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JP2007051828A - グロープラグ通電システム、これに用いるグロープラグ及びグロープラグ制御器 - Google Patents

グロープラグ通電システム、これに用いるグロープラグ及びグロープラグ制御器 Download PDF

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正貴 岡田
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Abstract

【課題】 イオンの移動による劣化を防止するグロープラグ通電システム、これに用いるグロープラグ及びグロープラグ制御器を提供する。
【解決手段】 エンジン筐体1に取り付けたグロープラグ2に通電を行うグロープラグ通電システムにおいて、上記グロープラグ2にエンジン筐体1から絶縁された2つの通電用端子3,4を設けると共に、両通電用端子3,4間に陰陽自在に電力印加が可能な駆動回路5を設け、所定の時間ごとに上記駆動回路5の陰陽を切り替える切り替え制御部6を設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、イオンの移動による劣化を防止するグロープラグ通電システム、これに用いるグロープラグ及びグロープラグ制御器に関する。
自動車用グロープラグは、エンジン内部で高温に発熱するものである。また、暖房用ファンヒータやコピー機などの、予熱や急速加熱、あるいは安定して所望の温度を得たいシステムにもグロープラグが使用される。
自動車用グロープラグは、厳しい排気ガス規制に相まって高温での使用要求が高まっている。高温(1200℃以上)に耐えられるグロープラグの材質として、窒化珪素セラミックスが知られている。このようなセラミックスの製造工程において、焼結温度が比較的低め(1800〜2000℃)でもよいように、バインダと呼ばれる助剤を焼結時に使用する。バインダには、Y(イットリューム)、Er(エルビウム)などが知られている。
自動車用グロープラグ(以下、単にグロープラグという)には、長時間高温で使用した場合に、バインダに起因して、後に述べるイオンの移動の問題がある。ここでは、まず、従来のグロープラグの構造を説明する。
図3に示されるように、グロープラグ50は、導電性発熱セラミックス51を絶縁性セラミックス52で覆ってなる発熱部53と、その発熱部53をエンジン筐体に取り付けるための金属筐体部54と、その金属筐体部54から絶縁され上記発熱部53の一端に導通する単極の通電用端子55と、上記発熱部53の他端を金属筐体部54に短絡する短絡線56とを備える。絶縁性セラミックス52は、先端が丸みを帯びた円柱形に形成されている。導電性発熱セラミックス51は、この円柱形の絶縁性セラミックス52内を絶縁性セラミックス52の比較的外周に沿って基端から先端近くまで伸び、先端近くでU字状に折れ曲がり、再び絶縁性セラミックス52の比較的外周に沿って基端まで戻る所定の太さのヒータ線として形成されている。絶縁性セラミックス52は、円管状の口金に嵌め込まれており、その口金が金属筐体部54に嵌め込まれている。金属筐体部54は、エンジン筐体に取り付けるためのフランジを有する。このフランジで金属筐体部54をエンジン筐体に取り付けることにより、金属筐体部54はエンジン筐体と電気的に導通し、これによって車両全体のシャーシアースに導通する。シャーシアースはバッテリの陰極(−)の電位である。一方、通電用端子55は金属筐体部54に挿入して設けられており、通電用端子55と金属筐体部54との間に絶縁材58が介設されている。通電用端子55には、バッテリから導かれた陽極(+)が印加される。なお、グロープラグ50に限らず、一般に、車両内の電気機器は、陽極を他の機器から絶縁・独立させ、陰極は各種機器共通のシャーシアースとしてある。
このような構成のグロープラグ50において、通電用端子55から金属筐体部54へ直流電力を印加し続けると、窒化珪素セラミックス中のバインダがイオンの作用で一方向に移動していくことが長い耐久試験の結果判った。図4は、耐久試験後の発熱部をX線透視した写真を基にしたイメージ図である。この図によれば、ヒータ線を形成する導電性発熱セラミックス51からバインダのイオンが移動して導電性発熱セラミックス51が破損している。耐久試験による破壊限度は、イオンの移動によるバインダの助剤としての機能低下による発熱部の機械的強度の低下、電気的絶縁性の低下、サイズの縮小などにより決まる。
特開平10−54335号公報
特許文献1の技術では、通電用端子に対して交流電力を印加している。これにより、通電用端子と金属筐体部との間に流れる電力は交流となるので、イオンが一方向に移動することは防ぐことができる。しかしながら、一般に車両内の電気品(各種センサ、アクチュエータ、その他の機器)への電気系統はバッテリによる直流電源を主体にしたものであり、制御回路の電源としての交流電源は車両内にもともと存在しないので、特許文献1の技術では、わざわざ、一定速度で駆動される専用の交流発電機を設け、その交流発電機から交流電力を取り込むしかない。
また、グロープラグには比較的大きな電力(電流×電圧)が流れるので、金属筐体部からエンジン筐体を介してシャーシアースに流れる電流が同じエンジン筐体を陰極としている他のセンサに影響を与えることがある。通電用端子につながる配線も、交流電力を流しているので、他のセンサに影響を与えることがある。
その他の問題として、グロープラグは、その製造工程に起因する個体ごとの性能のばらつきがある。このため制御器において、所望の発熱温度を得るためにグロープラグの個体によらない一律な制御値を使用して全てのグロープラグを制御しようとすると、所望した発熱温度が得られないことがある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、イオンの移動による劣化を防止するグロープラグ通電システム、これに用いるグロープラグ及びグロープラグ制御器を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明のグロープラグ通電システムは、エンジン筐体に取り付けたグロープラグに通電を行うグロープラグ通電システムにおいて、上記グロープラグにエンジン筐体から絶縁された2つの通電用端子を設けると共に、両通電用端子間に陰陽自在に電力印加が可能な駆動回路を設け、上記駆動回路の陰陽を切り替える切り替え制御部を設けたものである。
また、本発明のグロープラグは、導電性発熱セラミックスを絶縁性セラミックスで覆ってなる発熱部と、該発熱部をエンジン筐体に取り付けるための金属筐体部と、該金属筐体部から絶縁され上記発熱部の異なる箇所に導通する2つの通電用端子とを備えたものである。
また、本発明のグロープラグ制御器は、グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性をクラス分けして記憶する記憶部と、エンジン筐体に取り付けたグロープラグのクラス分けに基づいて上記記憶部から印加電力対発熱能力特性を読み出し、所望の発熱温度を得るために上記特性に基づいて印加電力を制御する印加電力制御部とを備えたものである。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)イオンの移動による劣化を防止することができる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に示されるように、本発明に係るグロープラグ通電システムは、エンジン筐体1に取り付けたグロープラグ2に通電を行うグロープラグ通電システムにおいて、グロープラグ2にエンジン筐体1から絶縁された2つの通電用端子3,4を設けると共に、両通電用端子3,4間に陰陽自在に電力印加が可能な駆動回路5を設け、上記駆動回路5の陰陽を切り替える切り替え制御部6を設けたものである。
なお、この実施形態では、説明を簡単にするため、エンジン筐体1に取り付けた複数個のグロープラグ2が並列給電されているが、個々のグロープラグ2ごとに配線をして個別に給電できるようにしてもよい。
ECU7は、図示省略した各種センサ、アクチュエータ、その他の機器に接続され、エンジンを制御する従来公知のものである。ECU7からのグロープラグ制御信号(直流+)が駆動回路5に入力され、駆動回路5はこのグロープラグ制御信号に基づいた電力を出力端子8,9に出力することによって、その電力を通電用端子3,4間に印加するようになっている。また、切り替え制御部6は、エンジンの始動時ごと、あるいは所定の時間ごとなど、適宜な切替タイミングで駆動回路5に対して陰陽切り替え指令を出すものである。
駆動回路5はバッテリ10の陽極に接続されていると共に、シャーシアースを介してバッテリ10の陰極に接続されている。駆動回路5の内部は、特に限定しないが、グロープラグ制御信号に基づいた電力を陰陽自在に切り替えて出力端子8,9に出力することができるようになっていればよい。
グロープラグ2は、図2に示されるように、導電性発熱セラミックス21を絶縁性セラミックス22で覆ってなる発熱部23と、該発熱部23をエンジン筐体(図示せず;図1参照)に取り付けるための金属筐体部24と、該金属筐体部24から絶縁され上記発熱部23の異なる箇所に導通する2つの通電用端子3,4とを備えたものである。
従来と同様に、絶縁性セラミックス22は、先端が丸みを帯びた円柱形に形成されている。導電性発熱セラミックス21は、この円柱形の絶縁性セラミックス22内を絶縁性セラミックス22の比較的外周に沿って基端から先端(図示下方)近くまで伸び、先端近くでU字状に折れ曲がり、再び絶縁性セラミックス22の比較的外周に沿って基端まで戻る所定の太さのヒータ線として形成されている。従来と異なり、導電性発熱セラミックス21は金属筐体部24から絶縁される。絶縁性セラミックス22は、円管状の口金25に嵌め込まれており、その口金25が金属筐体部24に嵌め込まれている。金属筐体部24は、エンジン筐体に取り付けるためのフランジ26を有する。
2つの通電用端子3,4は、金属筐体部24に同心状に挿入して設けられており、中心に位置する中心通電用端子3とその外周に位置する外周通電用端子4との間に絶縁材27が介設され、さらに外周通電用端子4と金属筐体部24との間にも絶縁材28が介設されている。図3に示した従来のグロープラグでは唯一の通電用端子が陽極(+)印加専用であったのに対し、本発明のグロープラグの2つの通電用端子3,4は、陰極(−)と陽極(+)が繰り返し交互に印加されるものである。
本発明の動作を説明する。
ECU7は、エンジン制御の一環としてグロープラグに対してグロープラグ制御信号を出力する。しかし、本発明では、このグロープラグ制御信号が駆動回路5に入力され、駆動回路5はこのグロープラグ制御信号に基づいた電力を出力端子8,9に出力することによって、通電用端子3,4間に印加する。その際、切り替え制御部6は、適宜な切替タイミングで(例えば、エンジン始動時に)駆動回路5に対して陰陽切り替え指令を出している。駆動回路5は、この切替タイミングに同期して出力端子8,9に出力する電力の極性を切り替える。よって、グロープラグ制御信号に基づいた電力が通電用端子3,4間に陰陽を切り替えて印加される。
切替タイミングの1つの期間中は、グロープラグ2には、通電用端子3を+とし、通電用端子4を−とする直流電力が印加されることになる。しかし、次の期間中は、逆に、通電用端子3を−とし、通電用端子4を+とする直流電力が印加されることになる。よって、イオンが一方向に移動するのを防ぐことができる。これにより、バインダの助剤としての機能低下による発熱部の機械的強度の低下が防止され、グロープラグ2の耐久性が向上することになる。
なお、上記の実施形態では、直流電力の印加方向を切り替えるようにしたが、交流電力を印加するようにしてもよい。この場合でも、通電用端子3,4及び出力端子8,9を含むグロープラグ電気系統が全てシャーシアースから浮いており、他の機器の電気系統から独立しているので、他の機器に与える影響が低減される。
また、図1の実施形態のグロープラグ通電システムによれば、切り替え制御部6が駆動回路5に対して陰陽切り替え指令を出し、これに応じて駆動回路5がECU7から受け取ったグロープラグ制御信号に基づいた電力の極性を切り替えるので、ECU7は従来からあるものを利用できる。
また、図1の実施形態のグロープラグ通電システムによれば、グロープラグ2の通電用端子3,4間に印加する電力の極性を反転(電圧側をアース側に、アース側を電圧側に切り替え)させればよいので、特許文献1の技術のようにシャーシアースよりも負となる電圧源は必要ない。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。
既に述べたように、グロープラグは、その製造工程に起因する個体ごとの性能(特性値)のばらつきがある。そこで、グロープラグを制御する装置(以下、グロープラグ制御器という)がグロープラグの単体ごとの特性値を全て把握していれば、グロープラグの単体ごとに対してその特性値に合致した制御を行うことができる。しかし、全てのグロープラグの単体の特性値を前もってグロープラグ制御器に記録することは不可能であるから、クラス分けを行う。例えば、グロープラグが生産された時点で個別検査において特性値を測定し、クラス分けに応じてID番号をグロープラグに付与する。グロープラグ制御器は、ID番号を人為的設定もしくは自動読み取りによって認識し、あらかじめID番号別に記憶してある特性値を読み出して当該グロープラグの特性値と見なして使用する。
具体的には、本発明に係るグロープラグ制御器は、グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性をクラス分けして記憶する記憶部と、エンジン筐体に取り付けたグロープラグのクラス分けに基づいて上記記憶部から印加電力対発熱能力特性を読み出し、所望の発熱温度を得るために上記特性に基づいて印加電力を制御する印加電力制御部とを備えたものである。
この構成により、印加電力制御部が記憶部から読み出した印加電力対発熱能力特性に基づいて印加電力を制御するので、所望の発熱温度を確実にかつ安定に得ることができる。
なお、図1に示したグロープラグ通電システムのように、エンジン筐体1に取り付けた複数個のグロープラグ2が並列給電されている場合、これら複数個のグロープラグ2のクラス分けは同じであることが要求される。一方、個々のグロープラグ2ごとに配線をして個別に給電できるようにした場合、グロープラグ2のクラス分けはバラバラでもよいが、各々の配線における印加電力を別々に制御することが必要となる。
本発明の一実施形態を示すグロープラグ通電システムの構成図である。 本発明の一実施形態を示すグロープラグの断面構造図である。 従来のグロープラグの断面構造図である。 グロープラグの劣化を示す図である。
符号の説明
1 エンジン筐体
2 グロープラグ
3、4 通電用端子
5 駆動回路
6 切り替え制御部

Claims (3)

  1. エンジン筐体に取り付けたグロープラグに通電を行うグロープラグ通電システムにおいて、上記グロープラグにエンジン筐体から絶縁された2つの通電用端子を設けると共に、両通電用端子間に陰陽自在に電力印加が可能な駆動回路を設け、上記駆動回路の陰陽を切り替える切り替え制御部を設けたことを特徴とするグロープラグ通電システム。
  2. 導電性発熱セラミックスを絶縁性セラミックスで覆ってなる発熱部と、該発熱部をエンジン筐体に取り付けるための金属筐体部と、該金属筐体部から絶縁され上記発熱部の異なる箇所に導通する2つの通電用端子とを備えたことを特徴とするグロープラグ。
  3. グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性をクラス分けして記憶する記憶部と、エンジン筐体に取り付けたグロープラグのクラス分けに基づいて上記記憶部から印加電力対発熱能力特性を読み出し、所望の発熱温度を得るために上記特性に基づいて印加電力を制御する印加電力制御部とを備えたことを特徴とするグロープラグ制御器。
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