JP2006513009A - 自己拡張式ステント - Google Patents

Abstract

本発明の目的は、病変部位を有する食道の狭窄進行部位または狭窄部位の対象部に挿入して前記対象部を開放させるのに使用される、形状記憶合金からなった自己拡張式ステントを提供することである。前記ステントは、形状記憶合金ワイヤーを編んで網状構造を形成してなる中空円筒体２を有し、拡径部５およびコーティング層７を有するコーティング処理部１０を含む。前記コーティング処理部１０の中空円筒体２は非コーティング処理部１０’で取り囲まれている。この非コーティング処理部１０’は、超弾性形状記憶合金ワイヤーを編んで菱形空間部３’を有する網構造を形成してなる中空円筒体２’を有する。前記ステントは病変部位を有する食道の狭窄進行部位または狭窄部位から除去されることが防止される。

Description

発明の詳細な説明

〔技術分野〕
本発明は、病変部位を有する食道の狭窄進行部位または狭窄部位に挿入して食道の対象部を開放するのに使用される、形状記憶合金ワイヤーからなった自己拡張式ステントに係り、より詳しくは、たとえば咳、または飲食物摂取などの外部影響にも関わらず、病変部位を有する食道の狭窄進行または狭窄部位の所望位置に所望期間確実に維持できるように設計された自己拡張式ステントに関するものである。

〔背景技術〕
周知のように、癌組織などによる食道の狭窄により食道が詰まるか、または収縮する場合は、患者が飲食物を摂取することが大変難しいかまたはほぼ不可能である。

この場合、患者の腹部を介して胃腸に至るチューブを介して飲食物を投入するか、前記食道の狭窄進行または狭窄部位を主に外科的な手術で治療することになる。

しかし、前者の場合、患者のみならず家族にも大きな苦痛を与えることになり、後者の場合、外科的手術で病変部位の身体を切開しなければならないので、その手術部位が非常に広くて大きな傷跡を残し、長い療養期間が必要であるだけでなく、手術効果があまり高くない欠点がある。

これを改善するため、最近には切開手術を行わず、身体の狭窄部位内にバルーンカテーテルチューブ（balloon catheter tube）を挿入し、バルーンを膨らす施術を行っている。

しかし、このような手術は、通常３〜４ヶ月が立つと、再狭窄が発生するため、施術を繰り返さなければならないので、患者の苦痛はもちろん経済的に負担となる欠点がある。

このような問題点を克服するため、本発明者は超弾性形状記憶合金ワイヤー素材を選択し、病変部位への設置の際、一回の施術で永久的に使用可能なステントを先出願したことがある。

これは、図１および図２に示すように、直径０．１〜０．５ｍｍの１本の超弾性形状記憶合金ワイヤー素材を編んで、多数の菱形空間部３を有する中空型の円筒状本体２を形成したステントである。特に、食道上に効果的に設置するためには、前記円筒状本体２の両側に拡径部５を形成することにより、このステントが食道の一定位置に掛かってその設置状態を維持するようにする。

このようなステントは、図３に示すように、体積を縮小させた状態で食道などの病変部位に挿入すると、形状記憶合金ワイヤーからなったステントの高弾性力により病変部位を外側方向に押し付けることにより、その通路を拡張させることになる。

しかし、このように食道に設置されるステントは、１本の超弾性形状記憶合金ワイヤー素材を交差させながら編むことにより得られるもので、前記空間部３を介して病変部位の癌細包が食道内に浸透することができるだけでなく、食道内に流入される飲食物が病変部位に接触して患者に空通を与えるなどの問題がある。

したがって、前記ステントは、本体２の表面にコーティング層７を有することにより、癌細包の浸透を遮断すると共に飲食物が病変部位に接触することを防止する。

しかし、このようにコーティング処理されたステントは、本体２の表面に形成されたコーティング層７が滑らかな特性を有するため、外部の影響、たとえば咳、飲食物摂取などにより、食道内の設置位置から離脱するなどの問題点がある。また、前記ステントを食道の狭窄部位から除去するときは、食道内のステントの位置を正確に調整するか、または新たなステントを食道の対象部位に再び挿入するに先立ち、現存のステントを全く除去する必要がある。これは、患者に苦痛を与えるだけでなく、患者に追加費用の負担を与えるものである。

〔発明の開示〕
したがって、本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、食道内に癌細包が浸透することだけでなく飲食物が病変部位に触ることを防止し、病変部位に設置された状態を一定にかつ効果的に維持して半永久的に使用可能な自己拡張式ステントを提供することにある。

前記目的を達成するため、本発明は、形状記憶合金ワイヤーを編んで多数の菱形空間部を有する網状構造を形成してなる中空円筒体を有し、前記中空円筒体の両端には拡径部が形成され、側壁を覆うように外面にコーティング層が形成されたコーティング処理部を含む自己拡張式ステントを提供する。また、前記ステントは、前記コーティング処理部の中空円筒体を取り囲む非コーティング処理部を含む。この非コーティング処理部は、超弾性形状記憶合金ワイヤーを編んで多数の菱形空間部を有する網構造を形成してなる中空円筒体を有する。したがって、前記ステントは病変部位を有する食道の狭窄進行部位または狭窄部位から除去されることが防止される。

〔図面の簡単な説明〕
本発明の前記およびほかの目的、特徴および利点は添付図面を参照する以降の詳細な説明から明らかに理解可能であろう。

図１は本発明者が先出願した自己拡張式ステントを示す側面図である。

図２は図１のステントの正面図である。

図３は食道内に設置された図１のステントを示す図である。

図４は本発明の好ましい実施形態による自己拡張式ステントの側面図である。

図５は図４の正面図である。

図６は食道内に設置された図４のステントを示す図である。

〔発明を実施するための最良の形態〕
以下、本発明を添付図面に基づいて説明するが、全体図面にわたって、同一または類似部品には同一参照符号を付ける。

図４は本発明の好ましい実施形態による自己拡張式ステントの側面図である。図５は図４のステントの正面図である。これら図に示すように、本発明の自己拡張式ステントは二つの部分、つまりコーティング処理部１０と非コーティング処理部１０’とを含んでいる。前記コーティング処理部１０は、形状記憶合金ワイヤーを編んで多数の菱形空間部を有する網状構造を形成してなる中空円筒体２を含む。前記中空円筒体２の両端部には拡径部５が形成され、前記コーティング処理部１０の外面には、前記コーティング処理部１０の側壁を覆うようにコーティング層７が形成される。前記コーティング処理部１０の構造は本発明者が先出願した従来のステントと同一の形状を維持している。

前記非コーティング処理部１０’は前記コーティング処理部１０の中空円筒体２を取り囲む。この非コーティング処理部１０’は、超弾性形状記憶合金ワイヤーを編んで多数の菱形空間部を有する網状構造を形成してなる中空円筒体２’を含む。

本発明において、前記コーティング処理部１０および前記非コーティング処理部１０’は、好ましくは、たとえば互いに分離されることを防止するため、縫着により単一体となる。

図面において、参照符号２０は狭窄された食道の病変部位を示すもので、その内部に本発明のステントが挿入される。

以下、本発明のステントの作用効果を説明する。

本発明のステントを、病変部位２０を有する食道の狭窄進行部位または狭窄部位に挿入するに先立ち、別途の透視装置により、前記病変部位２０の位置、長さおよびサイズと、対象部位の内径を測定する必要がある。

病変部位２０を測定した後、コーティング処理部１０を用意する。この場合、病変部位２０の長さより長いコーティング処理部１０を製造する必要がある。特に、両拡径部５が病変部位２０の両端外側に位置するようにするため、コーティング処理部１０の両拡径部５の内側端間の長さは病変部位２０の長さより長くなければならない。

コーティング処理部１０は食道の正常直径よりおよそ１０〜３０％だけ大きい直径を有するように設計して、病変部位２０を有する食道の狭窄進行部位または狭窄部位を充分に通過できるようにする。

前記コーティング処理部１０を用意した後、非コーティング処理部１０’を、たとえば縫着などにより前記コーティング処理部１０と一体化するに先立ち、非コーティング処理部１０’を前記両拡径部５間の前記コーティング処理部１０の中間部に外挿する。

前記コーティング処理部１０および前記非コーティング処理部１０’を有するステントを、病変部位２０を有する対象部に挿入する。狭窄された食道の対象部にステントを挿入した状態は図６に示す。

前記ステントを対象部に挿入するためには、まずステントの直径を半径方向に収縮させた状態でステントを別途のステント挿入装置（図示せず）に装着する。

このようにステントを収縮させたとき、前記コーティング処理部１０および前記非コーティング処理部１０’の菱形空間部３、３’のサイズが減少するので、ステントの体積がかなり減少する。したがって、ステントをステント挿入装置に装着することができる。

その後、収縮したステントを押してステント挿入装置から除去する前、ステント挿入装置を食道内に挿入して、病変部位２０を有する対象部に到達するようにする。ステントが病変部位２０を有する対象部内に位置されると、前記ステントは、形状記憶合金ワイヤーからなった前記コーティング処理部１０および前記非コーティング処理部１０’の超弾性により、弾性的に膨張して病変部位２０を半径方向外側に押し付けることにより、食道の対象部を開放させる。

病変２０を有する対象部内にステントが設置されると、前記コーティング処理部１０は、癌細包がステントの内部に浸透することと飲食物が消化中に病変部位２０の損傷組織と接触することを防止する。

一方、非コーティング処理部１０’はコーティング処理部１０の外側位置で病変部位２０と密接に接触するので、ステントが対象部から除去されることをほぼ完全に防止する。

前記コーティング処理部１０上に前記非コーティング処理部１０’が外挿されているため、本発明のステントは、たとえば咳、または飲食物摂取による外部影響に関わらず、対象部から除去されることなく、病変部位を有する食道を所望の期間開放された状態で維持することができる。

〔産業上の利用可能性〕
以上説明したように、本発明は、たとえば咳、または飲食物摂取による外部影響に関わらず、病変部位を有する食道の狭窄進行部位または狭窄部位内の所望位置に所望の期間維持できるように設計された自己拡張式ステントを提供する。本発明のステントは、コーティング処理部と、前記コーティング処理部上に外挿された非コーティング処理部とを含む。前記コーティング処理部および前記非コーティング処理部は共に形状記憶合金ワイヤーからなり、たとえば縫着などにより単一構造物に一体化される。本発明のステントを、病変部位を有する食道の狭窄進行部位または狭窄部位に挿入すると、前記コーティング処理部は、癌細包がステントの内部に浸透することと飲食物が消化中に病変部位の損傷組織と接触することを防止する。また、非コーティング処理部はコーティング処理部の外側位置で病変部位と密接に接触するので、ステントが対象部から除去されることをほぼ完全に防止する。

以上、本発明の好ましい実施形態を例示的に説明したが、当業者であれば、添付特許請求範囲に開示した本発明の範囲および精神から逸脱することなく、多様な修正、付加および置換ができることが理解可能であろう。

本発明者が先出願した自己拡張式ステントを示す側面図である。 図１のステントの正面図である。 食道内に設置された図１のステントを示す図である。 本発明の好ましい実施形態による自己拡張式ステントの側面図である。 図４の正面図である。 食道内に設置された図４のステントを示す図である。

Claims (1)

1. 自己拡張式ステントにおいて、
   形状記憶合金ワイヤーを編んで多数の菱形空間部を有する網状構造を形成してなる中空円筒体を有し、前記中空円筒体の両端には拡径部が形成され、側壁を覆うように外面にコーティング層が形成されたコーティング処理部と；
   前記コーティング処理部の中空円筒体を取り囲み、超弾性形状記憶合金ワイヤーを編んで多数の菱形空間部を有する網構造を形成してなる中空円筒体を有する非コーティング処理部と；を含み、
   前記ステントは病変部位を有する食道の狭窄進行部位または狭窄部位から除去されることが防止されることを特徴とする、自己拡張式ステント。

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