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JP2006314521A - 内視鏡用可撓管 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄液、消毒液、及び高圧蒸気滅菌法に対する耐性を有するとともに、弾発性(反発弾性)に優れ、且つ適度な可撓性を有する内視鏡用可撓管を提供すること。
【解決手段】表面に外皮を被覆した内視鏡用可撓管において、前記外皮は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにより構成されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、内視鏡用可撓管に係り、特に、優れた薬液耐性及びオートクレーブ耐性を有する内視鏡用可撓管に関する。
内視鏡用可撓管は、通常、可撓性を有する外皮により被覆されている。このような外皮は、可撓管の体腔内への挿入をし易くするとともに、体液等の液体が可撓管内部へ侵入するのを防止する役割を果たしている。
従来、内視鏡用可撓管の外皮を構成する樹脂としては、ポリウレタンエラストマーが一般に使用されている。しかし、ポリウレタンエラストマーを内視鏡用可撓管の外皮に使用した場合、最近注目されている内視鏡の滅菌法である、オートクレーブを用いた高圧蒸気滅菌法に耐えることが出来ないという欠点を有していた(特許文献1参照)。即ち、このような可撓管を高圧蒸気滅菌法に供すると、外皮の引張り強度が低下してしまうという問題が生じていた。
また、オートクレーブ耐性を有するハードセグメントとしてポリブチレンナフタレート等を含むポリエステルエラストマーを内視鏡用可撓管の外皮に使用することが検討されたが、可撓性が高すぎるため、大腸用などの長尺な内視鏡には使用出来ないという欠点を有していた(特許文献2参照)。
特開2001−346754号公報 特願2002−311536号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、洗浄液、消毒液、及び高圧蒸気滅菌法に対する耐性を有するとともに、弾発性(反発弾性)に優れ、且つ適度の可撓性を有する内視鏡用可撓管を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、表面に外皮を被覆した内視鏡用可撓管において、前記外皮は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにより構成されることを特徴とする内視鏡用可撓管を提供する。
以上のように構成される内視鏡用可撓管では、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐熱性及び耐加水分解性に優れており、洗浄液、消毒液、及び高圧蒸気滅菌法に対する高い耐性を有しているため、かかるエラストマーを外皮とする内視鏡用可撓管は、優れた薬液耐性及びオートクレーブ耐性を示す。また、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンをハードセグメントとし、オレフィン系ゴムをソフトセグメントとした混合物であるため、ゴム量を変えることで所望の可撓性を得ることが出来る。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、そのブレンド方法により様々なタイプのものがあるが、完全動的架橋型又は重合型のものが、各種薬品やオートクレーブによる滅菌処理による強度低下等が小さく、優れた耐性を有しているので好ましい。
なお、外皮の膜厚は、0.1〜1.5mmであるのが好ましい。
本発明の内視鏡用可撓管では、挿入性の向上及び劣化防止のため、外皮の表面にフッ素系コート剤を塗布することによりコート層を形成することが出来る。しかし、外皮を構成するポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは難接着性材料であり、フッ素系コート剤との密着性が低いため、外皮とコート層の間にプライマーを塗布することが望ましい。
プライマーとしては、塩素化ポリオレフィン、特にマレイン酸変性又はアクリル変性されたものを好ましく用いることが出来る。
なお、外皮とフッ素系コート剤の間にプライマーを塗布する代わりに、外皮を構成するポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにプライマー成分を添加しても、同様の効果を得ることが出来る。
本発明の内視鏡用可撓管は、表面にポリオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる外皮を被覆しているため、優れた薬液耐性及びオートクレーブ耐性を有する。また、高い挿入性を長期にわたり維持することが出来るとともに、弾発性(反発弾性)に優れ、更に適当な可撓性を有しているため挿入性が良好であり、患者の負担(苦痛)を軽減することができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用可撓管1を示す断面図である。
図1に示すように、内視鏡用可撓管(以下、「可撓管」)1は、螺旋管2と、その外周を被覆する網状管3と、更にその外周を被覆する外皮4とにより構成されている。なお、外皮4の外周には、コート層5が設けられている。
螺旋管2を構成する材料としては、ステンレス鋼、銅合金を用いることが出来る。網状管3は、金属製、あるいは非金属製の細線を複数本編組することにより構成される。細線の材料としては、金属ではステンレス鋼、非金属では合成樹脂を用いることが出来る。また、外皮樹脂との接着性を向上させるために、金属及び非金属の細線を混在させて編組することも可能である。
網状管3の外周を被覆する外皮4は、オレフィン系熱可塑性エラストマーにより構成される。オレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンをハードセグメントとし、オレフィン系ゴムをソフトセグメントとした混合物である。オレフィン系熱可塑性エラストマーは、混合物であるが故に、ゴム量を変えることで所望の可撓性を発現することが出来る。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、一般的には、そのブレンド方法により、単純ブレンドタイプ、ゴム分を架橋させながらブレンドして架橋ゴムを細かくブレンドさせる動的架橋タイプ、ハードセグメントであるプロピレン重合時にソフトセグメント分のコモノマーを添加し、重合と共にブレンドさせる重合タイプに大別される。
本発明者らは、これらのタイプのオレフィン系熱可塑性エラストマーについて鋭意検討を重ねた結果、動的架橋タイプの中でもゴム分を完全架橋した完全動的架橋型と上記重合型は、各種薬品やオートクレーブによる滅菌処理に対し、強度低下が小さく、優れた耐性を有していることを見出した。
完全動的架橋タイプのオレフィン系熱可塑性エラストマーは、その分子構造に反応基がないため、劣化し難いものと推測される。また、重合型タイプは、重合時にソフトセグメントを分散させるため、上記した他のタイプのエラストマーと比較すると、ハードセグメントとソフトセグメントが微分散していることにより、劣化し難くなっているものと推測される。
外皮4の膜厚は、特に限定されないが、通常、0.5〜1.5mm程度であるのが好ましい。
外皮4の外周をコートするコート層5は、ガスバリア性を有するフッ素系コート剤を塗布することにより形成され、このコート層5を設けることで、可撓管の挿入性の向上と薬液等による外皮4の劣化を抑制する効果がある。このコート層5の形成に用いるコート剤は、主剤と硬化剤とからなる二液反応型塗料である。主剤側の必須成分としては、溶剤に対して可溶性に優れた含フッ素共重合体を用いることが出来る。また、この含フッ素共重合体は、分子中に水酸基を有するものとすることが出来る。
硬化剤の必須成分としては、イソシアネートを用いることが出来る。このイソシアネートとしては、末端に活性イソシアネートを有している、ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体がある。
これらの成分からなる二液反応型塗料は、スプレー、ハケ、ローラ、ディッピング等の方法によって塗布することができるが、本実施形態では、ディッピングによる塗布が適当である。二液反応型塗料の塗布後に、60〜100℃、例えば80℃で、300〜900分間、例えば600分間、放置することによって二液反応型塗料は硬化し、コート層5が形成される。
コート層5の膜厚は、特に限定されないが、通常、5〜100μm程度であるのが好ましい。
ところで、オレフィン系熱可塑性エラストマーは難接着性材料であるため、その表面にフッ素系コート剤が接着しにくい傾向にある。この場合、外皮4とコート層5の間にプライマーを使用することで、接着性の良好なコート層5の形成が可能となる。
プライマーとしては塩素化ポリオレフィンが有効であり、特に、マレイン酸変性やアクリル変性したプライマーの使用により、コート層の接着性が良好となった。
また、このようなプライマーには、溶剤系と水系があり、特に溶剤系プライマーは水系プライマーと比較すると乳化剤等の接着阻害成分が添加されていないため、良好な接着性を示すので、好ましく使用することが出来る。
プライマーは、スプレー、ハケ、ローラ、ディッピング等によって塗布することができるが、本実施形態では、ディッピングによる塗布が適当である。プライマーを塗布した後、20〜100℃、例えば25℃で、10〜60分間、例えば30分間、放置することによってプライマーは硬化し、その後、上記のフッ素系コート剤を塗布して、コート層5が形成される。
上記のプライマー成分は、上述のように外皮4の表面に塗布することに限らず、外皮4を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマーに直接練り込むことも可能である。そうすることにより、同様にコート層の密着性を向上させることが出来る。
以上のように構成される内視鏡用可撓管1では、外皮4がオレフィン系熱可塑性エラストマーにより構成されているため、消毒薬液及びオートクレーブ滅菌に対する優れた耐久性を有する。
次に、網状管の上に外皮として様々な樹脂を被覆して内視鏡用可撓管を製作した実施例と比較例を示す。
(実施例1)
押出し機により、完全架橋型ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(サーリンク4000シリーズ:DSM社製、サントプレーン:AES社製)を網状管の上に被覆して外皮を形成し、内視鏡用可撓管を製作した。
(実施例2)
押出し機により、重合型ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(エクセレン:住友化学工業社製)を網状管の上に被覆して外皮を形成し、内視鏡用可撓管を製作した。
(実施例3)
実施例1で作製した可撓管の外皮の表面に塩素化ポリオレフィン(ハードレン:東洋化成社製)でプライマー処理を施し、その後フッ素系コート剤でコート処理を行った。
(実施例4)
実施例2で作製した可撓管の外皮の表面にアクリル変性塩素化ポリオレフィン(ハードレン:東洋化成社製)でプライマー処理を施し、その後フッ素系コート剤でコート処理を行った。
(実施例5)
実施例2で作製した可撓管の外皮の表面にマレイン酸変性塩素化ポリオレフィン(ハードレン:東洋化成社製)でプライマー処理を施し、その後フッ素系コート剤でコート処理を行った。
(実施例6)
完全架橋型ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して3重量部の塩素化ポリオレフィンをドライブレンドしたものを、押出し機により網状管の上に被覆し、その後フッ素系コート剤でコート処理を行い、内視鏡用可撓管を製作した。
(比較例1)
押出し機により、ポリウレタンエラストマー(E372:日本ミラクトラン社製)を網状管の上に被覆して外皮を形成し、その後フッ素系コート剤でコート処理を行い、内視鏡用可撓管を製作した。
(比較例2)
ポリエステルエラストマー(ハイトレル:東レ・デュポン社製)について押出し機を使用し、網状管の上に被覆して外皮を形成し、その後フッ素系コート剤でコート処理を行い、内視鏡用可撓管を製作した。
以上の実施例及び比較例に係る可撓管について、薬液耐性、オートクレーブ耐性、可撓性、及び挿入性を評価した。
薬液耐性は、30%の過酢酸に3000分間浸漬して滅菌処理を行い、その前後に引張り強度を測定し、600例後の引張り強度の低下率により評価した。また、オートクレーブ耐性は、オートクレーブ中で高圧蒸気雰囲気(135℃、2気圧)に3000分間置いて、同様にその前後に引張り強度を測定し、600例後の引張り強度の低下率により評価した。それらの評価基準は下記の通りである。
5%以下の場合:◎
10%以下の場合:○
20%以下の場合:△
20%を超える場合:×
可撓性は、手感による硬さにより評価し、挿入性は摩擦係数測定により評価した。それらの評価基準は下記の通りである。
◎:優れている
○:良好である
△:可である
×:不可である
実施例及び比較例の評価結果を下記表に示す。
Figure 2006314521
上記表1より、外皮にポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いた実施例1〜6に係る内視鏡用可撓管は、薬液耐性、オートクレーブ耐性、可撓性、及び挿入性のいずれにおいても優れた効果を示していることがわかる。
これに対し、外皮にポリウレタンエラストマーを用いた比較例1は、オートクレーブ耐性が劣り、外皮にポリエステルエラストマーを用いた比較例2は、オートクレーブ耐性及び可撓性が劣っていることがわかる。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
(付記)
1.表面に外皮を被覆した内視鏡用可撓管において、前記外皮は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにより構成されることを特徴とする内視鏡用可撓管。
2.ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーがポリオレフィンをハードセグメントとし、オレフィン系ゴムをソフトセグメントとした混合物である付記1の内視鏡用可撓管。
3.ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが完全動的架橋型又は重合型であることを特徴とする付記2の内視鏡用可撓管。
4.外皮の膜厚は、0.1〜1.5mmである付記1の内視鏡用可撓管。
5.外皮にフッ素系コート剤を塗布することによりコート層が形成されていることを特徴とする付記1の内視鏡用可撓管。
6.フッ素系コート剤は、含フッ素共重合体からなる主剤とイソシアネートからなる硬化剤とからなる二液反応型塗料である付記5の内視鏡用可撓管。
7.コート層の膜厚は、5〜100μmである付記5の内視鏡用可撓管。
8.外皮とコート層の間にプライマーが塗布されている付記5の内視鏡用可撓管。
9.プライマーが塩素化ポリオレフィンである付記8の内視鏡用可撓管。
10.プライマーがマレイン酸変性されていることを特徴とする付記9の内視鏡用可撓管。
11.プライマーがアクリル変性されていることを特徴とする付記9の内視鏡用可撓管。
12.外皮にプライマー成分を添加したことを特徴とする付記5の内視鏡用可撓管。
本発明の一実施形態に係る内視鏡用可撓管を示す断面図。
符号の説明
1,…可撓管、2…螺旋管、3…網状管、4…外皮、5…コート層。

Claims (10)

  1. 表面に外皮を被覆した内視鏡用可撓管において、前記外皮は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにより構成されることを特徴とする内視鏡用可撓管。
  2. 前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリオレフィンをハードセグメントとし、オレフィン系ゴムをソフトセグメントとした混合物である請求項1に記載の内視鏡用可撓管。
  3. 前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが完全動的架橋型又は重合型であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用可撓管。
  4. 前記外皮の膜厚は、0.1〜1.5mmである付記1の内視鏡用可撓管。
  5. 前記外皮の表面にフッ素系コート剤を塗布することによりコート層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用可撓管。
  6. 前記外皮とコート層との間にプライマーが塗布されていることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用可撓管。
  7. 前記プライマーが塩素化ポリオレフィンであることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡用可撓管。
  8. 前記プライマーがマレイン酸変性されたものであることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡用可撓管。
  9. 前記プライマーがアクリル変性されたものであることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡用可撓管。
  10. 前記外皮にプライマー成分を添加したことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用可撓管。
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