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JP2006336724A - 変速機の同期装置 - Google Patents

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JP2006336724A
JP2006336724A JP2005161084A JP2005161084A JP2006336724A JP 2006336724 A JP2006336724 A JP 2006336724A JP 2005161084 A JP2005161084 A JP 2005161084A JP 2005161084 A JP2005161084 A JP 2005161084A JP 2006336724 A JP2006336724 A JP 2006336724A
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Masashi Yoshino
將志 吉野
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Abstract

【課題】同期中の動作荷重のピーク値を下げると共に、サポート同期力発生機構の作動を抑えたい時、ボークリングとクラッチギヤのテーパーコーン面が嵌合状態となることを防止する変速機の同期装置を提供する。
【解決手段】変速時であって、シンクロハブ5とボークリング4,4’との間に相対回転が発生しているとき、相対回転による周方向の力を、ボークリングをクラッチギヤ3,3’に押し付ける軸方向のサポート同期力Faに変換するサポート同期力発生機構と、ボークリングのシンクロハブインロー部にテーパー面13,13’を形成し、テーパー面に押し付け力を作用させることで、カップリングスリーブ1が中立位置にあるとき、および、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているとき、ボークリングを初期位置に戻す戻し機構と、を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用歯車変速機等に適用され、少なくともカップリングスリーブとシンクロハブとボークリングとクラッチギヤとを備えた変速機の同期装置に関する。
従来、手動変速機の同期装置は、変速時、ドライバーがシフトレバー操作を行うことによりカップリングスリーブを動かすと、カップリングスリーブとボークリングとのチャンファ同士が接触し、カップリングスリーブの動きを阻止し、ボークリングテーパーコーン面がクラッチギヤテーパーコーン面を押して摩擦トルク(同期力)を発生することで、ボークリングとシンクロハブとの回転同期作用を行うようにしている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平6−33952号公報 実開平6−8824号公報
しかしながら、従来の手動変速機の同期装置にあっては、カップリングスリーブとボークリングのチャンファ同士が接触し、ボークリングテーパーコーン面がクラッチギヤテーパーコーン面を押すことで発生する摩擦トルク(同期力)の全てが、カップリングスリーブからシフトレバーにダイレクトに伝わる構成となっていたため、ドライバーのシフト操作力が重くなる、という問題があった。また、クラッチを切り離しておいてカップリングスリーブをシフト方向に動作させる力を、油圧アクチュエータやモータアクチュエータ等により得る自動変速型平行2軸式歯車変速機(以下、自動MTという。)の場合には、アクチュエータ出力が高出力となり、大型化するし、コスト的にも不利である、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、変速動作時、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができると共に、サポート同期力発生機構の作動を抑えたい時、ボークリングとクラッチギヤのテーパーコーン面が嵌合状態となることを確実に防止することができる変速機の同期装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、カップリングスリーブと、シンクロハブと、ボークリングと、クラッチギヤと、を備えた変速機の同期装置において、
変速時であって、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間で摩擦トルクが発生することにより、前記シンクロハブと前記ボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転による周方向の力を、前記ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換するサポート同期力発生機構と、
前記ボークリングのシンクロハブインロー部にテーパー面を形成し、該テーパー面に押し付け力を作用させることで、前記カップリングスリーブが中立位置にあるとき、および、前記カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているとき、前記サポート同期力が発生しないように、前記ボークリングを初期位置に戻し、前記ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とを離す戻し機構と、
を備えたことを特徴とする。
よって、本発明の変速機の同期装置にあっては、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間で摩擦トルクが発生することにより、シンクロハブとボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、サポート同期力発生機構において、相対回転による周方向の力が、ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換される。このサポート同期力は、シンクロハブとボークリングとの間で発生し、その反力はシンクロハブで受けられ、カップリングスリーブ側に伝わるものではないため、メカ的な同期力ということができる。そして、回転同期のために必要とするシフト動作荷重は、メカ的なサポート同期力により予め低くなった相対回転数から相対回転数をゼロにするまでの荷重で良いため、変速動作時、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができる。
しかし、カップリングスリーブが中立位置にあるとき(非選択段)、サポート同期力発生機構が作動してボークリングとクラッチギヤとのテーパーコーン面が接触すると摩耗やロックの問題が発生するし、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているとき(同期終了後)、サポート同期力発生機構が作動してボークリングとクラッチギヤとのテーパーコーン面が食い付き状態となると他の変速段へ変速する際にシフト動作力を大きくしなければならないという問題がある。
これに対し、上記のようなサポート同期力発生機構の作動を抑えたい時、戻し機構において、サポート同期力が発生しないように、ボークリングが初期位置に戻されるため、ボークリングとクラッチギヤのテーパーコーン面が嵌合状態となることを確実に防止することができる。さらに、戻し機構は、ボークリングのシンクロハブインロー部にテーパー面を形成し、該テーパー面に押し付け力を作用させる機構であるため、破損部位が無く信頼性が向上するし、サポート同期力発生機構を片側のみに取り付けた場合も、片側のみで成立させることができる。
以下、本発明の変速機の同期装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の変速機の同期装置を示す図2A−A線縦断正面図、図2は実施例1の変速機の同期装置を示すシンクロハブ部縦断側面図である。
実施例1の変速機の同期装置は、図1及び図2に示すように、カップリングスリーブ1と、メインギヤ2,2’と、クラッチギヤ3,3’と、ボークリング4,4’と、シンクロハブ5と、インサートキー6と、スプレッドスプリング7,7’と、メインシャフト8と、ボール9,9’と、スプリング10,10’と、設定穴11,11’と、テーパー面13,13’と、ボール組付けガイド14,14’と、を備えている。
前記メインシャフト8には、メインギヤ2,2’が離れた位置にそれぞれ回転可能に設けられ、前記メインギヤ2,2’にはクラッチギヤ3,3’がそれぞれ圧入等により一体化され、かつ、前記クラッチギヤ3,3’は軸方向に対向配置されている。前記クラッチギヤ3,3’のそれぞれには、同じ形状のクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とが軸方向の対向位置に形成され、クラッチギヤ外面には、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯に嵌合するチャンファが形成されている。
前記カップリングスリーブ1は、前記メインギヤ2,2’の間に配置された変速動作荷重の入力部材で、前記シンクロハブ5とはスプライン嵌合されており、シンクロハブ5と一体に回転し、且つ、軸方向に移動可能である。このカップリングスリーブ1のスリーブ内面には、インサートキー6を支持するキー溝とスプライン歯とが形成され、スリーブ外面には、図外のシフトフォークが嵌着するフォーク溝が形成されている。
前記ボークリング4,4’は、前記メインギヤ2,2’の回転をシンクロハブ5の回転と同期させる同期部材で、軸方向に移動可能で、且つ、シンクロハブ5に対して所定量(スプライン歯のチャンファ位置合わせ量:以下、「割り出し量」という。)だけ相対回転可能である。このボークリング4,4’のリング内面には、前記クラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とテーパー嵌合するボークリングテーパーコーン面4e,4e’がそれぞれ形成され、リング外面には、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯に嵌合するチャンファが形成されている。
前記シンクロハブ5は、前記ボークリング4,4’の間に挟まれた位置に配置され、メインシャフト1にスプライン固定された同期部材である。このシンクロハブ5のハブ内面には、メインシャフト1のスプライン歯と嵌合するスプライン歯が形成され、シンクロハブ5のハブ外面には、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯と嵌合するスプライン歯が形成されている。
前記インサートキー6は、前記シンクロハブ5の外周に3箇所形成されたキー溝の位置に配置された同期部材である。このインサートキー6は、シンクロハブ5とカップリングスリーブ1とスプレッドスプリング7,7により支持され、インサートキー6の外周に設けられたキー突起とカップリングスリーブ1のキー溝とがロックした状態で位置決めされており、シンクロハブ5と一体回転し、且つ、カップリングスリーブ1と連動して軸方向に移動可能である。
図3は実施例1の同期装置におけるサポート同期力発生機構を示すボークリングの斜視図(a)とサポート同期力発生機構を示すシンクロハブの斜視図(b)であり、以下、サポート同期力発生機構の構成について説明する。
前記サポート同期力発生機構とは、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’との間で摩擦トルクが発生することにより、前記シンクロハブ5と前記ボークリング4,4’との間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転による周方向の力を、前記ボークリング4,4’をクラッチギヤ3,3’に押し付ける軸方向のサポート同期力に変換する機構である。つまり、カップリングスリーブ1とボークリング4,4’のチャンファ同士が接触してボークリングテーパーコーン面4e,4e’を押す前に、ボークリング4,4’に対しボークリングテーパーコーン面4e,4e’を押すサポート同期力を発生させる機構をいう。
実施例1のサポート同期力発生機構は、一対の斜面によるカム凸面4d,4dを、図3(a)に示すように、ボークリング4のキー溝部4cの両側に形成し、かつ、一対のカム凸面4d,4dを、図2に示すように、周方向の3箇所位置に配置する。そして、一対の斜面によるカム凹面5d,5dを、図3(b)に示すように、前記一対のカム凸面4d,4dと対応するシンクロハブ5のキー溝5cの両側位置に形成し、かつ、一対のカム凹面5d,5dを、図2に示すように、周方向の3箇所位置に配置する。前記ボークリング4’についてもボークリング4と同様であり、ボークリング4’に、図外の一対のカム凸面を周方向の3箇所位置に配置し、これと対応する位置のシンクロハブ5に一対のカム凹面5d,5dを周方向の3箇所位置に配置する。なお、各カム面の傾斜角度は、適正なサポート同期力を得るべく決められるものであり、実施例1では、サポート同期力Faを発生するのに有効な45°程度の一定傾斜角を持つ傾斜面としている。また、図3(a),(b)に示すように、一対のカム凸面4d,4dが形成されるキー溝部4cの両端幅L1は、一対のカム凹面5d,5dの対向幅L2より少し狭い幅となるように設定されている。
図4は実施例1の同期装置におけるカップリングスリーブとインサートキーを示す図、図5は実施例1の同期装置における戻し機構を示す拡大断面図であり、以下、実施例1の戻し機構の構成について説明する。
前記戻し機構は、カップリングスリーブ5が中立位置にあるとき(非選択段)、および、カップリングスリーブ5とクラッチギヤ3,3’のスプライン歯が噛み合っているとき(同期終了後)、前記サポート同期力が発生しないように、前記ボークリング4,4’を初期位置に戻し、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とを離す機構をいう。
実施例1の戻し機構は、前記ボークリング4,4’のシンクロハブインロー部にテーパー面13,13’を形成し、該テーパー面13,13’に押し付け力を作用させる機構とした。すなわち、前記シンクロハブ5の外周に、図2に示すように、一対のスプライン歯を埋めることでスプライン歯幅よりも大きい部位を等間隔で3箇所形成し、その部位にスプリング10,10’とボール9,9’を設定する設定穴11,11’を開け、前記ボール9,9’を、前記クラッチギヤ3,3’に向かって下がる傾斜角θ’を持つ前記ボークリング4,4’のテーパー面13,13’に押し付ける機構とした。
さらに、実施例1の戻し機構は、前記ボークリング4,4’のシンクロハブインロー部に設けたテーパー面13,13’の前記シンクロハブ5側位置にボール組付けガイド14,14’を設定し、前記ボール組付けガイド14,14’は、図5に示すように、前記シンクロハブ5に向かって下がる傾斜角を持つボールガイド面14aと、前記ボール9,9’を保持するボール保持面14bによる2段の面14a,14bにて構成している。また、実施例1の戻し機構は、前記ボール9,9’とスプリング10,10’の設定穴11,11’を、図1及び図5に示すように、前記シンクロハブ5をスプライン嵌合したメインシャフト8に対し垂直に設定している。
加えて、実施例1の戻し機構は、ボークリングインデックス時において、インサートキー6にて発生するキーロック力をF0とし、その時に戻し機構により発生する戻り力をf0とするとき、
F0>f0
という関係が成立するように設定してる。
ここで、「キーロック力F0」は、図4に示すように、カップリングスリーブ1とインサートキー6との係合傾斜角をθ、スプレッドスプリング7,7’によりインサートキー6をカップリングスリーブ1に押し付ける力をfa,fbとし、カップリングスリーブ1とインサートキー6との係合傾斜面の摩擦係数をμとしたとき、
F0=(fa+fb)×(sinθ+μcosθ)/(cosθ−μsinθ)
の計算式により求められる。
また、「戻り力f0」は、図5に示すように、ボール10からテーパー面13に作用するスプリング力をFとし、テーパー面13の傾斜角をθ’とし、ボール10とテーパー面13との間の摩擦係数をμ’としたとき、
f0=μ’Fsinθ’
の計算式により求められる。
次に、作用を説明する。
[変速同期作用]
実施例1の同期装置による変速同期作用について、図6及び図7を用いて説明する。ここでは、カップリングスリーブ1を図1の左方向に移動させ、高速で回転しているメインギヤ2’の回転を低速で回転しているメインシャフト8の回転数に同期させ、メインギヤ2’をメインシャフト8と一体回転させる変速例について説明する。
例えば、手動変速機の場合、図6のt0の時点でシフトレバーに対するシフト操作を開始すると、中立状態からカップリングスリーブ1とインサートキー6とが図1の左方向に移動して徐々に動作荷重が増し、t1の時点に近づくと、シフトレバーに加えた荷重が伝達されるシフト操作機構の途中位置に設けられたシフトチェックボールをスプリング付勢力に抗して乗り上げ、乗り上げるt1の時点で最大のシフトチェック荷重が作用し、その後、t2の時点まで動作荷重は低下する。なお、自動MTの場合、図6のt0の時点でシフト動作を開始すると、t2の時点まで徐々に動作荷重が上昇する。以下述べる作用は、手動変速機の場合も自動MTの場合も同様である。
次に、インサートキー6がボークリング4’の溝壁面とのクリアランスを詰めて接触を開始すると、インサートキー荷重が上昇する。このインサートキー荷重の上昇によりボークリング4’が図1の左方向に移動すると、クラッチギヤテーパーコーン面3e’とボークリングテーパーコーン面4e’とが接触して摩擦トルクが発生し、t3の時点からサポート同期力による同期が開始される。
このサポート同期が開始されると、両テーパーコーン面3e’,4e’との間で摩擦トルクが発生することにより、シンクロハブ5とボークリング4’との間に相対回転が発生し、インサートキー6とキー溝4cとの周方向隙間のうち、一方の周方向隙間を無くす割り出しが行われ、ボークリング4’のカム凸面4dとシンクロハブ5のカム凹面5dとが接触する。このカム凹凸面4d,5dの接触により発生する周方向の相対回転力Fは、傾斜角度を持つカム面に垂直な方向に変えられてボークリング4’に作用し、図7に示すように、相対回転力Fの軸方向分力がFaとなり、相対回転力Fの周方向分力がFbとなる。このうち、軸方向分力であるFaが、ボークリング4’をメインギヤ2側に押す方向に作用するサポート同期力となる。
前記サポート同期力Faは、図6に示すように、t3(同期開始点)〜t4(最大点)〜t5(切り替え点)の間で山なりの特性を示し、サポート同期力Faによりクラッチギヤテーパーコーン面3e’とボークリングテーパーコーン面4e’との間で摩擦トルクが発生し、メインシャフト8(=シンクロハブ5)とメインギヤ2’(=クラッチギヤ3’)との相対回転数△Nは、初期相対回転数△N1から相対回転数△N0まで低下する。また、このサポート同期は、シンクロハブ5とボークリング4’との間で行われ、サポート同期力Faの反力はメインシャフト8に固定されたシンクロハブ5により受けられるため、サポート同期力Faの反力がカップリングスリーブ1に伝達されることは無い。つまり、メカ的に発生するサポート同期力Faは、シフト動作荷重を全く増大させることなく、シフト動作のために必要とする荷重をサポートすることになる。
さらに、カップリングスリーブ1が移動し、サポート同期力Faが低下する特性と、カップリングスリーブ1に加えられる動作荷重が増大する特性とが交差する交点となる時点t5からは、カップリングスリーブ1のスプライン歯1bのチャンファと、ボークリング4’のチャンファ4aとが接触し、カップリングスリーブ1の動きは阻止され、そのときの接触力の大きさにより、クラッチギヤテーパーコーン面3e’とボークリングテーパーコーン面4e’との間で摩擦トルクが発生し、従来と同様にボーク状態での同期が行われる。
このチャンファ同士を接触させての同期では、メインシャフト8(=シンクロハブ5)とメインギヤ2’(=クラッチギヤ3’)との相対回転数△Nを、予めメカ同期作用により低下させられていた相対回転数△N0から相対回転数ゼロまで低下するだけで良いため、t6時点での動作荷重のピーク値は低く、相対回転数がゼロとなるt7の時点で同期は終了する。
そして、同期が終了すると、摩擦トルクは消滅し、カップリングスリーブ1の阻止力も解除され、カップリングスリーブ1の移動が可能となり、t6の時点以降でカップリングスリーブ1が軸方向の移動に伴いインサートキー6がカップリングスリーブ1のキー溝から抜け、t7の時点でボークリング4’を押し分け、さらに、t8の時点でカップリングスリーブ1が第1クラッチギヤ3のスプライン歯へ噛み合い、t9の時点で変速動作が終了する。
よって、従来の同期装置のように、同期中はカップリングスリーブとボークリングのチャンファ同士を接触させ、カップリングスリーブから加えられる動作荷重のみにより、初期相対回転数△N1から相対回転数ゼロまで低下させる同期作用を行う場合、図6の従来動作力の特性に示すように、t4の時点から少し遅れた時点から動作荷重が大きく上昇し、t6の時点から動作荷重が低下するという特性を示し、動作荷重のピーク値が高くなる。
これに対し、実施例1では、上記のように、初期相対回転数△N1から相対回転数△N0まで低下させる同期力を、カップリングスリーブ1とボークリング4’のチャンファ同士を接触させる前に、ボークリング4’とシンクロハブ5とに形成したカム凹凸面4d,5dを接触させることにより発生するサポート同期力Faで予め補うようにしたため、図6の今回動作力の特性に示すように、t5〜t6〜t7までの領域による山なりの動作荷重特性を示す。
よって、動作荷重のピーク値については、図6の動作荷重のピーク値低減代に示すように、従来装置に比べて大幅に低下させることができる。この結果、例えば、アクチュエータによりシフト動作力を付与する場合、低くなった動作荷重のピーク値を出し得る定格出力を持つ小型アクチュエータを用いることができる。
加えて、図6のハッチングに示す領域が、従来装置での同期仕事量に対する同期仕事量低減代となり、従来装置での同期仕事量に比べ、カップリングスリーブ1に動作荷重を加えることなく行われるサポート同期による同期仕事量の分が減少し、同期仕事量の大幅な低減を図ることができる。
[ボークリングの戻し作用]
実施例1の同期装置では、例えば、上記のようにシフトアップを行う時(回転を下げる方向に同期する時)の必要シフト動作荷重を低減することができるが、この後、シフトダウンを行う時(回転を上げる方向に同期する時)、ボークリング4’はシンクロハブ5と一緒に回転しているので、サポート同期力発生機構の作動により、両テーパーコーン面3e’,4e’に引き摺りトルクが発生し、シフトダウンの動作荷重が重くなるという問題があった。
よって、同期終了後、ボークリング4,4’をシンクロハブ5の方向に戻すと、両ボークリングテーパーコーン面4e,4e’の引き摺りトルク(フリクション)が無くなり、このフリクションに抗して行われるシフトダウン時の動作荷重が軽くなるというように、サポート同期力発生機構の作動を抑える戻し機構が必要となる。
ここで、戻し機構の必要性をより詳しく説明すると、両ボークリング4,4’が、シンクロハブ5に対して所定量相対回転可能であり、且つ、軸方向移動可能であるため、以下のような問題が発生する。
すなわち、非選択段のサポート同期力発生機構において、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間のクリアランスが確保されず、コーン面間に介在する潤滑油が油膜を形成し、この油膜によってコーン面間に引き摺りトルク(摩擦トルク)が発生して、シンクロハブとボークリングとの間に相対回転が発生してしまうと、カップリングスリーブにシフト動作力が入力されていなくても勝手にサポート同期力発生機構が作動してサポート同期力を発生させてしまい、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とが必要以上に摩耗し、同期装置の寿命を低下させてしまうと共に、最悪の場合には、このサポート同期力によってシンクロハブとボークリングとの間の相対回転が0となって2重シフト(選択段と非選択段が同時に選択されロックしてしまう状態)が発生するという問題(問題1)が生じる。
また、選択段のサポート同期力発生機構において、同期終了後(変速終了後)、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているときには、通常、ボークリングを押し付ける力が作用しないため、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とは外れた状態にあるが、エンジンの回転変動によってシンクロハブとボークリングとの間に相対回転が発生し、場合によっては相対回転量が大きくなってサポート同期力発生機構が作動し、ボークリングをクラッチギヤに押し付けてボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とが嵌合状態(食い付き状態)となってしまうおそれがある。このような状態になると、当該変速段から他の変速段へ変速するに際に、上記ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との嵌合を外すための力が必要となり、カップリングスリーブへ入力するシフト動作力を大きくしなければならないといった問題(問題2)が生じる。
ゆえに、実施例1のように戻し機構を設けると、カップリングスリーブ1がニュートラル位置にあるとき、ボークリング4,4’を初期位置に戻し、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とを離すことで、非選択段のボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とのクリアランスを確実に確保して上記問題1の発生を防止できる。併せて、カップリングスリーブ1とクラッチギヤ3,3’のスプライン歯が噛み合っているときに、ボークリング4,4’を初期位置に戻し、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とを離すことで、変速終了後に選択段のボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とが嵌合状態になることを防止して上記問題2の発生を防止できる。
ここで、戻し機構として、本出願人が先に特願2004−135994号にて提案した一対のボークリングの間に介装した戻しスプリングによる構成とすると、ボークリングインデックス(割り出し)時に戻しスプリングのアーム部に捩れ力が作用するため、疲労によりスプリングのアームが折れてボークリングが初期位置に戻らなくなるおそれがある。また、対向する一対の片側のみにサポート同期力発生機構を設けた場合、サポート同期力発生機構が無い方のボークリングに戻しスプリングのアームを取り付ける手段が必要になってくる。
これに対し、実施例1の戻し機構は、ボークリング4,4’のシンクロハブインロー部にテーパー面13,13’を形成し、該テーパー面13,13’に押し付け力を作用させる機構とした。よって、上記のようなサポート同期力発生機構の作動を抑えたい時、図8に示すように、テーパー面13,13’に作用する押付け力Fが、テーパー角度θ’に応じた戻り力f0に変換されることで、サポート同期力Faとは反対方向の軸方向荷重により、ボークリング4’を初期ニュートラル方向に戻すことができる。
したがって、非選択段のサポート同期力発生機構においては、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’との間でクリアランスが確保され、引き摺りによるフリクション増加や2重シフトによるロックを確実に防止することができる。また、選択段のサポート同期力発生機構においては、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とが嵌合状態(食い付き状態)となることが防止され、他の変速段へ変速するに際に、両テーパーコーン面の嵌合を外すための力が不要となり、カップリングスリーブ1へ入力するシフト動作力が小さく抑えられる。
さらに、実施例1の戻し機構は、ボークリング4,4’のシンクロハブインロー部にテーパー面13,13’を形成し、該テーパー面13,13’に押し付け力を作用させる機構であるため、標準的なコイルスプリング仕様とすることで、アーム等の破損部位が無くなり信頼性が向上する。また、サポート同期力発生機構を片側のみに取り付けた場合も、片側のみで成立させることができる。
加えて、ボークリング4,4’をシンクロハブ5に組み付ける際、シンクロハブ5を水平な状態で寝かせ、押付け力を発生するボール9,9’とスプリング10,10’を予めシンクロハブ5に組み付けた後、ボークリング4,4’を上から下げていきながらシンクロハブ5に組み付ける。これに対し、実施例1では、ボークリング4,4’のシンクロハブインロー部に設けたテーパー面13,13’のシンクロハブ5側位置に、シンクロハブ5に向かって下がる傾斜角を持つボールガイド面14aと、ボール9,9’を保持するボール保持面14bによる2段の面14a,14bにて構成したボール組付けガイド14,14’を設定した。この組付け時、ボール組付けガイド14,14’にボール保持面14bを有することで、ボール9,9’とスプリング10,10’の脱落を防止し、さらに、ボールガイド面14aを有することで、ボール9,9’がスムーズに乗り越えてテーパー面13,13’にセットすることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の変速機の同期装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) カップリングスリーブ1と、シンクロハブ5と、ボークリング4,4’と、クラッチギヤ3,3’と、を備えた変速機の同期装置において、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’との間で摩擦トルクが発生することにより、前記シンクロハブ5と前記ボークリング4,4’との間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転による周方向の力を、前記ボークリング4,4’をクラッチギヤ3,3’に押し付ける軸方向のサポート同期力Faに変換するサポート同期力発生機構と、前記ボークリング4,4’のシンクロハブインロー部にテーパー面13,13’を形成し、該テーパー面13,13’に押し付け力を作用させることで、カップリングスリーブ5が中立位置にあるとき、および、カップリングスリーブ5とクラッチギヤ3,3’のスプライン歯が噛み合っているとき、前記サポート同期力が発生しないように、前記ボークリング4,4’を初期位置に戻し、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とを離す戻し機構と、を備えたため、変速動作時、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができると共に、サポート同期力発生機構の作動を抑えたい時、ボークリングとクラッチギヤのテーパーコーン面が嵌合状態となることを確実に防止することができる。
この結果、手動変速機の場合には、ドライバーがシフトレバーに加えるシフト操作力が軽減されるし、また、自動MTの場合には、シフトアクチュエータとして、コスト的にもスペース的にも有利な小型アクチュエータを用いることができる。
(2) 前記戻し機構は、前記シンクロハブ5の外周に、一対のスプライン歯を埋めることでスプライン歯幅よりも大きい部位を形成し、その部位にスプリング10,10’とボール9,9’を設定する設定穴11,11’を開け、前記ボール9,9’を、前記クラッチギヤ3,3’に向かって下がる傾斜角θ’を持つ前記ボークリング4,4’のテーパー面13,13’に押し付ける機構としたため、シンクロハブ5に設定穴11,11’を開けることによる強度の低下を抑えることができる。また、設定穴11,11’の穴径を大きくとることができるため、より大きいボール9,9’を使用することができ、ボール9,9’の脱落(抜け)に対して有利とすることができる。
(3) 前記戻し機構は、前記ボークリング4,4’のシンクロハブインロー部に設けたテーパー面13,13’の前記シンクロハブ5側位置にボール組付けガイド14,14’を設定し、前記ボール組付けガイド14,14’は、前記シンクロハブ5に向かって下がる傾斜角を持つボールガイド面14aと、前記ボール9,9’を保持するボール保持面14bによる2段の面14a,14bにて構成したため、シンクロハブ5に対するボークリング4,4’の組付けを、確実にボール9,9’の脱落を防止しながら容易に行うことができる。
(4) 前記戻し機構は、ボークリングインデックス時において、インサートキー6にて発生するキーロック力をF0とし、その時に戻し機構により発生する戻り力をf0とするとき、
F0>f0
という関係が成立するように設定したため、ボークリングインデックス前に戻り力によりボークリング4,4’が初期位置に戻ることが無くなり、戻し機構によりサポート同期力Faの発生を阻害することを確実に防止することができる。
(5) 前記戻し機構は、前記ボール9,9’とスプリング10,10’の設定穴11,11’を、前記シンクロハブ5をスプライン嵌合したメインシャフト8に対し垂直に設定したため、設定穴11,11’を容易に穴加工できるばかりでなく、傾斜穴とする場合に比べて組付け性が向上し、組付け最良仕様の戻し機構とすることができる。
実施例2は、戻し機構の構成を実施例1とは異なる構成とした例である。
まず、構成を説明する。
図9は実施例2の変速機の同期装置を示す図10X−X線縦断正面図、図10は実施例2の変速機の同期装置を示すシンクロハブ部縦断側面図である。
実施例2の変速機の同期装置は、図9及び図10に示すように、カップリングスリーブ1と、メインギヤ2,2’と、クラッチギヤ3,3’と、ボークリング4,4’と、シンクロハブ5と、インサートキー6と、スプレッドスプリング7,7’と、メインシャフト8と、ボール9,9’と、スプリング10,10’と、設定穴11,11’と、テーパー面13,13’と、ボール組付けガイド14,14’と、を備えている。
なお、カップリングスリーブ1、メインギヤ2,2’、クラッチギヤ3,3’、ボークリング4,4’、シンクロハブ5、インサートキー6、スプレッドスプリング7,7’、メインシャフト8の構成については、実施例1と同様であるので説明を省略する。また、サポート同期力発生機構についても実施例1と同様であるので説明を省略する。
図11は実施例2の同期装置における戻し機構を示す拡大断面図であり、以下、実施例2の戻し機構の構成について説明する。
実施例2の戻し機構は、図11に示すように、前記ボール9,9’とスプリング10,10’の設定穴11,11’を、前記ボークリング4,4’に形成したテーパー面13,13’に対し垂直に設定している。
そして、実施例1の戻し機構と同様に、ボークリングインデックス時において、インサートキー6にて発生するキーロック力をF0とし、その時に戻し機構により発生する戻り力をf0とするとき、
F0>f0
という関係が成立するように設定してる。
ここで、「キーロック力F0」は、実施例1と同様に与えられるが、「戻り力f0」は、図11に示すように、ボール10からテーパー面13に作用するスプリング力をFとし、テーパー面13の傾斜角をθ’とし、ボール10とテーパー面13との間の摩擦係数をμ’としたとき、
f0=μ’Ftanθ’
の計算式により求められる。なお、実施例2の戻し機構の他の構成は、実施例1の戻し機構と同様であるので説明を省略する。
次に、作用説明する。
[ボークリングの戻し作用]
実施例2の戻し機構は、ボークリング4,4’のシンクロハブインロー部にテーパー面13,13’を形成し、該テーパー面13,13’に押し付け力を作用させる機構とした。よって、サポート同期力発生機構の作動を抑えたい時、図12に示すように、テーパー面13,13’に作用する押付け力Fが、テーパー角度θ’に応じた戻り力f0に変換されることで、サポート同期力Faとは反対方向の軸方向荷重により、ボークリング4’を初期ニュートラル方向に戻すことができる。
また、実施例2の戻し機構は、ボール9,9’とスプリング10,10’の設定穴11,11’を、ボークリング4,4’に形成したテーパー面13,13’に対し垂直に設定したため、テーパー面13,13’のテーパー角度θ’が同じで、テーパー面13,13’に作用する押付け力Fが同じである場合、実施例1の戻り力f0(=μ’Fsinθ’)に比べ、戻り力f0(=μ’Ftanθ’)を大きく設定することができる。なお、他の作用は実施例1と同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
この実施例2の変速機の同期装置にあっては、実施例1の(1),(2),(3),(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(6) 前記戻し機構は、前記ボール9,9’とスプリング10,10’の設定穴11,11’を、前記ボークリング4,4’に形成したテーパー面13,13’に対し垂直に設定したため、実施例1に比べて戻り力f0を大きく設定することが可能で、荷重最良仕様の戻し機構とすることができる。
以上、本発明の変速機の同期装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、本発明のサポート同期力発生機構及び戻し機構は、実施例1,2に示したキー式同期装置に限らず、ピン式同期装置や、同期初期に相対回転するシンクロハブとボークリングを有する他の方式の同期装置にも適用することができる。
実施例1,2では、サポート同期力発生機構として、斜面によるカム面接触を利用したものを示したが、曲面によるカム面接触を利用したものや、コイルスプリングに蓄える弾性力を利用したものであっても良い。要するに、シンクロハブ(またはインサートキー)とボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、相対回転による周方向の力を、ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換する機構であれば、その具体的な機構は、実施例1,2に記載した機構に限られることはない。
実施例1,2では、戻し機構として、シンクロハブの外周にスプリングとボールを設定する設定穴を開け、ボールを、クラッチギヤに向かって下がる傾斜角を持つボークリングのテーパー面に押し付ける機構とする例を示したが、要するに、ボークリングのシンクロハブインロー部にテーパー面を形成し、該テーパー面に押し付け力を作用させることで、カップリングスリーブが中立位置にあるとき、および、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているとき、サポート同期力が発生しないように、ボークリングを初期位置に戻し、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とを離す機構であれば、その具体的な機構は、実施例1,2に記載した機構に限られることはない。
本発明の同期装置は、シフトレバーをドライバーによる手動動作により変速する手動変速機に適用することができるし、また、エンジンとの間に制御型クラッチを有し、変速時、制御型クラッチを切り離している間にモータアクチュエータ等により変速する、いわゆる自動MTと呼ばれる変速機にも適用することができる。
実施例1の変速機の同期装置を示す図2A−A線縦断正面図である。 実施例1の変速機の同期装置を示すシンクロハブ部縦断側面図である。 実施例1の同期装置におけるサポート同期力発生機構を示す斜視図である。 実施例1の同期装置におけるカップリングスリーブとインサートキーを示す図である。 実施例1の同期装置における戻し機構を示す拡大断面図である。 実施例1の同期装置における動作時間に対する相対回転数特性と動作時間に対する動作荷重特性とを従来装置と比較した対比特性図である。 実施例1の同期装置におけるサポート同期力の発生メカニズム説明図である。 実施例1の同期装置においてサポート同期力発生機構と戻し機構が作用するボークリングインデックス状態を示す作用説明図である。 実施例2の変速機の同期装置を示す図10X−X線縦断正面図である。 実施例2の変速機の同期装置を示すシンクロハブ部縦断側面図である。 実施例2の同期装置における戻し機構を示す拡大断面図である。 実施例2の同期装置においてサポート同期力発生機構と戻し機構が作用するボークリングインデックス状態を示す作用説明図である。
符号の説明
1 カップリングスリーブ
2,2’ メインギヤ
3,3’ クラッチギヤ
4,4’ ボークリング
5 シンクロハブ
6 インサートキー
7,7’ スプレッドスプリング
8 メインシャフト
9,9’ ボール
10,10’ スプリング
11,11’ 設定穴
13,13’ テーパー面
14,14’ ボール組付けガイド

Claims (6)

  1. カップリングスリーブと、シンクロハブと、ボークリングと、クラッチギヤと、を備えた変速機の同期装置において、
    変速時であって、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間で摩擦トルクが発生することにより、前記シンクロハブと前記ボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転による周方向の力を、前記ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換するサポート同期力発生機構と、
    前記ボークリングのシンクロハブインロー部にテーパー面を形成し、該テーパー面に押し付け力を作用させることで、前記カップリングスリーブが中立位置にあるとき、および、前記カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているとき、前記サポート同期力が発生しないように、前記ボークリングを初期位置に戻し、前記ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とを離す戻し機構と、
    を備えたことを特徴とする変速機の同期装置。
  2. 請求項1に記載された変速機の同期装置において、
    前記戻し機構は、前記シンクロハブの外周に、少なくとも一対のスプライン歯を埋めることでスプライン歯幅よりも大きい部位を形成し、その部位にスプリングとボールを設定する設定穴を開け、
    前記ボールを、前記クラッチギヤに向かって下がる傾斜角を持つ前記ボークリングのテーパー面に押し付ける機構としたことを特徴とする変速機の同期装置。
  3. 請求項2に記載された変速機の同期装置において、
    前記戻し機構は、前記ボークリングのシンクロハブインロー部に設けたテーパー面の前記シンクロハブ側位置にボール組付けガイドを設定し、
    前記ボール組付けガイドは、前記シンクロハブに向かって下がる傾斜角を持つボールガイド面と、前記ボールを保持するボール保持面による2段の面にて構成したことを特徴とする変速機の同期装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載された変速機の同期装置において、
    前記戻し機構は、ボークリングインデックス時において、インサートキーにて発生するキーロック力をF0とし、その時に戻し機構により発生する戻り力をf0とするとき、
    F0>f0
    という関係が成立するように設定したことを特徴とする変速機の同期装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載された変速機の同期装置において、
    前記戻し機構は、前記ボールとスプリングの設定穴を、前記シンクロハブをスプライン嵌合したメインシャフトに対し垂直に設定したことを特徴とする変速機の同期装置。
  6. 請求項1乃至4の何れか1項に記載された変速機の同期装置において、
    前記戻し機構は、前記ボールとスプリングの設定穴を、前記ボークリングに形成したテーパー面に対し垂直に設定したことを特徴とする変速機の同期装置。
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