料は、そのガラス転移温度が、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。ガラス転移温度がこのような範囲にある樹脂材料からなる透明樹脂フィルムは、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
本発明に好適な透明樹脂フィルムの樹脂材料の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(樹脂材料が溶解しない場合にはトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)で測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜50,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。
本発明に好適な透明樹脂フィルムの樹脂材料の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1〜10、好ましくは1〜4、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
本発明に好適な透明樹脂フィルムの樹脂材料は、その分子量2,000以下の樹脂成分(すなわち、オリゴマー成分)の含有量が、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。オリゴマ一成分の量が前記範囲内にあると、表面に微細な凸部が発生しづらくなり、厚みむらが小さくなり面精度が向上する。オリゴマー成分の量を低減するためには、重合触媒や水素化触媒の選択、重合、水素化等の反応条件、樹脂を成形用材料としてペレット化する工程における温度条件、等を最適化すればよい。オリゴマーの成分量は、前述のGPCによって測定することができる
本発明に用いる前記基材の厚みは特に制限されないが、生産性や薄型・軽量化の観点から、その厚みは、通常1〜1000μm、好ましくは5〜300μm、より好ましくは30〜100μmである。
また、本発明に用いる基材は表面処理されているものが好ましい。表面処理を施すことにより、基材と後述する配向膜との密着性を高めることができる。表面処理の手段としては、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)等が挙げられる。また、基材の上に、接着層(下塗り層)を設けることも、基材と配向膜との密着性を高める上で好ましい。
また、本発明に用いる基材には、形成されるコレステリック樹脂層のカイラル構造の配向方向を調整するために配向膜を基材表面に有することが好ましい。
本発明に用いる配向膜は、コレステリック樹脂層の配向方向を調整できるものであれば、特に制限されない。
配向膜は、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどの樹脂を主成分とする塗布液を基材に膜状に積層し、乾燥させ、次いで一方向にラビングすることによって得られる。膜状に積層した塗布層を一方向にラビングすることで、コレステリック規則性を持つ樹脂層を一方向に配向規制することが可能になる。
ラビングの方法は、特に制限されないが、例えばナイロンなどの合成繊維、木綿などの天然繊維からなる布やフェルトを巻き付けたロールで一定方向に配向膜を擦る方法が挙げられる。ラビングした時に発生する微粉末(異物)を除去して配向膜の表面を清浄な状態とするために、形成された配向膜をイソプロピルアルコールなどによって洗浄することが好ましい。配向膜にコレステリック規則性を持つ樹脂層を面内で一方向に配向規制する機能を持たせるために、ラビングする以外に、配向膜の表面に偏光紫外線を照射する方法が挙げられる。
また、例えば特開平6−222366号公報や特開平6−281937号公報に示されているような、紫外線を部分的に照射することによってプレチルト角を変化させるような処理、あるいは特開平5−107544号公報に示されているような、ラビングされた配向膜上にレジスト膜を部分的に形成し、先行して行ったラビングの方向とは異なる方向にラビング処理を行った後、前記レジスト膜を除去して、配向膜の配向能を変化させるような処理が挙げられる。これらの処理によって液晶表示装置の視界特性を改善することができる。
配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。
本発明の円偏光分離シートは、反射率が30%以上となる入射角0度の光の最大波長が好ましくは700nm以上、より好ましくは730nm以上である。また、反射率が30%以上となる入射角60度の光の最大波長が好ましくは570nm以上、より好ましくは600nm以上である。これら最大波長が前記範囲になっていることによって、斜めから観察したときの表示の着色を無くすことができる。
図1は、本発明の円偏光分離シート21を模式的に表したものである。図1では、基材1の上に配向膜2が積層され、配向膜の上にコレステリック樹脂層3が積層されている。コレステリック樹脂層3は、ピッチが異なる四つの層(ピッチがP0、P1、P2、P3の各層)からなっている。図1では、ピッチが、P0、P1、P2、P3の順に広くなっている。なお、図1では、各コレステリック樹脂層P0、P1、P2及びP3の1周期分のカイラル構造しか図示していないが、カイラル構造は2周期以上になっていてもよい。
この円偏光分離シートのコレステリック樹脂層に、光が入射すると、特定波長領域の左回り又は右回りの何れかの円偏光のみが反射される。反射された円偏光以外の光は透過する。円偏光分離シートのコレステリック樹脂層に入射角θ1で入射した白色光は、コレステリック樹脂層表面で屈折して屈折角θ2でコレステリック樹脂層内を通過し、波長λに対応したピッチPを持つコレステリック樹脂層で一方の円偏光が反射角θ2で反射し、コレステリック樹脂層表面で屈折して出射角θ1で出射する。屈折はスネルの法則に従って行われる。
図1に示すようにカイラル構造において分子軸が捩れる時の回転軸を表す螺旋軸4と、コレステリック樹脂層の法線とが平行である場合、カイラル構造のピッチpと反射される円偏光の波長λとは、式(2)の関係を有する。
λ=n×p×cosθ2 式(2)
ここで、n=(n+n)/2(式中、nは重合性液晶化合物の短軸方向の屈折率を表し、nは重合性液晶化合物の長軸方向の屈折率を表し、pは、カイラル構造のピッチ長さを表す。)である。
従って、ピッチpのコレステリック樹脂層で反射される円偏光の反射帯域は、式(3)で表される。
×p×cosθ2≦λ≦n×p×cosθ2 式(3)
本発明の円偏光分離シートを、偏光子A、液晶セル、及び偏光子Bを少なくとも有する液晶表示装置に、1/4波長板と組み合わせて取り付け、偏光子A、液晶セル、偏光子B、1/4波長板、本発明の円偏光分離シートの順に配列することによって、液晶表示装置の輝度を向上させることができる。
本発明に用いる偏光子A及びBは液晶表示装置等に用いられている公知の偏光子である。本発明に用いる偏光子は互いに直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過するものである。例えば、ポリビニルアルコールフィルムやエチレン酢酸ビニル部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸させたもの、前記親水性高分子フィルムを一軸延伸して二色性物質を吸着させたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルムなどが挙げられる。その他に、グリッド偏光子、多層偏光子などの偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうちポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
本発明に用いる偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の平均厚みは好ましくは5〜80μmである。
偏光子Aの偏光透過軸と偏光子Bの偏光透過軸とは、通常、直角になるように、液晶セルを挟むようにして配置する。偏光子は吸湿によって偏光性能が変化することがある。これを防ぐために保護フィルムが偏光子AまたはBの両面に通常貼り合わせてある。
液晶セルは、数μmのギャップを隔てて対向する透明電極を設けた2枚のガラス基板の間に液晶物質を充填し、この電極に電圧を掛けて液晶の配向状態を変化させてここを通過する光の量を制御するものである。
液晶物質の配向状態を変化させる方式(動作モード)などによって、液晶セルは分類され、例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶セル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶セル、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶セル、IPS(In Plane Switching)型液晶セル、VA(Vertical Alignment)型液晶セル、MVA(Multiple Vertical Alignment)型液晶セル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶セルなどが挙げられる。
本発明に用いる1/4波長板は、入射光に対して1/4波長の位相差を与えるものである。位相差は入射光の波長によって生じかたが異なるので、通常、可視光線の中心波長、例えば550nm付近において1/4波長の位相差を与えるものを1/4波長板と称している。一方、本発明においては、広帯域1/4波長板を用いることができる。広帯域1/4波長板とは、波長410〜660nmを含む可視光領域のどの波長でもほぼ1/4波長の位相差を与えるものである。ほぼ1/4とは、0.15〜0.40、好ましくは0.18〜0.36、より好ましくは0.20〜0.30の範囲であることを意味する。
さらに、1/4波長板として、位相補償機能を有するものを用いることができる。位相補償機能を有する1/4波長板とは、550nm付近において、1/4波長の位相差を与えるものであるとともに、0nm未満、好ましくは−2000〜−10nmの厚み方向のレターデーションRth(=((n+n)/2−n)×d);n,nは面内主屈折率、nは法線方向の主屈折率、dは厚さ)を与えるものである。
広帯域1/4波長板として、例えば、波長550nm付近において1/2波長の位相差を与える1/2波長板と、550nm付近において1/4波長の位相差を与える1/4波長板を積層したもの;正の固有複屈折値を有する材料からなるD層と、負の固有複屈折値を有する材料からなるE層とを有し、前記D層とE層が同一方向に分子配向したものが挙げられる。また、市販されている広帯域位相差フィルムWRF(帝人社製)等を用いることができる。
本発明の好ましい液晶表示装置では、偏光子Bと1/4波長板とが一体になっている。
一体とする方法は特に制限されない、例えば、偏光子Bと1/4波長板とを直接に貼り合わせ、1/4波長板を前記保護フィルムとして機能させてもよいし;偏光子Bの保護フィルムに1/4波長板を貼り合わせてもよい。貼り合わせるときには粘着剤や接着剤などを用いてもよい。偏光子Bの偏光透過軸は、1/4波長板から出射される直線偏光の方向と略平行になるように配置する。偏光透過軸と直線偏光の方向とがなす角度が略平行であるとは、その角度が0〜3°の角度であることを意味する。
本発明の液晶表示装置では、1/4波長板に前述のような位相補償機能が付与されていない場合は、さらに、面内のレターデーションを実質的に有さず、かつ、厚み方向のレターデーションRth(Rth={(n+n)/2−n}×d:式中、n、nは面内方向の主屈折率を表し、nは厚み方向の主屈折率を表し、dは膜厚を表す。)が、−20nm〜−1000nm、好ましくは−50nm〜−500nmの範囲にある位相補償素子を本発明の円偏光分離シートと1/4波長板との間に備えていることが好ましい。この際、位相補償素子と1/4波長板とが固着していることが好ましい。
このような範囲のRthを有する位相補償素子は、1/4波長板に斜めから入射する光の位相差を補償する機能を有する。
この位相補償素子は、主屈折率n、n及びnが、n>n、n>ny、及びn≒nの関係を満たすことが必要である。なお、この主屈折率は、自動複屈折計[例えば、王子計測器(株)製「KOBRAシリーズ」等]により測定することができる。なお、n≒nとは、屈折率差が、通常0.0002以内、好ましくは0.0001以内、より好ましくは0.00005以内のことである。
また、この位相補償素子の、面内方向のレターデーションRe(Re=(n−n)×d:n、n及びdは前記と同じ意味を表す。)は、通常20nm以下、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下である。
このような光学特性を有する位相補償素子は、負の固有複屈折値を有する材料の層を含むフィルムを延伸配向させることによって得ることができる。
図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す図である。図2に示すように、反射板20、冷陰極管19、拡散板18、プリズムシート(図示せず)17、円偏光分離シート21、一体となった位相補償素子15と1/4波長板14と偏光子B 13、液晶セル12、偏光子A 11の順に配置されている。光源からの光には右偏光と左偏光とが含まれている。その光が円偏光分離シート21に入射すると、一方の回転方向の円偏光(図中光の進行方向に向って右回転の円偏光)はそのままの回転方向を維持したまま円偏光分離シート21を透過する。他方の回転方向の円偏光(図中光の進行方向に向って左回転の円偏光)は円偏光分離シートで反射される(反射された円偏光は光の進行方向に向って左回転のままである)。透過した円偏光は1/4波長板により偏光子Bの透過軸と平行な直線偏光に変換される。一方、反射された円偏光は光源の背後に配置された反射板によって反射され、再び円偏光分離シートに入射する。このようにして、光源から出射した光が有効利用され、画面の表示輝度を向上させることができる。
なお、前記拡散板は、一般に、粒子状の拡散材が樹脂等のマトリックス中に均一に分散し、それによって光を散乱拡散する機能を有する板として知られているものである。前記プリズムシートは、一般に、散乱等により広く進行方向が広がった光をシート面法線方向に狭める機能を有するシートとして知られているものである。
また、図2において、位相補償素子と円偏光分離シートの間に、拡散シートを介在させてもよい。拡散シートは、一般に、透明フィルムの上に粒子状の拡散材が均一に分散するように積層されたものであり、光を散乱拡散する機能を有するシートとして知られているものである。
本発明では、円偏光分離シートの、1/4波長板側の面に、光拡散性を備えていることが好ましい。光拡散性とは、光を散乱拡散する性質のことである。光拡散性を備えさせるために、例えば、円偏光分離シートの表面に、粒子状の拡散材を均一に分散するように積層させる方法、基材に粒子状の拡散材を均一に分散する方法、または前記拡散シートを円偏光分離シートに貼りあわせる方法などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。また、部および%は、特に記載のない限り重量基準である。
<反射帯域>平行化された白色光を、円偏光分離シートに入射角0度および入射角60度で入射させ、分光器:相馬光学社製[S−2600]を用いて測定した。
<膜厚測定>ULVAC社製 表面形状測定装置〔DEKTAK6M〕を用いて測定した。
<Δn> セルナモン法に従って、使用顕微鏡ニコン社製[エクリプスE−600POL]IFレンズ546nmを使用して測定した。
<位相補償素子の屈折率> 王子計測器(株)製〔KOBRA〕を用いて測定した。
<液晶分子の屈折率> Metricon社製 プリズムカプラ 〔Model 2010〕を用いて633nmのレーザー光における屈折率を測定した。
(位相補償機能を有する1/4波長板(C))
スチレン−無水マレイン酸共重合体(固有複屈折値が負の材料、Tg=131℃)、及びノルボルネン系重合体(「ゼオノア1020」、日本ゼオン社製、Tg=105℃)を共押出し法によって成形し、ノルボルネン系重合体層(厚さ50μm)/スチレン−無水マレイン酸共重合体層(厚さ200μm)/ノルボルネン系重合体層(厚さ50μm)の三層構造の多層フィルムを得た。
次いでこの多層フィルムを140℃で、縦に1.8倍、横に1.5倍の逐次二軸延伸して、1/4波長板(C)を得た。1/4波長板(C)の平均厚さは120μm、主屈折率nは1.5801、nは1.5789、nは1.5811であった。面内方向のレターデーションReは144nm、厚み方向のレターデーションRthは−192nmであった。
(位相補償機能を有する偏光板(X))
ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させて得られた偏光子Bの片面に、前記1/4波長板(C)を貼り合わせ固着させた。また、偏光子のもう一方の片面に平均厚み 60μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ固着させて、偏光板(X)を得た。
(偏光板(Y))
ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させて得られた偏光子Aの両面に、平均厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ固着させて、偏光板(Y)を得た。
実施例1
ゼオノアフィルム(日本ゼオン社製ZF14−100)の片面をコロナ放電し、次いでその面にポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバールMP203)の5重量%水溶液を塗布し、100℃で3分間乾燥した後、フェルトのロールでラビングして、配向膜を形成させて、基材を得た。
複屈折Δnが0.18である重合性液晶化合物 90.3部、カイラル剤(BASF社製 LC756)6.7部、重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGACURE907)3.1部、及び界面活性剤(セイミケミカル社製、サーフロンKH−40)0.1部をメチルエチルケトンに固形分40%になるように溶解し、次いで孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製シリンジフィルターにて濾過して重合性溶液を得た。
この重合性溶液を、前記基材の配向膜を設けた面に塗布し、乾燥させ、塗布膜を得た。塗布膜に紫外線を、UV−A基準で70mJ/cm照射し、100℃のオーブンに3分間放置し、次いで紫外線を、UV−A基準で300mJ/cm照射して塗布膜を硬化させて、コレステリック樹脂層を有する厚み3μmの光学素子P1を形成した。この際、厚みは、重合性溶液の塗布量を調整することにより制御した。
別の基材に、複屈折Δnが0.18である重合性液晶化合物 94.9部、カイラル剤(BASF社製 LC756)5.1部、重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製IRGACURE907)3.1部、及び界面活性剤(セイミケミカル社製、サーフロンKH−40)0.1部をメチルエチルケトンに固形分40%になるように溶解し、次いで孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製シリンジフィルターにて濾過して得た重合性溶液を塗布し、乾燥させ、次いで上記と同様に紫外線を照射して硬化させて、コレステリック樹脂層を有する厚み4μmの光学素子P2を形成した。、
光学素子P1の、コレステリック樹脂層のカイラル構造のピッチが大きい方の側と、光学素子P2の、コレステリック樹脂層のカイラル構造のピッチが小さい方の側とが向かい合うように重ね合わせて総厚み7μmのコレステリック樹脂層を有する円偏光分離シートを得た。この円偏光分離シートは、入射角0度の光線を30%以上反射する波長帯域が、405〜743nmであった。
SEM観察により、得られた光学素子P1およびP2のカイラル構造のピッチを確認したところ、光学素子P1およびP2は、カイラル構造のピッチが一方の側の面からもう一方の側の面に向かって連続的に変化していた。また、光学素子のカイラル構造のピッチ長さの平均値は、光学素子P1よりも、光学素子P2の方が大きかった。
光反射板、冷陰極管、拡散板及びプリズムシートからなるバックライトユニットの上に、円偏光分離シート、偏光板(X)の順に載置して、偏光光源装置を得た。この際、円偏光分離シートのカイラル構造のピッチの大きい側の面と、前記偏光板(X)の1/4波長板(C)側の面とが、向かい合うようにした(円偏光分離シートの光学素子P1のコレステリック樹脂層側の面が、冷陰極管側になるようにした)。この偏光光源装置は、エルゴスコープによる、全方位で、極角0°〜70°における測定で、x成分のばらつきΔxが0.032で、y成分のばらつきΔyが0.039で、正面輝度比が1.25であった。なお、極角とは、偏光光源装置を観察する際に、正面方向から傾けてみたときの角度をいう。また、色度のばらつきΔx、Δyは値が小さい方が優れていることを示している。正面輝度比は、前記バックライトユニットの上に偏光子だけを載置した偏光光源装置における輝度に対する比である。
さらに、光反射板、冷陰極管、拡散板及びプリズムシートからなるバックライトユニットの上に、円偏光分離シート、偏光板(X)、液晶セル、偏光板(Y)の順に載置して、液晶表示装置を得た。この液晶表示装置は、斜め方向から観察しても、正面方向から観察した場合と同じ色合いであり、画面の着色は見られなかった。
Figure 2007065314
実施例2
重合性溶液の塗布量を調整することにより、コレステリック樹脂層P1の膜厚を2μm、コレステリック樹脂層P2の膜厚を3μmにした以外は実施例1と同様に実験を行った。なお、得られた円偏光分離シートは、入射角0度の光線を30%以上反射する波長帯域が、410〜738nmであった。
実施例1と同様に、偏光光源装置を得、エルゴスコープにより、色度のばらつきと正面輝度比を測定した。Δxは0.027、Δyは0.030、正面輝度比は1.21であった。また、実施例1と同様に、液晶表示装置を得、その表示性能を確認した。液晶表示装置は、斜め方向から観察しても、正面方向から観察した場合と同じ色合いであり、画面の着色は見られなかった。
実施例3
ゼオノアフィルム(日本ゼオン社製ZF14−100)の片面をコロナ放電し、次いでその面にポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバールMP203)の5重量%水溶液を塗布し、100℃で3分間乾燥し、フェルトのロールでラビングして、配向膜を表面に積層させた基材を得た。
複屈折Δnが0.20である重合性液晶化合物93.9部、カイラル剤(BASF社製 LC756)6.1部、重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGACURE907)3.1部、及び界面活性剤(セイミケミカル社製、サーフロンKH−40)0.1部をメチルエチルケトンに固形分40%になるように溶解し、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製シリンジフィルターにて濾過して重合性溶液を得た。
この重合性溶液を、前記基材の配向膜を設けた面に塗布し、乾燥させ、塗布膜を得た。塗布膜に紫外線を、UV−A基準で40mJ/cm照射し、100℃のオーブンに3分間放置し、次いで紫外線を、UV−A基準で300mJ/cm照射して塗布膜を硬化させて、厚み2μmのコレステリック樹脂層P3を形成した。
別の基材に、複屈折Δnが0.20である重合性液晶化合物94.9部、カイラル剤(BASF社製 LC756)5.1部、重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGACURE907)3.1部、及び界面活性剤(セイミケミカル社製、サーフロンKH−40)0.1部をメチルエチルケトンに固形分40%になるように溶解し、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製シリンジフィルターにて濾過して重合性溶液を得た。
この重合性溶液を、前記基材の配向膜を設けた面に塗布し、乾燥させ、塗布膜を得た。塗布膜に紫外線を、UV−A基準で40mJ/cm照射し、100℃のオーブンに3分間放置し、次いで紫外線を、UV−A基準で300mJ/cm照射して塗布膜を硬化させて、厚み2μmのコレステリック樹脂層P4を形成した。
SEM観察により、得られた光学素子P3およびP4のカイラル構造のピッチを確認したところ、光学素子P3およびP4は、カイラル構造のピッチが一方の側の面からもう一方の側の面に向かって連続的に変化していた。また、光学素子のカイラル構造のピッチ長さの平均値は、光学素子P3よりも、光学素子P4の方が大きかった。
コレステリック樹脂層P3のカイラル構造のピッチが大きい方の側と、コレステリック樹脂層P4のカイラル構造のピッチが小さい方の側とが向かい合うように貼り合わせて総厚み4μmのコレステリック樹脂層を有する円偏光分離シートを得た。この円偏光分離シートは、入射角0度の光線を30%以上反射する波長帯域が、402〜746nmであった。実施例1と同様に、偏光光源装置を得、エルゴスコープにより、色度のばらつきと正面輝度比を測定した。Δxは0.022、Δyは0.024、正面輝度比は1.22であった。また、実施例1と同様に、液晶表示装置を得、その表示性能を確認した。液晶表示装置は、斜め方向から観察しても、正面方向から観察したと同じ色合いであり、画面の着色は見られなかった。
実施例4
実施例3で得た円偏光分離シートに、拡散シート(恵和社製 オパルスPSS−010)を貼り合せた。そして、実施例1と同様に、光反射板20、冷陰極管19、拡散板18及びプリズムシート17からなるバックライトユニットの上に、前記拡散シートを貼り合わせた円偏光分離シート、偏光板(X)の順に載置して、偏光光源装置を得た。この際、拡散シートが、円偏光分離シートと偏光板(X)との間になるように配置した。色度のばらつきと正面輝度比の測定を行った結果、Δx:0.017、Δy:0.019、正面輝度比1.20であった。また、光反射板20、冷陰極管19、拡散板18及びプリズムシート17からなるバックライトユニットの上に、前記拡散シートを貼り合わせた円偏光分離シート、偏光板(X)、液晶セル、偏光板(Y)の順に載置して、液晶表示装置を得た。この際、拡散シートが、円偏光分離シートと偏光板(X)との間になるように配置した。表示性能を確認した結果、斜め方向から観察しても、正面方向から観察した場合と同じ色合いであり、画面の着色は見られなかった。
比較例1
複屈折Δnが0.14である重合性液晶化合物94.0部、カイラル剤(BASF社製 LC756)5.9部、重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGACURE907)3.1部、及び界面活性剤(セイミケミカル社製、サーフロンKH−40)0.1部をメチルエチルケトンに固形分40%になるように溶解し、次いで孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製シリンジフィルターにて濾過して重合性溶液を得た。
この重合性溶液を、前記基材の配向膜を設けた面に塗布し、乾燥させ、塗布膜を得た。塗布膜に紫外線を、UV−A基準で0.2mJ/cm照射し、100℃のオーブンに3分間放置し、次いで紫外線を、UV−A基準で300mJ/cm照射して塗布膜を硬化させて、厚み4μmのコレステリック樹脂層P5を形成した。
別の基材に、複屈折Δnが0.14である重合性液晶化合物 95.3部、カイラル剤(BASF社製 LC756)4.7部、重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGACURE907)3.1部、及び界面活性剤(セイミケミカル社製、サーフロンKH−40)0.1部をメチルエチルケトンに固形分40%になるように溶解し、次いで孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製シリンジフィルターにて濾過して重合性溶液を得た。
この重合性溶液を、前記基材の配向膜を設けた面に塗布し、乾燥させ、塗布膜を得た。塗布膜に紫外線を、UV−A基準で0.2mJ/cm照射し、100℃のオーブンに3分間放置し、次いで紫外線を、UV−A基準で300mJ/cm照射して塗布膜を硬化させて、厚み5μmのコレステリック樹脂層P6を形成した。
さらに、別の基材に、複屈折Δnが0.14である重合性液晶化合物 96.1部、カイラル剤(BASF社製 LC756)3.9部、重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGACURE907)3.1部、及び界面活性剤(セイミケミカル社製、サーフロンKH−40)0.1部をメチルエチルケトンに固形分40%になるように溶解し、次いで孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製シリンジフィルターにて濾過して重合性溶液を得た。
この重合性溶液を、前記基材の配向膜を設けた面に塗布し、乾燥させ、塗布膜を得た。塗布膜に紫外線を、UV−A基準で0.2mJ/cm照射し、100℃のオーブンに1分〜5分間放置し、次いで紫外線を、UV−A基準で300mJ/cm照射して塗布膜を硬化させて、厚み6μmのコレステリック樹脂層P7を形成した。
SEM観察により、得られた光学素子P5、P6およびP7のカイラル構造のピッチを確認したところ、光学素子P5、P6およびP7は、カイラル構造のピッチが一方の側の面からもう一方の側の面に向かって連続的に変化していた。また、光学素子のカイラル構造のピッチ長さの平均値は、大きい方から順に、光学素子P7、光学素子P6、光学素子P5であった。
コレステリック樹脂層P5のカイラル構造のピッチが大きい方の側と、コレステリック樹脂層P6のカイラル構造のピッチが小さい方の側とが向かい合うように、さらに、コレステリック樹脂層P6のカイラル構造のピッチが大きい方の側と、コレステリック樹脂層P7のカイラル構造のピッチが小さい方の側とが向かい合うように貼り合わせて総厚み15μmのコレステリック樹脂層を有する円偏光分離シートを得た。この円偏光分離シートは、入射角0度の光線を30%以上反射する波長帯域が、412〜738nmであった。
実施例1と同様に、偏光光源装置を得、エルゴスコープにより、色度のばらつきと正面輝度比を測定した。Δxは0.047、Δyは0.069、正面輝度比は1.27であった。また、実施例1と同様に、液晶表示装置を、その表示性能を確認した。この液晶表示装置は、斜め方向から観察すると、正面方向から観察した場合と色合いが変化しており、画面が全体的に黄色付いて見られた。
比較例2
重合性溶液の塗布量を調整することにより、コレステリック樹脂層P5の膜厚を2μm、コレステリック樹脂層P6の膜厚を2μm、コレステリック樹脂層P7の膜厚を3μmにした以外は比較例1と同様に実験を行った。なお、得られた円偏光分離シートは、入射角0度の光線を30%以上反射する波長帯域が、419〜731nmであった。
実施例1と同様に、偏光光源装置を得、エルゴスコープにより、色度のばらつきと正面輝度比を測定した。Δxは0.037、Δyは0.040、正面輝度比は1.07であった。また、実施例1と同様に、液晶表示装置を得、その表示性能を確認した。この液晶表示装置は、斜め方向から観察しても、正面方向から観察した場合と同じ色合いであり、画面の着色は見られなかった。しかし、この比較例2で得られた液晶表示装置は、実施例1〜4および比較例1で得られた液晶表示装置に比較して、画面表示が顕著に暗かった。
表1に示すように、実施例1〜4の結果からΔnが0.18以上の重合性液晶化合物を用い、コレステリック規則性を持つ樹脂層の総厚みを7μm以下にすると、可視光領域(400〜750nm)を選択反射することができ、且つ色度のばらつきや輝度も良好になることがわかる。特に、総厚みを実施例1より小さくした実施例2〜4では色度のばらつきが小さくなっていることがわかる。また実施例3から、Δnが大きく且つ総厚みが小さくなると、正面輝度比が高くなり、色度のばらつきが小さくなることがわかる。また、円偏光分離シートに光拡散性を備えさせると、実施例3よりさらに色度のばらつきが改善されることがわかる(実施例4)。
これに対して、Δnが0.14の重合性液晶化合物を用いた、総厚み15μmのコレステリック規則性を持つ樹脂層では、色度のばらつきが大きくなることがわかる(比較例1)。また、Δnが0.14の重合性液晶化合物を用いた、総厚み7μmのコレステリック規則性を持つ樹脂層では、正面輝度比が高くならないことがわかる(比較例2)。
本発明の円偏光分離シートの一例を示す図である。 本発明の液晶表示装置の構成例を示す図である。
符号の説明
1:基材
2:配向膜
3:コレステリック樹脂層
11:偏光子A
12:液晶セル
13:偏光子B
14:1/4波長板
15:位相補償素子
21:円偏光分離シート
16:基材
17:コレステリック樹脂層
18:拡散板
19:冷陰極管
20:光反射板

Claims (13)

  1. 0.18以上の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を用いて得られた、コレステリック規則性を持った、総厚み7μm以下の樹脂層
    を有してなる円偏光分離シート。
  2. 前記樹脂層が非液晶性である請求項1記載の円偏光分離シート。
  3. コレステリック規則性が厚み方向にある、請求項1〜2のいずれかに記載の円偏光分離シート。
  4. コレステリック規則性の周期が厚み方向で段階的に変化している請求項3記載の円偏光分離シート。
  5. 前記樹脂層は、コレステリック規則性の周期が異なる2以上の層で形成されている請求項4記載の円偏光分離シート。
  6. コレステリック規則性の周期が厚み方向で連続的に変化している請求項3記載の円偏光分離シート。
  7. 前記樹脂層の平均屈折率が1.5〜1.8である請求項1〜6のいずれかに記載の円偏光分離シート。
  8. 反射率が30%以上となる入射角0度の光の最大波長が700nm以上である請求項1〜7のいずれかに記載の円偏光分離シート。
  9. 0.18以上の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を含む溶液を基材に塗布し、次いで紫外線を照射して前記重合性液晶化合物を重合させて、コレステリック規則性を持った、総厚み7μm以下の樹脂層を形成することを含む円偏光分離シートの製造方法。
  10. 偏光子A、
    液晶セル、
    偏光子B、
    1/4波長板及び
    請求項1〜8のいずれかに記載の円偏光分離シート をこの順に有する液晶表示装置。
  11. 前記偏光子Bと1/4波長板とが一体になっている、請求項10記載の液晶表示装置。
  12. 前記円偏光分離シートの、1/4波長板側の面に、光拡散性が備わっている、請求項10〜11のいずれかに記載の液晶表示装置。
  13. 円偏光分離シートと1/4波長板との間に拡散シートをさらに有する、請求項10〜11のいずれかに記載の液晶表示装置。
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