JP2007051203A - 含フッ素共重合体、該含フッ素共重合体を含有する皮膜形成用組成物、この皮膜形成用組成物を用いた反射防止フィルム、該反射防止フィルムを用いた偏光板、並びに該反射防止フィルム又は該偏光板を用いた画像表示装置 - Google Patents
含フッ素共重合体、該含フッ素共重合体を含有する皮膜形成用組成物、この皮膜形成用組成物を用いた反射防止フィルム、該反射防止フィルムを用いた偏光板、並びに該反射防止フィルム又は該偏光板を用いた画像表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】特定の化学構造を有する繰返し単位を含んでなる含フッ素共重合体、この含フッ素共重合体を含有する皮膜形成用組成物、透明支持体上に、この皮膜形成用組成物から形成された低屈折率層を塗設してなる反射防止フィルム、このような反射防止フィルムが、偏光膜の一方の保護フィルムに用いられた偏光板、及びこのような反射防止フィルム又は偏光板がディスプレイの最表面に用いられている画像表示装置。
【選択図】なし
Description
との高分子反応を用いたフッ素ゴムの合成法について記載されている。また特許文献5〜7にはシリコンマクロマーと含フッ素オレフィンの共重合体に関して記載されている。
すなわち本発明の上記課題は、以下の手段によって達成された。
一般式(1):
[3] 一般式(1)における構成成分Aが、下記一般式(2)で表される繰返し単位からなる上記[1]または[2]のいずれかに記載の含フッ素共重合体。
一般式(2):
[4] 一般式(1)におけるポリシロキサン構造を含む構成成分Zが、下記一般式(3)で表される構造である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の含フッ素共重合体。
一般式(3):
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の含フッ素共重合体を含有することを特徴とする皮膜形成用組成物。
[6] 皮膜形成用組成物がさらに硬化剤を含んでいる上記[5]に記載の皮膜形成用組成物。
[7] 皮膜形成用組成物がさらに無機微粒子を含有する上記[5]又は[6]に記載の皮膜形成用組成物。
[8] 無機微粒子が平均粒子径1〜200nmのシリカ微粒子である上記[7]に記載の皮膜形成用組成物。
[9] 透明支持体上に、屈折率の異なる複数の機能層を塗設してなる反射防止フィルムであって、該機能層のうちの少なくとも一層が低屈折率層であり、該低屈折率層が上記[5]〜[8]のいずれかに記載の皮膜形成用組成物から形成されていることを特徴とする反射防止フィルム。
[10] 上記[9]に記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
[11] 上記[9]に記載の反射防止フィルム又は上記[10]に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
含む意味で使用される。また、本発明でいう「重合」には、共重合も含む趣旨である。さらに、本発明でいう「支持体上」には、該支持体等の直接の表面をいう場合と、該支持体等の上に何らかの層(膜)を設けた表面をいう場合の両方を含む趣旨である。
〔一般式(1)で表される共重合体〕
[一般式M1又はM2で表される単量体成分]
本発明で用いられる前記一般式(1)で表される共重合体について説明する。
一般式(1)で表される共重合体は、下記一般式M1又はM2で表される含フッ素単量体成分と、構成成分A及びBを形成する単量体成分、及びポリシロキサン構造含む構成成分からなるランダム共重合体である。これらそれぞれの一般式で表される構成成分は、それぞれ1種類で構成されていても、複数の単量体によって構成されていてもよい。
一般式(4):
−CH2−(CH2)q5−(O)r1−Rf3
−CH2(CH2)q6OCHR13Rf4
一般式(5)においてRf4は、Rf3の説明として上記したものと同じ意味を表し、R13は水素原子又は炭素数1〜10のフッ素原子を含む/又は含まないアルキル基を表し(例えばCH3、CH2CH3、CH2CF3等)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のア
ルキル基であり、R13とRf4は互いに結合して環構造(好ましくは5員又は6員環、例えばペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロテトラヒドロフリル基等)を形成していてもよい。q6は0〜4の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、特に好ましくは0又は1である。
構成成分Aは、架橋反応に関与し得る反応性基を少なくとも1つ以上含有する単量体に基づく繰り返し単位からなる構成成分を表す。架橋反応に関与し得る反応性基としては、例えば、水酸基又は加水分解可能な基を有するシリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、反応性不飽和2重結合を有する基{例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニルオキシ基等}、開環重合反応性基(例えばエポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基等)、活性水素原子を有する基(例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、酸無水物、求核剤によって置換され得る基(例えば活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
等の不飽和カルボン酸無水物などを作用させる等の方法で導入してもよく、3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で、脱塩化水素を行う等の定法によって形成してもよい。また同様に他の官能基もモノマー段階から導入されていてもよいし、水酸基等の反応性基を有するポリマーを合成後に導入してもよい。
一般式(2):
前記一般式(1)におけるポリシロキサン構造を含む構成成分Zにおいて、R1、R2は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。sはポリシロキサン構造を含む構成成分Zの全共重合体に対する質量分率(質量%)を表し、0<s≦20の関係を満たす値を表す。p1は10〜1000の整数を表す。ポリシロキサン構造を含む構成成分Zは、どのように導入してもよい、すなわち、Zはポリシロキサン構造の他に任意の構造を有してもよい。操作の簡便さなどの観点から、高分子重合開始剤を用いる
ことが好ましく、アゾ基やペルオキシ基等のラジカル発生可能な基を有するポリシロキサン化合物がこれにあたる。特に下記一般式(3)で表されるポリシロキサン構造を含む構成成分であることがより好ましい。
一般式(3):
表1、表2及び表3に本発明で有用な含フッ素共重合体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表1、表2及び表3には重合単位の組み合わせとして表記する。ポリシロキサン構造を含む構成成分を除いた成分中のモル分率及びポリシロキサン構造を含む構成成分を含む重合単位の質量分率を示す。
。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
溶液重合法で用いられる溶媒は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶媒の単独又は2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
〔硬化触媒、硬化剤等〕
本発明の皮膜形成用組成物には、以上述べた含フッ素共重合体と共に、適宜、硬化触媒、又は硬化剤等が配合されてもよく公知のものを使用することができる。これらは、前記一般式(1)で表される含フッ素共重合体中の架橋反応性部位の硬化反応性に応じて選択される。この組成物は通常、液の形態をとる。
(ゾル/ゲル反応の触媒)
例えば一般式(1)の含フッ素共重合体が、加水分解性シリル基を硬化反応性部位として含有する場合には、ゾル/ゲル反応の触媒として公知の酸又は塩基触媒を配合することができ、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの無機ブレンステッド酸類、シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機ブレンステッド酸類、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等のルイス酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基類、トリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミンなどの有機塩基類などを挙げることができるが、特に酸触媒が好ましく、中でもパラトルエンスルホン酸等の有機ブレンステッド酸類又はジブチル錫ジラウレート等のルイス酸類が好ましい。
また皮膜形成用組成物の保存安定性の観点から、光の作用によって酸又は塩基等の硬化促進剤を発生する化合物を使用してもよい。これらの化合物を使用する場合には、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が可能になる。
(硬化剤)
一方、硬化反応性部位が水酸基等の活性水素を有する基である場合には、硬化剤を配合することが好ましく、かかる硬化剤としては、例えばポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基酸又はその無水物などを挙げることができる。
ボン酸又はその無水物などが例示される。
含フッ素共重合体の架橋反応性部位が、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)を有する場合にも、硬化触媒として上記同様の酸触媒を添加することができる。
(ラジカル重合開始剤)
一方、含フッ素共重合体の架橋反応性部位が、ラジカル重合可能な不飽和2重結合(アクリロイル基、メタクリロイル基等)を有する場合には、ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、又は光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
本発明の皮膜形成用組成物は、通常一般式(1)で表される含フッ素共重合体を適当な溶媒に溶解して作製される。この際、該共重合体の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが、一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1〜20質量%程度である。
例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えばトルエン、キシレン等)、及び水などを挙げることができる。
フィルムの膜面温度を所望の温度にする方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気を流して加熱する方法も利用できる。一方、下記で述べる電離放射線の照射時においては、フィルムの膜面温度が上がる場合には、ロールを冷却してフィルムに接触させる方法が利用できる。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
本発明においては、以上述べた含フッ素共重合体を含む皮膜形成用組成物を、例えば低屈折率層形成用組成物として用いこれを透明支持体上に塗設して、低屈折率層を形成することにより、複数の機能層を含む反射防止フィルムを作製することができる。
無機微粒子の配合量は、1〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5〜80mg/m2、更に好ましくは10〜60mg/m2である。無機微粒子の配合量が該下限値以上であれば、耐擦傷性の改良効果が十分に発揮され、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪くなるなどの不具合が生じないので、上述の範囲内とするのが好ましい。
本発明においては、低屈折率層はさらにオルガノシラン化合物を含んでなる硬化性組成物から形成されても良い。オルガノシラン化合物の定義や好ましい化合物の構造などは特開2004−331812号公報の[0059]〜[0085]に記載されている内容と同じである。
前記の硬化性皮膜形成用組成物を低屈折率層形成用組成物として用いるとき、該組成物は、前述の(A)含フッ素共重合体、および(B)無機微粒子、好適には(C)オルガノシラン化合物に、必要に応じてさらに各種添加剤及び後述するラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加し、更にこれらを適当な溶媒に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製「メガファックF−150」(商品名)、東レダウコーニング(株)製“SH−3748”(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
本発明における低屈折率層を形成するための塗布液に用いられる溶媒としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶媒が使用できる。乾燥負荷の観点からは、常圧、室温における沸点が100℃以下の溶媒を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶媒を少量含有することが好ましい。
まず、低屈折率層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。得られた塗布液を用いて、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。これらの塗布方式のうち、グラビアコート法で塗布すると、反射防止膜の各層を形成する場合のように、塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができるので好ましい。グラビアコート法の中でも、マイクログラビア法は膜厚均一性が高く、より好ましい。
しくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、低屈折率層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
〔反射防止フィルムの層構成〕
本発明の反射防止フィルムは、透明な基材上に、必要に応じて、後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されている。
・基材フィルム/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
以上の様に、本発明の反射防止フィルムは、透明支持体上に、屈折率の異なる複数の機能層を塗設してなる反射防止フィルムであって、該機能層のうち少なくとも低屈折率層は、以上述べた含フッ素共重合体を必須の構成成分として含む皮膜形成用組成物から形成されていることを特徴とするものである。次ぎに低屈折率層以外の機能層について述べる。
本発明において、低屈折率層以外の機能層を形成するための皮膜形成用組成物の、主たる皮膜形成バインダー成分としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性、などの点で好ましい。主たる皮膜形成バインダーとは、無機粒子を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上をしめるものをいう。好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。
本発明の反射防止フィルムには高屈折率層を設けることが好ましい。高屈折率層は、バインダー、防眩性を付与するためのマット粒子、及び高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーから形成されることができる。
高屈折率層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子が含有させることができる。マット粒子とバインダー間の屈折率差は、フィルムの白濁防止と、光拡散効果のよさの観点から、0.02〜0.20であることが好ましく、0.04〜0.10であることが特に好ましい。マット粒子のバインダーに対する添加量も、屈折率と同様の観点から、3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
マット粒子の形状は、真球又は不定形のいずれも使用できる。
2種類以上のマット粒子を用いる場合には、両者の混合による屈折率制御を効果的に発揮するため、屈折率の差が0.02以上、0.10以下であることが好ましく、0.03以上、0.07以下であることが特に好ましい。
高屈折率層には、層の屈折率を高めるため、及び硬化収縮を低減するために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
高屈折率層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー
種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、必要に応じて、透明支持体の表面に設けるものである。特に、透明支持体と上記高屈折率層(又は中屈折率層)の間に設けることが好ましい。またハードコート層は、層中に上記の高屈折率粒子などを含有させることにより、高屈折率層を兼ねることもできる。
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル{例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム(株)製“TAC−TD80U”,“TAC−TD80UF”等}、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂{「アートン」(商品名)、JSR(株)製}、非晶質ポリオレフィン{「ゼオネックス」(商品名)、日本ゼオン(株)製}などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルム及びその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設けるなどしてディスプレイの最表面に配置する。透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は、偏光板の偏光膜を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの点から好ましい。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前又は後に、アルカリ液を反射防止フィルムの反射防止層を形成する側の面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗及び/又は中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
本発明の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に限定されるものではない。
得られた各層形成用の塗布液を用いて、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。これらの塗布方式のうち、グラビアコート法で塗布すると、反射防止膜の各層を形成する場合のように、塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができるので好ましい。グラビアコート法の中でも、マイクログラビア法は膜厚均
一性が高く、より好ましい。
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
偏光膜としては、公知の偏光膜を用いることができ、また偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない、長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いることもできる。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない、長尺の偏光膜は以下の方法により作製される。
本発明の反射防止フィルム並びに該反射防止フィルムを用いた偏光板は、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル{“SID97,Digest of tech.Papers”(予稿集)、28集(1997年)、p.845記載}、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル{「日本液晶討論会」の予稿集、p.58〜59(1998年)記載}、及び、
(4)SURVAIVALモードの液晶セル(「LCDインターナショナル98」で発表)が含まれる。
〔含フッ素共重合体の合成〕
合成例1:
1){M1−(1)}[2−(1H,1H,5H−ペルフルオロペンチルオキシ)エチルビニルエーテル]の合成
1H,1H−ペルフルオロペンタノール100g、及び硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム20gを混合したところに、69gの水酸化ナトリウムを100mLの水に溶解した水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で30分間撹拌した。この混合液に、さらにクロロエチルビニルエーテル183.8g及びトルエン150mLを加え、80℃で5時間加熱撹拌した。反応液に酢酸エチルを加えて水洗し、有機層を抽出し、硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。更に減圧蒸留により精製することにより標記含フッ素ビニルエーテルの100gを得た(沸点73〜76℃、1064Pa)。
内容量100mLのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル40mL、及び上記1)で作製した{M1−(1)}6.04g、A−(4)に対応する単量体(2−ヒドロキシエチルビニルエーテル)7.05g、S−(1)に対応する高分子開始剤0.60g及び過酸化ジラウロイル0.50gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)18.0gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2であった。温度を65℃に保持し、10時間反応を続け、圧力が3.2kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。
合成例1のP−1の合成と同様の方法を用い、下記表2に示す単量体を用いて比較用共重合体(Pr−1)〜(Pr−4)を合成した。
実施例1−1〜1−11及び比較例1−1〜1−5
[低屈折率層形成用塗布液の調製]
下記表3中に示した質量部にて各成分を混合し、メチルエチルケトンで6質量%になるように溶解した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層形成用塗布液を調製した。また表中、コロイダルシリカは日産化学工業(株)製“MEK−ST”(商品名)を用いた。「サイメル303」(商品名)は三井サイテック(株)製のメチロール化メラミンを表す。
{ハードコート層形成用塗布液(HC−1)の組成}
“PET−30” 50.0g
「イルガキュア184」 2.0g
“SX−350”(30%) 1.5g
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.9g
“KBM−5103” 10.0g
トルエン 38.5g
“PET−30”:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」:重合開始剤{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}
“SX−350”:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子{屈折率1.60、綜研
化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm{屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
“KBM−5103”:アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン{信越化学工業(株)製}。
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}を、ロール形態で巻き出して、直接、上記のハードコート層形成用塗布液(HC−1)を、線数180本/in、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールと、ドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1体積%で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量110mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの層を形成し、巻き取った。このようにして作製した試料得られたハードコート層の表面粗さは、Ra=0.18μm、Rz=1.40μm、ヘイズ35%であった。
反射防止フィルム(1)の作製において、低屈折率層用塗布液(Ln1)を用いる代わりに、低屈折率層用塗布液(Ln2)〜(Ln11)の何れかを用いる以外は反射防止フィルム(1)の作製と同様にして、反射防止フィルム(2)〜(11)を作製した。また、低屈折率層用塗布液(Ln1)を用いる代わりに、比較用の低屈折率層用塗布液(Lnr−1)〜(Lnr−5)の何れかを用いる以外は反射防止フィルム(1)と同様にして、比較用反射防止フィルム(r1)〜(r5)を作製した。得られたそれぞれの反射防止フィルムに用いられた、ハードコート層形成用塗布液及び低屈折率層形成用塗布液の組み合わせを表4に示す。
得られた反射防止フィルムは以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
(1)アルカリ浴:5mol/L水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒
(2)第1水洗浴:水道水、60秒
(3)中和浴:0.5mol/L硫酸、30℃−20秒
(4)第2水洗浴:水道水、60秒
(5)乾燥:120℃−60秒
このようにして得られた鹸化済みの反射防止フィルム(1)〜(11)及び(r1)〜(r5)について、下記性能評価を行った。得られた結果を表4に示す。
分光光度計“V−550”{日本分光(株)製}を用い、380〜780nmの波長領域において、積分球を用いて、入射角5°における分光反射率を測定した。分光反射率の評価において、450〜650nmの平均反射率を用いた。
測定は、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて行った。
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH、
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール“No.0000”{(株)日本スチールウール製}を巻いて、動かないようバンド固定した。その上で下記条件の往復こすり運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:200g/cm2、
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△ :弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
表面の耐汚染性の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、サンプル表面に「マジックインキ」(商品名)を付着させてから、それをクリーニングクロスで拭き取ったときの状態を観察して、以下のように「マジックインキ」付着性を評価した。
◎:「マジックインキ」の跡が完全に拭き取れる。
○:「マジックインキ」の跡がわずかに見える。
△:「マジックインキ」の跡が少し見える。
×:「マジックインキ」の跡がほとんど拭き取れない。
本発明により得られる含フッ素共重合体を含む反射防止フィルムは、十分に強靱な膜強度、滑り性を有していることから耐擦傷性に優れていることがわかる。また、フッ素含率が高く、且つ皮膜表面のレべリング性に優れているため、広い波長領域で非常に低い表面反射率を有していることが分かる。さらに防汚性も格段に良化している。
実施例2−1〜2−11及び比較例2−1〜2−5
上記実施例1−1〜1−11及び比較例1−1〜1−5で作製した反射防止フィルム(1)〜(11)及び(r1)〜(r5)を、それぞれ、日本電気(株)より入手したパーソナルコンピューター“PC9821NS/340W”(商品名)の液晶ディスプレイ表面に貼り付け、画像表示装置サンプルを作製し、その表面反射による風景映り込み程度を目視にて評価した。
置は、周囲の映り込みはある程度低減できるものの表面強度に劣るものであった。
Claims (11)
- 下記一般式(1)で表される繰返し単位を含んでなる含フッ素共重合体。
一般式(1):
- 一般式(1)における構成成分Aが、水酸基、加水分解可能な基を有するシリル基、反応性不飽和二重結合を有する基、または開環重合反応性基のいずれかを有する重合体の構成成分を表す請求項1に記載の含フッ素共重合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素共重合体を含有することを特徴とする皮膜形成用組成物。
- 皮膜形成用組成物がさらに硬化剤を含んでいる請求項5に記載の皮膜形成用組成物。
- 皮膜形成用組成物がさらに無機微粒子を含有する請求項5又は6に記載の皮膜形成用組成物。
- 無機微粒子が平均粒子径1〜200nmのシリカ微粒子である請求項7に記載の皮膜形成用組成物。
- 透明支持体上に、屈折率の異なる複数の機能層を塗設してなる反射防止フィルムであって、該機能層のうちの少なくとも一層が低屈折率層であり、該低屈折率層が請求項5〜8のいずれかに記載の皮膜形成用組成物から形成されていることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項9に記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
- 請求項9に記載の反射防止フィルム又は請求項10に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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