JP2006308213A - スターリング機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】 摺接部における摩擦によるエネルギーロスの発生を防止することにより、高効率に運転することができるスターリング冷凍機を提供する。
【解決手段】 スターリング冷凍機100は、作動ガスが充填されたシリンダ120と、このシリンダ120内に嵌挿されたピストン130およびディスプレーサ140と、ピストン130に設けられた貫通孔134を挿通するディスプレーサロッド145とを備える。シリンダ120−ピストン130間、シリンダ120−ディスプレーサ140間およびディスプレーサロッド145−ピストン130間に構成される摺接部において、シリンダ120、ピストン130、ディスプレーサ140およびディスプレーサロッド145の表面を四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層にて覆うとともに、この被覆層の表面にフッ素系グリースを含む潤滑剤を塗布する。
【選択図】 図1
【解決手段】 スターリング冷凍機100は、作動ガスが充填されたシリンダ120と、このシリンダ120内に嵌挿されたピストン130およびディスプレーサ140と、ピストン130に設けられた貫通孔134を挿通するディスプレーサロッド145とを備える。シリンダ120−ピストン130間、シリンダ120−ディスプレーサ140間およびディスプレーサロッド145−ピストン130間に構成される摺接部において、シリンダ120、ピストン130、ディスプレーサ140およびディスプレーサロッド145の表面を四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層にて覆うとともに、この被覆層の表面にフッ素系グリースを含む潤滑剤を塗布する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、スターリング機関に関し、特に、シリンダ内に嵌挿されたピストンおよびディスプレーサの摺動性の向上が図られたスターリング機関に関する。
スターリング機関に代表されるような熱サイクル装置においては、シリンダ内にピストンが嵌挿され、このピストンが上記シリンダ内を往復動することによってシリンダ内に充填された作動ガスの圧縮または膨張が行なわれ、この作動ガスの圧縮または膨張により、各種の熱サイクルが実現されることとなる。このような熱サイクル装置においては、シリンダ内を往復動するピストンとシリンダとの摺接部において発生する摩擦によるエネルギーロスを低減することが好ましく、この摺接部における摩擦によるエネルギーロスを低減することにより、駆動出力の向上や発電効率の向上、冷凍効率の向上等が図られることになる。
たとえば、スターリング機関の応用例であるスターリング冷凍機にあっては、一般にシリンダ内部にピストンおよびディスプレーサが配置され、ピストンはリニアモータによって駆動されてシリンダ内を往復動し、ディスプレーサはピストンの往復動によって生じる作動ガスのガス圧変動を受けてシリンダ内を往復動するように構成される。ここで、ディスプレーサは、直接リニアモータ等の駆動手段によって駆動される作動体ではないがピストンと同様にシリンダ内を往復動する作動体であり、フリーピストンとも称される。上記動作の際、シリンダの内周面とピストンの外周面およびシリンダの内周面とディスプレーサの外周面との間の摩擦係数が大きい場合には、この部分において摩擦によるエネルギーロスが発生し、スターリング冷凍機の冷却効率が低下することになる。したがって、この部分における摺動性の向上が図られれば、これら摺接部における摩擦によるエネルギーロスの発生が抑制でき、結果として冷凍効率の向上を図ることができる。
なお、上述のスターリング冷凍機の一般的な構成が開示された文献として、たとえば、特開2004−317108号公報(特許文献1)や特開2005−042571号公報(特許文献2)等がある。
特開2004−317108号公報
特開2005−042571号公報
本発明は、上記の摺接部における摩擦によるエネルギーロスを低減すべくなされたものであり、摺接部における摺動性を向上することにより、高効率に運転することができるスターリング機関を提供することを目的とする。
本発明の第1の局面に基づくスターリング機関は、作動ガスが充填された第1および第2のシリンダと、上記第1のシリンダ内に配置され、駆動手段によって駆動されて上記第1のシリンダ内を摺動するピストンと、上記第2のシリンダ内に配置され、上記ピストンが摺動することによって生じる上記作動ガスのガス圧変動を受けて上記第2のシリンダ内を摺動するディスプレーサとを備えたものであって、上記第1のシリンダと上記ピストンとの摺接部において、上記第1のシリンダの表面および上記ピストンの表面の少なくともいずれか一方が四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層にて覆われるとともに、この被覆層の表面にフッ素系グリースを含む潤滑剤が塗布されていることを特徴とするものである。
本発明の第2の局面に基づくスターリング機関は、作動ガスが充填された第1および第2のシリンダと、上記第1のシリンダ内に配置され、駆動手段によって駆動されて上記第1のシリンダ内を摺動するピストンと、上記第2のシリンダ内に配置され、上記ピストンが摺動することによって生じる上記作動ガスのガス圧変動を受けて上記第2のシリンダ内を摺動するディスプレーサとを備えたものであって、上記第2のシリンダと上記ディスプレーサとの摺接部において、上記第2のシリンダの表面および上記ディスプレーサの表面の少なくともいずれか一方が四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層にて覆われるとともに、この被覆層の表面にフッ素系グリースを含む潤滑剤が塗布されていることを特徴とするものである。
本発明の第3の局面に基づくスターリング機関は、作動ガスが充填された第1および第2のシリンダと、上記第1のシリンダ内に配置され、駆動手段によって駆動されて上記第1のシリンダ内を摺動するピストンと、上記第2のシリンダ内に配置され、上記ピストンが摺動することによって生じる上記作動ガスのガス圧変動を受けて上記第2のシリンダ内を摺動するディスプレーサと、上記ディスプレーサを支持するために上記ディスプレーサの上記ピストン側端面から延設され、上記ピストンに設けられた軸方向の貫通孔を挿通するディスプレーサロッドとを備えたものであって、上記ディスプレーサロッドと上記ピストンとの摺接部において、上記ディスプレーサロッドと上記ピストンとの摺接部において、上記ディスプレーサロッドの表面および上記ピストンの貫通孔内周面の少なくともいずれか一方が四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層にて覆われるとともに、この被覆層の表面にフッ素系グリースを含む潤滑剤が塗布されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、摺接部における摩擦によるエネルギーロスの発生を防止することができるため、高効率に運転することができるスターリング機関を提供することが可能になる。
以下、本発明の一実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、スターリング機関の応用例であるスターリング冷凍機を例示して説明を行なう。
図1は、本発明の一実施の形態におけるスターリング冷凍機の模式断面図である。また、図2ないし図4は、本実施の形態におけるスターリング冷凍機の摺接部の拡大断面図であり、それぞれの図は、図1中に示す領域A,B,Cに対応した拡大断面図である。
まず、図1を参照して、本実施の形態におけるスターリング冷凍機の構造について説明する。図1に示すように、本実施の形態におけるスターリング冷凍機100は、ヘリウムガスや水素ガス、窒素ガスなどの作動ガスが作動媒体として内部に充填されたケーシング110を有している。ケーシング110の内部には、作動ガスが充填されたシリンダ120が配置されている。シリンダ120は、ピストン130が嵌挿される第1のシリンダであるピストン側シリンダ120Aと、ディスプレーサ140が嵌挿される第2のシリンダであるディスプレーサ側シリンダ120Bとに分割されており、これらピストン側シリンダ120Aの中心軸とディスプレーサ側シリンダ120Bの中心軸とが重なるように、ピストン側シリンダ120Aとディスプレーサ側シリンダ120Bとが同軸上に配置されている。
シリンダ120内におけるディスプレーサ140の往復動方向の両端部外側には、圧縮空間150と膨張空間160とが設けられている。圧縮空間150は、ピストン130およびディスプレーサ140によって区画され、放熱器152によって囲まれている。放熱器152は、圧縮空間150に生じる圧縮熱を除去するためのものである。膨張空間160は、ディスプレーサ140とディスプレーサ側シリンダ120Bの閉塞端とによって区画され、吸熱器162によって囲まれている。この吸熱器162は、膨張空間160に生じる冷熱を取り出すためのものである。これら圧縮空間150および膨張空間160は、ディスプレーサ側シリンダ120Bの径方向外側に設けられた作動ガスの流路を介して連通しており、この流路上には再生器180が配置されている。再生器180は、内部を通過する作動ガスの熱を一時的に蓄積する一種の蓄熱材である。
ピストン側シリンダ120Aの径方向外側に位置する背圧空間112内には、リニアモータ170が設置されている。リニアモータ170は、ピストン130に設けられたマグネットホルダの先端に位置する可動マグネット171と、この可動マグネット171を挟み込むように位置するインナーヨーク172およびアウターヨーク173と、同じくインナーヨーク172とアウターヨーク173の間に位置し、電源に接続されたピストン駆動用コイル174とから構成される。このピストン駆動用コイル174に外部の電源から電力が供給されることによりリニアモータ170が作動し、可動マグネット171が駆動されることによってピストン130がピストン側シリンダ120A内を軸方向に往復動する。なお、ピストン130は、フラットスプリング191を介してケーシング110に固定されているため、ピストン側シリンダ120A内を所定の周期をもって滑らかに摺動する。
ディスプレーサ140は、上述のピストン130の往復動によって生じる作動ガスのガス圧変動を受けてディスプレーサ側シリンダ120B内を軸方向に往復動する。ディスプレーサ140は、その往復動方向の端面のうちのピストン130側に位置する端面から延設されたディスプレーサロッド145によって支持されている。ディスプレーサロッド145は、ピストン130に設けられた貫通孔134を挿通し、その先端がフラットスプリング192等を介してケーシング体110に固定されているため、ディスプレーサ140は、上述のピストン130の摺動と所定の位相差をもってディスプレーサ側シリンダ120B内を所定の周期で滑らかに摺動することになる。
リニアモータ170によってピストン130を駆動すると、ピストン130が圧縮空間150側に移動して圧縮空間150内の作動ガスを圧縮する。圧縮された作動ガスは、再生器180を通って膨張空間160に移動する。膨張空間160に流入した作動ガスは、ディスプレーサ140が圧縮空間150側に移動することに伴って膨張し、この圧力低下にしたがって膨張空間160内の作動ガス温度も低下することになる。したがって、上述の動作を繰り返すことにより、膨張空間160内の作動ガス温度は極低温に冷却され、これに伴って吸熱器162にも極低温が発生することになる。
以上において説明した本実施の形態におけるスターリング冷凍機100にあっては、ピストン130の外周面とピストン側シリンダ120Aの内周面とによって摺接部が構成され、スターリング冷凍機100の冷却効率の向上を図るためには、このピストン130とピストン側シリンダ120Aとの摺接部における摺動性の向上が不可欠である。そこで、本実施の形態におけるスターリング冷凍機100においては、図2に示すように、ピストン側シリンダ120Aの基部121の内周側の表面121aを四フッ化エチレン系樹脂(PTFE系樹脂)を含む被覆層122にて覆うとともに、ピストン130の基部131の外周側の表面131aを四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層132にて覆い、かつこれら被覆層122,132間にフッ素系グリースを含む潤滑材を塗布することにより、グリース塗布層200を形成している。
また、本実施の形態におけるスターリング冷凍機100にあっては、ディスプレーサ140の外周面とディスプレーサ側シリンダ120Bの内周面においても摺接部が構成されており、スターリング冷凍機100の冷却効率の向上を図るためには、このディスプレーサ140とディスプレーサ側シリンダ120Bとの摺接部における摺動性の向上をも図ることが必要である。そこで、本実施の形態におけるスターリング冷凍機100においては、図3に示すように、ディスプレーサ側シリンダ120Bの基部121の内周側の表面121aを四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層122にて覆うとともに、ディスプレーサ140の基部141の外周側の表面141aを四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層142にて覆い、かつこれら被覆層122,142間にフッ素系グリースを含む潤滑材を塗布することにより、グリース塗布層200を形成している。
さらに、本実施の形態におけるスターリング冷凍機100にあっては、ディスプレーサロッド145の外周面とピストン130の内周面、すなわちピストン130の貫通孔134の表面においても摺接部が構成され、スターリング冷凍機100の冷却効率の向上を図るためには、このディスプレーサロッド145とピストン130との摺接部における摺動性の向上をも図ることが必要である。そこで、本実施の形態におけるスターリング冷凍機100においては、図4に示すように、ディスプレーサロッド145の基部146の表面146aを四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層147にて覆うとともに、ピストン130の基部131の内周側の表面131bを四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層132にて覆い、かつこれら被覆層147,132間にフッ素系グリースを含む潤滑材を塗布することにより、グリース塗布層200を形成している。
ここで、シリンダ120、ピストン130およびディスプレーサ140の基部121,131,141は、シリンダ120、ピストン130およびディスプレーサ140の外殻を構成する部位であり、硬質の材料にて形成される。この基部121,131,141は、通常はステンレス合金等の金属材料にて形成される場合が多いが、他にも硬質の樹脂材料にて形成することも可能であり、特にその材質が限定されるものではない。
また、基部121,131,141の表面に形成される被覆層122,132,142は、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等いずれの樹脂材料を主成分としていてもよく、少なくとも上述のように四フッ化エチレン系樹脂をその成分の一部として含んでいればよい。
また、被覆層122,132,142上に塗布されるフッ素系グリースを含む潤滑剤としては、四フッ化エチレンを増ちょう材として含有するものであればよく、基油としてはポリフルオロエーテル、一般鉱油、有機化ベンゾナイト、シリカゲル、ウレア等いずれのものを用いてもよい。
以上のように、各摺接部において対面配置される基部の表面に四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層を形成し、これら被覆層の間にフッ素系グリースを含む潤滑材を塗布する構成とすることにより、各摺接部における摺接面の表面粗さが減少するとともに摩擦係数も大幅に減少するため、各摺接部における摺動性が著しく向上し、摺接部における摩擦によるエネルギーロスが防止されるようになる。したがって、スターリング冷凍機の冷凍効率を向上させることが可能になる。
なお、上述の一実施の形態においては、シリンダ、ピストンおよびディスプレーサにて構成される各摺接部のいずれにおいても、対面配置される基部の両方の表面に四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層を形成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしも基部の両方の表面に被覆層が形成される必要はなく、片方の表面のみに被覆層を形成する構成としても摺動性の改善が図られる。
また、上述の一実施の形態においては、シリンダ−ピストン間、シリンダ−ディスプレーサ間およびピストン−ディスプレーサロッド間の3箇所すべての摺接部において本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、このようにすべての摺接部に本発明を適用する必然性はなく、いずれか1箇所または2箇所とした場合にもスターリング冷凍機の冷凍効率の向上は図られる。
本発明者は、上記摺動性の改善がスターリング冷凍機の冷凍効率にどの程度寄与するかについて、確認のための検証実験を行なった。以下においては、その結果について説明する。
(実施例1)
実施例1として、本発明者は、シリンダの内周面とディスプレーサロッドの外周面とにテフロン(登録商標)コーティングが施されたフリーピストン型スターリング冷凍機を準備し、シリンダ−ピストン間、シリンダ−ディスプレーサ間およびピストン−ディスプレーサロッド間の3箇所すべての摺接部においてフッ素系グリースを2μm〜5μmの厚みとなるように塗布し、これを用いて検証実験を行なった。その結果、ピストン振幅を種々の振幅に切換えた場合にも、被覆層およびグリースの塗布を行なわなかったものに比べ、ピストン振幅の全領域にわたってスターリング冷凍機の出力が約10%向上し、冷凍効率が約4%向上することが確認された。
実施例1として、本発明者は、シリンダの内周面とディスプレーサロッドの外周面とにテフロン(登録商標)コーティングが施されたフリーピストン型スターリング冷凍機を準備し、シリンダ−ピストン間、シリンダ−ディスプレーサ間およびピストン−ディスプレーサロッド間の3箇所すべての摺接部においてフッ素系グリースを2μm〜5μmの厚みとなるように塗布し、これを用いて検証実験を行なった。その結果、ピストン振幅を種々の振幅に切換えた場合にも、被覆層およびグリースの塗布を行なわなかったものに比べ、ピストン振幅の全領域にわたってスターリング冷凍機の出力が約10%向上し、冷凍効率が約4%向上することが確認された。
(実施例2)
実施例2として、本発明者は、ピストンの外周面、ディスプレーサの外周面およびディスプレーサロッドの外周面のそれぞれにテフロン(登録商標)コーティングが施されたフリーピストン型スターリング冷凍機を準備し、シリンダ−ピストン間、シリンダ−ディスプレーサ間およびピストン−ディスプレーサロッド間の3箇所すべての摺接部においてフッ素系グリースを2μm〜5μmの厚みとなるように塗布し、これを用いて検証実験を行なった。その結果、ピストン振幅を種々の振幅に切換えた場合にも、被覆層およびグリースの塗布を行なわなかったものに比べ、ピストン振幅の全領域にわたってスターリング冷凍機の出力が約10%向上し、冷凍効率が約4%向上することが確認された。
実施例2として、本発明者は、ピストンの外周面、ディスプレーサの外周面およびディスプレーサロッドの外周面のそれぞれにテフロン(登録商標)コーティングが施されたフリーピストン型スターリング冷凍機を準備し、シリンダ−ピストン間、シリンダ−ディスプレーサ間およびピストン−ディスプレーサロッド間の3箇所すべての摺接部においてフッ素系グリースを2μm〜5μmの厚みとなるように塗布し、これを用いて検証実験を行なった。その結果、ピストン振幅を種々の振幅に切換えた場合にも、被覆層およびグリースの塗布を行なわなかったものに比べ、ピストン振幅の全領域にわたってスターリング冷凍機の出力が約10%向上し、冷凍効率が約4%向上することが確認された。
(実施例3)
実施例3として、本発明者は、シリンダの内周面、ピストンの外周面、ピストンの内周面、ディスプレーサの外周面およびディスプレーサロッドの外周面のそれぞれにテフロン(登録商標)コーティングが施されたフリーピストン型スターリング冷凍機を準備し、シリンダ−ピストン間、シリンダ−ディスプレーサ間およびピストン−ディスプレーサロッド間の3箇所すべての摺接部においてフッ素系グリースを2μm〜5μmの厚みとなるように塗布し、これを用いて検証実験を行なった。その結果、ピストン振幅を種々の振幅に切換えた場合にも、被覆層およびグリースの塗布を行なわなかったものに比べ、ピストン振幅の全領域にわたってスターリング冷凍機の出力が約15%向上し、冷凍効率が約6%向上することが確認された。
実施例3として、本発明者は、シリンダの内周面、ピストンの外周面、ピストンの内周面、ディスプレーサの外周面およびディスプレーサロッドの外周面のそれぞれにテフロン(登録商標)コーティングが施されたフリーピストン型スターリング冷凍機を準備し、シリンダ−ピストン間、シリンダ−ディスプレーサ間およびピストン−ディスプレーサロッド間の3箇所すべての摺接部においてフッ素系グリースを2μm〜5μmの厚みとなるように塗布し、これを用いて検証実験を行なった。その結果、ピストン振幅を種々の振幅に切換えた場合にも、被覆層およびグリースの塗布を行なわなかったものに比べ、ピストン振幅の全領域にわたってスターリング冷凍機の出力が約15%向上し、冷凍効率が約6%向上することが確認された。
なお、上述の一実施の形態においては、第1および第2のシリンダが別体にて形成されたスターリング冷凍機を例示して説明を行なったが、必ずしもこれらが分割されている必要はなく、第1および第2のシリンダが一体化されていてもよい。また、上述の一実施の形態においては、ピストンおよびディスプレーサが同軸上に配置されたスターリング冷凍機を例示して説明を行なったが、必ずしもこれらが同軸上に配置される必要はなく、そのため、第1および第2のシリンダが異軸上に配置されていてもよい。
また、上述の一実施の形態においては特に言及しなかったが、本発明は、ピストンまたは/およびディスプレーサのシリンダとの摺接面に高圧のガスを噴出する微細孔を設け、この微細孔によって気体軸受けが構成されたスターリング冷凍機に対しても当然に適用が可能である。
また、上述の一実施の形態においては、スターリング機関の応用例であるスターリング冷凍機に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、熱機関としてのスターリング機関自体に本発明を適用することも当然に可能である。
このように、今回開示した上記一実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
100 スターリング冷凍機、110 ケーシング、112 背圧空間、120 シリンダ、120A ピストン側シリンダ、120B ディスプレーサ側シリンダ、121,131,141,146 基部、121a,131a,131b,141a,146a 表面、122,132,142,147 被覆層、130 ピストン、134 貫通孔、140 ディスプレーサ、145 ディスプレーサロッド、150 圧縮空間、152 放熱器、160 膨張空間、162 吸熱器、170 リニアモータ、171 可動マグネット、172 アウターヨーク、172 インナーヨーク、173 アウターヨーク、174 ピストン駆動用コイル、180 再生器、191,192 フラットスプリング、200 グリース塗布層。
Claims (3)
- 作動ガスが充填された第1および第2のシリンダと、前記第1のシリンダ内に配置され、駆動手段によって駆動されて前記第1のシリンダ内を摺動するピストンと、前記第2のシリンダ内に配置され、前記ピストンが摺動することによって生じる前記作動ガスのガス圧変動を受けて前記第2のシリンダ内を摺動するディスプレーサとを備えたスターリング機関であって、
前記第1のシリンダと前記ピストンとの摺接部において、前記第1のシリンダの表面および前記ピストンの表面の少なくともいずれか一方が四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層にて覆われるとともに、この被覆層の表面にフッ素系グリースを含む潤滑剤が塗布されてなる、スターリング機関。 - 作動ガスが充填された第1および第2のシリンダと、前記第1のシリンダ内に配置され、駆動手段によって駆動されて前記第1のシリンダ内を摺動するピストンと、前記第2のシリンダ内に配置され、前記ピストンが摺動することによって生じる前記作動ガスのガス圧変動を受けて前記第2のシリンダ内を摺動するディスプレーサとを備えたスターリング機関であって、
前記第2のシリンダと前記ディスプレーサとの摺接部において、前記第2のシリンダの表面および前記ディスプレーサの表面の少なくともいずれか一方が四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層にて覆われるとともに、この被覆層の表面にフッ素系グリースを含む潤滑剤が塗布されてなる、スターリング機関。 - 作動ガスが充填された第1および第2のシリンダと、前記第1のシリンダ内に配置され、駆動手段によって駆動されて前記第1のシリンダ内を摺動するピストンと、前記第2のシリンダ内に配置され、前記ピストンが摺動することによって生じる前記作動ガスのガス圧変動を受けて前記第2のシリンダ内を摺動するディスプレーサと、前記ディスプレーサを支持するために前記ディスプレーサの前記ピストン側端面から延設され、前記ピストンに設けられた軸方向の貫通孔を挿通するディスプレーサロッドとを備えたスターリング機関であって、
前記ディスプレーサロッドと前記ピストンとの摺接部において、前記ディスプレーサロッドの表面および前記ピストンの前記貫通孔内周面の少なくともいずれか一方が四フッ化エチレン系樹脂を含む被覆層にて覆われるとともに、この被覆層の表面にフッ素系グリースを含む潤滑剤が塗布されてなる、スターリング機関。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20110232276A1 (en) * | 2010-03-26 | 2011-09-29 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Stirling engine and control method thereof |
CN108592481A (zh) * | 2018-05-09 | 2018-09-28 | 上海理工大学 | 采用脉管型自由活塞斯特林制冷机的多温区冰箱 |
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2005
- 2005-04-28 JP JP2005131869A patent/JP2006308213A/ja not_active Withdrawn
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CN108592481B (zh) * | 2018-05-09 | 2020-09-01 | 上海理工大学 | 采用脉管型自由活塞斯特林制冷机的多温区冰箱 |
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