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JP2007040193A - エジェクタおよびこれを備えた燃料電池システム - Google Patents

エジェクタおよびこれを備えた燃料電池システム Download PDF

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JP2007040193A JP2005225698A JP2005225698A JP2007040193A JP 2007040193 A JP2007040193 A JP 2007040193A JP 2005225698 A JP2005225698 A JP 2005225698A JP 2005225698 A JP2005225698 A JP 2005225698A JP 2007040193 A JP2007040193 A JP 2007040193A
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Abstract

【課題】 流体の供給先を考慮して吸引能力を高めることができ、燃料電池システムに好適に搭載することができるエジェクタを課題とする。
【解決手段】 第1流体の噴射により第2流体を吸引して、第1流体と第2流体とを合流させるエジェクタ24であって、第1流体と第2流体との合流位置の前で第1流体の流れを遮断可能な遮断手段81を備えたものである。燃料電池システム1に搭載した場合には、第1流体を新たな水素ガスとし、第2流体を水素オフガスとすることができる。燃料電池2の発電停止時などに、新たな水素ガスの流れを遮断手段81で遮断すればよい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、第1流体の噴射により第2流体を吸引して、第1流体と第2流体とを合流させるエジェクタおよびこれを備えた燃料電池システムに関するものである。
反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)の供給を受けて発電する燃料電池を備えた燃料電池システムにおいては、燃料電池から排出される反応オフガス中に、発電に寄与しなかった反応ガスが含まれ得る。従来の燃料電池システムでは、この未反応の反応ガスを再利用すべく、エジェクタにより燃料電池に循環供給させることがある(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載のエジェクタでは、ニードルが極間差圧(空気極と燃料極との間の差圧)に基づいてノズルの内部で進退することで、燃料ガスの流量を制御する。特許文献1によれば、燃料電池の発電量が低下した場合にも、ニードルとノズルとの間の間隙から燃料ガスを常に噴射し、これにより燃料オフガスを吸引する構成が示唆されている。
特開2002−227799号公報(第6頁および第4図)
ところで、燃料オフガスを吸引するエジェクタの能力は、ノズルから噴射される燃料ガスの流速(噴射圧力)が大きいほど高まるものである。それゆえ、例えば燃料電池の発電量が多い場合に燃料オフガスを効率よく吸引するべく、噴射圧力を高めに設定された循環能力(吸引能力またはストイキ)の高いエジェクタを用いることが好ましい。しかし、従来のエジェクタの構成では、燃料電池システムに搭載可能なエジェクタの循環能力が制限されていた。その理由は以下の通りである。
燃料電池システムの稼動状態では、例えば燃料電池の発電停止時など、反応ガスの供給を続行しつつ燃料電池で反応ガスを消費しない場合がある。この場合、従来のエジェクタは燃料ガスを常に噴射するため、燃料電池内の圧力はエジェクタによる燃料ガスの噴射圧力にまで達し得る。ところが、構造上耐圧が小さい燃料電池に対しては、高い噴射圧力を作用させるのは好ましくない。それゆえ、燃料電池の耐圧を考慮すると、燃料電池システムに搭載可能なエジェクタの循環能力を制限する必要があった。
本発明は、流体の供給先の状態に着目してなされたものであり、その目的とするところは、流体の供給先を考慮して吸引能力を高めることができ、例えば燃料電池システムに好適に搭載することができるエジェクタを提供することである。
また、本発明は、循環能力の高いエジェクタを具備することができる燃料電池システムを提供することをその目的としている。
本発明のエジェクタは、第1流体の噴射により第2流体を吸引して、第1流体と第2流体とを合流させるエジェクタであって、第1流体と第2流体との合流位置の前に設けられ、第1流体の流れを遮断可能な遮断手段を備えたものである。
この構成によれば、噴射する第1流体の流れを遮断することができるため、第1流体および第2流体の供給先が第1流体を必要としない場合に、第1流体を供給しなくて済む。これにより、流体の供給先を考慮して第2流体の吸引能力を向上させることができ、供給先を例えば燃料電池とする燃料電池システムに好適に搭載することができる。
本発明のエジェクタの一態様によれば、第1流体を噴射し、第2流体を吸引するための負圧を発生するノズルと、ノズルの内部を進退移動可能に構成され、その進退位置に応じてノズルを通過する第1流体の流量を調整する流量調整部材とを備え、遮断手段は、流量調整部材の進退移動に連動して、第1流体の流れを遮断および許容することが、好ましい。
この構成によれば、ノズルの内部における流量調整部材の位置に関連して、遮断手段により第1流体の流れを遮断および許容することができる。例えば、流量調整部材がノズルの内部で進出するほど第1流体の流量を少なくする場合には、流量調整部材が最も進出した際に、遮断手段で第1流体の流れを遮断するようにし、その他の進出位置の場合には、遮断手段で第1流体の流れを許容するにしてもよい。
ここで、流量調整部材の進退移動は、電気的に行ってもよいが、自立的に(機械的に)行うことが好ましい。例えば、差圧方式を用いて、流量調整部材の進退移動を自立的に行わせるようにしてもよい。このとき、差圧は、第1流体と第2流体との差圧であってもよい。
本発明のエジェクタの一態様によれば、遮断手段はエジェクタの内部に設けられたシール部材で構成され、シール部材は流量調整部材の進退移動により流量調整部材に離接されることが、好ましい。
この構成によれば、遮断手段(シール部材)を簡単に構成し、且つシール性良く第1の流体の流れを遮断することができる。
この場合、シール部材は、ノズルの出口よりも上流側に設けられていることが、好ましい。
この構成によれば、ノズルから第1流体を噴射する前に、第1流体の流れを遮断することができる。
また、本発明のエジェクタの別の一態様によれば、遮断手段は流量調整部材の外周に設けられたシール部材で構成され、シール部材は流量調整部材の進退移動によりエジェクタの内部に離接されることが、好ましい。
この構成によれば、遮断手段たるシール部材を流量調整部材の外周に設けているため、流量調整部材の進退移動に簡易に連動して、第1の流体の流れをシール性良く遮断することができる。
この場合、シール部材は、エジェクタの内部のうちノズルの内周壁に離接されることが、好ましい。
この構成によれば、ノズルの位置で第1流体の流れを遮断することができる。
本発明の燃料電池システムは、燃料電池に新たな反応ガスを供給する供給流路と、燃料電池から排出された反応オフガスを供給流路に循環させる循環流路と、供給流路と循環流路との接続部分に設けられた本発明のエジェクタと、を備えた燃料電池システムであって、エジェクタは、第1流体および第2流体の一方を新たな反応ガスとして噴射し、他方を反応オフガスとして吸引するものである。
この構成によれば、本発明の吸引能力(循環能力)の高いエジェクタを備えているため、反応オフガスを効率よく燃料電池に循環供給させることができる。
ここで、反応ガスは、水素ガスを含む燃料系ガスであってもよいし、酸素ガスを含むガスであってもよい。
本発明の燃料電池システムの一態様によれば、第1流体は新たな反応ガスであり、第2流体は反応オフガスであることが、好ましい。
この構成によれば、燃料電池への新たな反応ガスの供給をエジェクタにより遮断することができるため、燃料電池内の圧力上昇を適切に抑制することができる。これを燃料電池側の観点からみれば、燃料電池の耐圧を大きく設定しないように設計することもでき、燃料電池の構造上、有用となる。
この場合、遮断手段は、燃料電池の発電停止時に、新たな反応ガスの流れを遮断することが、好ましい。
この構成によれば、燃料電池で反応ガスを消費しない発電停止時に、燃料電池への新たな反応ガスの供給を遮断でき、燃料電池内の圧力上昇を適切に抑制することができる。
本発明の燃料電池システムの一態様によれば、遮断手段は、燃料電池の発電量が小さいときに、新たな反応ガスの流れの遮断と許容とを連続させることが、好ましい。
この構成によれば、燃料電池での反応ガスの消費量が少ない時に、新たな反応ガスの流れ断続させることができる。これにより、微小流量制御が可能となり、循環のための必要最低限の流量を適切に確保することができると共に、燃料電池内の圧力上昇を適切に抑制することができる。
以上説明した本発明のエジェクタによれば、流体の供給先を考慮して吸引能力を高めることができる。
また、以上説明した本発明の燃料電池システムによれば、循環能力の高いエジェクタを具備することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係るエジェクタを、燃料電池システムに適用した例について説明する。
<第1実施形態>
図1は、燃料電池システムの主要部を示す図である。
燃料電池システム1は、酸素ガス(空気)および燃料ガス(水素)の供給を受けて電力を発生する燃料電池2を備えている。燃料電池2は、例えば固体分子電解質型からなり、多数のセルを積層したスタック構造として構成されている。燃料電池システム1は、燃料電池2に反応ガスとしての酸素ガスを供給する酸素ガス配管系3と、燃料電池2に反応ガスとしての水素ガスを供給する水素ガス配管系4と、を具備している。
酸素ガス配管系3は、加湿器11により加湿された酸素ガスを燃料電池2に供給する供給流路12と、燃料電池2から排出された酸素オフガスを加湿器11に導く排出流路13と、加湿器11から燃焼器に酸素オフガスを導くための排気流路14と、が設けられている。供給流路12には、大気中の酸素ガスを取り込んで加湿器11に圧送するコンプレッサ15が設けられている。
水素ガス配管系4は、高圧の水素ガスを貯留した水素供給源となる水素タンク21と、水素タンク21の水素ガスを燃料電池2に供給する供給流路22と、燃料電池2から排出された水素オフガスを供給流路22に戻すための循環流路23と、供給流路22と循環流路23との接続部分に設けられ、循環流路23の水素オフガスを供給流路22に還流させるエジェクタ24と、エジェクタ24にパイロット圧として水素オフガスの圧力を導入する導入通路25と、を具備している。
エジェクタ24によって、水素タンク21からの新たな水素ガス(新たな燃料ガス)に燃料電池2の燃料ガス出口からの水素オフガス(燃料オフガス)が合流され、この合流後の混合水素ガス(混合燃料ガス)が燃料電池2に供給される。
供給流路22は、エジェクタ24の上流側に位置し、新たな水素ガスをエジェクタ24に導く流路である主流流路22aと、エジェクタ24の下流側に位置し、混合水素ガスを燃料電池2に導く流路である混合流路22bと、で構成されている。主流流路22aには、その上流側から順に、これを開閉するシャットバルブ31と、水素ガスの圧力を調整するレギュレータ32と、が介設されている。
循環流路23には、逆止弁34が介設されていると共に、逆止弁34の上流側において導入通路25が分岐配管されている。循環流路23の水素オフガスは、逆止弁34を通じてエジェクタ24に吸引される。循環流路23の水素オフガスの圧力は、導入通路25を経てエジェクタ24にパイロット圧として導入される。
図2は、エジェクタ24の構成を示す図である。
エジェクタ24は、燃料電池2へ供給する水素ガス(混合水素ガス)の流量を可変可能に構成されている。エジェクタ24は、その外郭を構成する筐体41を有している。筐体41には、主流流路22aの下流側に接続された1次側の供給口42と、混合流路22bの上流側に接続された2次側の排出口43と、循環流路23の下流側に接続された負圧作用側の吸込み口44と、導入通路25の下流側に接続された圧導入口45と、が形成されている。
筐体41の内部には、供給口42からの新たな水素ガスを下流側に向かって噴射するノズル46と、ノズル46を通過する新たな水素ガス(主流)の流量を制御する流量制御機構47と、ノズル46の下流側に設けられ、ノズル46を通過した新たな水素ガスと水素オフガス(副流)とを合流させるディフューザ48と、が構成されている。
ノズル46は、いわゆる先細ノズルからなり、水素ガスの流れ方向に向かって全体として先細りとなるように形成されている。ノズル46は、ディフューザ48側に開口している先端噴出部51と、先端噴出部51に連なり、先端噴出部51に向かって漸次縮径された内周壁を有する絞り部52と、で構成されている。
先端噴出部51は、一定の径または略一定の径の内周壁を有している。先端噴出部51のディフューザ48側に開口した部分が、ノズル46の出口となっており、先端噴出部51からディフューザ48に向かって新たな水素ガスが噴出される。絞り部52は、その拡開した側が供給口42に連なっている。なお、ノズル46を筐体41の構成材と一体に形成したが、もちろんこれらを別体としてもよい。
ディフューザ48は、ノズル46と同軸に形成されており、ノズル46との間の上流側が吸込み口44に連なっている。また、ディフューザ48の下流側は、排出口43に連なっている。ノズル46からディフューザ48に向けて新たな水素ガスが噴射されると、水素オフガスを吸引するための負圧が発生し、循環流路23の水素オフガスがディフューザ48に吸い込まれる。これにより、ディフューザ48において新たな水素ガスと水素オフガスとが合流・混合され、この混合水素ガスが、排出口43から混合流路22bへと排出される。
流量制御機構47は、圧導入口45に連通する導圧室60と、先端側がノズル46の内部に臨むニードル61と、ニードル61の基端側を表面62aの中央部に接続したピストン62と、導圧室60の内部に収容されたバネ63(付勢部材)と、ばね63の一端が接続されたバネ抑え64と、バネ抑え64に接続されたアクチュエータ65と、を有している。
ニードル61、ピストン62およびバネ63は、ノズル46と同軸に配設されている。ニードル61およびピストン62は、新たな水素ガスの流量を調整する流量調整部材として機能する。なお、ニードル61およびピストン62は、一体に形成されているが、もちろん別体で形成されてもよい。また、ピストン62に代えて、ダイアフラムを用いてもよい。
導圧室60は、筐体41の内壁面、ピストン62の裏面62b、およびバネ抑え64の表面64aによって画成されている。導圧室60には、循環流路23の水素オフガスが導入通路25および圧導入口45を介して信号圧として導かれる。バネ63は、所定のばね定数を有し、ピストン62の裏面62bをニードル61の先端側に向かって付勢する。バネ抑え64は、例えば円板上からなり、その外周面を筐体41の内壁面に沿って摺動可能に構成されている。
アクチュエータ65は、例えばモータやシリンダ装置からなり、その出力部65aがバネ抑え64の裏面64bに接続されている。アクチュエータ65の駆動により、バネ抑え64を筐体41の内部で進退させることができる。バネ抑え64が進退することにより、バネ63およびピストン62を介してニードル61が軸方向に進退する。
ピストン62は、その外周面を筐体41の内壁面に沿って摺動可能に構成されており、その軸線方向に摺動する。ピストン62の表面62aには、主流流路22aからの新たな水素ガスの圧力P1が作用する。一方、ピストン62の裏面62bには、バネ63からの付勢力が作用すると共に、循環流路23からの水素オフガスの圧力P2が作用する。
この圧力P1と圧力P2との差圧を作動源として、ピストン62およびニードル61が軸線方向に進退する。すなわち、ピストン62の表裏両面62a,62bにおける水素ガスの差圧とバネ63の付勢力とのバランスに基づいて、ニードル61がピストン62と共に軸線方向に進退する。
なお、燃料電池システム1の稼動中においては、ニードル61は主としてピストン62における差圧を作動源として進退するため、ニードル61を進退させるための構成としては、アクチュエータ65は必ずしも必要ではない。しかし、燃料電池2の出力要求に応答性良く対応するためには、アクチュエータ65の電気的作動源と、差圧の自立的または機械的作動源とを併用することが好ましい。
例えば、燃料電池システム1を搭載した燃料電池車両において、アクセルの開度が急激に変化する場合には、差圧のみを作動源とするのでは、ニードル61の進退位置を急激に変更し難い。図示省略したECU(制御装置)により、アクセルの開度状態に基づいてあるいは燃料電池2の発電指令に基づいて、アクチュエータ65を駆動することで、ニードル61の進退位置を応答性良く変更することができる。この電気的作動源との併用により、燃料電池2に適量の水素ガスを応答性良く供給することができる。
ニードル61は、先端側に向かって先細りの先端調整部71と、先端調整部71に一体に連なってピストン62に接続された接続部72と、で構成されている。先端調整部71は、円錐または角錐の錐体からなり、例えば先端部が放物面で形成されている。先端調整部71は、ノズル46の内部に臨み、その位置に応じてノズル46を通過する新たな水素ガスの流量を調整する。
接続部72は、一定の径または略一定の径からなり、棒状に形成されている。接続部72の外周面には、シール部材81が設けられており、シール部材81は、ニードル61が先端側に進出した際に、ニードル61とノズル46との間をシールする。
図3は、シール部材81でシールした状態の拡大断面図である。
シール部材81は、ガスケット、または例えばOリングなどのパッキンで構成されている。シール材81は、例えばEPDMやPTFEなどの材料で形成されている。ニードル61の接続部72の外周面には、シール部材81を装着するための環状の取付け溝91が形成されている。シール部材81は、ニードル61の進退移動により、ノズル46の先端噴出部51の内周壁に離接される。すなわち、シール部材81は、ノズル46の下流側への新たな水素ガスの流れを遮断および許容する遮断手段として機能する。
具体的には、ニードル61がノズル46の先端噴出部51へと最も進出した場合には、シール部材81が先端噴出部51の内周壁に気密に接触する。これにより、ニードル61とノズル46との間がシールされ、新たな水素ガスのノズル46の下流側への流れが遮断される。このシール位置は、水素ガスと水素オフガスとの合流位置(ノズル46の下流側であって主としてディフューザ48)よりも上流側に設定されている。
一方、このシール位置のニードル61が絞り部52側へと退避すると、シール部材81が先端噴出部51から離間し、新たな水素ガスのノズル46の下流側への流れが許容される。この離間状態の先端調整部71の軸方向の進退位置に応じて、先端調整部71と先端噴出部51との間の間隙の開口面積(以下、ノズル46の開口面積という。)が可変され、これによりノズル46を通過する新たな水素ガスの流量が制御される。すなわち、燃料電池2への水素ガスの供給流量が制御される。
ここで、エジェクタ24による供給流量の制御について、燃料電池2の負荷との関係で説明する。
一般に、燃料電池車両の加速時等で燃料電池2の発電量が増加すると、燃料電池2で消費される水素ガスの消費量が増加する。この消費量が増えて混合流路22bの流量が増加すると、燃料電池2での圧力損失が大きくなり、水素オフガスの圧力P2が低下する(混合流路22bの混合水素ガスの圧力P3も低下する。)。すると、ピストン62およびニードル61が、P1、P2およびバネ63の付勢力のバランスによって、平衡状態からバネ63に抗して退避する。
これにより、ノズル46の開口面積が大きくなるため、ノズル46を通過する新たな水素ガスの流量が増加する。したがって、燃料電池2の負荷が大きくなった場合に、エジェクタ24は自律的に適切に対応することになる。そして、新たな水素ガスの流量の増加によって混合水素ガスの圧力P3が上昇するため、燃料電池2に供給される混合水素ガスの圧力(すなわち、燃料電池入口圧)が適正な値に確保されると共に、水素オフガスの流量が増加し、新たな水素ガスの流量との関係において水素オフガスの流量が適正な値に確保されることになる。
一方、燃料電池車両の減速時等で燃料電池2の発電量が減少すると、燃料電池2で消費される水素ガスの消費量が減少する。この消費量が減って混合流路22bの流量が減少すると、燃料電池2での圧力損失が小さくなり、水素オフガスの圧力P2が上昇する(混合水素ガスの圧力P3も上昇する。)。すると、ピストン62およびニードル61が、P1、P2およびバネ63の付勢力のバランスによって、平衡状態から進出する。
これにより、ノズル46の開口面積が小さくなるため、ノズル46を通過する新たな水素ガスの流量が減少する。したがって、燃料電池2の負荷が小さくなった場合に、エジェクタ24は自律的に適切に対応することになる。そして、新たな水素ガスの流量の減少によって混合水素ガスの圧力P3が低下するため、燃料電池2に供給される混合水素ガスの圧力が適正な値に確保されると共に、水素オフガスの流量が減少し、新たな水素ガスの流量との関係において水素オフガスの流量が適正な値に確保されることになる。
本実施形態では、エジェクタ24にシール部材81を設けていることによって、燃料電池2の発電量が小さい低負荷のときに、新たな水素ガスの流れの遮断と許容とを連続させるようになっている。
具体的には、低負荷で燃料電池2での水素ガスの消費量が少ないとき、上述の原理によってニードル61がシール部材81と共に進出するが、このときシール部材81は最終的に図3に示すシール位置に移動するようになる。これにより、新たな水素ガスのノズル46の下流側への流れが遮断される。そして、この遮断によって燃料電池2内の水素ガス圧が低下すると、圧力P2およびP3も低下する。
すると、上述の原理で、ニードル61がシール部材81と共に退避し、新たな水素ガスのノズル46の下流側への流れが許容されるようになる。この新たな水素ガスの流れの許容(噴射)によって、エジェクタ24は、循環流路23の水素オフガスを吸引して、混合水素ガスとして燃料電池2に供給する。そして、水素ガスの供給量に比べて燃料電池2での水素ガスの消費量が少なくなると、再びニードル61が進出して、新たな水素ガスのノズル46の下流側への流れが遮断されるようになる。
このように、燃料電池2での水素ガスの消費量が少ないときであっても、一連のニードル61の進退移動を自立的に行うことができ、燃料電池2に対する水素ガスの微小流量の制御ができる。これにより、燃料電池2での水素ガスの消費量が少ないときであっても、エジェクタ24は、燃料電池2への水素ガスの必要循環量の確保と圧力の調整と適切に行うことができ、燃料電池2内の圧力上昇を抑制することができる。
また一方、燃料電池2での水素ガスの消費量がゼロのとき、燃料電池2内の水素ガス圧が上昇し、圧力P2およびP3が上昇する。すると、上述の原理で、ニードル61がシール部材81と共に進出し、シール部材81が新たな水素ガスのノズル46の下流側への流れを遮断するようになる。これにより、燃料電池2への新たな水素ガスの流入を阻止することができる。したがって、燃料電池2での水素ガスの消費量がゼロのとき、エジェクタ24は、自立的に新たな水素ガスの流れを遮断して、燃料電池2内の圧力上昇を抑制することができる。
ここで、燃料電池システム1の稼動中において燃料電池2が水素ガスを消費しない場合とは、例えば燃料電池2の発電停止時やアイドル時をいい、燃料電池車両の観点からみれば、燃料電池車両のアイドリング時や回生ブレーキ時をいう。
以上のように、本実施形態の燃料電池システム1は、シール部材81によって締切り性を高めたエジェクタ24を搭載しているため、エジェクタ24の構造のみによって、燃料電池2での水素ガスの消費量が少ない場合には微小流量制御を可能とし、また消費量がゼロの場合には燃料電池2への新たな水素ガスの流入を阻止することができる。
この効果によって、吸引能力の高いエジェクタ24を燃料電池システム1に搭載することができるようになる。すなわち、ノズル46から噴射される新たな水素ガスの流速(噴射圧力)が大きいエジェクタ24を燃料電池システム1に搭載しても、燃料電池2内の圧力上昇を適切に抑制することができる。このことは、燃料電池システム1に搭載可能なエジェクタ24の循環能力が制限されない意義を有する。また、吸引能力の高いエジェクタ24を用いることで、発電反応によって生じる水の排水性の向上など、システム効率も向上し得る。
また、主流となる新たな水素ガスの遮断機能(シール部材81)をエジェクタ24に設けたことで、エジェクタ24自体が減圧弁の機能を兼ね得るので、システム全体として部品点数を削減することが可能となる。
なお、シール部材81をニードル61の先端調整部71に設けることもできる。また、シール部材81が離接する部位をノズル46の絞り部52に設定することもできる。つまり、シール部材81をニードル61の一部に設け、シール部材81が離接する部位をノズル46の一部に設定してもよい。
<第2実施形態>
次に、図4を参照して、第2実施形態に係るエジェクタ24の構成について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、シール部材81をノズル46側に設けた点と、それに伴ってニードル61の形状を一部変更した点である。
シール部材81は、ノズル46の絞り部52の内周壁に固定されている。一方、ニードル61は、先端調整部71と接続部72との間に、これらよりも径方向に突出した当接部111を有している。当接部111は、シール部材81に対応して環状に形成されている。当接部111の先端調整部71側の端面は、ニードル61の進退移動によって、シール部材81に離接するように構成されている。
このように、本実施形態の構成によっても、エジェクタ24の締切り性を高めることができ、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、変形例として、シール部材81を先端噴出部51の内周壁に設けてもよい。この場合、シール部材81に当接部111を離接させてもよいし、先端調整部71を離接させてもよい。すなわち、シール部材81をノズル46の一部またはノズル46とは異なるエジェクタ24の内部に設け、そのシール部材81に流量調整部材の一部(ニードル61の一部またはピストン62の一部)を離接させる構成であってもよい。
<第3実施形態>
次に、図5を参照して、第2実施形態に係るエジェクタ24の構成について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、シール部材81をノズル46から外れた位置に設けた点である。
シール部材81は、ノズル46よりも上流側の筒状部121の端部122に固定されている。筒状部121は、絞り部52の拡径した部位から先端噴出部51とは反対側に延在しており、その延在端部122にシール部材81が固定されている。筒状部121は、筐体41の内壁とは間隙を存して、ノズル46やニードル61と同心に設けられている。
流量調整部材は、上述のように、ニードル61およびピストン62からなるものであるが、このニードル61の主要部は、筒状部121の内部に位置している。また、ピストン62は、筒状部121の端部122の上流側に位置しており、表面62aがシール部材81に離接するように構成されている。したがって、本実施形態の構成によっても、エジェクタ24の締切り性を高めることができ、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
次に、燃料電池システム1やエジェクタ24の各種の変形例について述べる。
<変形例:信号圧のガス>
上記では、エジェクタ24の導圧室60に信号圧として導くガスを水素オフガスとしたが、もちろんこれに限るものではない。例えば、混合水素ガスの圧力P3を導圧室60に導入してもよい。また、酸素ガス配管系3の酸素ガスの圧力を導圧室60に導入してもよく、その場合には供給流路12内の新たな酸素ガスであってよいし、排出流路13内や排気流路14内の酸素オフガスであってもよい。さらに、導圧室60に導くガスは、燃料電池システム1のガス配管系(3,4)に関与しないガスであってもよく、導圧室60に導く専用のガスであってもよい。
また、上記では、エジェクタ24の主流ガス(噴射ガス)を新たな水素ガスとし、副流ガス(吸引ガス)を水素オフガスとしたが、この逆の構成であってもよい。すなわち、エジェクタ24は、ノズル46から水素オフガスを噴射する際に、水素タンク21からの新たな水素ガスを吸引するようにしてもよい。この場合には、エジェクタ24の導圧室60には、新たな水素ガスの圧力、混合水素ガスの圧力、または酸素ガス配管系3の酸素ガスの圧力などを導入するようにすればよい。
また、エジェクタ24を酸素ガス配管系3に配設してもよい。例えば、エジェクタ24によって、コンプレッサ15からの新たな酸素ガスに、排出流路13の酸素オフガスを合流させ、この合流後の混合酸素ガスを燃料電池2に供給してもよい。この場合、エジェクタ24の導圧室60には、酸素ガス配管系3または水素ガス配管系4を流れるガスや、これらのガス配管系(3,4)に関与しない専用のガスを導入すればよい。
<変形例:ニードルの駆動>
ニードル61の駆動について、所定のガスを信号圧としてニードル24に導く差圧式で行うのではなく、上記したアクチュエータ65の電気式のみで行ってもよい。この場合、圧力信号をフィードバックして、アクチュエータ65を駆動するようにしてもよい。例えば、酸素ガス配管系3または水素ガス配管系4の任意の位置の圧力、すなわち例えば水素ガスに関するP2あるいはP3,燃料電池2への酸素ガスの供給圧、又は、燃料電池2からの酸素オフガスの排出圧を圧力センサで検出し、その検出結果に基づいてアクチュエータ65を駆動してもよい。あるいは、燃料電池2の発電指令や必電力に基づいて、アクチュエータ65を駆動してもよい。
また、ニードル61の駆動について、上記とは異なる差圧式を用いてもよい。この場合、水素ガスに関するP1,P2およびP3、並びに酸素ガスに関する燃料電池2への供給圧および排出圧の任意の二つの圧力の組み合わせであればよい。
<変形例:遮断手段>
上記では、エジェクタ24が噴射する主流(新たな水素ガス)の流れの遮断について、エジェクタ24の流量可変時に可動する流量調整部材(ニードル61およびピストン62)に関連して設けたシール部材81で行うこととした。このシール部材81でなくとも、例えば、ニードル61の一部またはピストン62の一部が、その進退移動に連動して、ノズル46の一部またはノズル46とは異なるエジェクタ24の内部の一部に離接する構成としてもよい。すなわち、本発明の遮断手段はシール部材81に限定されるものでなはい。
<変形例>
シール部材81を用いずに、燃料電池システム1においてエジェクタ24の循環性能を上げるには、次のようなシステム構成としてもよい。例えば、エジェクタ24の上流側の供給流路22aであって、レギュレータ32の下流側の位置に遮断弁を設け、且つ遮断弁とノズル46との間の流路容積を小さくする。そして、燃料電池2内の水素ガス圧が高くなったときに遮断弁を閉弁制御するようにしてもよい。
上記した本発明のエジェクタ24は、燃料電池システム1のみならず、流体を合流して供給する必要がある他のシステムにも適用することができる。特に、エジェクタ24による流体の供給先となる供給先装置が、流体を消費する流体消費装置(ガスであればガス消費装置)であり、流体消費装置での流体の消費量が変化するシステムに好適である。さらに好適のシステムは、流体消費装置の排出した流体がエジェクタ24によって再び流体消費装置に循環させられるシステムである。
また、上記した本発明の燃料電池システム1は、二輪または四輪の自動車以外の電車、航空機、船舶、自走式ロボットその他の移動体に搭載することができる。また、燃料電池システム1は、定置用ともすることができ、コージェネレーションシステムに組み込むことができる。
実施形態に係る燃料電池システムを示す構成図である。 実施形態に係るエジェクタの断面図である。 図2のエジェクタのノズルのまわりを拡大して示す断面図であり、シールした状態を示す図である。 第2実施形態に係るエジェクタのノズルのまわりを拡大して示す断面図である。 第3実施形態に係るエジェクタのノズルのまわりを拡大して示す断面図である。
符号の説明
1:燃料電池システム、2:燃料電池、3:酸素ガス配管系、4:水素ガス配管系、22:供給流路、23:循環流路、24:エジェクタ、25:導入通路、46:ノズル、61:ニードル(流量調整部材)、62:ピストン(流量調整部材)、81:シール部材(遮断手段)

Claims (10)

  1. 第1流体の噴射により第2流体を吸引して、第1流体と第2流体とを合流させるエジェクタであって、
    前記第1流体と前記第2流体との合流位置の前に設けられ、当該第1流体の流れを遮断可能な遮断手段を備えたエジェクタ。
  2. 前記第1流体を噴射し、前記第2流体を吸引するための負圧を発生するノズルと、
    前記ノズルの内部を進退移動可能に構成され、その進退位置に応じて当該ノズルを通過する前記第1流体の流量を調整する流量調整部材と、を備え、
    前記遮断手段は、前記流量調整部材の進退移動に連動して、前記第1流体の流れを遮断および許容する請求項1に記載のエジェクタ。
  3. 前記遮断手段は、当該エジェクタの内部に設けられたシール部材で構成され、
    前記シール部材は、前記流量調整部材の進退移動により当該流量調整部材に離接される請求項2に記載のエジェクタ。
  4. 前記シール部材は、前記ノズルの出口よりも上流側に設けられている請求項3に記載のエジェクタ。
  5. 前記遮断手段は、前記流量調整部材の外周に設けられたシール部材で構成され、
    前記シール部材は、前記流量調整部材の進退移動により前記エジェクタの内部に離接される請求項2に記載のエジェクタ。
  6. 前記シール部材は、前記エジェクタの内部のうち前記ノズルの内周壁に離接される請求項5に記載のエジェクタ。
  7. 燃料電池に新たな反応ガスを供給する供給流路と、
    前記燃料電池から排出された反応オフガスを前記供給流路に循環させる循環流路と、
    前記供給流路と前記循環流路との接続部分に設けられた請求項1ないし6のいずれか一項に記載のエジェクタと、
    を備えた燃料電池システムであって、
    前記エジェクタは、前記第1流体および前記第2流体の一方を前記新たな反応ガスとして噴射し、他方を前記反応オフガスとして吸引する燃料電池システム。
  8. 前記第1流体は前記新たな反応ガスであり、前記第2流体は前記反応オフガスである請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記遮断手段は、前記燃料電池の発電停止時に、前記新たな反応ガスの流れを遮断する請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記遮断手段は、前記燃料電池の発電量が小さいときに、前記新たな反応ガスの流れの遮断と許容とを連続させる請求項8または9に記載の燃料電池システム。

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