JP2006510848A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
本発明は、燃料噴射弁(1)に関し、該燃料噴射弁は圧電式、若しくは電気ひずみ式、若しくは磁気ひずみ式のアクチュエータ(3)、弁閉鎖体(7)の作動のために前記アクチュエータ(3)と作用結合していて閉鎖方向へ弁ばね(9)の戻し力によって負荷されている弁ニードル(6)、及び液圧式の連結器(4)を備えており、該連結器はピストン(25)を含んでおり、該ピストンは少なくとも部分的に受容開口部(24)内に入り込んでいて、該受容開口部と一緒に連結器間隙(27)を形成しており、該連結器間隙は液体で満たされている形式のものにおいて、ピストン(25)内に中空室(40)を設けてあり、該中空室は連結器間隙(27)に向かって開いていて、少なくとも部分的に液体で満たされて、補償室(42)を成している。
Description
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の燃料噴射弁に関する。
圧電式のアクチュエータを備えた燃料噴射弁は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3533085A1号明細書により公知であり、この場合にアクチュエータは一方で弁ニードルに作用結合していて、他方で液圧式の連結器に支えられている。液圧式の連結器は減衰ピストンを有しており、減衰ピストンは弁上方部分の袋穴内に入り込んでいる。減衰ピストンと袋穴との間に設けられた間隙は、液体で満たされている。リング状のダイヤフラムは連結器の自由な端部を取り囲んでいて、液体で満たされた補償室を形成している。
ピエゾ・アクチュエータは、機械的、熱的及び電気的な負荷に基づき長さ変化を生ぜしめる。ピエゾ・アクチュエータの電気的な負荷、即ち電気的な制御によって生ぜしめられる長さ変化は弁行程運動のために有効に利用される。
液圧式の連結器は噴射段階で、袋穴と減衰ピストンとの間の漏れ間隙から液体を流出させる。このことは弁ニードルの行程損失につながる。通常運転ではピエゾ・アクチュエータは最大2msで制御される。この場合に連結器間隙は、一方で漏れ損失を最小にし、かつ他方で減衰ピストンを充填段階で再び位置決めできるように規定される。
問題は特定の運転状態、例えば冷間時始動、温間時始動、非常走行若しくは低い系圧力の場合に生じる。冷間時始動は、著しく低い温度(−30℃)及び圧力(0.5Mpa)の場合には噴射弁の全負荷量の12倍までの値を要する。このためにピエゾ・アクチュエータの長い制御時間を必要とし、その結果、液圧式の連結器の漏れ損失は、弁ニードルの弁閉鎖体が弁座に接触して噴射が早期に終了してしまう程度に増大することになる。
請求項1の特徴部分に記載の構成を有する本発明に基づく燃料噴射弁においては利点として、液圧式の連結器はすでに噴射段階の短い時間の経過の後に出発位置へ戻り、この場合に連結器間隙は再び液体で満たされる。ピストン内に形成されて液体で満たされた補償室は、有効な負荷補償及び連結器間隙の確実な充填を保証している。
従属請求項に記載の手段によって、主請求項に記載の燃料噴射弁の有利な改良が可能である。
補償室と連結器間隙との間に絞り開口を設けることによって、噴射段階の漏れ損失は最小にされる。補償室の画成のために弾性的なダイヤフラムを用いることの利点として、熱的及び機械的な負荷、即ち液体に影響を及ぼす圧力変化若しくは容積変化はダイヤフラムによって補償される。
燃料噴射弁の別の実施態様では、補償室内の液体は補償ピストンを用いて負荷されている。これによって補償室内の液体はほぼ一定の圧力に保たれる。
特に有利には補償ピストン、即ち圧力ピストンは差動ピストンとして形成され、該差動ピストンに燃料圧力を作用させるようになっている。これによって系圧力の変動を補償できる。
本発明の実施例を図面に示して、以下に詳細に説明する。図面において、
図1は、本発明に基づく燃料噴射弁の第1の実施例の概略的な縦断面図であり、
図2は、本発明に基づく燃料噴射弁の第2の実施例の概略的な縦断面図であり、
図3は、本発明に基づく燃料噴射弁の第3の実施例の概略的な縦断面図であり、
図4は、図3の実施例に対する変化例の縦断面図である。
図1は、本発明に基づく燃料噴射弁の第1の実施例の概略的な縦断面図であり、
図2は、本発明に基づく燃料噴射弁の第2の実施例の概略的な縦断面図であり、
図3は、本発明に基づく燃料噴射弁の第3の実施例の概略的な縦断面図であり、
図4は、図3の実施例に対する変化例の縦断面図である。
図1に示す本発明に基づく燃料噴射弁1は、混合気圧縮外部点火式の内燃機関の燃焼室内へ燃料を直接に噴射するために特に適している。ケーシング2内に圧電式のアクチュエータ3、液圧式の連結器4及び弁ユニット5を互いに同軸的に配置してある。
弁ユニット5は弁ニードル6を含んでおり、弁ニードルは噴射側の端部に弁閉鎖体7を有している。弁閉鎖体7は弁座面12と一緒に弁ユニット5のシール座13を形成している。弁ニードル6は段部若しくはカラー8を有しており、段部若しくはカラーは弁ばね9を支えている。弁ばね9は他方の側でケーシング2の内側へ突出するつば10に支えられていて、シール座13の閉鎖位置を占めるように弁ニードル6を軸線方向に押圧している。
圧電式のアクチュエータ3はスリーブ15内に収容されていて、締め付けばね16によって軸線方向で締め付けられている。アクチュエータ3と弁ニードル6との間にピン状の操作部材17を介在してあり、操作部材はシール座13の開放のためにアクチュエータ3の軸線方向のシフト量を弁ニードル6に伝達する。弁ニードル6のアクチュエータ側の端部とスリーブ15との間に、波形管として形成されたダイヤフラム18を配置してあり、ダイヤフラムはスリーブ15内のアクチュエータ室19を、スリーブ15とケーシング2との間にある弁内室20に対して密閉している。弁内室20は燃料で満たされている。
アクチュエータ室19は連結器側をアクチュエータヘッド22によって画成されており、アクチュエータヘッドはアクチュエータ3の軸線方向の端面を支えている。アクチュエータヘッド22はケーシング2に対して軸線方向摺動可能である。アクチュエータヘッド22は液圧式の連結器4に向いた側に管状の延長部23を有しており、管状の延長部はピストン25のための受容開口部24を形成している。ピストン25は、連結器ヘッド26からの円筒状の突起部として形成されていて、部分的に受容開口部24内に突入している。
受容開口部24内でアクチュエータヘッド22とピストン25との間に軸線方向でも半径方向でも連結器間隙27を設けてあり、連結器間隙は液体で満たされている。連結器間隙27は受容開口部24の外側で補償室28に開口しており、補償室はシールダイヤフラム29によって画成されている。シールダイヤフラム29は一方で延長部23の外壁に、かつ他方で連結器ヘッド26に取り付けられ、有利にはろう付け若しくは溶接されている。シールダイヤフラム29はスリーブ状に、有利には波形管として形成されている。
連結器ヘッド26は端面で、弁内室20を画成するカバー30に当接していて、該カバーに溶接結合されている。カバー30は、アクチュエータ3の作動のための導線34によって軸線方向に貫通されている。さらにカバー30に袋穴35を設けてあり、袋穴は横孔6を介して軸線方向の燃料通路37に接続されている。袋穴35、横孔6及び燃料通路37は、燃料噴射弁1への燃料の供給のために用いられている。
アクチュエータヘッド22と連結器ヘッド26との間に連結器ばね38を配置してあり、連結器ばねはアクチュエータヘッド22を弁ばね9の力に抗して負荷していて、これによってアクチュエータ3の静止状態で、ピストン25とアクチュエータヘッド22との間の、受容開口部24の底部に対する連結器間隙27を規定している。ピストン25内に中空室40を画成してあり、中空室は、流過断面の減少された絞り開口41を介して連結器間隙27に接続されている。中空室40は補償室42を成していて、液体で満たされている。
燃料噴射弁1は次のように作動する。燃料噴射弁1の静止位置では燃料噴射弁1は、図1に示す位置を占めている。アクチュエータ3を作動させると、アクチュエータは膨張し、該膨張は操作部材17を介して弁ニードル6に伝達され、その結果、弁閉鎖体7は弁座面12から離れて燃料噴射弁1を開く。アクチュエータ3の膨張とこれに続く収縮は著しく急速に行われるので、連結器間隙27は液体で満たされたままであり、その結果、アクチュエータヘッド22は軸線方向で液体を介して連結器ヘッド26に支えられる。熱的若しくは機械的な負荷に起因するアクチュエータ3の長さ変化は、液体によって補償され、このために液体は補償室24若しくは補償室42内へ流入するか若しくは該補償室から流出する。
図2には、本発明に基づく燃料噴射弁1の第2の実施例を示してある。該実施例においては中空室40内に補償ピストン43を設けてあり、補償ピストンは該補償ピストンの外周に配置されたシールリング44で以て補償室42をばね室45に対して密閉している。ばね室45内に軸線方向の圧縮ばね46を設けてあり、圧縮ばねはピストンを介して圧力を補償室42内の液体に生ぜしめている。補償ピストン43によって、補償室42の容積は変化させられ得る。
図3には、本発明に基づく燃料噴射弁1の第3の実施例を示してある。該実施例においては中空室40は、燃料供給のための袋穴35に向かって開いている。中空室40に隣接して中間室50を設けてある。中間室50は絞り通路51を介して袋穴35に接続されており、その結果、中間室50内には燃料圧力が作用している。補償ピストン43はプランジャー状の突出部52を保持しており、該突出部は中間室50内の燃料圧力を受けるようになっている。即ち補償ピストン43は該実施例では差動ピストン53として形成されている。圧縮ばね46を省略してある。該実施例には連結器ばね38も設けられていない。
図4は、図3の実施例に対する変化例を示している。この場合に、補償ピストン43は同じく差動ピストン53として形成されており、該差動ピストンは中間室50内の燃料圧力に加えて圧縮ばね46のばね力も受けるようになっており、圧縮ばねは中空室40内で段部55に支えられている。
本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、別の構造の燃料噴射弁1、例えば内側へ開く方式の燃料噴射弁にも、或いは電気ひずみ式又は磁気ひずみ式のアクチュエータを備える燃料噴射弁にも用いられ得るものである。
1 燃料噴射弁、 2 ケーシング、 3 アクチュエータ、 4 連結器、 5 弁ユニット、 6 弁ニードル、 7 弁閉鎖体、 8 カラー、 9 弁ばね、 10 つば、 12 弁座面、 13 シール座、 15 スリーブ、 17 操作部材、 20 弁内室、 22 アクチュエータヘッド、 23 延長部、 24 受容開口部、 25 ピストン、 26 連結器ヘッド、 27 連結器間隙、 28 補償室、 29 シールダイヤフラム、 34 導線、 35 袋穴、 36 横孔、 37 燃料通路、 38 連結器ばね、 40 中空室、 41 絞り開口、 42 補償室、 43 補償ピストン、 44 シールリング、 45 ばね室、 46 圧縮ばね、 50 中間室、 51 絞り通路、 52 突出部、 53 差動ピストン、 55 段部
Claims (11)
- 燃料噴射弁であって、圧電式、若しくは電気ひずみ式、若しくは磁気ひずみ式のアクチュエータ(3)、弁閉鎖体(7)の作動のために前記アクチュエータ(3)と作用結合していて閉鎖方向へ弁ばね(9)の戻し力によって負荷されている弁ニードル(6)、及び液圧式の連結器(4)を備えており、該連結器はピストン(25)を含んでおり、該ピストンは少なくとも部分的に受容開口部(24)内に入り込んでいて、該受容開口部と一緒に連結器間隙(27)を形成しており、該連結器間隙は液体で満たされている形式のものにおいて、ピストン(25)内に中空室(40)を設けてあり、該中空室は連結器間隙(27)に向かって開いていて、少なくとも部分的に液体で満たされて、補償室(42)を成していることを特徴とする燃料噴射弁。
- 補償室(42)と連結器間隙(27)との間に、流過断面が減少された絞り開口(41)を設けてある請求項1記載の燃料噴射弁。
- 連結器間隙(27)は受容開口部(24)の外側で、シールダイヤフラム(29)によって画成されていて液体で満たされた補償室(28)に開口している請求項1又は2記載の燃料噴射弁。
- シールダイヤフラム(29)は波形管によって形成されている請求項3記載の燃料噴射弁。
- 中空室(40)内に補償ピストン(43)を配置してある請求項1から4のいずれか1項記載の燃料噴射弁。
- 補償ピストン(43)は圧縮ばね(46)のばね力で負荷されている請求項5記載の燃料噴射弁。
- 補償ピストン(43)は差動ピストン(53)として形成されている請求項5記載の燃料噴射弁。
- 差動ピストン(53)は補償室(42)と逆の側で燃料圧力を作用させられるようになっている請求項7記載の燃料噴射弁。
- 差動ピストン(53)は付加的に、圧縮ばね(46)のばね力で負荷されている請求項8記載の燃料噴射弁。
- 差動ピストン(53)はプランジャー状の突出部(52)を有しており、該突出部は、燃料で満たされた中間室(50)内に突入している請求項8又は9記載の燃料噴射弁。
- 中間室(50)は絞り通路(51)を介して、燃料噴射弁(1)への燃料供給のために用いられる袋穴(35)に接続されている請求項10記載の燃料噴射弁。
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