JP2006326987A - 三次元構造体の形成方法、該形成方法によって形成される三次元構造体、該三次元構造体を備える液晶パネル、表示装置および撮像装置、ならびにビーズスペーサの配置方法 - Google Patents
三次元構造体の形成方法、該形成方法によって形成される三次元構造体、該三次元構造体を備える液晶パネル、表示装置および撮像装置、ならびにビーズスペーサの配置方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 スペーサ、マイクロレンズなどの三次元構造体を、所望の形状および大きさで所望の位置に精度良く形成することのできる三次元構造体の形成方法を提供する。
【解決手段】 基板2の構造体形成予定領域4の外周部分4aに、三次元構造体を形成するための液体材料に対する親液性が、構造体形成予定領域4の外周部分4aを除く残余の部分4bよりも大きく、かつ構造体形成予定領域4を囲繞する囲繞領域5よりも大きい親液部6を形成する。たとえば、基板2の表面に撥液性膜3を形成した後、構造体形成予定領域4の外周部分4aに形成された撥液性膜3を除去することによって、親液部6を形成する。次いで、構造体形成予定領域4に液体材料を供給して固化させ、三次元構造体を形成する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、液晶パネルの基板間に設けられるスペーサ、表示装置、撮像装置などに備わるマイクロレンズなどの三次元構造体およびその形成方法、ならびにビーズスペーサの配置方法に関する。
液晶パネルの駆動素子基板とカラーフィルタ基板との間には、基板間距離を一定に保つためにスペーサが設けられる。スペーサの形成方法としては、固化成分を含む液体材料を基板に滴下した後固化させる方法などが知られている。また、同様の方法によってマイクロレンズを形成することも行われている。このように液体材料を用いてスペーサ、マイクロレンズなどの三次元構造体を形成する際には、三次元構造体を形成するべく予め定める領域の液体材料に対する親液性(以後、単に親液性とも称する)を、該領域以外の領域の親液性よりも大きくすることが一般的に行われている(たとえば、特許文献1および2参照)。
図17は、従来技術による三次元構造体の形成方法において、基板51に撥液性膜52を形成した状態を簡略化して示す平面図である。図18は、図17に示す撥液性膜52が形成された基板51を切断面線V−Vから見て示す断面図である。従来技術によって三次元構造体を形成する際には、まず、基板51に、後述する液体材料55との接触角が基板51よりも大きい撥液性膜52を形成する。次いで、基板51の三次元構造体を形成するべく予め定める領域(以後、構造体形成予定領域と称する)53に形成された撥液性膜52を除去し、構造体形成予定領域53の基板51を露出させる。これによって、構造体形成予定領域53の親液性が、構造体形成予定領域53以外の領域よりも大きくなり、構造体形成予定領域53全体に親液部54が形成される。
図19は、構造体形成予定領域53に液体材料55を供給した状態を簡略化して示す断面図である。前述のようにして親液部54を形成した後、図19に示すように構造体形成予定領域53に液体材料55を滴下する。液体材料55としては、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂などの固化成分を溶媒で希釈したものが多用されている。
図20は、三次元構造体56を形成した状態を示す断面図である。前述のようにして構造体形成予定領域53に液体材料55を滴下した後、溶媒を蒸発させ、紫外線照射などによって固化成分を硬化させる。これによって、図20に示す球冠状の形状を有する三次元構造体56が形成される。
従来技術には、以下のような問題がある。従来技術では、所望の位置に三次元構造体56を形成することは困難であり、三次元構造体56は、たとえば図20に示すように、構造体形成予定領域53よりも広がって形成される。これは、液体材料55から溶媒が蒸発していく過程において、液体材料55の体積が減少するのに伴って液体材料55と基板51との接触線57の位置57aが構造体形成予定領域53の周縁部53aから移動することが原因であると考えられる。接触線57の位置57aの移動は、構造体形成予定領域53の周縁部各部において一様でないので、液体材料55で形成される液滴の軸線58の位置が、構造体形成予定領域53の軸線59の位置からずれ、硬化後の液体材料55、すなわち三次元構造体56の位置精度が低下するものと考えられる。
このため、従来技術によって三次元構造体56であるスペーサを液晶パネルの遮光部に形成しようとすると、スペーサが遮光部内に収まらず、表示に使用される領域にはみ出して形成されるので、バックライトからの光の利用効率が低下し、液晶パネルの輝度が低下するという問題が生じる。
また、従来技術では、面積に対する厚さすなわち基板51の表面からの高さH2の割合の大きい三次元構造体56を形成することは困難であり、形成された三次元構造体56と基板51との接触角θ3はたとえば25°程度と小さくなる。
このため、液体材料を固着させてスペーサを形成する方法ではスペーサの高さが不充分となるので、ビーズスペーサと呼ばれる球状のスペーサを基板に散布する、またはフォトリソグラフィによって円柱状などの形状の突起をスペーサとして基板に形成する必要がある。しかしながら、ビーズスペーサを散布する方法では、ビーズスペーサを所望の位置のみに選択的に配置することが困難であり、ビーズスペーサが液晶パネルの表示に使用される部分に散布されて液晶パネルの輝度が低下するという問題がある。また、フォトリソグラフィを用いてスペーサを形成する方法では、基板全面にレジスト層を形成した後、不要な部分のレジスト層を除去するので、材料利用効率が低いという問題がある。また、フォトリソグラフィでは、露光装置などが必要であり、形成装置が大型化するという問題もある。
前述の液体材料55を固着させて三次元構造体56を形成する方法において、形成される三次元構造体56の高さH2を高めるためには、三次元構造体56の底面積を大きくする必要がある。三次元構造体56として液晶パネル用スペーサを形成する場合、スペーサは、駆動素子基板またはカラーフィルタ基板の遮光部に形成されることが好ましい。しかしながら、前述のように高さH2を大きくするために底面積を大きくすると、遮光部だけでなく、その他の部分にまで広がってスペーサが形成され、液晶パネルの輝度が低下するという問題が生じる。最近では、液晶パネルの輝度の更なる向上が求められており、遮光部の基板に占める面積は小さくなる傾向にある。よって、底面積を大きくすることなく、スペーサなどの三次元構造体の高さを高め、底面積に対する高さの割合を大きくすることのできる三次元構造体の形成方法が求められている。
また、従来技術によって三次元構造体56としてマイクロレンズを形成すると、形成されたマイクロレンズ56は、基板51との接触角θ3がたとえば33°程度であって曲率の小さいものとなる。マイクロレンズは、たとえば液晶パネルにおいて、バックライトからの光を集光し、液晶パネルの輝度を高めるためなどに用いられる。マイクロレンズの焦点距離は、液晶パネルの厚さに影響し、マイクロレンズの焦点距離が短いほど、液晶パネルの厚さを小さくすることができる。マイクロレンズの焦点距離はその曲率に依存し、曲率が大きいほど焦点距離は短くなる。マイクロレンズの曲率は、マイクロレンズの底面積に対する高さの割合が大きいほど大きくなるので、このような観点からも底面積に対する高さの割合を高め、基板との接触角がたとえば43°程度と大きく、曲率の大きいマイクロレンズを形成することのできる三次元構造体の形成方法が求められている。
本発明の目的は、三次元構造体の底面積に対する高さの割合を大きくして曲率を大きくすることができ、所望の形状および大きさの三次元構造体を所望の位置に精度良く形成することのできる三次元構造体の形成方法、該形成方法によって形成されるスペーサおよび該スペーサを備える液晶パネル、ならびに該形成方法によって形成されるマイクロレンズおよび該マイクロレンズを備える表示装置および撮像装置を提供することである。
本発明の他の目的は、所望の位置にビーズスペーサを精度良く配置することのできるビーズスペーサの配置方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するための研究過程において、三次元構造体の形成位置が所望の位置からずれる原因および三次元構造体の底面積に対する高さの割合が小さくなる原因が、構造体形成予定領域における基板と液体材料との固液界面の界面張力が小さいことにあるとの知見を得た。この知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、構造体形成予定領域全体の親液性を大きくするのではなく、構造体形成予定領域の外周部分のみ、他の領域よりも親液性を大きくすることによって、所望の位置に所望の形状および大きさの三次元構造体を精度良く形成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、固化成分を含む液体材料を基板に供給して固化させることによって三次元構造体を形成する三次元構造体の形成方法であって、
基板の三次元構造体を形成するべく予め定める領域の外周部分に、液体材料に対する親液性が、前記予め定める領域の外周部分を除く残余の部分よりも大きく、かつ基板の前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域よりも大きい親液部を形成する親液部形成工程と、
前記予め定める領域に液体材料を供給する液体材料供給工程と、
供給された液体材料を固化させる固化工程とを含むことを特徴とする三次元構造体の形成方法である。
基板の三次元構造体を形成するべく予め定める領域の外周部分に、液体材料に対する親液性が、前記予め定める領域の外周部分を除く残余の部分よりも大きく、かつ基板の前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域よりも大きい親液部を形成する親液部形成工程と、
前記予め定める領域に液体材料を供給する液体材料供給工程と、
供給された液体材料を固化させる固化工程とを含むことを特徴とする三次元構造体の形成方法である。
また本発明の三次元構造体の形成方法は、親液部形成工程は、
基板の前記予め定める領域の外周部分を、液体材料との接触角が小さくなるように親液化する親液化工程を含むことを特徴とする。
基板の前記予め定める領域の外周部分を、液体材料との接触角が小さくなるように親液化する親液化工程を含むことを特徴とする。
また本発明の三次元構造体の形成方法は、親液部形成工程は、親液化工程の前に、
基板の前記予め定める領域および前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域を、液体材料との接触角が大きくなるように撥液化する撥液化工程を含むことを特徴とする。
基板の前記予め定める領域および前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域を、液体材料との接触角が大きくなるように撥液化する撥液化工程を含むことを特徴とする。
また本発明の三次元構造体の形成方法は、親液部形成工程は、
前記予め定める領域の外周部分を除く残余の部分および前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域を、液体材料との接触角が大きくなるように撥液化する撥液化工程を含むことを特徴とする。
前記予め定める領域の外周部分を除く残余の部分および前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域を、液体材料との接触角が大きくなるように撥液化する撥液化工程を含むことを特徴とする。
また本発明の三次元構造体の形成方法は、親液部形成工程は、撥液化工程の前に、
基板の前記予め定める領域を、液体材料との接触角が小さくなるように親液化する親液化工程を含むことを特徴とする。
基板の前記予め定める領域を、液体材料との接触角が小さくなるように親液化する親液化工程を含むことを特徴とする。
また本発明の三次元構造体の形成方法は、液体材料は、固化成分と溶媒とを含み、
固化工程は、溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする。
固化工程は、溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする。
また本発明は、前記本発明の三次元構造体の形成方法によって形成されることを特徴とする三次元構造体である。
また本発明の三次元構造体は、対向する一対の基板間に設けられ、一対の基板のうち少なくともいずれか一方の基板に固着して形成されるスペーサであることを特徴とする。
また本発明は、対向して設けられる一対の基板と、一対の基板間に設けられる液晶層と、一対の基板のうち少なくともいずれか一方の基板に固着して形成されるスペーサとを有する液晶パネルであって、
スペーサは、前記本発明の三次元構造体であることを特徴とする液晶パネルである。
スペーサは、前記本発明の三次元構造体であることを特徴とする液晶パネルである。
また本発明の液晶パネルは、一対の基板のうち、一方の基板は、駆動素子と遮光部とを有する駆動素子基板であり、
前記スペーサは、駆動素子基板の遮光部または遮光部が投影される領域に設けられることを特徴とする。
前記スペーサは、駆動素子基板の遮光部または遮光部が投影される領域に設けられることを特徴とする。
また本発明の液晶パネルは、一対の基板のうち、一方の基板は、有色部と遮光部とを有するカラーフィルタ基板であり、
前記スペーサは、カラーフィルタ基板の遮光部または遮光部が投影される領域に設けられることを特徴とする。
前記スペーサは、カラーフィルタ基板の遮光部または遮光部が投影される領域に設けられることを特徴とする。
また本発明の三次元構造体は、光透過性を有する固化成分を含む液体材料が固化されてなるマイクロレンズであることを特徴とする。
また本発明は、表示素子とマイクロレンズとを備える表示装置であって、
マイクロレンズは、前記本発明の三次元構造体であることを特徴とする表示装置である。
マイクロレンズは、前記本発明の三次元構造体であることを特徴とする表示装置である。
また本発明は、撮像素子とマイクロレンズとを備える撮像装置であって、
マイクロレンズは、前記本発明の三次元構造体であることを特徴とする撮像装置である。
マイクロレンズは、前記本発明の三次元構造体であることを特徴とする撮像装置である。
また本発明は、ビーズスペーサと固化成分とを含む液体材料を基板に供給して固化させることによって、基板にビーズスペーサを配置するビーズスペーサの配置方法であって、
基板のビーズスペーサを配置するべく予め定める領域の外周部分に、液体材料に対する親液性が、前記予め定める領域の外周部分を除く残余の部分よりも大きく、かつ基板の前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域よりも大きい親液部を形成する親液部形成工程と、
前記予め定める領域に液体材料を供給する液体材料供給工程と、
供給された液体材料を固化させる固化工程とを含むことを特徴とするビーズスペーサの配置方法である。
基板のビーズスペーサを配置するべく予め定める領域の外周部分に、液体材料に対する親液性が、前記予め定める領域の外周部分を除く残余の部分よりも大きく、かつ基板の前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域よりも大きい親液部を形成する親液部形成工程と、
前記予め定める領域に液体材料を供給する液体材料供給工程と、
供給された液体材料を固化させる固化工程とを含むことを特徴とするビーズスペーサの配置方法である。
本発明によれば、三次元構造体は、親液部形成工程と、液体材料供給工程と、固化工程とを経て形成される。親液部形成工程では、基板の三次元構造体を形成するべく予め定める領域(以後、構造体形成予定領域とも称する)の外周部分に、三次元構造体を形成する液体材料に対する親液性(以後、単に親液性とも称する)が、基板の構造体形成予定領域の外周部分を除く残余の部分よりも大きく、かつ基板の構造体形成予定領域を囲繞する囲繞領域よりも大きい親液部を形成する。次いで、液体材料供給工程において構造体形成予定領域に液体材料を供給し、供給された液体材料を固化工程において固化させ、三次元構造体を形成する。
構造体形成予定領域は、外周部分に親液部を有し、外周部分を除く残余の部分の親液性が外周部分の親液部の親液性よりも小さいので、構造体形成予定領域における基板と液体材料との界面張力を低下させることなく、すなわち基板と液体材料との接触角を小さくすることなく、構造体形成予定領域のみに液体材料を供給することができる。これによって、構造体形成予定領域全体の親液性を囲繞領域の親液性よりも大きくする場合に比べて、基板の同一面積内により多くの液体材料を保持させることができるので、底面積が同じであるにも関わらず、基板表面からの高さ(以後、単に高さとも称する)がより高い三次元構造体を形成することができる。また、固化工程における液体材料と基板との接触線の位置を構造体形成予定領域の周端部に固定し、液体材料を構造体形成予定領域内に保持させることができるので、所望の位置に精度良く三次元構造体を形成することができる。また、構造体形成予定領域の形状および大きさ、ならびに構造体形成予定領域に供給する固化成分の体積を調整することによって、三次元構造体の高さおよび曲率などを制御することができるので、所望の形状および高さを有する三次元構造体を形成することができる。また、フォトリソグラフィを用いる場合に比べて、材料利用効率が高いので、三次元構造体の製造原価を低減することができる。また、フォトリソグラフィを用いる場合よりも小型の装置を用いるだけで、三次元構造体を形成することができる。
ここで、基板と液体材料との接触線とは、基板と液体材料と基板および液体材料の周囲の気体とが接する位置から、液体材料の気体に接する表面に引いた接線のことであり、該接触線の位置とは、基板と液体材料と基板および液体材料の周囲の気体とが接する位置のことである。また、基板と液体材料との接触角とは、前記接触線と基板の液体材料に接する表面との成す角度のうち、液体材料を含む側の角度のことである。また、三次元構造体の底面積とは、三次元構造体の基板に接する部分の面積のことである。
また本発明によれば、親液部形成工程は親液化工程を含み、親液化工程では、基板の構造体形成予定領域の外周部分を、液体材料との接触角が小さくなるように親液化する。このことによって、基板と液体材料との接触線の位置を構造体形成予定領域の周縁部に容易に固定することができる。
また本発明によれば、親液部形成工程は親液化工程の前に撥液化工程を含み、親液化工程において基板の構造体形成予定領域の外周部分を親液化する前に、撥液化工程において基板の構造体形成予定領域および構造体形成予定領域を囲繞する囲繞領域を、液体材料との接触角が大きくなるように撥液化する。このことによって、構造体形成予定領域の外周部分を除く残余の部分における基板と液体材料との固液界面張力を大きくすることができるので、構造体形成予定領域に保持させることのできる液体材料の体積を増加させることができる。したがって、基板からの高さがより高い三次元構造体を形成することが可能になる。
また本発明によれば、親液部形成工程は撥液化工程を含み、撥液化工程では、構造体形成予定領域の外周部分を除く残余の部分および構造体形成予定領域を囲繞する囲繞領域を、液体材料との接触角が大きくなるように撥液化する。このことによって、基板と液体材料との接触線の位置を構造体形成予定領域の周縁部に容易に固定することができる。また、構造体形成予定領域の外周部分を除く残余の部分における基板と液体材料との固液界面張力を大きくすることができるので、構造体形成予定領域に保持させることのできる液体材料の体積を増加させ、液体材料と基板との接触角を大きくすることができる。
また本発明によれば、親液部形成工程は撥液化工程の前に親液化工程を含み、撥液化工程において構造体形成予定領域の外周部分を除く残余の部分および構造体形成予定領域を囲繞する囲繞領域を撥液化する前に、親液化工程において構造体形成予定領域を液体材料との接触角が小さくなるように親液化する。このことによって、基板と液体材料との接触線の位置を構造体形成予定領域の周縁部により確実に固定することができるので、所望の位置により高い精度で三次元構造体を形成することができる。
また本発明によれば、液体材料は固化成分と溶媒とを含み、固化工程は溶媒を除去する工程を含む。このように、固化成分を溶媒によって希釈して液体材料として用いることによって、構造体形成予定領域に供給する液体材料の体積よりも小さい体積の三次元構造体を形成することができる。たとえば、滴下装置を用いて液体材料を構造体形成予定領域に滴下する場合、滴下装置によって滴下することのできる最小体積(以後、最小滴下体積とも称する)よりも小さい体積の三次元構造体であっても形成することができる。また、溶媒による固化成分の希釈率を調整することによって、形成される三次元構造体の体積を容易に制御することができる。
また本発明によれば、三次元構造体は、本発明の三次元構造体の形成方法によって形成される。このことによって、所望の位置に形成され、かつ所望の形状および大きさを有する三次元構造体を得ることができる。
また本発明によれば、三次元構造体は、対向する一対の基板間に設けられるスペーサであり、一対の基板のうち少なくともいずれか一方の基板に固着して形成される。三次元構造体であるスペーサは、本発明の三次元構造体の形成方法によって形成されるので、底面積に対する高さの割合を大きくすることができる。たとえば、底面積が7×10−10m2程度であっても高さが4μmと高いスペーサを得ることができる。したがって、フォトリソグラフィなどを用いることなく、一対の基板間の間隔を所望の値にすることのできるスペーサを形成することができるので、スペーサが設けられた基板およびそれを備える装置の製造原価を低減することができる。
また本発明によれば、液晶パネルは、一対の基板と液晶層とスペーサとを有し、スペーサは、本発明の三次元構造体の形成方法によって一対の基板のうち少なくともいずれか一方の基板に固着して形成される。このことによって、所望の位置にスペーサを設けることができるので、スペーサが不要な部分に設けられることによる液晶パネルの輝度の低下を抑えることができる。
また本発明によれば、スペーサは、液晶パネルの駆動素子基板の遮光部または遮光部が投影される領域に設けられる。このことによって、表示に使用する光、たとえばバックライトからの光を効率良く利用することのできる輝度の高い液晶パネルを得ることができる。また、スペーサは、前記本発明の三次元構造体の形成方法によって形成されるので、高さを維持しながら、底面積を小さくすることができる。これによって、遮光部の幅が小さくなっても、スペーサを遮光部内に形成することができるので、遮光部の幅を小さくし、液晶パネルの輝度を向上させることが可能である。
また本発明によれば、スペーサは、液晶パネルのカラーフィルタ基板の遮光部または遮光部が投影される領域に設けられる。このことによって、表示に使用する光の利用効率を高め、液晶パネルの輝度を向上させることができる。また、本発明の三次元構造体の形成方法では、カラーフィルタ基板の有色部に三次元構造体であるスペーサが形成されることを防ぐことができるので、表示色の色味の低下を抑えることができる。
また本発明によれば、三次元構造体は、光透過性を有する固化成分を含む液体材料が固化されてなるマイクロレンズであり、本発明の三次元構造体の形成方法によって形成される。本発明の三次元構造体の形成方法では、構造体形成予定領域全体を親液化する場合に比べて、曲率が大きく、焦点距離の短いマイクロレンズを形成することができる。よって、本発明のマイクロレンズを用いることによって、マイクロレンズを備える装置の厚さを減少させることができる。また、本発明のマイクロレンズは、基板の所望の位置に精度良く形成することができるので、マイクロレンズが形成された基板を装置内に配置する場合の光軸合わせの精度を向上させることができる。また、本発明の三次元構造体の形成方法では、マイクロレンズの曲率を維持しながら、その底面積を小さくすることができるので、基板の同一面積内に配置することのできるマイクロレンズの個数を増加させることができる。したがって、本発明のマイクロレンズを複数個並べて配置してマイクロレンズアレイ基板とすることによって、マイクロレンズアレイ基板におけるマイクロレンズの配置密度を高めることができる。
また本発明によれば、表示装置は、表示素子と、本発明の三次元構造体の形成方法によって形成されるマイクロレンズとを備える。本発明の三次元構造体の形成方法では、構造体形成予定領域の外周部分のみに親液部を形成するので、構造体形成予定領域全体を親液化する場合に比べて、曲率が大きく、焦点距離の短いマイクロレンズを形成することができる。このようなマイクロレンズを、たとえば液晶パネルなどの表示装置の集光レンズとして用いることによって、表示装置の輝度を向上させるとともに、表示装置の厚さを小さくし、薄型化することができる。
また本発明によれば、撮像装置は、撮像素子と、本発明の三次元構造体の形成方法によって形成されるマイクロレンズとを備える。本発明の三次元構造体の形成方法では、構造体形成予定領域の外周部分に親液部を形成するので、構造体形成予定領域全体を親液化してマイクロレンズを形成する場合に比べて、マイクロレンズの曲率を大きくし、焦点距離を短くすることができる。したがって、このようなマイクロレンズをたとえば集光レンズとして設けることによって、撮像装置の光感度を向上させるとともに、撮像装置の厚さを小さくし、小型化することができる。
また本発明によれば、ビーズスペーサは、親液部形成工程と、液体材料供給工程と、固化工程とを経て基板に配置される。親液部形成工程では、基板のビーズスペーサを配置するべく予め定める領域(以後、ビーズスペーサ配置予定領域とも称する)の外周部分に、液体材料に対する親液性が、基板のビーズスペーサ配置予定領域の外周部分を除く残余の部分よりも大きく、かつ基板のビーズスペーサ配置予定領域を囲繞する囲繞領域よりも大きい親液部を形成する。次いで、液体材料供給工程においてビーズスペーサ配置予定領域に液体材料を供給し、供給された液体材料を固化工程において固化させる。ビーズスペーサ配置予定領域は外周部分のみに親液部を有するので、液体材料供給工程および固化工程では、ビーズスペーサを含む液体材料を基板のビーズスペーサ配置予定領域内に保持させることができる。したがって、ビーズスペーサを基板の所望の位置に精度良く固着させることができる。
図1は、本発明の実施の第1態様である三次元構造体の形成方法によって形成される三次元構造体1の構成を簡略化して示す斜視図である。本実施態様では、三次元構造体1としてスペーサ1を形成する。具体的には、図1に示すように、球の一部に近似できるような球冠状の形状を有するスペーサ1を形成する。
スペーサ1は、たとえば一対の基板間に設けられ、該一対の基板間の距離を一定の値に保つ機能を果たす。たとえば、スペーサ1は、後述する図14に示す液晶パネル14において、カラーフィルタ基板20または駆動素子基板21に固着して形成され、駆動素子基板21とカラーフィルタ基板20との間隔d3を所望の値に保持するために用いられる。
スペーサ1の底面1a、すなわちスペーサ1の基板2に接する表面1aは略円形状である。ここで、略円形状とは円形状を含む。スペーサ1の底面1aの面積(以後、底面積と称する)および底面積を決定する底面1aの直径R1は、基板2のスペーサ1が設けられる領域の大きさ、たとえば後述の図14に示すカラーフィルタ基板20の遮光部25の幅W4などに応じて適宜選択される。たとえば、遮光部25の幅W4が20μm程度である場合、スペーサ1の底面1aの直径R1は、15μm程度に選択される。
スペーサ1の基板2表面からの高さ(以後、単に高さとも称する)H1、すなわちスペーサ1の基板2表面から最も突出した部分から基板2表面に下ろした垂線の長さH1は、スペーサ1が設けられる一対の基板間の距離などに応じて適宜選択される。たとえば、図14に示す液晶パネル14では、駆動素子基板21とカラーフィルタ基板20との間隔d3は4μm程度であることが求められるので、スペーサ1の高さH1は、4μm程度に選択される。
本実施態様では、後述する液体材料7を基板2に供給して固化させることによって、三次元構造体であるスペーサ1を形成する。液体材料7によって図1に示すスペーサ1を形成するためには、図1に示す形状、具体的には球冠状の形状に液体材料7を配置する必要がある。本実施態様による三次元構造体の形成方法は、親液部形成工程と、液体材料供給工程と、固化工程とを含む。
図2は、基板2に撥液性膜3を形成した状態を簡略化して示す平面図である。図3は、図2に示す撥液性膜3が形成された基板2の切断面線I−Iにおける断面図である。本実施態様では、親液部形成工程は撥液化工程である。
撥液化工程である親液部形成工程では、まず、基板2の厚み方向一方側の表面部(以後、単に表面とも称する)に、後述する液体材料7に対する親液性が基板2よりも小さい、すなわち液体材料7との接触角が基板2よりも大きい撥液性膜3を形成する。本実施態様では、基板2の三次元構造体であるスペーサ1を形成するべく予め定める領域(以後、構造体形成予定領域と称する)4と構造体形成予定領域4を囲繞する囲繞領域5とを含む基板2の表面全体に撥液性膜3を形成する。このように撥液性膜3を形成することによって、基板2の表面が撥液化される。なお、本実施態様では、囲繞領域5は、基板2の構造体形成予定領域4を除く残余の領域である。
基板2としては、たとえばガラス板、金属板、樹脂板などが用いられる。撥液性膜3は、たとえばフッ素系樹脂などで形成される。
撥液性膜3は、たとえばスピンコート法などによって形成することができる。撥液性膜3の厚さd1は、液体材料7に対して充分な撥液性を奏する厚さ以上であれば特に制限されず、構造体形成予定領域4の面積などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができる。たとえば、撥液性膜3をフッ素系樹脂で形成する場合、撥液性膜3は、厚さd1が数十nm(数百Å)程度以上であれば、液体材料7に対して充分な撥液性を有する。なお、膜厚の均一性、成膜時間などを考慮すると、撥液性膜3の厚さd1は小さい方が好ましく、具体的には1μm以下であることが好ましい。
図4は、親液部6を形成した状態を簡略化して示す平面図である。図5は、図4に示す親液部6が形成された基板2の切断面線I−Iにおける断面図である。前述のようにして形成された撥液性膜3のうち、構造体形成予定領域4の外周部分4aに形成された撥液性膜3を除去する。本実施態様では、構造体形成予定領域4の外周部分4aに形成された撥液性膜3を外周部分4aの周方向全周にわたって除去する。これによって、構造体形成予定領域4の外周部分4aの基板2が露出する。基板2の液体材料7に対する親液性は撥液性膜3よりも大きいので、基板2は、撥液性膜2が残存する部分、すなわち構造体形成予定領域4の外周部分4aを除く残余の部分4bおよび囲繞領域5のみが撥液化された状態となり、基板2の露出する部分が親液部6となる。具体的には、図4に示すように、撥液性膜3を円環状に除去し、円環状の親液部6を形成する。
親液部6の外径R2、すなわち構造体形成予定領域4の外径R2は、前述の図1に示すスペーサ1の底面1aの直径R1に略等しくなるように選択され、たとえば15μm程度である。親液部6の構造体形成予定領域4の軸線に直交する方向の幅(以後、単に幅とも称する)、すなわち親液部6の半径方向の幅W1は、たとえば1μmである。親液部6の面積S1は、構造体形成予定領域4全体の面積S0の1%以上30%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以上20%以下である。この理由については後述する。本実施態様のように円環状の親液部6を形成する場合、親液部6の幅W1は、親液部6の面積S1が前記範囲内になるように選択される。たとえば、親液部6の幅W1を構造体形成予定領域4の半径r2の1%以上15%以下、好ましくは1%以上10%以下にすることによって、面積S1が前記範囲内にある親液部6を実現することができる。具体的には、たとえば、構造体形成予定領域4の外径R2が15μm程度である場合、親液部6の幅W1はたとえば0.5〜1μm程度である。
撥液性膜3の除去は、たとえばレーザ光の照射によって行なうことができる(以後、レーザ光の照射による除去操作をレーザカットとも称する)。
図6は、構造体形成予定領域4に液体材料7を供給した状態を簡略化して示す断面図である。前述のようにして親液部6を形成した後、液体材料供給工程において、構造体形成予定領域4に液体材料7を供給する。液体材料7の供給には、インクジェット方式の液体滴下装置(以後、インクジェット滴下装置とも称する)、ディスペンサ方式の液体滴下装置などの液体滴下装置などを用いることができる。液体材料7は、構造体形成予定領域4の中心部付近に供給することが好ましい。
本実施態様では、親液部6は、構造体形成予定領域4の外周部分4aのみに形成されている。よって、前述の図17に示すように構造体形成予定領域53全体に親液部54を形成する場合に比べて、構造体形成予定領域4における基板2と液体材料7との固液界面張力(以後、単に界面張力とも称する)を大きくすることができるので、構造体形成予定領域4により多くの液体材料7を保持させることができる。ここで、構造体形成予定領域における基板と液体材料との固液界面張力とは、親液部における基板と液体材料との固液界面張力と、構造体形成予定領域の親液部を除く残余の部分における基板と液体材料との固液界面張力との和のことである。なお、基板の表面に撥液性膜が形成されている部分において、基板と液体材料との固液界面張力とは、撥液性膜と液体材料との固液界面張力のことをいう。
親液部6における基板2と液体材料7との接触角θaと、構造体形成予定領域4の外周部分4aを除く残余の部分4bにおける基板2と液体材料7との接触角θbとの差Δθab(=θb−θa)は、30°以上であることが好ましい。これによって、所望の高さH1を有するスペーサ1を容易に形成することができる。前記差Δθabが30°未満であると、構造体形成予定領域4における基板2と液体材料7との界面張力が不足し、所望の高さH1を有するスペーサ1を形成できない可能性がある。
また、親液部6における基板2と液体材料7との接触角θaと、囲繞領域5における基板2と液体材料7との接触角θcとの差Δθac(=θc−θa)は、30°以上であることが好ましい。これによって、液体材料7をより確実に構造体形成予定領域4のみに供給することができる。前記差Δθacが30°未満であると、液体材料7が囲繞領域5に溢流する恐れがある。
液体材料7の粘度は、温度25℃において、3mPa・s(3cP)以上であることが好ましい。液体材料7の粘度が3mPa・s(3cP)未満であると、液体材料7の表面張力が不充分になり、構造体形成予定領域4に保持させることのできる液体材料7の量が低下する可能性がある。液体材料7の粘度の上限は、特に制限されるものではないけれども、インクジェット滴下装置を用いて液体材料7を供給する場合には、温度25℃において、15mPa・s(15cP)以下であることが好ましい。液体材料7の粘度を前記範囲に選択することによって、構造体形成予定領域4に容易に液体材料7を供給することができる。インクジェット滴下装置を用いて滴下する場合に、液体材料7の25℃における粘度が15mPa・s(15cP)を超えると、構造体形成予定領域4への液体材料7の供給が困難になる可能性がある。
液体材料7には、固化成分が含まれる。固化成分としては、たとえば、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂などの紫外線硬化樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂などが用いられる。
本実施態様では、液体材料7は、固化成分以外に溶媒を含む。このように、液体材料7として固化成分を溶媒で希釈したものを用いることによって、構造体形成予定領域4に供給する固化成分の量を容易に調整することができる。たとえば、構造体形成予定領域4に供給する液体材料7の体積よりも小さい体積の固化成分を構造体形成予定領域4に供給することができる。これによって、液体滴下装置によって滴下することのできる最小体積(以後、最小滴下体積とも称する)よりも小さい体積のスペーサ1を形成することが可能になる。また、溶媒による固化成分の希釈率を調整することによって、種々の体積を有するスペーサ1を容易に形成することができる。
また、液体材料7に溶媒を含有させることによって、液体材料7の粘度、表面張力などの物性を容易に調整することができる。固化成分として好適に用いられる紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂は、温度25℃における粘度が、たとえば数十〜数千mPa・s(数十〜数千cP)程度と高いものが多く、単独では各種液体滴下装置から滴下することができないことが多い。このため、これらの硬化性樹脂を固化成分として用いる場合には、本実施態様のように、固化成分を溶媒で希釈して用いることが好ましい。溶媒で希釈することによって、固化成分を容易に基板2に供給することができる。なお、固化成分として、液体滴下装置などで容易に供給することのできる粘度を有するものを用いる場合には、溶媒で希釈せずに用いてもよい。ただし、本実施態様のように溶媒で希釈して用いる方が、構造体形成予定領域4に供給する固化成分の量を容易に調整することができるので好ましい。
液体材料7の溶媒としては、有機溶媒、具体的には酢酸ブチル、酢酸ブチルカルビトールなどが挙げられる。溶媒による固化成分の希釈率は、固化成分の粘度、表面張力などの物性、使用する液体滴下装置の最小滴下体積、液体材料7に求められる粘度、表面張力などの各種条件に応じて適宜選択される。
図7は、スペーサ1を形成した状態を簡略化して示す断面図である。前述のようにして液体材料7を供給した後、液体材料7を固化させ、前述の図1に示すスペーサ1を形成する。本実施態様では、溶媒を蒸発させることによって液体材料7から溶媒を除去した後、固化成分などの残存する成分を固化させる。固化成分として、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂を用いる場合には、溶媒の除去後に、紫外線照射または加熱などによって硬化性樹脂を硬化させ、スペーサ1を形成する。なお、前述の図1では、図7に示す撥液性膜3は、図が錯綜して理解が困難になるので記載を省略している。
溶媒を蒸発させる過程において、液体材料7の体積は減少するので、前述の図17に示すように構造体形成予定領域53全体に親液部54を形成すると、液体材料55と基板51との接触線57の位置57aが、構造体形成予定領域54の周縁部53aからずれ、スペーサ56が構造体形成予定領域53内に形成されないという問題が生じる。これに対し、本実施態様では、構造体形成予定領域4の外周部分4aのみに親液部6が形成されているので、基板2と液体材料7との接触線8の位置8aを、構造体形成予定領域4の周縁部、すなわち親液部6の外周端部6aに固定することができる。したがって、構造体形成予定領域4内に精度良くスペーサ1を形成することができる。
ここで、基板2と液体材料7との接触線8とは、本実施態様のように基板2の表面に撥液性膜3が形成されている場合には撥液性膜3と液体材料7と撥液性膜3および液体材料7の周囲の気体とが接する位置8aから、液体材料7の気体に接する表面に引いた接線のことをいう。また、この場合、基板2と液体材料7との接触角θ2とは、前記接触線8と撥液性膜3の表面とが成す角度のうち、液体材料7を含む側の角度のことをいう。同様に、液体材料7が固化されてなるスペーサ1と基板2との接触角θ1とは、前記接触線8と撥液性膜3の表面とが成す角度のうち、液体材料7、すなわちスペーサ1を含む側の角度のことをいう。
また、本実施態様では、前述のように構造体形成予定領域53全体を親液化する場合に比べて、より多くの液体材料7を構造体形成予定領域4に保持させることができるので、形成されるスペーサ1と基板2との接触角θ1を大きくすることができる。したがって、基板2との接触角θ1がたとえば55°程度と大きいスペーサ1であっても形成することができる。スペーサ1と基板2との接触角θ1は、液体材料7として、構造体形成予定領域4の親液部6を除く残余の部分4bに形成される撥液性膜3との接触角のより大きいものを用いることによって、一層大きくすることができる。
また、本実施態様では、構造体形成予定領域4の大きさすなわち構造体形成予定領域4の外径R2および構造体形成予定領域4に供給する固化成分の体積を調整することによって、スペーサ1の高さH1を制御することができる。したがって、所望の高さH1を有するスペーサ1を容易に形成することができる。
基板2と液体材料7との接触線8の位置8aを構造体形成予定領域4の周縁部6aにより確実に固定するためには、親液部6の面積S1は、前述のように構造体形成予定領域4全体の面積S0の1%以上であることが好ましい。親液部6の面積S1が前記面積S0の1%未満であると、親液部6を設ける効果が充分に発揮されず、溶媒を蒸発させる過程において、基板2と液体材料7との接触線8が構造体形成予定領域4の周縁部6aからずれる可能性があり、液体材料7が囲繞領域7に溢流し、スペーサ1の位置精度が低下する恐れがある。
また、基板2との接触角θ1がたとえば55°と大きいスペーサ1を容易に形成するためには、親液部6の面積S1は、前述のように構造体形成予定領域4全体の面積S0の30%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。親液部6の面積S1が前記面積S0の30%を超えると、構造体形成予定領域4における基板2と液体材料7との界面張力が不足して、所望量の液体材料7を構造体形成予定領域4に保持させることができなくなる可能性があり、基板2との接触角θ1の大きいスペーサ1を形成することが困難になる恐れがある。
以上のように、本発明の三次元構造体の形成方法によれば、基板2と液体材料7との接触線8の位置8aを意図した位置、具体的には構造体形成予定領域4の周縁部6aに固定することができるので、三次元構造体であるスペーサ1を所望の位置に精度良く形成することができる。また、スペーサ1と基板2との接触角θ1をたとえば55°程度という高角度にすることができるので、底面積に対する高さの割合の高いスペーサ1を形成することができる。たとえば、底面1aの直径R1が15μm程度と小さくても、高さH1が4μm程度と高いスペーサ1を形成することができる。
これによって、後述する図14に示す液晶パネル14の遮光部25の幅W4がたとえば20μm程度と小さくても、所望の基板間距離d3に相当する高さ、たとえば4μm程度のスペーサ1を遮光部25が投影される領域内に精度良く形成することができる。したがって、遮光部25の幅W4を小さくし、液晶パネル14の輝度を向上させることが可能である。また、本実施態様では、フォトリソグラフィを用いてスペーサを形成する場合に比べて、使用する装置が安価であるので、液晶パネル14の製造原価を低減することができる。
以上に述べた本実施態様では、親液部形成工程は撥液化工程であるけれども、親液部形成工程は、撥液化工程の前に親液化工程を含むことが好ましい。親液化工程では、基板2の表面を、液体材料7に対する親液性が大きくなるように、すなわち液体材料7との接触角が小さくなるように親液化する。このように、親液化工程を設け、撥液性膜3を形成する前に基板2を親液化することによって、液体材料7と基板2との接触線8の位置8aを構造体形成予定領域4の周縁部6aにより確実に固定することができる。したがって、スペーサ1を形成する際の位置精度を向上させることができる。
基板2の親液化は、たとえば基板2をプラズマ洗浄、アッシング法などで洗浄(清浄化)することによって行なうことができる。
また、本実施態様では、前述の図4に示す構造体形成予定領域4の外周部分4aを除く残余の部分4bおよび囲繞領域5の撥液性膜3は、基板2の表面全体に撥液性膜3を形成した後、構造体形成予定領域4の外周部分4aに形成された撥液性膜3を除去することによって形成される。前記残余の部分4bおよび囲繞領域5の撥液性膜3は、これに限定されず、撥液性膜3を基板2表面に成膜する際に、基板2の前記残余の部分4bおよび囲繞領域5のみに撥液性膜3を成膜することによって形成されてもよい。このように撥液性膜3を部分的に形成する場合、たとえば、基板2の撥液性膜3を形成するべく予め定められる部分が開口された形状を有するマスクを、基板2の撥液性膜3が形成される表面側に配置して、マスク越しに撥液性膜3の材料を蒸着させることによって、所望の部分のみに撥液性膜3を形成することができる。
また、本実施態様では、図4に示すように構造体形成予定領域4の外周部分4aの周方向全周にわたって円環状に親液部6を形成する。親液部6は、構造体形成予定領域4の外周部分4aの周方向全周にわたって形成される必要はなく、たとえば図8に示すように、構造体形成予定領域4の外周部分4aの周方向における一部分が欠落するように形成されてもよい。図8は、親液部の他の例である親液部9の構成を簡略化して示す平面図である。図8に示すように、親液部9は、円環の一部分が欠落するように、たとえば円環が4つの領域に等分されるように間隔を空けて形成されてもよい。この場合、親液部9は、たとえば、前述の図4および図5に示す工程において撥液性膜3を除去する際に、構造体形成予定領域4の外周部分4aに形成された撥液性膜3のうち、外周部分4aの周方向における予め定める部分が残存するように撥液性膜3を除去することによって形成することができる。図8に示すように構造体形成予定領域4の外周部分4aの周方向における一部分が欠落するように親液部9を形成することによって、レーザカットなどによって撥液性膜3の一部分を除去して親液部9を形成する際の撥液性膜3の除去に要する時間、いわゆるタクトタイムを短縮することができる。
図8に示す親液部9が形成された基板2の切断面線II−IIにおける断面状態は、前述の図5に示す円環状の親液部6が形成された基板2の切断面線I−Iにおける断面状態と同様になる。また、親液部9が形成された基板2に液体材料7を供給した状態は、前述の図6に示す円環状の親液部6が形成された基板2に液体材料7を供給した状態と同様になり、液体材料7を固化させた状態は前述の図7に示す円環状の親液部6が形成された基板2に供給された液体材料7を固化させた状態と同様になる。
構造体形成予定領域4の外周部分4aの周方向における一部分が欠落するように親液部9を形成する場合、欠落部分の幅W2、すなわち外周部分4aの周方向における親液部9同士の間隔W2は、構造体形成予定領域4の外周端部の全周の長さL1の15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。たとえば、構造体形成予定領域4の外径R2が10〜20μm程度である場合には、親液部9同士の間隔W2は、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。親液部9同士の間隔W2が前記長さL1の15%を超えると、形成される三次元構造体(スペーサ1)の底面の形状が所望の形状(本実施態様では円形状)から外れる恐れがある。
また、本実施態様では、三次元構造体として、前述の図1に示す底面1aが略円形状である球冠状のスペーサ1を形成するけれども、三次元構造体の底面の形状は、円形状に限定されず、底面が正方形状、長方形状などの矩形状、矩形状以外の多角形状、楕円形状などであってもよい。この場合、構造体形成予定領域の形状は、形成しようとする三次元構造体の底面の形状に略等しくなるように選択され、親液部は、その構造体形成予定領域の外周部分に、外周部分の周方向全周にわたって、または外周部分の一部分が欠落するように間隔を空けて形成される。
図9は、親液部のさらに他の例である親液部10の構成を簡略化して示す平面図である。たとえば、底面の形状が正方形状である三次元構造体を形成する場合、構造体形成予定領域11の外周部分11aの周方向全周にわたって、正方形状かつ環状の親液部10を形成する。図9に示す親液部10が形成された基板2の切断面線III−IIIにおける断面状態は、前述の図5に示す親液部6が形成された基板2の切断面線I−Iにおける断面状態と同様になる。親液部10の外周縁部の一辺部の長さR3は、形成しようとする三次元構造体の底面の外周縁部の一辺部の長さに略等しくなるように選択される。親液部10の面積S1Aは、前述の図4に示す親液部6の面積S1と同様に、構造体形成予定領域4全体の面積S0の1%以上30%以下であることが好ましく、1%以上20%以下であることがさらに好ましい。親液部10の構造体形成予定領域11の軸線に直交する方向の幅(以後、単に幅とも称する)W3は、親液部6の幅W1と同様に、親液部10の面積S1Aが前記範囲内になるように選択される。たとえば、構造体形成予定領域11の外周縁部の一辺部の長さR3が20μm程度である場合、親液部10の幅W3はたとえば0.5〜1μm程度である。
本発明の三次元構造体の形成方法では、構造体形成予定領域の外周部分のみに親液部を設けるので、底面の形状が円形状でない場合であっても、高さのある、すなわち底面積に対する高さの割合の高い三次元構造体を、高い位置精度でかつ安価に製造することができる。したがって、本発明の三次元構造体の形成方法は、後述する図14に示す液晶パネル14の遮光部25または遮光部25が投影される領域(以後、まとめて遮光部25と称することがある)にスペーサを形成する場合に特に有用である。すなわち、液晶パネル14では、遮光部25は直線状の帯状体として形成されることが多いので、底面の形状が正方形状または長方形状などの矩形状のスペーサを形成する方が、底面の形状が円形状のスペーサを形成する場合よりもスペーサの底面積を大きくすることができる。このようにスペーサの底面積を大きくすることができれば、高さのあるスペーサを容易に形成することができる。本発明の三次元構造体の形成方法によれば、底面の形状が正方形状または長方形状などの矩形状であっても所望の高さを有するスペーサを形成することができるので、スペーサの位置精度を向上させて輝度の低下を抑え、バックライト17からの光を効率良く利用することのできる液晶パネル14を実現することができる。
図10は、本発明の実施の第2態様である三次元構造体の形成方法において、親液部12を形成した状態を簡略化して示す平面図である。図11は、図10に示す親液部12が形成された基板2の切断面線IV−IVにおける断面図である。本実施態様では、前述の実施の第1態様と同様に、前述の図1に示す球冠状のスペーサ1を形成する。本実施態様による三次元構造体の形成方法は、実施の第1態様と類似し、実施の第1態様と同様に、親液部形成工程と、液体材料供給工程と、固化工程とを含む。ただし、本実施態様では、親液部形成工程は親液化工程である。
親液化工程である親液部形成工程では、まず、基板2の表面に、液体材料7に対する親液性が基板2よりも大きい、すなわち液体材料7との接触角が基板2よりも小さい親液性膜13を形成する。本実施態様では、基板2の表面全体に親液性膜13を形成する。このように親液性膜13を形成することによって、基板2の表面が親液化される。
親液性膜13は、たとえば酸化チタンなどで形成される。親液性膜13は、前述の図2に示す撥液性膜3と同様の方法で形成することができる。親液性膜13の厚さd2は、たとえば0.5μm程度である。
次いで、形成された親液性膜13のうち、構造体形成予定領域4の外周部分4aを除く残余の部分4bおよび囲繞領域5に形成された親液性膜13を除去する。これによって、構造体形成予定領域4の外周部分4aのみに親液性膜13が残存する状態となり、構造体形成予定領域4の外周部分4aに、基板2から突出して親液部12が形成される。本実施態様では円環状の親液部12を形成する。
親液部12の外径R2’は、前述の図4に示す親液部6の外径R2と同様に、前述の図1に示すスペーサ1の底面1aの直径R1に略等しくなるように選択される。親液部12の面積S1Bは、前述の図4に示す親液部6の面積S1と同様に、構造体形成予定領域4全体の面積S0の1%以上30%以下であることが好ましく、1%以上20%以下であることがさらに好ましい。親液部12の幅W1’は、親液部6の幅W1と同様に、親液部10の面積S1Bが前記範囲内になるように選択される。たとえば、親液部12の幅W1’を構造体形成予定領域4の半径r2の1%以上15%以下、好ましくは1%以上10%以下にすることによって、面積S1Bが前記範囲内にある親液部12を実現することができる。具体的には、たとえば、構造体形成予定領域4の外径R2が15μm程度である場合、親液部12の幅W1’はたとえば0.5〜1μm程度である。
図12は、構造体形成予定領域4に液体材料7を供給した状態を簡略化して示す断面図である。前述のようにして親液部12を形成した後、実施の第1態様と同様にして、構造体形成予定領域4に液体材料7を供給する。本実施態様においても、親液部12は、構造体形成予定領域4の外周部分4aのみに形成されているので、構造体形成予定領域4全体に親液部を形成する場合に比べて、構造体形成予定領域4に供給することのできる液体材料7の量を増加させることができる。したがって、前述の図1に示す基板2との接触角θ1がたとえば55°程度と大きいスペーサ1であっても形成することができる。
図13は、スペーサ1を形成した状態を簡略化して示す断面図である。前述のようにして液体材料7を供給した後、液体材料7を固化させ、スペーサ1を形成する。本実施態様では、実施の第1態様と同様に、溶媒を蒸発させ、必要に応じて紫外線照射または加熱などを行なうことによって、固化成分を固化させる。
本実施態様では、実施の第1態様と同様に、構造体形成予定領域4の外周部分4aのみに親液部12が形成されているので、溶媒を蒸発させる過程において、液体材料7と基板2との接触線8の位置8aが構造体形成予定領域4の周縁部12aから移動することを防ぐことができる。したがって、構造体形成予定領域4内に精度良くスペーサ1を形成することができる。
以上に述べた本実施態様では、親液部形成工程は親液化工程であるけれども、親液部形成工程は、親液化工程の前に撥液化工程を含むことが好ましい。撥液化工程では、前述の実施の第1態様における撥液化工程と同様に、たとえば基板2の表面に撥液性膜を形成することによって、基板2の表面を撥液化する。このように、撥液化工程を設け、親液性膜13を形成する前に基板2を撥液化することによって、液体材料7と基板2との接触線8の位置8aを構造体形成予定領域4の周縁部12aにより確実に固定することができる。したがって、スペーサ1を形成する際の位置精度を向上させることができる。
また、本実施態様では、親液部12は、基板2から突出する凸部として設けられる。これに対し、実施の第1態様では、親液部6は、図5に示すように撥液性膜3と基板2とによって形成される凹部として形成される。液体材料7の囲繞領域5への溢流を防ぐという観点からは、実施の第1態様のように、凹部として親液部6を形成する方が好ましい。これによって、液体材料7の囲繞領域5への溢流をより確実に防ぎ、位置精度を向上させることができる。
以上の実施の第1態様および第2態様では、三次元構造体としてスペーサ1を形成するけれども、これに限定されず、マイクロレンズなどを形成することもできる。本発明の三次元構造体の形成方法では、構造体形成予定領域4の外周部分4aのみに親液部6または親液部12を形成するので、前述の図17に示すように構造体形成予定領域53全体に親液部54を形成する場合に比べて、基板2とマイクロレンズである三次元構造体1との接触角θ1を大きくし、曲率が大きく、焦点距離の短いマイクロレンズを位置精度良く形成することができる。
また、本発明の三次元構造体の形成方法によれば、このように焦点距離の短いマイクロレンズを、液体材料を滴下するという簡便な方法によって高い位置精度で形成することができるので、マイクロレンズを有するマイクロレンズ基板およびマイクロレンズが複数個並べて設けられたマイクロレンズアレイ基板の製造原価を低減することができる。
また、本発明の三次元構造体の形成方法によれば、曲率を低下させることなく、マイクロレンズの基板表面からの高さ(以後、単に高さとも称する)および底面積を低減することができる。マイクロレンズの底面積を小さくできることは、マイクロレンズアレイ基板を作製する場合に特に有効である。すなわち、底面積を小さくすることができれば、基板表面に占めるマイクロレンズ1個当たりの面積を小さくすることができるので、基板の同一面積内に形成することのできるマイクロレンズの個数を増加させることができる。したがって、マイクロレンズアレイ基板におけるマイクロレンズの配置密度を高めることができる。
三次元構造体としてマイクロレンズを形成する場合、前述の液体材料7に含まれる固化成分としては、無色透明のもの、すなわち光透過性を有し、かつ可視光線の波長範囲、具体的には波長380〜780nmの範囲に吸収を有しないものが用いられる。このような固化成分としては、前述の紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂などのうち、無色透明のものが選択されて用いられる。このようなレンズに適した屈折率となる紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂は、粘度が高く、単独では滴下できないことが多いので、前述の第1および第2実施態様のように、溶媒で希釈して、滴下できる程度の粘度に調整して用いることが好ましい。
また、前述の第1実施態様のように、構造体形成予定領域4の外周部分4aを除く残余の部分4bおよび囲繞領域5に撥液性膜3を形成することによって親液部6を形成し、マイクロレンズを形成する場合、撥液性膜3は、液体材料7の固化成分と同様に、光透過性を有し、かつ可視光線の波長範囲である波長380〜780nmに吸収を有しない材料で形成される。このような材料としては、たとえば、コンパクトディスク(略称CD)の情報記録面(裏面)に塗布される裏面コート剤などとして使用される無色透明の紫外線硬化樹脂などが挙げられる。
図14は、本発明の表示装置の一例である液晶パネル14の構成を簡略化して示す断面図である。液晶パネル14は、液晶表示素子15と、マイクロレンズアレイ基板16と、照明装置であるバックライト17とを含んで構成される。マイクロレンズアレイ基板16は、基板18と複数のマイクロレンズ19とを備える。マイクロレンズ19は、バックライト17から出射される光を液晶表示素子15方向に集光する集光レンズとして用いられる。マイクロレンズ19を設けることによって、液晶パネル14の視認者側における輝度を向上させることができる。
マイクロレンズ19は、前述の実施の第1態様による三次元構造体の形成方法と同様の方法によって基板18に固着して形成される。マイクロレンズ19が形成されている領域のうち、外周部分を除く残余の部分では、基板18とマイクロレンズ19との間に撥液性膜3が形成されている。また、基板18のマイクロレンズ19が形成されていない部分には、マイクロレンズ19を囲繞するように撥液性膜3が形成されている。ここで、マイクロレンズ19が形成されている領域は、前述の図4に示す構造体形成予定領域4に相当する。
前述の実施の第1態様による三次元構造体の形成方法では、マイクロレンズ19を形成するべく予め定める領域である構造体形成予定領域4の外周部分4aのみを親液化するので、前述の図17に示すように構造体形成予定領域53全体を親液化する場合に比べて、曲率が大きく、焦点距離の短いマイクロレンズ19を形成することができる。このようなマイクロレンズ19を集光レンズとして用いることによって、液晶表示素子15の厚さ、ひいては液晶パネル14の厚さD1を低減することができるので、高輝度かつ薄型の液晶パネル14を実現することができる。
また、前述の実施態様による三次元構造体の形成方法を用いることによって、基板18の所望の位置にマイクロレンズ19が形成されたマイクロレンズアレイ基板16を得ることができる。このようなマイクロレンズアレイ基板16を用いることによって、マイクロレンズアレイ基板16と液晶表示素子15との光軸合わせを精度良く行なうことができる。したがって、バックライト17からの光を液晶表示素子15全体にわたって均一に照射することができるので、輝度むらを抑えることができる。
液晶表示素子15は、対向して設けられるカラーフィルタ基板20および駆動素子基板21と、カラーフィルタ基板20と駆動素子基板21との間に設けられる液晶層22およびスペーサ23とを含む。カラーフィルタ基板20は、フィルタ側基板24、遮光部25、有色部26および平坦化層27を有する。本実施形態では、遮光部25は、カラーフィルタ基板20の厚み方向に垂直な方向に延びて帯状に設けられる。駆動素子基板21は、図示しない駆動素子を有する。駆動素子としては、たとえば薄膜トランジスタ(Thin
Film Transistor;略称TFT)素子が用いられる。
Film Transistor;略称TFT)素子が用いられる。
本実施形態では、スペーサ23は、底面が略正方形状を有し、前述の実施の第1態様による三次元構造体の形成方法と同様の方法によってカラーフィルタ基板20に固着して形成される。具体的には、スペーサ23は、平坦化層27の遮光部25が投影される領域に固着して形成される。なお、図14では、スペーサ23を形成する際に形成される撥液性膜3は、図が錯綜して理解が困難になるので記載を省略する。
前述の実施の第1態様による三次元構造体の形成方法を用いてスペーサ23を形成することによって、遮光部25が投影される領域内に精度良くスペーサ23を形成することができる。したがって、バックライト17からの光を効率良く利用することのできる輝度の高い液晶パネル14を実現することができる。また、スペーサ23が遮光部25の投影される領域内に収まらずに表示に使用される領域、すなわち有色部26の投影される領域のうち遮光部25が投影される領域を除く残余の部分に形成されることを防ぐことができるので、表示色の色味の低下を防止することができる。また、本実施態様のように、スペーサ23の底面を略正方形状にすることによって、高さのあるスペーサ23をより容易に形成することができる。
また、前述の第1実施態様による三次元構造体の形成方法では、カラーフィルタ基板20と駆動素子基板21との間隔d3を決定するスペーサ23の高さを維持しながら、スペーサ23の底面積を小さくすることができるので、遮光部25の幅W4を小さくしても、遮光部25が投影される領域内にスペーサ23を形成することができる。したがって、遮光部25の幅W4の狭小化が可能であり、液晶パネル14の輝度をさらに向上させることができる。
また、前述の第1実施態様による三次元構造体の形成方法では、液体材料7を滴下するという簡便な方法によって高い位置精度でスペーサ23を形成することができるので、フォトリソグラフィなどを用いる場合に比べて、液晶パネル14の製造原価を低減することができる。
以上の本実施の形態では、スペーサ23は、カラーフィルタ基板20に固着して形成されるけれども、駆動素子基板21に固着して形成されてもよい。ただし、本実施の形態のように、カラーフィルタ基板20側に形成する方が、スペーサ23を容易に形成することができるので好ましい。駆動素子基板21に形成する場合、スペーサ23は、駆動素子基板21に設けられる図示しない遮光部または遮光部が投影される領域に形成されることが好ましい。これによって、液晶パネル14の輝度の低下を抑えることができる。また、本実施の形態では、スペーサ23およびマイクロレンズ19は、前述の実施の第1態様と同様の方法によって形成されるけれども、実施の第2態様と同様の方法によって形成されてもよい。
図15は、本発明の撮像装置の一例である撮像装置28の構成を簡略化して示す断面図である。撮像装置28は、前述の図14に示すマイクロレンズアレイ基板16と、カラーフィルタ部29と、撮像素子30とを含んで構成される。撮像素子30は、たとえば光電変換素子によって実現される。撮像装置28は、マイクロレンズアレイ基板16およびカラーフィルタ部29を介して入射する光を撮像素子30で受光し、光電変換して電気信号として出力する。マイクロレンズアレイ基板16に備わるマイクロレンズ19は、集光レンズとして機能する。本実施形態のようにマイクロレンズアレイ基板16を設けることによって、入射光をマイクロレンズ19で集光して撮像素子30に結像させることができるので、撮像装置28の光感度を向上させることができる。
マイクロレンズアレイ基板16に備わるマイクロレンズ19は、前述の第1実施態様による三次元構造体の形成方法と同様の方法によって形成されるので、前述の図17に示すように構造体形成予定領域53全体を親液化して形成されるマイクロレンズに比べて、曲率が大きく、焦点距離が短い。このようなマイクロレンズ19を集光レンズとして用いることによって、撮像素子30のマイクロレンズ19を臨む表面から受光面となる図示しないフォトダイオード表面までの距離を短くすることができる。したがって、撮像装置28の厚さD2を小さくし、高感度かつ小型の撮像装置28を実現することができる。
図16は、本発明の実施の他の態様であるビーズスペーサの配置方法によってビーズスペーサ31を配置した状態を簡略化して示す断面図である。本実施態様では、前述の図14に示す液晶表示パネル14のカラーフィルタ基板20にビーズスペーサ31を固着させる場合を示す。本実施態様によるビーズスペーサの配置方法は、親液部形成工程と、液体材料供給工程と、固化工程とを含む。
本実施態様によるビーズスペーサの配置は、液体材料としてビーズスペーサ31を含む液体材料を用いること以外は、前述の実施の第1態様による三次元構造体の形成方法と同様にして行なうことができる。ただし、本実施態様では、前述の第1実施態様における基板2が平坦化層27に相当し、構造体形成予定領域4が、ビーズスペーサ31を配置するべく予め定める領域(以後、ビーズスペーサ配置予定領域と称する)34に相当する。
親液部形成工程では、第1実施態様と同様にして、前述の図2および図3に示すように、ビーズスペーサ配置予定領域34を含む平坦化層27の表面全体に撥液性膜3を形成する。次いで、ビーズスペーサ配置予定領域34の外周部分34aに形成された撥液性膜3を外周部分34aの周方向全周にわたって除去し、前述の図4および図5に示すように、親液部6を形成する。
液体材料供給工程では、第1実施態様と同様にして、ビーズスペーサ配置予定領域34に液体材料を供給する。本実施態様では、液体材料として、ビーズスペーサ31と固化成分32と溶媒とを含むものを用いる。ビーズスペーサ31の粒径は、たとえば数μm程度である。固化成分32としては、第1実施態様と同様に、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができる。本実施態様においても、液体材料の供給には、インクジェット方式の液体滴下装置、ディスペンサ方式の液体滴下装置などを用いることができる。なお、ビーズスペーサ31の粒径は前述のように数μm程度であり、インクジェット滴下装置のノズルの直径は数十μm程度であるので、インクジェット滴下装置を用いても、目詰まりなどを生じることなく、安定して液体材料を供給することができる。
固化工程では、前述のようにして供給された液体材料を固化させる。本実施態様では、液体材料から溶媒を蒸発させて除去し、必要に応じて紫外線照射または加熱などを行ない、固化成分32を固化させる。これによって、ビーズスペーサ31が固化成分32で平坦化層27に固着される。以上のようにして、ビーズスペーサ31が、カラーフィルタ基板20の平坦化層27に固着して設けられる。
本実施態様では、ビーズスペーサ配置予定領域34は、外周部分34aのみに親液部6を有するので、液体材料供給工程において、ビーズスペーサ31を含む液体材料をビーズスペーサ配置予定領域34内に供給される。また、固化工程で溶媒を蒸発させる際にも液体材料をビーズスペーサ配置予定領域34内に保持させることができる。このことによって、ビーズスペーサ31をカラーフィルタ基板20の所望の位置に精度良く固着させることができる。たとえば、本実施態様のように、カラーフィルタ基板20の遮光部25が投影される領域内にビーズスペーサ31を配置することができる。
したがって、前述の図14に示す液晶パネル14の輝度を低下させることなく、ビーズスペーサ31をカラーフィルタ基板20と駆動素子基板21との間に設けることができる。このことによって、カラーフィルタ基板20と駆動素子基板21との間隔d3を所望の値に容易に調整することができる。
以下の実施例および比較例において、液体材料中の固化成分と基板との接触角および三次元構造体であるスペーサまたはマイクロレンズと基板との接触角は、接触角計(商品名:ドロップマスター700、協和界面科学株式会社製)によって測定した。また、液体材料の粘度は、回転粘度計(商品名:LVDVI、ブルックフィールド(Brookfield)社製)によって測定した。
[実施例I]
本実施例では、三次元構造体として、前述の図1に示すように球冠状であって、底面の直径R1が15μmであり、高さH1が4μmであるスペーサを作製する。このスペーサの体積は約0.4pLであり、基板とスペーサとの接触角θ1は約56°である。
本実施例では、三次元構造体として、前述の図1に示すように球冠状であって、底面の直径R1が15μmであり、高さH1が4μmであるスペーサを作製する。このスペーサの体積は約0.4pLであり、基板とスペーサとの接触角θ1は約56°である。
液体材料としては、紫外線硬化樹脂であるアクリル樹脂(商品名:ダイキュアクリアSD−2407、大日本インキ化学工業株式会社製)を有機溶媒である酢酸ブチルカルビトールで希釈したものを用いた。液体材料の供給には、インクジェット滴下装置を用いた。本実施例で用いたインクジェット滴下装置の最小滴下体積(以後、最小吐出体積とも称する)は約4pLであり、本実施例で形成するスペーサの体積(0.4pL)よりも大きいので、本実施例では、前述の紫外線硬化樹脂を有機溶媒で10倍に希釈したものを液体材料として用いた。この液体材料の粘度は、25℃において、6mPa・s(6cP)であった。
(実施例1)
まず、ガラス基板の表面全体に、フッ素系樹脂(商品名:エフトーンGM−105、ダイキン工業株式会社製)によって厚さ0.5μmの撥液性膜を形成した。この撥液性膜の表面において、本実施例で使用する紫外線硬化樹脂は約70°の接触角をとる。形成された撥液性膜にレーザ光を照射して、撥液性膜を前述の図4に示すように構造体形成予定領域の外周部分の周方向全周にわたって円環状に除去し、外径R2が15μmであり、幅W1が1μmである円環状の親液部を形成した。
まず、ガラス基板の表面全体に、フッ素系樹脂(商品名:エフトーンGM−105、ダイキン工業株式会社製)によって厚さ0.5μmの撥液性膜を形成した。この撥液性膜の表面において、本実施例で使用する紫外線硬化樹脂は約70°の接触角をとる。形成された撥液性膜にレーザ光を照射して、撥液性膜を前述の図4に示すように構造体形成予定領域の外周部分の周方向全周にわたって円環状に除去し、外径R2が15μmであり、幅W1が1μmである円環状の親液部を形成した。
次いで、構造体形成予定領域に、紫外線硬化樹脂を有機溶媒で10倍に希釈してなる液体材料4pLを滴下し、乾燥させて有機溶媒を除去した。このときの基板の状態を電子顕微鏡で観察したところ、紫外線硬化樹脂は、構造体形成予定領域内に収まっていることが判った。また、紫外線硬化樹脂と基板との接触角は55°であった。
その後、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、スペーサを形成した。形成されたスペーサを電子顕微鏡で観察したところ、スペーサは形成予定領域内に形成されていた。また、形成されたスペーサは、底面の直径が15μm、高さが4μmであり、目標とする球冠形状に極めて近い形状であった。また、形成されたスペーサと基板との接触角は55°であった。
(実施例2)
撥液性膜の除去に際し、撥液性膜を円環状に除去することに代えて、前述の図8に示すように、円環が4分の1ずつに等分された形状の親液部が形成されるように撥液性膜を除去する以外は、実施例1と同様にして、スペーサを形成した。外周部分の周方向における親液部同士の間隔W2は、2μmとした。
撥液性膜の除去に際し、撥液性膜を円環状に除去することに代えて、前述の図8に示すように、円環が4分の1ずつに等分された形状の親液部が形成されるように撥液性膜を除去する以外は、実施例1と同様にして、スペーサを形成した。外周部分の周方向における親液部同士の間隔W2は、2μmとした。
形成されたスペーサを電子顕微鏡で観察したところ、スペーサは形成予定領域内に形成されていた。また、形成されたスペーサは、実施例1で形成されたスペーサと同様に、底面の直径が15μm、高さが4μmであり、目標とする球冠形状に極めて近い形状であった。また、形成されたスペーサと基板との接触角は55°であった。なお、硬化前の紫外線硬化樹脂と基板との接触角も55°であった。
(比較例1)
撥液性膜の除去に際し、撥液性膜を円環状に除去することに代えて、前述の図17に示すように構造体形成予定領域に形成された撥液性膜を全て除去し、円形状の親液部を形成する以外は、実施例1と同様にして、スペーサを形成した。
撥液性膜の除去に際し、撥液性膜を円環状に除去することに代えて、前述の図17に示すように構造体形成予定領域に形成された撥液性膜を全て除去し、円形状の親液部を形成する以外は、実施例1と同様にして、スペーサを形成した。
紫外線硬化樹脂の硬化前において、紫外線硬化樹脂と基板との接触角を測定したところ、約25°となっており、実施例1,2よりも大幅に小さくなっていた。これは、実施例1,2に比べて、構造体形成予定領域内における基板と液体材料(紫外線硬化樹脂)との界面張力が小さいことに起因すると考えられる。
また、紫外線硬化樹脂の硬化前の基板の状態を電子顕微鏡で観察したところ、溶媒が蒸発して0.4pLの紫外線硬化樹脂のみが残存する状態になっているにも関わらず、紫外線硬化樹脂は構造体形成予定領域内に収まっておらず、構造体形成予定領域から大きくはみ出していた。これは、紫外線硬化樹脂と基板との接触角が実施例1,2よりも小さいので、実施例1,2と同体積であっても、紫外線硬化樹脂によって形成される球冠の底面積が大きくなるためであると考えられる。
[実施例II]
本実施例では、三次元構造体として、図1に示すように球冠状であって、底面の直径R1が100μmであり、高さH1が20μmであるマイクロレンズを作製する。このマイクロレンズの体積は約80pLであり、基板とマイクロレンズとの接触角θ1は約45°である。
本実施例では、三次元構造体として、図1に示すように球冠状であって、底面の直径R1が100μmであり、高さH1が20μmであるマイクロレンズを作製する。このマイクロレンズの体積は約80pLであり、基板とマイクロレンズとの接触角θ1は約45°である。
液体材料の固化成分としては、無色透明の紫外線硬化樹脂である実施例Iと同じ紫外線硬化樹脂を使用し、これを有機溶媒である酢酸ブチルカルビトールで希釈して液体材料として用いた。液体材料の供給には、実施例1で使用したインクジェット滴下装置と同じインクジェット滴下装置を用いた。このインクジェット塗布装置の最小吐出体積は約4pLであり、本実施例で形成するマイクロレンズの体積(80pL)よりも小さいので、固化成分の滴下体積を小さくするための溶媒による希釈は必要ないけれども、粘度を調整するために紫外線硬化樹脂を有機溶媒で2倍程度に希釈して液体材料に用いた。この液体材料の粘度は、25℃において、15mPa・s(15cP)であった。
(実施例3)
ガラス基板の表面全体をプラズマ洗浄機で洗浄して親液化した後、実施例1と同様にして、実施例1と同じフッ素系樹脂を用いて厚さ0.5μmの撥液性膜を成膜した。次いで、実施例1と同様に撥液性膜の除去を行ない、外径R2が100μmであり、幅W1が5μmである円環状の親液部を形成した。本実施例で使用する液体材料は、撥液性膜が形成されていない部分、すなわち親液化された部分では基板との接触角が10°以下となり、撥液性膜が形成されて撥液化された部分での基板との接触角、すなわち撥液性膜との接触角が60°程度となる。
ガラス基板の表面全体をプラズマ洗浄機で洗浄して親液化した後、実施例1と同様にして、実施例1と同じフッ素系樹脂を用いて厚さ0.5μmの撥液性膜を成膜した。次いで、実施例1と同様に撥液性膜の除去を行ない、外径R2が100μmであり、幅W1が5μmである円環状の親液部を形成した。本実施例で使用する液体材料は、撥液性膜が形成されていない部分、すなわち親液化された部分では基板との接触角が10°以下となり、撥液性膜が形成されて撥液化された部分での基板との接触角、すなわち撥液性膜との接触角が60°程度となる。
次いで、構造体形成予定領域に、紫外線硬化樹脂を有機溶媒で2倍に希釈してなる液体材料160pLを滴下した後、乾燥させて有機溶媒を除去した。このときの基板の状態を電子顕微鏡で観察したところ、紫外線硬化樹脂は、構造体形成予定領域内に収まっていることが判った。また、紫外線硬化樹脂と基板との接触角は43°であった。
その後、紫外線硬化樹脂80pLのみが残存する状態で紫外線を照射して硬化させ、マイクロレンズを形成した。形成されたマイクロレンズを電子顕微鏡で観察したところ、マイクロレンズは、構造体形成予定領域内に形成されていた。また、形成されたマイクロレンズの形状は目標とする形状に近いものになっており、形成されたマイクロレンズと基板との接触角は43°であった。
(比較例2)
撥液性膜の形成に際し、構造体形成予定領域の外周部分を除く領域のガラス基板表面に撥液性膜を形成することに代えて、前述の図17に示すように構造体形成予定領域全体を除く領域のガラス基板表面に撥液性膜を形成すること以外は、実施例3と同様にして、マイクロレンズを形成した。
撥液性膜の形成に際し、構造体形成予定領域の外周部分を除く領域のガラス基板表面に撥液性膜を形成することに代えて、前述の図17に示すように構造体形成予定領域全体を除く領域のガラス基板表面に撥液性膜を形成すること以外は、実施例3と同様にして、マイクロレンズを形成した。
紫外線硬化樹脂の硬化前において、紫外線硬化樹脂と基板との接触角を測定したところ、約33°となっており、実施例3よりも小さくなっていた。これは、実施例3に比べて、構造体形成予定領域内における基板と液体材料との界面張力が小さいことに起因すると考えられる。
また、紫外線硬化樹脂の硬化前の基板の状態を電子顕微鏡で観察したところ、溶媒が蒸発して80pLの紫外線硬化樹脂のみが残存する状態になっているにも関わらず、紫外線硬化樹脂は構造体形成予定領域内に収まっておらず、構造体形成予定領域から大きくはみ出していた。これは、紫外線硬化樹脂と基板との接触角が実施例3よりも小さいので、実施例3と同体積であっても、紫外線硬化樹脂によって形成される球冠の底面積が大きくなるためであると考えられる。
[実施例III]
本実施例では、三次元構造体として、底面が、一辺の長さが20μmである正方形状であり、高さが4μmであるスペーサを作製する。この形状のスペーサの体積は約1.5pLであり、基板とスペーサとの接触角は約40°である。このスペーサは、底面の直径が20√2μmであり、高さが4μmである球冠状体から、該球冠状体の底面に内接する正方形が投影される部分を切り出した部分球冠状体に近い形状となる。
本実施例では、三次元構造体として、底面が、一辺の長さが20μmである正方形状であり、高さが4μmであるスペーサを作製する。この形状のスペーサの体積は約1.5pLであり、基板とスペーサとの接触角は約40°である。このスペーサは、底面の直径が20√2μmであり、高さが4μmである球冠状体から、該球冠状体の底面に内接する正方形が投影される部分を切り出した部分球冠状体に近い形状となる。
液体材料の固化成分としては実施例Iと同じ紫外線硬化樹脂を用い、溶媒としては有機溶媒である酢酸ブチルカルビトールを用いた。液体材料の供給には、実施例Iで使用したインクジェット滴下装置と同じインクジェット滴下装置を用いた。本実施例では、前述の紫外線硬化樹脂を、該紫外線硬化樹脂の液体材料中で占める体積が37.5%になるように有機溶媒で希釈したものを液体材料として用いた。この液体材料の粘度は、25℃において、10mPa・s(10cP)であった。
(実施例4)
実施例1と同様にして、ガラス基板の表面全体に撥液性膜を形成した。この撥液性膜と本実施例で使用する紫外線硬化樹脂との接触角は約70°である。形成された撥液性膜を、前述の図9に示すように外周縁部の一辺部の長さR3が20μmであり、幅W3が1μmである略正方形状かつ環状に除去し、構造体形成領域の外周部分の周方向全周にわたって親液部を形成した。次いで、構造体形成予定領域に、紫外線硬化樹脂を有機溶媒で希釈してなる液体材料4pLを滴下し、乾燥させて有機溶媒を除去した。その後、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、スペーサを形成した。
実施例1と同様にして、ガラス基板の表面全体に撥液性膜を形成した。この撥液性膜と本実施例で使用する紫外線硬化樹脂との接触角は約70°である。形成された撥液性膜を、前述の図9に示すように外周縁部の一辺部の長さR3が20μmであり、幅W3が1μmである略正方形状かつ環状に除去し、構造体形成領域の外周部分の周方向全周にわたって親液部を形成した。次いで、構造体形成予定領域に、紫外線硬化樹脂を有機溶媒で希釈してなる液体材料4pLを滴下し、乾燥させて有機溶媒を除去した。その後、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、スペーサを形成した。
形成されたスペーサを電子顕微鏡で観察したところ、スペーサは形成予定領域内に形成されていた。また、形成されたスペーサは、一辺の長さが20μmである略正方形状の底面を有し、また高さが5μmであり、目標とする形状に極めて近い形状であった。また、形成されたスペーサと基板との接触角は約40°であった。なお、硬化前の紫外線硬化樹脂と基板との接触角も約40°であった。
(比較例3)
撥液性膜の除去に際し、撥液性膜を略正方形状かつ環状に除去することに代えて、図21に示すように構造体形成予定領域に形成された撥液性膜を全て除去し、略正方形状の親液部を形成する以外は、実施例4と同様にして、スペーサを形成した。
撥液性膜の除去に際し、撥液性膜を略正方形状かつ環状に除去することに代えて、図21に示すように構造体形成予定領域に形成された撥液性膜を全て除去し、略正方形状の親液部を形成する以外は、実施例4と同様にして、スペーサを形成した。
紫外線硬化樹脂の硬化前において、紫外線硬化樹脂と基板との接触角を測定したところ、約25°となっており、実施例4よりも小さくなっていた。これは、実施例4に比べて、構造体形成予定領域内における基板と液体材料(紫外線硬化樹脂)との界面張力が小さくなっていることに起因すると考えられる。
また、紫外線硬化樹脂の硬化前の基板の状態を電子顕微鏡で観察したところ、溶媒が蒸発して1.5pLの紫外線硬化樹脂のみが残存する状態になっているにも関わらず、紫外線硬化樹脂は構造体形成予定領域内に収まっておらず、構造体形成予定領域から大きくはみ出していた。これは、紫外線硬化樹脂と基板との接触角が実施例4よりも小さいので、実施例4と同体積であっても、スペーサとなる紫外線硬化樹脂の底面積が大きくなるためであると考えられる。
以上の実施例I、IIおよびIIIから明らかなように、比較例1〜3のように構造体形成予定領域全体を親液化する従来技術では、液体材料を滴下した直後から溶媒を蒸発させて、滴下した液体材料の体積よりも小さい体積の三次元構造体を形成する場合、溶媒を蒸発させて体積を減少させる過程で液体材料と基板との接触角を40°以上という高角度に保つことは困難である。これに対し、実施例1〜4のように、構造体形成予定領域の外周部分のみに親液部を形成した場合には、液体材料と基板との接触角を高角度に保つことができることが判る。
1 スペーサ(三次元構造体)
2 基板
3 撥液性膜
4,11 構造体形成予定領域
4a,11a 構造体形成予定領域の外周部分
5 囲繞領域
6,9,10,12 親液部
7 液体材料
13 親液性膜
14 液晶パネル
16 マイクロレンズアレイ基板
19 マイクロレンズ
23 スペーサ
28 撮像装置
31 ビーズスペーサ
2 基板
3 撥液性膜
4,11 構造体形成予定領域
4a,11a 構造体形成予定領域の外周部分
5 囲繞領域
6,9,10,12 親液部
7 液体材料
13 親液性膜
14 液晶パネル
16 マイクロレンズアレイ基板
19 マイクロレンズ
23 スペーサ
28 撮像装置
31 ビーズスペーサ
Claims (15)
- 固化成分を含む液体材料を基板に供給して固化させることによって三次元構造体を形成する三次元構造体の形成方法であって、
基板の三次元構造体を形成するべく予め定める領域の外周部分に、液体材料に対する親液性が、前記予め定める領域の外周部分を除く残余の部分よりも大きく、かつ基板の前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域よりも大きい親液部を形成する親液部形成工程と、
前記予め定める領域に液体材料を供給する液体材料供給工程と、
供給された液体材料を固化させる固化工程とを含むことを特徴とする三次元構造体の形成方法。 - 親液部形成工程は、
基板の前記予め定める領域の外周部分を、液体材料との接触角が小さくなるように親液化する親液化工程を含むことを特徴とする請求項1記載の三次元構造体の形成方法。 - 親液部形成工程は、親液化工程の前に、
基板の前記予め定める領域および前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域を、液体材料との接触角が大きくなるように撥液化する撥液化工程を含むことを特徴とする請求項2記載の三次元構造体の形成方法。 - 親液部形成工程は、
前記予め定める領域の外周部分を除く残余の部分および前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域を、液体材料との接触角が大きくなるように撥液化する撥液化工程を含むことを特徴とする請求項1記載の三次元構造体の形成方法。 - 親液部形成工程は、撥液化工程の前に、
基板の前記予め定める領域を、液体材料との接触角が小さくなるように親液化する親液化工程を含むことを特徴とする請求項4記載の三次元構造体の形成方法。 - 液体材料は、固化成分と溶媒とを含み、
固化工程は、溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の三次元構造体の形成方法。 - 請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の三次元構造体の形成方法によって形成されることを特徴とする三次元構造体。
- 対向する一対の基板間に設けられ、一対の基板のうち少なくともいずれか一方の基板に固着して形成されるスペーサであることを特徴とする請求項7記載の三次元構造体。
- 対向して設けられる一対の基板と、一対の基板間に設けられる液晶層と、一対の基板のうち少なくともいずれか一方の基板に固着して形成されるスペーサとを有する液晶パネルであって、
スペーサは、請求項7記載の三次元構造体であることを特徴とする液晶パネル。 - 一対の基板のうち、一方の基板は、駆動素子と遮光部とを有する駆動素子基板であり、
前記スペーサは、駆動素子基板の遮光部または遮光部が投影される領域に設けられることを特徴とする請求項9記載の液晶パネル。 - 一対の基板のうち、一方の基板は、有色部と遮光部とを有するカラーフィルタ基板であり、
前記スペーサは、カラーフィルタ基板の遮光部または遮光部が投影される領域に設けられることを特徴とする請求項9記載の液晶パネル。 - 光透過性を有する固化成分を含む液体材料が固化されてなるマイクロレンズであることを特徴とする請求項7記載の三次元構造体。
- 表示素子とマイクロレンズとを備える表示装置であって、
マイクロレンズは、請求項12記載の三次元構造体であることを特徴とする表示装置。 - 撮像素子とマイクロレンズとを備える撮像装置であって、
マイクロレンズは、請求項12記載の三次元構造体であることを特徴とする撮像装置。 - ビーズスペーサと固化成分とを含む液体材料を基板に供給して固化させることによって、基板にビーズスペーサを配置するビーズスペーサの配置方法であって、
基板のビーズスペーサを配置するべく予め定める領域の外周部分に、液体材料に対する親液性が、前記予め定める領域の外周部分を除く残余の部分よりも大きく、かつ基板の前記予め定める領域を囲繞する囲繞領域よりも大きい親液部を形成する親液部形成工程と、
前記予め定める領域に液体材料を供給する液体材料供給工程と、
供給された液体材料を固化させる固化工程とを含むことを特徴とするビーズスペーサの配置方法。
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---|---|---|---|
JP2005152887A JP2006326987A (ja) | 2005-05-25 | 2005-05-25 | 三次元構造体の形成方法、該形成方法によって形成される三次元構造体、該三次元構造体を備える液晶パネル、表示装置および撮像装置、ならびにビーズスペーサの配置方法 |
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JP2005152887A JP2006326987A (ja) | 2005-05-25 | 2005-05-25 | 三次元構造体の形成方法、該形成方法によって形成される三次元構造体、該三次元構造体を備える液晶パネル、表示装置および撮像装置、ならびにビーズスペーサの配置方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015006796A (ja) * | 2014-08-06 | 2015-01-15 | セイコーエプソン株式会社 | 造形装置 |
CN113557126A (zh) * | 2019-03-12 | 2021-10-26 | ams传感器新加坡私人有限公司 | 制造多个光学元件的方法及其产品 |
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2005
- 2005-05-25 JP JP2005152887A patent/JP2006326987A/ja active Pending
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