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JP2006308023A - ボス部材及びボス部材の製造方法 - Google Patents

ボス部材及びボス部材の製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】軸部の頭部に接した位置に転造により凹部を形成しても頭部の反りの発生のないボス部材を得る。
【解決手段】軸部2と、これと一体で軸部2より大径のセレーション部7を有する頭部3と、頭部3に接する軸部2の外周に溝形状の凹部5を設けてなるボス部材であって、頭部圧造成形時に軸部径より大きく且つセレーション部7を有する頭部外周縁部を軸部側へ傘状に傾斜させて形成し、頭部3に接する軸部2の外周にこれに沿い転造加工された凹部5を形成し、傘状の頭部外周縁部が頭部端面とともに平坦に形成されたボス部材であるから、ボス部材の圧入においてワークの面に対して頭部端面が等しい平坦面状となるため、ワークとボス部材の頭部との間に隙間がほとんど生じず、互いに密着した状態が得られ、回り止め及び抜け止め作用が確実になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワークに被締結物を取り付けるに際し、ワークと被締結物との間に介在させ、ねじあるいはナット等の締結部材で被締結物を固定するためのボス部材であって、軸部の頭部に接する位置に形成された凹部により頭部外周縁部が反らないようにしたボス部材及びボス部材の製造方法に関する。
製品の薄型化のために電子基板を積層し、この前面にカバーや表示ユニットを取り付ける場合、これら被締結物を取り付けるワークは比較的薄いものが採用されている。このようなワークにカバーや表示ユニット等の被締結物を取り付けるに際しては通常、ねじが使用されているが、このねじを直接ワークに螺合するにはワークに十分な厚みがなく、固定強度の減少を招いていた。これを防止することからねじを螺合して取り付けるのに十分な強度を有するボス部材をワークに固定し、このボス部材にねじを螺合して被締結物を取り付けているのが現状である。
このようなボス部材として、最近では多くの種類のものが使用されており、例えば、ワークに形成されている取付穴(図示せず)よりも若干径の大きい頭部とこの頭部に立設され前記穴部に嵌入し得る径となっている軸部とが金属材料で一体に形成されてなり、軸部の外周面には、頭部との境界部分に、全周にわたって断面四角形の溝部が形成されている。また、頭部の外周面には回り止め用のローレットあるいはセレーションが形成され、軸部にねじを螺合可能な有底円筒形状あるいは軸部から頭部にかけて貫通する貫通穴形状の下穴が形成されているものがある。
このようなボス部材としてその構造及び作用の似たものに例えば、特開2002−181014号公報に示すようなものがある。これは図8に示すようなインサートナット101である。これは、樹脂ケースの取付孔に金属製のインサートナット101を圧入するものであり、取付孔108は、入り口側の挿入ガイド孔108aと、出口側の挿入ガイド孔108bとを有している。挿入ガイド孔108aの内径は、挿入ガイド孔108bの内径よりも大径となっている。一方、金属製のインサートナット101には、その外周には入り口側の挿入ガイド孔108aに嵌合される大径部102と、出口側の挿入ガイド108bに嵌合される蓋部103と、大径部102と蓋部103との間に形成された溝部105とが形成されており、インサートナット101の圧入操作により変形された樹脂材が溝部105に充填されるようになっている。この場合、蓋部は圧入操作においてはガイド孔108a側から圧入されるようになっており、樹脂材が溝部105に充填された状態で蓋部103が樹脂ケースから突き出た状態となるようにした構造である。
特開2002−181014号公報
しかしながら、このような構成及び作用を有する構造を図9に示すようなボス部材201に採用し、前記溝部205を転造加工により成形すると、頭部203の外周に形成されているセレーション部207を有する頭部外周縁部がこの転造溝加工により頭部端面から反り返り、これをそのまま脚部202を先にして頭部203をワークの取付孔に圧入すると、溝部205にはワークの肉が充填され、セレーション部207もワークに嵌るが、ワークの肉はいずれの箇所においても十分に充填あるいは嵌ることがない。このため、ボス部材の抜け止め及び回り止め作用がねじをこのボス部材に螺合した場合、その締結力に耐えられず、供回りを生じたり、ワークから抜けたりすることがある。また、このように反りが発生することで、頭部外周縁部に形成されているセレーション部とワークとの間には隙間(S)が生じ、強固な固定は期待できない。更に、頭部の端面には反りが発生していることからワークにこのボス部材を圧入してもワークの面に対して頭部は平坦とはならず、これを使用した場合、製品としての美観を損なう等の課題が生じている。
本発明の目的は、このような課題を解消するとともに軸部の頭部に接した位置に転造により凹部を形成しても頭部の反りの発生のないボス部材を得るとともにこのようなボス部材を提供する製造方法を得ることである。
本発明の目的は、締結部材が螺合される軸部2と、この軸部2と一体でこれより大径のセレーション部7を有する頭部3と、この頭部3に接する軸部2の外周に溝形状の凹部5を設けてなるボス部材であって、頭部圧造成形時に軸部径より大きく且つ前記セレーション部7を有する頭部外周縁部を軸部側へ傘状に傾斜させて形成し、この頭部3に接する軸部2の外周にこれに沿い転造加工された凹部5を形成し、前記傘状の頭部外周縁部が頭部端面とともに平坦に形成されたボス部材を提供することで達成される。
また、この目的を達成するために前記構成に加えて、頭部は頭部圧造成形により頭部外周縁部の座面と軸部外周面とのなす角が鋭角であって、頭部3に接する軸部2に転造加工で凹部5が形成されると前記角が直角に限りなく近づく構成であるので、圧入されたボス部材の頭部との間の隙間が減少する。更に、これら構成に加えて、凹部は軸線に沿う断面において底面側が狭く開放側が広くなるように少なくとも一方が傾斜した側壁6を有しているから、ワークの肉が凹部に嵌りやすく、強固な固定が可能になる。
しかも、本発明の前記目的は、締結部材が螺合される軸部2と、この軸部2と一体でこれより大径のセレーション部7を有する頭部3と、この頭部3に接する軸部2の外周に溝形状の凹部5を設けてなるボス部材の製造方法において、頭部圧造工程30において軸部径より大きく且つ前記セレーション部7を有する頭部外周縁部を軸部側へ傾斜させて傘状とし、続いて、転造工程50でこの傘状の頭部外周縁部を有する頭部3に接する軸部2の外周にこれに沿い凹部5を形成し、前記傘状の頭部外周縁部が頭部端面とともに平坦に形成されたボス部材の製造方法を提供することによっても達成される。
この製造方法においても、頭部は頭部圧造工程30においては頭部外周縁部の座面と軸部外周面とのなす角が鋭角であって、頭部3に接する軸部2に転造加工で凹部5が形成されると前記角が直角に限りなく近づく構成であるから、十分にその目的が得られる。
本発明によれば、頭部に接近した軸部にその外周に沿い凹部を転造加工により形成しても頭部の端面はその外周縁部に反りが発生することがなく、ボス部材の圧入においてワークの面に対して頭部端面が等しい平坦面状となる。このため、ワークとボス部材の頭部との間に隙間がほとんど生じず、互いに密着した状態が得られ、回り止め及び抜け止め作用が確実になり、機械的性能が向上する。また、このようにワークとボス部材が密着した状態となることで、電気の通電状態においてもこの部分で短絡することがなく、安定した電気的性能も得られる。更に、ボス部材の頭部が平坦になることで、ワークに対して圧入しても膨れたりへこみを生じたりしないので目立つことがなく、製品としての美観も向上する。しかも、このような加工は頭部を圧造する圧造工程のパンチの形状を変更するだけで工程を増やすことなく加工できるので、コストの増加がなく、従来のようにこの凹部を切削により形成するものに比べて大量生産に好適である等の特有の効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図7に基づき説明する。図1及び図2において、1は本発明のボス部材であり、軸部2とこの軸部2より大径の頭部3とから構成されている。このボス部材1の軸部2には中心線上に有底円筒穴形状に明けられた下穴4が設けられている。この下穴4は軸部2の軸端から頭部3に向かって有底円筒穴形状に形成されているが、この他に軸端から頭部端にかけて貫通した貫通穴形状(図示せず)であってもよい。この下穴4にはねじ(図示せず)が螺合されて組み合わされるようになっているので、この径はねじの脚部に形成されるねじ山の有効径とほぼ同径かそれ以下となっている。尚、この実施の形態では、締結部材として軸部に下穴4を設けてねじを締結するようにしているが、このねじに代え軸部の外周にナット(図示せず)を締結するようにしてもよい。
また、この軸部2と頭部3との間の首部即ち、頭部3に接している軸部2にはこれより小径で頭部3の厚さの約1/2程度の幅を有するとともに軸部外周に沿う外周溝形状の凹部5が形成してあり、この凹部5は軸線に沿う断面において、底面側が狭く開放側が広くなるよう少なくとも一方が、あるいは両側が傾斜した側壁6を有している。この凹部5は金属板等のワーク(W)の取付穴(図示せず)にボス部材1が加圧入固定された時、ワーク(W)の肉が嵌り込む溝であり、これにより、ワーク(W)に対する抜け止め構造となっている。
この首部には軸部2の直径より大径の前記頭部3が連続して一体的に設けてあり、この頭部3にはその中心から放射方向に且つ円周上に等間隔をおいて山形形状の複数の突部が突出した形状のセレーション部7が形成されている。このセレーション部7は外周を鋸歯状の山形形状としているが、この形状に限定されるものではなく、ワークに加圧固定されたときに回り止め作用が生じる構造であれば、例えば、花びら形状であってもよい。
このようなボス部材の製造は、以下に示す工程により行われている。即ち、図4に示すように、所定の下穴4が穴明け工程20で形成される。この穴明け工程20に続いて、頭部圧造工程30が配置してあり、この工程により図5に示すように、圧造加工が加えられて一次加工素材11の頭部3の外周縁部にはセレーション部7が形成される。この工程の受け駒31はボス部材1の軸部外径に相当する支持穴32を有しており、この支持穴32には押出ピン33が軸方向に摺動自在に内挿されている。
この受駒31の先端には支持穴32より大きい形状で、前記セレーション部7に対応する山形形状の頭部外周成形穴34が形成してあり、この頭部外周成形穴34の底に相当する前記支持穴32の端縁から外側にかけての面は頭部外周成形穴34がより深くなるよう傾斜した円錐形状となっている。これは後記する転造工程50で製品としての頭部外周縁部を形成するための最終的な形状を得ることを目的とした形状であり、この形状の一次加工素材11は転造工程50で修正されるものである。また、前記セレーション部7を形成する頭部外周成形穴34の外周面はこの円錐面に対して実質的に直角となった面となっており、圧造加工された際にセレーション部7は頭部端面が頭部座面より僅かに大径となる形状となっている。そして、この頭部外周成形穴34の深さは前記ボス部材1の頭部3の厚みより僅かに浅くなっている。
一方、支持穴32の中心線上には加圧パンチ35が配置してあり、この加圧パンチ35の先端には前記ボス部材1の頭部端面側に前記セレーション部7の外径より大径で前記頭部外周成形穴34で形成されるセレーション部7より薄い余肉部12を形成する余肉形成穴36を有している。この穴36の深さは前記ボス部材1の頭部3の厚みから前記頭部外周成形穴34の深さを引いた寸法より少ない例えば、この寸法の1/2程度になっている。この余肉形成穴36に続いて加圧パンチ35には僅かに深い即ち、前記寸法の残り1/2程度の深さとなった円錐台形状の頭部端面成形穴37が形成してあり、これにより、圧造成形された頭部3はその中心側が僅かな台形あるいは円弧形状に膨れる形状となる。これら前記頭部外周成形穴34、余肉形成穴36、頭部端面成形穴37の深さを合わせたものが前記頭部3の厚みとなるように設定されている。
この頭部圧造工程30に続いて、トリミング工程40が配置されている。このトリミング工程40では図6に示すように、前記受け駒31の支持穴32の中心線上にトリミングパンチ41が移動して位置するようになっており、この移動により互いの中心が一致し、前記工程により得られた一次加工素材11の頭部3の余肉部端面に当接するようになっている。このトリミング工程40ではあらかじめ前記頭部圧造工程30により形成されているセレーション部7の外周形状とトリミングパンチ41の内形状が一致するように調整配置してあり、押出ピン33が前方のトリミングパンチ側へ移動して一次加工素材11を押し出して前記余肉部12にトリミングパンチ41が食い込むことで、頭部3の外周面全体には図3に示すように、セレーション部7が形成された二次加工素材13が得られるようになっている。
次には転造工程50が設けてあり、この工程では前記セレーション部7を有する二次加工素材13が頭部3を上にして転造ダイス(図示せず)により頭部3に接近した軸部2を転造加工することで首部の外周には凹部5が形成されるようになっている。これにより、軸部2の外周に環状の凹部5が形成されるとともに前記頭部2のセレーション部7を有する頭部外周縁部は頭部2の端面側に押されて頭部外周縁部の座面と軸部とがなす角が鋭角から直角に限りなく近づくことになり、図1に示すように、頭部2の端面はほぼ同一平面となったボス部材1が得られる構成である。
このような構成において、あらかじめ軸部2より大きい頭部3が得られるような所定長さ寸法に設定された素材10に対して穴明け工程20で下穴4をあけ、この素材10を頭部圧造工程30に供給する。この頭部圧造工程30では図5に示されたように、受け駒31の支持穴32に素材10が加圧パンチ35で圧入されると同時にこの素材10の挿入先端が所定位置にある押出ピン33の端部に当接するが、更に加圧パンチ35が移動するので、素材10が頭部外周成形穴34に充満する。一方、加圧パンチ側の素材10も余肉形成穴36に充満することになり、この加圧作用により軸部側にセレーション部7を有し、頭部端部側の頭部外周縁部に厚みの薄い余肉部12を有するとともに頭部中心側には僅かに膨れた頭部3が形成された所謂、頭部外周縁部が傘状に傾斜して形成された頭部3を有する一次加工素材11が得られる。この一次加工素材11が得られると、加圧パンチ35は後退し、続いて、この受け駒31の中心線上にトリミングパンチ41が移動して位置決めされる。
このトリミング工程40においては、あらかじめトリミングパンチ41の内形状が受け駒31の成形穴形状と一致しており、図6に示すように、トリミングパンチ41が受け駒側へ移動して前記一次加工素材11の余肉部12に当接すると、前記押出ピン33がトリミングパンチ41の方向へ移動し、この一次加工素材11を受け駒31の支持穴32から押し出す。これにより、図3に示すように、余肉部12には外周の抜きカス14が除かれてトリミングパンチ41で前記セレーション部7と同様の形状が形成される。このようにして、頭部3の全外周にセレーション部7が形成され且つ頭部外周縁部が傘状となった二次加工素材13は次に転造工程50に供給される。
この転造工程50では、セレーション部7を有する頭部3を上に軸部2を垂下した状態で転造ダイス(図示せず)間に供給され、二次加工素材13には頭部座面側の軸部2に凹部5が転造加工により形成されるとともに傘状となった頭部外周縁部は押されて頭部外周縁部の座面が起きるから頭部端面全体と座面は軸部2に対して実質的に垂直となり、図1及び図2に示すようなボス部材1が完成する。そして、このボス部材1をワーク(W)の取付穴に軸部2を先にして加圧入すると、図7に示すように、ワークに頭部3は圧入され、セレーション部7と凹部5にワークの肉が充分に嵌り込み、ワーク(W)に対してボス部材1は回り止めと抜け止め作用が生じる。
ボス部材の要部断面図である。 図1の右側面図である。 セレーション部が形成される状態を示す要部断面図である。 ボス部材の製造工程を示すフロー図である。 頭部圧造工程の要部断面図である。 トリミング工程の要部断面図である。 本発明とワークとの嵌合状態を示す要部断面図である。 本発明の従来例を示す要部断面図である。 他の従来例を示す要部断面図である。
符号の説明
1 ボス部材
2 軸部
3 頭部
4 下穴
5 凹部
6 側壁
7 セレーション部
10 素材
11 一次加工素材
12 余肉部
13 二次加工素材
14 抜きカス
20 穴明け工程
30 頭部圧造工程
31 受け駒
32 支持穴
33 押出ピン
34 頭部外周成形穴
35 加圧パンチ
36 余肉形成穴
37 頭部端面成形穴
40 トリミング工程
41 トリミングパンチ
50 転造工程
W ワーク

Claims (5)

  1. 締結部材が螺合される軸部(2)と、この軸部と一体でこれより大径のセレーション部(7)を有する頭部(3)と、この頭部に接する軸部の外周に溝形状の凹部(5)を設けてなるボス部材であって、頭部圧造成形時に軸部径より大きく且つ前記セレーション部を有する頭部外周縁部を軸部側へ傘状に傾斜させて形成し、この頭部に接する軸部の外周にこれに沿い転造加工された凹部を形成し、前記傘状の頭部外周縁部が頭部端面とともに平坦に形成されたことを特徴とするボス部材。
  2. 頭部は頭部圧造成形により頭部外周縁部の座面と軸部外周面とのなす角が鋭角であって、頭部に接する軸部に転造加工で凹部が形成されると前記角が直角に限りなく近づく構成であることを特徴とする請求項1記載のボス部材。
  3. 凹部は軸線に沿う断面において底面側が狭く開放側が広くなるように少なくとも一方が傾斜した側壁(6)を有していることを特徴とする請求項1又は2記載のボス部材。
  4. 締結部材が螺合される軸部(2)と、この軸部と一体でこれより大径のセレーション部(7)を有する頭部(3)と、この頭部に接する軸部の外周に溝形状の凹部(5)を設けてなるボス部材の製造方法において、頭部圧造工程(30)において軸部径より大きく且つ前記セレーション部を有する頭部外周縁部を軸部側へ傾斜させて傘状とし、続いて、転造工程(50)でこの傘状の頭部外周縁部を有する頭部に接する軸部の外周にこれに沿い凹部を形成し、前記傘状の頭部外周縁部が頭部端面とともに平坦に形成されたことを特徴とするボス部材の製造方法。
  5. 頭部は頭部圧造工程においては頭部外周縁部の座面と軸部外周面とのなす角が鋭角であって、頭部に接する軸部に転造加工で凹部が形成されると前記角が直角に限りなく近づく構成であることを特徴とする請求項4記載のボス部材の製造方法。
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