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JP2006503047A - 誘導シクロデキストリンにより安定化された水性フィル組成物を含有するカプセル - Google Patents

誘導シクロデキストリンにより安定化された水性フィル組成物を含有するカプセル Download PDF

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JP2006503047A JP2004536643A JP2004536643A JP2006503047A JP 2006503047 A JP2006503047 A JP 2006503047A JP 2004536643 A JP2004536643 A JP 2004536643A JP 2004536643 A JP2004536643 A JP 2004536643A JP 2006503047 A JP2006503047 A JP 2006503047A
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Abstract

水、誘導シクロデキストリン、例えばスルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)またはヒドロキシプロピルシクロデキストリン(HPCD)、場合により活性剤1つまたは1つより多くおよび場合により賦形剤1つまたは1つより多くを含む水性フィル組成物を含むカプセルは、保存中のそのシェルの分解、腐食、膨潤または溶解に対抗して安定化されている。誘導シクロデキストリンはフィル組成物中に存在する水によるシェルの分解、腐食、膨潤および/または溶解を低減、排除または抑制するために十分な量で存在する。或は、誘導シクロデキストリンおよび他のシェル安定化物質は共に、フィル組成物中に存在する水による分解、腐食、膨潤および/または溶解に対抗してシェルを安定化させる。誘導シクロデキストリンはフィル組成物の水分活性を低下することができる。

Description

本発明は水性フィル(aqueous fill)中に誘導シクロデキストリンを含有するカプセルに関し、ここでシクロデキストリンはフィル中の水による腐食、溶解、膨潤または分解に対抗してカプセルのシェルを安定化させるために十分な量で存在する。
液体または半固体充填カプセルは広範に知られている。これらのフィル組成物は一般的に、固体充填カプセルの場合よりも、液体または半固体充填カプセルの場合により高い均一性を得ることがより容易であることから、固体充填カプセルよりも好ましい。
カプセルフィル組成物(capsule fill composition)は水性または非水性であることができる。カプセルフィル組成物に一般的に使用される物質は、1)水非混和性の揮発性および非揮発性の液体、2)水混和性の揮発性および非揮発性の液体、および3)種々の担体、例えばグリセリン、プロピレングリコール、水および低分子量アルコール、ケトン、酸、アミンおよびエステルを包含する。活性成分の懸濁液はしばしば、植物油または鉱物油、トリグリセリド、グリコール類、例えばポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール、界面活性剤、例えばポリソルベートまたはこれらの組み合わせ中に含有される。
カプセルのシェル形成物質はフィル組成物に対するシェルの安定性を最大限にすると同時に、活性剤に対する所望の放出特性を維持するように選択される。非水性フィル組成物は、カプセルのシェルが水性環境における使用、例えば対象への経口投与に適するためには水溶性、水腐食性または水分解性でなければならないことから、広範に使用されている。しかしながら、所望の活性剤放出特性の獲得、フィル組成物内の活性剤の溶解の向上、および/または、フィル組成物内の成分の最大安定化のためには、フィル組成物内に水を含有させることが望ましい場合が多い。水性フィル組成物を使用する場合は、カプセルのシェルは一般的には水による溶解、腐食または分解に対してより耐性である物質から調製される。
多くの多様な比較的水安定性のシェル組成物が知られている。これらのシェル組成物は一般的にフィル組成物内の水に対するシェルの不安定性を低減する材料を含有するか、そのような工程により製造される。例えば、Banner Pharmacaps and
Cardinal Healthはある程度は親油性のフィルに対して、他方、親水性のフィルに対しても安定化されたカプセルを提供している。しかしながら、このようなシェルを使用するとカプセル製剤の性能が改変されてしまう。従って、薬学者等はフィル組成物に含有される水の量をシェルの水性安定特性に対して慎重に考量しなければならない。更に、知られた水性フィル組成物は水およびそこに含有することのできる活性剤と賦形剤の複合物の量において限界がある。換言すれば、水を大量に含有するフィル組成物を含む知られたシェルはなお、保存中に分解、溶解、膨潤または腐食する。
水性の液体または半固体のベヒクル、活性剤およびフィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するために添加される他の成分を充填したカプセル剤型を多くの参考文献が開示している。
Kuentz等(International Journal of Pharmaceutics(2002),236(1−2),145−152)は水、PEGおよびポリ(ビニルピロリドン)を含む、または、水、グリセリド(LABRASOL(R))およびコロイド状の酸化ケイ素(AEROSIL(R))を含む液体組成物を充填したカプセルを
開示している。成分はそのうちのどの組み合わせがフィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止できるかを決定するために添加されている。Kuentz等はシクロデキストリンの使用は開示していない。
Bowtle(Liquid−encupsulation technology for oral deliveryと題された発表)は液体充填カプセル中の使用に適する物質としての水素化グルコースシロップの使用を開示している。Bowtleはフィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するためのシクロデキストリンの使用は開示していない。
Mochizuki等への日本国特許JP61207329号は水性液体ベヒクル、糖および活性剤を充填したソフトゼラチンカプセルを開示している。糖はフィル組成物に対して55重量%以上の量で存在する。スクロース、グルコース、フラクトースおよびマルトースのような糖類が開示されている。糖はフィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するために十分な量で存在する。Mochizuki等はフィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するためのシクロデキストリンの使用は開示していない。
Lucks等へのドイツ国特許DE19545043号は液体充填ソフトゼラチンカプセルを開示している。液体は単一の相内に存在する。フィル組成物は1〜20重量%ポリオール(例えばグリセロール、プロパンジオールまたはPEG)またはベンジルアルコール、1〜20重量%界面活性剤、79〜98重量%共界面活性剤(例えばグリセリド)、5重量%未満のエタノールおよび10重量%未満の水を含む。Lucks等はシクロデキストリンを開示していない。水はフィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を最小限にするために十分少ない量で存在する。Lucks等はフィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するためのシクロデキストリンの使用は開示していない。
Brunelへの米国特許5037698号はフィル組成物が水(0.1〜10重量%)、濃厚化剤(35重量%以上)、吸湿性または潮解性の物質(0.1〜50重量%)および場合により平衡性保護剤(0.1〜15重量%)を含有する固体または半固体の充填されたカプセルを開示している。水は水和物は形成されるが水によるシェルの分解が最小限にされるように吸湿性または潮解性剤に関して化学量論的な量またはその近傍において存在する。濃厚化剤は熱軟化性の固体または半固体の賦形剤である。平衡性保護剤は脂肪族または芳香族のヒドロキシ化合物のような化合物、例えば鎮痛剤(グリセリン)および油状物を含む。Brunelはシクロデキストリンの使用を開示していない。
Yivへの米国特許5,707,648号は油相および水相を含む2相性の液体充填カプセルを開示している。水相は水(2〜30重量%)およびPEG(60〜95重量%)を含み、ここでPEGの水に対する比は2:1以上または2:1〜99:1である。製剤はまた界面活性剤および活性剤を必要とする。PEGはフィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するために十分な量で存在する。Yivはシクロデキストリンの使用を開示していない。
Curatolo等への米国特許出願2003/0133974号はセルトラリンを含有するカプセル化剤型を開示しているが、剤型は水非混和性の担体溶媒を含む。
シクロデキストリンおよびその誘導体は疎水性化合物の水溶性を向上させるために液体製剤において広範に使用されている。シクロデキストリンは澱粉から誘導される環状炭水化物である。未修飾のシクロデキストリンはシリンダー状の構造内に共に結合しているグルコピラノース単位の数が異なっている。親シクロデキストリンはグルコピラノース単位6、7または8個を含む、そして、α−、β−およびγ−シクロデキストリンとそれぞれ
称される。各シクロデキストリンサブユニットは2位および3位に第2ヒドロキシル基、および、6位に第1ヒドロキシル基を有する。シクロデキストリンは親水性の外表面および疎水性の内空洞を有する中空の切断された垂体として形象される。水溶液においては、これらの疎水性の空洞は、これらの空洞内にその構造の全体または部分を適合させることができる疎水性の有機化合物に対する避難所を与える。包接複合体形成と称されるこの過程は複合化薬剤の見かけの水溶性および安定性を増大させる。複合体は疎水性相互作用により安定化され、如何なる共有結合の形成も含まれない。
親シクロデキストリンの化学修飾(通常はヒドロキシ部分における)はシクロデキストリンの複合体形成能を保持または進歩させながらある程度進歩した安全性を有する誘導体をもたらしている。多くの種々のシクロデキストリン誘導体が現在入手可能であり、その例は、スルホブチルエーテル誘導体、例えばSBE1−β−CDおよびSBE4−β−CD、(置換度〜4)、SBE7−β−CD、(置換度〜7;CAPTISOL(R)シクロデキストリン);ヒドロキシプロピル誘導体、例えばENCAPSINTM(置換度〜4;HP4−β−CD)およびMOLECUSOLTM(置換度〜8;HP8−β−CD);カルボキシル化誘導体;硫酸化誘導体;アルキル化誘導体;ヒドロキシアルキル化誘導体;メチル化誘導体;およびカルボキシ−β−シクロデキストリン、例えばスクシニル−β−シクロデキストリン、6A−アミノ−6A−デオキシ−N−(3−カルボキシプロピル)−β−シクロデキストリンである。
SAE−CDは負荷電のシクロデキストリンのクラスであり、アルキルスペーサー、塩形態、置換度および原料親シクロデキストリンの性質において多様である。シクロデキストリン分子当たり平均約7置換基を有するベータ−シクロデキストリン(SBE7−β−CD)のスルホブチルエーテル誘導体のナトリウム塩はCAPTISOL(R)シクロデキストリンとしてCyDex,Inc.(Kansas)により販売されている。
Figure 2006503047
アニオン系スルホブチルエーテル置換基は親シクロデキストリンの水溶性を劇的に向上させる。CAPTISOL(R)シクロデキストリンとの薬剤の可逆の非共有結合の複合体形成は一般的に、水溶液中の薬剤の水溶性および安定性を増大させる。
多くの参考文献がシクロデキストリン、水性または非水性のベヒクル、活性剤および他の薬学的な賦形剤を含むフィル組成物を含むカプセル剤型を開示している。
Wilson等への米国特許6,287,594号およびMeyer等への米国特許6,365,180号はカプセル剤型に含むことができる経口液体組成物を開示している。液体組成物は酸性の活性剤、分散剤、可溶化剤(0〜90重量%または60〜90重量%)、場合により界面活性剤(0〜10重量%)および場合により可塑剤(0〜25重量%)を含有する。分散剤は炭水化物系の物質、例えば「誘導シクロデキストリン」であることができる。可溶化剤は水またはポリ(エチレングリコール)である。活性剤の分散剤に対する比は約3:1〜約1:30である。特許はシクロデキストリンが水性フィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止できることを開示していない。さらに、シクロデキストリンを含む実施例は開示されていない。
Chen等への米国特許6,383,471号はイオン化可能な疎水性の活性剤、イオン化剤、界面活性剤および場合により可溶化剤、トリグリセリドおよび中和剤を含む液体組成物を開示している。液体組成物はカプセル中で使用することができる。Chen等は可溶化剤はシクロデキストリンを他の多くの化合物に含めることができると開示している。スルホニルエーテルシクロデキストリンが例示されるシクロデキストリンとして記載されている。Chen等はシクロデキストリンが水性フィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するために十分な量で存在することを開示または示唆してい
ない。
Stella等への米国特許6,046,177号および5,874,418号はSAE−CDおよび活性剤の非水性の固体の物理的混合物を含むカプセル剤型を開示している。物理的混合物は液体または半固体の組成物ではなく、そして水はシクロデキストリンおよび活性剤の間の包接複合体の形成を低減するために物理的混合物中に含有されない。Stella等はシクロデキストリンがフィル組成物中の水によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するために十分な量で存在できることを開示していない。
Stella等への米国特許5,376,645号および5,134,127号は活性剤、SAE−CDおよび液体または固体の担体を含む医薬組成物を開示している。SAE−CDおよび活性剤は包接複合体として存在する。Stella等は一般的に、「活性成分(SAE−CDおよび活性剤の包接複合体を含有する混合物)が水または油状物と混合されたソフトゼラチンカプセル」を開示している。彼等はまた「担体が液体である経口投与に適する薬学的製剤は水性の液体または非水性の液体中の溶液として、または、水中油または油中水の乳液として好都合に提示される」ことを開示している。Stella等はSAE−CDがフィル組成物中の水によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するために十分な量で水性フィル組成物(カプセル用)中に存在できることを開示していない。更にまた、Stella等はSAE−CDが活性剤との包接複合体を形成しなければならない複合体を開示している。
Parmerter等への米国特許3,426,011号はスルホアルキルエーテル置換基を有するアニオン性のシクロデキストリン誘導体を開示している。Parmerter等はカプセル内に含まれる水性組成物中のスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの使用を開示していない。Lammers等(Recl.Trav.Chim.Pays−Bas(1972),91(6),733−6742);Staerke(1971),23(5),167−71)はスルホアルキルエーテル誘導シクロデキストリンを開示しているが;水性フィル組成物によるシェルの溶解、腐食または分解を低減または停止するためのシクロデキストリンの使用は開示していない。
フィル組成物中の水による溶解、腐食、膨潤または分解に対抗してシェルを安定化させる進歩したカプセルフィル組成物がなお必要とされている。当該技術の何れも本明細書に記載した本発明を開示または示唆していない。従来技術はフィル組成物がSAE−CDのような誘導シクロデキストリン、活性剤および水性担体を含み、そして誘導シクロデキストリンがフィル組成物中の水によるカプセルシェルの溶解、腐食、膨潤または分解を低減または停止するために十分な量で存在する、カプセルのための水性フィル組成物を開示してない。更にまた、従来技術は、フィル組成物中に誘導シクロデキストリンを含有させることにより水性フィル組成物を包囲する水溶性、水腐食性、水膨潤性または水分解性のカプセルシェルを安定化させる方法を開示または示唆していない。
本発明は他の知られた製剤に固有の不都合な点の一部または全部を克服することを目的としている。本発明は水性フィル組成物を充填されたカプセルを製造でき、そして充填されたカプセルの許容可能なシェルフライフの間にカプセルシェルの顕著な分解、腐食、膨潤または溶解を起こすことなく保存できる、ハードまたはソフトカプセル中に用いるための経済的に実現可能な組成物を提供する。本発明はカプセル剤型およびそのための水性フィル組成物を提供する。カプセルはソフトまたはハードシェルを有する。1つの特徴において、本発明はスルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)系(誘導シクロデキストリン系)水性フィル組成物を提供する。フィル組成物は水性ベヒクル、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)、活性剤および場合により他の成分を含む。シェルは一般的に水溶性、水腐食性、水膨潤性または水分解性の物質から製造されるが;水溶性、水腐食性、水膨潤性または水分解性でないシェル物質も使用できる。SAE−CD、または他の誘導シクロデキストリンはフィル組成物中の水によるシェルの溶解、腐食、膨潤または分解を低減または停止するために十分な量で存在する。換言すれば、誘導シクロデキストリンは誘導シクロデキストリンを排除した、即ち誘導シクロデキストリンが水または他の非シェル安定化物質で置き換えられた同様のフィル組成物と比較した場合に、フィル組成物によるシェルの溶解、腐食、膨潤または分解を低減する。他のシェル安定化物質の非存在下においては、SAE−CDはフィル組成物中の水により誘発されたカプセルシェルの溶解、腐食、膨潤または分解に対抗してカプセルシェルを安定化させる。
カプセル剤型はシェルおよびSAE−CDまたは水溶性誘導シクロデキストリンを含む水性フィル組成物を含む。他のシェル安定化物質の非存在下において、そして、シェルを構成する物質に応じて、フィル組成物は存在する水およびSAE−CDまたは誘導シクロデキストリンの総重量に基づいて、SAE−CDまたは誘導シクロデキストリンを少なくとも約30重量%含有することができる。所望の程度のシェル安定化を得るために必要とされる誘導シクロデキストリンの量はシェルの組成およびフィル組成物を構成する物質により変動する。シェルが水に対してより安定性となるほど、必要とされる誘導シクロデキストリンの量は低下する。シェルの水に対する安定性が低下するほど、必要とされる誘導シクロデキストリンの量は増大する。他のシェル安定化物質の非存在下においては、フィル組成物は水およびSAE−CDの総重量に基づいて水約70重量%未満を含む。充填されたカプセルの最短シェルフライフは少なくとも1週間、2週間、3週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月または1年または約1年超の長さである。
本発明はまた水性フィル組成物を包囲する水溶性、水腐食性または水分解性のカプセルシェルを安定化する方法を提供する。方法は、SAE−CDまたは誘導シクロデキストリンがフィル組成物中の水により誘発されるカプセルシェルの溶解、腐食、膨潤または分解を低減または停止するために十分な量で存在するようにフィル組成物中にSAE−CDまたは誘導シクロデキストリンを含有させる工程を含む。
フィル組成物は所望により他のシェル安定化物質および/または他の水分活性低下物質を含有できる。フィル組成物はまたカプセルフィル組成物中で使用するために適する他の成分も含有できる。
誘導シクロデキストリンがその安定化作用をカプセルシェルに対して発揮するためには、活性剤は必ずしも誘導シクロデキストリンと複合体化する必要はない。フィル組成物は活性剤1つまたは1つより多くを含有でき、そして、各活性剤は独立して誘導シクロデキストリンと複合体化してもしなくてもよい。
ハードまたはソフトシェルカプセル中の使用またはフィル組成物のカプセル封入に適する如何なるシェル形成物質も本発明において使用できる。
SAE−CD製剤は市販の製品として使用するために十分高度な安定性を有する。製剤は滅菌濾過(例えばフィルター孔径0.22μm以下)および他の好都合な方法により滅菌される透明な水性組成物として製造できる。水性組成物は種々の保存条件下において安定である。SAE−CDは非共有結合イオン結合により、および/または封入複合体の形成を介した複合体形成により、活性剤の溶解性を増強するために使用できる。
フィル組成物はそこに含有される成分の実体および量に応じて透明であってもなくてもよい。保存中にフィル組成物の透明性は変化してもしなくてもよい。換言すれば、フィル組成物の成分1種またはそれ以上は保存中に更に溶解または沈殿してもよい。水含有組成物であるフィル組成物はゲル、シロップ、液体、半固体、固体、懸濁液、乳液、ペーストまたはガラス状物質であることができる。
従って、本発明の1つの特徴は、水腐食性、水分解性、水膨潤性または水溶性のシェル
(またはカプセル化物質)中の水性フィル組成物を提供し、フィル組成物は、水、誘導シクロデキストリン1つまたは1つより多く、場合により活性剤1つまたは1つより多くおよび場合により賦形剤1つまたは1つより多くを含み、ここで誘導シクロデキストリンはフィル組成物によるシェルの腐食、分解、膨潤または溶解を低減または停止するために十分な量で存在する。
本発明の特定の実施形態は、1)誘導シクロデキストリンがSAE−CDであり、水とSAE−CDの総重量に基づいて少なくとも約30重量%の量で存在する;2)フィル組成物が更にシェル安定化物質を含む;3)フィル組成物が約1〜11のpHを有する;4)フィル組成物が賦形剤1つまたは1つより多くを含む;5)シェルがソフトシェルである;6)シェルがハードシェルである;7)フィル組成物の水分活性が本明細書に記載した操作法により測定した場合に約0.95未満である;8)フィル組成物が更に溶解性増強剤を含む;9)SAE−CDが活性剤1つまたは1つより多くと複合体化する;10)SAE−CDは活性剤1つまたは1つより多くと複合体化しない;11)フィル組成物が更に水以外の液体担体を含む;12)フィル組成物が液体である;13)フィル組成物が半固体である;14)フィル組成物が固体である;15)フィル組成物が5℃またはそれ以上の温度、25℃またはそれ以上の温度、35℃またはそれ以上の温度、45℃またはそれ以上の温度、または50℃またはそれ以上の温度で製造されている;16)製剤が概ね周囲温度の温度で製造されている;17)SAE−CDまたは誘導シクロデキストリンが水性フィル組成物の水分活性を低下させる;18)シェルがハードゼラチンシェルであり、そして、フィル組成物が誘導シクロデキストリン少なくとも60重量%含む;19)シェルがソフトゼラチンシェルであり、そして、フィル組成物が誘導シクロデキストリン少なくとも50重量%含む;20)シェルがセルロース、セルロース誘導体、デンプン、デンプン誘導体またはその組み合わせおよび場合により他の賦形剤を含むハードシェルであり、そして、フィル組成物が誘導シクロデキストリン少なくとも30重量%を含む;および/または21)フィル組成物が更に水分活性低下物質を含むものを包含する。
本発明はまた第2のカプセル内の第1のカプセルを提供する。この場合、第1および/または第2のカプセルは水性フィル組成物を含有できる。
本発明の別の特徴はフィル中に存在する水によるそのシェルの腐食、溶解、膨潤または分解に対抗して水性組成物充填カプセルを安定化させる方法を提供し、その方法は、誘導シクロデキストリンを排除した同様のフィル組成物、即ち誘導シクロデキストリンが水およびシェルを安定化させない別の物質(非シェル安定化物質)で置き換えられたフィル組成物によるシェルの腐食、溶解、膨潤または分解の速度と比較してフィル組成物中の水によるシェルの腐食、溶解、膨潤または分解を低速化または停止するために十分な量で存在する誘導シクロデキストリンを水性フィル中に含有させる工程を含む。誘導シクロデキストリンは他のシェル安定化物質の非存在下、および、場合により存在下のいずれかにおいて、フィル組成物中の水によるシェルの腐食、溶解、膨潤または分解に対抗してシェルを安定化することができる。
本発明の更に別の特徴はカプセル化物質内に封入された水性フィル組成物を提供し、フィル組成物は誘導シクロデキストリンおよび水性担体を含み、ここで、誘導シクロデキストリンはフィル組成物の水分活性を低下させることにより水性フィル中の水によるカプセル化物質の腐食、溶解、膨潤または分解の速度を低減するために十分な量で存在する。フィル組成物の水分活性は一般的には約0.95±0.025未満、0.95±0.01未満、0.925未満または0.90未満にまで低下する。好ましい水分活性値は、フィル中に存在する成分に応じて、そして、カプセルシェルそのものの組成物に応じて変動してよい。観察される水分活性値はまた、それを測定するために使用される機器並びに機器のカリブレーションおよび機器により行われる測定の再現性(標準偏差として表示)に応じても変動する場合がある。好ましい水分活性値はまたシェルの組成に応じて変動する。一般的に、フィル組成物が何れかの他のシェル安定化物質を含有しない場合は、シェルの水安定性が高いほど、フィル組成物の水分活性を高くでき、そしてシェルの水安定性が低いほど、フィル組成物の水分活性は低くなければならない。
本発明の特定の実施形態は、1)誘導シクロデキストリンがSAE−CD、HPCD、フィル組成物の水分活性を低下できる水溶性誘導シクロデキストリンまたはそれらの混合物である;2)フィル組成物が更にシェル安定化物質を含む;3)フィル組成物が更に水分活性低下剤を含む;4)フィル組成物が更に活性剤を含む;および/または5)フィル組成物が更に薬学的賦形剤1つまたは1つより多くを含むものを包含する。
本発明は更に、水性フィル組成物の水分活性を低下させる方法であって、方法はフィル組成物の水分活性を低下させるために十分な濃度で水性組成物中に水溶性の誘導シクロデキストリンを含有させる工程を含む上記方法を提供する。
本発明は更に、制御性、徐放性、延長性、遅延性、急速性、パルス性、定時性、標的性、結腸溶解性、ゼロ次性、擬似ゼロ次性、一次性、擬似一次性および/または腸溶性の放出特性に従う活性剤の放出を与えるカプセル製剤を提供し、ここで活性剤の放出は使用環境への曝露後、即座(30分未満)または遅延時間(30分以上)経過後に開始する。換言すれば、薬剤の初期放出は即時または遅延並びに本発明に記載した変更された放出特性に従って放出されることができる。カプセル製剤はコーティングされたカプセル、未コーティングカプセル、浸透圧調節カプセル、カプセル内カプセルまたは多層カプセルであることができる。
本発明はまた、下記成分:
水溶性、水腐食性、水分解性および/または水膨潤性のシェル;および、
シェルを溶解、腐食、分解および/または膨潤するのに十分な量で存在する水、活性物質1つまたは1つより多く、および、フィル組成物中の水によるシェルの溶解、腐食、分解および/または膨潤を抑制するのに十分な量で存在する水溶性シクロデキストリン誘導体を含む水性フィル組成物を含むカプセルであって、カプセルが少なくとも1週間のシェルフライフを有するものを提供する。
本発明の別の実施形態は、少なくとも1週間のシェルフライフを有する安定化カプセル製剤であって、製剤が下記成分:
水溶性、水腐食性、水膨潤性および/または水分解性のシェル;および、
水溶性シクロデキストリン誘導体、水性担体および場合により活性剤1つまたは1つより多くを含む水溶性フィル組成物;を含み、ここでカプセル製剤はシクロデキストリン誘導体および何れかの他のシェル安定化剤を除いた同様の製剤と比較して延長されたシェルフライフを有し;水性担体中の水はシェルを少なくとも部分的に溶解、腐食、膨潤および/または分解するために十分な量で存在し;そして、シクロデキストリン誘導体は水性担体中の水によるシェルの溶解、腐食、膨潤または分解を低速化するか排除するために十分な量で存在する上記製剤を提供する。
本発明の更に別の実施形態は、
水溶性、水腐食性、水膨潤性および/または水分解性のカプセル化物質内に封入された水性フィル組成物であって、フィル組成物は下記成分:
カプセル化物質を少なくとも部分的に溶解、腐食、膨潤および/または分解するために十分な量で存在する水性担体;
水性担体によるカプセル化物質の溶解、腐食、膨潤および/または分解を自身で停止するには不十分な量で存在する水溶性シクロデキストリン誘導体;
水性担体によるカプセル化物質の溶解、腐食、膨潤および/または分解を自身で停止するには不十分な量で存在するシェル安定化物質;
場合により、活性剤1つまたは1つより多く;および、
場合により、賦形剤1つまたは1つより多く;
を含み、ここで、
シクロデキストリン誘導体およびシェル安定化物質は相乗作用的に、水性担体によるカプセル化物質の溶解、腐食、膨潤および/または分解を少なくとも低速化または停止する、上記組成物を提供する。
特定の実施形態においては、1)水性フィル組成物は水混和性である;2)活性剤は治療有効量で存在する;3)活性剤は治療有効未満量で存在する;4)活性剤は水中でやや溶解性、僅かに溶解性、極めて僅かに溶解性、実質的に不溶性または不溶性である;5)活性剤は水中よりも水性フィル組成物中においてより溶解性である;6)活性剤は水中で溶解性、高度に溶解性または極めて溶解性である;7)活性剤は誘導シクロデキストリンと複合体化して包接複合体および/または非共有結合イオン性複合体を形成する;8)活性剤は本明細書に記載する活性剤または治療薬類から選択される;9)フィル組成物は更にアルコールを含む;10)フィル組成物は更に水混和性ヒドロキシ部分含有物質、例えばポリオール、グリコール、重合体グリコール、アルコールまたは飽和グリコール化グリセリド、PEG660の12−ヒドロキシステアレート(SOLUTOLTM−15)を含む;11)水溶性シクロデキストリン誘導体は胃腸管や水性の液体のような使用環境への放出時に活性剤を可溶化するために十分な量で存在する。
本発明の他の特徴、利点および実施形態は以下の説明および付随する実施例により当業者には明らかにされる。
以下の図面は本明細書の部分であり、本発明の特定の特徴を更に説明するために記載する。本発明は本明細書に記載する特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つまたは1つより多くを参照することにより、より良好に理解される。
図1はフィル組成物中に存在する誘導シクロデキストリン(SBE−CDまたはHPCD)の濃度の、フィル組成物を含有するソフトゼラチンカプセルLFB(Bannerより入手した親油性フィルシェル)およびLFC(Cardinalより入手した親油性フィルシェル)のHSIT評点と、そしてフィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。
図2はフィル組成物中に存在するシクロデキストリンの濃度の、フィル組成物を含有するソフトゼラチンカプセルHFB(Bannerより入手した親水性フィルシェル)およびHFC(Cardinalより入手した親水性フィルシェル)のHSIT評点と、そしてフィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。
図3はフィル組成物中に存在するシクロデキストリンの濃度の、種々のカプセルシェル、即ちHGC(Capusugelより入手したハードゼラチンカプセル)、HGS(Shionogiより入手したハードゼラチンカプセル)、HPC(Capsugelより入手したハードヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)、HPS(Shionogiより入手したハードヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)、SSS(Swisscapsより入手したソフトスターチカプセル)のHSIT評点との関係を示すグラフである。
図4は親水性フィルソフトゼラチンカプセルと接触させながらおいた種々のシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体を含む種々の水性フィル組成物のHSIT評点のグラフである。
図5はフィル組成物中のPEG(ポリ(エチレングリコール))の濃度と、フィル組成物を含むソフトゼラチンカプセルのフィル組成物のHSIT評点と、そして、フィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。
図6a〜6bはシクロデキストリンの濃度、PEGの濃度および水の濃度と、親水性フィル組成物と共に使用するために適するものとして製造者等により認識されているソフトゼラチンカプセルのHSIT評点の関係を示す3元グラフである。
図7a〜7bはシクロデキストリンの濃度、PEGの濃度および水の濃度と、親油性フィル組成物と共に使用するために適するものとして製造者等により認識されているソフトゼラチンカプセルのHSIT評点の関係を示す3元グラフである。
図8はSBEを含むフィル組成物中の水の濃度と、フィル組成物を含有するソフトゼラチンカプセルのフィル組成物のHSIT評点と、そして、フィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。異なる線は異なるPEG濃度を示す。
図9はフィル組成物中のポリ(ビニルピロリドン)(PVP)の濃度と、フィル組成物を含有するソフトゼラチンカプセルのフィル組成物のHSIT評点と、そして、フィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。
図10a〜10iはシクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、種々のカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。
図11は塩酸フェキソフェナジン(FEX)を含有する市販の錠剤およびSAE−CD、FEXおよび水を含有する本発明のカプセルの溶解特性を示す。
〔発明の詳述〕
本明細書において、本発明による「水性フィル組成物」という用語はカプセルまたは他のカプセル化された剤型、例えばコーティング剤型のためのフィルとして使用され、そして、水およびSAE−CDを含有する組成物を意味し、ここで水はフィル組成物の少なくとも約10重量%、15重量%、17重量%または20重量%の量で存在する。SAE−CDのような水溶性シクロデキストリンの非存在下においては、水は、少なくとも所定のシェルフライフの間においてカプセルが安定ではないという水準にまでカプセルのシェルを少なくとも部分的に腐食、溶解、分解または膨潤するために十分な量で存在する。フィル組成物は液体、溶液、懸濁液、分散液、マイクロエマルジョン、粒子塊、乳液、ゲル、ガラス状物、半固体、シロップ、クリーム、溶融性固体または固体であることができる。他のシェル安定化物質の非存在下において、そして、シェルを構成する物質に応じて、フィル組成物はフィル組成物の総重量に関して水約70重量%までを含有でき、そしてフィル組成物の残余は水溶性シクロデキストリン誘導体、場合により活性剤1つまたは1つより多く、場合により水分活性低下剤、場合によりシェル安定化物質および場合により賦形剤1つまたは1つより多くを含む。一部の特定の実施形態においては、水性のフィル組成物は水混和性である。従って、水溶性シクロデキストリン誘導体は水性フィル組成物中の水がシェルを分解、腐食、溶解または膨潤させる能力を抑制する。
以下に示す表は水性フィル組成物への曝露によりソフトゼラチンシェルに対して行った予備安定性試験の結果を示す。試料は実施例1に記載の通り調製し、様々な量の水およびSAE−CDを含有するものとした。
Figure 2006503047
上記したデータによれば、SAE−CD40重量%未満を含有するBANNER PHARMACAPSより入手したソフトゼラチンシェルは試験した条件下では不安定であった。SAE−CDの濃度を上昇させるにつれて、フィル組成物に対するシェルの安定性は増大した。SAE−CDを50重量%以上含有するソフトゼラチンカプセルは少なくとも1週間安定であった。SAE−CD55重量%以上を含有するものは少なくとも10日間安定であり、60重量%以上含有するものは少なくとも3週間安定であった。出願人等は、約1週間のシェルフライフを有するカプセルは使用前に活性物質を調合する薬局において使用するために適している。
同じ試験をCARDINAL HEALTHより入手したゼラチンカプセルに対して実施した。結果を以下の表に示す。
Figure 2006503047
上記したデータによれば、SAE−CD40重量%未満を含有するCARDINAL HEALTHより入手したソフトゼラチンシェルは試験した条件下では不安定であった。SAE−CDの濃度を上昇させるにつれて、フィル組成物に対するシェルの安定性は増大した。SAE−CDを50重量%以上含有するソフトゼラチンカプセルは少なくとも1週間安定であった。SAE−CD55重量%以上を含有するものは少なくとも2週間安定であり、60重量%以上含有するものは少なくとも21日間安定であった。
ソフトゼラチンカプセルは、カプセルが少なくとも1週間のシェルフライフを有するように水およびSAE−CDの総重量を基にして、または、フィル組成物の総重量を基にして50重量%またはそれ以上の量で存在するSAE−CDを組成物に含有させることにより、フィル組成物中の水による溶解、腐食、膨潤または分解に対抗して安定化される。より高濃度のSAE−CDはより長期のシェルフライフを与える。
HPCD、即ちヒドロキシプロピル誘導シクロデキストリンを上記した条件と同様の条件下で同じHFB、LFB、HFCおよびLFCソフトゼラチンカプセルを用いて評価した。結果を以下の表に示す。
Figure 2006503047
ソフトゼラチンカプセルは、カプセルが少なくとも1週間のシェルフライフを有するように水およびHPCDの総重量を基にして60重量%またはそれ以上の量で存在するHPCDを組成物に含有させることにより、フィル組成物中の水による溶解、腐食、膨潤または分解に対抗して安定化される。より高濃度のHPCDはより長期のシェルフライフを与える。
図1は誘導シクロデキストリンの濃度、HSIT(ハーフシェル一体性試験)評点および水分活性の間の関係のチャートを示す。SBE(約6.5〜7.5の置換度(DS)を有するスフホブチルエーテルシクロデキストリン)は、約50重量%以上の量で存在する場合、LFBおよびLFCソフトゼラチンカプセルに対し少なくとも1週間の安定性をもたらした。同様に、HPCD(約5.5の置換度(DS)を有するヒドロキシプロピルシクロデキストリン)は、約60重量%以上の量で存在する場合、LFBおよびLFCソフトゼラチンカプセルに対し少なくとも1週間の安定性をもたらした。
図2は誘導シクロデキストリンの濃度とHSIT(ハーフシェル一体性試験)評点の間の関係のチャートを示す。SBE(約6.5〜7.5の置換度(DS)を有するスフホブチルエーテルシクロデキストリン)は、約50重量%以上の量で存在する場合、LFBおよびLFCソフトゼラチンカプセルに対し少なくとも1週間の安定性をもたらした。同様に、HPCD(約5.5の置換度(DS)を有するヒドロキシプロピルシクロデキストリン)は、約60重量%以上の量で存在する場合、LFBおよびLFCソフトゼラチンカプセルに対し少なくとも1週間の安定性をもたらした。DMCDの達成可能な再高濃度は約42重量%であり、そしてその濃度においては、シェルの安定性は僅かに増大したのみであった。
図3はSBEシクロデキストリンの濃度と、HGC(CAPSUGELより入手したハードゼラチンカプセル)、HGS(SHIONOGIより入手したハードゼラチンカプセル)、HPC(CAPSUGELより入手したハードヒドロキシプロピルメチルセルロースシェル)、およびHPS(SHIONOGIより入手したハードヒドロキシプロピルメチルセルロースシェル)、およびSSS(SWISSCAPSのソフト澱粉シェル)のHSIT(ハーフシェル一体性試験)評点との関係のチャートを示す。得られた安定性はカプセルゲルの組成に依存していた。ハードゼラチンカプセルの場合は、約60重量%以上のSBE濃度で少なくとも1週間の安定性が得られた。ハードヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルの場合は、約40重量%以上のSBE濃度で少なくとも2週間の安定性が得られた。ソフト澱粉カプセルの場合は、約30重量%以上のSBE濃度で少なくとも1週間の安定性が得られた。
親シクロデキストリンはSAE−CDおよびHPCDと比較して限定された水溶性を有する。未誘導α−CDは飽和時で約14.5重量%の水溶性を有する。未誘導β−CDは飽和時で約1.85重量%の水溶性を有する。未誘導γ−CDは飽和時で約23.2重量%の水溶性を有する。これらの濃度においては、これらの親シクロデキストリンはフィル組成物中の水による溶解、腐食、膨潤または分解に対抗してソフトゼラチンカプセルを安定化することができない。ジメチルシクロデキストリン(DMCD)は飽和時に43重量%の水溶液を形成する。この濃度においては、DMCDはフィル組成物中の水による溶解、腐食、膨潤または分解に対抗してソフトゼラチンカプセルを安定化することができない。図4はHSIT評点とソフトゼラチンカプセルに曝露されたフィル組成物中に存在する場合のこれらのシクロデキストリンの濃度との間の関係を示すチャートである。
ハードシェルカプセルおよびソフトシェルカプセルはその厚み、架橋の量、剛性、組成、形状および他の点において異なる。従って、ソフトシェルカプセルを充填するために適する水性フィル組成物はハードシェルカプセルを充填するには適当でなく、その逆も同様である。即ち、当業者は本明細書、特に実施例2に記載する選択/評価の操作法に従って、フィル組成物中の誘導シクロデキストリンの濃度に対する適切な概ねの初期条件を選択できる。
CAPSUGEL(R)より入手した2種のハードシェルカプセルを評価した。従来のハードゼラチンカプセル(HCAP)およびハードHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセル(VCAP)はSBE−CD(スルホブチルエーテルシクロデキストリン)の濃度が異なる水溶液を用いて同一条件下において評価した。評価の結果を以下の表に記載する。
Figure 2006503047
SBEまたは他のシェル安定化物質の非存在下においては、これらのシェル物質は水による腐食、溶解、膨潤および分解に対して不安定であった。試験条件下においては、SBEシクロデキストリンはフィル組成物の30重量%以上の濃度であっても14日間以上VCAPシェルを安定化させることができた。本試験においては、14日間以降のモニタリングは中断した。
特定の機序に制約されないが、水性フィル組成物中に存在する誘導シクロデキストリンの濃度を上昇させることにより、フィル組成物に関する水分活性が低下すると考えられる。以下に示す表は水分活性と約20〜25℃または周囲温度における水中のシクロデキストリンまたは一部のシェル安定化物質の濃度との関係を総括したものである。
Figure 2006503047
上記した数値は概数値であり、機器ごとに変動する場合がある。これらの数値は本明細書に記載した水分活性測定器において本明細書に記載した操作法に従って測定した。数値はまた特定の機器の標準偏差内で変動する場合がある。更にまた、使用する機器の精度および再現性並びに既知水分活性を有する標準溶液を用いた機器のカリブレーション法によっても数値は変動する可能性がある。
試験条件下においては、ジメチルシクロデキストリン(DMCD;43重量%;DMCDの概ねの飽和濃度)および水を含有する溶液の水分活性は概ね0.996であった。評価したフィル組成物を含有する全てのSAE−CDまたはHPCDは透明であった。
図1に示すとおり、水溶性誘導シクロデキストリンの濃度が上昇するにつれてフィル組成物の水分活性は低下し、一方、フィル組成物のHSIT評点は上昇する。このことは、SAE−CDのような水溶性誘導シクロデキストリンが水性フィル組成物の水分活性を低下させることができ、そしてその結果、フィル組成物に接触しているシェルの安定性(シェルフライフ)を向上させることを意味している。ソフトゼラチンカプセル中のSAE−CDについては、約0.95未満または約0.94未満の水分活性を有するフィル組成物はフィル組成物に対するシェルの安定性を向上させる。
従って本発明はまたカプセル中の水性フィル組成物の水分活性を低下させる方法を提供し、方法は、本明細書に記載した方法および機器により測定した場合に約0.95±0.015未満にまで水分活性を低下させるために十分な量でフィル組成物中に誘導シクロデキストリンを含有させる工程を含む。再現性および精度の標準偏差は水分活性を測定するために使用する実験条件またはオペレーターの熟練度により拡大または狭小化する場合がある。典型的には、±0.02の標準偏差が許容可能である。フィル組成物中の水の活性は水溶性誘導シクロデキストリンまたは水溶性誘導シクロデキストリンとシェル安定化物質若しくは水分活性低下物質のような他の成分1つ若しくは1つより多くとの組み合わせにより低下させることができる。
PEGはカプセルのための水性フィル組成物中のフィル物質として使用され、シェル安定化物質として認められている。本発明者等はそれの他の特性のうち、水分活性を低下させるPEGの能力は、このフィル組成物中におけるその有用性に起因するものと考える。図5はフィル組成物中のPEGの濃度とソフトゼラチンカプセルのフィル組成物のHSIT評点と、そして、フィル組成物の水分活性との関係を示すチャートである。PEGの濃度が上昇するに従って、フィル組成物の水分活性は低下し、一方、フィル組成物のHSIT評点は上昇する。ソフトゼラチンカプセル中のPEGに関しては、約0.95未満または約0.9±0.02未満の水分活性を有するフィル組成物がフィル組成物に対するシェルの安定性を向上させている。
上記したデータによれば、水溶性ポリ(ビニルピロリドン)は効果的な水分活性低下剤である。
フィル組成物中に許容できる水の最大量は存在するSAE−CDの量、他のシェル安定化物質および/または水分活性低下剤の有無、シェルの組成、フィル組成物のpH、カプセルの保存条件、フィル組成物の製剤および他の変動要因により変動する。
水性フィル組成物は誘導シクロデキストリン、水分活性低下剤および水性担体を含むことができ、ここで誘導シクロデキストリンおよび水分活性低下剤は共に、約0.95未満または約0.90±0.02未満にまで水分活性を低下させるために十分な量で存在する。1つの実施態様においては、誘導シクロデキストリンおよび水分活性低下剤の何れも、所望の数値まで水分活性を独立して低下させるために十分な量では存在しない。換言すれば、水分活性低下物質および誘導シクロデキストリンは共に、何れかの物質単独のシェル安定化作用よりも高い、進歩した、付加的な、または相乗作用的な増強をもたらす。
水分活性低下剤はフィル組成物の水分活性を低下させることができる化合物または化合物の混合物である。フィル組成物中の水分活性低下剤の濃度を上昇させるとフィル組成物の水分活性が低下する。シェル安定化物質はまた水分活性低下剤としても機能できる。本明細書において、シェル安定化物質は水性フィル組成物によるシェルの溶解、腐食、膨潤または分解を最小限にするためにフィル組成物中に含有される物質(シクロデキストリン誘導体以外)の1つまたは1つより多くである。好適な物質には、PEG(ポリ(エチレングリコール);特に水溶性または水膨潤性のPEG)、グリコール、ポリオール、グリセリン、プロパンジオール、界面活性剤、洗剤、石鹸、ベンジルアルコール、糖、塩、濃厚化剤、湿潤剤、平衡性保護剤、潮解剤、水素化グルコースシロップ(リカシン)、マンニトール、トリアセチン、テトラグリコール、PVP(特に水溶性または水膨潤性のPVP)およびこれらの組み合わせが包含される。シェル安定化物質1つまたは1つより多くをフィル組成物中の誘導シクロデキストリン1つまたは1つより多くと組み合わせて使用できる。同様に、水分活性低下物質1つまたは1つより多くをフィル組成物中の誘導シクロデキストリン1つまたは1つより多くと組み合わせて使用できる。
シェル安定化物質が存在する場合は、それは、フィル組成物中の水による分解、腐食、溶解または膨潤に対抗して自身でシェルを安定化させるために不十分な量で存在することができる。換言すれば、別のシェル安定化物質が存在するとき、誘導シクロデキストリンはフィル組成物に由来する水による溶解、腐食、膨潤または分解に対抗してシェルを安定化させるために存在することが必要な場合がある。
同様に、シェル安定化物質および誘導シクロデキストリンが存在する場合は、誘導シクロデキストリンはそれ自身でシェルを安定化させるために十分な量で存在できる。換言すれば、誘導シクロデキストリンはシェルを安定化させるためにはシェル安定化物質をやはり必要とする。シェル安定化物質の非存在下においては、誘導シクロデキストリンがそのために十分な量で存在する限り、誘導シクロデキストリンはそれ自身でシェルを安定化することができる。本発明はまたそれぞれが本明細書に記載するシェルをそれ自身で安定化するために十分な量で存在する実施形態も包含する。
PEGはSAE−CDを含む水性フィル組成物のシェル安定化特性に対して有益な作用を有しているということが見い出された。図6aはフィル組成物中のSAE−CD、水およびPEGの濃度をフィル組成物に曝露されたソフトシェルカプセルのHSIT評点に相感づける三元グラフを示す。PEG、SAE−CDおよび水の種々の量を含む水性フィル溶液を製造した。安定性試験は以下に示すとおり実施した。本明細書に記載するHFCソフトゼラチンカプセルを使用した。40重量%のSBE−CD、40重量%の水および20重量%のPEGを含む組成物では、シェルは5日間より長い期間安定であった。35重量%のSBE−CD、35重量%の水および30重量%のPEGを含む組成物では、シェルは5日間より長い期間安定であった。18重量%のSBE−CD、42重量%の水および40重量%のPEGを含む組成物では、シェルは5日間より長い期間安定であった。試験した条件の各々の下において、対照試料はSAE−CDを排除、即ち水およびPEGのみを記載の濃度で含有させたところ、24時間以内に劣化した。HFB(図6b)、LFB(図7a)およびLFC(図7b)のソフトゼラチンカプセルについても概ね同様の結果が得られた。SAE−CD濃度を記載濃度より高値まで上昇させたところ、シェルのシェルフライフは更に向上し、HSIT評点は少なくとも4となる。安定化水性フィル組成物含有カプセル製剤は以下のフィル組成物を使用すれば各カプセルを用いて得ることができる。
Figure 2006503047
図8はフィル組成物の水の濃度とフィル組成物に曝露されたソフトゼラチンカプセルのHSIT評点とフィル組成物の水分活性を相関づけるグラフである。図8のデータは図6bと同様のデータを異なる表示にしたものである。フィル組成物は水、SBE−CDおよびPEGを含み、そしてフィル組成物はPEGを水性SBE−CD含有溶液と混合することにより作成した。水の濃度は全フィル組成物中の水の濃度として表示する。図8に示した結果に基づけば、SBE−CD、PEGおよび水を含むフィル組成物はフィル組成物の水分活性が約≦0.90±0.02である限り、安定なソフトゼラチンカプセル製剤を形成する。
水、SAE−CDおよびPEGを含む水性フィル組成物を含有するカプセルの特定の実施形態は、以下の基準を用いることにより本発明に従って製造できる。
1.水はフィル組成物の50%以下を構成し、そしてSAE−CD、PEG、場合により賦形剤1つまたは1つより多く、および、場合により活性剤1つまたは1つより多くの組み合わせはフィル組成物の50%以上を構成し;ここでSAE−CDはフィル組成物の重量の90%まで(85%、83%または80%)を構成し、そしてPEGはフィル組成物の重量のそれぞれ90%未満を構成するが、SAE−CDがフィル組成物の重量の5%以下を構成する場合はPEGは45%以上であり、そして、PEGが45%未満である場合は、PEG(好ましくは水溶性または水膨潤性)およびSAE−CDの両方が存在すればSAE−CDは18%以上である。
2.水はフィル組成物の45%以下を構成し、そしてSAE−CD、PEG、場合により賦形剤1つまたは1つより多く、および、場合により活性剤1つまたは1つより多くの組み合わせはフィル組成物の50%以上を構成し;ここでSAE−CDはフィル組成物の重量の90%まで(85%、83%または80%)を構成し、そしてPEGはフィル組成物の重量のそれぞれ90%未満を構成するが、SAE−CDがフィル組成物の重量の5%以下を構成する場合はPEGは45%以上であり、そして、PEGが45%未満である場合は、PEG(好ましくは水溶性または水膨潤性)およびSAE−CDの両方が存在すればSAE−CDは10%以上である。
従って、本発明は、水性担体、および、腐食、溶解、分解または膨潤に対抗してシェルを自身で安定化させるために不十分な量で存在する第1のシェル安定化物質を含む水性フィル組成物を含有するカプセル製剤のシェルフライフを延長する方法を提供し、方法はフィル組成物中に誘導シクロデキストリンを含有させる工程を含む。このようにすることにより、第1のシェル安定化物質および誘導シクロデキストリンは共同してカプセル製剤のシェルフライフを向上させる。このことは、水性フィル組成物による腐食、溶解、分解または膨潤に対抗して自身でシェルを安定化させるためには不十分な量で誘導シクロデキストリンが存在する場合であっても行われる。
誘導シクロデキストリンおよび他のシェル安定化物質(または水分活性低下剤)の一方または両方が、シェルを安定化させるためにはそれ自身では不十分である量で存在する場合は、シクロデキストリンおよび他のシェル安定化物質(または水分活性低下剤)は共同して相乗作用的にシェルを安定化させる。
本発明はまた、水溶性、水腐食性、水膨潤性および/または水分解性のシェル並びに誘導シクロデキストリンおよび水性担体を含む水性フィル組成物を含む水安定化カプセル製剤を提供し、ここでカプセル製剤は誘導シクロデキストリンを排除した同様のカプセル製剤と比較して延長されたシェルフライフを有する。
意外にも、PVPはそれ自身で(誘導シクロデキストリンの非存在下で)も水性フィル組成物に曝露されたシェルを安定化できる。図9はフィル組成物中の水溶性PVPの濃度と、フィル組成物に曝露されたソフトゼラチンカプセルのHSIT評点と、フィル組成物の水分活性を相関付けるグラフである。データはPBP少なくとも約25〜30重量%を含有する水性フィル組成物はフィル組成物中の水に対抗してシェルを安定化できることを示している。PVP25〜30重量%を含有する溶液は約0.996±標準偏差以下の水分活性を有する。従って、本発明はまた水性フィル組成物中の水による腐食、溶解、膨潤または分解に対抗してシェル物質を安定化させる方法を提供し、方法は、シェルを安定化させるために十分な量でフィル組成物中に水溶性PVPを含有させる工程を含む。
図10a〜10iはフィル組成物中のSAE−CD、水およびPVPの濃度をフィル組成物に曝露されたソフトシェルカプセルのHSIT評点に相関付ける3元グラフである。種々の量のPVP、SAE−CDおよび水を含む水性フィル溶液を調製した。安定性試験は以下に記載するとおり実施した。以下のカプセル、即ち、SHIONOGI HGC(ハードゼラチンカプセル)(図10a)、CAPSUGEL HPMCハードシェルカプセル(図10b)、SHIONOGI HPMCハードシェルカプセル(図10c)、CAPSUGEL HGC(図10d)、VEGAGELハードシェルカプセル(図10e)、親水性フィル等級CARDINAL SGC(ソフトゼラチンカプセル)(図10f)、親油性フィル等級CARDINAL SGC(図10g)、親水性フィル等級BANNER SGC(図10h)および親油性フィル等級BANNER SGC(図10i)を使用した。他のシェル安定化物質は評価したフィル組成物中に含有させなかった。結果は使用したカプセルに応じて変化した。安定化水性フィル組成物含有カプセル製剤は、後述するフィル組成物1つまたは1つより多くを使用する場合に各カプセルについて得ることができる。
1−水はフィル組成物の55%以下を構成し、そしてSAE−CD、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多く、および、場合により活性剤1つまたは1つより多くの組み合わせはフィル組成物の45%以上を構成し;ここでSAE−CDはフィル組成物の重量の90%まで(85%、83%または80%)を構成し、そしてPVPはフィル組成物の重量のそれぞれ90%未満を構成するが、ただしSAE−CDがフィル組成物の重量の15%以下を構成する場合はフィル組成物が35%以上のPVPを含み、そしてPVP(好ましくは水溶性または水膨潤性)およびSAE−CDの両方が存在する。
2−水はフィル組成物の45%以下を構成し、そしてSAE−CD、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多く、および、場合により活性剤1つまたは1つより多くの組み合わせはフィル組成物の55%以上を構成し;ここでSAE−CDはフィル組成物の重量の90%まで(85%、83%または80%)を構成し、そしてPVPはフィル組成物の重量のそれぞれ90%未満を構成するが、ただしSAE−CDがフィル組成物の重量の20%以下を構成する場合はフィル組成物が35%以上のPVPを含み、そしてPVP(好ましくは水溶性または水膨潤性)およびSAE−CDの両方が存在する。
3−水はフィル組成物の70%以下を構成し、そしてSAE−CD、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多く、および、場合により活性剤1つまたは1つより多くの組み合わせはフィル組成物の30%以上を構成し;ここでSAE−CDはフィル組成物の重量の90%まで(85%、83%または80%)を構成し、そしてPVPはフィル組成物の重量のそれぞれ90%未満を構成するが、ただしSAE−CDがフィル組成物の重量の15%以下を構成する場合はPVPは35%以上であり、そして、PVPが35%以下である場合は、水が50%以上であればSAE−CDは15%超であり、そしてここでPVP(好ましくは水溶性または水膨潤性)およびSAE−CDの両方が存在する。
4−水はフィル組成物の65%以下を構成し、そしてSAE−CD、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多く、および、場合により活性剤1つまたは1つより多くの組み合わせはフィル組成物の35%以上を構成し;ここでSAE−CDはフィル組成物の重量の90%まで(85%、83%または80%)を構成し、そしてPVPはフィル組成物の重量のそれぞれ90%未満を構成するが、ただしPVP(好ましくは水溶性または水膨潤性)およびSAE−CDの両方が存在する。
5−水はフィル組成物の45%以下を構成し、そしてSAE−CD、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多く、および、場合により活性剤1つまたは1つより多くの組み合わせはフィル組成物の55%以上を構成し;ここでSAE−CDはフィル組成物の重量の90%まで(85%、83%または80%)を構成し、そしてPVPはフィル組成物の重量のそれぞれ90%未満を構成し、ここでPVP(好ましくは水溶性または水膨潤性)およびSAE−CDの両方が存在する。
6−水はフィル組成物の50%以下を構成し、そしてSAE−CD、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多く、および、場合により活性剤1つまたは1つより多くの組み合わせはフィル組成物の50%以上を構成し;ここでSAE−CDはフィル組成物の重量の90%まで(85%、83%または80%)を構成し、そしてPVPはフィル組成物の重量のそれぞれ90%未満を構成するが、ただしSAE−CDがフィル組成物の重量の15%以下を構成する場合はフィル組成物が35%以上のPVPを含み、そしてPVP(好ましくは水溶性または水膨潤性)およびSAE−CDの両方が存在する。
水、SAE−CD、PVP、場合により存在する薬剤および場合により存在する賦形剤に関する上記数値は、加算すればフィル組成物の100重量%までとなる。使用するシェルに応じて、上記した範囲に従って作成したフィル組成物は水性フィル組成物を含有するカプセルにつき、少なくとも「3」のHSIT評点を与える。
以下に示す表は少なくとも「3」のHSIT評点をカプセルが有する本発明のカプセルを得るための図10a〜10iにおいて観察されたデータの一部を総括したものである。
Figure 2006503047
試験した条件の各々の下において、対照試料はSAE−CDを排除、即ち水およびPVPのみを記載の濃度で含有させたところ、24時間以内に劣化した(図9参照)。SAE−CDおよび/またはPVP濃度を上記または3元グラフに記載した数値より高く上昇させれば、シェルのシェルフライフが更に延長されるか少なくとも4のHSIT評点が得られる。
本明細書において、「水安定性カプセルシェル」という用語は、そこに含まれる水性フィル組成物に対して少なくとも所定の時間だけ安定とされているシェルを指し、ここで安定性は水性フィル組成物中の水によるシェルの腐食、分解、溶解または膨潤に関して表される。水安定性カプセルシェルは、シェル内に含有される水性フィル組成物中の誘導シクロデキストリンおよび場合によりシェル安定化物質および/または水分活性低下剤の存在により、延長されたシェルフライフを有している。
本発明のカプセルは1週間、3週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月または1年以上の保存シェルフライフを有する。この場合、シェルフライフはフィル組成物中の水によるシェルの腐食、溶解、膨潤または分解に対抗するシェルの安定性に関してのみ測定される。例えば、少なくとも6ヶ月のシェルフライフを有するカプセルの場合は、カプセルのシェルは少なくとも6ヶ月間の保存期間の間、フィル組成物に由来する水によるシェルの腐食、溶解、膨潤または分解によっては、保存安定性試験に不合格とならない。許容できるシェルフライフに関する基準は所定のカプセル製品およびその保存安定性基準により必要とされるとおり設定される。一週間もの短期のシェルフライフは薬剤師により調合され、薬局の顧客に販売される製品に適している。
本明細書においては、製薬上許容しうる液体担体は水、有機溶媒、有機化合物またはその組み合わせのような製薬技術において使用されている何れかの水性または非水性の媒体である。
シェルはハードまたはソフトであることができ、そしてこのようなシェルを製造するために適する何れかの物質を本発明のカプセルにおいて使用できる。カプセルシェルの製造のために適する物質は、ソフトゼラチン、ハードゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、澱粉、動物性ゼラチン、寒天、魚(魚類)ゼラチンまたはその組み合わせを含む。他の適当な物質はポリビニルアルコール/ポリビニルアセテート共重合体(米国特許3,300,546号);ヒドロキシブチルメチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースのブレンド物(米国特許4,765,916号);ポリ酢酸ビニル(米国特許2,560,649、3,346,502号);水溶性ゼラチン(米国特許3,525,426号);ポリビニルアルコール(米国特許3,528,921号、3,534,851号、3,556,765号、3,634,260号、3,671,439号、3,706,670号、3,857,195号、3,877,928号、4,367,156号、4,747,976号、5,270,054号);塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリジン、フラン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、アクリルアミド、エチレン、プロピレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、上記した酸の何れかの塩およびこれらの混合物のような単量体から誘導した重合体;ポリ塩化ビニル;ポリプロピレン;アクリル/マレイン酸共重合体;ポリアクリル酸ナトリウム;ポリビニルピロリドン;グルコマンナンおよび場合によりグリセリンのような多価アルコールを有する他の天然の多糖類(米国特許4,851,394号);プラスチックおよびポリラクチド/ポリグリコリド(Elanco Animal Health CO.);HPMC(Shionogi Qualicaps Co.,Ltd(Nara Japan);SUHEUNG CAPSULES CO.LTD.(KYUNGGI−DO,KOREA)およびCapsugel);またはこれらの組み合わせを包含する。カプセルシェルの製造のためのものとして当業者に知られている本質的に如何なる物質も本発明のカプセルに使用できる。適切な澱粉カプセルはVilivalam等(Pharmaceutical Science & Technology Today(2000),3(2),64−69)に従って製造し、使用することができる。結腸デリバリーのためのキトサンカプセルはYamamoto(Kobunshi(1999),48(8),595)またはTozaki等(Drug Delivery System(1997),12(5),311−320)に従って製造し、使用することができる。
以下の供給元のカプセルをここでは評価した。
Banner Pharmacapsの親水性および親油性のフィル、ソフトゼラチンカプセル(SGC)。
Cardinal Healthの親水性および疎水性のフィルSGC。
Swiss Caps VegaGel亜麻仁油充填、バレイショ澱粉ソフトカプセル。
Shionogi Qualicaps Posilokハードゼラチンカプセル(HGC)およびQualiV(HPMC)カプセル。CapsugelHGCおよびVcap(HPMC)カプセル。「シェル」という用語は、本明細書においては、フィル組成物をカプセル化するために使用される、カプセル剤型のシェルまたは容器化またはカプセル化物質を意味するものとする。カプセルシェルの形成において、または、別の組成物のカプセル化において使用するために適する何れかの物質を本発明により使用できる。本発明の水性組成物は水腐食性、水溶性、水膨潤性および/または水分解性のシェルまたはカプセル化物質により包囲される。
他の適当なシェル物質はR.P.Scherer Technologies Inc.(Cardinal Health,Inc.)への米国特許出願公開2002/0081331に記載されており、これは変性澱粉およびイオタ−カラギーナンを含む膜形成組成物を開示している。
本発明の製剤は下記式1:
Figure 2006503047
[式中、
nは4、5または6であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は各々独立して−O−または−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 -基であり、ここでR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の少なくとも1つは独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 -基、好ましくは−O−(CH2)mSO3 -基ただしmは2〜6、好ましくは2〜4であるもの(例えば−OCH2CH2CH2SO3 -または−OCH2CH2CH2CH2SO3 -)であり;そして、
1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9は各々独立してカチオン、例えばH+、アルカリ金属(例えばLi+、Na+、K+)、アルカリ土類金属(例えばCa+2、Mg+2)、アンモニウムカチオンおよび有機アミンカチオン、例えば(C1−C6)アルキルアミン、ピペリジン、ピラジン、(C1−C6)アルカノールアミンおよび(C4−C8)−シクロアルカノールアミンのカチオンである]のスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含むことができる。
SAE−CDはポリ−アニオン性シクロデキシトリンであるため、異なる塩形態で製造することができる。好適な対イオンは、カチオン性有機原子または分子及びカチオン性無機原子または分子を含む。
SAE−CDは、1種の対イオンまたは異なる対イオンの混合物を含むことができる。SAE−CDの性質は存在する対イオンを変えることにより変性するとができる。例えば、SAE−CDの第1塩形態はSAE−CDの異なる第2塩形態よりも大きな水活性低下能力を持つことができる。同様に、第1の置換度のSAE−CDは異なる置換度の第2のSAE−CDよりも大きな水活性低下能力を持つことができる。
製剤中に使用されるSAE−CDはStella等への米国特許5,376,645号および5,134,127号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。製造工程は可能な最大濃度において適切な温度、例えば70℃〜80℃において、水性基剤中にシクロデキストリンを溶解することを含む。例えば、本明細書においてシクロデキストリンを製造するためには、存在する第1CDヒドロキシル基のモル数に相当する適切なアルキルスルホンの量を激しく攪拌しながら添加し、不均質な相の最大接触を確実に行う。1つの実施形態によれば、SAE−CDはSBE−7−β−CD(CAPTISOL(R)シクロデキストリン)またはSBE−4−β−CD(ADAVASEP(R))である。他の知られた操作法により製造されたSAE−CDもまたSAE−CDが水分活性を低下させる能力を有する限り本発明における使用に適するはずである。
本明細書においては「アルキレン」および「アルキル」という用語(例えば−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 -基またはアルキルアミンにおいて)は、直鎖、環状および分枝鎖の、飽和または不飽和(即ち二重結合1つを含む)の、それぞれ、2価のアルキレン基および1価のアルキル基を包含する。これに関連して「アルカノール」という用語は、アルカノール基の直鎖、環状および分枝鎖の、飽和または不飽和のアルキル部分を包含し、ここでヒドロキシル基はアルキル部分の何れかの位置に存在してよい。「シクロアルカノール」という用語は未置換または置換(例えばメチルまたはエチルにより)された環状アルコールを包含する。
本発明は2つまたは2つより多い異なる種類のシクロデキストリンがフィル組成物に含まれるシクロデキストリンの混合物を含有する組成物を提供する。異なる種類とは、異なる種類の官能基、例えばヒドロキシアルキルおよびスルホアルキルで誘導されたシクロデキストリンを意味し、置換の程度が異なることによる誘導シクロデキストリンの異質の性質を指すものではない。存在するシクロデキストリンの各々の種類の量は所望の特性を有する混合物が得られるように、必要に応じて変化させることができる。
本発明はまた1種のシクロデキストリン誘導体、または1種のシクロデキストリン誘導体少なくとも50%を含有する組成物を提供する。本発明はまた狭小または広範囲の、そして、高い、または低い置換度のシクロデキストリン誘導体を含有する組成物も包含する。これらの複合物は特定の性質を有するシクロデキストリンが得られるように必要に応じて最適化できる。
本発明のシクロデキストリン誘導体は精製された組成物、即ちシクロデキストリン誘導体少なくとも50%を含有する組成物として得られる。換言すれば、誘導シクロデキストリンは未誘導シクロデキストリンの少量(50重量%未満)を含有できる。好ましい実施形態においては、シクロデキストリン90重量%を含む精製された組成物が得られる。
本発明の組成物の一部においては、未反応/未誘導のシクロデキストリンは実質的に除去されており、残余の不純物はシクロデキストリン誘導体含有組成物の性能に関しては無視できるものとされている。
例示されるSAE−CD誘導体は、式1においてそれぞれn=5、5、5および6であり;mが4であり;そして4、7、11および4個のスルホアルキルエーテル置換基が存在するSAE−CD誘導体に相当するSBE4−β−CD、SBE7−β−CD、SBE11−β−CDおよびSBE4−γ−CDを包含する。これらのSAE−CD誘導体は様々な程度で水溶性の乏しい活性剤の溶解度を上昇させることがわかっている。
「複合体化された」とは、「クラスレートまたは包接複合体の部分である」という意味であり、即ち、複合体化された活性剤はシクロデキストリン誘導体とのクラスレートまたは包接複合体の部分である。
活性剤/CD複合体とは、一般的にシクロデキストリン誘導体および活性剤のクラスレートまたは包接複合体を意味する。分子複合体中に存在する活性剤:CDの比は変動することができ、モル基準で約10〜約0.1の範囲である。即ちCDは必然的にではないが一般的には活性剤過剰量で存在する。過剰量は使用する特定の薬品(薬剤)および特定のCD誘導体の間の包接複合体形成に関する薬剤の固有溶解度、薬剤の予測用量および結合定数により決定される。シクロデキストリン誘導体は未複合体化形態で、従って、存在する活性剤の量より実質的に過剰な量で存在することができることに留意しなければならない。誘導シクロデキストリンの活性剤に対する重量比またはモル比は100、1000またはそれより高値を超えることができる。
イオン化シクロデキストリン誘導体が正荷電の酸イオン化可能な化合物とイオン結合1つまたは1つより多くを形成できる条件下では、誘導シクロデキストリンは低い濃度で存在でき、そして、化合物の誘導シクロデキストリンに対する比は1より大きいことができる。従って、化合物は包接複合体により誘導シクロデキストリンと複合体化すること、および、誘導シクロデキストリンに非共有結合的にイオン結合することが可能である。
これらの誘導シクロデキストリンは官能基、官能基中の炭素数、分子量、誘導シクロデキストリンを形成するために使用される骨格シクロデキストリンに含まれるグルコピラノース単位の数、および、その置換パターンにより、置換度が異なる。更に、官能基によるβ−シクロデキストリンの誘導体化は厳密ではないが制御された態様で起こる。このため、置換度は実際はシクロデキストリン当たりの官能基の平均数を示す数である(例えば、SBE7−β−CDはシクロデキストリン当たり平均7置換を有する)。更に、シクロデキストリンのヒドロキシル基の置換の位置化学はヘキソース環の特定のヒドロキシル基の置換に関して変動する。このため、異なるヒドロキシル基の置換が誘導シクロデキストリンの製造中に起こる可能性があり、そして、特定の誘導シクロデキストリンは排他的または特異的ではないが優先的な置換パターンを有する。このように仮定すれば、特定の誘導シクロデキストリンの分子量はバッチごとに変動する場合があり、そして誘導シクロデキストリンごとに変動する。このような変動の全ては複合体系性の平衡定数K1:1の変化をもたらす場合があり、次にこれが誘導シクロデキストリンの活性剤に対する必要なモル比に影響する。平衡定数はまた、温度によっても幾分変動し、そして、製造、保存、輸送および使用の間に起こりえる温度の変化の間に薬剤が可溶性のまま存続するためにその比における許容度が必要となる。平衡定数はまたpHによっても変動し、そして、製造、保存、輸送および使用の間に起こりえるpHの変化の間に薬剤が可溶性のまま存続するためにその比における許容度が必要となる。平衡定数はまた他の賦形剤(例えば緩衝剤、保存料、抗酸化剤)の存在によっても変動する。従って、誘導シクロデキストリンの活性剤に対する比は上記した変動要因を補償するために本明細書に記載した比から変動することが必要な場合がある。
HPCDはResearch Diagnostics Inc.(Flanders,NJ)より入手可能である。HPCDは種々の置換度のものが入手できる。例示される製品にはENCAPSINTM(置換度〜4;HP4−β−CD)およびMOLECUSOLTM(置換度〜8;HP8−β−CD)が包含されるが;他の置換度の実施形態も可能である。HPCDは非イオン性であるため、塩形態では入手できない。本発明の他の誘導シクロデキストリンの場合と同様、置換度の変化はHPCDがシェルを安定化させる能力の変化をもたらす場合がある。使用したHPCDの1つの等級はC☆Cavitron82005(Cerestar USA,Inc.Hammond,IN)であった。これは平均置換度5.5を有している。
ジメチルシクロデキストリンはFLUKA Chemie(Buchs,CH)またはWacker(Iowa)より入手可能である。本発明において適している他の誘導シクロデキストリンは水溶性誘導シクロデキストリンを包含する。例示される水溶性誘導シクロデキストリンはカルボキシル化誘導体;硫酸化誘導体;アルキル化誘導体;ヒドロキシアルキル化誘導体;メチル化誘導体;およびカルボキシ−β−シクロデキストリン、例えばスクシニル−β−シクロデキストリン、6A−アミノ−6A−デオキシ−N−(3−カルボキシプロピル)−β−シクロデキストリンを包含する。これらの物質の全ては従来技術の知られた方法に従って製造できる。好適な誘導シクロデキストリンはModified
Cyclodextrins:Scaffolds and Templates for Supramolecular Chemistry(Eds.Chrisopher J.Easton,Stephen F.Lincoln,Imperial College Press,London,UK,1999)およびNew Trends in Cyclodextrins and Derivatives (Ed.Dominique Duchene,Editions de Sante,Paris,France,1991)に記載されている。
必須ではないが、本発明の製剤は保存料、抗酸化剤、緩衝剤、酸性化剤、アルカリ化剤、抗細菌剤、抗カビ剤、着色料、溶解性増強剤、複合体形成増強剤、溶媒、電解質、塩、水、グルコース、安定化剤、張力調節剤、消泡剤、油脂、可塑剤、フレーバー、甘味料、水性フィルカプセルにおいて使用するための当該分野で知られた他の賦形剤、またはこれらの組み合わせを包含する。
複合体形成増強剤は本発明の水性液体製剤に添加できる。複合体形成増強剤は誘導シクロデキストリンとの活性剤の複合体形成を増強する化合物である。複合体形成増強剤が存在する場合は、誘導シクロデキストリンの活性剤に対する必要な比は、より少ない誘導シクロデキストリンが必要とされるように変化させる必要がある場合がある。好適な複合体形成増強剤は薬理学的に不活性の水溶性重合体、ヒドロキシ酸、およびシクロデキストリンとの特定の薬剤の複合体形成を増強するために液体製剤中に典型的に使用される他の有機化合物を包含する。好適な水溶性重合体は水溶性天然重合体、水溶性半合成重合体(例えばセルロースの水溶性誘導体)および水溶性合成重合体を包含する。天然の重合体はイ
ヌリン、ペクチン、アルギン誘導体および寒天のような多糖類、およびカゼインおよびゼラチンのようなポリペプチドを包含する。半合成重合体はメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、その混合エーテル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他の混合エーテル、例えばヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびカルボキシメチルセルロースおよびその塩、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムを包含する。合成重合体はポリオキシエチレン誘導体(ポリエチレングリコール)およびポリビニル誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリスチレンスルホネート)およびアクリル酸の種々の共重合体(例えばカーボマー)を包含する。好適なヒドロキシ酸は例えば、限定するものではないが、クエン酸、リンゴ酸、乳酸および酒石酸、および、当業者の知る他のものを包含する。
溶解性増強剤は本発明の水性液体製剤に添加できる。溶解性増強剤は液体組成物中の活性剤の溶解性を増強する化合物である。溶解度増強剤が存在する場合、誘導シクロデキストリンの活性剤に対する比はより少ない誘導シクロデキストリンが必要とされるように変化させる必要がある場合がある。好適な溶解性増強剤は1つまたは1つより多くの有機溶媒、洗剤、石鹸、界面活性剤および特定の薬剤の溶解性を増強するために非経腸製剤において典型的に使用されている他の有機化合物を包含する。好適な有機溶媒は例えばエタノール、グリセリン、ポリ(エチレングリコール)、プロピレングリコール、ポリ(プロピレングリコール)、ポロキサマーおよび当業者の知る他の物質を包含する。
本明細書においては、「アルカリ化剤」という用語は製品の安定性のためのアルカリ媒体を提供するために使用される化合物を意味するものとする。このような化合物は、例えば、限定するものではないが、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、有機アミン塩基、アルカリ性アミノ酸およびトロラミンおよび当業者の知る他の物質を包含する。
本明細書においては、「酸性化剤」という用語は製品の安定性のための酸性媒体を提供するために使用される化合物を意味するものとする。このような化合物は、例えば、限定するものではないが、酢酸、酸性アミノ酸、クエン酸、フマル酸、および他のアルファヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸、リン酸、硫酸、酒石酸および硝酸、および、当業者の知る他の物質を包含する。
本明細書においては「保存料」という用語は微生物の生育を防止するために使用される化合物を意味するものとする。このような化合物は、例えば、限定するものではないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メタクレゾール、塩化ミリスチルガンマピコリニウム、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チモール、および、メチル、エチル、プロピルまたはブチルパラベン、および当業者の知る他の物質を包含する。
本明細書においては、「抗酸化剤」という用語は、酸化を抑制する、即ち酸化過程による製剤の劣化を防止するために使用される薬剤を意味するものとする。このような化合物は、例えば、限定するものではないが、アセトン、重炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、クエン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ヒドロキシリン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸
ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオグリコール酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、EDTA(エデテート)、ペンテテートおよび当業者の知る他の物質を包含する。
本明細書においては、「緩衝剤」という用語は希釈または酸もしくはアルカリの添加時のpHの変化に抵抗するために使用される化合物を意味するものとする。このような化合物は、例えば、限定するものではないが、酢酸、酢酸ナトリウム、アジピン酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、クエン酸、マレイン酸、1塩基性リン酸ナトリウム、2塩基性リン酸ナトリウム、乳酸、酒石酸、グリシン、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、1塩基性酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムの無水物および2水和物、および、当業者の知る他の物質を包含する。
本明細書においては、「安定化剤」という用語は、これを添加しない場合には薬剤の治療活性を低下させる物理的、化学的または生化学的な過程に対抗して活性剤を安定化させるために使用される化合物を意味するものとする。適当な安定化剤は、例えば、限定するものではないが、アルブミン、シアル酸、クレアチニン、グリシンおよび他のアミノ酸、ナイアシンアミド、ナトリウムアセチルトリプトホネート、酸化亜鉛、スクロース、グルコース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、カプリル酸ナトリウムおよびサッカリンナトリウムおよび当業者の知る他の物質を包含する。
本明細書においては、「着色料」という用語は薬学的調製物を彩色するために使用される化合物を意味するものとする。このような化合物は、例えば、限定するものではないが、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、D&C Green No.5、D&C Orange No.5、D&C Red No.8、カラメルおよび酸化鉄(黒、赤、黄色)、他のFD&C染料および天然の着色剤、例えばブドウ果皮抽出液、ビート赤色粉末、ベータカロテン、アナトー、カルミン、ターメリック、パプリカ、これらの組み合わせ、および当業者の知る他のこのような物質を包含する。
本発明のカプセルは油脂、例えば固定油、魚油、ピーナツ油、ゴマ油、綿実油、コーン油およびオリーブ油;脂肪酸、例えばオレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸;および脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル、イソプロピルミリステート、脂肪酸グリセリドおよびアセチル化脂肪酸グリセリドを包含する。カプセルはまた、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセロールおよびプロピレングリコール;グリセロールケタール類、例えば2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール;エーテル類、例えばポリ(エチレングリコール)450;石油炭化水素、例えば鉱物油およびワセリン;水;これらの混合物;または、製薬上適当な界面活性剤、懸濁剤または乳化剤を包含する。
石鹸および合成洗剤は洗剤組成物用の界面活性剤として、そして、ベヒクルとして使用してよい。好適な石鹸は脂肪酸アルカリ金属、アンモニウムおよびトリエタノールアミンの塩を包含する。好適な洗剤はカチオン系洗剤、例えばジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライドおよびアルキルアミンアセテート;アニオン系洗剤、例えばアルキル、アリールおよびオレフィンのスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテルおよびモノグリセリドのスルフェートおよびスルホスクシネート;非イオン系洗剤、例えば脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミドおよびポリ(オキシエチレン)−ブロック−ポリ(オキシプロピレン)共重合体;両性洗剤、例えばアルキルβ−アミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾリン第4級アンモニウム塩;およびこれらの混合物を包含する。
本明細書においては、「張力調節剤」という用語は液体製剤の張力を調節するために使用できる化合物を意味するものとする。好適な張力調節剤は、グリセリン、乳糖、マンニトール、デキストロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム。ソルビトール、トレハロースおよび当業者の知る他の物質を包含する。
本明細書においては、「消泡剤」という用語はフィル組成物の表面上に形成する泡沫形成を防止または低減する化合物を意味するものとする。好適な消泡剤は例えば、限定するものではないが、ジメチコン、シメチコン、オクトキシノールおよび当業者の知る他の物質を包含する。
医薬品分野で使用される化合物は一般的に種々の機能または目的のために作用することを理解すべきである。即ち、本明細書に記載する化合物が1回のみ言及された場合、または、本明細書の用語の1つまたは1つより多くを定義するために使用された場合、その目的または機能は記載された目的または機能にのみ限定されるものではないものとする。
沈殿またはゲルの形成に関する本発明のフィル組成物の化学安定性は、液体担体のpHの調節により増強してよい。
フィル組成物のpHは一般的に約pH1〜約pH11の範囲で変動するが;中性、塩基性または酸性のpH値を有するフィル組成物もまた調製できる。酸性フィル組成物はそのシェルがフィル組成物中の酸に対して安定であるカプセルに適している。同様に塩基性のフィル組成物はそのシェルがフィル組成物中のアルカリ性物質に対して安定であるカプセルに適している。
カプセルからの活性剤の放出特性は、カプセル/カプセル化製剤に関して知られた何れかの放出特性であることができる。例えば、経口投与の後、活性剤の放出は胃溶性(胃の内部での放出)、遅延(胃より下流の胃腸管の内部での放出)、腸溶性(小腸の内部での放出)または結腸溶性(結腸の内部での放出)であることができる。カプセルからの活性剤の放出は急速または徐放性の(延長または制御された)放出であることができる。徐放性カプセルはMiyao(Pharma.Tech.Jpn.(1988),4(2),141−3)に従って製造でき、水性フィル組成物を含有できるように本発明に従って改変できる。制御放出カプセルはOkahata(Sen’I Gakkaishi(1987),43(12),482−488)に従って製造でき、水性フィル組成物を含有できるように本発明に従って改変できる。ハードゼラチンカプセルはBerezovskayaら(Khim.−Farm.Zh.(1978),12(10),87−97)に従って製造でき、水性フィル組成物を含有できるように本発明に従って改変できる。マイクロカプセル化剤型はLuzzi(Drugs Pharm.Sci.(1976),3(microencapsulation),193−206)に従って製造でき、水性フィル組成物を含有できるように本発明に従って改変できる。
TARGITTM結腸デリバリー(West Pharmaceutical Service(Nottingham,UK;米国特許6,228,396号)のカプセル技術を用いながら、澱粉カプセルをインジェクション成型し、そして次に、EUDRAGITTMLおよびEUDRAGITTMSのような可塑化腸溶性重合体の混合物でカプセルをコーティングすることにより、本発明に従ってカプセルを製造できる。コーティングの厚みを変化させることにより末端回腸、上行結腸、横行結腸または下行結腸への薬剤デリバリーが達成できる。
BANNER PHARMACAPS(Highpoint,North Carolina)は一連のソフトゼラチンカプセルをGELATIN BINARY SYSTE
(R)の商標名で製造しており、このカプセルは薬剤の腸デリバリーに適合されている。これらの未コーティングカプセルはゼラチン物質そのもの内に組み込まれた腸溶性放出特性のため、薬剤の腸デリバリーを達成する。このようなカプセルは本発明によりフィル組成物をデリバリーするために使用できる。
本発明の腸放出および結腸放出性のカプセルは固体の非水性の腸および結腸放出性の剤型よりも実質的に有利である。特に結腸デリバリーに関しては、本発明のカプセル内に含まれる水は結腸内のフィル組成物の分布に寄与し、非水性結腸デリバリー剤型で必須であるとおり、デリバリー以前の腸内でのフィル組成物の溶解の過程を回避する。カプセルはまた、他の剤型と比較して、結腸および小腸において増大した浸透圧を有する。その結果、本発明のカプセルは薬剤放出を増強するために増大した浸透圧を使用することができる。
本発明はまたカプセル内にカプセルを含む実施形態を包含する。内部および/または外部のカプセルは本発明の水性フィル組成物または他の組成物を含有できる。このような系はBakhshaee等(PCT国際特許出願WO02/07710A2(01/31/2002)に従って製造でき、水性フィル組成物を含有できるように本発明に従って改変できる。
液体組成物のカプセルへの負荷または充填は液体、ゲル、半固体または固体の溶融充填カプセルを製造するための何れかの知られた方法により達成できる。特に、R.P.Scherer company,AlzaまたはMW Encap Ltd.の記載した方法を用いることができる。1つの例示される方法はBowtle(Pharmaceutical Technology Europe(1998),10(10), 84,86,88−90)に記載されている。
2相性の放出特性を有する液体充填カプセルは、Bowtle(International Journal of Pharmaceutics(1996)141(1−2),9−16)に従って製造でき、本明細書に記載する水性フィル組成物を含有できるように本明細書に記載するとおり改変できる。
多層カプセルはIshibashi等(Int.J.Pharm.(1998),168,31−40)に従って製造でき、本明細書に記載する水性フィル組成物を含有できるように本発明に従って改変できる。多層カプセルはカチオン性重合体の層、次に水溶性または水腐食性の物質の層、そして最後に約5またはそれ以上のpHで溶解する物質を含む外層でコーティングされた内部のカプセルを有する。このカプセルはフィル組成物の内容物が最内層のシェルの破壊、腐食または溶解により突然放出されるように所定の遅れ時間のある遅延放出(胃の後での放出)をもたらす。
ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)はカプセルのコーティング物質として使用できる。この物質はカプセルに含まれる活性剤の腸放出のために適している。PVAPでコーティングされたカプセルを対象に経口投与する場合、活性剤は胃から下流のGI管内で放出される。
フィル組成物はPEGまたはソフトゼラチンシェルの架橋結合に影響することがわかっている他の同様の物質を必要としないため、カプセル剤型は一般的に保存中に起こる架橋結合を免れている。
本発明のフィル組成物は多くの異なる方法により製造できる。1つの方法によれば、誘導シクロデキストリンおよび場合により賦形剤1つまたは1つより多くを含む第1の水溶
液を製造する。次に活性剤および場合により賦形剤1つまたは1つより多くを含む第2の溶液を製造する。最後に、第1および第2の溶液を混合してフィル組成物を形成する。第1および第2の溶液は独立して本明細書に記載する他の賦形剤および薬剤を含むことができる。更にまた、第2の溶液は水系および/または有機溶媒系の溶液であることができる。
製造の別の方法は、第2の溶液の形成を行うことなく第1の溶液に直接活性剤を添加すること以外は上記した方法と同様である。
フィル組成物を製造する第3の方法は第1の溶液の形成を行うことなく活性剤を含有する第2の水溶液に直接誘導シクロデキストリンを添加すること以外は上記した第1の方法と同様である。
フィル組成物を製造する第4の方法は粉末または粒状の誘導シクロデキストリンに活性剤を含む水溶液を添加し、そして、誘導シクロデキストリンが溶解するまで溶液を混合する工程を含む。
フィル組成物を製造する第5の方法は粉末または粒状の誘導シクロデキストリンに直接活性剤を添加し、そして、次に水溶液を添加し、そして誘導シクロデキストリンおよび活性剤が溶解するまで混合する工程を含む。
フィル組成物を製造する第6の方法は第1の溶液を加熱するか、または、第2の溶液を加熱するか、または、上記した方法に記載した何れかの溶液の組み合わせを加熱する工程、その後の各加熱溶液を冷却する工程を含む。
フィル組成物を製造するための別の方法は誘導シクロデキストリンの溶液を濃縮する工程を含む。濃縮の工程は蒸発、ドラム乾燥、トレー乾燥または組成物中の水の量を低減するための他の従来の方法により行うことができる。
上記した溶液の何れも、本明細書に記載した他の製薬用の賦形剤または成分を含有できる。
フィル組成物を製造する方法の特定の実施形態は、方法が更に、1)孔径約0.22μmまたはそれ以下のろか媒体を通してフィル組成物を滅菌濾過すること;2)放射線照射によりフィル組成物を滅菌すること;3)エチレンオキシドで処理することによりフィル組成物を滅菌すること;4)不活性ガスでフィル組成物をパージすることによりその溶存酸素の量を低減すること;および/または5)フィル組成物を製造するために使用される溶液1つまたは1つより多くを加熱すること、という工程を含む。
単位剤型は活性成分のある量および希釈剤または担体を含有する単用量また多用量の剤型であり、その量は所定の単位の1つまたは1つより多くが通常は単回の治療投与に必要とされるようにする。カプセルのような多用量剤型の場合は、この所定単位とは、多用量剤型の半分または四分の一のような分割量の1つである。何れかの患者に対する特定の用量水準は、種々の要因、例えば治療すべき適応症、使用する活性剤、活性剤の活性、適応症の重症度、患者の健康状態、年齢、性別、体重、摂食状態および薬理学的応答、使用する特定の剤型および他のこのような要因に応じて変化する。
「製薬上許容しうる」という用語は、本明細書においては、調和の取れた医学上の判断において、合理的な利益/危険性の比率を考量した、過剰な毒性、刺激性、アレルギー応答または他の問題点または合併症を伴うことなくヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適する化合物、物質、組成物および/または剤型を指すために用いられる。
本明細書においては、「患者」または「対象」という用語は哺乳類、例えばネコ、イヌ、マウス、モルモット、ウマ、ウシ、ヒツジおよびヒトのような温血動物を意味する。
フィル組成物は何れかの知られた活性剤の1つまたは1つより多くを含有できる。本発明において含有される活性剤は水溶性、生体利用性および親水性に関して広範な数値を有することができる。本発明が特に適している活性剤は、水不溶性、貧水溶性、僅かに水溶性、中等度に水溶性、水溶性、極めて水溶性、疎水性、または親水性の治療薬を包含する。当業者の知るとおり、本発明のフィル組成物中に使用される活性剤は何れかの知られた活性剤から、そして、本明細書に記載するものから、それぞれの存在ごとに独立して選択される。活性剤が誘導シクロデキストリンと複合体化することは必須ではない。
活性剤は一般的に、動物および人間に対して全身性または局所的な作用をもたらす生理学的または薬理学的に活性な物質を含有する。活性剤はまた、農薬、除草剤、殺虫剤、抗酸化剤、植物成長促進剤、滅菌剤、触媒、化学試薬、食品、栄養物質、化粧品、ビタミン、不妊抑制剤、繁殖能促進剤、微生物、フレーバー剤、甘味料、浄化剤および医薬品、獣医科用、園芸、日用品、食品、台所用品、農業用品、化粧品、工業用品、クリーニング、菓子製造およびフレーバーの用途のための多の化合物も含有する。活性剤はその中性、イオン性、塩、塩基性、酸性、天然、合成、ジアステレオマー、異性体、エナンチオマー的に純粋な形態、ラセミ体、水和型、キレート、誘導体、類縁体または他の一般的な形態で存在できる。
本発明のカプセルは、2種またはそれ以上の異なる活性剤をデリバリーするために使用できる。活性剤の特定の組み合わせは本発明のカプセルにより提供できる。活性剤の一部の組み合わせは、1)第1の治療薬クラスから選択される第1の薬剤および同じ治療薬クラスから選択される異なる第2の薬剤;2)第1の治療薬クラスから選択される第1の薬剤および異なる治療薬クラスから選択される異なる第2の薬剤;3)生物学的活性の第1の種類を有する第1の薬剤および概ね同じ生物学的活性を有する異なる第2の薬剤;4)生物学的活性の第1の種類を有する第1の薬剤および生物学的活性の異なる第2の種類を有する異なる第2の薬剤を含む。活性剤の例示される組み合わせは本明細書に記載する通りである。
図11は実施例6で得られた溶解特性を示す。溶解媒体としてのUSP Simulated Gastric Fluid TS中の時間の関数としての溶解した%塩酸フェキソフェナジンを市販の即時放出錠剤(Allegra(R) 60mg、Aventis
Pharmaceuticals,Inc.,Kansas City,MO 64137,USA)および本発明のカプセルについて示した。使用したカプセルがゼラチンで作成されていたため、USP試験溶液中の酵素は溶解媒体から排除しなかった。初期には錠剤は薬剤のより瞬時の放出をもたらすが;カプセルは薬剤放出速度および一時間以内に放出される薬剤の総量に関しては急速に錠剤を上回るものとなる。短い初期の遅れ時間の後、水性充填カプセルは溶解装置中ではるかに急速に溶解した。結果によれば、本発明のカプセルは薬剤の吸収の速度および範囲を改善し、そして、活性の急速な顕在化が望まれる薬剤のために特に有用であることを示している。
カプセルからの薬剤の放出に対する溶解媒体の作用と市販の錠剤との関係を評価した。以下の表に結果を示す。
Figure 2006503047
使用した媒体に関わらず、水性フィルカプセルは急速に溶解(薬剤の80%が溶解するまで30分未満)した。これは模倣胃液中で最速であった。市販の錠剤の溶解は模倣胃液中で最も緩徐であった。この媒体は経口剤型が最初に遭遇する環境に最も類似しているため、誘導シクロデキストリンで安定化させた水性フィル組成物は模倣胃液中で緩徐に溶解する活性成分のために特に有用であると期待された。本発明は対象の胃の領域に薬剤を経
口デリバリーする進歩した方法を提供し、その進歩には、SAE−CD、薬剤、水および場合により賦形剤1つまたは1つより多くを含む水性フィル組成物を含む胃液可溶性、腐食性および/または分解性のカプセル中で薬剤を投与することを含み、ここでSAE−CDはフィル組成物中の水により誘発される溶解、腐食、膨潤または分解に対抗してカプセルを安定化させるが、胃液により生じる溶解、腐食、膨潤または分解に対してはそうではない十分な量で存在する。
言及する場合は常時、そして、特段の記載が無い限り、「活性剤」という用語は光学的に純粋、ラセミ体、遊離塩基、遊離酸、塩、ジアステレオマー、位置異性体、非晶質、水和物、無水物および/または結晶形態を含む活性剤の全ての形態を含むものとする。
活性剤はそれぞれの存在において独立して、抗生物質、抗ヒスタミン剤、鬱血除去剤、抗炎症剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗カビ剤、殺アメーバ剤、トリコモナシド剤、鎮痛剤、抗関節炎剤、抗喘息剤、抗凝固剤、抗痙攣剤、抗欝剤、抗糖尿病剤、抗新生物剤、抗精神病剤、神経弛緩剤、抗高血圧剤、睡眠剤、鎮静剤、不安緩解活力化剤、抗パーキンソン剤、筋肉弛緩剤、抗マラリア剤、ホルモン剤、避妊剤、交感神経作用性薬剤、低血糖剤、抗脂血剤、眼科用薬剤、電解剤、診断薬、プロキネティック(prokinetic)剤、胃酸分泌抑制剤、抗潰瘍剤、抗鼓腸剤、抗失禁剤、心臓血管薬剤またはこれらの組み合わせのような活性剤から選択できる。
本発明の製剤に含有してよいプロテアーゼ阻害剤は、例えば限定されるものではないが、抗疼痛剤、ロイペプチン、キモスタチン、アミスタチン、ピューロマイシンおよび当業者の知る他の物質を包含する。
本発明の製剤に含有できる浸透促進剤は、例えば限定されるものではないが、EDTA、メチル化−β−シクロデキストリンおよびポリカルボン酸のようなカルシウムキレート剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、カルニチン、カルニチンエステルおよびツイーンのような界面活性剤;タウロコール酸ナトリウムのような胆汁酸塩;オレイン酸およびリノール酸のような脂肪酸;および、AZONETMおよびジアルキルスルホキシドのような非界面活性剤;AV171(AyMax,Inc.,South San Francisco,CA)、D−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)およびペパーミント油のようなEフラックス抑制剤;キトサンおよびN−メチルキトサン、N−トリメチルキトサン、モノ−N−カルボキシメチルキトサン、第4級キトサン誘導体のようなキトサン誘導体;SNAC(N−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリレート)およびSNAD(N−[10−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]デカノエート)(Emisphere Technologies,Inc.,Tarrytown,NY);N−アシル化非αアミノ酸;EMISPHERE(R)ブランドのデリバリー剤;Gelucire44/14またはビタミンE TPGS;Carboporl(R)934P;当業者の知る他の物質;およびこれらの組み合わせを包含する。
本明細書に記載した組成物中で使用するために適する薬剤は以下の範疇および薬剤例および、これらの薬剤の代替形態、例えば代替の塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態および水和物を包含する。
鎮痛剤/解熱剤(例えばアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプレノルフィン、塩酸プロポキシフェン、プロポキシフェンナプシレート、塩酸メペリジン、塩酸ヒドロモルホン、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、重酒石酸ジヒドロコデイン、ペンタゾシン、重酒石酸ヒドロコドン、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、塩酸ナルブフィン、メフェナミン酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタールビタール、クエン酸フェニルトロキサミン、クエン酸ジフェニルヒドラミン、メトトリメプラジン、塩酸シンナメドリンおよびメプロバメート);
抗喘息剤(例えばケトチフェンおよびトラキサノックス);
抗生物質(例えばネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリンおよびシプロフロキサシン);
抗欝剤(例えばネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、ドキセピン、イミプラミン、パモ酸イミプラミン、イソカルボキシアジド、トリイミプラミンおよびプロトリプチリン);
抗糖尿病剤(例えばビグアニドおよびスルホニル尿素誘導体);
抗カビ剤(例えばグリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコニゾール、アンホテリシンB、ニスタチンおよびカンジシジン);
抗高血圧剤(例えばプロパノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、塩酸パルギリン、デセルピジン、ジアゾキシド、1硫酸グアネチジン、ミノキシジル、レシンナミン、ナトリウムニトロプルシド、ラウオルフィアセルペンチナ、アルセロキシロンおよびフェントラミン);
抗炎症剤(例えば(非ステロイド系)インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド系)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコート、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンおよびプレドニゾン);
抗新生物剤(例えばシクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキセート、フルオロウラシル、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル−CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タモキシフェンおよびピポスルファン);
抗不安剤(例えばロラゼパム、ビスピロン、プラゼパム、クロロジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼペート2カリウム、ジアゼパム、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸ヒドロキシジン、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロロメザノンおよびダントロレン);
免疫抑制剤(例えばシクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビンおよびFK506(タクロリムス));
抗偏頭痛剤(例えばエルゴタミン、プロパノロール、イソメテプテンムケートおよびジクロラルフェナゾン);
鎮静剤/睡眠剤(例えばバルビツレート類、例えばペントバルビタールおよびセコバルビタール;およびベンゾジアゼピン類、例えば塩酸フルラゼパム、トリアゾラムおよびミダゾラム);
抗狭心症剤(例えばβ−アドレナリンブロッカー;カルシウムチャンネルブロッカー、例えばニフェジピンおよびジルチアゼム;および硝酸塩類、例えばニトログリセリン、2硝酸イソソルビド、4硝酸ペンタエリスリトールおよび4硝酸エリスリチル);
抗精神病剤(例えばハロペリドール、コハク酸ロキサピン、塩酸ロキサピン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、フルフェナジンエナンスエート、トリフルオペラジン、クロロプロマジン、ペルフェナジン、クエン酸リチウムおよびプロクロルペラジン);
抗躁病剤(例えば炭酸リチウム);
抗不整脈剤(例えばブレチリウムトシレート、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、リン酸ジソピラミド、プロカインアミド、硫酸キニジン、グルコン酸キニジン、ポリガラクツロン酸キニジン、酢酸フレカニド、トカイニドおよびリドカイン);
抗関節炎剤(例えばフェニルブタゾン、ズリンダック、ペニシラニン、サルサレート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメート、金ナトリウムチオマレート、ケトプロフェン、オウラノフィン、オウロチオグルコースおよびトルメチンナトリウム);
抗痛風剤(例えばコルヒチンおよびアロプリノール);
抗凝固剤(例えばヘパリン、ヘパリンナトリウムおよびワーファリンナトリウム);
血栓溶解剤(例えばウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびアルテプラーゼ);
抗フィブリン溶解剤(例えばアミノカプロン酸);
血液レオロジー剤(例えばペントキシフィリン);
抗血小板剤(例えばアスピリン);
抗痙攣剤(例えばバルプロ酸、ジバルプロエックスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビトール、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスキシミド、メタルビタール、メホバルビタール、メフェニトイン、フェンスキシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビトールナトリウム、クロルアゼペート2カリウムおよびトリメタジオン);
抗パーキンソン病剤(例えばエトスキシミド);
抗ヒスタミン剤/抗そう痒剤(例えばヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロロフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニラミン、塩酸シプロヘプタジン、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸デキシクロルフェニラニン、メタジラジンおよび);
カルシウム調節に有用な薬剤(例えばカルシトニン、および副甲状腺ホルモン);
抗細菌剤(例えば硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパリルテート、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、メトロニダゾール、塩酸メトロニダゾール、硫酸ゲンタマイシン、塩酸リンコマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸バンコマイシン、硫酸ポリミキシンB、コリスチメテートナトリウムおよび硫酸コリスチン);
抗ウイルス剤(例えばインターフェロンα、βまたはγ、ジドブジン、塩酸アマンタジ
ン、リバビリンおよびアシクロビル);
抗微生物剤(例えばセファロスポリン類、例えばセファゾリンナトリウム、セフラジン、セファクロル、セファピリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セホペラゾンナトリウム、セホテタンジナトリウム、セフロキシムeアゾチル、セホタキシムナトリウム、セファドロキシル1水和物、セファレキシン、セファロチンナトリウム、塩酸セファレキシン1水和物、セファマンドールナフェート、セホキシチンナトリウム、セホニシドナトリウム、セホラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、セファドロキシル、セフラジンおよびセフロキシムナトリウム;ペニシリン類、例えばアンピシリン、アモキシシリン、ペニシリンGベンザチン、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、塩酸バクアンピシリン、クロキサシリンナトリウム、トリカルシリン2ナトリウム、アズロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウムおよびナフシリンナトリウム;エリスロマイシン類、例えばエチルコハク酸エリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシンラクトビオネート、ステアリン酸エリスロマイシンおよびエチルコハク酸エリスロマイシン;およびテトラサイクリン類、例えば塩酸テトラサイクリン、ドキシサイクリンハイクレートおよび塩酸ミノサイクリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン);
抗感染症剤(例えばGM−CSF);
気管支拡張剤(例えば交感神経作用剤、例えば塩酸エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、硫酸テルブタリン、イソエタリン、イソエタリンメシレート、塩酸イソエタリン、硫酸アルブテロール、アルブテロール、ビトルテロルメシレート、塩酸イソプロテレノール、硫酸テルブタリン、重酒石酸エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、エピネフリンおよび重酒石酸エピネフリン;抗コリン作用剤、例えば臭化イプラトロピウム;キサンチン類、例えばアミノフィリン、ジフィリン、硫酸メタプロテレノールおよびアミノフィリン;肥満細胞安定化剤、例えばクロモリンナトリウム;吸入用コルチコステロイド、例えばジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)およびジプロオピオン酸ベクロメタゾン1水和物;サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ブデソニド;ケトチフェン;サルメテロール;キシナホエート;硫酸テルブタリン;トリアムシノロン;テオフィリン;ネドクロミルナトリウム;硫酸メタプロテレノール;アルブテロール;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン;
ステロイド系化合物およびホルモン類(例えばアンドロゲン類、例えばダナゾール、テストステロンシピオネート、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、テストステロンエナテート、メチルテストステロン、フルオキシメステロンおよびテストステロンシピオネート;エストロゲン類、例えばエストラジオール、エストロピペートおよびコンジュゲートエストロゲン;プロゲスチン類、例えば酢酸メトキシプロゲステロンおよび酢酸ノレシンドロン;コルチコステロイド類、例えばトリアムシノロン、ベタメタゾン、ベタメタゾンナトリウムホスフェート、デキサメタゾン、デキサメタゾンナトリウムホスフェート、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンアセテート懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニソロン、プレドニソロンナトリウムホスフェート、メチルプレドニソロンナトリウムスクシネート、ヒドロコルチゾンナトリウムスクシネート、トリアムシノロンヘキセトニド、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、プレドニソロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニソロンテブテート、酢酸プレドニソロン、プレドニソロンナトリウムホスフェートおよびヒドロコルチゾンナトリウムスクシネート;および甲状腺ホルモン類、例えばレボチロキシンナトリウム);
低血糖剤(例えばヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロロプロパミド、グリピジド、トルブタニドおよびトラザミド);
低脂血剤(例えばクロフィブレート、デキストロチロキシンナトリウム、プロブコール、パラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチンおよびナイアシン);
蛋白(例えばDNase,アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼおよびリパーゼ);
核酸(例えば治療上有用な蛋白をコードしているセンスおよびアンチセンス核酸、例えば本明細書に記載する蛋白の何れか);
赤血球形成刺激に有用な薬剤(例えばエリスロポエチン);
抗潰瘍/抗還流剤(例えばファモチジン、シメチジンおよび塩酸ラニチジン);
抗嘔気剤/抗嘔吐剤(例えば塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネート、塩酸プロメチアジン、チエチルペラジンおよびスコポラミン);
脂溶性ビタミン(例えばビタミンA、D、E、K等);
並びに他の薬剤、例えばミトテン、ハロニトロソ尿素、アンスロサイクリンおよびエリプチシン。
他の有用な薬剤は、鬱血除去剤、抗寄生虫剤、局所麻酔剤、殺アメーバ剤、トリコモナシド剤、神経弛緩剤、不安緩解剤、筋肉弛緩剤、抗マラリア剤、ホルモン剤、避妊剤、交感神経作用性薬剤、抗脂血剤、眼科用薬剤、電解剤、診断薬、プロキネティック剤、胃酸分泌抑制剤、抗鼓腸剤、抗失禁剤、心臓血管薬剤、対症療法剤および血管拡張剤を包含する。これら、および、他のクラスの有用な薬剤の説明および各クラス内の物質種のリストは、Martindale,The Extra Pharmacopoeia,31st Ed.(The Pharmaceutical Press,London 1996)に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載した組成物および方法において使用するために適する更に別の薬剤の例は、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジン、オキサプロジン、アルブテロール、バラシクロビル、ウロホリトロピン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メフォルミン、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパン、ホリトロピン、グリピジド、オメプラゾール、フルオキセチン、リシノプリル、トラムスドール、レボフロキサシン、ザフィルルカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニル、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー、グラニセトロン、ラミブジン、マンガホジピル3ナトリウム、メサラミン、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル、モンテロイカスト、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン、ドラセトロン、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナック、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニンおよび臭化イプラトロピウムを包含する。これらの薬剤は一般的には水溶性であると考えられる。
好ましい薬剤は、アルブテロール、アダパレン、ドキサゾシンメシレート、モメタソンフロエート、ウルソジオール、アンホテリシン、マレイン酸エナラプリル、フェロジピン
、塩酸ネファゾドン、バルルビシン、アルベンダゾール、コンジュゲートエストロゲン、酢酸メドロキシプロゲステロン、塩酸ニカルジピン、酒石酸ゾルピデム、アムロジピンベシレート、エチニルエストラジオール、オメプラゾール、ルビテカン、アムロジピンベシレート/塩酸ベナザプリル、エトドラック、塩酸パロキセチン、パクリタキセル、アトバクオン、フェロジピン、ポドフィロックス、パリカルシトール、ジプロピオン酸ベタメタゾン、フェンタニル、2塩酸プラミペキソール、ビタミンD3および関連の類縁体、フィナステリド、フマル酸ケチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、シレキセチル、フルコナゾール、リトナビル、ブスルファン、カルバマゼピン、フルマゼニル、リスペリドン、カルベマゼピン、カルビドパ、レボドパ、ガンシクロビル、サキナビル、アムプレナビル、カルボプラチン、グリブリド、塩酸セルトラリン、ロフェコキシブカルベジロール、ハロベタソルプロプリオネート、クエン酸シルデナフィル、セレコキシブ、クロルタリドン、イミキモド、シムバスタチン、シタロプラム、シプロフロキサシン、塩酸イリノテカン、スパルフロキサシン、エファビレンツ、シサプリド1水和物、ランソプラゾール、塩酸タムスロシン、モファフィニル、クラリスロマイシン、レトロゾール、塩酸テルビナフィン、マレイン酸ロシグリタゾン、ジクロフェナックナトリウム、塩酸ロメフロキサシン、塩酸チロフィバン、テルミサルタン、ジアゼパム、ロラタジン、クエン酸トレミフェン、サリドマイド、ジノプロストン、塩酸メフロキン、トランドラプリル、ドセタキセル、塩酸ミトキサントロン、トレチノイン、エトドラック、酢酸トリアムシノロン、エストラジオール、ウルソジオール、ネルフィナビルメシレート、インジナビル、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、オキサプロジン、フルタミド、ファモチジン、ニフェジピン、プレドニソン、セフロキシム、ロラゼパム、ジゴキシン、ロバスタチン、グリセオフルビン、ナプロキセン、イブプロフェン、イソトレチノイン、クエン酸タモキシフェン、ニモジピン、アミオダロンおよびアルプラゾラムを包含する。
カプセル中に含有できる他の薬剤はプロゲステロン、アセトヘキサミド、ダプソン、イベルメクチン、ピロカルピン、シプロノラクトン、マレイン酸テガセロド、トルブタミド、1,2−ジチオール−3−チオン、5−ニトロ−2−(3−フェニルプロピルアミノ)安息香酸、5−フェニル−1,2−ジチオール−3−チオン、9−アミノカムプトテシン、アロセトロム、アムプテリシンB、アリピプラゾール、アルテミシニン、アスコマイシン、バフィロマイシンA、ベンジルグアニン、BMS214662、BMS−237550、ブメタニド、ブピバカイン、カルシポトリオール、セテリジン、クロロプロパミド、クロロトキシン、シクレソニド、シメチジン、シンナリジン、コンカナマイシンA、ダリフェナシン、デスロラタジン、デキシメデトミジン、デキストロメトルファン+シュードエフェドリン、ジヒドロエルゴタミン、ジピリダモール、ジチアゼム、DY−9760e、エリトリプタン、エプレレノン、エポチロンB、エルロチニブ、フェノフィブレート、フルルビプロフェン、ジプロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾンサルメテロールキシナフォエート、フロセミド、ゲンタマイシン、グリベンクラミド、ヘキシルレゾルシノール、イダルビシン、イレノテカン、ケタンセリン、ケトドラック、ケトロラック、キノスタチン、ロイプロリド、リネゾリド、ロラチジン、メクロレタミン、メルファラン、メトフォミン、メトキシ−モルホリノドキソルビシン、メチルフェニデート、メトクロプラミド、ミコナゾール、ミルタザピン、o−6−ベンジルグアニン、オンダンセトロン、パントプラゾール、penG、ペンタミジン、塩酸ピオグリタゾン、塩酸プリロカイン、プロポフォール、r−(+)−dioa、r−(+)−iaa−94、ラベプラゾール、ラパマイシン、リファンピシン、塩化サンギナリン、サキナビルメシレート、シラテカン、テルセバ(OSI−774)、テニポシド、tevaTV−4701、チリルアジドメシレート、トポテカン、トリクロサン、トリプタンス、ビンデシン、ビンポセチン、ボリコナゾール、クロトリマゾール、ザレプロン、ジプラシドン、ゾピクロン、ジボックス、エスシタロプラム、ロピニロールおよびビノレルビンを包含する。
上記列挙したものはすべてではなく、単に本発明の範囲内で検討される多くの実施形態
の例示である。多くの他の活性剤を本発明のカプセルと共に投与できる。
本発明のカプセル内に含有される活性剤はその製薬上許容しうる塩として製剤できる。本明細書においては、「製薬上許容しうる塩」とは必要に応じて酸または塩基と反応させてイオン結合対を形成することにより活性剤を修飾した開示化合物の誘導体を指す。製薬上許容しうる塩の例は、例えば非毒性の無機または有機の酸から形成された親化合物の従来の非毒性の塩または第4級アンモニウム塩を包含する。好適な非毒性の塩は塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルホン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸および当業者の知る他のもののような無機酸から誘導したものを包含する。塩はアミノ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸および当業者の知る他のもののような有機酸からも製造される。本発明の製薬上許容しうる塩は従来の化学的方法により塩基性または酸性の部分構造を含む親活性剤から合成できる。他の好適な塩のリストはRemington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,1985に記載されており、その関連する内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本開示においては、ビタミンという用語は食餌中に必要とされる微量の有機物質を指す。本発明の目的のためには、ビタミンという用語は、限定するものではないが、例えば、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、リポ酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンKを包含する。ビタミンという用語に更に包含されるものは、その補酵素である。補酵素はビタミンの特定の化学的形態であり、チアミンピロホスフェート(TPP)、フラビンモノヌクレオチド(FMN)およびフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)、補酵素A(CoA)、リン酸ピリドキサル、ビオシチン、テトラヒドロ葉酸、補酵素B12、リポリシン、11−シス−レチナール、および、1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールを包含できる。ビタミンという用語はまた、コリン、カルニチンおよびアルファ、ベータおよびガンマカロテンを包含する。
本開示においては、「無機質」という用語はヒトの食餌中で必要とされる無機物質、金属等を意味する。即ち、本明細書においては「無機質」という用語は、例えば、限定するものではないが、カルシウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、ヨウ素、マグネシウム、リン、クロム、これらの混合物および当業者の知る他のものを包含する。
「食餌補給物(dietary supplement)」という用語は本明細書においては、少量を投与した場合に望ましい栄養作用をもたらす物質を意味する。食餌補給物の例は、限定するものではないが、ハチ花粉(bee pollen)、フスマ、コムギ胚芽、ケルプ、タラ肝油、ニンジンおよび魚油、アミノ酸、蛋白、植物エキス、植物粉末、香草類、香草エキスおよび粉末、ビタミン、無機質、これらの組み合わせ、および、当業者の知る他のもののような成分である。当然ながら、本質的に何れの食餌補給物も本発明のカプセルに配合してよい。
本発明のカプセルに配合する活性剤の量は剤型少なくとも1つまたは1つより多くであり、そして、薬局の知られた原則に従って選択される。活性剤の有効量を特に意図する。「有効量」という用語は例えば医薬品については、薬学的有効量を意図するものとする。薬学的有効量は必要な、または所望の治療応答のために十分な薬剤または薬学的活性物質
の量であるか、或は換言すれば、患者に投与された場合に望ましい生物学的応答を誘発するために十分な量である。望ましい生物学的応答は活性物質の1または多単位用量を投与した結果として生じる。使用する活性剤および本発明の特定のカプセル中に存在する活性物質の量に応じて単位用量はこのようなカプセル1個または1個より多くを構成してよい。ビタミンおよび無機質に言及して用いる場合は、「有効量」という用語は患者におけるその特定の成分のUnited States Recommended Daily Allowance(RDA)の少なくとも約10%の量を意味する。例えば意図する成分がビタミンCである場合は、ビタミンCの有効量はRDAの10%またはそれ以上を与えるために十分なビタミンCの量を包含する。典型的には、錠剤が無機質またはビタミンを含有する場合は、より多量、好ましくは該当するRDAの約100%またはそれ以上を配合する。
活性剤の組み合わせを使用する場合は、活性剤の一方または両方は治療有効未満量で存在できる。本明細書においては、治療有効未満量とは、組み合わせの第2の薬剤の非存在下で第1の薬剤を投与した患者において、通常未満の治療応答をもたらす第1の薬剤の量である。換言すれば、第1および第2の薬剤は共に、各薬剤を単独で、即ち、他剤の非存在下で投与した場合と比較して増強、向上、付加的または相乗作用的な治療上の利点をもたらす。
本明細書においては、酸イオン化可能な薬剤という用語は酸の存在下でイオン化される何れかの化合物を意味する。酸イオン化可能な薬剤は酸に曝露されるか酸性媒体中に置かれた場合にイオン化される酸イオン化可能な官能基少なくとも1つを含む。例示される酸イオン化可能な官能基は第1級アミン、第2アミン、第3級アミン、第4級アミン、芳香族アミン、不飽和アミン、第1級チオール、第2級チオール、スルホニウム、ヒドロキシル、エノールおよび当業者の知る他の基を包含する。
包接複合体形成に対する非共有、イオン結合により結合している酸イオン化可能な薬剤の程度は、1HNMR、13CNMRまたは円二色性(CD)のような方法を用いて分光光度測定的に、そして酸イオン化可能な薬剤とSAE−CDに関する相溶解度データの分析により測定できる。当業者はこれらの従来の方法を用いて溶液中に存在する結合の各種の量を概算し、物質種の間の結合が主に非共有結合性のイオン結合または包接複合体形成により起こっているかどうかを調べることができる。両方の手段によりSAE−CDに結合する酸イオン化可能な薬剤は一般的には2相性相の相溶解度曲線を示す。非共有結合性のイオン結合が包接複合体形成よりも優勢である条件下では、NMRまたはCDにより測定した包接複合体の形成の量は、これらの条件下で相溶解度データが物質種間の顕著な結合を示しているとしても、低減し;更に、相溶解度データから求められた酸イオン化可能な薬剤の固有の溶解度は一般的にはこれらの条件下では予測されるよりも高値となる。
本明細書においては、非共有結合性のイオン結合という用語はアニオン性の物質種とカチオン性の物質種との間に形成される結合を指す。結合は2種の分子種が共に塩またはイオン対を形成するように非共有結合性である。SAE−CDはイオン対のアニオン性物質種を与え、そして、酸イオン化可能な薬剤はイオン対のカチオン性物質種を与える。SAE−CDは多価であるため、SAE−CDは酸イオン化可能な薬剤1つまたは1つより多くとイオン対を形成できる。
本明細書においては、活性剤に言及する場合は、「極めて溶解性」、「高度に溶解性」、「溶解性」、「やや溶解性」、「僅かに溶解性」、「極めて僅かに溶解性」および「実質的に不溶性」または「不溶性」という用語は以下の通りUSP第23版に定義されるとおり定義されるものとする。
Figure 2006503047
活性剤を本発明のカプセルに含有させる場合は、SAE−CDと必ずしも複合体化しなくてよい。SAE−CDへの薬剤の複合体化がカプセルシェル内に封入されたフィル組成物中の水により誘発される溶解、腐食、膨潤または分解に対抗してカプセルシェルを安定化させるSAE−CDの能力を変えるかどうかを調べる試験を実施した。Bannerの親水性、HFBおよび親油性、LFB、エアフィルサイズ35の楕円形ゼラチンカプセルをこの試験において使用し、以下の通り実施した。この実験において試験した水性フィル組成物は種々の市販の薬剤と組み合わせて60重量%および70重量%のSAE−CDを含んでいる。60重量%SAE−CDは個別の容器2個に既知量の水およびSAE−CDを計り入れることにより製造した。ホットプレート上で攪拌しながらSAE−CDをゆっくり水に添加した。全てのSAE−CDが溶解するまで攪拌を継続した。SAE−CDはバイアル9本(各薬剤につき1本)に等量ずつ計り入れることにより分割した。次に固体の活性薬剤をSAE−CD溶液に添加した。添加した薬剤の量は1グラム中薬剤の通常の用量を含む組成物を与えた。バイアルを溶液が形成されるまで、または、活性剤が均一に懸濁するまで攪拌し加熱した。60重量%SAE−CD/薬剤溶液または懸濁液の4グラム(3ml)を種々のカプセルの片側に添加し、バイアルを試験中に渡り震とうさせた。薬剤を有する60重量%SAE−CDのHSITの結果を以下の表に示す。表中の活性成分はその結合定数に応じて種々の程度までSAE−CDと包接複合体を形成する。
Figure 2006503047
HSIT試験はまた70重量%SAE−CDを用いた以外は上記のとおり同じ量の薬剤を用いて実施した。その評価の結果を以下の表に示す。
Figure 2006503047
結果はSAE−CDとの薬剤の複合体形成は本発明の水性フィル組成物を含有するカプセルのシェルフライフを延長するSAE−CDの能力を顕著に低下させないことを示している。
本発明の水性フィル組成物中にセルトラリンを含有するカプセルを実施例9に従って製造した。以下の表はSGF中の本発明の50mgカプセル2個の薬剤放出特性をまとめたものである。
Figure 2006503047
初期の薬剤放出はゼラチンカプセルの外面上の一部のフィル組成物によるものであり、そして、特性末期における遅延した放出はヒートシールされているゼラチン中に捕獲されている一部の薬剤によるものと考えられる。
上記した説明および以下に示す実施例を考慮すれば、当業者は予定外の実験を行うことなく請求項に記載する本発明を実施することができる。上記したことは本発明の製剤の製造のための特定の操作法を詳述する以下の実施例を参照することにより更に深く理解される。これらの実施例に関する記載は全て説明を目的としている。以下の実施例は全てではなく、本発明の意図する多くの実施形態の僅か一部を説明するのみである。
〔実施例1〕
以下の一般的方法を用いて水、誘導シクロデキストリンおよび場合により活性剤を含む水性フィル組成物を製造する。
誘導シクロデキストリンの既知量を混合しながら水の既知量中に入れる。水は場合により混合前に加熱するか、または、混合物を混合の間および/または後に加熱する。活性剤を使用する場合はこれを誘導シクロデキストリンの添加より前、同時または後に水に添加する。或は、活性剤は水への添加の前に誘導シクロデキストリンと混合または複合体化する。
或は、誘導シクロデキストリンおよび水を含む濃縮保存組成物を、場合により活性剤を含む水溶液に添加することにより希釈された水性フィル組成物を形成する。
或は、誘導シクロデキストリンおよび水、および場合により活性剤および場合により賦形剤を含む希釈した保存組成物をそこから水を除去することにより濃縮する。水の除去は乾燥、蒸発、真空乾燥、オーブン乾燥、トレー乾燥または他の従来の水除去方法により行うことができる。
フィル組成物中に使用される他の賦形剤は上記した工程の何れかの時点において必要に応じて添加することができる。
〔実施例2〕
以下の一般的な方法を用いて水性フィル組成物を評価することにより、それらが本発明に従って使用するために適しているか否かを調べる。
方法A:ハーフシェル一体性試験(HSIT)
閉鎖容器中、カプセルシェルの部分を既知量の誘導シクロデキストリン、水および場合により他の賦形剤1つまたは1つより多くを含む水性フィル組成物に曝露する。曝露された部分の大きさ、外観、形状、溶解、腐食、分解、硬度および/または透明性に関する変化の有無を観察し、経時的に周期的に記録する。評点スケールを用いて試験中のカプセル部分の全体的性能を定性する。多くの異なる評点スケールが使用できるが、例示される評点スケールは、以下の通り、即ち:0評点:カプセル部分が24時間より短期内に溶解;1評点:カプセルの形状および/またはサイズが、その部分が24時間以上48時間未満の時間内で極めて変形または拡大するまで変化;2評点:カプセルの形状および/またはサイズが、その部分が2日以上5日未満の時間内で極めて変形または拡大するまで変化;3評点:カプセルの形状および/またはサイズが、その部分が5日以上10日未満の時間内で部分的に変化、例えばカプセルが拡大し僅かに変形するまで変化;4評点:カプセルの形状および/またはサイズが、その部分が10日以上14日未満の時間内で拡大したが変形はしないように変化;5評点:カプセルの形状および/またはサイズが、その部分が14日以上の後に未変化または変化が観察されない程度の変化とする。
方法B:充填されたカプセルシェルの一体性試験
カプセルシェルに既知量の誘導シクロデキストリン、水および場合により他の賦形剤1つまたは1つより多くを含む水性フィル組成物を充填する。充填されたカプセルを閉鎖容器中に入れる。曝露された部分の大きさ、外観、形状、溶解、腐食、分解、硬度、漏出および/または透明性に関する変化の有無を観察し、経時的に周期的に記録する。本実施例の方法Aに記載した評点スケールを使用して試験中の充填カプセルの全体的性能を定性する。
〔実施例3〕
水分活性は小型の密封された容器中に試料溶液を入れ、そして、容器中の平衡湿度および温度を測定することにより測定した。Rotronic Instrument Corp.,Huntington,NYより入手したHygroLab3のような装置を用いて水分活性を測定した。湿度は容器のヘッドスペース中で薄膜容量センサーを用いて測定する。温度はPtRTD100センサーを用いて測定する。これらの測定により、水分活性(Aw)は機器により計算される。機器は約±0.015Awの精度および約±0.005Awの再現性を有する。既知の濃度および水分活性を有する慎重に調製された塩含有保存溶液を用いて機器をカリブレーションした後に使用した。
〔実施例4〕
以下の一般的方法を用いて水、誘導シクロデキストリンおよびシェル安定化物質を含む水性フィル組成物を評価する。
水分活性の概算
既知量の水、誘導シクロデキストリンおよびシェル安定化物質を場合により熱の存在下で混合することによりフィル組成物を製造する。水性フィル組成物の水分活性は実施例3に示すとおり測定する。水分活性の値に応じて、次に、フィル組成物を実施例2に記載の通り評価して性能の評点を行う。水分活性が0.95±0.025未満である場合、またはそのように概算される場合は、次にフィル組成物を場合により実施例2に記載の通り評価して本発明に従って使用するために適しているかどうか調べる。使用するシェルの組成に応じて、初期スクリーニング値として異なる水分活性値を使用してよい。例えば、約0.9±0.025未満の水分活性値はゼラチンカプセルシェル中で使用するための水、誘導シクロデキストリンおよびシェル安定化物質を含有する製剤のスクリーニングのために使用してよい。また、約0.95±0.025未満の水分活性値はゼラチンカプセルシェル中で使用するための水および誘導シクロデキストリンを含有する製剤のスクリーニングのために使用してよい。更に、標的となる水分活性値は試験において使用される誘導シクロデキストリンにより変動する場合がある。
〔実施例5〕
本明細書に記載するフィル組成物の透明性は、目視的検査により測定できるが;フィル組成物の透明性を測定するための他の知られた方法も実施できる。他の方法の例は波長800nmにおける光透過性分光分析を包含する。
〔実施例6〕
以下の実施例を行って図11の溶解特性を得た。溶解試験は米国薬局方26<711>DISSOLUTIONに従って実施した。装置2、パドルを、50rpmで種々の溶解媒体900mlと共に使用した。60重量%のSAE−CD(Captisol)は、既知重量のSAE−CDを既知重量の水に添加し、透明な溶液が得られるまで攪拌することにより調製した。塩酸フェキソフェナジンの計量された量をこの溶液の既知容量に添加した。混合物を攪拌して塩酸フェキソフェナジンの60mg/ml溶液を得た。次にこの溶液1グラムをHFBソフトゼラチンカプセルに充填し、そしてカプセルを密封した後、試験に付した。比較のために、市販の60mg塩酸フェキソフェナジン錠剤を同じ装置を用いて試験した。溶解媒体の試料は周期的に取り出し、濾過し、高速クロマトグラフィーを用いて試験した(Radhakrishna, T and Reddy,G.Om;“Simultaneous deternmination of fexofenadine and its related compounds by HPLC”, Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 29(2002)681−690)。
〔実施例7〕
本操作法を用いてカプセル当たりカルベジロール25mgを含有するソフトゼラチンカプセルを製造した。腸溶性コーティングされたカプセルはカルベジロールの遅延放出をもたらす。対象に経口した後、薬剤の放出はカプセルが胃の酸性環境を通過するまで開始しない。このカプセルは胃以降の放出(または腸放出)のカプセルである。
a.25mgカルベジロールソフトゼラチンカプセルの製造
60重量%Captisol溶液の10グラム試料に、カルベジロール(Ultra−tech,Indiaより入手)250mgおよび重酒石酸ナトリウム200mgを添加した。25ccボトル中の試料を一夜回転攪拌し、薬剤を溶解した。顕微鏡で観察したところ、全てではないが殆どのカルベジロールが溶解していたが;重酒石酸ナトリウムは、その特徴的な結晶型の出現に基づけば全てが溶液中にはなかった。ボトルを低速で遠心分離して未溶解の重酒石酸ナトリウムを溶液から除去した。9個の空気の入ったソフトカプセル(HFCシェル)に上記溶液1g(±5%)をシリンジおよび針を用いて充填した。次
にカプセルの孔をヒートシールした。
b.ソフトゼラチンカプセルの腸溶性コーティング
次にカプセルをACRYL−EZETM、即ち、腸溶性重合体EUDRAGIT(R)L100−55(メタクリル酸共重合体C型としても知られている)系に基づくColorcon(West Point,PA)製の水性アクリル腸溶性コーティング系でコーティングした。ACRYL−EZETMコーティング製剤は以下の組成である。
ACRYL−EZETM 200g
消泡剤A溶液 6滴
水 800g
Wusterカラムを有するUni−Glatt流動床コーターを用いて以下のパラメーターに従って充填カプセルをコーティングした。
導入口空気温度 40℃
排出口空気温度 36℃
コーティング速度 5g/分
流動床に予めACRYL−EZETMをコーティングした高密度ポリエチレン液滴400gおよび充填ソフトゼラチンカプセル9個を入れた。コーティングされたカプセルの一部を計量し、充填されたカプセルの概ねの重量を差し引くことにより適用されたコーティングの量を推定した。%コーティング重量は約12%と推定された。
これらのカプセルはカルベジロールの遅延放出をもたらした。対象に経口投与した後、カプセルが胃の酸性環境を通過した後まで薬剤の放出は開始されない。従って、薬剤の放出は一般的には酸性環境中では起こらない。このカプセルは胃以降の放出(または腸放出)のカプセルである。
〔実施例8〕
本操作法は腸溶性ソフトゼラチンカプセル、例えばカプセル当たりカルベジロール25mgを含有する実施例7のものの溶解および薬剤放出特性を評価するために使用した。
50rpmパドル回転、37℃であり、332nmにおけるカルベジロールの存在をモニタリングするためにセットされたフロースルー分光光度計を用いたUSP装置2の溶解系中の酵素非存在下(USPpH1.2)の模倣胃液よりなる酸性の相内にカプセル3個をおいた。SGF中では2時間に渡りカルベジロールの放出は観察されなかった。カプセルを模倣腸液(SIF)としても知られるリン酸塩緩衝液(pH6.8)に移した。腸溶性コーティングは溶解媒体中に放出されたタルクおよび二酸化チタンの出現により溶解を観察した。カルベジロールの出現は332nmにおけるUV吸光度の増大により示されるとおり溶解媒体中で増大していることが観察された。目視による観察によれば、カプセルはSIFへの移行の後、1時間で完全に溶解した。溶解媒体の濾過試料は332nmで0.30〜0.32の吸光度値を示し、薬剤が全て溶液中にあることを示した。
〔実施例9〕
本操作法を用いて崩壊条件に曝露された場合の実施例7のソフトゼラチンカプセルの性能を評価した。
USP崩壊試験をセットアップし、pH6.8SIF中のカプセルの溶解を観察した。以下の観察は、コーティングの粒子状物質の妨害を低減することにより観察を容易にするために10分おきに媒体を交換することにより行った。
時間(分) 結 果
0〜10 コーティング未損傷
10〜20 ソフトゼラチンカプセル表面の初回観察
20〜30 媒体に薬剤が放出される一部の証拠
30〜40 大部分のカプセル内容物が消失、一部のコーティングおよびカプセル片を目視観察
40〜50 大部分のゼラチンは溶解するが一部のコーティングはなお目視可能
〔実施例10〕
本操作法を用いてカプセルが水混和性水性フィル組成物を含むセルトラリンの急速な放出をもたらすソフトゼラチンカプセルを製造した。70%CAPTISOL/水(w/w)中塩酸塩としてセルトラリンをカプセル当たり50および100mg含有するソフトゼラチンカプセルを以下の通り製造する。次に、模倣胃液(SGF)中の薬剤放出特性を測定する。
a.製造
グラム当たりセルトラリン88mgおよび70重量%SBE−CDを含有する保存溶液を製造した。ピペットを用いてグラム当たりセルトラリン88mgの溶液を、2個の空気の入ったソフトゼラチンカプセル(HFBシェル)には0.57g、そして1個の空気の入ったSGCには1.14g充填し、次にカプセルの孔をヒートシールした。
b.模倣胃液(SGF)中の薬剤放出
セルトラリンの放出は272.2nmの波長においてフロースルーセルを有する分光光度計を用いて観察した。50rpmパドル回転、37℃および模倣胃液(SGF、pH1.2HCl、2g/L塩化ナトリウム)900mlを有するUSP装置No.2を使用した。カプセルをSGFに要れ、経時的な薬剤の放出を測定した。カプセルをSGF中に置き、薬剤放出を経時的に測定した。
本明細書において引用した参考文献の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
上記は本発明の特別な実施形態の詳細な説明である。当然ながら、本発明の特定の実施形態を説明を目的に記載したが、種々の変更が本発明の精神および範囲を外れることなく可能である。従って、本発明は添付する請求項以外には限定されない。本明細書に開示し、請求項に記載した全ての実施形態および本発明の開示を参考に予定外の実験を行うことなく実施および遂行することができる。
フィル組成物中に存在する誘導シクロデキストリン(SBE−CDまたはHPCD)の濃度の、フィル組成物を含有するソフトゼラチンカプセルLFB(Bannerより入手した親油性フィルシェル)およびLFC(Cardinalより入手した親油性フィルシェル)のHSIT評点と、そしてフィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。 フィル組成物中に存在するシクロデキストリンの濃度の、フィル組成物を含有するソフトゼラチンカプセルHFB(Bannerより入手した親水性フィルシェル)およびHFC(Cardinalより入手した親水性フィルシェル)のHSIT評点と、そして、フィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。 フィル組成物中に存在するシクロデキストリンの濃度の、種々のカプセルシェル、即ちHGC(Capusugelより入手したハードゼラチンカプセル)、HGS(Shionogiより入手したハードゼラチンカプセル)、HPC(Capsugelより入手したハードヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)、HPS(Shionogiより入手したハードヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)、SSS(Swisscapsより入手したソフトスターチカプセル)のHSIT評点との関係を示すグラフである。 親水性フィルソフトゼラチンカプセルと接触させながらおいた種々のシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体を含む種々の水性フィル組成物のHSIT評点のグラフである。 フィル組成物中のPEG(ポリ(エチレングリコール))の濃度と、フィル組成物を含むソフトゼラチンカプセルのフィル組成物のHSIT評点と、そして、フィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。 シクロデキストリンの濃度、PEGの濃度および水の濃度と、親水性フィル組成物と共に使用するために適するものとして製造者等により認識されているソフトゼラチンカプセルのHSIT評点の関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリンの濃度、PEGの濃度および水の濃度と、親水性フィル組成物と共に使用するために適するものとして製造者等により認識されているソフトゼラチンカプセルのHSIT評点の関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリンの濃度、PEGの濃度および水の濃度と、親油性フィル組成物と共に使用するために適するものとして製造者等により認識されているソフトゼラチンカプセルのHSIT評点の関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリンの濃度、PEGの濃度および水の濃度と、親油性フィル組成物と共に使用するために適するものとして製造者等により認識されているソフトゼラチンカプセルのHSIT評点の関係を示す3元グラフである。 SBEを含むフィル組成物中の水の濃度と、フィル組成物を含有するソフトゼラチンカプセルのフィル組成物のHSIT評点と、そして、フィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。異なる線は異なるPEG濃度を示す。 フィル組成物中のポリ(ビニルピロリドン)(PVP)の濃度と、フィル組成物を含有するソフトゼラチンカプセルのフィル組成物のHSIT評点と、そして、フィル組成物の水分活性との関係を示すグラフである。 シクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、表記したカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、表記したカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、表記したカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、表記したカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、表記したカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、表記したカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、表記したカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、表記したカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。 シクロデキストリン濃度、PVP濃度および水の濃度と、表記したカプセルのHSIT評点との関係を示す3元グラフである。 塩酸フェキソフェナジン(FEX)を含有する市販の錠剤およびSAE−CD、FEXおよび水を含有する本発明のカプセルの溶解特性を示す。

Claims (51)

  1. 下記成分:
    a.水溶性、水腐食性、水分解性および/または水膨潤性のシェル;ならびに、
    b.活性物質1つまたは1つより多く、水溶性シクロデキストリの非存在下においてはシェルを少なくとも部分的に溶解、腐食、分解および/または膨潤するのに十分な量で存在する水、および、フィル組成物中の水により誘発されたシェルの溶解、腐食、分解および/または膨潤を抑制するのに十分な量で存在する水溶性シクロデキストリン誘導体を含む水性フィル組成物
    を含み、少なくとも1週間のシェルフライフを有するカプセル。
  2. シェル安定化物質および/または水分活性低下剤を更に含む請求項1記載のカプセル。
  3. 活性剤が制御性、徐放性、延長性、遅延性、急速性、パルス性、定時性、標的性、結腸溶解性、ゼロ次性、擬似ゼロ次性、一次性、擬似一次性、および/または、腸溶性の放出特性に従って放出される、請求項1記載のカプセル。
  4. 活性剤の放出が環境へのカプセルの曝露の後30分未満内に開始する請求項3記載のカプセル。
  5. 活性剤の放出が環境へのカプセルの曝露の後30分以上の遅延時間の経過後に開始する請求項3記載のカプセル。
  6. 水性フィル組成物が水混和性である請求項1記載のカプセル。
  7. 活性剤が治療有効量で存在する請求項1記載のカプセル。
  8. 活性剤が治療有効未満量の量で存在する請求項1記載のカプセル。
  9. 活性剤が水中でやや溶解性、僅かに溶解性、極めて僅かに溶解性、実質的に不溶性または不溶性である請求項1記載のカプセル。
  10. 活性剤が水中よりも水性フィル組成物中においてより溶解性である請求項1記載のカプセル。
  11. 水溶性シクロデキストリン誘導体が使用環境内にそれが放出された場合に活性剤を可溶化するのに十分な量で存在する請求項1記載のカプセル。
  12. 活性剤が誘導シクロデキストリンと複合化して包接複合体および/または非共有結合イオン性複合体を形成する請求項1記載のカプセル。
  13. 活性剤が水中で溶解性、高度に溶解性または極めて溶解性である請求項1記載のカプセル。
  14. フィル組成物が更にアルコールまたは他の水混和性のヒドロキシ部分含有物質を含む請求項1記載のカプセル。
  15. 水溶性シクロデキストリン誘導体がスルホアルキルエーテルシクロデキストリンである請求項1記載のカプセル。
  16. スルホアルキルエーテルシクロデキストリンが下記式1:
    Figure 2006503047
    [式中、
    nは4、5または6であり;
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は各々独立して−O−または−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 -基であり、ここでR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の少なくとも1つは独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 -基、−O−(CH2)mSO3 -基(mは2〜6である)、−OCH2CH2CH2SO3 -、−OCH2CH2CH2CH2SO3 -であり;そして、
    1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9は各々独立してカチオンである]で表される請求項15記載のカプセル。
  17. カチオンが独立して各々の存在につき、H+、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、アンモニウムカチオンおよび有機アミンカチオンよりなる群から選択される請求項16記載のカプセル。
  18. 少なくとも1週間のシェルフライフを有する安定化カプセル製剤であって、製剤が下記成分:
    a.水溶性、水腐食性、水膨潤性および/または水分解性のシェル;ならびに、
    b.水溶性シクロデキストリン誘導体、水性担体および場合により活性剤1つまたは1つより多くを含む水性フィル組成物;
    を含み、ここでカプセル製剤はシクロデキストリン誘導体および何れかの他のシェル安定化剤を除いた同様のカプセル製剤と比較して延長されたシェルフライフを有し;水性担体中の水はシクロデキストリン誘導体の非存在下においてはシェルを少なくとも部分的に溶解、腐食、膨潤および/または分解するために十分な量で存在し;そして、シクロデキストリン誘導体は水性担体中の水によるシェルの溶解、腐食、膨潤または分解を低速化するか排除するために十分な量で存在する、上記製剤。
  19. 水性フィル組成物が更に水分活性低下剤および/またはシェル安定化物質を含む請求項18記載のカプセル製剤。
  20. シェル安定化物質がPVPまたはPEGであり、そして、シクロデキストリン誘導体がスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体である請求項19記載のカプセル製剤。
  21. スルホアルキルエーテルシクロデキストリンが下記式1:
    Figure 2006503047
    [式中、
    nは4、5または6であり;
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は各々独立して−O−または−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 -基であり、ここでR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の少なくとも1つは独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 -基、−O−(CH2)mSO3 -基(mは2〜6である)、−OCH2CH2CH2SO3 -、−OCH2CH2CH2CH2SO3 -であり;そして、
    1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9は各々独立してカチオンである]で表される請求項20記載のカプセル製剤。
  22. カチオンが独立して各々の存在につき、H+、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、アンモニウムカチオンおよび有機アミンカチオンよりなる群から選択される請求項2
    1記載のカプセル製剤。
  23. 活性剤1つまたは1つより多くが存在する請求項18記載のカプセル製剤。
  24. 活性剤が水中でやや溶解性、僅かに溶解性、極めて僅かに溶解性、実質的に不溶性または不溶性であり;そして、シクロデキストリン誘導体が使用環境内にそれが放出された場合に活性剤を可溶化するのに十分な量で存在する請求項23記載のカプセル製剤。
  25. 活性剤が制御性、徐放性、延長性、遅延性、急速性、パルス性、定時性、標的性、結腸溶解性、ゼロ次性、擬似ゼロ次性、一次性、擬似一次性、および/または、腸溶性の放出特性に従って放出される、請求項23記載のカプセル製剤。
  26. 活性剤の放出が環境へのカプセルの曝露の後30分未満内に開始する請求項25記載のカプセル製剤。
  27. 活性剤の放出が環境へのカプセルの曝露の後30分以上の遅延時間の経過後に開始する請求項25記載のカプセル製剤。
  28. 水溶性、水腐食性、水膨潤性および/または水分解性のカプセル化物質内に封入された水性フィル組成物であって、下記成分:
    a.シクロデキストリン誘導体または他のシェル安定化剤の非存在下においてはカプセル化物質を少なくとも部分的に溶解、腐食、膨潤および/または分解するために十分な量で存在する水性担体;
    b.水性担体によるカプセル化物質の溶解、腐食、膨潤および/または分解を自身で停止するには不十分な量で存在する水溶性シクロデキストリン誘導体;
    c.水性担体によるカプセル化物質の溶解、腐食、膨潤および/または分解を自身で停止するには不十分な量で存在するシェル安定化物質;
    d.場合により、活性剤1つまたは1つより多く;および
    e.場合により、賦形剤1つまたは1つより多く;
    を含み、ここで、
    f.シクロデキストリン誘導体およびシェル安定化物質は相乗作用的に、水性担体によるカプセル化物質の溶解、腐食、膨潤および/または分解を少なくとも低速化または停止する、上記組成物。
  29. シェル安定化物質がPVPまたはPEGであり、そして、シクロデキストリン誘導体がスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体である請求項28記載のフィル組成物。
  30. スルホアルキルエーテルシクロデキストリンが下記式1:
    Figure 2006503047
    [式中、
    nは4、5または6であり;
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は各々独立して−O−または−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 -基であり、ここでR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の少なくとも1つは独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3 -基、−O−(CH2)mSO3 -基(mは2〜6である)、−OCH2CH2CH2SO3 -、−OCH2CH2CH2CH2SO3 -であり;そして、
    1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9は各々独立してカチオンである]で表される請求項29記載のフィル組成物。
  31. カチオンが独立して各々の存在につき、H+、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属、アンモニウムカチオンおよび有機アミンカチオンよりなる群から選択される請求項30記載のフィル組成物。
  32. 活性剤が水中でやや溶解性、僅かに溶解性、極めて僅かに溶解性、実質的に不溶性または不溶性であり;そして、シクロデキストリン誘導体が使用環境内にそれが放出された場合に活性剤を可溶化するのに十分な量で存在する請求項28記載のフィル組成物。
  33. 活性剤が制御性、徐放性、延長性、遅延性、急速性、パルス性、定時性、標的性、結腸溶解性、ゼロ次性、擬似ゼロ次性、一次性、擬似一次性、および/または、腸溶性の放出特性に従って放出される、請求項28記載のフィル組成物。
  34. 活性剤の放出が環境へのカプセルの曝露の後30分未満内に開始する請求項33記載のフィル組成物。
  35. 活性剤の放出が環境へのカプセルの曝露の後30分以上の遅延時間の経過後に開始する請求項33記載のフィル組成物。
  36. シェル安定化物質がPEGであり;PEGおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの両方が存在し;水はフィル組成物の50重量%以下であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、PEG、場合により賦形剤1つまたは1つより多くおよび場合により活性剤1つまたは1つより多くの複合物はフィル組成物の50重量%以上であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはフィル組成物の重量の90重量%までであり;そして、PEGはフィル組成物のそれぞれ90重量%未満であるが;ただし、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンがフィル組成物の5重量%以下である場合はPEGは45%以上であり、そしてPEGが45重量%未満である場合は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはフィル組成物の18重量%以上である請求項29記載のフィル組成物。
  37. シェル安定化物質がPEGであり;PEGおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの両方が存在し;水はフィル組成物の45%以下であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、PEG、場合により賦形剤1つまたは1つより多くおよび場合により活性剤1つまたは1つより多くの複合物はフィル組成物の55重量%以上であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはフィル組成物の重量の90重量%までであり;そして、PEGはフィル組成物の重量のそれぞれ90重量%未満であるが;ただし、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンがフィル組成物の重量の5重量%以下である場合はPEGは45%以上であり、そしてPEGが45%未満である場合は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンは10%以上である請求項29記載のフィル組成物。
  38. シェル安定化物質がPVPであり;PVPおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの両方が存在し;水はフィル組成物の55重量%以下であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多くおよび場合により活性剤1つまたは1つより多くの複合物はフィル組成物の45重量%以上であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはフィル組成物の90重量%までであり;PVPはフィル組成物のそれぞれ90重量%未満であるが;ただし、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンがフィル組成物の重量の15重量%以下である場合はPVPはフィル組成物の35重量%以上である請求項29記載のフィル組成物。
  39. シェル安定化物質がPVPであり;PVPおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの両方が存在し;水はフィル組成物の45重量%以下であり;スルホアルキルエー
    テルシクロデキストリン、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多くおよび場合により活性剤1つまたは1つより多くの複合物はフィル組成物の55重量%以上であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはフィル組成物の90重量%までであり;PVPはフィル組成物のそれぞれ90重量%未満であるが;ただし、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンがフィル組成物の重量の20重量%以下である場合はPVPはフィル組成物の35重量%以上である請求項29記載のフィル組成物。
  40. シェル安定化物質がPVPであり;PVPおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの両方が存在し;水はフィル組成物の70重量%以下であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多くおよび場合により活性剤1つまたは1つより多くの複合物はフィル組成物の30重量%以上であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはフィル組成物の90重量%までであり;PVPはフィル組成物のそれぞれ90重量%未満であるが;ただし、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンがフィル組成物の重量の15重量%以下である場合はPVPはフィル組成物の35重量%以上であり;PVPがフィル組成物の35重量%未満である場合は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンは、水がフィル組成物の50重量%以上であればフィル組成物の15重量%超である請求項29記載のフィル組成物。
  41. シェル安定化物質がPVPであり;PVPおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの両方が存在し;水はフィル組成物の65重量%以下であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多くおよび場合により活性剤1つまたは1つより多くの複合物はフィル組成物の35重量%以上であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはフィル組成物の90重量%までであり;PVPはフィル組成物のそれぞれ90重量%未満である請求項29記載のフィル組成物。
  42. シェル安定化物質がPVPであり;PVPおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの両方が存在し;水はフィル組成物の45重量%以下であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多くおよび場合により活性剤1つまたは1つより多くの複合物はフィル組成物の55重量%以上であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはフィル組成物の90重量%までであり;PVPはフィル組成物のそれぞれ90重量%未満である請求項29記載のフィル組成物。
  43. シェル安定化物質がPVPであり;PVPおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの両方が存在し;水はフィル組成物の50重量%以下であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、PVP、場合により賦形剤1つまたは1つより多くおよび場合により活性剤1つまたは1つより多くの複合物はフィル組成物の50重量%以上であり;スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはフィル組成物の90重量%までであり;PVPはフィル組成物のそれぞれ90重量%未満であるが;ただし、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンがフィル組成物の重量の15重量%以下である場合はPVPはフィル組成物の35重量%以上である請求項29記載のフィル組成物。
  44. 水腐食性、水分解性、水膨潤性および/または水溶性のシェル内の水性フィル組成物であって、フィル組成物は水、水溶性誘導シクロデキストリン、活性剤1つまたは1つより多くおよび場合により賦形剤1つまたは1つより多くを含み、ここで誘導シクロデキストリンは、他のシェル安定化物質の非存在下であっても少なくとも1週間の期間、シクロデキストリン誘導体の非存在下においてはフィル組成物中の水により誘発されるシェルの腐食、分解、膨潤または溶解を低減または停止するために十分な量で存在する上記組成物。
  45. 誘導シクロデキストリン、水分活性低下剤および水性担体を含む水性フィル組成物であって、ここで誘導シクロデキストリンおよび水分活性低下剤は共に、約0.95未満にまで水分活性を低下させるために十分な量で存在する上記組成物。
  46. 誘導シクロデキストリン、水分活性低下剤および水性担体を含む水性フィル組成物であって、ここで誘導シクロデキストリンおよび水分活性低下剤は共に、約0.996未満にまで水分活性を低下させるために十分な量で存在する上記組成物。
  47. 水性組成物充填カプセルを、水性組成物中に存在する水によるそのシェルの腐食、溶解、膨潤または分解に対抗して安定化させるための方法であって、他のシェル安定化物質の非存在下であっても少なくとも1週間の期間、シクロデキストリン誘導体の非存在下における組成物中の水によるシェルの腐食、溶解、膨潤または分解を低減または停止するために十分な量で存在する誘導シクロデキストリンを組成物中に含有させる工程を含む、上記方法。
  48. 水性組成物充填カプセルを、フィル中に存在する水によるそのシェルの腐食、溶解、膨潤または分解に対抗して安定化させるための方法であって、水またはシェルを安定化させない他の物質により誘導シクロデキストリンが置き換えられた誘導シクロデキストリンを除いた同様のフィル組成物によるシェルの腐食、溶解、膨潤または分解の速度と比較して、フィル組成物中の水による腐食、溶解、膨潤または分解を停止または低速化するために十分な量で存在する誘導シクロデキストリンを水性フィル中に含有させる工程を含む、上記方法。
  49. 水性フィル組成物の水分活性を低下させる方法であって、フィル組成物の水分活性を低下させるために十分な濃度で水性フィル組成物中に誘導シクロデキストリンを含有させる工程を含む、上記方法。
  50. 水性担体、および、腐食、溶解、分解または膨潤に対抗して自身でシェルを安定化させるために不十分な量で存在する第1のシェル安定化物質を含む水性フィル組成物を含有するカプセル製剤のシェルフライフを延長する方法であって、フィル組成物中に誘導シクロデキストリンを含有させる工程を含む、上記方法。
  51. 誘導シクロデキストリンが約0.95未満まで水分活性を低下させるために十分な量で存在する誘導シクロデキストリンおよび水性担体を含む水性フィル組成物。
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