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JP2006302942A - 可変容量素子 - Google Patents

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JP2006302942A JP2005118254A JP2005118254A JP2006302942A JP 2006302942 A JP2006302942 A JP 2006302942A JP 2005118254 A JP2005118254 A JP 2005118254A JP 2005118254 A JP2005118254 A JP 2005118254A JP 2006302942 A JP2006302942 A JP 2006302942A
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Abstract

【課題】 所望の周波数における電圧印加によるQ値の低下を抑制した可変容量素子を提供すること。
【解決手段】 一対の電極3,6とこれら一対の電極3,6に挟まれた圧電性を有する誘電体膜4とを備え、一対の電極3,6への電圧印加により誘電体膜4の比誘電率を変化させる可変容量素子において、一対の電極3,6の少なくとも一方の外側に音響反射要素2,7を備えた可変容量素子である。圧電性を示す誘電体膜4からの振動を電極3,6の外側に配置した音響反射要素2,7によって音響的に絶縁することができ、誘電体膜4の振動を抑制することができるため、電圧印加の条件にかかわらず高いQ値を有する可変容量素子を提供することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高誘電率誘電体を使用した誘電体膜の比誘電率の印加電圧依存性を利用して静電容量を電圧制御する可変容量素子に関し、特に高周波領域での動作において誘電損失が小さくかつ電圧印加の有無にかかわらず誘電損失が小さい可変容量素子に関するものである。
無線通信や電気回路における周波数の高周波化に伴い、これらの電気信号に対して用いられる電子部品も高周波数に対応したものが要求されている。特に、高周波回路において薄膜コンデンサをフィルタ,共振器等の構成部品として使用するためには、コンデンサのQ値が高いことが求められる。また、無線通信技術の発達や新方式への切り替えに伴い、複数の送受信システムに対応する通信装置の需要がますます高まっている。そして、同時に、部品点数の削減や小型化にも対応するため、近年、電圧可変フィルタや電圧可変容量素子等の可変素子の開発がなされている(例えば、特許文献1を参照。)。
電圧可変容量素子は、高誘電率の誘電体膜が示す印加電圧に対する大きな比誘電率の変化を利用した可変容量素子である。その構成は基本的に例えば、基板と、この基板上に形成された金属薄膜からなる下部電極と、その下部電極上に形成された高誘電率の誘電体膜と、さらにその誘電体膜上に形成された上部電極とからなる。高誘電率の誘電体膜としては、例えば、チタン酸ストロンチウム(SrTiO),チタン酸バリウムストロンチウム(Ba1−xSrTiO、以下、BSTと記す。),チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(ZrTi1−x)O)等のペロブスカイト型結晶構造を有する誘電体からなる薄膜が使用されている。SrTiOやBST等のペロブスカイト型酸化物は、室温付近で高い比誘電率を示し、正方晶と立方晶との構造変化境界に近いSr/(Sr+Ba)=0.3の組成で最も高い比誘電率を持つことが知られている。特に、室温で常誘電相をもつSrTiO−BaTiO固溶系材料は、高誘電性を必要とするDRAMに好適であり、盛んに開発が行なわれてきた。また、その誘電体膜に所定電圧を印加することにより、非線形な比誘電率の変化が見られることから、可変容量素子用途として使われている。
特開平11−260667号公報
上述したようなペロブスカイト型結晶構造を有する高誘電率の誘電体膜を使用した可変容量素子において要求されることとしては、高チューナビリティ(Tunability),高Q値の他に、温度係数が数十ppm/℃と小さいこと、高耐電力性,高絶縁抵抗,低歪み特性,経時変化がないこと等が挙げられる。高チューナビリティは、可変容量素子の容量の可変量を示すものであり、電圧印加前の容量をC、電圧印加後の容量をCとすると、チューナビリティ=(C−C)/C×100(%)等で表わされる。チューナビリティは、誘電体膜への印加電圧の電界強度が大きいほど高くなるため、誘電体膜の膜厚が薄いほど高チューナビリティになる傾向がある。また、Q値はコンデンサの各構成要素における損失に依存しており、誘電体膜における誘電損失や電極における導体損等がQ値を低下させる主たる原因となっている。これら薄膜コンデンサの容量やQ値は、インピーダンス測定により得られるものである。
本発明者らが誘電体膜にBSTを用いた可変容量素子においてインピーダンス測定を行なったところ、電圧印加後の位相特性において周波数に対する周期的な変化が観察された。この様子を図4に線図で示す。図4において、横軸は周波数[freq.](単位:MHz)を、縦軸は左側がインピーダンス[|Z|](単位:ohm)で右側がインピーダンスの位相[Theta](単位:deg.)を表わしており、上側の特性曲線はインピーダンスの周波数特性を、下側の特性曲線は位相の周波数特性をそれぞれ示している。図4に示す通り、インピーダンスは、周波数の増加に伴い減少する容量素子の特性を示し、電圧印加によりインピーダンスが増加する。電圧印加前後の周波数依存性は、ほぼ同じである。一方、位相の周波数特性は電圧印加前後で大きく異なる。電圧印加前の位相(太線で示す)は、周波数の増加に伴い単調な増加傾向にあるが、電圧印加後の位相(細線で示す。)は、周波数の増加に伴い周期的に変化しながら大きくなる傾向が見られる。
また,この周波数に対する周期的な変化をQ値で見ると図5に線図で示すようになる。図5において、横軸は周波数[freq.](単位:MHz)を、縦軸は左側が容量[C](単位:pF)で右側がQ値[Q value]を表わしており、上側の特性曲線は容量の周波数特性を、下側の特性曲線はQ値の周波数特性をそれぞれ示している。図5に示す通り、電圧印加前のQ値(太線で示す。)は周波数の増加に対して単調に減少する傾向が見られるが、電圧印加後のQ値(細線で示す。)には周波数の増加に対して周期的に変化しながら小さくなる傾向が見られる。
この周波数に対する周期的なインピーダンスの位相特性およびQ値の変化は、可変容量素子に用いた誘電体膜が電圧印加によって圧電性を示すために生じた結果である。つまり、電圧印加により圧電性が生じると、印加した高周波によって誘電体膜の厚み縦振動が励振されて、厚み縦振動の基本振動あるいは高調波等に基づいた共振現象が発現する。この共振周波数は、誘電体膜の膜厚や膜構成によって決まってくるものであるが、周波数の変化に対して周期的に共振点が現れ、それに応じて誘電体膜の電気的な特性にも周期的な変化を生じさせる。
本来、可変容量素子に使用する誘電体膜には、圧電性を持たず共振することがなく、その使用温度範囲がキュリー温度以上であり、使用温度範囲において常誘電性を示す材料を用いることが望ましい。なぜならば、誘電体膜が強誘電性を示す場合は、電圧印加による容量の変化にヒステリシスを伴い、そのため容量が電界履歴に依存することとなるので、印加電圧に応じた容量変化が要求される可変容量素子としては適さないものとなるためである。また、ヒステリシスは分極の交流に対する遅れを示しており、誘電損失が大きいことに相応することからも適さないものである。したがって、従来、可変容量素子に用いられてきた誘電体膜としては、使用温度範囲(室温付近)において常誘電性を示し、圧電性を示さないBST材料系のものが主に用いられてきた。あるいは、圧電性を示しても電気特性上問題とならない周波数範囲において用いられてきた。
ところで、SrTiOとBaTiOとの固溶系であるBSTは、Ba/SrやTi/(Ba+Sr)の組成比に応じて強誘電性や常誘電性を示し、その組成比は、通常、使用温度範囲において常誘電相領域となるように設定される。しかし、その境界領域においては、BaTiOの強誘電性は弱められて現れることもあり、若干の容量ヒステリシスを示す場合もある。
上述したような多くの要求特性を満たすためには、可変容量素子の誘電体膜にそのような境界領域の誘電体材料を使用することもあるが、ここで問題となるのが誘電体膜の圧電性であり、容量を変化させるために印加した電圧により誘電体膜に圧電性が生じ、インピーダンスの振幅特性および位相特性に共振が生じる場合である。この共振周波数は、一対の電極とそれに挟持された誘電体膜とからなる可変容量素子の場合は、誘電体膜の膜厚や電極のサイズ等により決まってくるものであり、印加される周波数を変化させると周期的に現れるものである。この周期的な共振周波数においては、可変容量素子の容量が変化しQ値が減少することとなるが、可変容量素子の使用周波数範囲、特に高周波領域においてその影響が見られる場合に問題となる。つまり、インピーダンスの位相特性が電圧印加により周期的に変化する可変容量素子では、使用周波数範囲においてその共振の影響を受けるため、Q値が電圧印加前と比べて大きく減少してしまう。そして、そのような可変容量素子をフィルタや共振器等の構成部品として使用した場合は、可変容量素子による損失が電圧印加により増大してしまうという問題が発生することとなる。
高誘電率の誘電体膜における比誘電率の電圧依存性を利用した可変容量素子において、圧電性に起因する電圧印加によるこのような知見は、本発明者が初めて確認したものである。本発明はその知見に基づく上述した問題に対処するためになされたものであり、その目的は、所望の周波数における電圧印加によるQ値の低下を抑制した可変容量素子を提供することにある。このような可変容量素子を用いることにより、挿入損失の増加や位相特性の変動を低減した可変フィルタ等を提供することができる。
本発明の可変容量素子は、一対の電極とこれら一対の電極に挟まれた圧電性を有する誘電体膜とを備え、前記一対の電極への電圧印加により前記誘電体膜の比誘電率を変化させる可変容量素子において、前記一対の電極の少なくとも一方の外側に音響反射要素を備えたことを特徴とするものである。
すなわち、本発明の可変容量素子は、高誘電率の誘電体膜を用いて、誘電体膜への電圧印加により容量を変化させる可変容量素子であって、誘電体膜が圧電性を持ち、電圧印加により圧電的に励起される振動によってQ値が低下することを抑制するために、一対の電極の少なくとも一方の外側(誘電体膜と反対側)に音響反射要素を備えたことを特徴とするものである。
また、本発明の可変容量素子は、上記構成において、前記音響反射要素は、音響インピーダンスが異なる複数の層によって構成された音響多層膜であることを特徴とするものである。
また、本発明の可変容量素子は、上記構成において、前記誘電体膜が、Ba1−xSrTiO(0<x<1)からなることを特徴とするものである。
高いQ値をもった可変容量素子を得るためには、誘電体膜の材料,組成,膜質および膜厚ならびに電極の材料や膜厚等を所望の特性に応じて都度組み合わせなければならない。本来、誘電体膜に用いる誘電体は常誘電体で圧電性を示さないことが望ましいが、可変容量素子の種々の要求性能を満たすためには誘電体膜に常誘電体と強誘電体との境界領域の誘電体材料を用いる場合もある。ただし、その結果、容量制御用に直流電圧を印加しながら高周波信号としての交流電圧を印加した場合や、高電圧の交流電圧を印加した場合等に、誘電体膜に圧電性による共振が生じ、電圧印加後のQ値がその共振の影響を受けて大きく低下する可能性がある。
本発明の可変容量素子によれば、一対の電極とこれら一対の電極に挟まれた圧電性を有する誘電体膜とを備え、前記一対の電極への電圧印加により前記誘電体膜の比誘電率を変化させる可変容量素子において、前記一対の電極の少なくとも一方の外側に音響反射要素を備えたことから、その音響反射要素により、さらに外側に構成される層によって励振されることなく振動が反射されるので、所望の周波数において圧電性を示す誘電体膜からの振動を電極の外側に配置した音響反射要素によって電極と音響反射要素との境界で音響的に絶縁することができ、それによって誘電体膜の振動を抑制することができるため、電圧印加の条件にかかわらず高いQ値を有する可変容量素子を提供することができる。従って、誘電体膜にそのような若干の圧電性を有する高誘電率の誘電体材料からなる薄膜を用いても、常に高いQ値を電圧印加の条件にかかわらず得ることができる可変容量素子となる。
また、本発明の可変容量素子によれば、前記音響反射要素が、音響インピーダンスが異なる複数の層によって構成された音響多層膜であるときには、音響反射要素を一連の薄膜プロセスで形成することができ、また容量形成部の近傍に空気層を形成しないので、後述するバイアホールと比べて作製プロセスが容易であり、熱的信頼性および機械的信頼性が高いものとすることができる。
また、本発明の可変容量素子によれば、前記誘電体膜が、Ba1−xSrTiO(0<x<1)からなるものであるときには、使用温度範囲において常誘電性を示すことが多く(ただし、xの大きさや歪みによる。)、電圧印加による容量の変化にヒステリシスを伴うために容量が電界履歴に依存するものとなることが少ないので、印加電圧に応じた容量変化が要求される可変容量素子としては適切なものとすることができる。また、ヒステリシスは分極の交流に対する遅れを示しており、誘電損失が大きいことに相応することからも、そのような特性を示さないこの系は好ましいものである。
そして、このような本発明の可変容量素子を用いることにより、挿入損失を低減した可変フィルタや可変共振器等の可変特性の高周波回路を提供することができ、それらを用いた特性可変の高性能な通信装置を提供することができる。
以下、本発明の可変容量素子の実施の形態の例について、図1を参照しつつ説明する。図1は本発明の可変容量素子の実施の形態の一例を示す断面図である。図1において、1は支持基板であり、2は下部音響多層膜であり、3は下部電極膜であり、4は誘電体膜であり、5は絶縁膜であり、6は上部電極膜であり、7は上部音響多層膜であり、8は半田拡散防止膜であり、9は保護膜であり、10は半田端子である。なお、この可変容量素子における容量形成領域は、誘電体膜4を一対の電極である下部電極膜3と上部電極膜6とで挟持している電極の対向部分である。
基板
支持基板1は、その上面に可変容量素子が形成される絶縁性の基板である。その材料としては例えばAl,SiO,MgO,LaAlO,SrTiO等があり、特に材料を限定するものではないが、支持基体1上に形成する膜の表面が平滑になるように、十分な平面度を有していることが好ましい。
下部音響多層膜
本発明の可変容量素子において一対の電極の少なくとも一方の外側に配置される音響反射要素は、例えば音響多層膜によって構成することができる。この音響多層膜は、誘電体膜4において圧電的に励起された振動を音響的に絶縁することができるものであり、音響インピーダンスの異なる膜を交互に数層積層して構成される。より効率的に振動(音響波)を絶縁するならば、多層に積層する各々の膜の膜厚を約λ/4(λは振動(音響波)の波長)にするのがよく、より広範囲な周波数帯で振動(音響波)を抑制するならば、連続する2層の膜の音響インピーダンスの比は大きいほうがよい。以下、振動が抑制された周波数領域をバンド幅ということとする。下部音響多層膜2は、一方の電極である下部電極膜3の外側に配置された音響反射要素である。
音響反射要素は、このような音響多層膜の他にも基板にバイアホールを形成するといった技術によっても作ることができる。具体的には例えば、可変容量素子の容量形成部分の下側の支持基板1をエッチングで部分的に除去することによって、バイアホールを形成し、空気との界面で音響波を反射させることができる。
なお、本発明の可変容量素子における音響反射要素はこれら音響多層膜やバイアホールに限定されるものではなく、誘電体膜4において圧電的に励起された振動(音響波)を可変容量素子の使用周波数において減衰させることができれば種々の構成のものを用いることができ、この他にも同様の機能を発揮するものであれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の任意の手段によって構成してもよい。
誘電体膜4において励起された振動を抑制するために、音響インピーダンスの異なる膜を交互に数層積層し、下部音響多層膜2を形成する。このとき、音響インピーダンスの高い膜の材料は、例えばタングステン(W),白金(Pt),金(Au),モリブデン(Mo)等を用いることができる。また、音響インピーダンスの低い膜の材料は、例えばシリコン(Si),酸化シリコン(SiO),アルミニウム(Al)等を用いることができる。これらの膜を多層に積層するに当たって、バンド幅を大きくして効率的に振動を抑制するならば、振動(音響波)に対する反射率を上げるために、連続する2層の膜の音響インピーダンスの比を大きくとればよい。ただし、膜の組み合わせによっては、密着力の悪いものや融点が低く後続の作製プロセス上問題となる材料もあるため、適宜、組み合わせる材料を選択する。また、低抵抗な音響インピーダンス材料を選べば、誘電体膜4の直下にこの下部音響多層膜2を配置して下部電極膜3の一部を代替することもでき、高いQ値を持った可変容量素子を簡便なプロセスで作製することが可能となる。
なお、音響反射要素として下部音響多層膜2だけを形成したときには、誘電体膜4の下方の層構成(例えば、下部電極膜3,密着層,酸化膜層,支持基板1)による不要な励振を防ぐことができるので、振動の波長が短くなり(共振がより高周波側となる。)、周期も大きくなるため、インピーダンスの位相の変化でQ値が低減する周波数が広くなるという利点がある。また、作製プロセスの工程が少なくなるという利点もある。
下部電極膜
高いQ値を持った可変容量素子を得るために、誘電体膜4の上下には低抵抗な一対の電極を配置して、それらにより誘電体膜4を挟持することが要求される。下部電極膜3の導体材料としては、高Q値を得るためには抵抗率の小さな金属を用いる必要がある。そのような金属としては、銅,アルミニウム,金,銀,白金,パラジウム等が挙げられる。中でも、その上に高誘電率薄膜である誘電体膜4を形成する過程において、高温の熱履歴を伴うときに誘電体膜4に拡散したり誘電体膜4と反応したりして可変容量素子のリーク電流が増大するといった問題が発生しうるため、誘電体膜4と反応や拡散を生じにくい白金,パラジウム等を用いることが望ましい。
なお、下部電極膜3の膜厚は、薄くした方が共振周波数を高周波側へシフトさせることが可能だが、高周波数では高抵抗な材料によって下部電極膜3および上部電極膜6における損失が増大することとなり、そもそものQ値が減少するといった問題が発生するため、その点も考慮した膜厚の設定が必要である。
誘電体膜
誘電体膜4の材料としては、外部の印加電圧により、その比誘電率が大きく変化し得る高誘電率の誘電体材料、例えばBaTiO,SrTiO,BST等のペロブスカイト酸化物が挙げられる。これらは、ゾルゲル法等の溶液法やスパッタ法やCVD法,レーザーアブレーション法,MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等の気相合成法等の薄膜作製手法により形成することができる。誘電体膜4は、例えば、下部電極膜3の表面を覆うように形成され、その後、容量形成領域を除いたウエットエッチングにより不要部分が除去される。誘電体膜4の膜厚は、薄いほど共振周波数の基本波が高い周波数になるため、使用周波数においてその影響を排除する際に有効である。また、薄ければ薄いほど誘電体膜4における電界強度が大きくなるため、高チューナビリティ特性が得られるという利点があるが、その一方で、リーク電流が増大したり、実効比誘電率が低下したりするといった問題が発生することがある。通常は、十分な絶縁性を確保する点から、膜厚は100nm以上に設定することが好ましい。
本発明の可変容量素子においては、誘電体膜4は、Ba1−xSrTiO(0<x<1)からなるものであることが好ましい。また、使用温度範囲において常誘電性を示す誘電体材料を用いることが望ましい。なぜならば、誘電体膜4が強誘電性を示す場合は、電圧印加による容量の変化にヒステリシスを伴い、そのため容量が電界履歴に依存することとなるので、印加電圧に応じた容量変化が要求される可変容量素子としては適さないものとなるためである。また、ヒステリシスは分極の交流に対する遅れを示しており、誘電損失が大きいことに相応することからも適さないものである。
絶縁膜
絶縁膜5は、以上の支持基板1,下部音響多層膜2,下部電極膜3および誘電体膜4からなる構造を全て覆うように成膜され、誘電体膜4の上に形成される上部電極膜6と下部電極膜3との絶縁の確保およびそこに発生する寄生容量を小さくするために用いられる。絶縁膜5の材料としては、BCB(ベンゾシクロブテン),ポリイミド等の有機材料やSiO,Si等の無機材料が挙げられるが、絶縁性が高く、かつ寄生容量を小さくするために低比誘電率であるほうが望ましい。形成方法についても特に限定されるものではないが、立体的な複雑形状を持つ下地構造に対しても比較的均一な膜厚が得られるMOCVD法等に代表されるCVD法で形成されることが好ましい。
また、絶縁膜5の材料には、誘電体膜4上に上部電極膜6を形成するための開口部を形成するために、レジストをマスクとしたエッチングによりパターン形成することができるものを用いることが好ましい。このとき、下部電極膜3を外部回路との電気的接続のために可変容量素子の上面に露出させる端子開口部も同時に形成されることが望ましい。
上部電極膜
上部電極膜6は、下部電極膜3とともに誘電体膜4を挟む一対の電極を構成するものであり、導体材料としてAu,Ag,Al,Cu,Pt等を用いて形成される。厚みについては、下部電極膜3と同様に、高いQ値を得るために抵抗を考慮して設定される。
なお、導体材料として低抵抗な音響インピーダンス材料を選べば、上部電極膜6を上部音響多層膜7の一部として利用することもでき、高いQ値を持った可変容量素子を簡便なプロセスで作製することが可能となる。
上部音響多層膜
誘電体膜4において圧電性に起因して発生する振動を効率よく抑制するために、誘電体膜4の両側の電極の外側に音響反射要素として音響多層膜を配置することが好ましい。そこで、好ましくは、上部電極膜6の外側すなわち誘電体膜4と反対側に、下部音響多層膜2と同様に音響インピーダンスが異なる膜を交互に数層積層し、上部音響多層膜7を形成する。
なお、音響反射要素として上部音響多層膜7だけを形成したときには、誘電体膜4の上方の層構成(例えば、上部電極膜6,密着層,絶縁膜,保護膜9)による不要な励振を防ぐことができるので、振動の波長が短くなり(共振がより高周波側となる。)、周期も大きくなるため、インピーダンスの位相の変化でQ値が低減する周波数が広くなるという利点がある。また、作製プロセスの工程が少なくなるという利点もある。
また、上部音響多層膜7を下部音響多層膜2とともに形成したときには、誘電体膜4の上下の層構成に起因する不要な励振を防ぐことができ、誘電体膜4のみによる振動となるので、振動の波長がさらに短くなり(共振がより高周波側となる。)、周期もさらに大きくなるため、インピーダンスの位相の変化でQ値が低減することが極めて少なくなる。言い換かえると、インピーダンスの位相の変化でQ値が低減しない周波数領域をより広範囲にとることができるものとなる。
保護膜
保護膜9は、以上のようにして構成された本発明の可変容量素子を外部から機械的に保護するほか、雰囲気中の湿度や酸素等との化学反応による素子材料の劣化や、ゴミ等の付着による汚染、実装時の破損による劣化、薬品等による汚染、酸化等を防止して素子を保護するものである。この保護膜9は、外部回路との接続に用いられる半田端子10を形成するために上下の電極膜6,3それぞれの一部を露出するように形成する。保護膜9の材料としては、耐熱性が高く、下地構造の段差に対する被覆性に優れたものがよい。具体的には、BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂等の有機系の熱硬化性樹脂もしくは光硬化性樹脂を用いることができる。
半田端子
8は半田端子10を形成するのに先立って半田端子10の下地として形成される半田拡散防止膜であり、半田端子10を形成する時のリフローや外部回路への実装の際に、半田端子10からの半田の下部電極膜3および上部電極膜6への拡散を防止するために形成する。半田拡散防止層8の材料としては、通常の半田を用いる場合であれば、Niが好適である。また、半田拡散防止膜8の表面には、この膜8の半田濡れ性を向上させるために、半田濡れ性の高いAu,Cu等を0.1μm程度形成するとよい。
半田拡散防止層8の形成後に、外部回路への実装を容易にするために半田端子10を形成する。半田端子10は、保護膜9の開口部に形成された半田拡散防止膜8上に半田ペーストを印刷後、リフローを行なうことにより形成される。
以上のように構成された本発明の可変容量素子は、高周波部品の共振回路の一部(LC共振回路の容量成分)として用いられたり、また、この共振回路を結合する容量成分として用いられたりして、電圧制御型高周波共振回路部品に、さらに、その共振回路の複合部品である電圧制御型高周波フィルタ,電圧制御型整合回路素子および電圧制御型薄膜アンテナ共用器等の高周波部品に好適に用いることができる。
本発明の可変容量素子によれば、誘電体膜4への電圧印加後に生じる圧電振動が広い周波数範囲で抑制され、Q値の低下を抑制することができることをシミュレーションにより確認した。
本実施例においては、本発明の可変容量素子の各膜の構成および材料,膜厚を次の通り設定した。
支持基板1として厚みが0.3mmのサファイアR基板を用い、下部音響多層膜2および上部音響多層膜7の高音響インピーダンス材料としてWを、低音響インピーダンス材料としてSiOを用いてそれらの膜を交互に、膜厚をそれぞれ0.67μmおよび0.74μmとして各2層を積層した。下部音響多層膜2の上には下部電極膜3としてPtを厚みが2μmで、誘電体膜4として(Ba0.5Sr0.5)TiOを厚みが0.3μmで、絶縁膜5として二酸化珪素を厚みが1μmで、上部電極膜6としてPtを厚みが2μmで、保護膜9としてベンゾシクロブテン樹脂を厚みが2μmで形成し、この構成による容量形成領域のインピーダンスおよび位相の周波数依存性を評価した。そのシミュレーション結果を図2に線図で示す。
図2において、横軸は周波数[frequency](単位:GHz)を、縦軸は左側がインピーダンス[|Z|](単位:ohm)で右側がインピーダンスの位相[Phase](単位:deg.)を表わしており、上側の特性曲線はインピーダンスの周波数特性を、下側の特性曲線はインピーダンスの位相の周波数特性をそれぞれ示している。
図2に示す通り、本発明の可変容量素子によれば、2GHz前後で数百MHzの範囲にわたって、インピーダンスの位相の変動が起きておらず、誘電体膜4の振動による影響が抑制されており、高いQ値を持っていることが分かる。
なお、比較のため、上下の音響多層膜が形成されていない従来の構成の可変容量素子についてのシミュレーション結果を図3に図2と同様の線図で示す。図3に示す結果からは、図2に示した本発明の可変容量素子に比較して、電圧印加により発生した誘電体膜の圧電性の振動のため、インピーダンスの位相の周期的な変化が全周波数範囲で見られ、Q値が低下することが分かる。
以上の実施例の結果から分かるように、本発明の可変容量素子によれば、各層の材料および膜厚等を前述の説明に基づいて設定することにより、例えば使用周波数2GHzにおいて、インピーダンスの位相の変化がなく、使用周波数が、複数の共振ピークのうち隣り合うピーク間に設定された、本発明の可変容量素子を得ることができる。
なお、以上はあくまで本発明の実施の形態の例示であって、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。例えば、下部電極膜の外側にはバイアホールを形成し、上部電極膜側には音響多層膜を形成してもよく、その場合には、下部音響多層膜の形成に起因する誘電体の結晶性への影響を排除することができるものとなる。
なお、以上のようなBST材料系の誘電体膜における印加電圧により生じる圧電性は、基本的には小さく、圧電薄膜共振子に見られるような大きな位相変化ではなく、位相特性の変化は非常に小さなものであり、Q値の周期的な減少は、高いQ値をもった可変容量素子を得たときに確認できるものである。特に、高周波例えば数GHz帯における高いQ値を達成するためには、電極による損失を低減すると同時に、高誘電率の誘電体膜の誘電損失も低減しなければならない。よって、このような可変容量素子におけるQ値の電圧印加後の周期的な低下は、本発明者が鋭意高周波において高Q化を図った結果確認できたものであり、本発明はこの知見に基づきなされているものである。
本発明の可変容量素子の実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の可変容量素子の実施例について、容量形成領域のインピーダンスおよび位相の周波数依存性のシミュレーション結果を示す線図である。 本発明の可変容量素子の比較例として、従来の構成の可変容量素子について容量形成領域のインピーダンスおよび位相の周波数依存性のシミュレーション結果を示す線図である。 従来の可変容量素子におけるインピーダンスの位相特性の周波数依存性を示す線図である。 従来の可変容量素子におけるQ値の周波数依存性を示す線図である。
符号の説明
1・・・支持基板
2・・・下部音響多層膜
3・・・下部電極膜
4・・・誘電体膜
5・・・絶縁膜
6・・・上部電極膜
7・・・上部音響多層膜
8・・・半田拡散防止膜
9・・・保護膜
10・・・半田端子

Claims (3)

  1. 一対の電極とこれら一対の電極に挟まれた圧電性を有する誘電体膜とを備え、前記一対の電極への電圧印加により前記誘電体膜の比誘電率を変化させる可変容量素子において、前記一対の電極の少なくとも一方の外側に音響反射要素を備えたことを特徴とする可変容量素子。
  2. 前記音響反射要素は、音響インピーダンスが異なる複数の層によって構成された音響多層膜であることを特徴とする請求項1記載の可変容量素子。
  3. 前記誘電体膜がBa1−xSrTiO(0<x<1)からなることを特徴とする請求項1記載の可変容量素子。
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