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JP2007063120A - コンクリート廃材を利用した水硬性材料の製造方法 - Google Patents

コンクリート廃材を利用した水硬性材料の製造方法 Download PDF

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JP2007063120A JP2006229582A JP2006229582A JP2007063120A JP 2007063120 A JP2007063120 A JP 2007063120A JP 2006229582 A JP2006229582 A JP 2006229582A JP 2006229582 A JP2006229582 A JP 2006229582A JP 2007063120 A JP2007063120 A JP 2007063120A
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Akihiro Maekawa
明弘 前川
Kazumi Murakami
和美 村上
Yukihisa Yuasa
幸久 湯浅
Masahiro Suiken
昌宏 吹拳
Takashi Morita
孝士 守田
Kazuo Seto
和夫 瀬戸
Kenichi Matsui
健一 松井
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Mie Prefecture
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Mie Prefecture
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

【課題】高温焼成等を必要とすることなくコンクリート廃材を再利用して実用性の高い水硬性材料を容易に且つ低コストで製造することの出来る新規な水硬性材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】コンクリートを用いた製品や構築物の製造工場や施工現場で発生するコンクリート系廃材、例えば住宅等の建築用コンクリート系外装材や瓦等の廃材を主原料とし、該主原料に対して、例えば炭酸カルシウム等を含む補助成分を添加して、800〜1300℃の温度で焼成処理することにより、十分に低硬度で、焼成処理後に破砕,粉砕するに際しても処理が容易な水硬性材料を実現した。
【選択図】図5

Description

本発明は、コンクリートを用いた製品や構築物の製造工場や施工現場で発生するコンクリート系廃材、例えば住宅等の建築用コンクリート系外装材や瓦等の廃材を主原料として、その再利用を実現するコンクリート廃材を利用した水硬性材料とその製造方法などの技術に関するものである。
従来から、コンクリートは極めて広い範囲で利用されており、橋脚や土留壁、ダム、ビルディング等の大型築造物の他、一般住宅における瓦や外装材などの建築物においても、構造材や保護材,装飾材等として用いられている。
ところで、このような大型築造物や建築物等の構築や補修,撤去等に際して発生するコンクリート系廃材は、従来から、安定型廃棄物として埋め立て用等に廃棄処理されているが、その他、再利用の方策としては、例えば、粉砕して焼成処理することによりセメント鉱物(セメントクリンカを含む。以下同じ。)を生成させて、水硬性材料として再利用することも考えられる。
ところが、セメント鉱物からなる水硬性材料においては、実用的な水硬性能を発揮するために、一般に、セメント鉱物としてエーライト相(アリットとも言う。)を多く含むことが要求されることとなり、エーライト相を生成させるためには、セメント鉱物の生成に1450℃以上の高温での焼成処理が必要とされることから、特別な高温処理設備が必要であるという問題があり、しかも、高温焼成によって生成されるセメント鉱物の硬度が大きいために、生成されたセメントクリンカ等を粉砕処理するための設備も大掛かりとなって、製造が難しく製造コストも高くなるという問題があったのである。
なお、1300℃以下の低温焼成処理によってもセメント鉱物が生成されることが知られているが、かかる低温焼成処理では、生成されるセメント鉱物の殆どがビーライト相(ベリットとも言う。)となり、特性的に水和速度が小さく、実用強度を得るには、非常に長い養生期間が必要とされることから、現実的には利用性が期待できないものと考えられている。
また、特に近年問題となっている一般住宅における瓦や外装材等のコンクリート廃材においては、アスベスト繊維等を含むコンクリート材が多く利用されていることから管理型廃棄物に区分されることとなり、そのために、一般のコンクリート廃材に比して廃棄処理も制限を受けて極めて面倒となると共に、再利用も一般のコンクリート廃材に比して技術的および環境的に難しいという問題があり、コンクリート廃材の処理が一層大きな社会問題となってきているのである。
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、高温焼成等を必要とすることなくコンクリート廃材を再利用して実用性の高い水硬性材料を容易に且つ低コストで製造することの出来る水硬性材料の製造方法を提供することにあり、また、本発明は、かかる方法に従って製造された水硬性材料を用いたコンクリート製品の有利な製作方法などを提供することも、目的とする。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、上述の課題を解決するために、発明者は、コンクリート廃材の再利用について多くの実験と検討を加えた結果、コンクリート廃材の1300℃以下の低温焼成処理によって得られるセメント鉱物は、ビーライト相が多く含まれており、特定の処理を加えることによって、その水和速度を含む水硬性が飛躍的に向上されるという特徴的な事実を新たに見い出し得たのであり、かかる知見に基づいて、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至ったのである。
ここにおいて、水硬性材料の製造方法に関する本発明の第一の態様は、コンクリート廃材を主原料とし、該主原料に対してカルシウムを含む補助成分を添加して、800〜1300℃の温度で焼成処理することを、特徴とする。
このような本発明方法においては、従来のコンクリート廃材の再利用に際して必要と考えられていた1450℃以上の高温での焼成処理に比して、800〜1300℃という低温での焼成処理が採用されることから、焼成炉等の設備が簡略化され得る。しかも、本発明方法に従って製造されたコンクリート廃材は、1450℃以上の高温で焼成処理することによって生成する塊状物(セメントクリンカ)に比して、十分に低硬度であることから、焼成処理後に破砕,粉砕処理して粉状材料とするに際しても、処理が容易で、設備コストも抑えられるという利点がある。
また、本発明方法に従えば、予めコンクリート廃材にカルシウムを含む補助成分を添加することにより、水硬性組成物を一層効率的に生成させることが出来るのであり、それによって、実用的な水硬性材料を有利に製造することが可能となるのである。
すなわち、本発明者が実験および解析,検討を加えた結果によれば、従来からコンクリート廃材の再利用に際して必要とされていた1450℃以上での高温処理は、水硬性組成物としてのケイ酸三石灰(3CaO・SiO2 )の固溶体であるエーライト相を生成することを目的とするものであったが、本発明方法においては、上述の如き補助成分を添加した800〜1300℃の低温焼成処理によってケイ酸二石灰(2CaO・SiO2 )の固溶体であるビーライト相が効率的に生成されることとなる。そして、このビーライト相を多く含む組成物からなる、本発明方法に従って製造された水硬性材料にあっては、コンクリート製品を製造等するに際して、特定の高温高圧養生等の処理を施すことにより、十分に実用レベルとなる水硬性が発揮され得ることが本発明者によって確認されているのである。
さらに、コンクリート廃材には、セメントや骨材の他に適当な増量材や補強材等の不純物が含まれていることから、その再利用に際して環境性等が問題となるおそれがあるが、本態様にかかる水硬性材料の製造方法に従えば、例えば、後述するようにコンクリート瓦の廃材に多く含まれるアスベストも、その構造が焼成処理によって略破壊されて、環境への悪影響が有利に解消され得るのである。
なお、本態様に係る水硬性材料の製造方法においては、一般に、焼成処理によってセメントクリンカが生成することとなり、かかるセメントクリンカをそのまま水硬性材料として市場に供することも可能であるが、新規のコンクリート製品の製造に際して粉砕等の処理を加えることなく容易に用いられ得るように、破砕および粉砕処理して市場に提供されることが望ましく、更に、石膏や適当な補助材,増量剤等を適宜に添加することも可能である。そこにおいて、本態様では、セメントクリンカを粉砕処理して粉末状にすることが望ましく、それによって、コンクリート製品の製造作業性の向上だけでなく、水硬性能の更なる向上と安定化が図られ得る。
また、本態様に係る水硬性材料の製造方法において、コンクリート廃材と補助成分は、焼成に先立って十分に混練することが望ましく、例えば、湿式または乾式でそのまま混合したり、或いはボールミル等の混合機械を使用して粉砕しつつ混合することも可能である。更にまた、補助成分を含むコンクリート廃材の焼成処理は、望ましくは1100〜1300℃、より望ましくは1200〜1300℃の温度で行われる。更にまた、補助成分に含まれるカルシウムとしては、例えば、酸化カルシウムや水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等を含むカルシウム化合物が好適に採用されることとなり、貝殻の如き廃棄物等もカルシウム化合物として採用可能である。また、本態様に係る水硬性材料の製造工程での焼成処理は、例えば、ロータリーキルン等の回転式の焼成炉を用いて行うことも可能であり、それによって、コンクリート廃材の補助成分との反応性がより向上され得る。
また、水硬性材料の製造方法に関する本発明の態様においては、以下(イ)〜(ヘ)に記載の特徴的構成が、単独で、若しくは二つ以上の複数の組み合わせ態様で、採用されることが望ましく、それによって、焼成過程におけるコンクリート廃材と補助成分の反応性が向上される等といった技術的効果が発揮され得ることとなる。
(イ)焼成処理を、30〜180分、好適には、60〜120分の時間で行なう。
(ロ)コンクリート廃材からなる主原料に補助成分を添加した水硬性材料の原料混合物におけるCaO/SiO2 のモル比を1〜4とする。
(ハ)補助成分としてのカルシウムを、コンクリート廃材100重量部に対して40〜200重量部の割合で添加する。
(ニ)コンクリート廃材がパルプを含んでおり、焼成処理の前工程として、該パルプの除去工程を行う。
(ホ)パルプの除去工程として、コンクリート廃材を、粒径が3mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下となるように粉砕した後、焼成処理よりも低い温度で仮焼処理する。
(ヘ)コンクリート廃材および補助成分を、粒径が3mm以下となるように粉砕および混合した後、焼成処理を行なう。
なお、上記(ニ)および(ホ)からも明らかなように、例えばパルプを含むコンクリート廃材としての一般住宅の外装廃材等も、本発明の適用範囲であり、かかる外装廃材を主原料とし、該主原料に対してカルシウムを含む補助成分を添加して、800〜1300℃で焼成処理することにより、パルプを除去した水硬性材料が有利に実現され得るのである。そこにおいて、好ましくは、上記(ニ)および(ホ)に記載のパルプの除去工程を採用することにより、パルプが外装廃材から一層有利に除去されて焼成過程における外装廃材と補助成分の反応性が向上されることから、目的とする水硬性能の更なる向上が図られ得る。また、上記(ニ)に記載のパルプの除去工程としては、例えば、コンクリート廃材を細かく粉砕して仮焼処理する他、コンクリート廃材を細かく粉砕した後にふるいにかけて分別処理する工程等が、適宜に採用され得る。
また、水硬性材料の製造方法に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る水硬性材料の製造方法において、前記コンクリート廃材がアスベスト繊維を含むことを、特徴とする。このような本態様においては、水硬性材料の主原料であるコンクリート廃材が、環境性等の問題を伴い易いアスベスト繊維を含み、例えば一般住宅の瓦廃材等の管理型廃棄物を含む場合であっても、水硬性材料として再利用可能とされ得るのである。即ち、アスベスト繊維を含む管理型廃棄物をコンクリート廃材とする本態様においては、上述の如き特定温度での焼成処理などによって、アスベスト繊維の構造が略破壊されるのであり、それによって、人体等への悪影響に問題とない廃棄物再利用型の新規な水硬性材料が有利に製造されて提供され得ることとなるのである。なお、このようなアスベスト繊維を含むコンクリート廃材の焼成に際して、望ましくは、焼成温度が1200〜1300℃とされると共に、焼成時間が60〜180分とされる。
また、水硬性材料の製造方法に関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る水硬性材料の製造方法において、前記補助成分として、鉄及び/又はホウ素を含むことを、特徴とする。このような本態様においては、コンクリート廃材に鉄とホウ素の少なくとも一方を添加することにより、焼成処理後の冷却工程において、水硬性を有するベータ型のビーライト相:β−2CaO・SiO2 (以下、「β−C2 S」と略称する。)から水硬性を殆ど有しないガンマ型のビーライト相:γ−2CaO・SiO2 (以下、「γ−C2 S」と略称する。)への、所謂ダスティング現象を伴うセメントクリンカの変態転移が、有効に防止され得ることが本発明者によって確認されており、その結果、目的とする水硬性材料における水硬性の向上と安定化が高度に達成され得るのである。なお、本態様において、補助成分における鉄及び/又はホウ素とカルシウムの組成比は特に限定されるものでないが、好適には、鉄及び/又はホウ素がカルシウムに対して1〜15%となるように配合される。更にまた、鉄及び/又はホウ素を含む補助成分は、前述の如く細かく粉砕すると共に主原料と混合されて、焼成処理に供されることが望ましい。また、鉄は、酸化第一鉄(II)等を含んで構成されると共に、ホウ素は、酸化ホウ素等を含んで構成される。
また、コンクリート製品の製作方法に関する本発明の第一の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る水硬性材料の製造方法に従って製造された水硬性材料を用い、100〜300℃での高温高圧養生を行なうことによってコンクリート製品を製作することを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたコンクリート製品においては、一般に水硬性に有利でないビーライト相を多く含む水硬性材料に対して、水和反応による強度発現を速やかに発揮させることができ、それ故、従来では、到底実現され得なかった程に低温度での焼成処理によって生成された、コンクリート廃材を主原料とした再生利用材としての水硬性材料を用いて新規なコンクリート製品を製作することが可能となったのであって、コンクリート廃材の実用化が有利に実現され得るのである。
しかも、本態様では、上述の水硬性材料の製造方法に従って製造された水硬性材料を用いたことにより、原材料であるコンクリート廃材に例えばアスベスト繊維等が含まれている場合にも、環境等への悪影響が有利に防止され得るのであり、それ故、上述の如きコスト性や製作性だけでなく、優れた環境性も達成され得るのである。
なお、本態様における高温高圧養生の条件は、特に限定されるものでなく、従来から知られているオートクレーブ養生が適宜に採用可能であるが、養生温度が好ましくは160〜200℃とされると共に、養生圧力が好ましくは6〜15kg/cm2 、より好ましくは6〜10kg/cm2 とされ、更に養生時間が好ましくは5〜24時間とされる。
また、コンクリート製品の製作方法に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンクリート製品の製作方法において、前記高温高圧養生を行なう前の前養生として、45〜100℃の蒸気養生を行なうことを、特徴とする。このような本態様においては、特定の前養生を採用したことにより、高温高圧養生下における水硬性材料の強度発現がより確実に実現され得る。なお、かかる前養生は、特に限定されるものでないが、45〜90℃の温度で、5〜24時間の間、行われることが望ましい。
また、コンクリート製品用材料に関する本発明の第一の態様は、前述の水硬性材料の製造方法に関する本発明の第一乃至第三の何れかの態様に従って製造された水硬性材料を利用した、高温高圧養生を行なうコンクリート製品用材料を、特徴とする。
また、コンクリート製品用材料に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンクリート製品用材料において、セメントの強度に寄与するセメント鉱物としてアリットよりもベリットを多く含むことを、特徴とする。
また、コンクリート製品用材料に関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係るコンクリート製品用材料において、前記ベリットとして、ガンマ型よりもベータ型を多く含むことを、特徴とする。
また、本発明は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る水硬性材料の製造方法に従って製造された水硬性材料を利用したコンクリート用混和材も、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたコンクリート用混和材においては、採用される水硬性材料がエーライト相よりもビーライト相を多く含み、その特性としてコンクリートの水和熱を低減させる効果があるとされることから、例えば、コンクリートが大量に必要とされるダム建設等で、一般のポルトランドセメント等を用いた施工に際して、本態様に係るコンクリート用混和材をセメントに混合させて施工することにより、ダム建設におけるコンクリートの発熱量を低下させて、発熱に起因する不具合を防止することが可能となるのである。
上述の説明から明らかなように、本発明の水硬性材料の製造方法に従えば、コンクリート廃材を利用して、比較的に低温で焼成処理することにより、新規なコンクリート製品用の材料等として十分に実用に供され得る水硬性材料を、有利に提供することが可能となるのである。
しかも、本発明の製造方法に従えば、アスベスト繊維等を含むコンクリート廃材であっても、それを主原料として用いて環境問題のない水硬性材料を製造することが出来るのであり、今後増加してくる一般住宅のコンクリート瓦等のコンクリート廃棄物の処理に関して、環境的にも優れた効果を発揮し得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る水硬性材料の製造方法に従って製造される水硬性材料や、該水硬性材料を用いて作製されるコンクリート製品等を説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでない。
〔実施例1〕
コンクリート廃材としての住宅用外装廃材を、平均粒径が20〜300μmとなるように粉砕した後、500℃で2時間仮焼した。その後、かかる住宅用外装廃材50重量部に補助成分としての炭酸カルシウム50重量部を添加して、1300℃で1時間ホールドの条件で焼成処理することにより得られるセメントクリンカを、ボールミルを用いて200rpmで1時間粉砕処理することにより、目的とする水硬性材料(実施例1)を得た。なお、このとき、水硬性材料には、ダスティング現象が僅かに認められた。
なお、本実施例において主原料として採用した住宅用外装廃材の主たる化学組成は、以下の通りであった。
CaO:26.9%、SiO2 :44.23%、Al2 3 :13.4%、Fe2 3 :3.77%、MgO:0.92%、TiO2 :0.75%、K2 O:0.50%、P2 5 :0.22%、MnO:0.07%、Na2 O:0.28%
また、上述の如くして得た水硬性材料を水や標準砂と共に練り混ぜて、1日後脱型することによって成形体を作製し、この成形体に、前養生として65℃で1日蒸気養生を行った後、180℃で8時間の高温高圧養生を行うことにより、試験体1を作製した。なお、試験体1の作製条件として、水と水硬性材料の質量比は50%であり、水と水硬性材料と標準砂の混合割合は、水:水硬性材料:標準砂=1:2:6である。
そして、材令5日の試験体1に、JIS R5201に準拠して圧縮強度試験を行うことにより、その圧縮強度を測定した。この結果、33.1N/mm2 の強度が確認された。
〔実施例2〕
コンクリート廃材としての住宅用瓦廃材を、平均粒径が20〜300μmとなるように粉砕した後、500℃で2時間仮焼した。その後、住宅用瓦廃材46重量部に補助成分としての炭酸カルシウム54重量部を添加して、1200℃で1時間ホールドの条件で焼成処理することにより得られるセメントクリンカを、ボールミルを用いて200rpmで1時間粉砕処理することにより、目的とする水硬性材料(実施例2)を得た。なお、このとき、水硬性材料には、ダスティング現象は見られなかった。
また、上述の如くして得た水硬性材料を用いて、前記実施例1と同じ成形体の作製条件に従い成形体を作製し、この成形体に前記実施例1と同じ試験体1の養生条件で蒸気養生と高温高圧養生を行うことにより、試験体2を作製した。
そして、かかる試験体2に、JIS R5201に準拠して圧縮強度試験を行うことにより、その圧縮強度を測定した結果、59.7N/mm2 の強度が確認された。
〔実施例3〕
実施例2と同じコンクリート廃材としての住宅用瓦廃材を、平均粒径が20〜300μmとなるように粉砕した後、500℃で2時間仮焼した。その後、住宅用瓦廃材46重量部に補助成分としての炭酸カルシウム54重量部および酸化鉄10重量部を添加して、1300℃で1時間ホールドの条件で焼成処理することにより得られるセメントクリンカを、ボールミルを用いて200rpmで1時間粉砕処理することにより、目的とする水硬性材料(実施例3)を得た。なお、このとき、水硬性材料には、ダスティング現象は見られなかった。
なお、上述の実施例2および実施例3の水硬性材料に用いる住宅用瓦廃材の主たる化学組成は、以下の通りであった。
CaO:29.3%、SiO2 :49.4%、Al2 3 :4.87%、Fe2 3 :2.26%、MgO:3.35%、TiO2 :0.31%、K2 O:0.32%、P2 5 :0.07%、MnO:0.13%、Na2 O:0.09%
また、上述の如くして得た水硬性材料を用いて、前記実施例2と同じ成形体の作製条件に従い成形体を作製し、この成形体に前記実施例2と同じ試験体2の養生条件で蒸気養生と高温高圧養生を行うことにより、試験体3を作製した。
そして、かかる試験体3に、JIS R5201に準拠して圧縮強度試験を行うことにより、その圧縮強度を測定した結果、69.8N/mm2 の強度が確認された。
上述の圧縮強度試験の結果から明らかなように、本発明方法に従って製造された実施例1〜3の水硬性材料を用いて作製した試験体1〜3は、何れも、蒸気養生および高温高圧養生を行うことにより、強度発現が有利に発揮されることが認められる。
また、上記実施例2の水硬性材料を用いて、実施例2と同じ成形体の作製条件に従い成形体を作製し、この成形体に標準養生(20℃の水中養生)を行うことにより、試験体2’を作製した。
そして、かかる試験体2’に、JIS R5201に準拠して圧縮強度試験を行うことにより、その圧縮強度を測定した結果、材令28日で12.0N/mm2 の強度が確認された。
更にまた、上記実施例3の水硬性材料を用いて、実施例3と同じ成形体の作製条件に従い成形体を作製し、この成形体に標準養生(20℃の水中養生)を行うことにより、試験体3’を作製した。
そして、かかる試験体3’に、JIS R5201に準拠して圧縮強度試験を行うことにより、その圧縮強度を測定した結果、材令28日で10.0N/mm2 の強度が確認された。
これら試験体2’および試験体3’における圧縮強度試験の測定結果からも、本実施例の水硬性材料を用いて作製された試験体については、充分な養生期間が必要とされるものの、最終的には実用的な強度が発現されることが認められる。
また、本実施例では、上述の如くして得られた実施例2の水硬性材料と実施例3の水硬性材料におけるアスベスト繊維の残留の確認を、水硬性材料を酸処理してX線回折装置でそのピークを観察することにより行った。その結果を図1に示す。また、比較例として、原料アスベストを酸処理したものを比較例1として図1に併せ示すと共に、500℃で仮焼処理した後、酸処理した瓦廃材を比較例2として図1に併せ示す。
図1に示された結果から明らかなように、実施例2及び3の水硬性材料は、アスベスト繊維のピークが全く観察されないことから、アスベスト繊維が1200〜1300℃の焼成処理によって消失されることが認められる。これに対し、比較例1からも、比較例2には、アスベスト繊維のピークが明確に認められ、アスベスト繊維が残留していることが明らかである。
また、図2の(a)には、比較例として500℃で仮焼した瓦廃材を酸処理したものを、走査電子顕微鏡により適当な倍率で直接に観察した写真を示す一方、図2の(b)には、実施例2の水硬性材料を、走査電子顕微鏡により比較例と略同様な倍率で直接に観察した写真を示す。この結果、図2からも、実施例2の水硬性材料には、図2(a)に示す如きアスベスト繊維の針状結晶が確認されないことから、アスベスト繊維が焼成処理乃至は粉砕処理によって消失されることが明らかである。
さらに、本実施例では、上述の如くして得られた実施例2および3の各水硬性材料におけるβ−C2 Sとγ−C2 Sの存在比の確認を、水硬性材料を酸処理してX線回折装置でそのピークを観察することにより行った。その分析結果を図3に示す。
図3からも明らかなように、実施例2および実施例3は、β−C2 Sを含んでおり、それによって、コンクリート製作等に必要な水硬性を充分に確保するとが明らかであり、しかも、実施例3は、実施例2に比して、より多くのβ−C2 Sを生成乃至は残留することが認められており、それ故、コンクリート廃材に添加する補助成分に含まれる酸化鉄が、β−C2 Sからγ−C2 Sに変態転移することを有効に防止するものと推考される。
〔実施例4〜6〕
瓦廃材を原料にし、且つ瓦廃材の化学組成におけるCaOとSiO2 のモル比;CaO/SiO2 (以下、C/Sと表す。)を、補助成分としての炭酸カルシウム(CaCO3 )を添加することによってC/S=2.0、C/S=0.6、C/S=5.0に調整して、1200℃で1時間焼成することにより、それぞれ、実施例4,実施例5,実施例6の水硬性材料を得た。そして、これら実施例4〜6の水硬性材料をX線回折装置により分析した結果を、図4に示す。
この結果からも明らかなように、C/S=2.0に調整した実施例4では、ベータ型のビーライト相(β−C2 S)を多く含むことが認められる。また、C/S=0.6に調整した実施例5では、水和反応による強度発現に寄与しないワラストナイト(CaO・SiO2 )を多く含む一方、β−C2 Sを僅かに含むことが図5からも認められる。また、この結果からも、C/S=5.0に調整した実施例6では、僅かであるがβ−C2 Sを含むことが認められるものの、カルシウム成分(CaO)がケイ酸成分(SiO2 )に比して過多とされているため、ライム(CaCO3 やCaOを含む)を多く含むことが認められる。
〔実施例7〜9〕
瓦廃材を原料にし、炭酸カルシウムでC/S=2.0に調整したものを、800℃,1000℃,1200℃で1時間焼成することにより、それぞれ、実施例7,実施例8,実施例9の水硬性材料を得た。また、これら実施例7〜9の水硬性材料をX線回折装置により分析した結果を、図5に示す。
図5に示された結果からも明らかなように、1200℃の温度で焼成処理する実施例9では、ベータ型のビーライト相(β−C2 S)を多く含む水硬性材料が有利に得られることが認められる。また、800℃の温度で焼成処理する実施例7では、炭酸カルシウムが脱炭酸化して酸化カルシウム(CaO)に変化することによりCaOとSiO2 を多く残留する一方、β−C2 Sを生成することが、図5からも認められる。更にまた、このような結果からも、1000℃の温度で焼成処理する実施例8では、CaOとSiO2 を多く残留する一方、β−C2 Sを生成することが認められる。
本発明の実施例2および実施例3で得られた水硬性材料を、X線回折装置により分析した結果を、比較例1〜2と共に併せ示すX線回折図。 図1における実施例2で得られた水硬性材料を、比較例としての500℃で仮焼処理した瓦廃材と共に、走査電子顕微鏡により直接に観察した写真図。 図1における実施例2および実施例3で得られた水硬性材料を、X線回折装置により分析した結果を示すX線回折図。 本発明の実施例4〜6で得られた各水硬性材料を、X線回折装置により分析した結果を示すX線回折図。 本発明の実施例7〜9で得られた各水硬性材料を、X線回折装置により分析した結果を示すX線回折図。

Claims (13)

  1. コンクリート廃材を主原料とし、該主原料に対してカルシウムを含む補助成分を添加して、800〜1300℃の温度で焼成処理することを特徴とする水硬性材料の製造方法。
  2. 前記コンクリート廃材に前記補助成分を添加した混合物におけるCaO/SiO2 のモル比が1〜4である請求項1に記載の水硬性材料の製造方法。
  3. 前記コンクリート廃材がアスベスト繊維を含む請求項1又は2に記載の水硬性材料の製造方法。
  4. 前記コンクリート廃材がパルプを含み、前記焼成処理の前工程として、該パルプの除去工程を行う請求項1乃至3の何れかに記載の水硬性材料の製造方法。
  5. 前記パルプの除去工程として、前記コンクリート廃材を粒径:3mm以下に粉砕した後に前記焼成処理よりも低い温度で仮焼処理する請求項4に記載の水硬性材料の製造方法。
  6. 前記補助成分が、鉄及び/又はホウ素を含む請求項1乃至5の何れかに記載の水硬性材料の製造方法。
  7. 前記コンクリート廃材および前記補助成分を粒径:3mm以下に粉砕および混合した後、前記焼成処理を行なう請求項1乃至6の何れかに記載の水硬性材料の製造方法。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の方法に従って製造された水硬性材料を用い、100〜300℃での高温高圧養生を行なうことによってコンクリート製品を製作することを特徴とするコンクリート製品の製作方法。
  9. 前記高温高圧養生を行なう前の前養生として、45〜100℃の蒸気養生を行なう請求項8に記載のコンクリート製品の製作方法。
  10. 請求項1乃至9の何れかに記載の方法に従って製造された水硬性材料を利用した、高温高圧養生を行なうコンクリート製品用材料。
  11. セメントの強度に寄与するセメント鉱物としてアリットよりもベリットを多く含む請求項10に記載のコンクリート製品用材料。
  12. 前記ベリットとして、ガンマ型よりもベータ型を多く含む請求項11に記載のコンクリート製品用材料。
  13. 請求項1乃至7の何れかに記載の方法に従って製造された水硬性材料を利用したコンクリート用混和材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008264652A (ja) * 2007-04-18 2008-11-06 Hiroshi Nanba アスベスト処理方法及び連続投入ボールミル
JP2009234859A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Taiheiyo Cement Corp セメント製造排ガスの脱硫方法

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