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JP2006324006A - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板 - Google Patents

情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板 Download PDF

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JP2006324006A JP2006230958A JP2006230958A JP2006324006A JP 2006324006 A JP2006324006 A JP 2006324006A JP 2006230958 A JP2006230958 A JP 2006230958A JP 2006230958 A JP2006230958 A JP 2006230958A JP 2006324006 A JP2006324006 A JP 2006324006A
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Abstract

【課題】反り及びチッピングが発生するのを抑制することができるとともに平坦度を向上させることができ、さらに洗浄回数を低減することができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板を提供する。
【解決手段】情報記録媒体用ガラス基板は、ガラス素板11が形状加工12により円盤状に形成された後、化学強化処理22により化学強化される。次に洗浄処理16により洗浄された後、ラップ研磨加工15等が施される。ラップ研磨加工15等では、ガラス素板11の表側の主表面と、裏側の主表面とで同じ研磨量となるように一対の定盤を用いてガラス素板11の表面を研磨する。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の情報記録媒体に用いられる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板に関するものである。さらに詳しくは、反り及びチッピングが発生するのを抑制することができるとともに平坦度を向上させることができ、さらに洗浄回数を低減することができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板に関するものである。
図7に示すように、従来、上記のような情報記録媒体用ガラス基板(以下、単にガラス基板ともいう)は、シート状のガラス素板11が形状加工12の工程においてその中心に円孔を有する円盤状に形成された後、次のような工程を経て製造されている。即ち、ガラス素板11は、面取加工13の工程においてその外径寸法及び内径寸法を所定長さにするために内外周端面が研削されるとともに、内外周端面の角部が面取りされる。
次いで、端面研磨加工14の工程において、ガラス素板11の内外周端面が研磨加工されて平滑にされる。続いて、厚みが所定値となるように、粗研磨加工としてのラップ研磨加工15によってガラス素板11の主表面が研磨加工される。そして、ガラス素板11は、水等による洗浄処理16、酸性洗浄液による酸洗浄処理17、アルカリ性洗浄液によるアルカリ洗浄処理18及びイソプロピルアルコール(IPA)等による溶媒洗浄処理19が順番に施されて洗浄される。
続いて、主表面の表面粗さを細くするために、粗研磨加工としての第1研磨加工20及び精密研磨加工としての第2研磨加工21が順番に施される。そして、ガラス素板11には、前述の各洗浄処理16,17,18,19が施されて洗浄される。
次いで、ガラス素板11は、加熱溶融された硝酸カリウム溶液等の化学強化処理液に浸漬される。このとき、ガラス素板11中の表面近傍に存在するリチウムイオンやナトリウムイオン等の一価の金属イオンが、これよりイオン半径の大きい化学強化処理液中のカリウムイオンにイオン交換されることにより、ガラス素板11には化学強化処理22が施される。このとき、ガラス素板11の表面には強化層が形成される。
そして、さらに前述と同様に各洗浄処理16,17,18,19を施した後、洗浄液の除去及び乾燥することによりガラス基板が製造される。そして、このようにして製造されたガラス基板の表面に磁性層等を設けることにより、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク等の情報記録媒体が製作される。
ところが、この従来の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、化学強化処理22によりガラス素板11の表面に形成される強化層の形成状態によって強化層の厚みが不均一となるために、ガラス素板11に反り及びうねりが発生し、平坦度が低下する。
さらに、ガラス素板11は、化学強化処理液に浸漬されるときには金属材料製のホルダーによって保持されている。このため、ガラス素板11には、ホルダーと接触することによりチッピングが発生しやすい。ガラス素板11に発生した反り、うねり及びチッピングは化学強化処理22以後の製造工程では除去されないために、製造されたガラス基板に反り及びチッピングが残るとともに、平坦度が低下するという問題があった。
また、ガラス素板11にラップ研磨加工15又は化学強化処理22を施した後には各洗浄処理16,17,18,19をそれぞれ施す必要があり、工程数が多いという問題があった。
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、反り及びチッピングが発生するのを抑制することができるとともに平坦度を向上させることができ、さらに洗浄回数を低減することができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、円盤状に形成されたガラス素板を化学強化塩が加熱溶融された化学強化処理液に浸漬し、ガラス素板中の表面近傍に存在する一部のイオンを、同イオンよりイオン半径の大きい化学強化処理液中のイオンにイオン交換することによって化学強化するための化学強化処理をガラス素板に施した後、ガラス素板の表側の主表面と、裏側の主表面とで同じ研磨量となるように一対の定盤を用いてガラス素板の表面に粗研磨加工を施すものである。
請求項2に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、請求項1に記載の発明において、前記粗研磨加工は、ガラス素板の主表面を研磨加工するラップ研磨加工である。
請求項3に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、さらに、ガラス素板の端面を研磨加工する端面研磨加工を化学強化処理の前又は後に施すものである。
請求項4に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記端面研磨加工の後に、前記化学強化処理を行うものである。
請求項5に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記粗研磨加工に引き続き、ガラス素板の主表面に精密研磨加工を施すものである。
請求項6に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記精密研磨加工では、パッドが貼付された定盤を用いるものである。
請求項7に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によって製造されるものである。
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、反り及びチッピングが発生するのを抑制することができるとともに平坦度を向上させることができ、さらに洗浄回数を低減することができる。
請求項2に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、ガラス素板の厚みを容易に所定値にすることができる。
請求項3及び4に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、情報記録媒体用ガラス基板の端面の表面粗さを細くすることができる。
請求項5及び6に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の主表面の表面粗さを細くすることができる。
請求項7に記載の発明の情報記録媒体用ガラス基板によれば、反り及びチッピングが発生するのを抑制することができるとともに平坦度を向上させることができ、さらに洗浄回数を低減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明においては、ガラス基板が情報記録媒体用として用いられるときに情報記録部が形成される面を主表面という。
ガラス基板は、中心に円孔を有した円盤状をなし、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の情報記録媒体の基板として用いられるものである。ガラス基板の材質としてはフロート法、ダウンドロー法、リドロー法又はプレス法で製造されたソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、結晶化ガラス等が挙げられる。そして、ガラス基板は、例えば外径が95mm、84mm、65mm等に形成されるとともに、その厚みは0.63mm等に形成される。
次に、このガラス基板の製造方法について説明する。
図1に示すように、ガラス基板は、形状加工12の工程においてシート状のガラス素板11を超硬合金又はダイヤモンド製のカッターを用いて切断することにより、その中心に円孔を有する円盤状に形成される。このとき、外周面と内周面とを同時に切断してもよいし、外周面を切断した後に内周面を切断してもよい。ここで、ガラス素板11の材質は、前述のガラス基板と同じである。
形状加工12を施されたガラス素板11は、面取加工13の工程において、その外径寸法及び内径寸法が所定長さとなるように内外周端面が研削されるとともに、内外周端面の角部が研磨加工されて面取りされる。具体的には、図2及び図4(a)に示すように、ガラス素板11は、ダイヤモンド砥粒等の砥粒が付着した砥石23によって、その内外周端面24が研削されるとともに、内外周端面24の角部が面取りされる。
このとき、ガラス素板11の面取加工13は、例えば#325及び#500(又は#600)等のように粗いダイヤモンド砥粒と細いダイヤモンド砥粒とによって2段階に分けて行うことができる。また、前述の形状加工12において、ガラス素板11の外径寸法及び内径寸法が所定長さに近似した寸法に形成されているときには、面取加工13は1段階のみで行うことができる。
図1に示すように、面取加工13を施されたガラス素板11は、端面研磨加工14の工程において、その内外周端面の表面粗さを細くするために、研磨材によって内外周端面24が研磨加工される。
このときの研磨量は好ましくは5〜20μmである。5μm未満では内外周端面24の表面粗さを細くしにくい。一方、20μmを超えて研磨加工してもそれ以上内外周端面24の表面粗さを細くしにくい。また、研磨材の具体例としては、酸化セリウムや酸化ランタン等の希土類酸化物、酸化ジルコニウム、二酸化マンガン、酸化アルミニウム、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらの中でも、研磨効率が優れていることから希土類酸化物が好ましく、酸化セリウムがより好ましい。
端面研磨加工14を施されたガラス素板11は、情報記録媒体の基板として要求される耐衝撃性、耐振動性、耐熱性等を向上させるために、化学強化工程において化学強化処理22が施される。この化学強化処理22とは、ガラス素板11の組成中に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等の一価の金属イオンを、これと比較してそのイオン半径が大きなナトリウムイオンやカリウムイオン等の一価の金属イオンにイオン交換することをいう。そして、ガラス素板11の表面に圧縮応力を作用させて化学強化する方法である。
この化学強化処理22は、化学強化塩を加熱溶融した化学強化処理液に、金属材料製のホルダーによって保持されたガラス素板11を所定時間浸漬することによって行われる。化学強化塩の具体例としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸銀等をそれぞれ単独、あるいは少なくとも2種を混合したもの等が挙げられる。また、化学強化処理液の温度は、ガラス素板11の材質の歪点よりも好ましくは50〜150℃程度低い温度であり、より好ましくは化学強化処理液自身の温度が350〜400℃程度である。
ガラス素板11の材質の歪点よりも150℃程度低い温度未満では、ガラス素板11を十分に化学強化処理することができない。一方、ガラス素板11の材質の歪点よりも50℃程度低い温度を超えると、ガラス素板11を化学強化処理22するときに、ガラス素板11に歪みが発生しやすい。
図4(b)に示すように、化学強化処理22が施されたガラス素板11の表面には強化層25が形成される。この強化層25の厚みは、ガラス素板11表面から好ましくは20〜250μmである。20μm未満では、ガラス素板11は強度が低下する恐れが大きい。一方、250μmを超える場合には化学強化処理液の温度を高くしたり、ガラス素板11を化学強化処理液に浸漬する時間を長くする必要があるために、ガラス基板の生産効率が低下しやすい。
強化層25は、その形成状態によって厚みが不均一となるために、反り及びうねりが発生し、平坦度が低下する。さらに、ガラス素板11には、化学強化処理22が施されるときにホルダーによって保持されるために、ホルダーに接触した箇所にその幅及び深さが数十〜数百μmのチッピングが発生する場合がある。
化学強化処理22により、主表面26の内外周端縁には、内外周端面24と主表面26とからの圧縮応力が作用するために膨らみ27が形成される。このため、ガラス素板11の主表面26の平坦度がさらに数μm低下する。一方、ガラス素板11の表面には、化学強化塩のガラス素板11表面への侵食に起因する細かい凹凸(図示しない)が多数形成される。このため、ガラス素板11の表面が粗くなる。
化学強化処理22が施されたガラス素板11の表面には、化学強化塩等の付着物が付着している。このため、図1に示すように、ガラス素板11は、付着物を取除くために洗浄工程において水等に浸漬されて洗浄処理16される。
洗浄処理16が施されたガラス素板11は、粗研磨加工としてのラップ研磨加工15の工程において、その主表面26が研磨加工される。このラップ研磨加工15は、ガラス素板11の厚みを所定値にするとともに、反りやうねりを取除いたり、凹凸、クラック及びチッピング等の欠陥を取除くために行われる。
ここで、ラップ研磨加工15についてより詳しく説明する。
図3に示すように、ガラス素板11の主表面26を研磨加工するための研磨加工装置28は、互いに平行となるように上下に配設された円盤状をなす一対の定盤29と、下方位置の定盤29上に載せられた円盤状をなす複数の遊星歯車としてのキャリア30とを備えている。
下方位置の定盤29には、その中心に太陽歯車31が取付けられるとともに、その内周面には外周歯車32が形成されている。そして、各キャリア30の外周面33の一部が太陽歯車31及び外周歯車32に噛合するようにそれぞれ構成されている。さらに、各キャリア30には複数の収容孔34が透設され、各収容孔34内にはガラス素板11が収容されている。そして、研磨液を供給しながら太陽歯車31を回転させることにより、各キャリア30は自転しながら太陽歯車31の周りを公転し、各ガラス素板11の主表面26が研磨加工されるようになっている。
ラップ研磨加工15においては、研磨液には、アルミナ砥粒を研磨材とし、これを水に20重量%の濃度で分散させてスラリー状にしたものが用いられる。ラップ研磨加工15は、例えば#600及び#1200等のように粗いアルミナ砥粒と細いアルミナ砥粒とによって2段階に分けて行うことができる。
このときの研磨量は、片側の主表面26において、好ましくはその強化層25の厚みを半分以上削る量、より好ましくは強化層25をほぼ全て削る量である。研磨量が強化層25の厚みの半分未満では、ガラス基板に反りが発生しやすい。さらに、研磨量は、ガラス素板11の表側の主表面26と裏側の主表面26とでは同じ量が好ましい。研磨量が表側の主表面26と裏側の主表面26とで異なるときには、ガラス基板に反りが発生しやすい。
図5に示すように、強化層25の厚みが例えば110μmのガラス素板11では、ラップ研磨加工15の研磨量が増加するに伴ってガラス基板の破壊強度は低下する。しかし、ガラス基板の内外周端面には強化層25が形成されている。このため、例えば主表面26の強化層25を全て削ったときにも、ガラス基板の強度は基板として所望される強度、例えば98Nを維持することができる。
ここで、ガラス基板の破壊強度の測定について説明する。ガラス基板の破壊強度を測定するときには、まずガラス基板の内周部の上部に、金属材料により形成されるとともにその直径がガラス基板の内径よりも大きいボールを配置する。次いで、このボールにガラス基板を押圧することによりガラス基板に荷重を加える。そして、ガラス基板が破壊されたときの荷重を破壊強度として測定する。
図6に示すように、このガラス素板11では、ラップ研磨加工15の研磨量が増加するに伴って、ガラス基板の平坦度は研磨量が0μmのときの4μmから向上する。尚、図5及び図6において、ラップ研磨加工15の研磨量は、ガラス基板の片側の主表面26における量を示している。
ガラス素板11の表面には、研磨粉や研磨材、粉塵等の付着物が付着している。このため、図1に示すように、ガラス素板11は洗浄処理16されることにより付着物が取除かれる。
洗浄処理16が施されたガラス素板11は、例えばガラス素板11の表面に食い込んでしまった研磨材等のような前述の洗浄処理16では取除くことができない付着物をエッチングにより取除くために、酸性洗浄液によって酸洗浄処理17される。酸性洗浄液の具体例としては、フッ酸、硫酸、スルファミン酸、塩酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。具体的には、ガラス素板11は、酸性洗浄液に浸漬された状態で超音波が照射されることによって酸洗浄処理17される。
続いて、ガラス素板11は、アルカリ性洗浄液によってアルカリ洗浄処理18される。アルカリ性洗浄液の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、テトラメチル水酸化物等が挙げられる。具体的には、ガラス素板11は、アルカリ性洗浄液に浸漬された状態で超音波が照射されることによってアルカリ洗浄処理18される。
ここで、ガラス素板11に対して酸洗浄処理17の後にアルカリ洗浄処理18を施す理由について述べる。酸性溶液中においては、ガラス素板11は負極性に帯電するとともに、その表面に付着した付着物は正極性に帯電しようとする。このため、酸性洗浄液のみでガラス素板11を洗浄処理した場合、ガラス素板11から取除かれて溶液中に分散された付着物が静電気によってガラス素板11の表面に再び付着してしまうおそれがある。
これとは逆に、アルカリ性溶液中においては、ガラス素板11は負極性に帯電するとともに、その表面に付着した付着物も同様に負極性に帯電しようとする。このため、同じ極性に帯電したガラス素板11と付着物とが反発しあい、ガラス素板11の表面に対して付着物が再び付着するのを防止することができる。
酸洗浄処理17及びアルカリ洗浄処理18が施されたガラス素板11は、各洗浄液を取除くために、IPA等によって溶媒洗浄処理19される。そして、溶媒洗浄処理19が施されたガラス素板11には、粗研磨加工としての第1研磨加工20及び精密研磨加工としての第2研磨加工21が順番に施される。
この第1研磨加工20において、ガラス素板11は、表面粗さを揃えるために図3に示す研磨加工装置28等の加工装置によって主表面26が研磨加工される。このとき、定盤29には、ガラス素板11との接触面に発泡樹脂製のパッドが貼付されたものが用いられる。また、研磨液には、例えば平均粒径3μm前後の酸化セリウム及び酸化ランタンよりなる研磨材を水に20重量%前後の濃度で分散させてスラリー状にしたものが用いられる。
第1研磨加工20の研磨量は、片側の主表面26において、好ましくは10〜40μmである。10μm未満では表面粗さを揃えにくい。一方、40μmを超えて研磨加工すると、研磨加工時間を長くする必要があるために、ガラス基板の生産効率が低下しやすい。
続いて、第2研磨加工21において、ガラス素板11は、表面粗さを情報記録媒体の基板として要求される細さにするために、図3に示す研磨加工装置28等の加工装置によって主表面26が研磨加工される。このとき、定盤29にはガラス素板11との接触面にスウェード製のパッドが貼付されたものが用いられる。
また、研磨液には、例えば平均粒径0.5〜1μm程度の研磨材を水に20重量%の濃度で分散させてスラリー状にしたものが用いられる。研磨材の具体例としては、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化珪素、ニ酸化マンガン、酸化鉄、コロイダルシリカ等を単独、あるいは2種以上を混合したもの等が挙げられる。
図4(c)に示すように、第2研磨加工21が施されたガラス素板11は、凹凸やクラック等が取除かれて主表面26が平滑になるとともに、化学強化処理22によって主表面26の外周端縁に生じた膨らみ27が取除かれている。尚、図4(c)においては、図4(b)のニ点鎖線35で示す位置まで研磨加工された状態のガラス素板11を示している。
第1研磨加工20及び第2研磨加工21を施されたガラス素板11の表面には、研磨粉や研磨材、粉塵等の付着物が付着している。このため、ガラス素板11には、各洗浄処理16,17,18,19が施される。そして、各洗浄処理16,17,18,19が施されたガラス素板11が乾燥処理の工程において乾燥処理されることにより、ガラス基板が製造される。
具体的には、ガラス素板11が低沸点の有機溶媒の蒸気に晒される。低沸点の有機溶媒は、酸性及びアルカリ性の洗浄液と水とを溶解可能、即ち親水性を有するものを用いることが好ましく、主としてIPAが用いられる。
このIPAは、ガラス素板11がその蒸気に晒されたときには、水、アルカリ性の洗浄液等といった液体を主には溶け込ませながら、これらを除去しつつ迅速に蒸発し、ガラス素板11の表面を乾燥させる。このため、ガラス素板11の表面に、水が流れた痕跡や塩の析出等を発生させることなく乾燥が行われる。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 本実施形態の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板においては、ガラス基板は、ガラス素板11が化学強化処理22を施された後にラップ研磨加工15が施されて製造されている。よって、強化層25の形成状態によりガラス素板11に発生する反りをラップ研磨加工15によって取除くことができる。このため、ラップ研磨加工15が施されるときのガラス素板11において、例えば従来のガラス基板の製造方法では使用することができない程の反りを有するガラス素板11も使用することができる。また、化学強化処理22によってガラス素板11の外周部に発生したチッピングもラップ研磨加工15によって取除くことができる。よって、得られるガラス基板に反り及びチッピングが発生するのを抑制することができる。
さらに、ガラス素板11に発生する反り及びうねりをラップ研磨加工15によって取除くことができる。このため、ラップ研磨加工15により、化学強化処理22によって例えば約10μmとなったガラス素板11の平坦度を5μm以下にすることができる。よって、得られるガラス基板の平坦度を向上させることができる。
また、従来のガラス基板の製造方法に対して、酸洗浄処理17、アルカリ洗浄処理18及び溶媒洗浄処理19の回数を低減することができるために、ガラス基板の製造工程における洗浄回数を低減することができる。さらに、ガラス素板11にラップ研磨加工15を施すことにより、その厚みを容易に所定値にすることができる。
・ 本実施形態の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板においては、化学強化処理22によってガラス素板11の表面に強化層25が形成される。このため、ラップ研磨加工15によってガラス素板11の主表面26にクラックが発生するのを抑制することができる。よって、得られるガラス基板の主表面26にクラックが発生するのを抑制することができる。例えば、1000枚のガラス基板において30〜50枚程度のガラス基板にクラックが発生していた従来のガラス基板の製造方法に対して、本実施形態のガラス基板の製造方法では、1000枚中において5枚以下までクラックの発生を抑制することができる。
・ 本実施形態の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板においては、ガラス素板11は端面研磨加工14によってその内外周端面24が研磨加工されている。このため、ガラス基板の内外周端面24の表面粗さを細くすることができる。
・ 本実施形態の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板においては、ガラス素板11は第2研磨加工21によってその主表面26が研磨加工されている。このため、ガラス基板の主表面26の表面粗さを基板として要求される細さにすることができる。
・ 本実施形態の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体用ガラス基板においては、ガラス素板11は、化学強化処理22が施された後にその主表面26に各研磨加工15,20,21が施される。よって、化学強化処理22によりガラス素板11の主表面26に形成された凹凸は各研磨加工15,20,21によって取除かれるために、ガラス素板11の主表面26の表面粗さを細くすることができる。このため、得られるガラス基板の主表面26の表面粗さを細くすることができる。さらに、化学強化処理22によって形成されたガラス素板11のうねりはラップ研磨加工15によって取除かれるために、ガラス基板の平坦度を向上させることができる。また、ガラス素板11の主表面26は、順番に化学強化処理22、ラップ研磨加工15、第1研磨加工20、第2研磨加工21が施されるに従ってその表面粗さが細かくなる。よって、ガラス素板11の主表面26の表面粗さを容易にコントロールすることができる。
一方、従来の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、ガラス素板11は、その主表面26に各研磨加工15,20,21が施された後に化学強化処理22が施される。よって、各研磨加工15,20,21によってその表面粗さが細くなった主表面26には化学強化処理22によって凹凸が形成されるために、ガラス素板11の主表面26の表面粗さは粗くなる。このため、得られるガラス基板の主表面26の表面粗さは粗くなる。さらに、化学強化処理22によってガラス素板11にはうねりが形成されるために、ガラス基板の平坦度は低下する。また、ガラス素板11の主表面26は、順番にラップ研磨加工15、第1研磨加工20、第2研磨加工21が施されるに従ってその表面粗さが細くなるが、化学強化処理22が施されることによって表面粗さは粗くなる。よって、ガラス素板11の主表面26の表面粗さをコントロールしにくい。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記端面研磨加工14の工程を、化学強化処理22後にガラス素板11に施してもよい。さらに、ガラス素板11がシート状に形成されるときに所定厚さに近似した厚さに形成されているときには、ラップ研磨加工15の工程を省略してもよい。このとき、第1研磨加工20では時間をかけてガラス素板11の主表面26を研磨する必要がある。
・ 前記洗浄処理16において、ガラス素板11を水等に浸漬しつつ、超音波をガラス素板11に照射してもよい。また、水等をガラス素板11に噴霧しつつ、洗浄パッドによって付着物をガラス素板11から擦り落としてもよい。このときの洗浄パッドの材質は、スウェード製のもの、ポリビニルアルコール製のスポンジ等の有機材料のほか、無機材料、金属材料又はそれらの複合材料が使用され、硬質又は軟質のいずれであってもよい。
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記ラップ研磨加工の研磨量は、片側の主表面において、化学強化処理によってガラス素板の主表面に形成された強化層の厚みを半分以上削る量である情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。この構成によれば、ガラス基板の平坦度をより向上させることができる。
・ 前記端面研磨加工の研磨量は5〜20μmである情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。この構成によれば、ガラス基板の端面の表面粗さをより細くすることができる。
実施形態のガラス基板の製造工程の一部を示すフロー図。 ガラス素板の面取工程を示す概略断面図。 ガラス素板の主表面の研磨加工を示す概略分解斜視図。 (a)は面取加工が施されたガラス素板を示す要部拡大断面図、(b)は化学強化処理が施されたガラス素板を示す要部拡大断面図、(c)は第2研磨加工が施されたガラス素板を示す要部拡大断面図。 ラップ研磨加工の研磨量とガラス基板の破壊強度との関係を示すグラフ。 ラップ研磨加工の研磨量とガラス基板の平坦度との関係を示すグラフ。 従来のガラス基板の製造工程の一部を示すフロー図。
符号の説明
11…ガラス素板、14…端面研磨加工、15…ラップ研磨加工、20…粗研磨加工としての第1研磨加工、21…精密研磨加工としての第2研磨加工、22…化学強化処理、24…端面としての内外周端面、26…主表面、29…定盤。

Claims (7)

  1. 円盤状に形成されたガラス素板を化学強化塩が加熱溶融された化学強化処理液に浸漬し、ガラス素板中の表面近傍に存在する一部のイオンを、同イオンよりイオン半径の大きい化学強化処理液中のイオンにイオン交換することによって化学強化するための化学強化処理をガラス素板に施した後、ガラス素板の表側の主表面と、裏側の主表面とで同じ研磨量となるように一対の定盤を用いてガラス素板の表面に粗研磨加工を施すことを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記粗研磨加工は、ガラス素板の主表面を研磨加工するラップ研磨加工である請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. さらに、ガラス素板の端面を研磨加工する端面研磨加工を化学強化処理の前又は後に施す請求項1又は請求項2に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記端面研磨加工の後に、前記化学強化処理を行う請求項3に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記粗研磨加工に引き続き、ガラス素板の主表面に精密研磨加工を施す請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記精密研磨加工では、パッドが貼付された定盤を用いる請求項5に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によって製造されることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板。
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